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②1章~4章

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②1章~4章
第1章 人材育成を必要とする背景
1
人材育成基本方針策定の必要性
今日、地方自治体を取り巻く社会情勢は急激に変化しています。地域主権改革の進展や高齢化
社会の到来、それらに伴う社会保障制度に対する不安、保育や介護の社会化(社会の仕組みとす
ること)、安心や安全意識の高まりなどにより公共サービスへの新たな期待が寄せられています。
さらに、住民活動、NPO 活動の活発化、多様な主体(住民団体、NPO、企業等)が公共を担う
仕組みの登場など「官」と「民」の関係にも変化が見られます。加えて地方自治体の厳しい財政
状況から経営資源(人、モノ、カネ、情報)に制約が加わってきています。
いずれの事柄も地方自治体の行政組織運営と深く関わっており、現在抱えている地域固有の課
題と併せて、これからの地方自治体が積極的に取り組むべき課題としては、次のようなものを挙
げることができます。
①
行政と多様な主体との協働による公共サービスの提供
②
厳しい財政状況や職員数の減少にも対応できる効率的な行政体制の構築
③
行政ニーズに対応した柔軟かつ機動的な組織編成
④
職員の能力を最大限に引き出しうる人事制度・能力開発制度の構築
⑤
透明性の確保と説明責任の徹底
地方自治体がこれらの課題に取り組み、豊かさとゆとりを実感できる社会を実現していくため
には、職員一人ひとりがこれらの課題に適切に対応できる知識能力を身につけることが必要です。
そのためには、職員の能力開発を効果的に推進する人材育成の諸制度を早急に整備していかなけ
ればなりません。
1
2
富士川町人材育成基本方針策定の目的
富士川町は、平成 22 年に 2 町が合併し新町が誕生しました。合併後の新しいまちづくりの基本
方針と今後策定される新町の総合計画の基本となる「新町 町づくり計画」を策定し、
「自然息づ
く
きらめきの郷」、「心うるおう
ふれあいの郷」、「人・もの集う
ときめきの郷」の基本理念
のもとに、将来像として「暮らしと自然が輝く 交流のまち」~生涯快適に暮らせるまちを目指
して~ の実現に向けたまちづくりに取り組んでまいります。
このまちづくりの将来像を実現するに当たっては、住民や職員などの人的資源、すなわち“人
材”が果たすべき役割は極めて大きくなります。
一方、昨今の我国の経済状況、地方分権社会の到来に伴う行政改革の推進などを考えれば、量
的に新たな人的資源を増やしていくことは安易には許されません。
このため、職員の政策形成能力の向上やコスト意識の醸成のため、長期的かつ総合的な観点か
ら職員の能力開発を効果的に進め、求められる職員像や養成すべき必要な能力を明確にしたうえ
で、人材育成施策を推進することが不可欠となっています。
「富士川町人材育成基本方針」は、職員一人ひとりの意欲の向上を図り、その能力や可能性を
引き出し、組織としての総合力を高めることを目的に策定したものです。
この基本方針は、町が“求める職員像”や“能力要件”を明らかにするとともに、職員の能力
開発のための取組を総合的な視点から定めることで、地方自治の新しい時代に適切に対応するこ
とができる人材を育成するための指針とします。
2
図表 1 人材育成基本方針の位置付け
住民サービスの向上(CS)*注 2
職員満足度の向上(ES)*注 1
サービスの受け手である住民の満足度の向上
サービスの提供者である職員の満足度の向上
*注 1 ES : Employee Satisfaction
*注 2 CS : Customer Satisfaction
自治体経営としての組織力の向上
・職員の意識改革
行政課題への迅速な対応
・職員のやる気と働きがいを高め、
効果的・効率的な行財政運営
能力を最大限に引き出す
人材育成の諸施策の実施
・人事制度、研修制度、職場づくり等
人材育成基本方針
職員の能力開発を効果的に推進するための
人材育成の目的、方策等の基本方針
時代の変化に対応できる職員を育成する必要性
社会情勢変化
自治体が取り組むべき課題
職員に求められる能力の変化
・少子高齢化
・協働による公共サービス
・地方分権
・迅速な意思決定
(目標による管理)
・経営資源の制約等
・柔軟な組織編成
・経営感覚、コスト意識
・透明性確保、説明責任等
・政策形成能力等
3
・問題処理型→課題達成型
4
富士川町「求める職員像」の基本テーマ
以上のとおり、富士川町の求める職員像、目指すべき職員像としては、
… 住民が主役であるという意識の下で、住民の目線でとら
町民の視点に立って、
えた“まちづくり”を実践すること
職務を遂行する
「信頼される職員」
… 常に質の高い住民サービスを心掛け、住民満足度を高め
ること
困難な課題に
… 常に仕事への意気込みがあり、提案すべきことを積極的
積極的に取り組む
に提案すること
「チャレンジする職
員」
常に成果とスピードを
重視する
「コスト意識を持った
職員」
常に情報を共有し、
連携して
「組織目標達成に
まい進する職員」
自己啓発に努め、
「時代変化に柔軟に
対応できる職員」
…
マネジメント感覚を有し、常に改善・改革を心掛け、効
率的に職務を遂行すること
…
組織全体として情報共有化を図ること
…
全体最適を目指して組織の目標達成にまい進すること
…
自身の人格形成、より高い教養を身に付けることに努め
ること
…
時代の変化をとらえ、人材育成・能力開発を行うこと
とすることができます。
「暮らしと自
このような職員像を目標として、自らの能力開発に努め、業務遂行に励むことで、
然が輝く
交流まち」~生涯快適に暮らせるまちを目指して~のテーマ実現に向けて意欲あふれ
る集団を目指します。
富士川町の「求める職員像」の基本テーマとし、町が展開する能力開発制度、人事評価制度等
の基本方針として位置づけます。
4
第2章 能力要件と能力開発の基本的視点と課題
1
求める職員像実現のための能力要件
町の“求める職員像”である、町民の視点に立って職務を遂行する「信頼される職員」
・困難な課
題に積極的に取り組む「チャレンジする職員」
・常に成果とスピードを重視する「コスト意識を持
った職員」を具現化するために必要な能力を、行動指針に対応して表すと、図表2のとおりとな
ります。
5
図表2 求める職員像、行動指針及び能力要件 (別掲)
6
2
人材育成・能力開発の基本的視点
町民の視点に立って職務を遂行する「信頼される職員」
・困難な課題に積極的に取り組む「チャ
レンジする職員」
・常に成果とスピードを重視する「コスト意識を持った職員」の実現のための具
体的な人材育成、能力開発の仕組みづくりに当たっては、次のことを基本的な視点とします。
(1)効率的・効果的な行政運営に役立てるため、職員のやる気を高め、個人の能力を最大限に引き出
す仕組みとすること(人を育てる風土づくり)
今日、地方分権の進展などにより地方自治体が果たさなければならない責務は、ますます高度
化・多様化しています。一方、先に述べたとおり、昨今の我国の経済状況、行政改革の推進など
を考えれば、この責務のために安易に新たな人的資源を投入していくことは難しく、限られた人
材を有効に活用することで、幾多の行政課題に立ち向かっていかなければなりません。すなわち
「少数精鋭主義」による行政運営を行っていかなければなりません。このためには、職員一人ひ
とりが有する能力を引き出し、その能力が最大限に発揮できるようなシステムを創り上げること
が必要となります。
(2)職員一人ひとりの能力・個性を活かし、職員の自己実現・成長の欲求を満たすとともに、全体として、
組織力を高める仕組みとすること
“求める職員像”を具現化するための能力要件は多彩なものとなっています。また、職員一人ひと
りの能力・個性、価値観も多様です。
人材育成の基本は、職員一人ひとりの能力・個性を活かしながら、組織目標と個人目標を合致
させ、全体として組織力を高めていくことにあります。
(3)積極的チャレンジを可能とし、それに応える仕組みとすること
さらに、変革の時代を迎え、地方分権が進展する中、地方自治体にも地域間競争や自己決定・
自己責任の組織運営が求められています。このような時代においては、新たな課題を発見し、積
極果敢にチャレンジしていく意欲を持った職員の養成も必要となってきており、また、このよう
な職員が正当に評価される仕組みや制度も、併せて構築していくことが求められています。
7
3
人材育成・能力開発の体制とその推進
人材育成・能力開発を効率的、効果的に推進していくためには、全庁の各階層、各職制が一丸
となって、それぞれの役割を正しく果たすことが必要となります。
(1)人材育成キーパーソンとしての管理職の役割
人が育つためには、日常の仕事を通しての指導・教育が大切ですが、その中心となるのは職場
の管理職です。
個々の職員について能力開発のニーズを最も的確に把握し、それぞれの能力や性格に応じて指
導することができるのは、当該職員の上司たる管理職であるからです。また、職員に適切に仕事
を割り振り、公正な人事管理を行うことによって意欲的に仕事に取り組ませることができるのも、
上司たる管理職であるからです。
このようなことから、職員の人材育成・能力開発において、成功の鍵を握るのは職場の管理職
であるといえます。
新しい問題提起や改善提案を行おうとする職員の意欲を失わせ、人材育成や職場の活性化を大
きく阻害するような雰囲気の職場では、職場全体のやる気が低下します。
管理職の意識と行動が職員のやる気や職場の雰囲気を大きく左右することから、管理職はその
ことを十分に自覚し、人材育成のキーパーソンとしての責任を果たすようにしていかなければな
りません。
(2)人材育成の主体としての職員の役割
人材育成にとって職員の意欲と情熱が最大の武器であることは論を待ちません。どれほど工夫
された人材育成・能力開発策を実施したとしても、受け手の側に学ぶ意欲と姿勢が無ければ、その
効果はほとんど期待できないでしょう。逆に、常に向上心を持ち、意欲を持って仕事に取り組んで
いけば、ことさら人材育成・能力開発の機会を待たずとも、相当の実力を身につけていくことは
可能となります。
組織が行う人材育成・能力開発は、あくまで意欲ある人に対して、能力を高めるための「ヒント」
と「チャンス」と「フィールド」を与えるものです。
職員は、与えられることを待つばかりでなく、主体的に、意欲的に能力開発の機会を捉え、自
己の能力を高める努力を行うことで、自己実現と組織貢献を行わなければなりません。
8
(3)人材育成の中核としての人材育成担当部門の役割
人材育成を組織的・体系的に展開し、学習的風土を維持して行くためには、人材育成のしくみ
と人事制度を密接に連携させていく必要があります。例えば昇格や昇給制度との連携などです。
いくら懸命に能力開発に励んでも、何ら具体的な見返りがなければ、達成意欲は削がれ、いずれ
人材育成のしくみは形骸化していくでしょう。
ジョブ・ローテーションにおいても、その職員の人材育成プログラムを無視した、単に何年た
ったからとか、ポストが空いたからという理由だけで実施されていたとしたら、本来の職歴開発
の意味がなくなります。
人材育成担当部門では、組織や職員の人材育成・能力開発に関しての必要な調査研究、情報提
供を行うシンクタンクとして、また組織横断的な課題についての統合機関としての中核的役割を
担います。
9
第3章 人材育成を支える仕組み
1
1.1
人材育成・能力開発を支える仕組み
トータル人事制度
求める職員像を実現し、また、そのために必要な能力の向上を図るためには、前述「第2章 能
力要件と能力開発の基本的視点と課題」の内容を踏まえた体系的な仕組みづくりとその適切な運
営が重要となります。
第一の仕組みは、「人事制度」です。人事制度は、適材適所の人事配置の実現を基本とし、人事
上の処遇や評価基準を明らかにし、透明性、公正性を持った運営を行い、職員の向上心を保つこ
とができるよう、各制度が総合的にリンクした制度としなければなりません。
第二の仕組みは、「研修制度」です。職員の能力開発の基本は、職員一人ひとりの自発的・積極
的な取り組みが主体であることは当然ですが、能力開発の各段階において、必要とされる研修の
機会を提供し、個人の持つ能力を最大限に引き出していくための、人事制度と連携した「研修制度」
の運営が不可欠となります。
第三の仕組みは、人が育ちやすい「職場づくり」です。活力に満ち、能力開発意欲を醸成して
いくような環境、すなわち、職場におけるさまざまな場面を人材育成のために活用していくよう
な、人が育ちやすい職場風土を形成していくことが極めて重要となります。
この「人事制度」「研修制度」「職場づくり」を三位一体として、それぞれの施策を有機的に結
合させ、展開することで、人材育成を効果的に進めていくことが必要となります。
町では、人材育成・能力開発に係る、この三位一体の取り組みを「トータル人事制度」と呼び、
全庁的かつ総合的な施策の推進を行っていきます。
10
1.2 トータル人事制度の基本フレーム
町が進める「トータル人事制度」では、人事制度、研修制度、職場づくりを総合的に展開して
いきます。このことにより、職員の採用から退職に至るまで、その成長過程にあわせた、きめ細
かな人材育成・能力開発を図ります。
図表 3 トータル人事制度の基本フレーム
統制者
やる気を高め
能力を引き出し
人を活かす
高める
管理者(課長・補佐級)
人事制度
採用・異動
研修制度
OJT
監督者(リーダー・主幹級)
評価制度
Off JT
昇任・昇格
自己啓発
上級職員
給与制度
その他
その他
中級職員
初級職員
人を育て、活力を生み出す職場づくり
管理職による職場づくり、提案制度 その他
また、職員の成長段階にあわせた人事制度、研修制度を展開するため、基本的な視点を図表 4
のようにとらえ、それぞれ必要な施策を重点的に講じることとします。
図表 4 職員の成長段階と必要な施策の展開
初級職員
中級職員
人事制度展開
の視点
適性発見期間
研修制度展開
の視点
基盤能力開発
上級職員
監督者
進路決定期間
自己確立期間
専門能力開発
11
管理者
経営者
適性発揮期間
高度専門能力開発
管理能力 経営能力
2
人事制度の構築
人事諸制度の構築にあたっては、「職員のやる気を高め、個人の能力を最大限に引き出す」とと
もに、その努力や実績、成長意欲(たとえば明確なキャリアプランをもつ)などを適正に評価し、
応えることを基本に推進していきます。
2.1
採用・異動
(1)職員の採用
職員の採用については、知識試験のみならず人物面も考慮した適性把握を実施するなど採用方
法の検討を行ない、より高い資質と意欲を有する人材を選抜していきます。
また、町の職員構成について年齢的に不均衡にならないよう、各年齢層間のバランスを考慮し
た採用を検討していきます。
(2)ジョブ・ローテーション制度
「ジョブ・ローテーション制度」の導入について検討していきます。
ジョブ・ローテーションとは、業務上の必要性から行われる「人事異動・配置転換」とは異な
り、人材育成の視点から、新規採用後 10 年間程度はいくつかの異なる部門を、計画的に異動させ
るもので、例えば、窓口部門、管理部門、事業部門の 3 部門を 3 年周期程度で異動、経験させる
ことで、業務全般の幅広い視野や知識の習得、適性の発見、業務のマンネリ化の防止、庁内の人
的ネットワークの形成、情報の共有化などを図ろうというものです。
(3)複線型人事制度の研究
「複線型人事制度」の研究を行います。
現在、町の人事ルートとしては、保健・医療、保育等の特定業務に専従する「専門職」、業務全
般に幅広く携わることを前提とした「一般行政職」の 2 つが準備されています。
しかしながら、職員には多様な職業観、価値観があるとともに、その適性・能力、あるいは希
望、事情もさまざまです。現在、町が準備している 2 つの人事ルートでこれらの多様性に応える
ためには、必ずしも十分とはいえません。
職員がその希望や状況に応じて、さまざまな人事ルートを選択できるようにすることで、働き
やすく、能力を発揮しやすくすることを目的として、新たな人事ルートを設定する「複線型人事
制度」について、研究を行います。
「複線型人事制度」における新たな人事ルートとしては、ジョブ・ローテーションの後、本人
12
の適性や能力、希望などを勘案した上で、例えば税務部門などに配属させ、その能力開発を進め
ます。そして、その後も税務関連部門を中心とした異動・配置を行うなどにより経験を積むこと
で、専らその関連業務に従事するエキスパートとしての機能を担ってもらうような「専任職」
(仮
称)などを想定しています。
(4)自己申告制度の充実と人事情報システムの構築
現行の職員意識調査を異動のみの活用から職員の能力開発を含めて行うために、適性職務、能
力開発、キャリア形成なども申告できるよう内容を充実させていくことを検討します。
将来的には「人事情報システム」を構築し、例えば自己申告と過去の異動履歴、研修履歴、人
事評価履歴などをデータとして登録し、計画的人事異動や戦略的人事配置への活用などを検討し
ます。
(5)庁内公募制度
組織の活性化には、新たな仕事にチャレンジさせる職務拡大、職務充実が有効です。職員のチ
ャレンジ精神の喚起を図り、意欲ある職員を発掘・登用することにより、組織活性化を図ること
ができます。新規の事業や難易度の高い事業を推進する場合、その推進担当者を職員から公募し、
能力評価の結果を参考に審査・選考を行い、その職に配置する制度の導入について研究します。
2.2
評価制度
(1)人事評価制度
職員の能力、勤務実績をより正確に把握し、評価し、その結果で、公正な処遇を実現するとと
もに職員の意欲向上を図り、能力開発に活かすための「人事評価制度」を構築・導入します。
なお、人事評価の実施に当たっては、被評価者への育成面談、評価研修の実施による評価者の
評価能力の向上及び評価精度の向上を行うことが必要不可欠な要件となります。
(2)目標による管理制度
「目標による管理制度」を構築・導入し、期首に職場で達成すべき目標を定め、その目標達成
に向けて進行管理をし、目標の達成度を評価していきます。
13
(3)育成面談制度
人事評価の期初と期末に上司と部下が面談を行い、今期の業務の確認や人事評価内容のフィー
ドバック等を行うことで、上司と部下のコミュニケーションの円滑化を図り、信頼関係を築いて
いく「育成面談制度」を実施します。
2.3
昇格・昇任
(1)評価結果の昇格・昇任への活用
人事評価の結果を昇格・昇任へ活用することにより、能力開発の動機付けとしていくことを検
討します。
一方で、管理・監督者(主査級~参事級)の職にあると、リーダーとしての適性、家庭的事情、
身体的事由等により、リーダーとしての職についていることに対して、ストレスを強く感じ、事
務の低下、職場の活力の低下につながることもありえます。このような役職者を対象に、本人の
希望により、現在就いている職を降任することを承認することで、職務に対する意欲を再度引き
出し、ひいては職場の活性化を図ることを目的として「管理・監督者の希望降任制度」の導入に
ついて検討していきます。
(2)女性の管理職への登用
性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現
に向け、様々な取組が進められています。性別にとらわれることなく能力や成果に基づく公正な
評価を行い、その結果を有効に活用することは、活力ある職場づくりのために大変重要です。
女性を積極的に管理職に登用することは、女性のやる気を引き出すきっかけとなるばかりでな
く、職場全体の活性化にもつながります。女性の管理職への登用や職域拡大のため積極的な取組を
行い、男女が共同して参画することのできる職場づくりを進めます。
2.4
給与制度
人材育成を柱とする人事制度の見直しの一環として、給与制度における昇給や勤勉手当について、
人事評価の結果を活用し職責・能力・業績に応じたものにしていきます。
14
3
研修制度の構築
地方公務員法第 39 条第 12 項は、「職員には、その勤務能率の発揮及び増進のために、研修を
受ける機会が与えられなければならない。」と規定しています。このことは、職員には研修を受け
る権利があることと同時に、研修に積極的に参加することで、自らの能力を常に高めていく義務
があるということでもあります。
職員は、“求める職員像”となるために、積極的に研修の機会を活用し、その能力開発に努めな
ければなりません。
職員の能力開発の具体的手法である「研修」には、「研修の3本柱」と呼ばれる次の3つがあり
ます。
①
職場において、上司・先輩等が仕事を通じて行う職場研修(OJT)
②
日常の職場を離れた所で実施する職場外研修(Off‐JT)
③
職員自身が公務員としての自覚に基づいて自発的に取り組む自己啓発
一般に「研修」というと、職場外研修が中心というイメージが定着しています。
しかしながら、職場外研修のみですべての能力開発が行われるわけではありません。自己啓発、
職場研修のそれぞれの特徴を生かして、目指す能力獲得目標に応じた最も効果的な手法を選択し
ていくことが必要です。
3.1
職場研修(OJT)
職場研修(OJT:On the Job Training)とは、職場において上司・先輩等が仕事を通して、ま
た、仕事に関連させながら部下を育成・指導するものです。
職場研修は、日常的な職務に直結し、職員個人の特性に応じたきめ細やかな個別指導が可能で
あるとともに、特別な経費を必要としないことから、能力開発においては、極めて有効な手法で
す。仕事を進める過程そのものが人材育成であるということができます。
町では、職場研修を研修の重要な要素と位置づけ、職場外研修とともに一層の充実を図ってい
きます。
日常の業務を通じて行う職場研修は研修の中心であり、管理・監督者の責任でもあります。効
果的な職場研修が実施できるよう、管理・監督者に対して職場研修に関する研修を実施します。
また、育成面談(前述)の実施や OJT マニュアルの整備等、OJT を推進するための基盤をつく
ります。
15
3.2
職場外研修(Off‐JT)
職場外研修(Off‐JT:Off the Job Training)とは、本来の職務から離れて講義を受けて知識
を習得したり、討議等によって考え方を深めたりするもので、集合研修ともいい、自己啓発や職
場研修とともに能力開発における重要な手法です。また、知識・技術を一定期間、集中的かつ体
系的に学習する効果があり、更に、他職場や他の地方公共団体などの職員との人的ネットワーク
の形成の場として、互いに意識啓発し合う機会となります。
職場外研修は、先に述べたとおり、職員の間にかなりの定着をみているところですが、今後は、
職場や職員が求めている能力を育成するための研修ニーズを把握し、時代の変化に即応した効果
的な研修となるよう、また、一方的に与える研修から職員自身が参画していく研修とするよう、
研修の目的や内容を常に検討していきます。
(1)職員の能力向上のための内部研修の充実
富士川町「人材育成基本方針」のテーマである町民の視点に立って、職務を遂行する「信頼さ
れる職員」・困難な課題に積極的に取り組む「チャレンジする職員」・常に成果とスピードを重視
する「コスト意識を持った職員」は、まちづくりを力強く牽引していく知識とパワーを有する職
員を表しています。
この実現に向けて、富士川町のプロフェッショナル職員としての能力要件となる、コミュニケ
ーション能力、問題発見・解決能力、政策形成能力等を中心として町独自の研修を実施していき
ます。
(2)高度・専門的な研修への派遣
高度・専門的な能力等の向上を図るため、山梨県市町村職員研修所、市町村職員中央研修所(市
町村アカデミー)、全国市町村国際文化研修所(国際文化アカデミー)自治大学校への派遣研修を
進めます。
(3)人事交流、県等への派遣研修の推進
高度な異体験の場を提供することを通じて、視野の拡大、専門的知識の習得、政策形成能力の
向上を目指します。このため、県等との人事交流や派遣研修を引き続き実施します。
16
(4)その他研修の充実
その他、職員の一般能力を開発するため、職員参加型研修など時々のニーズに応じた研修につ
いても積極的に計画、実施していきます。
3.3
自己啓発
自己啓発とは、職員が自分の時間と費用により、自己の能力開発について主体的に取り組むこ
とです。能力開発においては、職員一人ひとりの能力向上に対する意欲と主体性が重要であるこ
とから、自己啓発は人材育成の基本的な手法となります。
また、公務員としての職務を果たす上で、自らの能力を十分に発揮するために常日ごろから継
続的に自己啓発を行い、自らの人材資源としての価値を高めていくことは町民の視点に立って、
職務を遂行する「信頼される職員」・困難な課題に積極的に取り組む「チャレンジする職員」・常
に成果とスピードを重視する「コスト意識を持った職員」としての、当然の責務であるというこ
とができます。日常の業務を遂行することができれば、特に自己啓発を行う必要性がないのでは
なく、常に自己の能力を最大限に引き出すための努力をするのが望ましいと考えられます。
職員の主体的な自己啓発への取り組みを推進するためには、組織的な支援が必要であり、これ
らをより充実させるとともに、今後は、自己啓発を促進するためのきっかけづくりや自己啓発に
取り組みやすい職場環境づくりを醸成していかなければなりません。
(1)自主研究活動の支援
職員同士の自主研究グループに対して助成金を支給する制度が導入されています。
さらに、自主研究グループ等による活動の成果について、得られた研究成果・ノウハウなどを
全職員と共有させるなど、職場への具体的な波及効果を検討していきます。
(2)その他自己啓発促進のための支援
職員が自己啓発しやすい環境を整備するため、さまざまな角度からの支援について検討してい
きます。
17
4
職場づくりの推進
人材育成の基本は、職員一人ひとりの主体的取り組みが基本ですが、その主体的取り組みを醸
成していくのは、職場です。仕事を通じた人材育成・能力開発が行われるとともに、働くことが
楽しくなるような明るい職場を形成し、一人ひとりのやる気を高めるような環境を創り上げてい
くことが、人材育成・能力開発を進めるうえで、大きな柱となります。
「人を育て、やる気と活力を生み出す職場づくり」を全庁的な取組課題として推進していきま
す。
4.1
管理職による職場づくりとその支援
職場において学習的風土を醸成するためには、職場をあずかる管理職の理解と支援が重要とな
ります。管理職は「学習的職場づくり」を自分の責務として、次のような役割認識を持つことが
必要となります。また、そのような機能・役割を発揮しやすくするため、人事担当部門において
支援策を講じます。
① 管理職の役割
・ 管理職自ら率先して自己啓発に励む
・ 職員の自己啓発を積極的に奨励する
・ 職員が研修に参加しやすい風土づくりに努める
・ 担当職務についての情報共有化と専門性の向上に職場ぐるみで取り組む
・ 仕事上の議論が活発に行われるような職場環境整備に努める
・ 職員に「求める職員像実現のための行動指針(図表2参照)」を機会あるごとに確認さ
せる
② 人事担当部門の役割
・
管理職研修を実施する
・ 上司と部下の育成面談による指導の仕組みを取り入れる
・ 「部下の育成」を人事評価の要素の一つとして取り入れる
4.2
職場改善意識の醸成
職場改善及びそのための改善改革意識の醸成を目的として、職員による積極的な改善提案を促
進させていきます。
18
4.3
相談体制の充実
個人の価値観の多様化に伴い、様々な支援や相談の受け皿が必要になってきました。
自己啓発、キャリアデザイン(人生設計)ばかりではなく、人事制度全般やセクシャル・ハラ
スメント、パワー・ハラスメント、心の健康など不安に思っていること等についての相談体制を
整えていきます。メンタルヘルス等の正しい知識の普及に努め、心の病の予防と発病時の的確な
対応を図るとともに、長期休職者の職場復帰に向けたサポート体制の充実に努めます。
5
トータル人事制度の施策体系
トータル人事制度は、町の求める職員像である町民の視点に立って職務を遂行する「信頼され
る職員」・困難な課題に積極的に取り組む「チャレンジする職員」・常に成果とスピードを重視す
る「コスト意識を持った職員」を具現化するために、人事制度、研修制度、職場づくりのそれぞ
れの施策を有機的に組み合わせることにより、職員に対し、その採用から、退職までのさまざま
な状況変化に応じて、必要かつ十分な能力開発の支援策を講じることを目指しています。
19
第4章 人材育成実施計画
町における人材育成、能力開発の仕組みを構築し、実施していくため具体的な取り組みについ
ては、計画期間を平成 23 年度から平成 27 年度までの 5 か年間とし、順次実施していきます。な
お、計画は、実施状況やその他の環境要因の動向等を踏まえ、必要に応じ見直しを図るものとし
ます。
図表 8 人材育成実施計画
制
度
実施項目
職員の採用方法
等
ジョブ・ローテーシ
ョン制度
複線型人事制度
平成 24 年度
平成 25 年度
検討
(試行)
実施
検討
人事制度
試行
(一部実施)
目標による管理
制度
育成面談制度
試行
(一部実施)
試行
実施
昇任・昇格
検討
試行
女性管理職の登
用
職 場 研 修 (OJT))
充実
検討
実施
検討、試行
試行
実施
検討、試行
試行
実施
検討、試行
試行
実施
検討、試行
試行
実施
検討、試行
試行
実施
検討、試行
試行
実施
検討、試行
試行
実施
研修制度
職場づくり
その他研修の充
実
自主研究活動支
援
その他自己啓発
支援
管理職への職場
づくり支援
職場改善意識の
醸成
相談体制の充実
平成 28 年度
実施
実施
実施
検討
実施
検討
実施
上記の実施項目は、相互に連動させ、トータル人事制度として運用していきます。
20
計画の見直し/新計画による運用
試行
派遣研修の充実
平成 27 年度
研究
検討
高度・専門研修の
充実
平成 26 年度
試行
自己申告
人事情報
人事評価制度
内部研修の充実
*
平成 23 年度
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