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1 活動の背景 2 活動の経緯と目的 3 活動の内容および成果 4 今後の
東京都港区における「まちづくりワークショップ」を 通したまちづくりの展開に向けた調査 調査報告書 平成16年3月 特定非営利活動法人 まちづくり港会 目次 1)活動の背景 1)-1. 1 東京都港区における「まちづくりワークショップ」を 通したまちづくりの展開に向けた調査 2)活動の経緯と目的 2)-1. 1 2 全5回のワークショップ 3)活動の成果と内容 2 8 3)-1. 報告書作成にあたって 8 3)-2. 大規模プロジェクトと周辺の密集市街地との関係に関して 9 3)-3. 港区臨海部エリアの土地利用転換・高度利用開発の進展と 後背の市街地の関係(風の道・緑の帯づくり・国公有地跡地の活用) 15 3)-4. 調査をしよう・・・・・次の一歩を踏み出す為に 22 3)-5. 一つ目駅散策ルートづくり 24 3)-6. 古川の橋を巡る 27 3)-7. 寺を生かしたまちづくり 30 3)-8. マイクロ総合設計の提案―まちづくりを誘導するインセンティブの創出 33 3)-9. 港区のまちづくりを海外の先行事例から読む 36 4)今後の展開 4)-1. 39 ワークショップからみる今後の展開 5)活動のポイント 39 40 5)-1. 人材の紹介「港区とわたし」 40 5)-2. 特定非営利活動法人 まちづくの港会会員所在地マップ 44 5)-3. 特定非営利活動法人 まちづくり港会のネットワーク 45 5)-4. その他 46 1)活動の背景 1)-1. 東京都港区における「まちづくりワークショップ」を通した まちづくりの展開に向けた調査 特定非営利活動法人 まちづくり港会 の前身 本組織は、東京建築士会港支部「港会」での数年にわたる、港区内のまち歩き、まち づくりに関する勉強会など、港区を対象とした活動を重ねてきた。そこで培ったまちづ くりに関する経験や情報の蓄積を継承しながら、まちづくり活動を行ってきている。本 調査を実施するにあたって、平成16年12月より平成17年3月まで5回のワークシ ョップを開催し、調査の方針や具体的な作業についての議論を行うこととした。 ワークショップの位置づけ 特定非営利活動法人まちづくり港会は、東京都港区内に居住あるいは勤務する(一部 の会員は元居住者・在勤者)建築設計や都市計画の専門家からなり、港区に対して愛着 も強く持っている会員で構成された組織である。そのため今回のワークショップは、専 門家であるとともに、港区内における生活者の視線で、自宅や勤務先の周辺などの身近 な生活環境を中心とした、区内の現状や歴史・文化について把握するには適切な活動で あると判断し、実施することとしたものである。ワークショップのメンバー構成は、学 生から定年を間近に控えたシルバー世代まで幅広い年齢層から成り、女性も参加するな どバランスのとれたものとなった。このようなメンバーが、身近な生活環境を通して実 感のこもった情報を持ち寄り、それを分析しながら将来の港区のあり方について検討す るワークショップの実施そのものも今回の調査における収穫のひとつであると考えて いる。 まず一生活者の立場からまちを観察し、そこに存在する魅力や問題を把握することで、 将来のあり方について検討する。次にそれを元にして、専門家としての能力を発揮し、 収集した情報を分析して提案をまとめていく。つまりこのワークショップでは、市民参 加のワークショップのように多様な視点に基づく多様な意見から提案が形づくられる ので、無理に一つの提案に収束させようとするものではない。生活者と専門家の視点を 併せ持つ、多様な立場の会員が持ち寄った多様な提案としてまとめあげることを目指し ているものである。 -1- 1) 活動の背景 2)活動の経緯と目的 2)-1. 5 回のワークショップ 本調査は、今後の住まい・まちづくり活動の方向性やその活動に対する支援のあり方 等について検討するために必要な情報・知見を収集することを目的に、具体的な活動を 実施するとともに、その活動の概要や活動を通して得られる情報・知見を整理したもの である。活動の経緯は、下図のとおり各ワークショップにおける議論やまとめを、各メ ンバーがそれらを消化吸収することで調査の方向性を決め、各自の成果を導きだした。 -2- 2) 活動の経緯と目的 港区の良いところと悪いところを探そう 第1回ワークショップ 【日 時】平成16年12月26日(日) 13:30∼16:00 【場 所】芝浦工業大学 【参加者】 一糸左近、鎌田隆英、黒木正郎、児島正剛小宮文雄、 佐藤一志、澤田初穂、柴田淳一郎、志村秀明、綱川智 久、難波匡甫、野村一雄、三井所清典、若狭谷ちどり (五十音順) 【学生】 池田和臣、加治瑠美、斉藤有里恵、佐々木俊太 【参加人数】 計17名 【内 容】 ○ワークショップの趣旨説明(黒木) ○参加者による自己紹介 ○ワークショップ ・進め方について(黒木) ・3チームに分かれての意見交換*別紙参照 ・各チームの発表(志村、難波、柴田) ○ワークショップを通しての意見交換 ・WS、NPO活動のあり方について 意見交換の風景 チームの発表風景 ワークショップの結果 A班 B班 C班 黒木・一糸・若狭谷・志村・斉藤 難波・野村・三井所・綱川・児島・ 加治・佐々木 柴田・佐藤・鎌田・小宮・澤田・ 池田 既成市街地と再開発の話題 が多く出されていた。しかし、 人々がつくりだす生活に関す る話題は少なく、大部分は景観 の美しさをどう作り出してい くのかという意見が多かった。 NPO 団体港会としての活動の 方向性の話題では、はっきりと した活動の内容は出されなか った。しかし、行政や住民をう まく巻き込んでどう活動する か。活動の成果をどのように蓄 積して、信頼を得るかを更に考 えてはいかなくてはいけない と確信できたと思う。 江戸からの文脈/地域区分/ まちとしての課題/歩く/住 民の生活を知る/という5つ の観点から意見交換を行った。 特に、「道」という概念に着目 し、老若男女、港区内外、など 立場の違う人々がどのような 「道」を使っているのだろうか というところに関心が集まっ た。 港会としては、港区に点在す るスポット的な魅力的な街を、 如何に道として繋げるかとい うことをテーマとしてはどう かと考えた。 まずは確認作業から入る。港会 主旨の確認/港区地域資源の 確認/ネットワークの確認/ 時代の流れ(都心回帰)の確認 /各まちづくりの確認/とい う形に分類できた。 NPO 港会としては、地域コミュ ニティを助け、住民の意見を反 映できるよう行政とのコーデ ィネート、ルール作りに尽力し てはどうかなどという意見が 出た。また、マンション開発に 対する地域との調和の問題に も積極的に取り組まなければ ならないとの意見も挙がった まとめ 協働者の輪を広げる/開かれた議論/港区役所の把握と今後/住民ニーズへの理解/まちづくりマス タープランについて/まちづくり港会の方向性/という大きなテーマの抽出に成功した。これらのテー マを踏まえ、NPO まちづくり港会としての、今後の具体的な活動へと展開していく。 -3- 2) 活動の経緯と目的 開発と開発の谷間のまちづくりを考えよう! 第2回ワークショップ 【日時】 :平成17年1月8日(土) 14:30∼16:30 【場所】 :芝浦工業大学 【参加者】計 18 名 一糸左近、今村芳恵、岩下憲夫、鎌田隆英、黒 木正郎、小宮文雄、佐藤一志、澤田初穂、柴田 淳一郎、志村秀明、綱川智久、難波匡甫、野村 一雄、 (五十音順) 【学生】 池田和臣、加治瑠美、 黒嶋、斉藤有里恵、佐々木俊太(五十音順) 【内容】 : ○H&C財団の助成に対する応募について(綱川) ○今回のワークショップの趣旨について(黒木) ・「こんな街」に対して「こういった解決方法」を といった具体的な方針について議論 ・開発の谷間のまちづくりをどう考えるか ○前回と同様、3班に分かれてワークショップ ○各班から話し合った内容の発表 (別紙参照) ○発表について ・ 「ネットワーク」といった考え方が各班に共通し ていて、今後の活動のキーワードとなるのでは ・今回のWSで活動の大まかな方向が感じられ、 時間をかけて積み重ねていきたい ワークショップの結果 A班 B班 黒木・今村・・志村・斉藤・黒嶋 難波・野村・綱川・加治・佐々木 柴田・佐藤・鎌田・小宮・澤田・ 池田 港会の活動内容について/ 港区の問題点の抽出/魅力の 抽出という3つのテーマにつ いて話し合った。 特に「まちづくり単位」「マ スタープランへの調査資料」な どを引き続き検討したらどう かという意見や、港区の問題点 を市民レベルで考えると何が あるのか等の議論に及んだ。 具体的な調査方法として、屋形 船、和船を出して調査/連続写 真を撮る/文献調査/歴史を 読み解く/模型を作成/など があがった。 「再開発とは異なる価値観 を」というテーマに沿って議論 が進んだ。 現在のスポット的資源の孤 立状況を把握し、谷間地区のま ちづくりで必要とされる要素 を、戦略的にネットワークに取 り込むことで、様々な課題に関 わるきっかけづくりができる。 この方法は住民や商店街、行政 の各分野を横断する手法とも 考えられ、自然なかたちで協働 するまちづくりを進めること が可能ではないだろうか 現在の開発は、民間主導のみで 行政の誘導がみられない ⇒開発の谷間は視野にない 港区開発における「付帯制度」 の整備が重要なのではないか。 ⇒港区のまちづくりの上位方 針に何をもってくるか 街の見え方をチェックするポ イントを設ける ⇒景観上の開発規制 港区のポテンシャルを考える と厳しい条例・条件を付けても 開発したい業者は多い ⇒都心だからこそのルールづ くりが考えられるのでは? C班 まとめ ○ネットワークがキーワード ○賃料の高さと街の魅力とは別(経済性と居住環境)⇒業者は賃料で開発する ○港区をスポットで見ているようでは、日本人の海外旅行と変わらない ○再開発を一時的な外資系企業の投資のように考えていてはダメである ○NPO まちづくり港会の評価は【住民が如何に動いたか】で決まるのでは? ⇒具体的な事実・体験談に裏打ちされた意見提案を!! -4- 2) 活動の経緯と目的 港区における個人の興味を共有しよう! 第3回ワークショップ 【日時】 :平成17年1月29日(土) 14:30∼16:30 【場所】 :芝浦工業大学 【参加者】 計 17 名 秋元徹、一糸左近、今村芳恵、鎌田隆英、黒木正郎、児島正 剛、小宮文雄、澤田初穂、鹿倉祐一、志村秀明、綱川智久、 中村仁、難波匡甫、野村一雄、原田敬美(五十音順) 学生 池田和臣、佐々木俊太 記録:難波 【概要】 ●港区まちづくりマスタープラン検討委員会について(綱川、 志村) ●H&C財団の調査報告書について(綱川、澤田) ・調査項目…①面的開発以外のネットワークについて、② 臨海および高輪地域の環境面からの整備について、③麻 布、白金地域のまちづくりについて ●次回ワークショップでの宿題 各人が今後まちづくり港会で ●発表及び議論 ・今回のワークショップの趣旨について(黒木) ・宿題となっていた、町の人へのインタビュー、残したいとお もう風景、歩いて発見したすごくいいものなどについての発 行いたい調査、行ったらいいの ではと考える調査についての 成果などを、A4で4∼5枚程 度にまとめて提出。 表(各人) ・発表に関連しての議論(各人) ワークショップのまとめ 難波:魚藍坂商店街へのヒアリング報告 澤田:港区在勤の医師へのヒアリング報告 鎌田:過去から受け継いだ価値ある財産の計画的有効利用 岩下:ネットワークの検討は、その範囲/活動内容が重要。港区らしさ。(黒木代弁) 黒木:古川散策についての報告。景観法の成立を追い風に!! 野村:歩行者ネットワークについて。標識(サイン)の重要性。児童公園の活用。 鹿倉:港区は名前の通り臨海部に親しむまちづくりが有効 今村:歴史性を意識したまちづくりが重要。東京タワーの見え方にも注目。 志村:地域コミュニティーや町内会から、市民活動組織や NPO にも注目していく必要がある。 -5- 2) 活動の経緯と目的 個人の興味とそれに対して出来ることを模索しよう 第4回ワークショップ 【日時】 :平成17年2月19日(土) 10:00∼12:00 【場所】 :芝浦工業大学 【参加者】計 17 名 岩下憲夫、鎌田隆英、黒木正郎、児島正剛、 小宮文雄、澤田初穂、鹿倉祐一、柴田淳一郎、 志村秀明、綱川智久、中村仁、難波匡甫、野村 一雄(五十音順) 【学生】 池田和臣、斉藤有里恵、佐々木俊太、 明神弘幸(五十音順) 記録:難波 ワークショップのまとめ 【概要】 □港区まちづくりマスタープラン検討委員会に ついて(綱川) □提案内容の発表(各自が作成したメモ説明) ○柴田−事例調査、区民の意識調査 ○鎌田−港区の地形的な特徴を生かしたまちづ くりのゾーニング →台地:50cm の公用権、緑の条例、安全な 居住環境、生活広場の設置 →歴史的遺構:寺院を核としたまちづくり(維 持管理、通り抜け、生態環境)、歴史的に意味 の深い道の活用 →麻布・白金台:丘と海を結ぶ(風の通り道、 海が見える景観の確保、鉄道・高速道路・幹 線道路による分断の解消) ○岩下−まちのルール、マナーを考える →良好な景観の把握(会員、港区民へのアン ケート、文献調査) →歩行ルートマップの作成 ○中村−マイクロ総合設計手法(戸建対応のイ ンセンティブ創出) ○児島−海外の先行事例から港区のまちづくり を考える(パリ16区、テムズ川南岸) →江戸から東京までの歴史的な経緯を再確認 した住宅環境 →外国人生活者のまちづくりへの参加 ○池田、佐々木、加治、斉藤−港区の中間組織 と協働事業の関係に着目した都心におけるパ ートナーシップ型まちづくり手法に関する方 法(研究報告) →まちづくり港会が広く地元の方々と協働す ることは重要 ○野村−観光と視野に入れたルートマップ作成 →各地下鉄駅を起点とし、高低差も楽し め、生態系環境も考慮するルート →地元商店街の魅力アップ →古川、芝浦運河を活用したルート →ルートマップ、サイン、案内所の工夫 ○澤田−芝浦地区(開発動向の把握、課題抽出 →風の道、緑化、水辺の活用)、 白金地区(開発内容と周辺地域の情報収集、 密集市街地の法・制度的解決の方向性) 白金台・麻布台−地域課題の把握、大規模国 公有地物件予定地の活用法の提案 ○難波−一つ目駅ルートづくり(散策ルート、 協働まちづくり手法としての活用) ○鹿倉−観光としての歩行者道の整備(メイン 歩道、自転車道の整備、サインの整備、 ○沿道景観の整備、地域の歩道と公園の一体感 -6- 2) 活動の経緯と目的 具体的に今 NPO として何をするべきかまとめよう! 第5回ワークショップ 【日時】 :平成17年3月5日(土) 10:00∼12:00 【場所】 :芝浦工業大学 【参加者】計 16名 岩下憲夫、鎌田隆英、黒木正郎、佐藤一志、澤 田初穂、鹿倉祐一、柴田淳一郎、 志村秀明、綱川智久、中村仁、難波匡甫、野村 一雄、三井所清典(五十音順) 【学生】 池田和臣、佐々木俊太、明神弘幸 記録:難波 える。 ワークショップのまとめ ●報告書作成、総会・理事会開催について(綱 川) →都市臭、騒音、装飾といったネガティブな要 因に対して、会として取組むことは今後の 活動となる。 ●提案内容発表(各自作成したメモをもとに説 明) ① 難波−Ⅰ-2、Ⅱ-3をまとめる。ルートの提案は 地元と協働するきっかけづくり。 岩下−まちのルール・マナー及び事業につ ながる調査。その調査を通じ、会の性格の 方向がさだまり、活動が具体化することを 考えている。 ② 池田−パートナーシップ形成の経緯、しく みも明らかにする。 ③ 中村−マイクロ総合設計は審査・アドバイ スのシステムまでも含めた提案とする。 鎌田−Ⅰ-3、Ⅲ-2をまとめ、3項目の構成。 →幕張で屋上を第5のファサードとしてが、高 層からの視点も考慮した甍の風景を考えてはど うか。 →寺の開放性は、管理との兼ね合いがあり、タ ウンマネジメントといった視点が必要となるだ ろう。植林により地域がその木の管理を行うと いった取り組みがあり、活動を進めると独自の マネジメント的な知恵や工夫がなされると考え られる。活動はオリジナルの取り組みが大切と なるとともに、事業に展開するといったことも 考えていくことが重要である。 ④⑤澤田−Ⅴ-4、Ⅵ-1をまとめる。Ⅵ-2はま だ未検討。Ⅱ-1は時間的に実施は無理。 →港南の人口予測は難しい。水門のデザイ ンまでも検討していただきたい。 ⑥⑦黒木−古川の流れの方向が異なることによ る環境の違いにも着目する。元麻布ヒルズ をあえて取り上げ、公開空地のあり方を考 →週刊新潮のゴミ記事は、まちのルール、マナ ーを考える材料になると思う。 -7- 2) 活動の経緯と目的 3)活動の成果と内容 3)-1. 報告書作成にあたって 近年、港区においては都市の高度利用が推進され、行政や民間デベロッパー主導の トップダウン的なまちづくりが行われてきた。しかし、今後は住民/中間組織/行政 がパートナーシップを形成して行うまちづくりが必要であり、その中でも特に、中間 組織であるNPO/ボランティア等が担える役割を明らかにすることが基礎的課題で ある(調査報告 「都心におけるパートナーシップ型まちづくりの手法に関する研究」 を参照)。 本報告書の作成にあたっては、一連のワークショップを通し、会員が設定した各々 のテーマにもとづいて調査/分析を行い、今後の住まい/まちづくり活動の方向性や その活動に対する支援のあり方等について検討することを目的とし、その成果をもっ てまちづくりの場におけるNPOの役割/可能性についてとりまとめることとする。 -8- 3) 活動の成果と内容 3)-2. 大規模プロジェクトと周辺の密集市街地との関係に関して ここでは白金一丁目・三丁目大規模開発と課題性を有する既成市街地との関係を例 に取り、港区で行われている各種開発の谷間にある密集地区の今後のあり方について 検討を加え提案を行う。 1. 不燃化率【昭和61年から変化が見られない】 1-1. 白金一丁目・三丁目不燃化率の推移 白金一・三丁目 ○不燃化率が0∼40%と低い ○昭和61年より変化が見られない 1-2. 接道不適格建物分布図 再開発開発地区 出典 白金一・三丁目街づくり推進支援調査報告書より -9- 3) 活動の成果と内容 1-3. 白金 1 丁目東地区第一種市街地再開発事業 南北線 白金高輪駅 南北線 白金高輪駅 - 10 - 3) 活動の成果と内容 1-4. 街並みの様子 ・白金商店街の様子 ・古川の様子。上部は高速目黒線。 ・桜田通りの様子。 白金1丁目再 開発 ・白金1丁目再開発隣接部の様子 。 ・大規模開発と密集市街 地の環境の落差 ○ ・行き止まり道路 - 11 - 3) 活動の成果と内容 2. 密集市街地の法・制度的解決の方向性 2-1. 密集市街地をめぐる現状 ・未接道・接道不良の宅地を解消し、防災性の向上・居住環境の向上を図る。 ・土地の買収による道路整備は困難 1関係権利者の調整は困難 2当該地方自治体の財政難 2-2. 密集市街地の法・制度的解決の方向性(案) 【現行法制度と建替の連担について】 1.密集市街地においては、狭小宅地が連担している現状をどう打開していくかが鍵で ある。 2.建築基準法における幅員4mの道路に接しなくても、街区レベルでの防災性の向上 に寄与する建替えは認めていって良いのではないか。例えば、建物の不燃化(準耐火) を条件に4m道路に接道しなくてもいい街区制度を港区独自に設け、そこに接地性の 高い小規模住宅を整備し、現実的な零細地権者対策を図る。 2-3. (仮称)港区独自の「地区防災認定街区」案の策定 (街区単位での建替え規制のルールづくり) ・道路、未接道宅地、種地(区有地等)を含む一定の街区を(仮称)地区防災認定街 区とし、合意(ゆるやかな強制力)に基づいた個別の建替えを行うことにより、街区 レベルでの防災性・住環境の向上を図る。 ・当該街区における建替えの認定基準・ガイドラインを、港区の立地特性を勘案し、 以下のように例示し、モデルケースを示す。 - 12 - 3) 活動の成果と内容 3. (仮称)「港区地区防災認定街区」の提案 (街区単位での建替え規制のルールづくりのスタディー) 道路、未接道宅地、種地(区有地等)を含む一定の街区を(仮称)地区防災認定街区 とし、合意(ゆるやかな強制力)に基づいた個別の建替えを行うことにより、街区レ ベルでの防災性・住環境の向上を図る。 当該街区における建替えの認定基準・ガイドラインを、港区の立地特性を勘案し、例 えば以下のように例示し、モデルケースを示す。 3-1. 地区防災認定街区 認定基準(仮) ■地区防災認定街区 認定基準(仮) (A) 街区外周部の 6 m未満の道路に接道する宅地 :建替えに際し、道路中心線から 3 mセットバック(6 m道路の整備)→建蔽率 +20% (B) 街区外周部の 6 m以上の道路に接道する宅地 :建替えに際し、背面線(宅地裏側)を 2 mセットバックし、歩道状空地として提供する。 →建蔽率 +20%(最高を 90%とする) (C) 未接道の宅地(①∼②を選択) : ①敷地の 10 %以上を歩道状空地として提供→未接道のまま個別建替え を行ってよいものとする。 ②共有空地および敷地の 10%以上を歩道状空地として提供→未接道のまま、 隣接する宅地との共 同建替え・協調建替えを行ってよいものとする。 (D)街区内の全ての建築物を耐火建築物もしくは準耐火建築物とする。 (E)開口部の位置等の防災上のガイドラインを街区内で定める。 (F)その他の公法規制は通常通り宅地単体で適用される。 (G)目標達成年数を 25 年とする。 6m未満の道路に接道 6m以上の道路に接道 2項道路に接道 未接道 - 13 - 3) 活動の成果と内容 ■(仮称)地区防災認定街区 整備目標モデルケース 1/500 (C)②歩道状空地 ・共有空地の 提供により共同建替えを行う 歩道状空地 (幅員 2 m) は 街区連合体により管理される タウンハウス 共有空地 (A)建替えに際し中心線より 3 m セットバックする(建蔽率 80 %) (C)①歩道状空地の提供により 共同建替えを行う (B)建替えに際し背面線を セットバックし 2 mの歩道状空地を整備 (建蔽率 80 %) 3-2. 認定基準=【住民・地方自治体・専門家集団】で協同作成 耐火建築物 緑地(共有空地) 路地 (歩道状空地) 6m道路 公開 空地 このような地区の特性を反映した認定基準を、住民 が発意主体となって、地方自治体・コンサルタントと の協同で作成し、これを第三者機関が認定することに より、街区に適用していく。 街区単位のゆるやかなコミュニティの連合・ゆるや 新規開発と 連携した空間づくり かな強制力により、それぞれの個別の建替えという 長期の計画の中で、適用された認定基準を実行して 公開空地 いく。上記のような街区単位の整備が地区の中で連 公開 空地 鎖していくことで、地域全体の防災性・住環境の向 上が図られる また、住民がこのようなシステムに理解を深め、認定基準というルールの中で街区レ ベルでの目標像を定める手段として、建替えデザインゲームが有効なツールとして活 用できる。 新規開発 - 14 - 3) 活動の成果と内容 3)-3 港区臨海部エリアの土地利用転換・高度利用開発の進展と後背の市街地 の関係 (風の道・緑の帯づくり・国公有地跡地の活用) 港区は芝地区、麻布地区、赤坂地区、高輪地区、芝浦・港南地区の 5 つの支所に区 分して、行政サービスが行われている、臨海部は主として芝浦・港南地区に属する。 これを前提として臨海部の空間把握及び港区の今後の環境のありかたの検討を行う。 1. 港区臨海部エリアの基礎街並み情報の整理 地区別人口の推移 (人) 60,000 元赤坂1 元赤坂2 赤坂地区 赤坂4 赤坂3 北青山1 赤坂7 北青山2 赤坂5 赤坂2 赤坂8 南青山2 赤坂1 虎ノ門2 虎ノ門1 西新橋1 赤坂6 南青山1 50,000 新橋1 六本木2 赤坂9 新橋2 南青山3 西新橋2 虎ノ門3 新橋3 六本木1 北青山3 愛宕1 六本木4 虎ノ門4 南青山4 新橋4 六本木7 西新橋3 東新橋1 新橋5 六本木3 愛宕2 南青山5 虎ノ門5 新橋6 東新橋2 麻布台1 西麻布2 西麻布1 麻布台3 芝公園3 南青山6 六本木6 六本木5 麻布狸穴町 芝大門1 麻布永坂町 麻布台2 南青山7 西麻布4 西麻布3 芝公園1 浜松町1 東麻布3 東麻布2 元麻布3 麻布十番1 芝公園4 東麻布1 芝大門2 海岸1 麻布十番2 芝公園2 浜松町2 元麻布2 元麻布1 麻布十番4 三田1 南麻布5 麻布十番3 芝3 芝2 芝1 南麻布1 三田2 南麻布4 南麻布3 海岸2 芝4 南麻布2 芝5 芝浦1 40,000 芝地区 20,000 麻布地区 三田5 白金5 白金3 白金1 三田4 白金6 白金4 芝浦3 三田3 10,000 芝浦・港南地区 芝浦2 白金2 海岸3 高輪1 白金台5 0 芝浦4 白金台4 白金台1 昭 昭 平 平 和 和 成 成 6 6 元 2 2 3 年 年 年 年 高輪2 白金台3 白金台2 高輪3 港南1 港南3 港南5 高輪地区 港南2 平 平 平 平 平 平 平 平 平 平 平 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 9 1 1 1 1 3 4 5 6 7 8 年 年 年 年 年 年 年 0 1 2 3 年 年 年 年 平 平 成 成 1 1 4 5 年 年 台場1 港南4 台場2 高輪4 1-1. 芝地区 麻布地区 赤坂地区 高輪地区 芝浦・港南地区 30,000 人口の推移 (1)地区別人口の推移 【各地区とも近年は増加傾向】 1-2. 土地利用の推移 1-2-1.工業用地率 【芝浦・港南では非工業用途に土地利用転換が進んでいる】 ・土地利用動向を見ると、平成8年をピークに芝浦・港南地区で増加したものの、平 成13年には一部では減少しはじめ非工業用途に土地利用転換が進んでいる様子が分 かる。 凡例 芝浦・港南地区 平成8年 30以上 20∼30 10∼20 5∼10 0∼5 (%) 芝浦・港南地区 平成13年 - 15 - 3) 活動の成果と内容 1-3. 芝浦・港南地区の現況特性 従来、工業用途や港湾用途の土地利用が多くを占めていた芝浦・港南地区は現在、 街並みの変革期にあると考えられる。土地利用の側面からは業務・住宅系の床用途が 増大し、逆に工業用地率は減少している。嘗て存在した大規模工場用地が土地利用転 換により高度利用した集合住宅地や業務用地に変化している状態であると理解できる。 2. 港区の(臨海部エリアを含む)高度利用開発の現状と将来計画 前述したように芝浦・港南地区の街並みは大きく変化していることが認識できたが、 ここでは具体 的に港区内に どのようなプ ロジェクトが 完成・進行・ 計画されてい るかについて 「港区の街づ くり事業概要 書」をベース に新に展開し ている街づく り要素を付加 し情報を図面 として左に示 す。 2-1. 港区全体 の街づくり取り 組み位置図 - 16 - 3) 活動の成果と内容 3. 芝浦・港南地区の高度利用型開発の連担とその課題 3-1. 後背の市街地の環境問題 芝浦・港南地区に目白押しに開発される超高層オフィスやマンション、このような 巨大ビル群が海からの風を妨げる壁となり、都市内陸部市街地のヒートアイランド現 象を悪化させる原因の一つとして注目される 出典:日経アーキテクチュア 2004.12 ・海側から見た芝浦・港南地区の景観 ・市街地側から見た芝浦・港南地区の景観 嘗て東京湾からは7から8月に都心に向けて頻繁に風が吹く現象が存在した。この 海風が都心に流れ込み、ヒートアイランド効果を軽減する役割を果たしてきた。超高 層ビル群による壁がこれをせきとめつつある。芝浦・港南地区の開発が無秩序に進展 した場合には、まさに超高層ビル群による壁が出来ることとなり、背後の市街地の都 市環境にさらに重大な影響を与えることとなり、対応策が講じられる必要がある。 東京の平均気温上昇の原因にはヒートアイランド現象を含む都市温暖化の傾向が顕 著に現れている。 平均気温 ℃ 緯度:北緯 35 度 41.2 分/経度:東経 18.0 139 経度:東経 139 度 45.9 分 17.5 大手町気象台・測候所 記録より作成 17.0 16.5 15.5 3-2. 「風の道」づくりの重 要性 15.0 「風の道」とは、ドイツのシ 16.0 ュトゥットガルト市の都市計画 14.0 で採用されたヒートアイランド 13.5 対策である。郊外から都市に吹 13.0 き込む風を造れば、郊外の低温 の空気によって澱みが解消され、 上空の低温の空気も降りてこられるようになって空気が循環するという構想の下、風 2003年 2001年 1999年 1997年 1995年 1993年 1991年 1989年 1987年 1985年 1983年 1981年 1979年 1977年 1975年 1973年 1971年 1969年 1967年 1965年 1963年 1961年 14.5 の通りを計算に入れたきめ細かな都市計画が立てられ、一定の成果を得ていることで、 注目を集めている。我が国においても都市の現状の気象状態の変化を勘案すると環境 改善の視点から「風の道」の計画立案が急務であると考える。港区においては海に面 している環境、運河や河川、多くの各種緑地を活用し「風の道」を計画することが開 発と環境作りの観点から必要である。 - 17 - 3) 活動の成果と内容 4. 芝浦・港南地区の土地利用転換・高度利用開発と既成市街地の環境形成 (港区の地勢・環境特性を 活かした「風の道」づくり による環境の改善 条件整 理) 凡例 30m∼ 20∼30m 10∼20m 古川 「風の道」づくりには水 辺や緑、地形、建物の建築 の状態が関連してくると考 えられる。ここでは港区の 上記の要素の状況について 整理を行い、計画の前提と する。 4-1. 「風の道」と谷筋 「風の道」は谷の存在が 重要な意味を持ってくる、 谷沿いの風の道を重視する。 4-2. 「風の道」と海、 運河、河川沿い、緑の空 間 「風の道」は海、運河、 河川沿いに通風するものと 考える。また、 「風の道」は 緑の空間と密接な関係を持 つものと考え、緑の空間を 経由するものと考えている。 そのほか、舗装されていな い教育施設のグラウンドや 比較的建物高の低い地区も 前提条件として位置づけた。 ■緑被地等分布図 出展:港区みどりの実態調査報告書(平成 14 年 3 月) - 18 - 3) 活動の成果と内容 5. 港区の「風の道」の提案 ここでは、芝浦・港南エリアを源とする具体的な「風の道」を構想し、背後の市街 地との環境ネットワークをつくり、都市の気候・環境問題解決のための提案を行う。 5-1. 「風の道」の具体的提案 5-1-1. 「風の道 1」 :東京湾-新芝運河-JR 操車場-高輪台海岸段丘沿いの緑の多い市街地-明治 学院大学構内-八芳園-東大医科学研究所病院構内-東京都白金職員住宅-国立自然教育園 (1)上記を実現するための課題 ・運河両岸の緑化帯形成の推進。 ・JR 操車場の開発が予定されているが、「風の道」を妨げない土地利用・建物配置計 画立案の必要性。(地区計画等を検討) ・高輪台海岸段丘沿いの緑の多い市街地の樹木保全。 高輪台海岸段丘沿いの中低層住宅地の形態・高さ制限の検討(地区計画等を検討) 白金台の緑の多い住宅地の環境保全。 「国立自然教育園」に隣接している東京都白金職員住宅跡地を港区の計画通りに公園 にすることを前提とする。 東大医科学研究所病院に隣接して売却が予定されている国立公衆衛生院の用地に関す る規制。(地区計画等を検討) 5-1-2. 「風の道 2」 :東京湾-古川河口-芝公園-古川の谷沿い-渋谷川へ し、外苑西通の谷を北上-有栖川公園- 一部は天現寺で分岐 自治大学・総理府住宅売却用地-青山霊園-赤坂御用地-神宮外苑 上記を実現するための課題 ・現在、古川の大半の部分は高架の首都高速線で覆われており、通風の面ではふさわ しくない環境となっている。将来、 (7 年後と言われている)首都高速中央環状線が 完成した場合には、首都高速線を撤去し古川に光りを取り戻すことも視野にいれる。 ・古川両岸の緑化の強化、古川両岸は街区公園等として用地の買収を促進する。 ・外苑西通り沿道の緑化の強化。 ・自治大学・総理府住宅売却用地の環境に配慮した活用を計画 ・青山通り沿いの一部「風の道」に対する建築規制方策の検討(地区計画等を検討) 5-1-3. 「風の道 3」 :東京湾-汐留川・浜離宮庭園-芝公園・愛宕山-正則中、高校・芝中、高校芝給水所 上記を実現するための課題 ・芝離宮庭園及びその脇の汐留川から日比谷通りまでの市街地の形態制限・高さ制限 の実施が必要。(地区計画等を検討) 桜田通りの一部に形態制限・高さ制限の実施し「風の道」を確保する必要がある。 (地区計画等を検討) - 19 - 3) 活動の成果と内容 5-2. 高層建築物(60m以上)の現況の位置と 「風の道」の具体的提案図 凡 例 凡例 昭和55年∼57年 58年∼60年 61年∼63年 平成元年∼3年 4年∼6年 7年∼9年 10年∼12年 13年∼15年 16年以降 60m以上100m未満 100m以上 赤坂御用地 青山霊園 有栖川公園 自治大学・ 総理府住宅売却用地 国立自然教育園 芝公園 東京都白金 職員住宅跡地 国立公衆衛生院 浜離宮庭園 風の道 3 風の道 2 JR 操車場 風の道 1 - 20 - 3) 活動の成果と内容 5-3. 「風の道」と構成要素 二の橋より 望む 6. ・ 「風の道」は原則的に緑の多いエリアを通り抜ける ように計画している。 芝浦・港南地区の土地利用転換と水際線・運河の環境活用、水辺に潤いを。 最近、芝浦・港南地区に高層マンションが多数建設されている。その戸数を集計し てみると、今後、平成20年3月までにこの地区に約9,400戸の住宅が新規に供 給されることになるが、これは港区の総世帯数の約10%にあたる。このマンション ブームについて、学校や公園といった公共施設の不足など解決すべき課題も多々あろ うが、見方を変えれば、港区の水際を区民の手に取り戻す絶好のチャンスと捉えるこ とも出来る。これまで一般市民には馴染みの薄いこの地区でも運河沿いの水際の整備 を進め、区民の手に取り戻すことができれば、港区もその名の通り「港」の字を冠す るに相応しいものになるのではないか。 京浜運河と建設中の高層マンション 写真 - 21 - (参考)ホノルル・アラワイ運河 3) 活動の成果と内容 3)-4 1. 調査をしよう・・・・・次の一歩を踏み出す為に 何の為に調査をするのか まちづくりNPOの役割を念頭に置いて、具体的にどのような取り組みが可能か列 挙してみると次の様な事になるであろう。これは必ずしも現在の港会の取り組み状況 の全てではないが、少なくともハードよりソフトの内容がNPOの役割としては適し ていると思われる。 (1)区が策定するまちづくり方針・整備計画等に必要に応じて意見を述べる。 (2)魅力的な街、住み心地の良い街にする為の方策をNPOとして、区民の みならず広く提言する。 (3)住民と一体となって良好な居住環境を維持する為のルール作りを行う。 (4)住民からの環境問題を始めとする、まちづくりの諸問題について相談にのる。 また、住民と行政の橋渡しを行う。 (5)住民と共同でタウンマネジメントを実践する。 (6)住民から個別の建替え(住宅等)の相談を受け、必要に応じて設計・工事 業者を紹介する。 以上のような取り組みを進める上で、住民や行政などそれぞれ異なる立場の人の考 え方や意見・要望を正確に理解することの必要性を整理することが必要である。更に その為に必要な調査は何か、都市生活の一般論からもどのような調査が役立つかを整 理する。 2. どのような調査が必要か まちづくりの活動を進めるために、有効な調査にはどのようなものがあるか、目的 別にいくつかを整理してみる。 (1)意識調査 (2)基礎的データ (3)施設用途別需要動向調査 (4)住宅需要調査 以上の内、 (残念ながら)本レポートには間に合わなかったものの、次のステップで 取り組むべき調査は次の様なものになる。 3.まちづくりを進める為の意識調査 ここで取上げる意識調査とは行政が行う、一般的な政策(長期的整備計画等)策定の 為の区民を対象とした「住民意識調査」ではなく、もう少し視点をまちづくり、身の 回りの住環境、良好なコミュニティの醸成と言った実生活に根ざしたところに置いた 意識調査を意図している。 更に対象も住民だけではなく、まちづくりを進める上で欠かせない、来街者やその街 で働く人々など街に関わる、成るべく多くの人がどのような価値観でその街を見てい るのか、街に対する人々の認識のあり様を把握する事が大事であると言う思い に基づいている。 - 22 - 3) 活動の成果と内容 (1)調査対象 ① 港区民 ② 港区在住外国籍人 ③ 港区内在勤・通学者 ④ 港区への来街者 (2)調査方法 成るべく面接調査を基本的な方法として検討する。 (3)調査項目 ① 港区のまちの全体的な印象(良いところ、悪いところ) ② 街並み・景観に対する評価(好きなところ、嫌いなところ) ③ 公共施設の使い易さ(道路・公園・広場・庭園・美術館・駅・学校等) ④ サービスの良し悪し(行政・商業施設・医療施設・福祉施設等) ⑤ サイン類の分かり易さ、デザインの良し悪し(標識・案内図・看板等 ⑥ その他 4. 住環境に関する基礎的データ まちづくり活動を進める上で、有効な各種データ(人口構成、世帯数、事業所数、交 通量、用途別建物現況、商業施設利用状況、公益施設利用状況、公開空地利用状況、道 路率、緑地率、電線地中化率、公衆トイレ分布情況等々)をリストアップする。その上 で、どのようなケースでそれを活用するか(マクロ・ミクロ等データの捉え方を含む)、 既往データのみで足りるか否かなどを検証する。 5. 調査結果の活用 意識調査、基礎的データ把握ともその結果を分析し、まちづくり活動に如何に有効に 役立てて行くかが重要である。NPOは住民や行政のみならず、そのまちに関わる全 ての人々との信頼関係の中でこそ活動出来るのであり、多くの人がまちづくりに参加 する事とは具体的にどのような事なのかを提案(表明)する必要がある。 その為に色々な調査を重ね、経年的な変化を捉え、試行錯誤の中から単なる思い込 みではない、客観的なデータに基づいた居心地の良い(来街者からもホスピタリティー が高いと評価される)まちづくりの提案があるべきであろう。 - 23 - 3) 活動の成果と内容 3)-5. 一つ目駅散策ルートづくり 本調査は既成市街地を対象とし、仕様書における、 (3)港区で行われている各種開 発の谷間にある地区の調査に関連するものである。 1. 背景と目的 1-1. 背景 1-1-1. 特定非営利活動法人まちづくり港会では、その前身である社団法人東京建築士会港 支部「港会」において、年3∼4回港区内のまち歩きを実施してきた。こうした経験 の中から、大規模開発以外の地域の魅力は、歩いて楽しめることである参加者が実感 し、特定非営利活動法人まちづくり港会のワークショップにおいて「Team Walk」では、 大規模開発とは異なった価値観でのまちづくりを思考する重要性を認識した。 1-1-2. 港区には名所、旧跡といった地域資源の他にも、地形の高低差による空間のおもし ろさ、大規模な再開発地区と下町風情の残る地域の対比、江戸からのまちの文脈を継 承している地域などたくさんの魅力的なスポットが点在している。 1-1-3. 港区は23区内で一番地下鉄駅の数が多く、その駅間は歩くにはちょうど良い距離 となっている。 1-1-4. 港区ではまちづくりとは異なった視点である「健康みなと21」において、歩くこ とを推奨している。 1-2. 目的 1-2-1. まちづくりの視点を加味した地下鉄駅間の散策ルートである「一つ目駅散策ルートづ くり」により、今までばらばらに認識されているまちの魅力をひとつのネットワーク として理解し、地域力(地域の活力)を高めることを目指すものである。 1-2-2. 散策ルートの設定にあたっては、現時点で課題のある部分を意図的に取り込むことで、 その部分の改善を広い視野から行い、永く住まう環境としてまちを再生する。 1-2-3. 散策ルートづくりは、そのルートを設定する過程において、地元住民や企業市民、行 政、専門家といったまちづくり活動の輪を広げる手段としての活用が考えられる。 (も っと言えば、行政の縦割りをつなぐといった意味も含む) - 24 - 3) 活動の成果と内容 2. 前提要件の整理 2-1. 港区内の地下鉄駅 港区内には、JRの駅が4駅、地下鉄・私鉄(ゆりかもめ含む)の駅が30駅ある。 とくに、山の手線内の駅間は、徒歩で10∼20分程度と無理することなく散策する ことのできる距離となっている。 2-2. 健康みなと21 港区では、平成16年3月に「港区健康づくり行動指針 健康みなと21」を策定 している。これは、国の健康増進法や次世代育成支援対策推進法を背景としていて、 ①いきいきと元気に暮らす健康づくり、②健康な暮らしをはぐくむ環境づくり、③み んなで進める健康なまちづくりの3つの基本理念があげられている。そして、指針の 目指す方向に「身体活動の推進」があげられ、ウォーキングの奨励やウォーキングマ ップの作成、歩行者専用道路の確保といった解決策が明記されている。 3. モデルコース 3-1. モデルコース モデルコースは、地下鉄都営浅草線泉岳寺駅、都営高輪台駅、白金高輪駅、両線が 通る三田駅の4駅に囲まれた、三田台、高輪台に設定することとした。 この地域は、尾根道を取り囲むような4つの駅が配置されていることから、駅間を 歩くときは高低差のある台地を昇り降りすることとなるが、こうした微地形の高低は 港区の特徴を端的に示しているといえる。また、江戸からの寺町が形成されていて、 名所旧跡が密に分布している地域でもあることから、ここにモデルコースを設定する ことにした。 3-2. 地域の歴史的変遷 三田台、高輪台は、江戸五街道が整備される以前には、奥州街道として利用されて いた歴史がある。また、三田台の尾根道沿いの亀塚公園には塚が確認されていて、古 くは尾根道の際まで海岸線があったことを伺わせる旧跡がある。 戦後には、東京港を一望できたこの台地一帯をGHQが摂取する計画もあるほど、 軍事的にも重要な位置にあった。 3-3. 散策ルートの資源 散策ルートの資源としては、以下の要素を取り上げることとした。 ●名所、旧跡、●眺望ポイント、●尾根道の景観、●ポケット空間(ちょっと 不思議な空間)、●坂道、●路地空間、●商店街、●公園、●再開発地区、●⑩ サイン、シンボル - 25 - 3) 活動の成果と内容 3-4. 一つ目駅散策ルートの活用法 今回は地元商店街との接点をもつためのひとつのツールとして活用することを試み た。散策ルートの提案を、商店街の方々と考えるとともに、ひとつの商店街だけでは 解決できない課題を、複数の商店街が協力することで乗り越えていくことを提案した。 3-4-1. 魚らん商店会との接点づくり 1月22日(土) ・多田屋(はきもの屋)店主 ・上田印章店店主(魚らん銀座商店会協同組合理事長) 1月25日(火) ・上田印章店店主(魚らん銀座商店会協同組合理事長) 3-4-2. 高輪町栄会との接点づくり 2月23日(水) ・虎屋店主 ・マロニエ化粧品店店主 - 26 - 3) 活動の成果と内容 3)-6 古川の橋を巡る 1. 古川の橋を巡る 開発の谷間にある地区調査の一環として 金杉橋より 下流を望む 新浜崎橋 浜崎橋 金杉橋より 上流を望む 金杉橋 将藍橋 芝園橋 白金公園橋 名所江戸百景より 広尾ふる川 養老橋 五の橋 旧歩行者橋 赤羽橋 一の橋公園 歩行者橋 五の橋 亀屋橋 四の橋 狸橋 中の橋 一の橋 小山橋より望む 新堀橋 天現寺橋 小山橋 新古川橋 古川橋 二の橋 南麻布二丁目 児童遊園橋 天現寺橋 より望む 三の橋 - 27 - 3) 活動の成果と内容 2. 古川に、人をつなぐ橋を提案する ∼地域に新しいコミュニティの形を作るために∼ 2-1. 類型 1.の空間 東西の流れで、 南岸に建物の ないところでは 水面に光が入る 古川をどうしたらよいかについ ては、過去にもさまざまな形で語 られているので、ここで繰り返す ことはしない。 2-2. 古川の分類 港区内の古川をめぐる空間の把 握について、高速道路と川の関係 は、川の流れの方位とともに、3 類型に分かれることを指摘してお きたい。 北岸の高速下に ガラスボックス型 拠点施設 歩行者専用の 軽快な橋 類型2.の空間 南北の流れで、 高速がかぶさる 川岸には両岸とも 光が入り緑もある 上流から 類型 1. 天現寺橋から古川橋まで 東西の流れ・高速道路は川の北岸 類型2. 古川橋から一の橋まで 南北の流れ・高速道路は川の上部 類型3. 一の橋から浜崎橋まで 東西の流れ・高速道路は川の上部 高速道路が意識さ れなければ、両岸 は、比較的いい場所 屋根つきの橋をかけ 橋自体が拠点施設に 類型3.の空間 東西の流れで、 高速が完全にかぶる 両岸にはビルが 立ち並び水面に 光は望めない ・これらは、川とその周囲の空間 への光の入り方に違いを及ぼ す。 ・また、高速道路の下部は、植物 が満足に生育しないので、光が 入っても乾燥した場所になる。 ・高速道路橋脚の用地は、駐車場 などの「低利用地」である。 屋外的な良質の 空間は望めない むしろ、屋内的 な場所の特性を 利用した、機能空 間を設置して 高度利用しては - 28 - 3) 活動の成果と内容 2-3. まとめ ■川の沿岸には、一二の公園的なものが作られている。ただし公園だけで川の存在を 日常に生かしているとは言い切れない。 ■防災船着場等に利用しようとしている空間の存在からさらに一歩進めて、川沿いの 低未利用地を「防災拠点」に位置づけられないか。 ■「防災拠点」は、地域の災害救難拠点とすると同時に、帰宅困難者の一時避難施設 とできないか。 ■日常的な管理は地域の自治組織に任せ、地域コミュニティの拠点として活用される ことで施設の管理水準を維持できないか。 ■作られる施設は、空間の3類型に対応して、 ・片側沿岸型(類型1.) ・屋根つき橋型(類型2.) ・河川上空広場型(類型3.) などに分かれよう。 単なる施設建築では、日常無人の低利用空間になりがちである。いずれの型も、歩 行者橋と公衆トイレを併設し、公共からもいくばくかの管理費用を支出して維持に努 めることが望まれる。 類型3の河川上空広場については、この地域には屋内型の公共空間が少ないことに かんがみての提案である。日常的には、軽運動や集会、音楽練習などに使われること が望まれる。 - 29 - 3) 活動の成果と内容 3)-7. 寺を生かしたまちづくり 1. 歴史的遺構の活用によって創出される港区まちづくりのアイデンティティ 港区内で進行中の開発の間に残されている歴史的資源を評価し、生かしていくこ とで、新しいものと古いものが共存する街並みを整備して行こうという提案であ る。 1-1.港区のまちづくりへの歴史的遺構活用の意義 港区には江戸時代から常に政治、経済、文化の中心地であったことから、多くの歴 史的遺構が残存し、由緒ある寺院と、明治以降の近代建築などにおいて価値ある歴史 的資源を保有している。しかし、現状ではこれらの歴史的資源は正当な評価を与えら れる前に、建替や都市再開発によって安易に解体・廃棄されている。 これらの過去から受け継いだ歴史的遺構を保全し、まちづくりに活用することによ って、新しいものと古いものが共存する港区独自のアイデンティティに富んだ街並み を創出しようとする。それには、港区における価値ある歴史的遺構をきっちりと評価 し、保全と活用の方法論を見出す。 1-1-1. 歴史的遺跡 (1)文化財として指定されている歴史的遺構 (2)近代洋風建築 (3)歴史の道 (4)港区散歩あらかるとおよび歴史的遺構によるネットワークの構築 1-1-2. 歴史的遺構を核にしたまちづくりの考え方 ・まちづくりに時間軸を持ち込む:時系列に歴史的遺構を保全 ・歩行者中心のまちづくり:歴史的遺構とまちづくりを結ぶキーワード ・ヒューマンスケールの重視:歴史的遺構とのインターフェース ・まちの中で自然環境とのふれあい:歴史的遺構が保有する自然の活用 ・半公共的土地利用:公用権の設定=区民全体の権利として公的に利用する 1-2. 港区における「甍」を活用した都市景観の構築 歴史的遺構をまちづくりへ参加させる方法の一つとして、景観形成の観点から瓦葺 屋根の優美な造形に着目し、 「甍」のまちづくりへの活用方法を探る。 港区の独自性を国際的に最もインパクト強く主張でき、しかも日本のアイデンティ ティを表現した景観要素として「甍」がある。優美な曲線を持った「甍」の勾配屋根 と緑で構成された景観が街のあちらこちらで見られ、それに調和するようにまちづく りを展開していくことは、港区が古きを大切にし誇りを持って街づくりを進めていく 証ともなる。 1-2-1. 港区の甍の特長 瓦は飛鳥時代に朝鮮の百済から伝わったものであるから、日本でも既に 1500 年余の - 30 - 3) 活動の成果と内容 歴史をもったものである。 「甍」の種類には、行基葺、本瓦葺、桟瓦葺、洋瓦葺などがあるが、港区に現存す る「甍」として本瓦葺、桟瓦葺、洋瓦葺である。 港区の「景観マスタープラン」では、景観形成の 5 つの目標と 7 つの方針が示され ている。 港区の甍の分布の調査によれば、戦前の歴史的な建物の概数は約 900 棟あった。瓦 屋根はその半分の 450 棟である。昭和 57 年の調査による寺院の総数が 248 棟であった から、おおよそその倍程度の瓦屋根が現存することになる。 モニュメントになる瓦屋根の建築には、増上寺、善福寺、三田龍原寺、東光寺、三 田寺町の表門(山門)などがある。 1-2-2. 「甍」のまちづくりへの活用に向けて ①歴史的資源として景観形成への評価 ②「甍」の造形=景観形成の要素 ③スカイラインの美しさ ④沿道の造形=寺社の山門と塀 ⑤都市における 5 番目の立面―「甍」の鳥瞰的景観 ⑥「甍」による過去と現在の連続 1-3. お寺をつないだまちづくりの可能性 1-3-1. 港区の寺社地の特長 昭和 57 年 12 月調査によると港区には、神社が42箇所、寺院が248箇所あった。 港区は変化に富んだ魅力ある自然景観を備えており、その基盤になっているのが地形 の変化である。歴史的に見ても地形の変化に応じた土地利用が行われ、特徴ある界隈 を形成してきた。各所の丘や坂道からは素晴らしい眺望が得られる。 港区は、麻布から白金台に至る緑の台地、東南に開ける傾斜地、低地、そしてウォ ーターフロントと海岸線の港という断面構造を持った連続的な地形であるが、その間 を流れる古川と入り組んだ小さな谷によって複雑な局所的地形を持っている。 港区のお寺はこの複雑な微地形と結びついて、尾根の上の寺町、丘を背景にした傾 斜地のお寺とその下に広がる門前町、坂道に沿って並ぶお寺、低地の寺町など、種々 の地形と関連した景観をつくっている。これらをまちづくりに繋げていく。 1-3-2. お寺を活かしたまちづくりの課題 本調査研究から、歴史的な視点によるまちづくりの中でお寺をまちづくりに参加さ せていくことが極めて有効な手段であることが判明したので、最後にお寺を活かした まちづくりを推進するための課題についてまとめる。 ①お寺をまちづくりの核にする:お寺を核として活用していくまちづくりの方法 ②お寺を保存ではなくまちづくりに参加させる方法の開発:お寺の歴史的遺構お よび文化的蓄積の活用方法に対する種々のアイディア - 31 - 3) 活動の成果と内容 ③お寺を地域コミュニティの場に活用する:住民や地域コミュニティに対して 種々の活動を起こす ④お寺の維持管理:維持管理の費用を生み出す仕組みと、支援体制を検討 ⑤通り抜け=細街路の接続:お寺の中を通り抜けと広場の種々の活用方法 ⑥お寺関係者との連携:済海寺のヒアリング結果 - 32 - 3) 活動の成果と内容 3)-8. マイクロ総合設計の提案 ――まちづくりを誘導するインセンティブの創出―― 港区に顕著な大規模開発は、都心一極集中の傾向に乗り、その施設内用の充実に加 え、公開空地等の空間的質の向上も伴ってきた。そのためもあり、大規模開発プロジ ェクトの区域から外れた一般的な住宅地は、空間的な質の落差を顕著にしつつある。 本稿では、歴史的に形成された一般住宅地に建設される個人単位の建築行為に、小ス ケールの公共貢献を求め、それに対するインセンティブを与えることで、漸近的に町 並み整備を行っていくための手法の一提案である。 1. 美しい街並みはどのように作られるか 街の魅力は様々な視点から捉えることができるが、ここでは、緑地や空地が整備さ れた街並みを中心に港区内の整備された場所を見て歩いた。 その結果、道路に面して緑地やゆったりとした空地など公共スペースと一体化された 空間は、意外と大規模開発地に多い、と感じられた。(事例調査) 一方で個人レベルの住宅地、昔ながらの商店街では、整備の方針がばらばらで、街並 みとしての統一感に欠けるように感じられた。(事例調査) 2. 開発規模とまちづくりに貢献する開発制度 大規模開発では、大きな資本が投下されるため、開発を誘導するためのボーナスが 用意されている。これらの事業は、計画を立案し検討するための時間と費用を掛ける ことができるので許認可をする行政もコントロールが可能である。 〔市街地再開発事業〕〔総合設計制度〕〔地区計画〕〔特定街区〕等 一方、個人レベルの住宅建設、アパート、マンションの建設では、このような制度 を利用したまちづくりに参加することは難しそうである。理由としては、 ・誰に相談してよいかわからない ・ゆっくりと検討している時間(=費用)が無い ・自分だけ整備することにどのようなメリットがあるかわからない 等が予想される。 まちを良くするという事は、個人が気持ちよく暮らせ、まちの魅力が向上し住みた いと思う人が増えることで資産価値の向上にもつながるのであるが、個人レベルの資 本投下では、そこまで長期的な視野に立つ事はできないのが現実である。 3. まちづくりのボトムアップ 個人レベルの街づくりが進まないと、区内の連続した街並み整備は進まない。 一方、個人的建設行為のすべてに対して、その場所に適した街づくりを 行政指導や 助言をするような行為を行政機関などが行うことは難しい。全体のレベルを向上させ る方法のひとつとして、個人レベルの建設行為で街づくりが自発的に行われるような 仕組みが必要であると思われる。 - 33 - 3) 活動の成果と内容 4. インセンティブによるまちづくりの誘導 このように考えてくると、大規模開発で見られるように、まちづくりに貢献した計 画とする場合にインセンティブを用意すれば、個人事業者、個人建築主、あるいはそ れらの人に設計などのサービスを行う建築士が自発的に街づくりに参加した計画を行 う可能性があると考えられる。 われわれの提案は、 『港区独自の制度として、個人レベル、小規模事業者の建築主を対象とした建築形態 規制と規制緩和の制度を創設し、自主的なまちづくりの誘発を目指す』 ものである。 5. 制度の概要イメージ住宅街、商店街を中心とする区域とする。 個人の戸建住宅、アパート、小規模なマンション、個人商店、小規模な商店等を対 象の建物とする。 敷地規模は、50㎡から500㎡程度とする。 道路幅員は4mから8m程度であり、車道と歩道がはっきりと分かれていないような 想定である。地域住民の利用と、近傍住民の通り抜け、子供の通勤等に利用される道 であり、近隣住民のコミュニーティーの発展が期待されるような場所である。 - 34 - 3) 活動の成果と内容 6. 具体的な整備のスタディー案 制度適用前 制度適用後 制度適用前 道路は4mである。 植栽はポット程度となっている。 制度適用後 道路は4.5m程度に拡幅。 大き目の植栽を植える事が出来るよう になる。 奥のオレンジの住宅は斜線で屋根勾配が きつい。 右手マンションはRC塀。 斜線を緩和し、内部空間の高さを確保 塀を植栽とすることで容積率の緩和を行う。 7. 制度の整備における課題と今後の検討作業 7-1. 整備内容とインセンティブ 細かなバランスまで計算された制度を提案することは難しい。港会のワークショッ プを中心として、個人事業者や小規模の事業者がどのような制度となれば街づくりに 参加できるか検討を進める 7-2. 審査、アドバイスのシステム この制度を、社会的に中立な立場からサポートし、街づくりに参加する第三者的立 場から制度の運用に協力できる団体として、 「まちづくり港会」のような専門家集団の 位置付けを検討する必要がある。 - 35 - 3) 活動の成果と内容 3)-9. 港区のまちづくりを海外の先行事例から読む 空間把握と提案をする上において、欠落しがちなパブリック空間における必要な要 素を先行する海外事例から抽出し、ワークショップ参加者の価値観を共有する為の調 査です。水辺を楽しくさせる工夫や緑地に隣接した優良な住宅街における歴史的な建 物などの保存の伝達や大切さを考えることをモチーフに実際に一緒に先行事例を見て 歩き、港区湾岸の場合のきっかけにします。 1. 社会的背景 ・21世紀のまちづくりの必要性 少子高齢化・環境共生社会の有り方を皆で語る 高度経済成長、バブル期を経験し、日本も住民や行政、関係者が一帯になった 21 世紀 のまちづくりのあり方を考える必要性が出てきました。高度経済成長期は、日本復興 の急務を達成させる為、大量生産等によるハード先行の考え方が求められ、バブル期 は、世紀末の考え方に踊らされ、21世紀は、環境共生を見つめ直すことと少子高齢 化社会を迎えることが、予想され問題を抱えている現状があり住民参加のシステム作 りが望まれています。 1-1. 港区の現況 1-1-1. 東京観光(国際都市東京の顔) 昨今の外国人や他道府県からの外来者の東京観光は、21世紀に入り少し様変わりを している模様です。一番人気のベスト3は港区との調査結果も出ているようで、世界 に通用するまちづくりが加わることにより、優良な景観を作る相乗効果を発揮できま す。 1-1-2. 住宅街(歴史的建造物の有り方) 東京の中でも港区は、一極集中化の中心に位置し、他の地域とは異なる港区ならでは の問題点を抱えています。地球規模で考えた時の国際化社会の形成の為に世界に通用 する考え方の必要性や、戦後の復興の急務をなす為の行政主導の考え方からボトムア ップの住民参加の必要性が専門家より提言され、専門家を交え官民一体となった仕組 みづくりが望まれています。 2. 問題点の抽出 水際を歩いて楽しく、外国人居住者と共に国際的に通用する良好な住宅街。 2-1. 住宅環境への要素 21世紀に入り都市居住回帰による港区人口の上昇が始まっています。オフィスの住 民人口現象を食い止める為に考えられた、区の付置義務の住宅施策により不自然に付 けられた居住部分や飛ばし等による権利の複雑化、用途地域の商業エリアに建つ高層 マンション等の港区の風土にも関連した問題を抱えています。 港区で大切にしなければならないまちづくりのポイントはないか。江戸から東京都ま - 36 - 3) 活動の成果と内容 での流れを再確認して残すべきことをまち歩きから再確認が必要になります。例えば、 江戸時代は、水の都と呼ばれ自然の要素の水にふれることが出来ましたが、水質の悪 化や雨や台風に対応する防災対策が先行し、水に近づくことが出来ない環境になって います。水辺を人々の憩いや休息の場として活用することで、湾岸地区の利用に伴っ た豊かな空間を誘致することが出来ると考えられます。 2-2 海外の来日者や外国人生活者のまちづくりへの参加方法 現在港区には、600の各国の機関や大使館があり、多くの外国の方々が、生活し働 いています。そんな皆さんと一緒にまちづくりを進めることは、日本が海外から求め られる国際化への対応への一歩になると思います。その為には、一緒にみんなで歩き、 国際的な価値観を共有することが、はじめの一歩になると思います。 3. 特定非営利活動法人まちづくり港会に求められるキーワード ・官民一帯の価値観共有 ・ボトムアップのまちづくり ・昼間活動者への対応 ・外国人居住者への対応 ・観光資源の国際化対応 ・みんなで話し合う ・みんなで見て歩く ・先行するヨーロッパの事例を学ぶ(みんなで見に行き、共 感する) 4. 解決する為の提案を考えるワークショップ ・官民一体となったまちづくりの必要性を皆で語る ソフトからの発想を大切にしながら港区のあり方を皆で語る場づくりが求められてい ます。まず初めに大きな夢を皆で抱き。コーディネートは、現地を良く知る志村先生 他(専門家による解説を加える)に依頼を希望します。 4-1. 提案 ・ベイエリア(運河沿い)に公設による見て楽しめる施設を誘致する。(国際的な 観光整備) ・運河沿いの拠点を結ぶことで、人の流が出来その間に民間の商業の賑わいが形成 される。 例1.テムズ川南岸の旧市庁舎を保存しながら再開発し、水族館、飲食物販等 を誘致。 例2.テムズ川南岸のデザインミュージアム、コインストリート再開発等拠点 を結び、歩いて楽しい流れが出来、流れの間に飲食物販が出来る。 ・公園を背景とした住宅街では、積極的に歴史的な建造物や町並みを大切にしてい る。 ・街の町名表示や街路灯に至るまで長く使うことを考えた要素になっている。 例3.ブローニュの森に隣接する住宅街(16区)の町並みと歴史的保存の例 - 37 - 3) 活動の成果と内容 5. 参考資料 5-1. ロンドン テムズ川南岸の再開発の事例 旧市庁舎からデザインミュージアムまで歩いて楽しい2Km が展開され一つの街の 顔になる。 ・EC統合によるイギリスに押し寄せた波と対応 ・イギリスの中心市街地の活性化、イギリスのデザイン戦略ともいえる街づくり 点在する公共施設を民間の商業施設がつなぐ 旧市庁舎(再開発)水族館や飲食を核としたマグネット。 川沿いの住民も散歩したくなる遊歩道は、国際的な観光地になり観光客が訪れる。 5-2. パリの住宅街(16区)の事例 優良な住宅街をみんなで、保存するためには、みんなが使いたくなる公共的な装置 が必要 ・伝統をいかに守りながら、新しい開発を共存させるか。 コルビジェ財団周りの環境 付けたくなる、まちの雰囲気を考慮した町名番地の表示サイン コルビジェ財団を案内する誘導サイン お洒落な街路灯 以下16区近隣 ラジオフランスの前から見たセーヌ川東側の高層ビル群 隣棟間隔を守ることによる圧迫感を防ぐための事例 オルセ美術館近くの屋根のない地下鉄入口(景観に対する配慮の例) 利便性を考えるか、景観を守るか - 38 - 3) 活動の成果と内容 4)今後の展開 4)-1. ワークショップからみる今後の展開 第一回ワークショップ 議論のポイント ・ 協働者の輪を広げ、開かれた議論を行う。 ・ 住民ニーズへの理解を深める。 ・ 行政の動向を把握し、港区まちづくりマスタープランに対する考え方を検討する。 第二回ワークショップ 議論のポイント ・ ネットワークはメンバーの共通するキーワードである。 ・ 経済性と街の魅力とは別ものである。⇒業者は賃料を基準に開発を行う。 ・ 再開発を一時的な外資系企業の投資のように考えていてはダメである。 ・ 特定非営利活動法人まちづくり港会の評価は「住民が如何に動いたか」で決まる。 ⇒具体的な事実・体験談に裏打ちされた意見や提案が重要である。 第三回ワークショップ ・ ・ ・ ・ 議論のポイント 過去から受け継いだ価値ある財産を計画的に有効利用する。 ネットワークの検討は、その範囲と活動内容が重要となる。 東京タワーの見え方など歴史性を意識したまちづくりが重要である。 地域コミュニティや町内会から、市民活動や NPO にも注目する必要がある。 第四回ワークショップ 議論のポイント ・ まちのルール、マナーを考えるべきである ・ 地域が蓄積してきた歴史や文化をきちんと守り、まちづくりに生かす。 第五回ワークショップ 議論のポイント ・ 事業につながる調査を通じ、会の性格の方向を定め、活動の具体化を図る。 ・ パートナーシップ形成の経緯、しくみも明らかにする。 ・ 都市臭、騒音、装飾といったネガティブな要因に取組むべきである。 ・ 屋上を第5のファサードとして、高層からの甍の風景を考えてはどうか。 ・ まちの管理にも目を向けタウンマネジメントの視点も取り入れるべきである。 ●今後の展開 ・ 各種開発の谷間にある地区内や各種開発とのネットワークを考える。 ・ 地元の理解を得ながら具体的な事実、体験にもとづく提案を行う。 ⇒まちのネガティブな部分(都市臭、騒音、装飾など)に関わる。 ・ 港区の特性を理解し、地区毎の歴史、文化を生かしたまちづくり方策を提案する。 ⇒甍の景観、地域資源を活用した地域の活性化など。 ・ 港区街づくりマスタープランに対して、特定非営利活動法人まちづくり港会として の考えを提案する。 ⇒風の道、密集市街地のあり方、未利用地の有効活用法など。 ・タウンマネジメントの視点からの発想で、まちづくりを考える。 - 39 - 4) 今後の展開 5)活動のポイント 5)-1. 人物の紹介「港区とわたし」 (順不同) 氏 名:志村 秀明 会社名:芝浦工業大学 住 所:港区芝浦3―9―14(勤務先) プロフィール: 市民参加によるまちづくりの研究をしている。その関係で大学の地元にあた る港区のまちづくりに関わることを使命と思って取り組んでいる。地元のま ちづくりに興味をもっている学生と共に、とにかく行動することをモットー としている。 氏 名:綱川 智久 会社名:株式会社 綱川建築事務所 住 所:港区西麻布4―11―14号(自宅/勤務先) プロフィール: 祖父が創立した会社の創業52年の設計事務所の三代目です。生まれも育ち も麻布笄町で、我が町が目まぐるしく変化していく姿をずっと傍観者でみて いました。子どもたちが自分たちの街を愛し、大人になってから積極的にま ちづくりに関わって欲しいと思い、ライフワークとして港区に関わりたいと 思います。 氏 名:澤田 初穂 会社名:プラウド 住 所:港区白金台2―12−34(勤務先) プロフィール: 港区生まれ、港区育ちです。街づくり系都市計画を専門分野としています。 緑に恵まれ、歴史的資産にも恵まれた港区の良さを充分に理解し、本物の文 化・人の作法が身に付いた街になっていかなければならないと考えていま す。 氏 名:柴田 淳一郎 会社名:株式会社 大林組 住 所:港区港南2−15−2品川インターシティB棟(勤務先) プロフィール: 港区内の大規模再開発計画を担当した経験から、まちづくりに関心を持つよ うになりました。港会が目指している「市民参加のまちづくり支援活動」は、 建設会社や不動産会社主体の「経済活動」としてのまちづくりとは対極にあ る未知の世界(私にとって)であり、興味が尽きません。 - 40 - 5) 活動のポイント 氏 名:児島 正剛 会社名:株式会社 乃村工藝社 住 所:港区芝浦4−6−4(勤務先) プロフィール: 日本に帰国して入学したのが南山小学校で、芋洗坂が遊び場でした。その後 転々として、職場が芝浦になり小さいときの原風景がよみがえりました。こ れからの子供たちが思い出せる良い原風景となる港区づくりに参画出来れ ばと思い参加させていただいてます。非力ですが社会貢献になればと思って います。 氏 名:池田 和臣 学校名:芝浦工業大学 住 所:港区芝浦3−9−14(通学先) プロフィール: 卒業研究に港区を対象地として以来、都心の先鋭的で複雑なまちづくりの魅 力に惹かれ、様々な地域住民の方達との交流を経て今に至っています。土地 の高度利用ばかりが推進され、理念ばかりが先行しがちな港区において、住 民主体の効果的な土地利用がなされるよう、影に日向に努力していきたいと 考えています。 氏 名:中村 仁 会社名:株式会社日本設計 住 所:港区高輪2−12−47(自宅) プロフィール: 仕事柄大規模な開発にはなじみが深いが、大型開発だけの東京には限界を感 じています。谷中・千駄木に10年住んだ経験があり、5年前から港区民。小 さなスケールの街並みや、都市としての猥雑性、住民の自発性に意味がある と感じていますが、金の無いところに都市は無し、で悩みは深いです。 氏 名:難波 匡甫 会社名:場所と空間の研究所 住 所:世田谷区南烏山4?28?23?203 プロフィール: 芝浦工大建築学科を卒業して早18年。まちの成り立ちに関する調査研究の 経験を、ボトムアップ型のまちづくりに活かせればと考えています。地元の 方々と協働していく喜び、大変さを充実感として味わえれば最高。 - 41 - 5) 活動のポイント 氏 名:黒木正郎 会社名:株式会社 日本設計 住 所:港区三田2−21−11(自宅) プロフィール: 26歳のときから居住し始め、本年で20年を迎える。(中学高校と港区 内の学校であったため、土地勘は以前から備わっていたように思う) 専門は建築設計であるが、今日の建築設計者には、開発の仕組みへの制度 的ノウハウ提供など、幅広い技能を要求される。居住者の視点からのまちづ くりに、業務で得た知識技能を活用できるところ大であろうと考え、NPOに 参加した。 二人の子供も区立の小学校中学に進学させた。港区の公教育の環境は、こ の都市の格調高さと相まって、私学の提供するそれを凌駕することを体感し ている。 氏 名:野村一雄 会社名:株式会社 ランドスケープデザイン 住 所:港区赤坂6−5−16(勤務先) プロフィール: 登録ランドスケープアーキテクト(RLA)として美しい街づくりに貢献 する事が使命と思い日々取り組んでいます。 港区の原風景は歩けるスケールの中に海、山(丘)、水、緑が豊富で変化に とみ、歴史と文化を持った街。 港区全体は本来神が創った美しい庭だったと確信して地元の街づくりに 役立ちたいと思っています。 氏 名:今村芳恵 会社名:財団法人 日本建築センター 住 所:港区芝(自宅)/港区虎ノ門(勤務先) プロフィール: 仕事をして、帰りにスパーで食料品を買い込んで、少年期を脱皮する子ど もを育て、休みにはおしゃれなブティックをのぞき、食べて、飲んで、東京 タワーを見ながらほろ酔い気分で散歩して、日々是港区は私の生活ステー ジ。 氏 名岩下憲夫 会社名:清水建設 株式会社 住 所:港区芝浦1―2―3シーバンスS館(勤務先) プロフィール: 住まいは杉並区ですが、港区は都心と山手両方の要素を高度に持った極め て興味深い街です。優れた観光地と言うのは、街(人)そのものが持つホス ピタリティーの良さに尽きると思います。観光地化を目的とするのではな く、ホスピタリティーの高いまちづくりを目指したいと思っています。 - 42 - 5) 活動のポイント 氏 名:鹿倉祐一(かくらゆういち) 会社名:鹿倉祐一建築研究所 住 所:港区北青山1-6-4-406(自宅/勤務先) プロフィール: 港区では昔からの大工さんと住宅、店舗の設計をする事が多い。開発が多 く昔からの職人さんが、港区外に移転して行くのが残念。 氏 名:佐々木 俊太 学校名:芝浦工業大学 住 所:港区芝浦3−9−14(勤務先) プロフィール: パートナーシップ型まちづくりについて1年前より研究しています。市民 活動が活発になりつつある世の中で、港区ではどうなっているのか、どうし ていくべきなのか非常に興味がある部分でもあります。至らない点があるか と思いますが勉強させていただけたらと思います。 氏 名:佐藤 一志 会社名:株式会社 佐円組 住 所:港区元赤坂1−1−7−1006(自宅) プロフィール: 住宅建築の管理業務を担っておると共に、建築分野で土地から建物までの トータル的な視点が必要と感じ業務の知識に取り組んでいる所です。都心で ある、港区を「港会」と共に歩き都心居住の推進を図るうえで考えてきまし た。 氏 名:三井所 清典 会社名:芝浦工業大学 住 所:港区芝浦3−9−14(勤務先) プロフィール: ゼミ学生と毎年シーバンスから天王洲まで街歩きをしています。芝浦、海 岸、港南地区を東へ西へと揺れながら南下するわけです。かつての海に鉄道 が走り、港ができ、倉庫、工場が建って現代日本を支えてきた地域を確認し、 さらに日々新しく変貌し続けるダイナミズムを肉体と感情と知性で楽しむ のです。 街歩きの途中立ち寄る埠頭公園には白瀬隊の南極探検の記念碑がありま す。ここで、探検を支援した大隈重信と衛生班長だった三井所清造の2人の 郷里の先人の名を発見したときは感動ものでした。そういえば鉄道を海に築 いたのも大隈重信の力であったようです。色々あってそういう芝浦が大好き です。 - 43 - 5) 活動のポイント 5)-2. 特定非営利活動法人 まちづくり港会 - 44 - 会員所在地マップ 5) 活動のポイント 5)-3. 特定非営利活動法人 まちづくり港会とネットワーク 港区を拠点に活動する街づくりNPOとして、港区の様々な活動団体と情報交換や活 動協力、支援体制を組むことで、活動の輪を広げるとともに、街づくりの意志を実効性 あるものにしていくことが必要であると考えている。 ネットワーク形成の対象としては、大きくは、 (1)行政関係団体、 (2)地域密着型 団体、(3)NPOなどの非営利的な活動団体がある。 行政関係団体 ◆港区街づくり推進部(港区の都市計画・建築行政を実質的に行なっている部署) ◆港区街づくり懇談会(港区都市計画審議会委員などの学識経験者や行政経験者が中心 となって、港区の街づくりについて意見交換や計画提案活動を実施。当会が資料提供な どで協力支援。) ◆港区郷土資料館(港区の史跡や歴史について調査研究・情報収集などを実施。港会の 歴史を生かした活動において情報交換、調査支援などを実施) ◆港区立小学校PTA連合会 (こどもたちへの街づくり教育や小学校周辺の街づくり活動における連携) 地域密着型団体 魚らん商店会・高輪町栄会・芝浦商店街(商店街の活性化を目指した街づくり活動な どで協力) 大学及びNPOなどの非営利的な活動団体 ◆芝浦工業大学(港区の建築系学部を有する大学として地元に密着した研究活動を展開。 建築・都市計画分野の教授や学生と街づくりワークショップなど具体的な活動で協力) ◆運河を美しくする会(芝浦地区の企業や地権者などの有志により構成され、港区運河 の景観や活用を活動の目的とし、勉強会における情報交換やワークショップなどで協 力) 今後、これらの団体と更なる協力関係を図っていくとともに、他の活動団体とのネッ トワーク形成をも積極的に推進していく予定である。 - 45 - 5) 活動のポイント 5)-4. その他 港区街づくり推進部では、現在港区街づくりマスタープラン改定作業を実施中である。 今回の改訂にあたっては、住民参加の一環として、港区は、検討委員会開催前に、住民を 集めた街づくり講座を実施したが、その勉強会の段階から、特定非営利活動法人まちづく り港会メンバー3 名が参加し、その後引き続き港区マスタープラン検討委員会(定員12 名)に、学識経験者委員枠として志村秀明当会理事が同委員会副委員長、有識者枠(市民 団体)委員枠として綱川智久当会理事長、区民代表委員枠として当会発起人今村芳恵が参 画し、新たなマスタープラン策定のために、これまでの当会の活動内容を生かせるよう積 極的な提案活動を実施している。 - 46 - 5) 活動のポイント