観光の一形態としてのエコツーリズムとその特性

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観光の一形態としてのエコツーリズムとその特性
敷田, 麻実; 森重, 昌之
エコツーリズムの総合的研究 (国立民族学博物館調査報
告 ; 23). 石森秀三, 真板昭夫編. pp. 83-100
2001-09-05
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http://hdl.handle.net/2115/34861
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Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
敷田 轟亜
匝光のー形態としてのエコツーリズムとその特性
観光の ー形態としてのエコツーリズムとその特性
敷田麻実
(金沢工業大学工学部)
森重昌之
(パシフィックコンサルタンツ株断事業開発本部)
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仲田 年代以除エコツーリズムは新しい形態の観光として胴洗を浴ぴている.エコ
ツ
ーリズムは自然環境や地成社会に大きな負荷を与えるマスツー リズムの久
点を解消した
観光として期待されているが， 一方で単なる名前だけのエコ ツーリズム均年
荷主している
ことも事実である.そこで，本稿では観光の定義を明らかにした上で，エコツ
ー リズムを
観光のー形態として捉え「自然環境への負荷を量小限にしながらそれを体験し，
鰻光の
目郎也であるt
節目こ対して伺らかの1
峰や貢献のある観地
ι
定義づけた.そして，エ
コツーリズムの特性として，①自然環境に与えるJi曹を畳小限にする努力，霊
源地也で
ある地元での利益田，/11凶， ③自然環境を理解し，コミュニケーションする努
力の 3点を
挙げた.
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国立民族学情物問調査報告
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2 エコツーリズムの誕生と経緯
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ムの定義
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一一一一ーー一一一一一一ー一一一ー.
4 エコツーリズムの同線苦
緒言
5エコツーリズム例制主
6結 言
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キーワード
エコツーリズム，定義自然環境地元の利益
1緒 言
エコツーリズム(醐l
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曲 目m)は自然環境を保護しながら観光資源とし
て利用しようとする新しい形態の観光として注目を集めている. I
州)年代以降，日本でもエ
コツーリズムを紹介する文献や報告が地えており，観光産業のパンフレット類やメディアに
も工コツーリズムや工コツアーという言葉が日常的に現れ自然環境や地域社会に大きな負
荷を与えるマスツーリズム (
m四 一t
刷 用m)の欠点を解消した観光として，エコツーリズムは
期待されている.
船丘は工コツーリズム以外にもエコライフ(悶t
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)やエコビジネス (
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抽 出r
臨 ) ，エコ
ショップ (田副1Op)，エコマネー(問問 問)など
r
エコ Jを付加した言葉は数多い。こ
れらはいずれも自然環境や生態系の保全 ・保護を意識した命名であり，エコツーリズムも同
じ基盤を持つものと考えられる.しかし一方で，顧客の興味を引いて販売に結びつけるため
に，何でも 「
エコ」をつけるという安易な選択の傾向も見られる.実機，単に「エコ」を冠し
ただけと思われるエコトラベル(悶岡崎0，エコバケーション(師四国 間)，エコベンチ
ャ -("沼町nlW芭)，エコクルーズ (
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町田)などの言葉がツアー広告などに見られる (
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1
9
9
2
)。自然環境への配慮に欠け，単にマーケティングの必要性から 「
エコ」を付けただけの
エコツアーも広まりつつあり，本来のエコツーリズムとの混乱が生じている.
また，国内の新聞などのメディアもエコツーリズムやエコツアーを取り上げている.例え
ば1
9
9
2年 9月2日付けの読売新聞では“ブームを呼-5(エコツアー"という見出しカ吋でに
出ている.記事の内容は旅行代金の一部を自然保護に寄付するエコツアーを旅行会社が始
めたというものであり，ここでは直接的な寄付を通じて自然保護に貢献する観光を「工コツ
8
4
敷田ー藻草
観光町一形瞳としてのエコ ツーリズムとその特性
アー」としている.旅仔代金の一部を寄付に回すことの是非について本輸では問わないが，自
然保護団体への寄付だけでエコツアーが成立するとされていることは問題であり，エコツー
リズムに参加すれば自然保護につながるという単純なものでもない.むしろマスツーリズム
のー形態とすべき観光をエコツーリズムと呼税すする例も見られる.
このようにエコツーリズムの台頭とともに，エコツーリズムがまるで自然保護のための活
動であるかのような誤解や混乱がしばしば見受けられる.その原因として，エコツーリズム
について考える際に，観光と全く切り離してエコツーリズムという言葉を用いていることが
考えられる.そこで，本輸では自然環境を対象とした観光の歴史的な総品を辿りつつ，エコツ
ーリズムの誕生とその経緯を整理した上で，観光のー形態としてエコツーリズムを定義づけ
る.そして，エコツーリズムの定義からその特性についての分析を試みることにした.
2
.エコツーリズムの誕生と経緯
エコツーリズムは自然環境を保護しながら観光資源として利用しようとする新しい形態の
観光であると述べたが，もともと観光は白書犬環境を対象とする例が多い.手つかずの自然や
優れえ環境は文化i
量産や歴史的建築物と並んで盈要な観光資源であり，古くから観光対象と
現制.例えばオーストラリアを訪問する日本人観先客の約
して詑!められていた(柏岡田e1
3分の lは 野 生 のペンギンを見学できるフィリ 、
ノ
プ島を訪ねている(山村問却).また，北
部オーストラリアの都市ケアンズはグレートバリアリーフと熱帯雨林への観光で急激に発
展し，日本人観光客が絶え間なく訪れている.さらにコスタリカでl
主広大な国立公園を訪問
9
8
9
)
.
する観光客からの収入が外貨収入源で第 3位に位置づけられている(R叩閣官 11
このように，大自然や優れた環境が船t
産業と観光客の両方から重要な観光資源として認
められてきたことは事実であり，多くの観光客カt
参加するマスツーリズムの l種として古く
，山崎 1
9
8
6
)
.その例としてはサファリツアーや登山など市場げられる.
から存在していた (y
もちろん，それらは現在定義されているエコツーリズムとは差があり，特に自然環境に対す
る学習という点では不十分であると思われる.正確に言えば単なる「自然環境鑑賞聖観主b
であるかもしれない.しかし，自然環境を対象としたこのような観光の歴史的な結晶が十分
に認識されないと.現在のエコツーリズムカ埠紛 I
J
な存在であることは説明できない.
それで』止エコツーリズムは正確にはいつから注目されるようになったのであろうか.
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1
. (J開ヨ)は
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エコツーリ ズムの即曲創立 1%5年に H由町によって示されえ生態学
叫 岡田sm) である Jと主張している.その後 l
鋤年代までは生物学者や地
的観光(間同i
理学者，またその分野に関心の高い観光客がガラパゴス諸島を訪れる観光について，科学的
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と名付けている例はあるが(凶m 田 & D
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観光 (
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) .他に目立った定
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国立民主実学怖物園調査報告
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;11.よい.もっとも B哨 時 制
(
19
7
6
)は
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環境と働 の関帳には両立(蹴XlStef悶) ，対
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醐)があり，対立を超えた共生という相互の利益均視証される状
立(∞n
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)， 共 生 匂mb
態がある」ということを早くから予想していた.
1
9
初年代になると，エコツーリズムは観光パンフレッ トやメディアに現れ観光分野で日
常的になり始めた. W
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山副首(1押2
)は 1
9
8
0年代に入って自然環境に院心を持つ観光客のグ
ループカ切れたと報告しており，佐藤(1卿)もやはり
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自然と環境に優しい"観光が 1
9
8
0
年代に入って欧米で見直されていると述べている.また，円明年までに発表された工コツー
が 1
9
8
7年から 1
9
卯年までの 3年の問に発行されている
リズムに関する文献のうち， ω %
(同岡田 l
焼却).従って，実際にエコ ツーリズムが材倒じしたのは
1
9
8
0年師、らと考えるの
が妥当であるう.
9
8
0年4
幼もの拡大にはどのような背景や契機があったのであろうか.
エコツーリ ズムの 1
この点について， 8∞(19
9
2
)は 「
自 然 保 護 分 野 と 飴 憧 恥 耐 の 棋 が 一 致 し たJと分析
した.つまり自然保護分野からは開発と自然保護の調和や自然保護に対する経済的インセ
ンティプの設定という要望があっ た.逆に観光産業からず主観光資源としての自然環境の再
評価，環境学習に対する働憾の要求の増犬があ1
った.また， 8幽吟k
i(
19
7
6
) 峨見光が自然
保護地域で果たす役割の重要性について早くから取り上げており，観光と自然保護の共存を
予想している.加えて， 1
9
8
0年代後半からの自然保護運動の高まりがこの傾向を助長したと
考えられる.以上のよう l
ζ 自然保護と観光産業の利害の一致カ1エコツーリズムの発生の原
因であると考えられる.
しかし，その後エコツーリズムが注目を集めるほど普及した原因について，これまで体系
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I
.(
19
9
8
) はエコツーリズムが普及した理
的に分析した研究は少ない.その中で， L
由について次の 3点を挙げている.そればD
自が環境に対する関心の高まり， ② (
特l
こ小学
校での)環境教育の普&.③自然環境に関するメディア紘基の鉱大である.<Dこついてはヨ
ーロッパ各地で緑の党の勢力柑はしたことや， 1
9
8
8年の勉草国首脳会議で環境問題カ滋題
になったことから分かるように，世界的な自然保護運動の高まりが 1
9
8
0年代に起こっている
(岡島問地)ことカ懲げられる.②こついては 1
9
剖年代ではない杭環境教育を専門とす
9
7
0年のアースデイを契機に米国で増え， 1
9
8
0年代の停滞期を
る大学 ・大学院などの設立が 1
超えて限却年代に再E
舟苦発化している(森 1
9
9
8
) ことなどを示すことかできる.③につい
ては環境問題に関するメディア報道成環境問題やその対策の重要性の認識とともに世界
的に噌加していることからも明らかである.
9
初年代前半
ところで，観光産業の鉱大は同曲年代以降一貫した傾向である於その中で 1
は世界的な景気悪化による観光客数の停滞が起こった(加問， 1
9
釘
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1
聞の.この
時期はその危機を解決しようとして，観光産業が魅力のある観光を僕索していたと考えられ
86
敷田・様車
匝光由一形瞳としてのエコツーリズムとその特性
る.そこへ世界的な環境重視の機運が重なって，エコツーリズムが l
卿年悠簿業写発車民義
ので』刷、ろうか.エコツーリズムで有名なオーストラリアのカカドゥー国立公融匂動
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客抗急激に培えたのは 1
9
8
0年 後半であり(AN
u1995) ，
の高まりと，より特化したタイプの観光に対する要求カf
一致して，エコツーリズム均等車
大したものと考えられる.
~挙訊
一方で，世界標準になっていたマスツーリズムカ1多くの問題を引き起こしていることへ
の解決策としてエコツーリズムが発展したという主張は多い.ところが，エコツーリヌA李
マスツーリズムのアンチテーゼと位置づけることに対しては異論もある(エコツーリズム推
進協級会問9
9
)
.つまり，エコツーリズムは貨源に対する配慮を持っているが，マスツーリズ
ムにはそれがないという考え方に対して，両者は質的に巣なる観光であるという主強である.
しかし，エコツーリズムが今日のように隆盛する以前はパッケージ化されたマスツーリズ
ムが主琉であったことを考慮すると，マスツーリズムの存在がエコツーリズム発生の背後条
件であったことは事実である.特に，マスツーリズムが自然環境に与える悪説響には無視で
きないものがあり(McE同~&也A1bt岬岡田内90 ほか多数) ，それに対する反省舟淫底にあ
ったと思おれる.また日本でも，マスツー リズムやそれに関連するリゾート開発によって自
然環境の磁駿カ宅多発し，観光開発の内容が問題になっている例は多かった(佐藤内田， 三木
開閉など).このような状況の中で，マスツーリズムに代表される，従来型観光にはなかった
自然環境に配慮した観光であるエコツーリズムが，マスツーリズムの欠陥を補う観光として
注目を集め出したと考えることが自然である.
3.エコツーリズムの定義
エコツーリズムは「自然保護の手段Jとして特別に取り級われることもあるカ1あくまで
も観光のー形態である.従って，小沢(1992)州首嫡しているように，観光の定義を明らかに
してからエコツーリズムについて分析することが重要である.大きく見れば観光はレジャ
ー活動の一部であり，人間の行動を対象としているので，一定の基準でその領域を定義する
ことは厳しし、しかし，対象とする分野の範聞を明らかにしないかぎり，問越悌決はできない.
そのため，
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h(
1
9
8
9
)も指摘している通り，観光について分析を試みる際には定義を明確に
，
し ~形訪す象を限定しておくことが基本的な課題である.本稿が対象としたエコツーリズム
についても，観光のー形怨であることに変わりはない.従って，観光自体の定義を明確にして
からその内容について言及する必要がある.
この点については敷回(1994) が指摘しているれその後日本で報告があったエコツーリ
ズムの定義は観光の位置づけを明確にしないままに定義を試みているものが多い.この傾
87
国立民線学陽物館調査報告
2
3
向はツーリズムを日本語の f
働'tJと切り放して使用しているために余計に強まっている.
また エコツーリズムを自然保護運動と関連して紹介する例市ゆいため，エコツーリズムが
E
環境問閣の解決手段であるかのように錯覚し，その手段自体が持つ危うさを覆い隠し，誤っ
た認識を生む原因となっている.そこで，本需では観光の定義を明らかにした上で，観光のー
形態としてのエコツーリズムの分析を試みる.
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o
u
r
首 m)についてはエコツーリズムが台頭する以前から数多くの定義ドが発表
まず，観光 (
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且 1
9
8
8など).しかし，研究者や統計作業がその目的に見合う定義を占要とし
されている (
ていたことから，その後も含めて国や側側によっていくつもの定義が発生してきた(シーア
ボルト 1
9
9
5など).実際のところ，広報の観光は自分の居住地以外を訪問する行為とそれに
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m1
9
8
3
)
.
関連することであり，そのポイントは移動距離と滞郁寺問であるとされている (
こうした観光の定義では，観光と観光客(刷皿描)を区別して定義する例が多い (
p田 m
1
9
8
9
)
. まず，観光の定義は '
r
レジャーやレクリェーションを目的として附予し，
附甘に滞
9
8
9
).また，観光の要素を
在することから派生する現象Jとするのが 寸効甘である(両都e1
F
より分析的に扱った例として
r
観光とは日常生活圏以外め目的地への人々の一時的移動，目
的地での滞在中に従事す吾活動および参加者の欲求を満たすための手段である j とする
Ma
山e
剛
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叫(19
8
2
)の定義がある.ここで勧t
についての重要な要素は日常生活圏を
S
m抽 1
9
8
9
)や
，
雌れることと移動である.その他に経済的分析のために観光を定義した例 (
地理的な要素に着目した例(Bon
i
品目 &0
∞per 1
9
8
7
)などもある.
次に観形喜についてI~
r
レクリエーションやスポ
ツ ・健康を目的として， 2
4時間以上 l
年以内滞在する B
柑子者とする」という OEC
Dの定義があり (
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E
CD1
9
9
3
)，国際観光におけ
る統計はこの定義を燥用している.しかし園内旅行者については各国でそれぞれの基準を
採用している例が目立つ.例えば米国では，全米観光資源調査委員会 (
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即回1
1
1
阻 n
sm
R間 町 eR
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wCo
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)杭自宅から約印刷雌れたところまで出かける術手者を観光客
9
9
5など).
としている(シーアボルト 1
一方，圏内における観光の定義は働制こ関する蹄怜著作の中でまとめられてきた.山村
(
1
9
7
4
)は 1
9
7
4年に，働t
とは 「
休養や教養のために人が日常生活圏を離れて移動すること J
であると定義した.この定義は山村 (
1
型地)によって再度確認されている.また，足羽(19
8
8
)
i
主観光政策審議会が 1
9
6
9年に内閣に答申した「国民生活における観光の本質とその将来像J
の中で示さすl
k
. r
日常生活闘を離れて異なった場所での行動力観光に特徴的である」とい
うことを観光の定義として採用している.このように日本における 「
観光』の定義は
「
日
常生活圏ではない場所へ何らかの手段で移動し，休養 ・教義などのレクリエーション活動に
従事すること Jであると考えられる。
8
8
敷田 ・様車
祖先のー形盤と してのヱコ ツー リズムとその特性
日本における観光の定義に共通することは滞在時間に関する具体的な規定がないことで
ある.これについては統計的目的以外で滞在時間による観光の分類の重要性は低いという
山村 (
1
捌)の指摘もある.また，働E
の観光学辞典(長谷編 l
岬7
) の定義でも時間には触
れていない.しかし，社会経済学自悌析が目的になる場合は滞在附"について具体的に定義
する必要があると思われる.特に，観光経済学ではこ才的t
重要である(小沢 1
9
9
宮)，このよ
Dの定義のように 「
船 出2
4時慨はの納宝(つまり宿泊を伴う)であ
うに考えると，OEC
るJとする定義市観光の境界を明瞭にできる.特に，レクリエーションと観光の関係を考え
る場合には重要な区分になると思われる.そこで，本稿では「宿泊を伴う日常生活園以外で
の休養や教養のための活動」を観光として扱うことにする.
観光の定義を明らかにしたところで，エコツーリズムの定義に言及する.エコツーリズム
e
n
町e
t
a
l
.(
19
9
3
)が主張したように，1
9
6
5年に H成町 によって示された生態学的
の創始は Gr
観光であるとされる.しかし H
o
問 y(
1
9
9
9
)I
主 「
ラテンアメリカの国立公園に関する仕事で，
Mi
l
l
e
rが 1
9
7
8年にエコツーリズムの概念を生み出したのがt)胎である」と述べている.また，
n
g(
1
9
栃)の文献がある， Young
工コツーリズムを比較的早い時期に使河した例として， You
は自然環境と刑事日しながら持続し，地元にも利益カち里元される観光をエコツーリズムと呼ん
R
o
m
e
r
il
(
19
8
5
)は 臥由 時k
iが 1
9
7
6年に環境と観光の共生を提唱した時よりも，観
だ.さらに，
光産業が自然保纏に関わる度釦功唄部調えているとしている.
eE
c
o
t
o
町 mSoc町)はエコツーリズムとは 「
自然環境を保全し，
エコツーリズム協会(
明、
地元住民の福祉の向上につながる責任ある旅行Jであると比較的単純に定義している.しか
し，エコツーリズムに関する定義はこれ以外にも数多い.マスツーリズムの対極としてのエ
9
9
9
)，-A錨甘にはマスツーリ
コツーリズムには批判もあるが{工コツーリズム推進協議会 1
a
t
J
e
m
a
t
i
v
et
om晶 S田町芯m)
Jであると考えられている (
C
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ズムからの 「
もう一つの選択肢 (
a
l
.I
円前.また，それは以前から議論されてきたオルタナティプツーリズム(
油開 国v
e
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o
u
r
i
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)や遁切なる観光(匂甲-opnal
e畑町田)などと多くの共混成Z
を持ち， "
S
ma
l
li
s岡 山血1."
の哲学を持つと言われている (H
岡町 c
e
回目白-Las
旧制 1
9
9
6
)，この哲学はドイツの経済学
者シューマッハーカ電車べた 「
中間伎術J (シューマノノ
、 、- 1
9
8
6
) を観光分野で実現していく
ことであると考えられる.
ここで，今までの研究や報告で発表されているエコツーリズムの定義を整理した(表 l参
照入数多くの定義が禾されている玖その共i
且煮は「基本的に自然環境を享受することに関
係する」ということである.地域への還元や環境学習機能の付加を条件とする定義もあるが，
すべての定義にそれらが備わっている釈ではない.ただし，短期的に自然環境を搾取するの
ではなく，持続的に自然環境を利用し享受していこうという特徴が，いずれの定載にも認め
られる.
89
国立民旗学博物館調査報告
表 1 エコツーリズムの定義に関する報告や文献
臨調。の定轄を節~L-.
問調。年
r
エコツーリズムは曲直回Jru11lの同義語であり，
E蝉偽そして文イ凶官字在を高〈評価し，研究し，そして事畳するとい
って，比樹9
人的破壇や汚染を畳けていな川副刷出削
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ビジターに環境教育機会を提供することにより，自黙保醜南自然保積区づ〈り
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敷田
様車
観光のー形聾としてのエコツーリズムとその特性
結局，現在考えられているエコツーリズムはエコツーリズム推進協議会 (
J卿)が主強す
るように「多様Jであり.1つの決まった形態(ステレオタイプ〉はなく，むしろ自然環境を
基盤とした観光の総称や分類として使われる傾向がある.もちろん，その際には従来型の自
然環境鑑賞型観光とは異なり，基鍵となる自然環境への負荷を最J
'
偲にすること拠、要であ
る。そして，次に観光の目的地である地元に対して何らかの貢献があること，その社会にとっ
ての利益があること由湿要である.ただし，後半の観光の目的地に対する貢献は 「
まず自然
環境に与える影響を最小にする」ことカ混成されていることが愚低条件である.これらから，
「
自然環療への負荷を最小限にしながらそれを体験し，観光の目的地である地元に対して何
らかの手l
溢や貫献のある観泊がエコツーリズムであると定義できる.
4 エコツーリズムの同義語
工コツーリズム以外にも『自然環境を楽しむための銀地の同義務カ管数使用されている.
ま
ず
， ー殻的なのがネイチャーベイスドツーリズム(岡田守七曲岡田町酒m)である. V
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閉 口市
(
J9
切)はこの言葉の簡潔な定義を 「
基本的に自然環境を楽しむことに関係する観主b とし
種類で IU
ょく，広い範聞の観光を指すことも述
た固また，ネイチャーベイスドツーリズムは l
べている.また，B∞ (
]
9
9
0
) はエコツーリズムをネイチャーツーリズム白紙W宅師団四 叫 の
同義語として使っている.
これと住民言葉に自然淘古]型働t岡 田 明 間 同 t
曲目m)がある.La
町田n& 臥回 (
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)
はネイチャートラベル仇血田岡崎1)や自然志向型観光を 「
教育やレクレーション，時に官険
を取り入れたスタイルの観7tJと説明した.また G国bume
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8
9
)は 「
写真撮影や録音な
どに従事するだけの，観光地にできるだけ訪問の彫響を及ぼさない形態の観7tJを生態学的
観光(闘阿国l同町 m) と分類した.そして，自然環境を対象とした観光である環境観光
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凶t
旧四百)でも，釣りやスキー，海水浴など，自然環境を利用するだけの観光を
(町四明u
0
町芯m) として区別している.その他にもエコツーリズ
レクリエーション観光仕国国
語O
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ムの類義語カ湖告や文献の中に多〈見られる.このようなエコツーリズムの類義語を盤理し
た(表 2参照).いずれも従来のマスツーリズムではない新しいタイプの観光を模索する動き
を示している.
91
呼物回調査裕告
国立民族学 1
3
2
表 2 エコツ ーリズムの類義諸
内
時期
4年
7
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回年
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問調。年
同担年
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研究や自然観集史
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剖年代に入って見直されたツーリズムのあり方.
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園町観光をぽす.
新しい観泊にはいろいろな名
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適切なるツ リズムJを目指す動きも起こ って 高田
マスツ リズムを見直し，より f
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ムがいきわたると，危険・困難・トラブ 高田
パックツアーに代表されるマスツーリス'
ルに出会 うこと 均 携になっているツアーを売り出す.
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.エ コ ツ ー リ ズ ム の 特 性
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何であ ろうか .そ
こうした新し い観光 も含め たエコ ツーリ ズム全 体に共 通する 特性は
あると 考えら れる. そこ
れがエ コ ツーリ ズムと 従来型 のマス ツーリ ズムを 区別す る点で
ムが目 指して いるも ののう ち，マ スツー リズム にはな い特性
で，本 稿では エコツ ーリス.
につい て考え ること にする .
.そこから，
表 3参照l
まず，今までに言及されてきたエコツーリズムの特徴を整理した{
る.しかし，そこに共
エコツ ー リズムに共通する特性を lつに絞ることは難しいことが分か
的貢献などである.本
通するものは優れた自然資源の存在とその保護，地成へ の配慮と経済
j，特にその中でも以 下の 3点を強調した い.
稿で I
92
敷由
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観光のー形態としてのエコツーリズムとその特性
表3
エ コ ツ ー リズ ム の 要 件 ・特 徴 ・規 準 に つ い て の 言 及
-目台世自に魅力カすある
・自然阜算問ための研究
・拶惇醇出制鴨金活動に.~慌的に生かされ品
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19
9
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)
.理師騨宣育とガイドの存在
-ガイドに対する￡甚な対価の支払い
. ビジターに自妙占間耐力要望~t，ある
N温四聞閣制回zの
-ツアー客江粗いは少ない
特徴
-女性や個人目参主曲事い
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-環境への最小の負荷
-刷紋化への最小の負荷かつ愚大の貸辞
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)
-他にない自開揖境
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-唖境保全に対する経済的支揖
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-自問珪揮を恒先する
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E唱陣{四>4)
-白熱地峻カfあること
-調査事碗の実施
エコツーリズムの重体￨ ・調査研究結果の惇護へ同量元
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冊 ( 1 閉)
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ツーリス ト倶粉、らの欄蜜貯占掛
エコツーリズムの耳持 エコツーリズムはガイド付きの小盟複ツア カ唱喜本である.
位四"'"合"の特徴
ヱコツ リズムカ旬並来由自然哩演且雌光と異なるのは
-エコツーリズムによる地域振興
93
国立民接学 t
容物館調査報告 2
3
まず第 lに，自然環境に与える影響を最小限にする努力である.従来の観主防t
自然環境と
の共生ではなく，むしろ対立する関係になって観光公害と言われるような悪影響を自然環境
に与えていたことに比べると，大きな差である.
にはあまり認められなかった観光地地元での利益
第 2に，今までの自然環境鑑賞豊勝t
の創出である.自然環境を楽しむだけの観光は開発を必要としないため，観光地での付加価
値創出には結びつかないと従来考えられてきた.しかし，優れえ自然環境が観光客を集める
魅力は大きく，自然環境を楽しむだけの観光でも地元(観光地)の経済に貢献することが世
界各地で実証されてきた.このように自然保護だけではなく，自然環境在利用して地元に経
済的軍 )
1
益をもたらすこと杭エコツーリズムの特性である.実際，自然保護区の設定と地元の
経済的柑槌求の両立可能性を肯定する研究例はこれを支持している句F
∞etal.1
朔 ).
第 3の特性は自然環境を理解・コミュニケーシヨンするための努力である.とれは調査・
研 究 明 を と る こ と も あ れ ば 口 ツ アーの中 で 糊学習の機会噌定される場合もある.
これまでの自然環境鑑賞聖観光は表面的な美しさや風景を鑑賞亨るこよに皇宮が置かれて
いたが， エコツー リズムでは自然環境必理解し，コミモニケ?シヨぷ'
することが観光の目的
であり，参加する観光落もそれに対して高い関心を持っている.また，こうした理解・コミュ
ニケーションが進めば自然環境に与える影響陀敏感になり，結果的佐観光が自然環境に与え
る影響の減少も期待できる.もちろんこの点については開棋連理解すればそれに闘
を与えなし司守動を取るか，という検証は必要である.
また，Val田町e (
19
9
0
) 古池べているように，エコツーリズムに坦低限必要なことは優れえ
自然環境とそれを楽しむという姿勢であろう.エコツーリズムは自然環境と邑~.8'に関連して
おり，時には自然環境の変化によって観光内容が劉じすることもある.例えば天候カ零〈目
的の地域に入れないとか，目当ての生物に出会えないという ことカ嘩げられる.このように
自然環境に対する依存性は従来の観光よりも強い.
6結 言
1
9
8
0年代以降，エコツーリズムは観光分野において日常的になってきたが，同時に工コ ツ
ーリズムに対する誤解や混乱も生じている.本積では観光のー形態としてエコツーリ ズム
を捉えたが，自然環境を対象とする観光は古くから見られエコツーリズムもこれに端を発
する.そして，S
∞(1開2
)由ヰ樹宵するように，自然保護分野と観光産業の利害の一致がエコ
ツーリズムの発生の原因であると考え られる.その後世界的な自然環境に対する関心の高
まりと，より特化したタイプの観光に対する要求が一致して，エコツーリズムは世界各地で
普及した.
94
敢闘 ・議量
観光の形睡としてのヱコ ツ リズムとその特性
エコツーリズムの定義は多様であり，自然環境を基盤とした観光の総称や分類として使わ
れる傾向がある.本績では基盤となる自然環境への負荷を最小限にすることと，観光の目的
地に対する貢献を鑑みた上で， エコツーリズムを 「
自然環境への負荷を鼠小限にしながらそ
れを体験し，観光の目的地である地元に対して何らかの利益や貢献のある観光j と定義づけ
た.また，エコツーリズムの特性として，①自然環境に与える影響を最小限にする努力，(I灘
光地である地元での利益の創出，③自然環境を理解し，コミュニケーションするための努力
点を挙ばた.
の3
日本の地域の多くは現在急激な少子・高齢化市池行し，財政制約によってシビルミニマム
の確保が困難になるなど，厳しい環境下に置かれている.エコツーリズムは手近な自然環境
を観光資源として利用できることに加えて地峨経済への貢献が期待できるので，自然保護を
訴える側にも経済的な利益を求める側にも受け入れやすい地域振興策であり，地域活性化の
一助になると期待されている.しかし，本棺で示したようにエコツーリズムは自然環境に影
響を与える可能性のある観光のー形態であるということを認識しなければエコツーリズム
本来の意義市咲われ自然環境や地域社会に大きなインパクトを与えることにもなりかねな
い.従って，エコツーリズムの定義や特性で悔げたように，自然環境への負荷を最小限にする
という前提カ湿要である.本輸で示したエコツーリズムの 3つの特性を理解した上で，地域
が主体的にエコツーリズムの実現を追求していけば持続可能な地域社会の実現に結びっく
ことも可能であると考えられる.この工コツーリズムの発展過程については別稿に譲りたい.
文献
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