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名古屋市立東部医療センター ~臨床研究の新しい風~
名古屋市立東部医療センター 臨床試験管理センター 名古屋市立東部医療センター ~臨床研究の新しい風~ 編集人: 名古屋市立東部医療センター 臨床試験管理センター センター長 村上善正 ℡.052-721-7171( PHS 4627, 内線 2355)e-mail: [email protected] http://www.higashi.hosp.city.nagoya.jp/ No.15 Jun. 2012 本誌は、臨床試験管理センターで入手する最新情報などを多くの皆様と共有するNEWs誌です。 【 主な話題: “臨床検査精度管理” 「100 点満点」の評価を受けています! 】 臨床試験管理センターの益々の発展を願って 名古屋市病院局長 山田 和雄 最近の医学・医療の発展に欠かせないものとして、臨床試験(介入を伴 う臨床研究)を行うことが挙げられます。治験(医薬品・医療機器の製造 販売承認を国から得るための臨床試験)を含む臨床試験を行える医師養成 のため、2010 年 2 月には協議会(臨床試験医師養成協議会:会長は日本医師会会長)が設立 されています。治験はもとより、より良い治療法を目指す臨床現場の疑問等に基づき臨床試験 実施計画書を作成して実施するなど、質の高い確実な医療を患者さんに提供することは医療者 の責務の一つでもあります。 東部医療センター臨床試験管理センターは、従来の企業依頼の治験のみならず医師主導臨床 研究について、その実施の適否を判断する委員会(IRB:名古屋市立東部医療センター臨床研 究審査委員会)の事務局を兼ね、昨年設立されてからの 1 年間にこの役割を担いつつ、大きく 発展してきました。IRB は毎月第一水曜日の定例開催の他、必要時には臨時に開催されており、 平成 23 年度には合わせて 41 件の審査が行われたと聞いております。また、本年は西部医療セ ンター及び東部医療センターにおいても治験が実施されていると聞いております。IRB では、 通常とは異なる治療行為(データ収集を目的としない、現場での改善に類するもの)を行う際 の倫理委員会的な役割も果たしています。病院の価値が高まり、先端的な治療を行う機会が増 えるにつれ、被験者(臨床試験にご協力いただく患者さん)の保護及び科学性の観点から審査 する IRB の機能は、医療機関において欠かすことができないものになってきます。 東部医療センター臨床試験管理センターには、本年 4 月から臨床研究コーディネーター (CRC)が配属され、一層の被験者ケア及び研究者等の支援に繋がる活動への実施体制の強化 が行われています。CRC は、臨床試験が世界共通基準で実施されることになった約 10 年前に 誕生した医療と臨床研究の知識を有する新しい専門職です。臨床試験管理センターには、名古 屋市立病院各科の医師等が多施設共同臨床試験に参加できるよう支援を拡充するとともに、 SMO(治験施設支援機関)など外部機関とも連携を図り、積極的に臨床試験に関わることを容 易とする支援が、今後も期待されます。現在、東部及び西部医療センターを統合した「名古屋 市立病院臨床試験管理センター」へ発展改組することが検討されています。病院局全体で臨床 試験管理センターを必須組織の一つとして盛り上げていく予定ですので、是非積極的に臨床試 験管理センターをご利用いただきますよう期待しています。 検査結果は、治療方針や効果、予後などの評価に重要で、患者さんの状態を正確に反映し なくてはなりません。検査施設においては、測定値が正しい結果になるように検体の採取か ら取扱いに至るまで様々な管理条件を設定し、検査機器のメンテナンスや測定方法の研鑚を 行っています。このような検査結果が正しいものとなるように管理することを精度管理とい います。臨床検査の精度管理には、検査施設ごとに実施する「内部精度管理」と日本医師会、 日本臨床衛生検査技師会、愛知県臨床衛生検査技師会などが検査施設を対象に共通条件のも とに広域で測定結果を調査する「外部精度管理」があります。 当院検査科では、平成 3 年より外部精度管理を受けています。特に、昨年度の日本医師会 臨床検査精度管理調査(生化学検査、腫瘍マーカー、感染症、尿検査、血液検査、凝固検査 の 45 項目)において「100 点満点」の評価を受けました。満点の評価は、3,196 参加施設中 の限られた約9%の施設です。毎年、高得点評価は受けていましたが、日々の努力により満 点の評価を獲得することができました。検査結果が真に信頼できるものであるために、 “内と 外”の両面から万全の体制のもと臨床検査精度の維持と向上に努めています。 また、当院は第二種感染症指定医療機関であり、心臓血管センター・脳血管センターも設 置され、他病院の検査室ではあまり縁の少ないマラリアやデング熱等の輸入感染症検査やバ スキュラーラボ(血管検査室)の血管に関する検査も実施しております。私たち検査技師は、可 能な限り病院の要望に耳を傾け、 「迅速・正確」なデータの提供に取り組んでまいります。 (中央検査科係長 小川 新介) 検査オーダ画面「治験」タブを追加しました。 ( 治験の検査項目がオーダ可能となっています! ) 【 編 集 後 記】 この 6 月、東部医療センターで開催された「名古屋市立東部医療センターにおける治験・製 造販売後調査等実施体制説明会」において、専任 CRC による支援体制、薬剤部長による安全性 情報の扱い及び名古屋市立病院 1000 床の共通認識となる迅速な手続きなど円滑に、着実な実施 に繋がる一元管理などの紹介が行われました。 「患者さんと職員の笑顔」を目標により一層、質 の高い確実な医療を提供するため治験等を実施し、市民の皆様の健康増進に貢献 できるよう努めてまいります。引き続き、市民の皆様および名古屋市立病院の 皆様のご理解・ご協力をお願いいたします。 (小池香代、嶋野佳代)