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腎盂尿管鏡検査について
【手術(検査)の目的】
腎盂・尿管がんや、特発性腎出血の診断・治療におこなう内視鏡検査です。
尿道から内視鏡を膀胱内に入れて、さらに尿管内にまで内視鏡を進めて、尿管と腎盂の中を観察します。
腫瘍病変があった場合はその一部を採取して病理組織検査に提出します。あわせて腎盂内の尿も採取し
て尿細胞診検査に提出します。腫瘍を治療する場合は、レーザーで焼灼します。特発性腎出血の場合は、
その出血点をレーザーで止血します。
【検査方法と術後経過】

手術室で行います。麻酔薬を背中から注入する下半身麻酔(脊椎麻酔)もしくは全身麻酔で検査を行
います。

足を開いた体位をとって陰部を消毒したのち、尿道から内視鏡をいれて膀胱内を観察した後、尿管口
と呼ばれる尿の流出口からさらに尿管・腎臓内へと内視鏡を挿入していきます。生理食塩水を灌流し
ながらモニター画面で尿管・腎盂内を観察し、病変が確認できれば組織生検を行います。最後に尿道
カテーテルを留置して終了になります(たいてい翌日に抜去します)。通常は行っておりませんが、
必要に応じて終了時に尿管ステントと呼ばれるチューブを尿管内に留置する場合もあります(後日、
抜去します)
。検査のみであれば手術操作時間は15~30分程度です。尿管のかたちによって難易
度が異なりますが、尿管を損傷しないように細心の注意を払って検査を行っています。ただし後述す
るような尿管損傷の可能性はゼロではありません。尿管の狭窄や蛇行などによって内視鏡がうまく
挿入できない場合は無理せず検査終了にしますのでご了承ください。
東京都立大塚病院泌尿器科

手術(検査)当日は禁食となりますので、朝から点滴を開始します。当日に抗生剤の点滴投与を行い
ます。通常、点滴は手術翌日に終了する予定です。

手術(検査)後は基本的に翌朝までベッド上安静となります。翌朝から食事・歩行を再開します。尿
道のカテーテルは、血尿の程度をみて抜去します(たいてい翌日に抜去します)。問題なければ術後
2日目以降に退院可能となります。
【合併症について】
手術中
□ 尿管損傷:大別して尿管穿孔(尿管の壁に穴が開くこと)と尿管断裂(尿管が裂けてしまうこと)の
2つがあります。軽微な粘膜損傷ではとくに処置を追加する必要はありませんが、尿管穿孔をきたした
場合には、尿管ステントと呼ばれる細いチューブを留置して手術を中止し、穿孔部が自然に治癒するの
を待ちます。経皮的腎ろう造設術(腰から直接腎臓にチューブを挿入して尿を排出します)を行う場合も
考えられます。万が一、尿管断裂をきたした場合には、腎尿管全摘術あるいは尿管再吻合術などの緊急開
腹手術の必要性が考えられます。
重ねて申しますが、私どもも尿管損傷を起こさないように細心の注意を払って内視鏡操作しております。
ただし尿管損傷の可能性はゼロではありませんので、尿管の狭窄や蛇行などによって内視鏡がうまく挿
入できない場合は無理せず検査(手術)を終了しますのでご了承ください。
手術後
□ 血尿:手術後の血尿はほぼすべての方にみられますが、通常数日から 1~2週間で自然軽快します。
□ 発熱(腎盂腎炎など)
:抗生剤を手術当日に点滴投与します。術前からの尿路感染症に起因する場合
と術後の尿路閉塞に起因する場合があります。敗血症にまで至る頻度は少ないですが、もしも起きた場
合には抗生剤投与の追加延長や尿管ステント留置などの対処が必要になります。頻度は少ないですが、
男性の場合には前立腺炎などが生じる可能性もあります。
□
尿道カテーテル留置に伴う痛み・いきみ感:通常手術翌日まで尿道にカテーテルを留置しておきま
す。痛みやいきみ感が強いときは鎮痛剤の坐薬などを使います。
□ 膀胱刺激症状:術後に頻尿や排尿時痛を伴うことがあります。たいてい自然軽快します。
□ 頭痛、下肢の違和感:麻酔の影響で起こることがあります。多くの方は自然に軽快します。
□
深部静脈血栓症(肺塞栓症):手術中もしくは手術後の臥床中に足の血管内で血液の固まり(血栓)
ができて、手術後に離床した時にそれが肺へ飛んで肺の血管を詰まらせる病気です。万が一、血栓症が発
症した場合、抗凝固薬(血栓形成を抑制する)や血栓溶解薬(血栓を積極的に溶かす)を投与するととも
東京都立大塚病院泌尿器科
に、1 週間程度安静にする必要があります。程度によっては命に関わることもありますので、弾性ストッ
キングとフットポンプを両足に装着して予防します。
このほかにも手術に際してあなたの場合は下記のようなご病気があるために、ご病気のない方に比べて
危険(リスク)を伴います。
あなたのほかの病気:
また、入院中であっても脳梗塞や狭心症、心筋梗塞など高齢者に多い血管疾患が突発的に発症する可能
性がないとは限りませんのでご了承ください。
万全の注意を払って手術を行いますが、実際の手術(検査)には上記以外の予想し得ない合併症がおきる
ことがあり得ます。万が一そのような合併症がおきた場合には、迅速に適切な対応をとらせていただき
ます。
【退院後の生活について】
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血尿が軽快するまでは一般的に飲水量は多めにしていただきます。
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飲酒は1週間控えてください。アルコールは血管を拡張する作用がありますので、再出血を助長する
危険があります。
【手術(検査)後の予定】
生検した組織は病理検査に提出します。がん細胞の種類や広がりなどを顕微鏡で検索します。病理検査
の結果がでるまでには通常1週間程度かかります。
退院前もしくは次回の外来で担当医よりご説明します。レントゲン画像、内視鏡所見、組織生検および尿
細胞診の結果、腎盂尿管がんの診断が確定した場合は、腎尿管全摘除術などによる治療のご相談をさせ
ていただきます。
東京都立大塚病院泌尿器科
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