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神戸の産業
神戸の産業 地場 産業 天然の良港や豊かな自然を背景に生まれ、外国人居留地からもたらされた洋風文化に触れながら、発展してきた 神戸の地場産業。 これらの産業はまちの経済を支えると同時に、100年あまりにわたり神戸の文化や歴史をかたちづくってきました。 今後も市民やまちとともに、進取の気風が香るまち、神戸を映し続けてくれることでしょう。 神戸洋服 卓越したデザイン技術を誇る 明治2年、英国人カペルが居留地16番に店を開いたのが神戸 での洋服店の始まり。その後、近郊から職人が集結し、神戸洋服 産業の基盤が築かれました。 「神戸洋服」という固有名詞は、 卓越したデザイン技術に敬意を 表して名付けられたもの。ヨー ロッパの流行を取り入れた紳士 服は、洋行帰りの人を中心に愛 用 さ れたとい い ます。す べ て オーダーメイドで仕立てられる神 戸洋服の技術は現在に受け継 がれています。 神戸洋家具 ヨーロッパ家具を 日本風にアレンジ 居留地に住む外国人が本国から運んできた家具を修理したり、 設計を模倣したところから神戸の洋家具業が始まりました。 神戸の洋家具は手作りが 基本。さらにヨーロッパ家具 をもとに、日本 人 の 好 みや 使いやすさを考えて作られ ています。 職人の工夫や温もりが感 じられる神戸洋家具は、現在 でも「手作りの高級家具」と して広く愛されています。 コーヒー 洋風文化と結びついた 地場産業 コーヒーの輸入が始まった 時期は定かではありませんが、 開港以来の洋風文化の伝来と 神戸港を経由した生豆の輸入 により、明治時代に焙煎業者が 多く根付いてきました。 また、喫 茶 店 の 元 祖となる コーヒーハウスが日本で初め て開店するなど、洋風文化と結 びついた神戸らしい地場産業 の1つです。 15 産業 洋菓子 神戸のおいしさの代表 神戸の洋菓子づくりの基盤が築か れたのは大正時代。第1次世界大戦で 日本軍の捕虜となり、そのまま日本に とどまったH・フロインドリーブ、ロシ ア革命を避けて来日したマカロフ・ゴ ンチャロフ、F・モロゾフらが本場の洋 菓子づくりを神戸に持ち込みました。 その後、自国の味や技術を広めよう とする外国人や、洋菓子づくりに魅了 された日本人によって創意工夫が重 ねられ、神戸独特の洋菓子文化が生ま れています。 全国に名をはせた 神戸靴 「神戸の履きだおれ」 居留地に住む外国人の靴を 修理・新調するために、草履や 鼻緒職人が転業して神戸の製靴 業は始まりました。明治時代には アメリカで製靴を学んだ平野永 太郎が中心となり、神戸の製靴 業 は 本 格 的に発 達。高 度 な 技 術と高い品質が認められ「神戸 の履きだおれ」として全国に名 をはせました。現在でもハンドメ イドの高級革靴として高い人気 を誇っています。 アパレル ファッションを全国に発信 神戸のアパレル企業の多くが設立されたのは戦後に入ってから。 当初は問屋機能を主体としていましたが、次第に商品企画力を つけ、デザインと卸を中心とした業態へと転換が進みました。 昭和48年のファッション都市宣言以来、神戸では産民官一体 となってファッション都市づ くりに取り組んできました。 ポ ートアイランドのファッ ションタウン、六甲アイラン ドのファッションマート、神 戸ファッション美術館などを 拠点に、神戸アパレルを全 Ⓒ神戸コレクション制作委員会 国に発信しています。 農産 物 真珠加工 世界有数の真珠加工・集散地 神戸の真珠産業が本格的に始まったのは、昭和3年に真円真 珠の特許が公開され、各地で養殖場が増加してからです。当時、 真珠生産の大部分は輸出に向けられており、国際貿易港を備 え、真珠の養殖場が多い三重県や四国に近いという地理的条 件 から、北 野 町を中 心に真 珠 の 加 工・ 流通が発展しました。また、真珠の加工 (穴開けや連組み)に必要な安定した光 が、六甲山に反射して北側から得られた ことも理由にあげられます。 現在でも神戸は世界有数の真珠の加 工・集散地となっており、海外からも多 くのバイヤーが訪れます。 ケミカルシューズ ファッション性 豊かな靴の産地 明治以来、港での生ゴムの輸入とと もにゴム工業が盛んに行われてきた神 戸。大正時代はゴム靴の製造が始まり ましたが、昭和20年ごろからゴムの配 給を受けられなくなった中小メーカー は、さまざまな材料で靴を作るようにな りました。そこで誕生したのがケミカル シューズです。素材の開発や製法技術の 改善、デザイン能力育成などの努力を重 ね、神戸のケミカルシューズ産業は大き く発展。ファッション性豊かな靴をつく り、日本の靴業界をリードしています。 清 酒 日本一の呼び声高い清酒の産地 兵庫県の酒造業は、永正年間(1504∼21年)に伊丹地方で始ま りました。その後、六甲山南地方の 五郷(今津郷、西宮郷、魚崎 郷、御影郷、西郷)と呼ばれる地域に酒造の中心が移りました。 この地域で酒造業が発達したのは、原料になる米と水、醸造技術、 気候風土のすべてにおいて恵まれた条件を備えていたからです。 生産課税出荷量 が 全 国 の3割 近く を占めるなど、 五 郷の酒造業は日本 の清酒業界をリー ドし続けています。 北区と西区を中心に広がる神戸の農業は、 市域の大消費地と隣接し、多彩な農産物の 供給によって豊かな市民の食生活を支えて います。 しゅん さい こうべ旬菜 新鮮で安全・安心な 野菜を供給 「こうべ旬菜」は、農薬・化学肥料をできるだけ減らし、 新鮮で人と 環境にやさしい神戸市内産の野菜です。 「こうべ旬菜」の生産者 は、より安全・安心な農 産 物 を 供 給 するため、 畑の準備や生産・出荷 過程における管理工程 を項目にまとめ、作業の 際にその項目をチェック し、記 録する制 度「こう べ 版GAP」に 取り組 ん でいます。 神戸ビーフ (神戸肉・神戸牛) 世界に誇る 神戸ビーフの生産地 兵庫県で生まれた但馬牛の血統を持つ黒毛和牛の中でも、特 に肉質・霜降りの良いものをいいます。神戸ビーフとなる但馬牛 は、兵庫県内の指 定された生 産 者 が 育てています が、神戸市内には 特に優秀な技術 を持った生産者が 多く、毎日丹 精こ めて育てていま す。 神戸ワイン 神戸産ブドウ 100%のこだわり 昭和50年代からワイン 専用ぶどうの栽培が始ま り、昭 和59年の発売から 現在に至るまで、一貫して 神戸産ブドウ100%でつ くられています。 「こうべ 旬菜」や「神戸ビーフ」な ど、神戸の美味しい山海 の 幸には、神 戸 産ブドウ 100%のワインがよく合 います。 産業 16