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第2部 重点課題に対する学校運営改善を支援するツールの研究開発

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第2部 重点課題に対する学校運営改善を支援するツールの研究開発
第 2 部 重点課題に対する学校運営改善を支援するツールの研究開発
81
第7章 学校情報の収集支援ツールの研究と開発
本研究では学校情報の収集支援ツールとして、マークシートによるアンケート調査用紙
の作成ツールと、作成した調査用紙の集計を行うツールの開発を行った。これらは「学校
評価支援システム」として以前から広く利用されているが、以下の 2 点に置いて開発が必
要であった。
•
多様な環境で実行可能にすること
•
実行する PC のセキュリティに関する制限を変更することなく実行可能とする
こと
現在広く利用されているツールは、実行できるオペレーティングシステム(OS)や実行
に必要なソフトウェアのバージョンが厳しく制限されている。この制限を緩め、多様な環
境での実行を可能とすることが前者の目的である。
また現在利用されているツールの問題点として、実行する PC のセキュリティに関する制限
を緩める必要があった。本研究で作成されたツールで扱うデータは、その取り扱いに注意
を要する物も多い。情報の漏洩と言ったセキュリティ上のリスクを高めるため、セキュリ
ティに関する制限を緩めることは好ましくない。また学校や自治体のセキュリティポリシ
ー上、制限を緩められない場合もあり得る。ツールを広く利用するためにも後者の開発が
必要であった。
以上の 2 点について開発を行う以外に、Optical Mark Reader(OMR)ツールの認識アルゴ
リズムに対する検討を行った。現在利用されているツールは、マークシートを読み取る際
に誤検知を起こすこともある。効率的に集計を行うためにもマークシート読み取りの技術
である OMR の認識アルゴリズムの改善が必要である。そのため現在利用している以外の手
法を検討した。
7.1 多様な環境で実行可能な学校評価支援システムの開発と評価
現在多くの学校で利用されている学校評価支援システムは、次の 2 点を基本的な用件と
して作成されている。
•
実行する PC にインストールの必要がないこと
•
多様な環境で実行できること
学校評価支援システムが利用される環境では、ソフトウェアのインストールを自由に行
えないことが多い。これはセキュリティの観点から課せられている制約であり、新たなソ
フトウェアのインストールには多くの手続きが必要とされることが通例である。これは現
82
在利用しているソフトウェアのアップデートについても同様である。この制約を可能な限
り回避し、アップデートなども簡単に行うために、インストールをしなくても実行できる
ことが学校評価システムには求められた。
また学校評価支援システムが利用される環境は一様ではない。ハードウェアの面におい
ても多様である。またその上で利用されている OS も多様である。Microsoft Windows を例
に挙げるならば、Windows XP、Windows Vista、Windows 7 の 3 種類が存在する。これら以
外にも Mac OS X や Linux などのオペレーティングシステムが利用されていることも考えら
れる。これら多様な環境に対応することが学校評価支援システムには求められた。
これら二つの用件を満たすために、学校評価支援システムは Java Web Start という技術を
用いて実装されている。これは Web サイトから Java というプログラミング言語で記述され
たプログラムをインストールすることなく、実行するための技術である。プログラムは Web
サーバからダウンロードされ、Java 仮想マシンの上で実行される。Java 仮想マシンは、OS
やハードウェアの差を隠蔽する(図 8)ため、多様な環境で学校評価支援システムを実行
できるようになった。
かんたん調査票読み取りソフト
調査票作成ソフト
Java 仮想マシン
Windows XP
Windows Vista
Windows 7
Mac OS X
Linux
図 8. Java 仮想マシンによる環境の隠蔽
Java 仮想マシンを含む Java の実行環境を Java Runtime Environment (JRE)と呼ぶ。JRE に
もさまざまなバージョンが存在する。2012 年 2 月末日での最新メジャーバージョンは
Version6 Update31 である。バージョンによって若干の機能差異があり、古いバージョンで
動いたプログラムが最新の物で動かないといったこともある。
学校評価支援システムは Version6 Update24 以降の JRE では動作しないことが確認されて
いる。これでは多様な環境で動作するという当初の用件を満たせていない。そのため本研
究では学校評価支援システムを最新の JRE で動作させることを目的として開発を行った。
以下、実際の開発作業を説明する。
83
7.1.1 開発環境
開発に利用した環境を以下に列挙する。
z
Ubuntu Linux 11.10
¾
Linux Kernel 3.0.0-12-server
¾
X86-64bit
z
JDK 1.7.0
z
Apache Maven 2.2.1
JDK1.7.0 は次世代の JRE で動作するプログラムを開発するための Java 開発環境である。
http://jdk7.java.net/ から入手できる。これを利用して開発を行うことにより、学校評価支援
システムがより多くの環境で動作することが期待される。
Apache Maven(以下、Maven)は Java 用のプロジェクト管理ツールである。これを利用
することにより、Java プログラムの開発者はソースコードのコンパイル、テスト、ドキュ
メントの生成、圧縮ファイルの作成といった作業を行える。学校評価支援システムは Maven
を利用して管理されている。開発を行うためには Maven を準備する必要がある。
7.1.2 Maven 用レポジトリの用意
ソースコードをコンパイルするためには、プログラムが依存しているライブラリを事前
に用意する必要がある。pom.xml というファイルに依存するライブラリのリストを記述して
おくことで、Maven がコンパイル時に依存するライブラリを自動的にダウンロードする。
以下の例では grpudId が junit、artifactId が junit のライブラリのバージョン 3.8.2 に依存して
いることが示されている。
<dependencies>
<dependency>
<groupId>junit</groupId>
<artifactId>junit</artifactId>
<version>3.8.2</version>
</dependency>
(以下、略)
図 9. pom.xml に記述された依存関係の例
84
Maven は依存するライブラリを Maven Central Repository(http://search.maven.org/)からダウ
ンロードする。学校評価支援システムが依存しているいくつかのライブラリは上記のレポ
ジトリからダウンロードできないため、手動でダウンロードを行い、開発環境にローカル
レポジトリとして配置しなくてはならない。ダウンロードできないライブラリは
Commons-Collections with Generics (http://sourceforge.net/projects/collections/)と sqs-util-1.3.22
である。学校評価支援システムはいくつかのモジュールに分かれており、これらもコンパ
イルが済み次第ローカルレポジトリに配置する必要がある。
ローカルレポジトリは任意のディレクトリに作成できる。今回はホームディレクトリ直
下の/mvn/repository を利用した。
ローカルレポジトリへライブラリを配置するためには次の 3 作業が必要となる。
1.
配置用のディレクトリをローカルレポジトリに作成する
2.
ライブラリをまとめた jar ファイルを 1 で作成したディレクトリに設置する
3.
2 で設置した jar ファイルに付いて記述した pom ファイルを同じディレクトリに設置す
る
まずライブラリ配置用のディレクトリをローカルレポジトリ中に作成する。ディレクト
リは pom.xml で利用されている groupId と artifactId から決定される。Commons-Collections
with Generics を配置するためには commonds-collections-generic/commonds-collections という
ディレクトリを作成する。
次に作成したディレクトリにライブラリをまとめた jar ファイルを設置する。ライブラリ
は通常いくつかのファイルから構成されており、これらをまとめた jar という形式の圧縮フ
ァイルとして配布されている。設置する jar ファイルの名前は artifactId-バージョン番号.jar
でなければならない。artifactId が commons-collections、バージョン番号が 4.01 を設置する
場合、jar ファイルの名前は commons-collections-4.01.jar となる。
最後に設置した jar ファイルに関して記述した pom ファイルを同じフォルダに設置する。
ファイル名は jar ファイルの拡張子を pom に変更したものである。pom ファイルの例を次に
示す。
85
<project>
<modelVersion>4.0.0</modelVersion>
<groupId>commons-collections-generic</groupId>
<artifactId>commons-collections</artifactId>
<version>4.01</version>
</project>
7.1.3 かんたん調査票読み取りソフトのコンパイル
学校評価支援システムは、かんたん調査票読み取りソフトと調査票作成ソフトの二つか
らなっている。ここでは、かんたん調査票読み取りソフトをコンパイルするために行った
変更点を説明する。
まず以下の変更を pom.xml に対して行った。なお下記の a:b:c という記法は groupId a、
artifactId b、version c のライブラリを意味する。
•
利用する com.lowagie:itext のバージョンを 2.0.4 から 2.0.7 に変更
•
commonds-collections-generic:commonds-collections-generic:4.01 を依存するライブ
ラリに追加
•
net.sf.ehcache:ehcache-core:2.5.1 を依存するライブラリに追加
•
net.sf.ehcache:ehcache-terracotta:2.5.1 を依存するライブラリに追加
•
作成したローカルレポジトリをレポジトリリストに追加
ローカルレポジトリは pom.xml の repositories 要素の中に repository タグを用いて追加した。
<repository>
<id>localhost</id>
<name>Local Maven2 Repository</name>
<url>file://ローカルレポジトリのパス </url>
</repository>
これでコンパイルは行えるが、作成されたかんたん調査票読み取りソフトは起動すること
ができない。
これは java.lang.ClassCircularityError という実行時エラーが起きるためである。
このエラーは net.sqs2.net.ClassURLConnection クラスを初期化する際に同クラスが必要とな
り起きる。これを回避するために、
src/main/java/net/sqs2/omr/swing/MarkReaderGUILauncher.java に次の変更を加えた。
86
z
次のファイルを import するようにした
z
¾
java.net.URL
¾
net.sqs2.net.ClassURLConnection
次のようにコンストラクタを変更した
以上で変更は終了である。Maven の package コマンドを実行することで jar ファイルを作
成できる。
変更前:
try{
URL.setURLStreamHandlerFactory(factory);
}catch(Error ex){
throw new RuntimeException(ex);
}
変更後:
try{
ClassURLConnection con =
new ClassURLConnection(new URL("http://localhost/"));
URL.setURLStreamHandlerFactory(factory);
}catch(Error ex){
throw new RuntimeException(ex);
}
7.1.4 調査票作成ソフトのコンパイル
調査票作成ソフトは sqs-translator と sqsl-uitl、ipafont の 3 モジュールに依存している。こ
れら以外に Apache FOP1.0Apache XML Graphics1.4 を改変した物を利用する。よって調査票
を作成する前に下記の 5 つのモジュールを順にコンパイルする必要がある。
1.
ipafont
2.
Apache FOP
3.
Apache XML Graphics
87
4.
sqs-util
5.
sqs-translator
ipafont のソースコードは ipafont ディレクトリにある。含まれているフォントが現在 IPA
で公開されているバージョンの物より古いため、これを最新の物に差し替えた。
差し替え後、Maven の package コマンドで jar ファイルが作成される。このとき ttf ファイ
ルが破損する。作成した jar ファイルを展開し、ttf ファイルを置き換えて再度 jar ファイル
を作成する。jar ファイルの作成には jar コマンドを用いる。
次に Apache FOP をコンパイルする。Web サイト(http://xmlgraphics.apache.org/fop/)よりバ
ージョン 1.0 のソースファイルをダウンロードし展開する。展開後、パッチを反映させる。
パッチは sqs-translator/fop_1.0-sqs.patch に存在する。これを以下のように UNIX の patch コ
マンドを用いて反映させる。パッチを反映後、ant コマンドでコンパイルする。
patch -p0 < ../sqs-translator/fop_1.0-sqs.patch
Apache XML Graphics のソースファイルは http://xmlgraphics.apache.org/commons/からダウ
ンロードできる。sqs-translator のコンパイルにはバージョン 1.4 のものを利用する。
ダウンロードしたソースファイルのコンパイルには JDK1.5 以前に含まれていたライブラリ
が必要である。バージョン 1.5 以前の JDK に含まれる rt.jar から com.sun.image 以下を取得
し、jar ファイルを作成する。ソースファイルを展開してできたディレクトリ直下にある lib
ディレクトリに作成した jar ファイルを設置する。
設置後、Apache FOP と同様にパッチを適用する。適用には patch コマンドを用いる。パ
ッチは sqs-translator/ org.apache.xmlgraphics.xmlgraphics-commons-1.4.patch にある。パッチを
適用後、ant コマンドでコンパイルする。
sqs-util のソースファイルは sqs-util ディレクトリ以下にある。当該ディレクトリで Maven
の package コマンドを実行するとコンパイルできる。
ipafont、Apache FOP、Apache XML Graphics、sqs-util のコンパイルが済んだら、それぞれ
をローカルレポジトリに配置する。配置する際に用いる GroupId、ArtifacatId、Version は以
下の通りとなる。
•
ipafont:ipafont:00303
•
org.apache.xmlgraphics:fop:1.0-sqs
•
org.apache.xmlgraphics:fop-transcoder:1.0-sqs
•
org.apache.xmlgraphics:fop-sandbox:1.0-sqs
•
org.apache.xmlgraphics:fop-transcoder-allinone:1.0-sqs
•
org.apache.xmlgraphics:fop-hyph:1.0-sqs
•
net.sqs2:sqs-util:1.4.11
88
•
org.xmlgraphics:xmlgraphics-commons:1.4-sqs
Apache FOP はコンパイルすると複数の jar ファイルが作成される。それらを全てローカル
レポジトリに配置する。
配置後、sqs-translator をコンパイルする。sqs-translator/pom.xml にローカルレポジトリを
追加し、Maven の package コマンドを実行すると jar ファイルが作成される。これを
net.sqs2:sqs-translator:1.1.2 としてローカルレポジトリに配置する。
配置後、調査票作成ソフトをコンパイルする。ソースファイルは sqs-editor にある。コン
パイル前に sqs-editor/pom.xml を編集し、ローカルレポジトリを追加する。追加後 Maven の
package コマンドを実行し jar ファイルを作成する。
7.1.5 JNLP ファイルの作成
Java Web Start では実行に必要なファイルは全てネットワークからダウンロードされる。
Java で記述されたプログラムを実行するためには、コンパイルによって作成された jar ファ
イル以外にも依存するライブラリの jar ファイルが必要である。起動に必要な jar ファイル
やその他起動に必要な設定を記述したファイルが JNLP ファイルである。
かんたん調査票読み取りソフトの JNLP ファイルのテンプレートは、src/jnlp/jnlp.vm にあ
る。調査票作成ソフトの場合は sqs-editor/src/main/jnlp/jnlp_template.vm である。テンプレー
ト中の${dependencies}を依存するライブラリのリストにおきかえる。一つ一つのライブラリ
は次のように記述する。jar 要素の href 属性に依存するライブラリの jar ファイルの URL を
記入する。
<jar href="junit-3.8.2.jar"/>
かんたん調査票読み取りソフトと調査票作成ソフトの依存するライブラリのファイル名
を以下に列挙する。それぞれのファイルはローカルレポジトリ、もしくは~/.m2 ディレクト
リ以下に設置されている。
かんたん調査票読み取りソフト:
z
antlr-2.7.1.jar
z
batik-awt-util-1.6.jar
z
batik-parser-1.6.jar
z
avalon-framework-api-4.
z
batik-bridge-1.6.jar
z
batik-script-1.6.jar
2.0.jar
z
batik-css-1.6.jar
z
batik-svg-dom-1.6.jar
avalon-framework-impl-
z
batik-dom-1.6.jar
z
batik-swing-1.6.jar
4.2.0.jar
z
batik-ext-1.6.jar
z
batik-util-1.6.jar
backport-util-concurrent-
z
batik-gui-util-1.6.jar
z
batik-xml-1.6.jar
3.1.jar
z
batik-gvt-1.6.jar
z
commonds-collections-4.
z
z
89
01.jar
z
httpcore-4.0-beta2.jar
z
poi-3.2-FINAL.jar
commons-beanutils-1.7.0
z
itext-2.0.7.jar
z
serializer-2.7.1.jar
.jar
z
itext.jnlp
z
servlet-api-2.5-6.1.9.jar
z
commons-digester-1.8.jar
z
jcommon-1.0.12.jar
z
slf4j-api-1.6.1.jar
z
commons-io-1.4.jar
z
jetty-6.1.9.jar
z
slf4j-simple-1.6.1.jar
z
commons-lang-2.4.jar
z
jetty-util-6.1.9.jar
z
sqs-util-1.3.22.jar
z
commons-logging-1.1.jar
z
jfreechart-1.0.9.jar
z
sqs-util-1.3.22.jar.org
z
ehcache-core-2.5.1.jar
z
jnlp-1.6.0.jar
z
velocity-1.6-beta1.jar
z
ehcache-terracotta-2.5.1.j
z
junit-3.8.2.jar
z
xalan-2.7.1.jar
ar
z
libraries.jnlp
z
xercesImpl-2.9.1.jar
z
freemarker-2.3.15.jar
z
logkit-1.0.1.jar
z
xml-apis-1.0.b2.jar
z
gettext-commons-0.9.6.ja
z
org.apache.commons.coll
z
xnap-commons-0.9.6.jar
z
r
z
ections-3.2.1.jar
z
oro-2.0.8.jar
avalon-framework-api-4.
z
batik-svggen-1.7.jar
z
jetty-util-6.1.9.jar
3.1.jar
z
batik-swing-1.7.jar
z
jnlp-1.6.0.jar
avalon-framework-impl-
z
batik-transcoder-1.7.jar
z
junit-4.5.jar
4.3.1.jar
z
batik-util-1.7.jar
z
log4j-1.2.12.jar
backport-util-concurrent-
z
batik-xml-1.7.jar
z
serializer-2.7.1.jar
3.1.jar
z
commons-codec-1.2.jar
z
servlet-api-2.5-6.1.9.jar
z
batik-anim-1.7.jar
z
commons-io-1.4.jar
z
slf4j-api-1.6.1.jar
z
batik-awt-util-1.7.jar
z
commons-logging-1.1.jar
z
slf4j-simple-1.6.1.jar
z
batik-bridge-1.7.jar
z
editor_libraries.jnlp
z
sqs-translator-1.1.2.jar
z
batik-css-1.7.jar
z
fop-1.0-sqs.jar
z
sqs-util-1.4.11.jar
z
batik-dom-1.7.jar
z
fop-sandbox-1.0-sqs.jar
z
xalan-2.7.0.jar
z
batik-ext-1.7.jar
z
fop-transcoder-1.0-sqs.ja
z
xercesImpl-2.9.1.jar
z
batik-extension-1.7.jar
r
z
xml-apis-1.3.04.jar
z
batik-gui-util-1.7.jar
fop-transcoder-allinone-1
z
xml-apis-ext-1.3.04.jar
z
batik-gvt-1.7.jar
.0-sqs.jar
z
xmlgraphics-commons-1.
z
batik-js-1.7.jar
z
ipafont-00301.jar
z
batik-parser-1.7.jar
z
ipafont-00303.jar
z
batik-script-1.7.jar
z
ipafont-20120308.jar
z
batik-slideshow-1.7.jar
z
itext-2.0.7.jar
z
batik-svg-dom-1.7.jar
z
jetty-6.1.9.jar
httpclient-4.0-beta2.jar
調査票作成ソフト:
z
z
z
z
90
4-sqs.jar
7.1.6 Web での公開
作成した JNLP ファイルと、必要な jar ファイルを全て Web で公開できる領域に設置す
る。設置後、JNLP ファイルへのリンクを Web ページに作成する。そのページにブラウザ
でアクセスし、JNLP へのリンクをクリックする。クリック後 Java Web Start によって jar
ファイルのダウンロードが行われ、プログラムが起動する。
7.2 セキュリティ制限を緩和することなく実行できる支援システムの実装
前節で述べた通り、本研究で作成したソフトウェアは Java Web Start を利用している。
これによりソフトウェアのインストールせずにプログラムを実行できる。反面、起動に必
要なファイルはネットワークからダウンロードされるため、悪意あるソフトウェアが紛れ
込む可能性もある。これを防ぐために Java Web Start では起動に必要な jar ファイル全てに
電子署名をつける。電子署名を起動時に検証し、利用者に示した上で起動の可否を確認す
る。これにより悪意あるソフトェアの実行を防ぐ。
現在利用されている学校評価支援システムでは、この検証作業を無効にすることを求め
ている。これは jar ファイルに複数の主体による署名が混在してしまっているためである。
全ての jar ファイルに対し改めて署名を行い、起動時に検証を行ってもプログラムが動作
するようにすることが本実装の目的である。
具体的には次の 3 つの作業を行った。
1.
Certificate Signing Request (CSR)の作成
2.
認証局によるに認証と証明書の発行
3.
証明書を用いた jar ファイルへの署名
2 については利用する認証局によって手続きが異なるため、説明を割愛する。本節では 1
と 3 について説明する。
7.2.1 CSR の作成
CSR とは認証局に対し証明書の発行を求める申請書のことである。JDK には Keytool と
呼ばれる証明書を扱うためのツールが付属している。これを利用して CSR を作成する。
まず証明書を発行するための鍵を作成する。作成は次のように keytool コマンドを用いて
行う。
実行すると Common Name や Organization Unit などが尋ねられる。適切に指定すると
keystore に指定したファイルの中に alias で指定した名前で鍵が作成される。
keytool -genkey -alias 鍵 の 名 前 -keypass 鍵 の パ ス ワ ー ド -keyalg RSA -keysize 1024
-keystore 鍵を保存するファイル名 -storepass 鍵を保存するファイルのパスワード
次に CSR を作成する。CSR は次のように keytool コマンドを用いて作成する。実行する
と newcsr.pem という名前で CSR が作成される。
keytool -certreq -alias 鍵のエイリアス -file newcsr.pem -keystore 鍵の保存されているファ
イル名
91
7.2.2 証明書を利用した jar ファイルへの署名
作成した CSR を認証局へ送付し、証明書を発行する。認証局に CSR が受理されると、
証明書が発行される。これを利用して jar ファイルへの署名を行うが、まず発行された証
明書を鍵が保存されているファイルにインポートしなくてはならない。インポートは次の
ように keytool コマンドを用いて行う。
keytool -import -v -alias 鍵の名前 -file 証明書のファイル名-keystore 鍵が保存されいてい
るファイル名
インポート後、jar ファイルへの署名を行う。署名には次のように jarsigner コマンドを用
いる。全節であげた全ての jar ファイルに署名を行う。これにより、検証を行っても学校
評価支援システムを実行できるようになった。
jarsigner
-keystore 鍵が保存されいているファイル名-storepass 鍵が保存されているファ
イルのパスワード -tsa http://timestamp.globalsign.com/scripts/timstamp.dll jar ファイル名 鍵
の名前
7.3 調査用 OMR ツールの認識アルゴリズムの評価
かんたん調査票読み取りソフトはスキャナで読み取られたマークシートのイメージの内、
塗りつぶされた領域を認識し、それらの座標を用いて調査結果の自動集計を行っている。
概観すると認識は次の 3 ステップで行われている。
1.
傾き補正
2.
画像の鮮鋭化
3.
白黒の 2 値画像への変換
3 で黒くなっている領域が塗りつぶされた箇所として認識されるが、その精度は 2 が以
下に適切に行われるかに依存している。現在はアンシャープマスクと呼ばれる手法を利用
して、画像の鮮鋭化を行っている。いったんぼけた画像を作成し、それと元画像の差分を
取る。その差分を元画像に足すことによって画像をシャープにする手法がアンシャープマ
スクである。
ぼけた画像の作成には畳み込みと呼ばれる手法を利用している。これは周辺領域のピク
セル値の平均を用いてピクセルの値を決める。この周辺領域のサイズによって出来上がる
像は異なる。
塗りつぶされた場所を正しく認識するためには、塗りつぶした箇所を適切に鮮鋭化する
必要がある。そのためには適切にぼけた画像を作成することが必要となる。適切にぼけた
画像を作成するためには、畳み込みで利用する周辺領域の形と大きさを適切に設定する必
要がある。現在は 3×3 の正方形の領域を周辺領域として畳み込みに利用している。このサ
イズを変更する、もしくは円や長方形を周辺領域として利用することも考えられる。
塗りつぶし領域が縦に長い楕円として出力される。縦に長い領域を塗りつぶす際、調査
対象者の多くは鉛筆を縦方向に動かして塗りつぶすことが多いと予測される。これにより
縦方向は同じ濃さで塗りつぶされることが期待されるため、畳み込みには縦の方向を考慮
92
に入れると、より正確な鮮鋭化が行えると期待される。これによってより正確な認識が行
われることが期待される。
2012 年 2 月末の時点では正確な評価実験を行えていない。周辺領域として縦に長い長方
形を利用するものを実装し、いくつかの画像に対して適用してみたところ、正方形の物で
は認識できなかった塗りつぶしや曖昧なもののうち、いくつかは認識できた。今後はより
正確な評価実験を行い、認識効率の向上を目指したい。
93
第8章 重点課題の改善を支援するための分析データベースの開発
8.1 学校情報を蓄積・分析するツールとその運用手法の研究開発
8.1.1 データ分析処理の高速化
学校の情報を広域的に分析するためには、それらのデータを管理するためのデータベー
スを構築することが必要となる。データベース上での分析処理においては、データの増大
にともなって処理時間が増加する傾向がある。特に、広域の学校群が利用するシステムに
おいては、アクセス集中による負荷の増大も想定される。
データ分析処理の高速化について考察し、それらを組み合わせて学校情報を蓄積・分析
するツールの開発を行った。
(1) 索引による高速化
データ処理の高速化のために、一般的に知られている手法として索引がある。索引はデ
ータベースの 1 つ以上のカラムに設定することができる。索引による高速化の利点として、
導入と運用が比較的簡単であることが挙げられる。しかしながら、索引によって高速化さ
れるのはデータの制限句に関する実行性能である。
(2) データベースエンジンによる高速化
リレーショナルデータベースはデータを操作する際に、以下の基本的な性質を保証して
いる。
•
原子性 (Atomicity)
•
一貫性 (Consistency)
•
独立性 (Isolation)
•
永続性 (Durability)
これらの性質は ACID 属性と呼ばれ、一般的なリレーショナルデータベースはこの条件
下でデータを操作する。しかしながら、大規模なデータ処理においては、ACID 属性を保
証するオーバーヘッドが過大となる。
そのため、データ管理方式としてリレーショナルデータベース以外のデータ管理方式を
選択することによる高速化も考えられる。近年は KVS と呼ばれるデータ管理方式が注目を
集めている。KVS は Key-Value Store の略であり、ユニークなキーと値のペアでデータを管
理するが、TokyoCabinet のようにリレーショナルデータベースのテーブルの概念を部分的
に取り入れたものもある。KVS は分散環境の構築が比較的容易である。分散データベース
におけるトランザクションにおいては 2PC (2 Phase Commit)の利用が一般的であるが、KVS
で 2PC をサポートしているものは少なく、アプリケーション、あるいはアプリケーション
フレームワークでデータの一貫性を保証・検証する必要がある。
94
(3) 中間データのキャッシュによる高速化
大規模なデータ分析においては、利用者からデータ分析のリクエストが発行されてから
逐次的にデータ処理したのでは、現実的な処理時間内に完了することが困難な場合がある。
そのため、リクエストが発行される前にデータ処理を実行して、その結果をキャッシュし
ておくことが考えられる。キャッシュするデータとしては、結果データと中間データの 2
パターンがある。
結果データのキャッシュは、データ分析の結果を事前に計算してデータベースに格納す
ることである。この方式の計算コストは低いが、結果データを格納するストレージ容量が
必要となる。中間データのキャッシュは、データ分析の計算における中間的なデータを格
納する方式である。中間データは、分析対象となるデータを集約したものであり、中間デ
ータをさらに処理することで結果データを得られるものである。データ分析の計算におい
ては、中間データを結果データに変換する処理は必要となる。中間データのキャッシュの
利点として、階層的な構造を持つデータを効率的に計算することが可能である。例えば、
ある県のデータを分析する際の中間データは、県内の市町村の中間データから計算され、
市町村の中間データは学校群の中間データから計算される。中間データによるデータ分析
が効果的に作用することで、各学校がデータ更新をデータ分析の結果に迅速に反映させる
ことが可能となる。
(4) 非同期処理による高速化
(3)で中間データのキャッシュによる高速化について述べたが、データ分析の種類によっ
ては、中間データの作成が困難な場合も想定される。例えば、クロス集計のように組み合
わせの数だけ分析パターンが存在するものは、中間データや結果データの数が爆発的に増
大してしまうために、事前に計算するアプローチの採用が現実的ではない。
そのような場合、利用者からの分析リクエストを受け付けておき、処理が完了したタイ
ミングで利用者に通知する非同期処理が有効となる。非同期処理を提供するライブラリと
しては DelayedJob や TheSchwartz などがある。
非同期処理はバッチ処理と似ている部分もあるが、バッチ処理が定期的に実行されるの
に対して、非同期処理は利用者からのリクエストに応じて起動される。そのため、サーバ
内で同時に複数の非同期処理が実行されることもある。DelayedJob では非同期処理の優先
度を指定することによって、非同期処理の実行順序をアプリケーションに応じて制御する
ことが可能である。
非同期処理はアプリケーションが稼働しているサーバ環境で実行するのが一般的である
が、IronWorker のように非同期処理だけを実行するクラウドサービスもある。非同期処理
の負荷はデータの規模やシステムの利用状況によって変動するため、クラウドサービスの
利用が効果的である反面、取り扱うデータのセキュリティポリシーによっては、外部のシ
ステムとのデータ通信が適切でない場合も想定される。
95
8.1.2 非同期処理によるデータ分析の設計と実装
学力調査に対するデータ分析において、非同期処理によるデータ分析の設計と実装をし
た。以下にデータ構造と処理について示す。採点した結果を電子化したデータ構造は、生
徒のメタ情報と採点結果で構成されている(表 3)。
表 3. 採点結果のデータ構造
クラス
出席番号
性別
q2
q1
q3
…
qn
採点結果をシステムにアップロードすると、その採点とデータ分析のための処理を非同
期で実行する。処理手順としては、以下のようになる。
(Step-1) 採点結果のアップロード
(Step-2) 採点と生徒ごとのデータ集約
(Step-3) クラス単位のデータ集約
(Step-4) 学年単位のデータ集約
(Step-5) 上位組織のデータ集約
(Step-2)で生成される生徒ごとのデータは、生徒のメタ情報と採点結果、正答数(誤答数)
を有する(表 4)。
表 4. 生徒データのデータ構造
調査 ID
学校 ID
学年
クラス
性別
出席番号
教科 ID
回答状況
正答数
誤答数
回答状況は生徒の設問ごとの回答状況と、その正誤に関する情報が記述されている。
JSON 形式での表現を図 10 に示す。2 次元の配列で回答状況が表現されている。数字は生
徒が選択した選択肢の番号であり、0 は無回答を示す。“true”と“false”は正誤を表して
いる。
[[2,true],[4,true],[3,true],[3,true],[4,false],[3,false],[1,true],[3,true],[1,true],[4,true],[3,false],[2,true]
,[6,true],[6,true],[6,true],[5,false],[4,true],[1,true],[6,true],[2,false],[5,false],[6,true],[6,true],[4,true]
,[5,false],[6,true],[5,false],[6,true],[6,true],[6,true],[5,false],[0,false]]
図 10. JSON による生徒ごとの回答状況の表現例
生徒データは、個人票の出力のためのデータとなる。個人票は印刷して生徒個人に返却
することを想定したものである。個人票の印刷例を図 11 に示す。
96
図 11. 個人票の印刷例
(Step-2)で採点と生徒ごとのデータ集約が完了すると、次に(Step-3)でクラス単位のデー
タ集約を実行する。(Step-3)から(Step-5)で生成されるデータは、いずれも生徒のデータを
特定のグループで集約したものであり、共通のデータ構造で表現される。このグループで
集約したデータ構造について表 5 に示す。
97
表 5. グルー
ープデータの
のデータ構造
造
調査 ID
学校 ID
学
学年
クラ
ラス
教科 ID
回答状
状況
ヒス
ストグラム
正答率
正答率別
回答状況
グル
ループデータ
タにおける回
回答状況は、
、設問の選択
択肢ごとの回
回答数を集計したものであり、
ハッシュで表現している。JJSON 形式で
で表現した例
例を図 12 に示
示す。ハッシ
シュのキーは
は“設
号-選択肢番
番号”で構成されている。
。このデータ
タは各設問の
の選択肢に対
対する回答数
数を表
問番号
示する回答傾向の
の分析におい
いて利用され
れる(図 13)。
。
{"9-22":9,"5-6":7,""14-6":13,"188-2":5,"9-3":11,"7-5":7,"23
3-2":1,"20-5":6,"18-3":4,""16-5":12,"10
0-5":7
,"26-00":5,"20-6":118,"21-5":6,"23-3":25,"188-4":3,"17-5":11,"16-6":133,"10-6":18,""22-5":9,"25--2":20
,"27-00":5,"21-6":220,"17-6":14,,"7-6":19,"8-5":11,"9-4":1
15,"25-3":1,"28-0":6,"22-6":10,"19-5":10,"
8-6":12,"25-4":5,""24-5":23,"299-0":7,"19-6"":15,"30-0":6
6,"31-0":3,"244-6":3,"31-1"":6,"26-5":8,""31-2
":4,"226-6":13,"27--5":10,"31-3"":11,"28-5":44,"27-6":11,"2
2-0":1,"31-4"":2,"30-5":166,"28-6":16,"29-5"
:16,"111-0":6,"30-66":4,"29-6":33,"12-0":1,"122-1":4,"13-0"":9,"4-0":1,"112-2":1,"14-00":4,"5-0":3,""12-3
":15,""1-5":6,"1-6"":20,"15-1":18,"11-5":20,""12-4":5,"2-5
5":2,"10-0":1,"16-0":1,"200-0":2,"3-5":10,"6
-2":199,"2-6":23,"117-0":1,"8-0"":3,"15-2":3,""22-0":7,"6-3
3":5,"4-5":4,""3-6":16,"13-5":2,"15-3":1
1,"181":144,"19-0":1,"155-4":4,"14-5"":9,"13-6":155,"4-6":21,"5--5":16,"9-1":1,"6-4":2}
図 12. JSO
ON によるグ
グループデータの回答状況の表現例
図 13. 回答傾向の
の表示例
ループデータ
タにおけるヒ
ヒストグラム
ムは、正答数
数のヒストグ
グラムを表示
示するための
のデー
グル
タである。JSON
N で表現した
た例を図 14 に示す。これ
れは配列であ
あり、配列の
の番号は正答
答数と
対応している。例
例えば、12 番目の配列の数字は、12 問正答した生徒の人数である。
98
[0,0,00,0,0,2,1,2,0,1,0,1,3,0,1,0,,2,0,0,2,1,1,22,0,2,0,1,1,2,1
1,0,0]
図 14. JSON によるグル
ループデータのヒストグラムの表現例
のヒストグラ
ラムの表示例
例を図 15 に示す。
に
このデータによる正答数の
図 15. 正答数
数ヒストグラ
ラムの表示例
例
{"9/31":1,"7/31":22,"16/31":2,"14/31":1,"122/31":3,"22/31":2,"24/31":2,"5/31":2,"220/31":1,"21/31":
1,"6/331":1,"11/31"":1,"19/31":22,"29/31":1,"228/31":2,"26//31":1,"27/311":1}
図 16. JSO
ON によるグ
グループデー
ータの正答率
率の表現例
グル
ループデータ
タの正答率デ
データから、
、箱ヒゲ図の
の表示が可能
能となる。箱
箱ヒゲ図の表
表示例
を図 17 に示す。
図 17. 箱ヒゲ図の
の表示例
99
正答
答率別回答状
状況は、それ
れぞれの正答
答率ごとの回
回答状況を表
表現している
る。JSON で表現
で
した例
例を図 18 に示す。ハッ
に
ッシュのキー
ーは“正答数
数/回答数”で
で構成され、値は設問の
の正答
状況を示す 2 次元
元配列である
る。
{"22//31":[[2,2],[2,2],[1,2],[2,22],[1,2],[2,2],[2,2],[2,2],[2
2,2],[2,2],[0,22],[2,2],[2,2],[1,2],[1,2],[1
1,2],[2
,2],[22,2],[2,2],[2,22],[2,2],[0,2],[2,2],[0,2],[1,2],[1,2],[2,2
2],[2,2],[0,2],[0,2],[1,2]],"24/31":[[2,2]],[2,2]
,[2,2],[2,2],[1,2],[22,2],[2,2],[2,2],[2,2],[2,2]],[0,2],[2,2],[1,2],[2,2],[2,2],[1,2],[1,2]],[1,2],[1,2],[1,2],[
2,2],[[1,2],[2,2],[1,,2],[2,2],[2,2]],[2,2],[2,2],[[1,2],[0,2],[2,,2]],"5/31":[[[0,2],[1,2],[1,,2],[1,2],[1,2]],[0,2]
,[0,2],[0,2],[0,2],[00,2],[0,2],[1,2],[0,2],[0,2]],[1,2],[0,2],[0,2],[0,2],[1,2],[1,2],[1,2]],[0,2],[1,2],[0,2],[
0,2],[[0,2],[0,2],[0,,2],[0,2],[0,2]],[0,2]],
"19/31":[[1,2],[2,22],[1,2],[2,2],,[0,2],[1,2],[11,2],[1,2],[2,2
2],[2,2],[0,2],[1,2],[2,2],[22,2],[1,2],[2,2
2],[1,
2],[1,,2],[2,2],[2,2]],[2,2],[1,2],[[2,2],[0,2],[2,,2],[1,2],[0,2]],[2,2],[0,2],[[0,2],[1,2]],"229/31":[[1,1],[1,1],
[1,1],,[1,1],[0,1],[11,1],[1,1],[1,11],[1,1],[1,1],,[0,1],[1,1],[1
1,1],[1,1],[1,11],[1,1],[1,1],,[1,1],[1,1],[1
1,1],[1
,1],[1,1],[1,1],[1,1],[1,1],[1,1],[1,1],[1,1],[1,1],[1,1],[1,1
1]],"28/31":[[[2,2],[2,2],[2,,2],[2,2],[2,2]],[2,2]
,[2,2],[2,2],[1,2],[22,2],[0,2],[2,2],[2,2],[2,2]],[2,2],[2,2],[2,2],[2,2],[2,2],[2,2],[2,2]],[2,2],[2,2],[0,2],[
2,2],[[2,2],[2,2],[2,,2],[1,2],[2,2]],[2,2]],"26/331":[[1,1],[1,1
1],[1,1],[1,1],[0,1],[1,1],[11,1],[1,1],[1,1],[1,
1],[0,,1],[1,1],[1,1]],[1,1],[1,1],[[1,1],[1,1],[1,,1],[1,1],[1,1]],[1,1],[1,1],[[1,1],[0,1],[1,,1],[1,1],[1,1]],[1,1]
,[0,1],[1,1],[0,1]],"27/31":[[1,11],[1,1],[1,1],,[1,1],[0,1],[1
1,1],[1,1],[1,11],[1,1],[1,1],,[0,1],[1,1],[1
1,1],[1
,1],[1,1],[1,1],[1,1],[1,1],[1,1],[1,1],[1,1],[1,1],[1,1],[1,1
1],[1,1],[1,1],[1,1],[1,1],[00,1],[0,1],[1,1
1]]}
図 18.. JSON による正答率別回答状況の表現例
答率データと正答率別回
回答状況デー
ータから、正
正答率でグル
ループ化して
て、そのグル
ループ
正答
ごとの正答率を表
表示する(図
図 19)。箱ヒゲ
ゲ図(図 17)で
では全体の正
正答率の分布
布状況を把握
握でき
るが、
、この分析で
では具体的に
に設問レベル
ルで正答率の
の分布状況を把握することが可能となる。
図 19. 正答率
率グループ別
別の設問正答
答率
ータ分析処理
理の大半は事
事前の計算や
や中間データ
タの作成によ
よって、利用
用者が影響を
を受け
デー
る処理
理時間を短縮
縮することが
が可能である
る。しかしな
ながら、クロ
ロス集計のよ
ように組み合
合わせ
の数が
が膨大で、分
分析処理のた
ために対象と
となる生徒デ
データをスキ
キャンする必
必要があるも
ものな
100
ど、デ
データの集約
約や中間デー
ータの生成が
が困難な分析
析処理もある
る。本システ
テムにおいて
てクロ
ス集計
計をする際に
には、まず分
分析する対象
象や設問を指
指定する(図 20)。
図 20. クロ
ロス集計の設
設問指定画面
面
設問が指定さ
されると、非
非同期処理に
によって計算
算がはじまる
る。この計算
算は分
クロス集計の設
象が学校単位
位やクラス単
単位であれば
ば処理時間が
が短いが、都
都道府県や市
市町村を対象
象とし
析対象
てクロス集計を計
計算した際に
には、多くの
の処理時間が
が必要となる
る。しかし、その処理の
の間、
者は時間を拘
拘束されるこ
ことなく本シ
システムへの
のアクセスを
を中断しても
もよい。
利用者
正常
常に計算が完
完了すると、
、クロス集計
計の計算結果
果を閲覧する
ることができ
きる。クロス
ス集計
の表示
示例を図 211 に示す。
101
図 21. クロス集計の
ク
の表示例
102
8.2 自治体が有する情報センター等でのシステム運用の検討
8.2.1 岩手県における運用実験
平成 23 年度に岩手県で実施された岩手県 学習定着度状況調査において、本システムの
運用実験を行った。実験に利用したサーバのスペックを表 6 に示す。
表 6. サーバスペック
CPU
Intel(R) Xeon(R) X3323 2.50GHz (4 Core)
Main Memory
2048MB
HDD
250GB
2011 年 11 月 9 日から 25 日までのサーバ運用状況についてまとめた。学校が採点結果を
アップロードした際に、そのデータをサーバでチェックした回数を日別で集計した(図 22)。
土曜日と日曜日にはシステム利用はほとんどなく、平日にアップロードをしている様子が
わかる。システム利用期間の後半にアップロードが極端に集中することはなかった。
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
図 22. アップロードファイルのチェック処理の推移
サーバ上で実行した集計処理数の推移について図 23 に示す。市町村や教育事務所、県
の単位での集計処理を“グループ集計”、学校内のクラス単位や学校単位での集計処理を
“学校集計”として比較した。
処理の順序としては、学校集計が完了してからグループ集計が順次実行される。今回の
運用実験においては、学校集計とグループ集計の間に特にロジックを設定しなかった。す
なわち、学校集計が完了した時点で、即時的にグループ集計が実行された。そのため、学
校集計の処理数とグループ集計の処理数は比例している。
103
グループ集計
学校集計
3500
3000
2500
2000
1500
1000
500
0
図 23. 集計処理数の推移
実際の運用においては、グループ集計を学校集計と独立に実行するなど、処理スケジュ
ールの最適化が考えられる。今回の運用においては、システムの負荷が高くなった際には
グループ集計のスケジュール設定をする予定であったが、システム利用期間を通して良好
に作動していたため、その設定を実施しなかった。
運用実験が終了した段階でのデータベースのサイズを表 7 に示す。情報源である採点デ
ータを格納した“survey_files”テーブルが 22.0MB なのに対して、採点データを計算して
結果データや中間データを格納した“student_results”テーブルと“group_results”テーブル
のサイズの合計は 151.7MB と 7 倍近くに及ぶ。
表 7. データベースのサイズ
テーブル名
データ件数
サイズ
備考
groups
635
112.0KB
users
637
144.0KB
4,436
22.0MB
採点データのファイル
student_results
220,528
91.7MB
生徒ごとの採点情報
group_results
13,014
60.0MB
グループごとの結果情報
1,837
352.0KB
survey_files
crosses
104
クロス集計の結果
システム運用においては、岩手県立総合教育センターと協力した。サーバ OS のセット
アップを岩手県立総合教育センターが担当し、アプリケーションサーバとデータベースサ
ーバのセットアップを慶應義塾大学が担当した。システムの運用期間において、サーバ運
用のために特別な作業が必要となることは無く、本システムの処理は自動的に実行された。
8.2.2 岩手県からのフィードバック
運用実験において、岩手県教育委員会から以下のフィードバックを得た。
①
スムーズに入力が進んだ。問い合わせが少なかった
②
個人票の様式に検討が必要
③
入力ミスや未入力など、エラーチェックをしてほしい
④
紙媒体に対応する分析結果の表示をしてほしい。印刷できるページ構成にし
てほしい
⑤
学校別、市町村別が一覧できるとよい
⑥
委員会、事務所でローデータをシステム上から入手できないか
それぞれについて、以下のように考察した。
①スムーズに入力が進んだことについては、岩手県下の学校教員がシステムの操作に習熟
してきたことも考えられる。他の自治体で新規に導入する際には、マニュアルの充実やサ
ポート体制の構築などの対応が必要だと考えられる。
②個人票の様式においては、今年度は生徒ごとの正誤情報と教科別の正答率を表示するシ
ンプルな様式(図 11)とした。これまで個人票については、生徒ごとに自動的にコメントを
生成する方式や、平均正答率と比較して生徒の得意な部分や苦手な部分を強調表示する様
式を提供したこともあった。しかし、教員からの意見は多様であり、まずは見やすくする
という意図から、今回のシンプルな様式となった。このフィードバックから、個人票の表
現を拡充することについても、一定のニーズがあることが判明した。
③入力データのチェックについては、これまで多くのデータ例からミスのパターンを分析
し、チェック機能を提供してきた。本年は試験的にマークシート処理システムの SQS と連
携することを想定し、いくつか仕様を変更した。例えば、SQS において無回答は空欄とな
るため、今年度の入力データは空欄を無回答として扱った。しかし、手動でデータ作成し
た際に意図せず空欄となった場合のチェックが有効とならず、このようなフィードバック
になったと考えられる。このフィードバックを受けて、入力データについては、そのデー
タが SQS で作成されたものか手動で作成されたものかを明示的に指定することとした。
④本システムで印刷に対応しているのは個人票のみである。印刷について不可能ではない
ものの、レイアウトが崩れるなどして印刷枚数が不必要に増加してしまうこともある。学
105
校内での情報共有に紙媒体はまだまだ有効であり、それに対応した機能のニーズが確認さ
れた。
⑤県、教育事務所、市町村から、管轄している組織の状況を一覧的に認識したいというニ
ーズが確認できた。これまでは箱ヒゲ図を並べるような機能を提供したことはあったが、
その他の分析機能についても同様のニーズがあることを確認した。
⑥以前にシステムの分析機能があまり充実していなかった時点では、教育委員会や
学校が独自にデータ分析できるように、生徒ごとの正答情報を記述した CSV 形式のデータ
(ローデータ)を提供していた。分析機能が充実してきたことから、この機能は外したもの
であるが、やはり組織ごとに分析の視点は多様であり、独自の分析へのニーズが強いこと
を確認した。これは④や⑤とも関連する。ローデータの作成ツールを作成し、④〜⑥のフ
ィードバックへの対応とした。
8.3 クラウド技術の導入についての可能性の検証
8.3.1 クラウド方式を導入した際の運用体制
クラウドサービスを利用することによって、物理的にサーバを管理する必要がなくなる。
一方、サーバの状態を認識するためには、クラウドサービスを経由して実施することとな
る。管理インターフェースはクラウドサービスのベンダーごとに異なり、Heroku のように
コマンドラインからサーバの状態を確認するサービス(図 24)もあれば、Amazon のように
Web ベースの管理画面を提供しているサービス(図 25)もある。
$ heroku info
=== sess
Addons:
Basic Logging, Shared Database 5MB, Piggyback SSL
Database Size:
160k
Dynos:
1
Git URL:
[email protected]:sess.git
Owner:
Repo Size:
13M
Slug Size:
11M
Stack:
bamboo-mri-1.9.2
Web URL:
http://sess.heroku.com/
Workers:
0
図 24. Heroku の管理コマンドの実行結果例
106
図 25. Amazon
A
クラウドサービス群の管
管理画面
クラウドサービスによって
ては、ベンダ
ダー独自のデ
データベース
スやアプリケ
ケーションサ
サーバ
の利用
用が必須とな
なる場合もあ
ある。しかし
し、従来のオ
オープンソー
ースソフトウ
ウェアがその
のまま
利用可
可能なサービスも多数存
存在する。H
Heroku におい
いては、本シ
システムをそ
そのまま稼働
働させ
ることが可能であ
ある(図 26)。
。
図 26. Heroku での SMP20
011 の動作画
画面
107
8.3.2
2 導入の可能
能性
本システムの処
処理負荷につ
ついては、ア
アップロード
ドファイルの
のチェック処
処理の推移(図
図 22)
と集計
計処理数の推
推移(図 23)で示した。こ
これらの処理
理はバックグ
グラウンドで
で実行される
るもの
であり、複数のサーバで分散
散処理することが可能である。今回の運用実験
験においては、1
サーバですべ
べての処理が
が適切に完了
了した。しか
かし、複数の
の調査を同時
時に実施する
る場合
台のサ
など、
、処理能力が
が不足するケ
ケースも想定
定される。そ
そのような場
場合、複数の
のサーバで分
分散処
理することが解決
決策となるが
が、その設定
定を実施する
ることは必ず
ずしも簡単で
ではない。
かし、クラウドサービス
スを利用する
る際には、そ
そのような変
変更が管理画
画面から実施
施でき
しか
る場合
合もある。H
Heroku にお
おいては、リソースの増減を Web の管理画面か
の
から変更する
ること
ができる(図 27)。多数の利用
用者に対して
てシステムを
を提供する場
場合、システ
テムの負荷を
を見積
のような場合
合でも、機動
動的に計算資
資源を増減で
できる方式の
の有用
もることが困難となる。その
高いと考えられる。
性は高
図 27. リソースの設
設定画面
Heeroku 上で構
構築したシステム(図 26)) を試験的に
に運用し、従
従来のサーバ
バで運用した
た場合
と同程
程度のレスポ
ポンスが得ら
られることを
を確認した。ただし、シ
システムをク
クラウド上で
で運用
するた
ためには、サ
サーバのホス
スティングを
を外部委託す
する際と同様
様に、サーバ
バの物理的な
なセキ
ュリテ
ティや設置場
場所、SLA(Service Levvel Agreemen
nt)にも留意
意して導入を
を検討する必
必要が
ある。
。さらに、そ
それらが自治
治体で定めて
ているシステ
テム運用ポリ
リシーに合致
致しているか
かの確
認も必
必要である。
。
108
第3部
まとめ
本調査研究では、「学校運営の改善の在り方に関する調査研究(学校経営と学校評価を
一体化させたマネジメント支援システムの研究開発)」として「学校マネジメント支援シ
ステムの研究開発」と「重点課題に対する学校運営改善を支援するツールの研究開発」の
2 つの調査研究を行った。
「学校マネジメント支援システムの研究開発」では、学校情報の収集・分類・整理・活
用に関する理論的研究を行い、児童生徒に関わる情報を網羅的にあつかう手法として、ポ
ートフォリオ型アプローチの先行研究を調査し、児童生徒のデータを個人評価ツールとし
て活用するのみならず、教員が時系列分析による自己評価を通して自発的に指導改善を行
う可能性を示した(第 1 章)。こうした学校情報は学校経営の分析力を高めるために重要
なものとなる。特に校長のマネジメント力を高めるためにどのような情報が必要となるか
という視点から、学校経営の制度、校内組織のマネジメントに関する既往研究を調査し(第
2 章)、校長のマネジメント力を支援する組織体制について考察した(第 3 章)。これら
の理論的な背景を下に、学校情報の収集・活用にあたって、実際の学校経営、教育行政が
持つ問題や課題を把握するためにヒアリング調査を行った(第 4 章)。校長のマネジメン
ト力を発揮する上で、予算や人事に関する制約のもとでも、教育課程編成や指導計画にお
いて特徴的な取り組みを行い、成果を挙げる学校もあり、校長がリーダーシップを発揮す
るためには、学校レベルでの施策の選択肢を提供し、そのための判断材料となる情報が重
要となることがわかった(第 5 章)。これらのまとめとして、学校教育が学校改善を行う
上で、PDCA サイクルを回し続けるために求められる情報ツールの要件をまとめ、実践的
な課題重点化ツールの提案をおこなった(第 6 章)。
「重点課題に対する学校運営改善を支援するツールの研究開発」では、「学校マネジメ
ント支援システムの調査研究」の調査結果を基に、各学校における重点課題を明らかにする
ための学校情報の収集支援ツールの研究開発を行った。学校情報を収集するためには、主に調
査票による調査とその分析が必要とされる。現在利用されている調査票の作成支援システムと分
析支援システムは、その動作環境や導入・利用条件が厳しく制限されていることが多い。この状況
に対応するため、(1)調査票作成支援システムと調査票の分析支援システムを広汎な実行環境へ
対応させるための研究開発を行った。また現在多く利用されている支援システムは、その実行に
際して、実行環境のセキュリティ制限の緩和を要求することが多い。これは調査結果の一貫性と秘
匿性の保持に対して脅威となりうる。この要求に応えるため、(2)セキュリティ制限を緩和することな
く実行できる支援システムの研究開発を行った。最後に(3)調査用 OMR ツールの認識アルゴリズ
ムの評価を行った(第 7 章)。さらに、重点課題の改善を支援するための分析データベースの開
発に取り組み、また、これらのツール・データベースを学校・教育委員会に提供すること
を想定した際の運用方式を検討し提案した。自治体が有する情報センター等でシステム運
用するための条件について調査を行い、自治体が現実的なコストの範囲内で運用可能なシ
ステムを構築した。また、将来的な可能性としてのクラウド技術の導入について検証を行
い、クラウド技術を採用した際の運用コストについて評価を行った(第 8 章)。
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