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議会改革の活性化について

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議会改革の活性化について
議会改革の活性化について
新潟県立大学国際地域学部現代行政研究室
田口
一博氏
平成 25 年度議長研究会
H25.7.8(月)、ホテル北野プラザ六甲荘
こんにちは。御紹介いただきました田口でございます。今日はいただいたタイトル
で「議会の活性化について」ということでお話をいたします。
活性化とはどういうことなのかというのを、前半では通年議会・通年の会期制とい
うことにポイントを絞って。そして後半ではいくつかの観点から、こういうことを検
討されてはいかがかということを。すでにおやりになっているところもあるわけなん
ですが、申し上げたいと思います。
まず通年議会・通年の会期制といったときに、どうして通年なのかというところが
一番初めにあると思います。これを最初に考えたときには、町村の場合、多くの議会
がもともと通年の運用をしていた。つまり市議会、これは規模の大きな議会がそうな
んですけれども、4 回の会期以外は余り活動をしないということではなくて、例えば
毎月のように例月で集まるとか、委員会を開くとか、広報委員会や広聴委員会がある
とかというようなこと。それが町村の場合だと普通なんですけど、市や県にいくと、
会期外はあんまり活動していないんですよ。
そこで、この通年という話が出たときというよりは、むしろ今の普通の活動が何で
閉会中の議決なんかいちいちしなくてはいけないのとか。あるいは会期ではないとき
に議案が出てきてみんな集まって協議会を開いているのに、ここで議決できればいい
じゃないかとか、というようなことがあったわけです。
そこでもう一つ別のところからもきっかけがありまして、それは 1 ページの下半分
のほうに書きました。すぐ近くですけれども滋賀県で、これは議会議員のことが争わ
れたわけじゃないんですが、労働委員会という、県の行政委員会の委員に月額報酬を
出しているんだけど、月額報酬を受け取っている労働委員が県庁に来るのは月に 1.9
回しかないと。これはけしからんという判決を大津地裁で出しちゃったんですね。こ
れの対応だということは言えないんですけれども、それだったら今までやってないも
のをやってますと言うんだったら話は別ですけど。今までちゃんと毎月のようにやっ
ているんですから、だから通年と言ったほうが話が早いんじゃないのと。ちょっとぶ
っちゃけた話では、そういうところもあります。
もう一つの理由は特に名前は言いませんけど、県議会が議会に 1 回出てくると費用
- 1 -
弁償に 1 回 1 万円ずつ出していた。費用弁償というのは法律に基づいた正規の会議じ
ゃないと出せない。会議外で出すとなるとちょっと厄介だ。そこで、年間 100 回ぐら
い議会に来ているなと。100 万円をもらえるなと言って、通年議会と言って年に 2 回
制の議会にしたところがありましたけど、皆さんのところは 1 回出てくると 1 万円な
んていうことはまずないわけでありまして、これは関係のない話であります。
それで町村議会としては、通年議会というのは実際の実態の活動を住民にちゃんと
知らせるためには、我々は通年でやっていますと言ったほうがむしろ分かりやすいん
じゃないかと。その辺から入ったことであります。
最高裁は先ほどの大津地裁の裁判はそんなことはないよと、別に気にしないでいい
よという判決を出したので、大津地裁と大阪高裁の判決はひっくり返って、別に月額
報酬で勤務実態が何日だから月額じゃいかんとかということは、最高裁は否定したん
ですけれども。やっぱりこういう話が来たときには我々の側も少し準備をしておいた
ほうがいいんではないかなと思います。
そこで資料の 2 ページをご覧ください。最初に行われた通年議会というものは、会
期の回数を年間 1 回か 2 回にしましょう。これが最初でした。年間 1 回か 2 回に会期
をするんですが、会期の長さは議決で自由に決められますから、これを長くしたんで
すね。そうすると、兵庫県ですと実は戦前の神戸市会なんかがそうだったんです。万
年議会という名前で当時は呼ばれていたんですが、昭和 18 年に旧市政、これが改正
されるまでは旧 6 大市の市会、今の市議会ですね。これはほとんど万年議会だったん
です。会期は 1 年中、1 回開いたらずっと開いている。昭和 18 年の戦争をやるために
議会はあんまり開かないでいいよ、選挙もやらないことにするよという改正までは、
大きな町は大抵万年議会でした。
町村議会の運用って実はそれを残しているんですね。万年議会といっても、毎日会
議を開くのではないということは、昔も今も同じです。月に 1 回とか、委員会は曜日
を決めて開くとかというのが普通です。
しかし、ここで行われた通年の議会というのは会期の日数を減らして、1 回の会期
を長くするという運用が法律上何も禁止されていなかったので、それを利用して1年
中いつでも会期ですというふうにしました。最初の何件かは失敗しました。結構まぬ
けな失敗でした。自分たちのことだけしか考えなかったんですよ。今年、国会が閉会
したのが 6 月 24 日でしたっけ、28 日でしたっけ。ですよね。通常国会はだいたいそ
のぐらいまでやって、通常国会で審議した法案が公布されるのが、6 月の末から 7 月
にかけてですよね。
皆さんのところは、さっき資料をいただいたんですが、6 月議会を通常国会が閉会
した後までやっているところはなかったですよね。だから最初に通年議会をやったと
ころは、夏は休みだよな。お盆は新盆の檀家参りをしなきゃいかんよなと思って、夏
- 2 -
休みにしちゃった。夏休みにすると、だいたい今ぐらいにもう全部県議会でも何でも
終わっちゃって。ところが、その年に地方自治法が改正されて 7 月になってから公布
をされて、そして 9 月 1 日に議員報酬という名前を変えろという年がありましたよね、
平成 20 年の改正。あのときに、恥ずかしかったですけれども、8 月に臨時会を開いて
議員報酬という言葉を変えなきゃいけなかったんですよね。あるいは政務調査費や政
務活動費というのも、似たようなタイミングで法律が出てきました。つまり国会が終
わって、法律が出そろってくるまでに、こっちが先に閉めちゃまずいんですよ。だか
ら夏休みをとって夏休みの前で議会の前期、夏休みの後で後期ってやると、国会はこ
とし延長がなかったからいいですけど、例えばお盆前ぐらいまで延長されると結局通
年といっているのに専決処分だ、あるいは臨時会だということになっちゃうよねと。
これはよくよく気をつけておかないと、うちは通年議会をやりましたと言った途端に、
臨時会ですというと何だということになるというようなことが起こってしまいます。
これは今までと同じ制度を使ってますので会期の決定とか、町村長による招集とい
う行為はそのまま必要です。だからこの方法をとっていると定例会であれ、臨時会で
あれ、町村長が招集しないということも理屈としてはあり得るわけなんですよね。
それからもう一つ、全く別の流れから地方自治法上の通年の会期制というものが出
てきたんですけれども。まず、このもともとの通年議会、元からの制度を使って1年
中会議が開けるようにするというものについて、ざっと説明をしてみようと思います。
まず目的としては、議員がどういうふうに働いているのかということを住民の方に
理解してもらいたい。これが最初です。議会の会議の活動だけが議員活動であり、か
つ議会活動であると言われてきたんですけど、国会議員はそうじゃないです。国会議
員が受け取っているのは報酬ではなくて、歳費ですよね。歳月の歳、費用の費と書い
て歳費。ですから国会議員は 1 年中どこで何をしたとしても、全てが国会議員として
の活動だということになっています。これは、その根拠は何かといったら、報酬が歳
費で出ているからです。だから県議会議長会は、地方議会議員もずっと、いつでも活
動しているんだから、まずこの言葉を歳費と変えてくれというふうに要望したんです。
今でもしています。しかし国会議員と地方議会議員は違うということになって、いま
だに実現はしていませんが歳費です。会期だけ活動していると言ったのではまずいか
ら、会期のないとき、会議がないときでも、いつでも議員は議員なんだよというよう
な、そういう説明をしたほうが分かりやすいんじゃないかと。だから県議会議長会も
一部、費用弁償はどうのこうのという議会もありましたけれども、大方ですね、議員
は別に休みがあるわけじゃなくて、朝から晩まで 1 年中いつでも議員なんだから、そ
れをちゃんと反映させてくれと。それには通年議会と言ったほうが分かりやすいよね
と。このあたりが出発点です。
ですので、この議員の勤務実態、つまり会議をしているときだけが議員ではないと
- 3 -
いうところを住民の方々に理解していただく。これが通年議会の一番初めの目的だっ
たんではないでしょうか。
もう一つは町村議会にかなり固有の問題です。さっきも資料を見ながら、全員協議
会・委員会の協議会、結構開かれているなというふうに思いました。全員協議会は幾
ら開いてても、住民の方はなかなか会議だと思っていただけないですね。そしてこれ
はもう行政実例にこだわる必要はないんですけれど、古い行政実例で全員協議会をや
っている最中に、議案として議決しなければならないものが出てきたと。そのときに
「すぐに本会議です。会期を始めます。」と言えるかというと、ダメと。1 回招集をし
てそれからもう 1 回集まり直しなさいという、古い行政実例があります。
だけど緊急案件のときに、そんなことを言っている意味がそもそもあるのかなんで
す。それだったら今まで会期外に協議会というような方法で開いていたものは、これ
を正規の会議にすればそんな心配をすることもなくなるよね。だから通年議会でいい
じゃないかというのがそれです。今日は議長さんの会ですから後で申し上げますと、
そのときに 1 個だけひっかかるのがあるんですよ。全員協議会だと、議長さんは結構
自由に発言できるんですよね。本会議になると、議長さんは発言できませんよね。こ
れが 40 人も 50 人もいる議会だったらいいんですけど、十数人の議会で議長が発言で
きないというのはやっぱりマイナスとして大きいです。だから全員協議会を本会議に
したときに、議長もしゃべっていいんだよということをちょっと考えておかなければ
いけないことです。
これは外国では結構実例がありまして、議長が何か発言したいというようなときに、
副議長と交代しますよね。副議長も交代してしゃべりたいと言ったら、仮議長を選任
しなきゃならないですよね。でも十何人の議長でそれをやっていると、最後に俺も言
いたいから仮議長は嫌だと言って、誰も何も言えなくなっちゃうんです。だからここ
は一つ、うまい方法を後ほど申し上げますけれども。人数がいっぱいいるわけではな
い町村議会の場合には、議長にも発言の機会があるように、全員協議会運用をしてき
たというところは忘れちゃいけないことだと思うんです。
三つ目の目的として、専決処分というものを学者から見ると、あるいは新聞やマス
コミから見ると、議会は何を怠けとるんだというふうに思われるというところです。
別に議案をこっちが作っているわけじゃないですから、議会が怠けているわけじゃな
いですよね。だけど専決処分というのは、27 次地方制度調査会あたりから議会はやっ
ぱりけしからん、ちゃんと会議を開いて議決をするべきだということになってんです
よ。今の自治法では、会議を開くことが客観的に無理だと明確に認められる場合なん
て書いてあるんですけど。どことは申し上げませんけど、2 桁専決処分をやっている
ところがこの中にもありますよね。これ、やっぱりまずいです。
ただし東京 23 区の西側のほうとか多摩や埼玉のほうで、3 月議会の会期を 4 月のち
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ょっと先まで持っているところがあるんですよ。
一番いっぱい件数が出てくる 3 月末の予算絡みの専決処分は、理論的にはなくなり
ます。だって会期の決定のときに、3 月に招集されて、会期の決定で議長さんが一言
ですね、会期は 3 月 26 日までのと言わないで、会期は 4 月 10 日までのと言うと町長
席から、周りからざわざわっとしてね、どうしようということになるんですね。
これ、実務的には 3 月 31 日の専決処分なんかできないです。4 月の 1 週間か 10 日
ぐらいたってからしかできないんです。専決処分じゃないとまずいんですよ。まずい
理由というのが、自分のところの会計だけ閉めてうまくいくんならいいんですが、国
保の支払基金だとか、後期高齢者の支払いだとかというものが 3 月 31 日の日付で、4
月 10 日ごろに届くんですよね。そうすると、大きなところでお金に余裕があるとこ
ろは何とか払えるんですけど、正直に 3 月末で決算をちゃんとやっちゃうと 3 億円足
りないとかですね、2 億円どっかから出さなきゃということになっちゃうんで、全部
が専決処分なしにできるわけじゃないんですよね。
そういうこともあるんですが、やっぱりこの専決処分は世間から見たときに、何だ
ということになるのも事実です。
そこで対応策はまた後ほど申し上げますけれども、やっぱり議会は 1 年中開く形にし
て、専決処分というものをできるだけ減らして、かつ住民の前にちゃんと審議をして
ますよ、議会活動・議員活動、どちらもやってますよ。それを示すべきではないか。
だいたいこんなことで、5 年ぐらい前から、じわじわっと広がってきたのが通年議
会だと思います。
効果としてはここに 6 つ挙げましたけれども、私、一番大きいのは関西風に言うと、
儲かるということですかね。通年議会にすると儲かります。
例えばこの中でもし建設業の方がいらしたら、すぐピンとくるんじゃないかと思う
んですが。国の予算が実際県を通じて配分されて使えるようになるのは、7 月ではま
だ無理ですよね。8 月のお盆入り前ぐらいにようやく補助金が使えるよ、なんて話に
なってくる。そうなると補正予算が町長側から提案されたり、あるいは補正予算だけ
じゃなくて、入札して大きな工事ですからと言って、契約の承認が出てきますよね。
ところが議会は 9 月にならないとやらない。そうすると、8 月にお金が使えるように
なっているのに、9 月になってから例えば契約の議決なんかをしても、8 月のお盆休
み前に契約をして、銀行にもお金を借りられるよとなって、ああ、役場からは前払い
金が出たからこれでお盆休み前に、従業員に餅代を配ろうなんていうのができるんで
すよ。
兵庫県はそんなに雪が深くはないんでしょうが、これが北海道だとてき面に効きま
すね。
9 月議会で補正予算を組んで 12 月議会で契約をすると、そのころにはもう雪が降っ
- 5 -
てますから工事費が何倍にもなっちゃう。工期が短いですから、地元の業者さんが取
れなくて、よそから大きな業者が入ってきて下請にしかならない。
通年化することで、補正や契約を早くすると、地元に落ちるお金や、それからタイ
ミングよく行政執行ができるので、仮に通年にしないにしても本当はいつ会期を持っ
たほうがいいのというのを議長さんの側から町長側に話をしていただくと、「実は 6
月議会は 8 月の頭くらいにやってもらうといいんですけど。」という答えが返ってく
るはずです。6 月号の「地方議会人」にそういう話を書いておきましたので、それを
ごらんいただくと少し詳しく書いてあります。
今の 6 月議会って、平成 3 年まで国会が 1 月ではなくて、12 月に招集されてたころ
の名残なんです。国会の会期末が 5 月の連休明けだったから、こっちは 6 月議会だっ
たんですよ。平成 4 年からは、まだ生まれてなかった方もいらっしゃるかもしれませ
んが国会は 1 月招集ですよね。1 月召集だから会期末 6 月の終わりなんです。6 月の
終わりに会期末なのに、それから法律が公布されるのに、その前にこっちがやめちゃ
ってたら、これは専決処分をしなきゃならないですよね。
ですので、その点は行政執行の効率化ということに最終的につながっていきますか
ら、ぜひとも通年にしなくても 6 月の会期というものを検討していただいたほうがい
いと思います。
あとは会期中の会議ということになれば、議会活動として住民の方に見えやすいと
か、あるいは議長会でまとめている活動実態調査の中にも、正規の会議ですからカウ
ントされて、この議会では何日会議をやっているというふうにちゃんと入って来る。
その効果もあります。
後で申し上げる通年の会期制、これが導入されたときの地方制度調査会の委員の言
い方は、地方議会って本会議は年間平均 24、5 日でしょうと。24、5 日しか本会議を
やってないんだから、月に 2 回会議を開けばいいじゃない、というような趣旨のもの
がありました。年間 24 回しか本会議をやっていないというのは全員協議会だとか、
みんなで集まって打ち合わせをしているとかというのは全部抜かれちゃうわけなん
ですよね。
実態調査を見ると、確かに本会議の回数はそのぐらいなんです、全国平均で。しか
し、それだけしかないということはないわけなんですが、調査の中で数字であらわれ
ないものは、外の人の目から見るとないものと同じということなんですよね。だから
この議会活動を見えるようにする、数字であらわしていくということも、やっぱりや
むを得ない、少しずつ対応していかなければならないことではないかなと思います。
そしてもう一つ、この議会の説明責任と書きましたけれども、議会がちゃんと開か
れて先ほど会長さんが、これはありがたかったなと思うのが、議決機関と言わないで
議事機関と、ちゃんと憲法上の言葉を使って御挨拶をいただきましたけど。それを使
- 6 -
っている、そうだということをはっきり分からせるところですね。
議決というのはこのぐらいの範囲ですけど、議事というのはこういう範囲ですよね。
会議を開いて議員同士の意見交換をするというのは、議決はないかもしれないけれど
も、議事である。憲法は議事機関として議会を置くと言っているわけです。
この議事の部分が、会期の間だけ議案を議決しているのが議会だろうという誤解から
すると、通年議会化したときに議決だけじゃなくて、議事ということが議会の役割で
しょうと。これが非常に分かりやすくなっていくはずなのであります。そうすると通
年議会をやって、悪いということは別にないよねと思われると思うんです。
今日は市の方もお見えになってますけど、市長会の会長が新潟から出ているんです
ね。その市長会の会長は自分の立場なのか、会としての意見なのかはちょっと分から
ないんですが、通年議会・通年の会期制に強硬に反対しております。その反対理由は、
ここに書いた問題点 4 つです。会議日数がふえるんじゃないか、これは総務省も全国
調査をしましたけど、会議日数が増えたのが。某県議会だけです。
ほかはみんな同じ、減ったところもあります。だって今までやってたことと中身が
変わるわけじゃなくて、会期の持ち方を変えるわけですから、別に会議日数は増えま
せんよね。むしろ減ったというのは、議会を開いて会期中に議案を議決したのにもか
かわらず、すぐに国から閉会後に補正がついたから、補正と契約をやってくれなんて
いう臨時会を開く必要がなくなったので、会期日数が減ったというところです。だか
らこれ、見直しをするだけでも議会改革になってくるんですね。
議事説明員の負担がふえるんじゃないかと。長岡市長の言い方をすると、議会があ
ると全説明員がずっと張りついてなきゃならないと。これ、言い返し方は 2 つあると
思うんですよね。そんなに議会が嫌だったら呼んでやらないと。議長さんが今度会議
を開くから説明員、いらっしゃいと出席要求しているだけですよね。1回やらないと
いいですよ。やらないと心配になって、必死になって議会は何をやってんだと。
この説明員の負担が増えるんじゃないかというのは戦前の万年議会のように、のべ
つ幕なしで会議を開いてというようなことになれば話は別ですけども。戦前の運用も
そうではなく、また今までの町村議会、少なくとも市議会レベルまでで会議の日数や
回数が増えたという話は事実としても全くありません。先ほど挙げた某県議会1カ所
だけです。
議会費が増えるんではないか、これも費用弁償が。メーターが、かんかんかんと上
がるところ以外は関係ないですね。ただし、通年議会にしたときにどのタイミングで
会議を開くのかということを考えないと。特に少ない費用で頑張っておられる町村の
方の場合は、この報酬じゃ議会にそんなにしょっちゅう来るわけにいかないからやめ
ると言う方が出てらっしゃる可能性はあります。通年議会にしたら議員報酬はちょっ
と上げる方向で見直したほうがいいのかもしれないということも今後、訴えていかな
- 7 -
ければいけないかと思います。これは通年の会期制のところでお話しします。
最後に、議員の負担が増えるのでないかと。先ほど会長さんの挨拶で出てきました
北海道の栗山町議長を長くしておられた方は、議員の負担がふえて、ジャガイモが畑
の中で腐っちゃうからだめだと言って、お辞めになったという話も聞かないでもない
です。ただし、これは議長さん方の集まりなので分かると思うんですが、議員の負担
といったときに、どういうものが議員の負担なのか。通年議会といったときに、議員
活動にあんまり注目してないんですね。議会の会議の活動のことを注目しているんで
す。この会議のありようを変えることで議員の負担がふえるかどうかというのは、会
議の持ち方をどのようにするかということをよく考えておけば、別に負担を増やすこ
となしに会議を開けるはずです。
市議会の方はどちらかというと、朝から夕方まで会議を開くというパターンが多い
んですが、町村の場合には午前だけとか午後だけとかというパターンもあるかと思い
ます。例えば、仕事を幾つか兼業しているということが前提になっている町村の議会
の場合だと、午前中は畑をやってるけど、午後からだったら出てきていいよというこ
ともあり得るわけですよね。
一方で、半ば専業化している市だったらむしろ議会に出てくるときには 1 日休みに
するから、議会に出てくる回数のほうを減らしてくれよということもあるかもしれま
せん。
ここはそれぞれの議会、議員のありようによって変わるんですが、議員の負担が増
えるということは、例えば自分の仕事ができなくなることなのか、それとも議員活動
として地域の見回りのようなこと、住民相談を受けるというようなこと。それができ
なくなるということなのか、そこもよくよく整理をしたほうがいいのではと思います。
通年議会というのをざっとお話をしましたが、次に通年の会期制、3 ページのほう
をご覧ください。
今度は地方自治法が改正をされて、地方自治法上で会期を1年とする、定例会と臨
時会の区別はないよという方式の説明です。これは兵庫県内はまだ実例がないですよ
ね。この通年の会期制ですが、これは皆さん、すんなり納得できますか。サラリーマ
ン等有職者が議員を兼務できるように、会議がいつ開かれるかを予見可能とすべき。
つまり先ほどの年間 24 日ぐらいしか会議をしていないんだったら、割り算をすると
月 2 日でしょうと。だから毎月同じ日に会議を開けば、サラリーマンでも月に 2 日ぐ
らい休ませてくれと言うなら何とかなるんじゃないかと言って始まったんですよ。
総務省がそういう法案を 1 回作りました。毎月同じ日に会議を開く、そうするとサ
ラリーマンでも予定が立つし、月 2 日年休をとらせてくれと言われたら、しょうがね
えなと言いつつも何とかとれるのかなと考えたんですね。でもこれ、月 2 日ってどう
なるかと言うと、国会が大体そういう運用なんですけども。例えば 1 月の第 1 木曜日
- 8 -
に議案の提案を受けて、第 3 木曜日にそれを審議して、2 月の第1木曜日に採決。1
回ひと流れ議案処理するのに 1 カ月半ずつかかる。現実離れしてますよね、国会がそ
うなんですけど、町村議会でそんなことをやっていたら日が暮れちゃうというよりは、
間に合わないですよね。これ、地方制度調査会の 30 次にかかったときには毎月同じ
日にやる必要なんかないでしょうということになって、1 年分のスケジュールを決め
ておけば、毎月同じ日に開く必要はないねというふうに修正をされました。だから制
度のところに書きましたけれども、今この通年の会期制を使っているところは大体2
種類に分かれてます。一つは万年カレンダーとか、永久カレンダーとかというんでし
ょうかね。7 月は第1木曜日、8 月も第1木曜日、9 月は第 2 と第 3 木曜日というよう
な、何週の何曜日というふうに条例で決めて、その日に会議を定例的に開きましょう
とやる方式。そのときに、例えば5月はなしでいいんですよ。ほかの月は第 1 木曜日
だけど、4 月は行政側の人事異動なんかがあるだろうから第 3 木曜日にやろうと言っ
て、月ごとにあるなし。あるいは曜日や第何週ということを変えても構わない。こう
いう方法が一つ、これを私は万年カレンダーと呼んでいます。だけど、そうすると例
えば 9 月なんかだと、ハッピーマンデー以外の曜日が決まらない祝日がありますよね。
話がすごく複雑になっちゃうんですよ。会議の日が祝日に当たると、その日は休みに
したいという単純なルールだったらいいんですけど。一般質問をやろうなんて言うと、
祝日の翌日に会議が開かれると、祝日の前の日に答弁調整をしなきゃならないからや
めてと。そんなことをいつまでも言ってると、祝日の翌日に答弁調整をして、その翌
日に本会議にしようとしたら土曜日になっちゃったとか、話がどんどんどんどん複雑
になっちゃうんです。そこでそれだったら、毎年カレンダーを見て、この日とこの日
とこの日というふうに会議の日を決めて、それでもいいんじゃないというのが毎年改
正方式というふうに書きました。
多分そうですよね、例えば小学校・中学校の卒業式の日、議長さんを始め議員さん
方が出てなきゃ格好がつかない。でも学校の卒業式をいつやるかって、やっぱり毎年
ちょっとずつ微妙に動きますよね。同じ曜日になんかやってくれるわけじゃない。で
もその時期、予算審議もやらなきゃいけないわけです。すると 1 年分のスケジュール
というものを町長だけじゃなくて、教育委員会だとかほかの執行機関にもみんな出さ
せて、例えば今年は参議院選挙があるからこの辺はちょっと外しておこうよとか。
あるいはここではこういう行事があるから日にちを動かそうねって、毎年調整してや
ったほうが恐らくはいいんじゃないかなと思います。そういうふうにしておくと、例
えば行政の職員の方も夏休みは家族旅行のプランが立てやすい。景気浮揚効果にもな
っていくわけですね。この方法をとるときには、今までと考え方を変えなければなら
ないことが幾つかあります。例えば会期の決定がなくなります。条例で1年と決まっ
てますから、いつから会議を開くということだけ決めておかなければならないです。
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でも会期の決定がないですから、その日に会議を開かなくてもいいんですよ。分かり
やすいのが、1 月 1 日から会期にしたときに、元旦に羽織り袴と、それから振り袖で
来ますか、本会議。戦前の議会は元旦にやっていたんですね、明けましておめでとう
ございますと。でも今はやらないですよね。すると元旦スタートにしたときにも、例
えば会期は 1 月 1 日からだけど、会議の初日は成人式の後とか、2 月の第 3 週とかで
全然構わないんです。会期は始まっているけど、会議をやらなくてもいいんですね。
つまり、いつから会期にするということがあっても、別段今までの会議日程というも
のを変えてその日にスタートだからやるとか、毎月開くとかということを地方制度調
査会で変えましたからいいです、どっちでも。すると次に考えられるのが、会計年度
スタートというのが何となくやりたくなるんですよね。これをやったところもあるん
ですけど、やめたほうがいいです。どうせ 4 月 1 日に会議を開くわけじゃないんです
けど、3 月 31 日に会期が切れちゃいますよね。するとさっきの専決処分の問題がどう
せまた出てきちゃうんですよ。年度末で会期が切れると、3 月 31 日付の専決処分が出
てくるんだけど、翌日から会議を開くのに専決処分がここで出たらやっぱり変なんで
すよね。だからこれ、会計年度は多分やらないほうがいい。一番今まででいいなと思
っているのが、選挙が終わって任期が始まる日、いつなのかにもよりますけれども。
例えば 4 月に少し入ってから、これは一応平均すると、戦後初めての選挙で議員の任
期が始まったのが 5 月 3 日が標準なんですよね。憲法が施行された 5 月 3 日とか、あ
るいは合併した後に選挙をやったところは 7 月何日とかというところが多いです。こ
れが元旦だとか4月 1 日になっていれば、それはしょうがないですけれども。任期の
初日というのが、ほかの運用と比べても多分一番やりやすいんじゃないかなと思いま
す。大体選挙をやった後に誰を議長にするんだとか、どういうふうに委員会を組むん
だとかって、がしゃがしゃがしゃっとですね、皆さん相談をされて、それで任期が始
まるときには今までの方法だと定例会の頭か、臨時会の招集を請求するかして、議長
の選挙をやって、粛々と始まりますよね。
今度は、この通年の会期制にしたときに臨時会というものが概念上ありませんから、
これで今期は議長、こういうふうにやろうよというところが決まった段階で会議を開
けばいいんですけど。招集請求をするとか、長の側にいつ開くということも言う必要
がないんですよ。任期の始まったときに、その日に勝手に会期が始まっているように
すれば、議長さんが決まって、内定して、これで行こうやと決まったときに会議を開
けばいいだけになるんですよね。だからこれは非常にやりやすいので、恐らくこの会
期の決定がない以上、一番最初の会期がつまり、任期の初日から始まっているという
ふうに条例を書いておくと、長が招集しないということもなくなりますし、任期を 1
日も無駄にしないという、通年の会期制の趣旨とも合うんじゃないかなと思うんです。
すると、この制度では、任期の初日を会期のスタートにしておくと、1 月 1 日や 4
- 10 -
月 1 日だったらほかと同じになりますけれども、多分運営上一番やりやすいんではな
いかなと思います。ただ、さっき申し上げたとおり、1 日も会期じゃない日がなくな
るのに専決処分が残ってるというのは、これは困るんですよね。
これをどうしたらいいか、簡単です。専決処分は制度としては、臨時会あるいは議
会が招集できないというケースと、それから議会に議案を出したんだけど、議決をし
ないというケースの二つだけじゃないんです。もう一つ、議会がそれは町長限りでや
っていいよと委任することもできるわけですよね。
年度末の整理について、それから地方税法が改正されて町税条例の、例えば地方税
法 385 条の 2 第十何項が 385 条の 3 第十何項になったなんて改正がありますよね。あ
あいうのはいいと。町民の負担に関係がない、条文の整理だけだったら勝手に町長だ
けでやれと。そのかわり税率や税額を変えるとか、住民の負担に影響が出るよという
のは、ちゃんと議案として出せと。こう整理すると、あの専決書もほとんど議会の委
任に変えられるはずなんです。そのかわり 3 月の会期のときに、細かい数字の調整以
外の、根幹的な部分の予算の補正はちゃんとやってくださいね。だから円単位までぴ
たっとそろえることはどうせ無理ですが、普通の会社だったら株主総会の最重要議案
になる。これだけ現金が残っているからこれを基金に積もうか、起債の繰り上げ償還
に回そうか、それとも決算の剰余金として残しておこうか。これを今、ほとんどの議
会というか、ほとんどの首長は専決処分の中で勝手に決めて、後から報告をしていま
す。でも株主総会だったらそれを議論するんですよね。だから民間の、特に財務をや
っている人から見ると、何で一番重要なことを町長に専決処分させておいて、議会は
後からその報告を聞いて、報告を否決しようが、可決しようが関係ないなんていうの
は何たる無責任と思うわけなんですよ。
だからそれは、やっぱり 3 月議会にできるところまでぎりぎりまで詰めておいて、
あとしょうがないやつは緊急だということにして委任するから町長限りで帳じりを
合わせろと。これでいいと思うんですよね。
大体総務省自身が、総務省の関係者の方はいらっしゃらないと思うんですが。地方
交付税の一番最後の部分を年度内にちゃんと払って持ってくるかというと、怪しいで
すよね。だからけしからんとは言っても、3月末はどうしてもなくせないんです。だ
けどそこまでやっておけば住民の方からけしからんという話にはならないはずです。
やっぱり決算を打つときに一番重要なはずのこの現金を起債繰り上げか、あるいは基
金に積むのか、あるいは翌年度に回すのかというような、利益処分案、あるいは損失
処分案に当たることは 3 月議会できちんと補正をさせて、ちゃんと審議をしないとい
けないことだと思います。
原則はあり得ないんですが、無制限にいとまがないという専決処分ではなくて、議
会が委任するという形に整理をしていただくといいと思います。
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ウの目的です。一応法律上は 1 年間分の会議の日、本会議の日が条例で決まってい
れば議員に立つ人がふえるんじゃないのと言うんですが、ただいまの動議に賛成の方、
いらっしゃいますか。皆さん腕を組んでいらっしゃいますよね、これは無理だと思い
ます。でも法律の中にそんなことが書いているわけじゃないですから、それは心配し
ないでいいんじゃないでしょうか。
ただ先ほど申し上げたような効果として、1 年分の定例会を万年カレンダーにする
にしても、毎年の表にするにしても、事前に決めて、この日は本会議だとやると、や
っぱり前の定例会の最後に日程を決めてというよりはずっと計画的な行政運営です
とか、あるいは皆さんの日程調整、あるいは町の中のさまざまな行事の調整というこ
とにもなると思うんです。自治法の 96 条 1 項の議決事件の中に、町のさまざまな団
体の総合調整という機能が本来書かれています。この総合調整というときに、議会が
1年間どういうスケジュールで開くから町の皆さん、これで承知してくださいね、い
ろんな行事も考えてくださいねということも1年分決めておかれると。議長さんにな
ると分かると思うんですけど、本会議の日にどうしても出なくてはならないような町
の中の会合をぶつけられちゃったら困りますよね。自分が出られないからって副議長
に行ってもらうわけにもいかないでしょう。やっぱりそういうときに議会が出てない
のはまずいんですよ。だけど本会議の日程は急に決められない、変えられない。そう
いうことを考えたら、むしろいつ本会議があるよということは先に決めて、決めると
きに町のいろいろな団体に議長さんから相談をしていただいて。これで会議を開くか
ら、例えば議長や議員が出なきゃいけないのは外してとか。あるいは、どうしてもそ
の日にやらなきゃいけないような話があるんだったら、こっちが譲るよというような
形で、毎年改正方式で持っていったほうがいいのではないかなと思います。ですから、
この定例日が予見できるようにして、職業のある人が議員になれるというのは、私は
そんなに議員は甘いものじゃないよと思っているんですが。
一方で、議員がそこに来てくれなきゃ、議長が来てくれなきゃ格好がつかない、形
にならないというようなときに、やっぱり議会は今日は出られませんでは困りますの
で、そういう調整をすることで議長の権威、あるいは議会の役割というものをもうち
ょっと示すことができるんじゃないか。私も何回か経験がありますけど、本会議の日
に時間もずらしたつもりで無理やりそういう会合を入れちゃったんだけど、本会議が
延びて議員の席を準備してあるんだけどずっと空席。これは主催者も困りますけど、
周りで見ている人も、議会を一生懸命やっているから今日は来られないのだと分かり
ますけど、何だと思いますよ。ぜひ、そういう総合調整をしていただいて、やっぱり
議員が出てなくてはならないとき、議長さんがいなくてはならないときもあるわけで
すから、その調整は通年議会の検討の中でできるんではないかなと思います。
それから制度で、これは導入が決まった段階で考えていただければいいと思うんで
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すが、招集告示って町長がやっていたのがなくなります。条例で勝手に会期が始まり
ますから、何月何日に町議会議事堂に町議会を招集するという町長の告示なしです。
議長が今度は何月何日に会議を開きますので参集してくださいという、開議通知。開
く会議の議ですね。この開議通知を議員に送ることで、議員はいつ開けるんだなと承
知することになります。ただ開議通知は聞くところによると、時々出してない議会も
あるみたいなんですけど。いつから議会があるかは、今度公式には分からなくなっち
ゃうんですよ。
関東の人間はそういうのをちゃんと告示しないとまずいんじゃないかなと思うん
ですが。インターネットですとか、議会だよりなんかで流れていれば別に構わないと
思うんですけど、やっぱり公式にいつ会議を開くんだということを、住民の方に周知
する手続は必要だと思うんです。すると役場の前の掲示板に張り紙 1 枚ポンと出して、
それをこうやってみんなで見ているということはまずあり得ないんですけど。議長さ
んの役割を明確にするという意味でも、議長の名前でいついつ会議を開きます。そし
て、今年の議会の会議の日程は次のとおりですというようなことを議長の名前で告示
をして、住民の方に周知するということも必要なんじゃないかなと思います。
今までだと会議を開くのは議長さんなのに、招集するのも、会議の結果報告をして
出すのもみんな町長だったわけですよ。それを議長さんが出しましょう。それは議会
の公告式、決められたことを発表する方式の条例を、議会について定め直すことで簡
単にできるはずであります。
こんなふうにして通年の会期制って多少会議規則ですとか、運用ですとか、あるい
は条例をつくったりと、やらなきゃいけないこともあるんですが、大した手間ではな
いです。先行事例も、ぱらぱらと万年カレンダー方式を作った岩手県の葛巻町ですと
か、あるいは徳島県の勝浦町では、毎年改正するように別表に何月何日というふうに
書いた条例をつくってます。勝浦町はあさってから、この新条例が施行されます。そ
んなふうに先行事例も出てきてますので、そんなに難しいことじゃありませんから、
まずいつ会期を持つべきかということを相談をしていただいた上で、その上でうちも
じゃあ通年にしようか、するとどういういいことがあるのか。やっぱり、新しい物好
きというのは、県民性が結構あると思うんですが、兵庫県はどっちなんでしょうかね。
新しいものが出るとぱっと飛びつくほうなのか、割とコンサバティブで後からやった
ほうがいいなと思うのか、どっちですか。
多分あんまり通年の会期制をやって失敗したという話は聞きませんから、早くやっ
ちゃったほうが。例えば、後で議長さん同士でじゃんけんをしていただいて、兵庫県
で一番はうちが取ると言って。やっぱり兵庫県で一番というのは新聞の材料なんかに
はいいでしょうね。私が議長のときに、県内で一番でやったのよとかですね。という
ことが言えるはずであります。
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それから、それはそれとしてもう一つですね。会議全般、会議規則全般を見直すと、
やっぱり時々これはやったほうがいいのよね。この辺はちょっと変だよねとか、標準
とずれてるよねとか、昔のやり方がそのまま残っちゃってるよねなんていうところ。
そこを見直すと、今日のテーマである活性化・改革というようなことにもつながって
いくはずです。ですので、例えば専決処分が今まで多かったななんていうふうに考え
たら、じゃあ専決処分が多かったらそれを減らす方法として、通年の議会・通年の会
期制というものをとる。あるいは、行政活動をもっとスピーディーにするために行政
側とも相談をして、議会の会期を決めるよというふうに変えていく。そうすると専決
処分の言いわけというものもなくなりますし、やっぱり悪い意味でお役所仕事と言っ
てたものが、そちらのスケジュールでこの日に会議を開くようにしたんだから、ちゃ
んと間に合うようにやれというふうに、おしりをたたくことにもつながっていくわけ
ですね。
今日の活性化というようなことから考えたときに通年議会、今までやってみて困っ
たという話は聞きませんので、検討されて、考えられてもいいんではないか。
資料の 4 ページ、5 ぺージにどういうことを検討したらいいのかなということを書
き出しておきましたので、これはお戻りになってから事務局長と議会運営委員長さん
によく勉強しておいてと、議長さんからお示しいただければいいんではないかなと思
います。
前半通年議会のことをお話しいたしましたが、後半は議会活性化について少し幅広
にお話をしたいと思います。
一つは予算決算の常任委員会を置きましょうという話です。
既に特別委員会を置いているところ、それが何カ所かあるようでございます。まだ
常任委員会化したところは、私の手元にいただいた資料ではないようなんです。だけ
ど予算委員会という名前を使わなくても、所管別の常任委員会で予算審議をしている
ところもありますから、必ずしも名前にはこだわらないですが。平成 18 年に自治法
改正をやったときに、分かりにくい改正だったんですけれども。常任委員会を1つだ
け所属するという規定を外して幾つでもいいよとしたときには、これは今、それで悩
んでいるところがあることを承知で申し上げますけど、少ない人数の議会で 3 つ以上
の常任委員会を確保するために、1人が幾つもの常任委員会をかけ持ちしてください
と決めたんじゃなくて、30 人・40 人いる大きな議会は、普通の所管別の、縦割りの
常任委員会のほかに、予算と決算の常任委員会を置いてくださいというつもりだった
んですよ。
そんな話は聞いてないと、皆さんはおっしゃると思うんですが、そういう話だった
んです。
だけどこれ、現実には予算決算の常任委員会化とか、あるいは最近進んできた広
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報・広聴の常任委員会化ではなくて、12 人ぐらいを割ってしまった議会で、3 常任委
員会がどうにも維持できないから、1 人が 2 つとか 3 つを兼務するという形で使われ
ているんです。だめとは言いませんけど、本来の趣旨は国会と同じように予算と決算
を常任委員会化して、そして議案が出てきてから審査をするんじゃなくて、議案が出
てくる前にちゃんと議会が意見を、予算にしろ決算にしろ言ってくださいというのが
立法の趣旨だったんですよ。
ですから議長さん方、お戻りになったら、皆さんは知らないかもしれないけど、こ
ういうことだったんですよということでちょっと話をしていただけるといいかもし
れません。
というのは、国会の予算委員会・決算委員会を見ていただければわかるように、国
会の予算委員会みたいに予算案をほとんど審査しない。関係のないことだけずっとや
っていて、予算案そのものは最後のほうに、わわわわとやっている。ただあれで済む
というのは、議案が提案されてくる前に、予算のことをさんざん議論しているからで
すよね。
国会の予算委員会は衆議院で 50 人もいますから、そこで 1 年中議論をしているこ
とが、予算案が提案されたときにはもう入っているわけなんです。地方議会でも、ぜ
ひそうやってくださいと。議案が出てきて、修正が極めて難しくなったような予算案
を無理に審議しようという話じゃなくて、1 年中わーわーわーわー言ってください。
言った結果、議会の議員の皆さんが皆そうおっしゃるんならと言って、町長が最初か
ら通る予算案を出してくださいと。そういう話なんですね。
国会だって、予算案を修正するということはめったにないですから。今まで数例し
かないです。国会だって予算案の修正なんかできないですよ。政策秘書がいて、秘書
が 2 人いて、年収ウン千万ぐらいもらっていてもできない。皆さんは 4 期務めたても、
ウン千万にならないですよね。ですから、これを考えると常任委員会で予算案を案に
なる前に審議してもいいし、予算委員会は別に置いてもいいけれども、予算決算につ
いては 1 年中気にしていてくださいというのが、法の趣旨です。
去年のことですけど、参議院の決算委員会で、震災復興予算で何で沖縄の国道を直
しているんだという話がありました。あれは決算委員会です。でも決算委員会と言っ
ても、既にお金を使い終わった委員会、お金を使い終わった年度のことを言っている
んじゃなくて、現年度のことをやっていましたよね。だって決算って終わっちゃった
ものに何をやってんだと言ったって、最後はしょうがねえなと言うしかないですよね。
国会もそれを大分前からやめて、決算が出てきたときの認定はやりますけれども、
現年度でちゃんとやってるかというのに活動の中心を移して。だから国会は最初から
決算って特別委員会じゃないですけれども、常時やってるんですよ。
これ実は、地方議会のほうがやりやすいですよね。監査委員を議会から出していま
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すよね。監査委員を経験された方、例えば月末になると、例月出納検査をおやりにな
っていますよね。あの例月出納検査の結果は、議長と町長に報告をされていますけど、
議長さんになってからあの例月出納検査の結果、ごらんになっていますか。
ハンコは押しているかもしれないですけれども。ただこれ、ちょっと考えていただ
くと、議長 1 人でこれを全部、責任を持ってくれというわけにはいかないですよね。
あれをあのまま渡すと、特に監査で経験された方、何だよと。12 月の終わりになると
いうのに、土木費の執行率がまだ 20%とか。出納整理期間が終わるのに、町税の収納
率が 80%ないのはどういうことよとか。国民健康保険で、特別会計で収支が赤字にな
っていて、一般会計で黒字が出ているのに、何で国保の特別会計がわざわざ一時借り
入れをしているんだよとか。そのようなこともみんな分かりますよね。あれを毎月や
ってますよね。それを決算委員会でやればいいんですよ。
議長さんのところに報告があったよと言ったら、監査委員さんがその数字を改めて
出してきていますから、それを材料に各執行機関を呼んで、何だよと。税務課は何を
やっとんだと。町民にちゃんとお願いしなさいとか。あるいは工事がこれだけ遅いん
だったらどうなってんだと。いや発注はしているんですけど、まだお金を払ってない
です。それはちゃんと前払いして、どんどん出せと。暮れにお金が出てなかったら、
ボーナスを払えないだろうとかですね。そういう話、どんどん決算委員会でやってく
ださいという趣旨で、常任委員会の複数所属制度はできたんです。
ただ、確かに常任委員会の複数所属制度ができても、元の議員数が十何人だとどう
にもならないですよね。
私はやっぱり議員定数というのは、7 人の委員会が最低 3 つはあって、プラス議長
さんの 22 以下は憲法違反じゃないかと思っています。ここにいる方々、全部憲法違
反。だけどそうじゃないと見切れませんよね、実際問題。それだけじゃなくて、見切
れないんだったらまだやむを得ないのかもしれませんけど。町民の中にいる少数だけ
れども、代表を出したいと思ってる。その代表者の議員定数が十数人だったら、そも
そも議員の中に入れないかもしれないし。また委員会を3つに分けたときには、例え
ばある政党に所属している人は、どこか 1 カ所にしか入れないということもあり得る
わけです。やっぱその数は最低でも委員会で7ぐらいないとしょうがないんじゃない
でしょうかね。まして議員報酬で生活できるほど出しているわけじゃありませんから。
3 つかけ持ちだと言われてもやっぱり困ると思います。とすると、この委員会の所属
の複数制度を無理に使わなくても結構ですが、この予算決算を議案が提出してから初
めてやるというのは現行の縦割りの常任委員会制度を使ったとしても、改善できるん
ではないかなと思います。例えば通常の縦割りの総務常任委員会とか、教育常任委員
会という範囲の中で、来年の予算はどうするのかというような話をしていく。あるい
は今年度の予算の執行状況はどうなっているんだということを議論していく。仮に通
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年議会制を導入すると、議案が提出されていなくてもそういう議論をすることによっ
て、先ほど参議院の沖縄の道路に何で東日本大震災、関係があるんだよというような
話で、決算になってしまってどうしようもなくなってからじゃなくて、現年度でやっ
ていることがおかしいんだから変えなさいと言えますよね。
国会はそういうつもりで、国会の予算委員会・決算委員会をもう少し見習ってとは
言いませんでしたけれども、同じような活動をしてくださいという趣旨で変えました。
ですので、例えば 6 月議会は議案がほとんどないですよね。一般質問をやるにしても、
まだ始まったばっかりだからできないなんて思うかもしれません。だけどそういうと
きこそ本来はチャンスで。
決算は 5 月の中ごろにはできて、決算カードを総務省に送ってるんですよ。だから
去年の決算はどうだったと言っても、秋まで出せませんではなくて、監査委員さんが
見てないから出せませんではなくて、何で総務省へ送っているのに議会に出せないの
かと。もちろん円単位のところは確定してないんですけれども。そういう確定値にな
る前に、議会がちゃんと見て、これでいけとか、ここは直せと言ってあげないといけ
ないよねというのは国会の指摘、私は正しいんじゃないかなと思うんです。
すると特別委員会や、あるいは常任委員会化しないまでも、予算や決算について提
出されるまで待つことなく、どんどん議論をしてくださいというのは、今後の議会の
活性化というときにぜひやっていただいたほうがいいのではないか。これが 1 点目の
指摘です。
制度を変えるとか、委員会を増やすとかというと負担も重いんですけれども、そう
ではなくまず現状でできるところまでやってみて、その上で考え直しをして委員会の
数を増やそうとか所管を持ちかえようとかという検討でいいのではないかなと思い
ます。
特に今、予算・決算を特別委員会でお持ちになっているところがあれば、それを常
任委員会化できないかとか。付託されているときだけが仕事じゃないよ、という議論
を、議長さんからしていただくといいのではないかなと思います。これが 2 番目の項
目であります。
特に決算については本当に、認定議案が出てきてからではしょうがないです。日本
の決算は、国際的に見て、非常に特異な決算です。株主総会だったら予算じゃなくて、
決算が一番メインの議案になって、そして議論をするのは決算をどう修正するかとい
う株主提案と、執行機関側がどうするかですよね。利益の配分で、株主の配当をもっ
と増やせ。つまり決算をどう変えろという話をしているわけなんです。皆さんの場合、
自治体の決算は修正できないことになっていますけど、修正できないと地方自治法の
どこかに書いてありますかね。本来であればこれは翌年度に積み残しておくんじゃな
くて、今の借金を先に返せとか。そんなようなことも議論するのが本来の任務である
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はずなのに、何となく決算ってただただ、気が抜けたころに提出されて、このまま何
とか通してくださいという話になっちゃっているところは国会も問題と思っている
ようであります。
次の項目は広聴活動についてです。資料の 7 ページをごらんください。
広聴活動の充実ということで、このグラフを見ていただけますか、ちょっと字が細
かいんですけど。
内閣府が毎年やっている世論調査で国民に対して国の政策を民意に反映させるた
めにはどうしたらいいのと聞くと、これは今年の 2 月の調査なんですけど。トップは
一番左、政治家が国民の声をよく聞く。政治家の代表がここにいる皆さんですからね。
皆さんのことを言っているんですよ、これ。一番右側、マスコミが国民の意見をよく
伝える、これが一番最後。これ、今日、後ほどの意見交換会用の資料でアンケートを
やってくださったところも見せていただきましたけど、国民の声を政治家がしっかり
聞いてほしいという。これが3割でトップというのは、戦後ずっと変わらないです。
だから議会にとって、あるいは政治家にとって一番大事なことは広聴活動なんですね。
既に広報・広聴の常任委員会を置いている議会もあるように資料で頂戴しました。こ
の広聴機能は行政における広聴機能とちょっと役割は違うようです。
私、新潟県にいますので、阿賀町という面積 1,000 平方キロ。播磨町さんの何個分
ですか。一回りするのに 3 泊 4 日じゃ無理というところもありますけど、そこで集落
が 120 もあるんですよね。そこで議会基本条例をつくるという話だったので、机の上
で考えてないで議員全員で手分けをして、全戸にアンケートを配布して回収してもら
ってくださいとやった。人口が 1 万 4,000 人ですから、これは播磨さんの半分以下で
すね。ですけど面積はそれだけあるところで、最近町の職員も見かけることはなかっ
た。ちゃんとここに人が住んでいるということを議員は知ってくれていたのかと言っ
て、アンケートを喜んで書いてくれたそうです。
そこで、やっぱり出てくるのは政治家。行政マンじゃなくて、政治家に意見を聞い
てもらいたいというところは多いですね。これはぜひ、やっていただきたいですね。
郵送でアンケートをとる、もったいない。シルバーにお願いする、もったいない。皆
さんの仕事として 1 軒 1 軒回って、町民の方に聞いてみてください。もし72時間以
内に議員が全部の家を回り切れるという議員の数と世帯の分布だったら、皆さん災害
が起きたときに安否の確認は行政じゃなくて議会だけで責任を持てると言えますよ
ね。それができないんだったら議員定数が少ないということですけども。1 カ月たっ
てもできないといったら、ちょっと考え直したほうがいいですね。
やっぱりこれ、皆さんが住民の方の前に姿を現さないとだめなんですよ。もちろん
そうやると、よそんちの檀家さんちへ入っちゃうかもしれませんよ。だけどそれは議
会の公務として、議員派遣ということにして、そして今日は議会から来ましたと。議
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会だよりを持って、私たちこうやってます。意見を聞かせてくださいと1軒1軒聞い
ていただいたら、議会あるいは議員を見たことはないけど、議員報酬は多過ぎると思
うなんて言う人はいなくなるはずなんですよ。今日、名札をつけてらっしゃる方もい
らっしゃいますけれども、でっかいゼッケンぐらいつけて、「議長○○」ダーンと、
誰が見てもわかるように出す。そのぐらいで町内を歩いていただいて、書いちゃいけ
ないのは、私に投票してくださいというの。それは書いちゃだめですよ。それ以外は
何を書いていただいても結構ですので。そんなふうにして、まず政治家が国民の声を
よく聞くという、一番多い国民の要望にちゃんと向き合っているよというのを見せて
いただきたいですね。これはやっぱり市や、特に大きな市や県に行くとできないんで
す、やろうと思っても。当選ラインが 1 万とか 2 万とかとなったら、それは無理です。
横浜市だと 3 万ぐらいですよね。だけど皆さんのところだったら、何とかできるはず
です。何日ぐらいで回り切れたよなとか、やっぱり候補者に対する支持者という関係
ではなくて、全部の家をローラーで回ってみるというのをやってみてください。
町村の場合、比較的選挙の投票率も高いんですけれども。この数字、グラフを見て
いただくと、これは全国の集計なんですけど。20 代・30 代・40 代まで、政治家の国
民の声をよく聞くということよりも、国民が参加できる場を広げるという、真ん中辺
にあるところのほうが肉薄していますよね。
この人たちは投票に来てくれてないんですよ、あんまり。投票に来てくれてない人
が参加できる場を広めるべきだって。議会が要らないという言い方をしているのであ
れば、皆さんの声をちゃんと聞いてますよというのを示していただきたい。この調査
そのものは国政に対するものですが、地方政治に対して同じようなアンケートをした
結果を見ると、結果は政治家に対する期待がさらに高まって、そして地方にはなかな
かマスコミがないので、マスコミに対する期待というのがさらに減っていく。また行
政に対する期待も同じように高い率では出てこないという傾向が余計にはっきりす
るわけです。
議会だよりをお作りになってるんだったら、行政連絡員に配ってもらうんじゃなく
て、自分で配ってみる。投票してない人にも配ってみる。労力でやるんじゃないから
ポストに入れるんじゃなくて、ちゃんと話をして置いてくる。これを何回かやってい
ただくと、やっぱり議会っていいな、行政にはできないことをやってくれているんだ
なということがはっきりわかるはずです。特に合併を経験されたところは、行政と住
民との間の関係が結構遠くなってます。兵庫は分からないんですが、新潟でヒアリン
グをすると、15 日ごろに役場に行けば、あのおばあちゃん、今日ぐらいに来ると何の
用事だかって分かるから、みんな紙も何も出して待ってくれたのに、次に行ったら知
らない人が座っていて、あんた誰ですか、身分証明書を見せてくれないと出せません
と言われて愕然としたと。法律上そうなんですけども、だけどそうなったときにやっ
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ぱり自治への信頼を取り戻すのは政治家しかいないと思うんですよね。
檀家の方々を大事にされるのは、それも大事なんですけれども。ぜひとも、この 20
代・30 代・40 代のあんまり投票には来てくれないんだけど、物は言わせろと思って
いる人たち。
去年、北ヨーロッパの福祉や失業給付が進んでいるというような国で若者が暴動を
起こしたとか。今のトルコやエジプトもどうもそうですね、この層ですね、動いてい
るのは。日本でもこの層は今、失業率が高いです。兵庫みたいな景気がいいところは
いいですけど、景気が悪いところで一番失業しているのがこの年齢層なんですよ。ぜ
ひともそんなことにはならないように兵庫県は、町村はちゃんと国民の声を政治家が
よく聞いてますよ。そしてそこからなかなか、国が政策にしてこないようなものを地
方側がこれをちゃんとやれと。組織化されてない若い国民の声は、こういう声がある
んだよというのを示していっていただきたいなと思います。
行政の広聴はどうしても行政に対する不満だとか、要望だとかということが中心に
なってしまいます。しかし、議会の広聴は投票に来てくれてない。なかなか政治とい
うものにかかわってこない。そういう人に対して手を差し伸べて、意見を聞いてみる、
声を聞いてみるというところに重点を置いていただければなと思います。
次は 8 ページ、おととしの暮れに総務省が若者が選挙に来てくれないから、どうし
たら来てくれるだろうか。そういう報告書を研究会をした上でつくりました。
この報告、ホームページで簡単に得られますから、もし見ていただけるようでした
ら総務省でこのタイトルの報告書がホームページに載っているからと言って、事務局
にお話しいただければと思います。
ここで言っているのは、投票に来なさいとか行きなさいとかと言ったって、そりゃ
行かないよねと。そうじゃなくて、議会あるいは政治の場でどんなことが行われてい
て、それが自分たちにどういう影響があるからというところをちゃんと知らせなけれ
ば、選挙の先に政治家がいて、政治家がすることが政治で、その政治で決めるところ
が政策だと。それが分からないでしょうと、当たり前のことなんですけれども、それ
を初めて言ったんじゃないかなと思います。すると、この政治的リテラシー。何か横
文字で書いてありますけど、政治的判断力や批判力というものを持てるようにするた
めには、学校教育では全然やってこなかったから、それを誰かが担わなければいけな
いねというのがこの報告書の結論でした。これを一番担いやすいの、政治家である皆
さんです。
山形県の非常に雪が降るところなんですけど、小国、小さな国と書く町で、これを
読んで考えてやりました。雪が深いところで、高校を卒業するとみんな町を出ちゃう
んですよ。高校生に議会に来てもらった。子供議会とか、高校生議会とかってやりま
すよね。
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小国でやったのは、多分皆さんがやっていることと逆をやったんです。町長席に高
校の生徒会長に座ってもらって、皆さんはいつもと同じ質問をしたんです。高校生の
皆さん、この町に住み続けるために私たちは何をしたらいいでしょうかと。町に何が
あったらいいでしょうか。高校生が皆、答弁してくれましたね。
恐らく兵庫ではそんなに深刻じゃないかもしれませんけど、やっぱりそうしたら、
町長が言えないことを言ってくれたんですね。
これ、小国町議会のホームページを見ていただくと、インターネット中継で今でも
そのまま見られます。立派でしたよ、高校生に思いつきを言うんじゃなくて、しばら
く前に資料を渡して、これで考えてください。
高校の先生じゃなくて、高校の生徒会役員の人たちが自分たちで考えて、こういう
ふうに話そうと決めてやったんですね。
これが政治的リテラシーを高める、そういうことなんでしょうね。ただそのときに、
高めなさいと言ったってしようがないですから、議会で質問をして答えてもらうとい
う形で一緒に議論をした。
2 問目・3 問目もあるわけですよ、皆さんはそうおっしゃいますけどもどうなんで
すかと。普段と同じように議員のほうは質問した。質問すると、2 問目は向こうも想
定していませんからね。考えてなかったことを言われて真っ白になっちゃった子もい
るようですけれども。でも仲間同士で助け合って、答えを出していった。こんなこと
をどんどんやったらいいんじゃないんですかね。これから夏休みですから、夏休み中
の、夏休みの宿題の一番最後ぐらいのところですね。小学生でも呼んでもらって、児
童会長さん、給食は温かいかとかね、先生は優しいかとかね。何か最近いじめられて
るという噂を聞かないかとかですね。こういう話、校長を呼んだってだめです。校長
を呼ぶと、トラクター運転状態ですよね。教育長の顔を見ながらトラクターを運転す
るときと同じ。こうですよね、先生を呼んだらもっと悲惨ですよね。校長と教育委員
会とこう、両睨みになりますけど。だったら子供さんを呼べばいいんですよ、議会は
そういう権限がありますよね。本会議でも参考人を呼べます。学校統合をどうしよう
なんて教育委員会に聞いたってどうせこれですから、それだったら君たちの学校がな
くなるけどいいか。友達が多いほうがいいの、少なくてもいいのと。子供たちに聞け
ばいいじゃないですか。参考人は何歳以上じゃなきゃだめとか、有権者じゃなければ
だめとか、そんなことは何も書いてないですね。だから、今まであんまり使ってこな
かった政治的リテラシーを高めるというようなことは、議会だったら非常に簡単にで
きるんです。それをむしろ、長部局ではできないような話を住民と直接一緒になって
やるというのが、これからの議会の活動としてとても大事になってくるのではないか
と思います。
すると 9 ページ、これは広聴会のこと、参考人のこと、1項目だけですけれども。
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書いておきました。地方自治法ができたときから議会の中に住民や専門家が入ってこ
られるように書いてあったんですよ。
次の項目ともつながるんですけど、町長に幾ら質問したって、私も提案したものが
一番いいと思いますとしかどうせ言わないですね、言いませんよね。しょうがないな
と思って副町長に聞いても、町長から申し上げたとおりでございますとしか言いませ
んし。課長は違うことを考えてんじゃないかと言って、違うことを言ったら首になり
ますよね。
だけど、例えばTPPでどうなんですかと言ったって、どうせ町長がTPPの交渉
をしているわけじゃないですから、初めから農協の人に来てもらう。土地改良区の人
に来てもらう、水利組合の人に来てもらう、農家の代表に来てもらう。それで町長は
こう言ってるんだけど、水利組合さんはどうですとか。土地改良区さんはどうですと
かという話にしたほうがずっと分かりやすいですよね。これはみんな同じです。
我が町は観光振興をしたいと言ったら観光協会の会長さん、ひょっとしたら議員さ
んかもしれませんけれども会長さんに来てもらって、町長はこう言ってるんだけど観
光協会はこれでいいんですか、旅館組合はいいんですか、JRの駅を直そうという話
だったら、JRを参考人に呼びましたか。そのほうが話は早かったんじゃないですか
というように、議会は議員だけで議論しろなんてことは全然自治法に書いてません。
最初から委員会で参考人を公聴会に呼べるよと書いてあったことが今度は本会議で
もできるようになってます。ですので本会議は町長を呼ばなくてもいいんです。本会
議場の町長席に生徒会長さんや、小学校の児童会長が座っていたら傍聴席はカメラを
持った爺、婆でいっぱいでしょうね。
そういう運用を地方自治法は最初から考えているんですよ。そうやって住民の方の
政治的リテラシーを高めるというのが議会の役割ですし。また住民参加というのは本
来議会で行われるべきことですから、そうやって住民の方の意見を議会がどんどん聞
いていれば、執行部がやっているから議会は要らないなんていう話には最初からなら
ないはずなのであります。
ですから、これは議員間討議というような難しい話に行く前に、討議をするには材
料が必要です。その材料は議員が頭の中で考えるんじゃなくて、住民のいろいろな立
場の人に提供してもらいなさいと自治法は言っているんですから、とりあえず議長さ
んとしては、公正指導の原則で自治法に書いてあることをまずやっていただくという
ことが大事なんじゃないかなと思います。
では一番最後の 10 ページに参りましょう。もう大体輪郭はお話ししてきたつもり
なんですけれども。議員間で討議をするためにはどうしたらいいかというのが、議長
さんがこれから議会の活性化・改革ということを提案するときにどんな方向で考えて
いったらいいのかなということを書いておきました。
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もちろんそんなことは当然にやってるよということもあるかもしれません。しかし
まず最初に言えるのが、町長が提案してきたものに対して、材料なしで議論をすると
いうのは難しいでしょうね。
この中で試験で受かったという方はいらっしゃいますか、誰もいませんよね。皆さ
ん、選挙で当選されてますよね。試験で受かるのは町の職員であります。職員は何ら
かの能力が実証されて入ってきているんですが、議員は選挙で受かればよろしいとい
うことが憲法に書いてありますから。そうである以上、調査能力があるとか、研究を
するとかというのは議員の本分だということを憲法は予定していないんであります。
すると皆さんは自分で調査・研究をするというのは、それはそれでいいかもしれま
せんが、自治法はそんなことを求めてませんね。100 条の 2 で議会は専門的な事項に
関する調査を学識経験を有する者等にさせることはできると。議員が勉強してくださ
いとか、研究してくださいではなくて。議会は誰かに調べさせろと言ってるんです。
だってこれ、町長部局は当たり前にやっていますよね。試験で受かった職員なのに、
これは専門的ですからと言ってコンサルタントに 1,000 万とか 2,000 万とか払って何
かやってもらってますよね。皆さんは試験で受かってないんですよ、選挙で受かって
るんですよ。だったらやって当たり前じゃないですか、この専門的知見の活用という
のを使って。例えば小規模な議会で、あるいは町になかなか調べるような専門家がい
ないということであれば、関西圏、大学がいっぱいありますのでどこかの大学、これ
と連携しちゃうと一番簡単で安上がりですね。うちの町で卒業論文とか、ゼミで研究
してみませんかなんて言うと、皆ただで来ますよ。町の中で何日か泊まって若い学生
があっちへ行ったりこっちへ行ったりして、その調査をする手伝いは議会が口をきい
てあげるよと言うと、いくらでも来ると思います。特に京都・大阪の一帯は公共政策
という名前を掲げた学部ですとか大学院が東京よりもむしろいっぱいあるんですよ。
そういうところで、今年はうちの町のこれからの人口について考えてみませんか。資
料は議会に来れば何でもあるよとか、あるいはうちの町の観光について調べてレポー
トを書きませんかと。1つの大学だけだと競争しませんからね、いくつかの大学を入
れて、最後に議場で発表会をさせてあげると。一等賞をとったら議長賞、だいたい議
会で交際費、300 円ぐらいありますよね。300 円あると、表彰状は結構立派なものが
出せますよ。できるだけ大きく見ばえがするような表彰状を書いて、議場で議長さん
から授与と。もらった学生は履歴書に書けるんですよ、これは効きますね。コンサル
に出すと 1,000 万ぐらいかかる調査を 300 円ぐらいでできますからね。局長さんは戻
られたら、議長交際費から 300 円で、筆耕は町長部局にやらせてくださいよ。いろい
ろできるんですよ、議会は。
そんなふうに、この討議をするための材料は議員が考えるんじゃなくて、いろいろ
な人。町民が基本ですけれども、それ以外の人にどんどんかかわってもらっていいで
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す。町長部局ではできないことをやりましょう。そうすると議論の質というものも当
然上がってくるわけですし、また議論の質だけではなくて、町長部局がやってくる仕
事の質というのも当然に上がるはずです。
2番目の項目は、先ほど途中まで申し上げました議会への住民参加です。住民参加
も傍聴やアンケートという方法じゃなくて、地方自治法には去年の改正で本会議に入
りましたけど。もともと 100 条と委員会の 109 条の中に、住民や専門家が入って来る
という規定が入っているわけなんですね。
100 条調査というと、何か人を犯罪人みたいにした証人喚問で、この議員必携を見
ても、これは抜いてはいけない刀であると書いてあるんですけど。地方自治法ができ
たときにはそんなことは書いてないです。これは国会が制度を変えたために、証言を
するときには宣誓をして、嘘をついたら針千本ぐらいならいいんですけど。罰金だと
か、懲役だとかという話にしちゃったんですが。元は戦後、議員の選挙は名望家とか、
有資産者とか、名誉職とか、公民とかという人じゃなくても誰でも議員になれると。
それが新しい民主政治なんだと。誰でも議員になれるから、その中に専門家がいない
だろうと。だから町民やほかの専門家を呼んで議会で証言をしてもらえばいいじゃな
いというのでできたのが 100 条です。これは専門的知見の活用なんて本当は言う必要
はなかったんですね。100 条の証人でよかったんです。ニュースなんかでね、アメリ
カの連邦議会の話が時々出てきますよね。例えば日本の日銀の総裁に当たるFRBの
議長、証人で呼ばれていますよ。日本だと日銀総裁は参考人で呼ばれていますよね。
だけどアメリカだったら嘘をつかせないために証人なんですよ。でも参考人と結局同
じこと。そこで国会議員ですからね、アメリカの議員報酬は日本よりもちょっと少な
いんですけれども、秘書が 20 人、30 人といます。そういうところで専門家を呼んで
るんですよ。
○○町の議長さん、秘書は何人ぐらいいらっしゃるんですか。(「いません。」) だ
ったら、少なくとも国会議員の何倍かは住民の方に来てもらわないと議会で審議でき
ないですよね。そうでなかったら国会議員並みの議員報酬を出してくれないとやって
られませんよね。そう考えると、これはやっぱりどんどんいろんな人に入ってもらっ
て、そして意見を言ってもらいましょう。また専門家も来てもらって、これは一定範
囲予算措置が必要なこともありますけれども。でも住民の方にとっては、ある程度義
務なんです。
私、新潟県の政令市で特別委員会で講演をやってくれと呼ばれたことがあるんです
よ。帰るときに、封筒を 1 枚渡されて「はい」と言って、「何ですか」と言ったら、
1,500 円と書いてあるんですね。1,500 円です。帰りのタクシーが 3,000 円ぐらいか
かるんだけどなと思ったんです。1,500 円って何ですかと言ったら、これは参考人の
費用弁償ですと。私、新幹線に乗って神奈川県から来たんですけどと。でも、皆さん
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のところも参考人の費用弁償って、せいぜい 3,000 円ぐらい。そういう金額が条例に
書いてあるはずなんです。条例に書いてなければ出せませんからね。
だけど、これは住民にとっては議会で証言をしたり、参考人として意見を述べると
いうのは、住んでいる以上、一定の義務なんですよね。するとこれ、金額はとにかく
として、今まで議会の権限として存在していることなんですから。まして議員定数を
どんどんどんどん減らしてきた以上、その減らしてもいいよとか、減らすべきだとい
う住民の方には最初に来ていただいて、あなたは減らせという請願を出しましたねと。
証人でお呼びしますから印鑑を持って、宣誓をしてから言ってください。あなたはな
ぜそういうことを言ったんですかと。そのぐらいのことを議会がやらないとだめです
ね。
だけどいずれにしろ、今の議員定数ではさまざまな分野の専門家を置くということ
はかなり難しいと思います。そのときに、皆さんが一生懸命調査しろとか、研究しろ
とかというのは一文も書いてません。それは住民と議会が一緒になってやることでし
ょうというところを実践していただけるといいなと思うんですよね。
もうちょっとすると、今のところまだ内緒にしているんですけど。参考人で一番最
初に呼ぶのは、大物を呼んだほうがいいだろうと。じきにあと2週間弱ぐらいでぱっ
と出ると思うんですけど。超大物を呼んで、議会の参考人でやっちゃおうなんて考え
ているところがあるんですよね。
例えばTPP交渉の結果で町の農業がまたひどいダメージを受ける可能性がある
といったときに、町長にどうするんだと聞いてもしようがないですから、その交渉の
責任がある人に来てもらうとかですね。
皆さんのところも、選挙運動期間に入る前だったら参議院議員を呼んだら吹っ飛んで
来たでしょうね。でもやっぱりこれから、多分大事なのは地方の意見を国にちゃんと
届けるということのはずですから。これは議会の証人、あるいは参考人としてどんど
ん呼んで、参考人に意見を聞くだけじゃなくて質疑ができるんです。証人もやりとり
ができるんです。だからこのことについてどう考えているのか、私たちはこう思うよ
という議論を、どんどんそこでやっていただく。
町長に質問するのが議会だなんて書いてませんよ、だいたい町長に質問できるなん
て書いてあるのは会議規則であって、自治法じゃないですよね。だからぜひ、これか
らの日本はやっぱり町村が支えていかなきゃならないところがどんどん出てくるは
ずなのに、国政に町村の意見を届ける機能が、数が減ったことによって非常に弱くな
っています。それを補うのはむしろ待っているんじゃなくて、皆さん方が国政に声を
出して聞かせていっていただかないといけないと思うんですよね。
そういう点で、地方自治法に書いてある以上は国会が承認しているわけですから。
国会議員なんかどんどん来てもらったほうがいいんじゃないかなと思います。
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この議会の 100 条の調査権はそういうわけですので、決して裁判所みたいにああし
ろ、こうしろというようなこと、それを犯罪者のように扱ってくれと言っているわけ
ではありません。むしろ地方自治法ができた当時の解説書を読むと、これは国会同様、
今まで町長を経由してしか町民と接触できなかった議会が、住民として町議会に直接
接触する方法ができた、すばらしい、新しい改革だったんだ。後に東京都知事になっ
た鈴木俊一さんなんかが内務省にいましたから。解説ではそういうことを書いてます
よね。これをどんどん使いましょう。そして、その成果を見せていくべきだと思いま
す。
最後の二つ、議長さんの集まりですから特に申し上げて終わりにしたいと思います。
まず議員間討議ということが議会活性化でよく言われますけど、今までお話しした
ように材料なしにはできません。これはこう思うとか、支持者からこう言われたとい
うようなことではなくて、町長と第三者。ほかの人、町民というような意見を聞いて、
どっちかなということを議論のスタートにしたほうがいいと思います。そうすると、
これは今までやっていなかったのかと言うと、議会運営委員会なんかでは、そういう
議論をしてましたよね。あれを委員会の場、あるいは本会議の場でどんどんやるよう
にすればいいということです。本会議でそういう質疑ができる、これは今まで経験が
ないかもしれませんけど。本会議だって40人、50人じゃなくて、議員全員十数人
でやっているわけですから。議運でやっているのと同じようなことを本会議場でやれ
ばいいんです。
議場の議席が議長席しか向いていないというところは、ちょっと足を踏ん張ってい
ただいて議員全員が対面できるように横を向いてやる。足腰の強い人しかどうせ議員
になってないと思いますから。バネが入っている椅子の場合にはこうやって体を向け
てみる。そんなことをやるといいと思います。
今日この場の会場のセットがそうですよね、みんなで意見交換会をやろうというと
きに、全員がこっちを向いている国会と同じような議場につくる人はいません。こう
やって顔を見ながらやっているから会議なんです。国会の議場を変にまねしてつくっ
ちゃったもんですけれども、なかなか改造するのは難しいわけですけど。顔を見なが
らじゃないと、横をこうやって見ながらやる会議なんかないですよね。機会があれば
議場の形というものも、普通の会議室にしていただけるといいなと思います。昭和 30
年代の初めに、昭和の合併をやった後、全国の多くの議場というのが国会と同じ教室
型に変えられていってしまいました。でも、それまでの市史とか町村史とかというの
を見ると、昔の議場はみんなこうなんですよ。新潟なんか真ん中にだるまストーブ、
畳の部屋に丸くござを引いて座っている。それが議場です。
皆さんのところも恐らく、だるまストーブはなかったにしても議場って普通の会議
室で、議長席だけちょっとここにあって、こうやってコの字型で囲んでいたのが普通
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だと思います。
議論をするというときに、やっぱりある程度形も大事ですから、議員同士が顔が見
えるようにということも考えていただきたいなと思います。そうすると、これまで議
運でやってきた、俺はこう思うんだけどどうだよというのを本会議でもできるように
する。それを会議規則上で議員間討議と言ってもいいし、自由討議と言ってもいいと
思います。一言、議長さんがこれから議員間討議をやります、あるいはこれから自由
討議にしましょうということを議長席で言っていただければ手を挙げて、指名されて
演壇に行って話すという手続は別に必要はないのであります。議長はそのときにしゃ
べっちゃいけないのか、議員必携にも、あるいは標準の会議規則にも議長が討論を行
った場合、つまり意見を述べた場合には、その議題が採決・表決が終わるまでは副議
長とかわったままでいろよと書いてありますよね。だけど、それは議案ですよね。議
案じゃなきゃいいじゃないですか。採決をするときには、議長には公正指導の原則と
いうのがありますから、賛成・反対ということを言ってしまったら会議運営がおかし
いじゃないの、公平ではないということで議長は賛成・反対を言えないということに
してあるわけです。
だけど議案じゃなきゃいいですよね。議長が公正指導の原則でということであれば、
それが頭の中に入っていれば私はこう思うということを言っていただいて一向に差
し支えはないのではと。
これ、いくつか試行してみたんですけど、会議ってやっぱりまとめ役がいなくてで
きるという範囲が 10 人ぐらい。そのときには進行役もいなくても何とかなる。10 人
と 12 人の議会は、議長なしで何となく進行でもひょっとしたらできます。それ以上
はやっぱり誰か進行役がいないとうまくまとめられません。だけど経験者なんかもい
るわけですし、委員長なんかをやったことがある方。また、議会にずっと出ていれば
会議をどうやって進めるもんだというのが、普通の住民の方々が話し合いをしている
のよりもずっとうまくいくんじゃないんかなと思うんですよね。一つですね、初めは
形式にとらわれないでもいいかもしれませんので、ぜひ議長も含めた議員間討議とい
うのをやってみて、議案でなければみんなでこうやって議論することもできるよね。
何回か実績を積み重ねたら会議規則を改正して、議員間討議とか、自由討議とかいう
ことをやってみると、明確に条文上でつくってみるといいかもしれません。
ちなみに、このアメリカの学校なんかだとホームルームという時間に、そういう授
業が結構あって、議論のまとめ方とか、動議というのは賛成者がいなければ成立しな
いんだよとか。あるいは誰かが延々と演説しちゃったら動議でそれをさえぎることが
できるとかというようなことは誰でも知っているそうです。日本以外でも国際会議に
出るような人はみんな知ってます。
会議規則とは不自由に会議をやるんじゃなくて、会議を合理的に運営するためのも
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のですから、よく読むと、あの会議規則はどんな会議にでも当てはまることなんです
よ。そういうものを見ていると、議長は絶対にしゃべっちゃいかんとか、議長が議論
に参加しちゃいかんというようなことは、どうもそれほど強調されてはいません。
株主総会だったら議長は社長ですよね、自分の考えを言わないで座っているかとい
うことはないですよね。答弁してますよね。
公正指導の原則というのは、ある程度の数の議会だったら言ってもいいのかもしれ
ませんが、皆さんの数の議会だと議長もやはり何らかの代表であり、地域の責任者と
いう立場で発言ができるように考えなければいけないのではないかなと、私は最近定
数の問題なんかを議論するときには、そのことも考えてくださいねというようにお願
いをしております。
それでは、私からのお話はこの辺までにさせていただいてよろしいでしょうか。
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