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ベストプラクティス 事例集

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ベストプラクティス 事例集
大企業とベンチャーが
WIN-WINの発展を実現するための
ベストプラクティス
事例集
平成20年度経済産業省委託調査
大企業とベンチャーがWIN-WINの発展を実現するためのベストプラクティス事例集
■本ベストプラクティス事例集について
オープンイノベーションによって多様な新事業創造を実現するためには、大企業同志のみならず、大企業とベン
チャーとが互いの強みを共有するWIN-WINの関係の構築が重要なカギとなっています。
しかし、自前主義が強い我が国では、大企業とベンチャー企業とのWIN-WINの関係構築は、欧米ほど積極的には取
り組まれてきておらず、特に、大企業側からのベンチャー活用(コーポレートベンチャリング※1)など、その実践
のためのノウハウが社会に蓄積されていないのが現状です。
本ベストプラクティス事例集は、平成20年度に実施した経済産業省産業技術調査「コーポレートベンチャリング
に関する調査研究」の一環として作成したものであり、大企業とベンチャーがWIN-WINの関係を築くことで発展
する先行事例を取り上げ※2、そこに見出される優れた取組みを紹介するものです。
大企業、ベンチャー(および起業家)のそれぞれが、 WIN-WINの関係を構築するために具体的にどのようなアプ
ローチをとればよいのか について、先行事例よりそのベストプラクティス(知恵、コツ、ノウハウ)を共有化する
ことで、皆様の参考になることを祈念致します。
※1 企業が起業家精神(アントレプレナーシップ)を活用したベンチャー的な手法で新事業創出を行うこと。具体的には、企業が戦略的
に、内部経営資源(技術・人)を外部化しベンチャー企業を創出・活用する、あるいは外部ベンチャー企業を育成・活用することで、新
事業創出を行うことなどを指します。
※2 文献調査等より事例を収集し、特に大企業とベンチャーとがWIN-WINの関係を構築する先行事例から、今回取材協力を得られた対象
(ベンチャー企業)にヒアリングを実施し、共有化が有効なベストプラクティスを見出せる7事例を取り上げさせていただきました。
■CONTENTS
■ベストプラクティスの一覧・・・取組み主体別 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
■個別事例研究
CASE1
CASE2
CASE3
CASE4
CASE5
CASE6
CASE7
プロパティデータバンク
(産みの親:清水建設/育ての親:東京海上日動、J-REITファンド各社、国土交通省、日本郵政、東京都庁 他)・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
ランドソリューション
・・・・・・・・ 4
(産みの親/育ての親:栗田工業、同和鉱業(現・DOWAエコシステム)、安田火災(現・損保ジャパン)、日本不動産研究所)・
ユーフォニック・テクノロジー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
(産みの親:リアルビジョン/育ての親:NECシステムテクノロジー)・
アクセラテクノロジ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
(産みの親:富士通/育ての親:富士通、みずほ情報総研、NECソフト)・
ラティス・テクノロジー
(産みの親:リコー/育ての親:トヨタ)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
パウデック
(産みの親:ソニー/育ての親:アルバック、古河機械金属 )
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
ザインエレクトロニクス
(産みの親:東芝/育ての親:サムスン)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
□参考資料
1. 大企業におけるコーポレートベンチャリングの取組み実態(アンケート調査結果)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
2. 企業発ベンチャーの実態 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
contents
大企業とベンチャーがWIN-WINの発展を実現するためのベストプラクティス事例集
■ベストプラクティスの一覧・・・取組み主体別
1)大企業(産みの親)(注) 側のベストプラクティス
(注) 創業者の自立的なスピンオフのケースも含む
ベストプラクティス
解説
取組み主体
① 別会社化することで、業界の共通プラット
フォーム型ビジネス(協調領域)を創出
インフラ技術について、社内独自のインフラとするのではなく、あえて社
外化することで、
業界全体のプラットフォーム型ビジネスに育成する。
清水建設(株)
② 別会社化することで、異業種のノウハウの
持ち寄りによる新事業を創出
各社の対等なノウハウの持ち寄りを可能とする新会社設立によって、異業
種のノウハウの融合が必要な新事業を実現し得る。
栗田工業(株)
③ リスクの高い新技術・製品開発や社内で出口の
無くなった技術(非コア)の実用化に、外部資源
を活用してチャレンジ
事業化には費用負担が多大でリスクが高いとされた案件についても、外部 (株)
リアルビジョン
化によってVC等からの外部資源を獲得し事業化の負担を軽減することが
できる。
選択と集中の結果、これ以上の社内資源の投入が出来ないとされた非コア
案件についても、外部化によってVC等からの外部資源を獲得し社内資源
の負担少なく事業化を継続し得る。
該当事例
該当ページ
⇒CASE1 プロパティデータバンク
P.2
(産みの親:清水建設/育ての親:東京海上日動、J-REITファンド各社、国土交通省、日本郵政、東京都庁 他)
⇒CASE2 ランドソリューション
P.4
(産みの親/育ての親:栗田工業、
同和鉱業
(現・DOWAエコシステム)
、
安田火災
(現・損保ジャパン)
、
日本不動産研究所)
富士通(株)
⇒CASE3 ユーフォニック・テクノロジー
P.6
(産みの親:リアルビジョン/育ての親:NEC システムテクノロジー)
⇒CASE4 アクセラテクノロジ
P.8
(産みの親:富士通/育ての親:富士通、みずほ情報総研、NECソフト)
2)大企業(育ての親)側のベストプラクティス
ベストプラクティス
解説
取組み主体
該当事例
① 自社ノウハウや要求仕様を与え忍耐強く
ベンチャーを指導・育成することで、
お互いの技術・製品の完成度を高める
ベンチャーは画期的なアイデア等を有していても大企業が即採用と言うこ
とにはなりにくいが、
だからといって捨ててしまうのではなく、自社のニー
ズに合わせ育成することも有効。
トヨタ自動車(株)
⇒CASE5 ラティス・テクノロジー
② 目利きにより、
外部ベンャーの技術を取り込み
外部ベンチャーに対する目利き機能を持つことで、社内では得難い技術
シーズを素早くベンチャーから調達することが可能である。
古河機械金属(株)
③ 販路拡大面の協力や出資によって
WIN-WIN関係を強化
相互補完性のある製品・サービスについて、共同でマーケティング及び販
路拡大に取組むことでWIN-WIN関係を強化。
みずほ情報総研(株)
NECソフト(株)
出資によって相手先ベンチャーを育成することで協業関係を強化。成功し
た場合の利益も確保。
トヨタ自動車(株)
該当ページ
P.10
(産みの親:リコー 、育ての親:トヨタ)
⇒CASE6 パウデック
P.12
(産みの親:ソニー、育ての親:アルバック、古河機械金属)
⇒CASE4 アクセラテクノロジ
P.8
(産みの親:富士通/育ての親:富士通、みずほ情報総研、NECソフト)
⇒CASE5 ラティス・テクノロジー
P.10
(産みの親:リコー/育ての親:トヨタ)
3)ベンチャー側のベストプラクティス
ベストプラクティス
解説
取組み主体
該当事例
(株)
ベンチャーと大企業の関係は、大企業に有利な条件になりがちであるが、 アクセラテクノロジ
② 社内ベンチャー制度を活用して、
現職場での仮想ビジネス / 予行演習を実施
社内ベンチャー制度を積極的に活用することで、ビジネスのシミュレー
ションを実施するなどの十分な準備期間を得ることが有効。
プロパティデータバンク
(株) ⇒CASE1 プロパティデータバンク
大企業発ベンチャーの高い技術力について、公的な技術支援制度(R&D
助成制度、
各種表彰等)
の評価を積極的に受けることで、そのパブリシティ
(知名度)
を向上する。
ラティス・テクノロジー
(株) ⇒CASE5 ラティス・テクノロジー
③ 公的評価機能を利用して、
企業発の高い技術力をアピール
④ 立ち上げ当初の経営安定のため、
大企業からの技術コンサル業務を受託
調整役を介在させることで解消し得る。
当初の経営安定のため、自社設立目的以外の受託業務を活用。
該当ページ
⇒CASE4 アクセラテクノロジ
① 調整役
(VC、
コンサルタント)
の活用によって、
大企業と対等条件での社外ベンチャー化を実現
P.8
(産みの親:富士通/育ての親:富士通、みずほ情報総研、NECソフト)
P.2
(産みの親:清水建設/育ての親:東京海上日動、J-REITファンド各社、国土交通省、日本郵政、東京都庁 他)
P.10
(産みの親:リコー/育ての親:トヨタ)
ザインエレクトロニクス
(株) ⇒CASE7 ザインエレクトロニクス
(産みの親:東芝/育ての親:サムスン)
P.14
1
個別事例研究
(関係主体)
CASE1 プロパティデータバンク ベンチャー・
・
・プロパティデータバンク(株) 大企業・
・
・産みの親:清水建設(株)/育ての親:東京海上日動火災保険(株)、
J-REITファンド各社、
国土交通省、
日本郵政、
東京都庁 他
<ベストプラクティス>
● 別会社化することで、業界の共通プラットフォーム型ビジネス(協調領域)を創出 <大企業(産みの親)
:清水建設(株)>
● 社内ベンチャー制度を活用して、現職場での仮想ビジネス/予行演習を実施 <ベンチャー:プロパティデータバンク(株)>
■企業データ
事例の概要
会社名
□ ベンチャーの概要
カテゴリ
IT技術
内容 不動産マネジメント及び情報の一元管理を支援するASP/SaaSサービス事業を展開
設立経緯
清水建設入社後、エンジニアリング業務、総合企画部に従事した板谷氏が、清水建設が培った保有技術を持って(母体企業
の主体的関与・支援下)社内ベンチャー制度を活用しスピンオフ。
現在に至る概況
エグジット
関連他企業とのアライアンスでビジネスの完成度を高め、先行優位性を確保し国内有数の不動産管理ソフトウェアとし
て同分野の市場の獲得に成功。業務をフルカバーしたASP提供では業界唯一であり、不動産投資ファンドでの利用占有率
は50%強に達する等、業界におけるデファクトスタンダードツールになりつつある。
概要
スキーム
代表取締役社長 板谷 敏正
設立
2000年10月
資本金
100百万円
社員数
40人
主要株主
清水建設(株)
(株)ケン・コーポレーション
中央三井アセットマネジメント(株)
オリックス・キャピタル(株)
−
みずほキャピタル(株)
日本ヒューレット・パッカード(株)
□ 外部化過程に係る概要(産みの親サイド)
ベンチャー設立
(外部化)の理由
プロパティデータバンク(株) 代表者
グループ戦略に位置付け、建設業以外の分野での新たな収益源として新規事業育成を主体的に推進。
「事業家公募制度」により、清水建設の主体的関与・支援下で、保有技術の外部化を伴うスピンオフベンチャーを設立。
人
技術
・3年間を限度(原則)に休職扱いとなり新会社を設立
(休職期間中に一度に限り新会社への転籍の機会(選択権)が与えられる)
・ストックオプションあり(事業家)
ASPというプロパティデータバンクの事業展開の根幹に関わるツールを提供
(知的財産の独占的使用権を与える)
その他
経営実務(事務や総務、経理など)をサポートし、起業者が本来のビジネスに専念できる
環境を提供
支援制度活用の有無
有り(「事業家公募制度」)
設立時出資比率
本社所在地
東京都港区浜松町1-29-6
浜松町セントラルビル
URL
http://www.propertydbk.com/index.html
■事業概要
主に民間法人を対象に、インターネットを活用した不動産運用
管理ソフトウェアの期間貸しサービス(ASPサービス)を実施
し、機関投資家、不動産会社、不動産投資ファンドなどのオー
ナー企業に加え、オーナー代行であるアセットマネジメント会
社、プロパティマネジメント会社、ビル管理会社を対象に、各
ユーザに対する業務支援ソフトウェアを用意している。 42%(創業メンバー 10 数%) ※第三者性確保のため、母体企業の出資率をマイノリティの位置付けとした(交渉し合意を得た)
□(創業以降の)大企業とのアライアンスの概要
産みの親との
アライアンス
それ以外の大企業(育ての
親 等)とのアライアンス
2
(特に無し)
ビジネスプランの検討段階より関連他企業にも参画を要請。これら企業を事業パートナーとし、ビジネス(不動産管理
ASP事業)の完成度を高め市場を切り拓いた。
@プロパティ(最先端のICTを利用した不動産資産の統合管理ソフトウェア)
ex.資産基本情報パッケージの概要(同社HPより)
http://www.propertydbk.com/service/basic.html
大企業とベンチャーがWIN-WINの発展を実現するためのベストプラクティス事例集
本事例に見られる WIN-WIN の発展のためのベストプラクティス
(注)大文字で表記のベストプラクティスは、
「ベストプラクティスの一覧」にとりあげている
<大企業(産みの親:清水建設)の取組み>
●別会社化することで、業界の共通プラットフォーム型ビジネス(協調領域)を創出
<ベンチャー企業創業者からのメッセージ>
プロパティデータバンク(株) 代表取締役社長 板谷 敏正 氏
当社起業の時代背景としては、2000年頃から進展して
いた投資用不動産における証券化・金融商品化がありま
清水建設は、自社を含めて業界全体の市場拡大(不動産市場全体の活性化)になる事業を、
社外化により新規事業として育成。
す。これらの動きは単に投資市場を活性化するだけでな
⇒上記から学べること
進展など、不動産マネジメントにも大きな変化をもたら
インフラ技術について、社内独自のインフラとするのではなく、あえて社外化することで、業界全体の
プラットフォーム型ビジネスに育成する!
く、アセットマネジメントやプロパティマネジメントな
どの欧米流の不動産管理体制の導入や不動産情報の開示
すとともに、ITツールやデータベース活用のニーズも増
加させるものと考えていました。具体的には先進的な米
国のソフトウェアなどを参考に、分散している不動産の
群管理や、オーナーと管理会社など企業間連携も必須と
考え、インターネットを活用した ASPサービス事業を企
<ベンチャー(プロパティデータバンク)の取組み>
画しました。
事業の推進については社内でやることも検討しました
●社内ベンチャー制度を活用して、現職場での仮想ビジネス/予行演習を実施
が、たまたま社内ベンチャー制度ができたため、この制
社内ベンチャー制度を活用し、現職(母体企業)期間に新規事業のビジネスプランを練り、
ビジネスパートナーの参画を得る等の諸条件を整え仮想ビジネス/予行演習を試行した。
アウトすることとしました。清水建設のノウハウを核に
⇒上記から学べること
ビジネスプランの検討段階より、清水建設のネットワー
社内ベンチャー制度を積極的に活用することで、ビジネスのシミュレーションを実施するなどの十分な
準備期間を得ることが有効!
度をうまく使って十分にビジネスプランを練り、カーブ
多くの企業や業界全体に展開するビジネスモデルですの
でカーブアウトに合っていると考えたからです。
クを活かし、IT・金融・不動産など各分野の企業の出資参
画を受けることもできました。市場の大きな変化などを
とらえながら、社内ベンチャー制度の特色も生かして起
業することができたと考えています。
●大企業在籍時のネットワークを活用して将来の新事業のパートナーリングを実現
ビジネスプランの検討段階より、大企業のネットワークを活かして関連他企業の参画を要請。
これら企業を事業パートナーとし、ビジネス(不動産管理ASP事業)の完成度を高めた上でベンチャー化した。
■創業メンバー(キーマン)のプロフィール
板谷 敏正 氏
プロパティデータバンク(株)
代表取締役社長
1989年
早稲田大学大学院理工学研究科修了。
同年、清水建設(株)に入社し、エンジ
ニアリングプロジェクト等に従事。
2000年
社内ベンチャー制度を活用してプロ
パティデータバンク社を設立。
⇒上記から学べること
大企業在籍時に新事業のパートナーリングを見据えてネットワークを広げておくことが有効!
3
個別事例研究
CASE2 ランドソリューション ベンチャー・
・
・ランドソリューション(株) (関係主体) 大企業・・・産みの親/育ての親:栗田工業(株)、同和鉱業(株)(現・DOWAエコシステム(株))、
安田火災海上保険(株)
(現・(株)損害保険ジャパン)
、
(財)日本不動産研究所
<ベストプラクティス>
● 別会社化することで、
異業種のノウハウの持ち寄りによる新事業を創出 <大企業
(産みの親)
:栗田工業(株)、
同和鉱業(株)、
安田火災海上保険(株)、
(財)日本不動産研究所>
■企業データ
事例の概要
会社名
□ ベンチャーの概要
カテゴリ
環境
内容
土壌汚染に係るトータルソリューション提供ビジネス(調査・リスク評価、浄化対策、土壌対策スキームを活用した不動産
流動化 等)を展開。
設立経緯
現在に至る概況
エグジット
栗田工業が主導し、同和鉱業(現・DOWAエコシステム)、安田火災、日本不動産研究所とのアライアンスにより、新事業主
体を設立。これに際しては、当該ビジネスの主要コーディネーターであった知野氏(元・栗田工業常務)をCEOとして起用。
2005年からは久松氏(元・栗田工業取締役アドバンスト・マネジメント事業本部グローバル事業部長)がCEOに就任。
ランドソリューション(株) 代表者
代表取締役社長 久松 敏之
設立
2001年7月
資本金
450百万円
社員数
60人
主要株主
栗田工業(株)、
(株)日本政策投資銀行、
DOWAエコシステム(株)、
(株)三菱東京UFJ銀行、
(株)りそな銀行、
新たな付加価値の高い事業(単独では不可能な土壌汚染に係るトータルソリューション事業)を創造。新たな事業価値、営
業機会の創出を実現化した。
野村ホールディングス(株)、
(株)損害保険ジャパン、
−
中央三井信託銀行(株)、
(株)ザイマックス、
(株)イー・アール・エス、
□ 外部化過程に係る概要(産みの親サイド)
ベンチャー設立
(外部化)の理由
概要
スキーム
イー・アンド・イー ソリューションズ(株)
土壌汚染に係るトータルソリューション提供ビジネス は、補完技術を持つ企業との技術・ノウハウ等の融合を前提とす
る新しいビジネスであり、これを実現するために、自社とは別の新しい事業主体を担い手とするアプローチをとった。
栗田工業が主導し(日本政策投資銀行の協力を得)、同和鉱業、安田火災、日本不動産研究所とのアライアンスにより、
技術・ノウハウ、人材を持ち寄り新事業主体を設立。
本社所在地
東京都港区北青山1-3-6 SIビル青山3F
URL
http://www.landsolution.co.jp
■事業概要
人
母体企業(栗田工業、同和鉱業)より専門人材を出向により供給
土壌汚染に係るトータルソリューション提供ビジネス(調査・リ
技術
・母体企業(栗田工業、同和鉱業)の土壌汚染浄化に係る専門的技術・ノウハウを活用
・母体企業(安田火災、日本不動産研究所)の専門的ノウハウ(汚染不動産の評価および浄化
保険評価ノウハウ)を活用
スク評価、浄化対策、土壌対策スキームを活用した不動産流動化
その他
−
支援制度活用の有無
無し
設立時出資比率
栗田工業:51%、日本政策投資銀行:15%、同和鉱業:11%
等)を展開。
□(創業以降の)大企業とのアライアンスの概要
産みの親との
アライアンス
母体企業(栗田工業、同和鉱業)の信用力を活用し協調的に市場開拓、事業展開を推進。
それ以外の大企業(育ての
(特に無し。不動産業界等との提携あり。)
親 等)とのアライアンス
4
ランドソリューション社の事業コンセプト(同社HPより)
http://www.landsolution.co.jp
大企業とベンチャーがWIN-WINの発展を実現するためのベストプラクティス事例集
本事例に見られる WIN-WIN の発展のためのベストプラクティス
(注)大文字で表記のベストプラクティスは、
「ベストプラクティスの一覧」にとりあげている
<大企業(産みの親:栗田工業)の取組み>
●別会社化することで、異業種のノウハウの持ち寄りによる新事業を創出
新たな市場を拓くべく構想した 土壌汚染に係るトータルソリューション提供ビジネス は、
補完技術を持つ企業との技術・ノウハウ等の融合が必要な新しいビジネスであり、これを実現するために、
補完技術を保有する異業種の企業と協調し、新しい事業主体を設立した。
<ベンチャー企業からのメッセージ>
ランドソリューション(株) 代表取締役社長 久松 敏之 氏
土壌汚染問題を、「単に環境問題としてではなく、土地
流動化を難しくしている要因である」と捉えたことが、新
会社設立の出発点。環境側面だけからの取り組みに行き
詰まりを感じ、様々な業種の方と接する過程で大きな広
がりを感じました。創業メンバーはほとんどが理科系出
⇒上記から学べること
各社の対等なノウハウの持ち寄りを可能とする新会社設立によって、異業種のノウハウの融合が必要な
新事業を実現し得る!
身で、不動産取引・金融・保険などの業界用語に戸惑いな
がらも「困っている人の役に立ちながら、半歩先を行く」
を合言葉に、一体感をもって新しいことに挑戦し続けて
来たことが誇りです。
■キーマンのプロフィール
<ベンチャー(ランドソリューション)の取組み>
●企業間アライアンス事業実現のため、外部専門機関のコーディネート力を活用
土壌汚染に係るトータルソリューションサービスを提供するには、栗田工業単独では不可能であり、
補完技術を持つ企業と協調するため、第三者かつコーディネート能力を持つ日本政策投資銀行の協力を得た。
⇒上記から学べること
複数の異業種を融合させる事業を行なう上では、外部専門機関による仲介・コーディネートを受けるこ
とが有効!
久松 敏之 氏
ランドソリューション(株)
代表取締役社長
1969年3月
京都大学 工学部 衛生工学科
卒業
1969年4月
栗田工業
(株)入社
1995年4月
同社 装置事業本部水処理事業部
海外プロジェクト室長
1996年5月
KURITA AMERICA INC. 社長就任
1999年6月
栗田工業
(株)取締役就任
プラント・サービス事業本部装置
事業部長
2003年4月
同社 アドバンスト・マネジメント
事業本部
プラント事業部長 兼 同事業本部
アーステック事業部長
2003年6月
同社 アドバンスト・マネジメント
事業本部
グローバル事業部長
2005年6月
ランドソリューション
(株)
代表取締役社長就任(現在)
5
個別事例研究
CASE3 ユーフォニック・テクノロジー (関係主体)
ベンチャー・
・
・ユーフォニック・テクノロジー(株) 大企業・
・
・産みの親:(株)リアルビジョン/育ての親:NECシステムテクノロジー(株)
<ベストプラクティス>
● リスクの高い技術・製品開発を、外部資源を活用してチャレンジ <大企業(産みの親)
:(株)リアルビジョン>
■企業データ
事例の概要
□ ベンチャーの概要
カテゴリ
製造技術(半導体)
内容
産業系(組込みアプリケーション向け)グラフィックスコントローラLSIの開発・販売
設立経緯
リアルビジョン・杉山社長が主導・コーディネートし、NECシステムテクノロジーと、新市場の開拓を図る技術・製品開発
実現のために、新たな事業体(ベンチャー)を設立。
ユーフォニック・テクノロジー設立にあたり、LSI開発分野で経験豊富な高見沢氏(当時NECエレクトロニクスに所属。
リアルビジョン・杉山社長のNEC時代の直属の部下。)に社長就任を要請。
現在に至る概況
エグジット
リスクマネーの供給を得(2度の第三者割当増資により、資本金7億610万円に増資)、製品開発に成功。高度な画像表示機
能を持った組込みシステム向けに最適化されたグラフィックスコントローラLSI「EGC601」の量産化、本格事業展開を目
前としている。
概要
スキーム
ユーフォニック・テクノロジー(株)
代表者
代表取締役社長 高見沢 一彦
設立
2004年1月
資本金
706.1百万円
社員数
9人
主要株主
NECシステムテクノロジー(株)
(株)リアルビジョン
創業者他ユーフォニック・テクノロジー社員
VC(TNP、KSP他)
本社所在地
神奈川県横浜市港北区新横浜2-5-10
URL
http://www.euphonic-tech.com
−
■事業概要
□ 外部化過程に係る概要(産みの親サイド)
ベンチャー設立
(外部化)の理由
会社名
新市場の開拓を図る技術・製品開発実現のために、新たな事業体(ベンチャー)を担い手とするアプローチをとった。
(リスクとリソース投入の負担を限定的にするため。)
リアルビジョン・杉山社長が主導・コーディネートし(TSUNAMIネットワークパートナーズの協力を得)、
NECシステムテクノロジーと、新事業主体を設立。
人
両社よりエンジニアが出向(各1名づつ、リアルビジョンからの出向者はその後同社に転籍)
技術
テム向けグラフィックスコントローラLSI「EGC601」は、
「ファン
レス/低消費電力」
「フレキシブルで多彩な表示機能・性能」
「シ
ステム構築の柔軟性(CPU選択の自由度)」等の優位性を持つ。
同社は、この新デバイスの市場開拓に取り組んでいる。
直接的には無し
※コア技術は独立後、独自に確立。高見沢氏が在職中にあたためていたアイディアを基盤としている。
※技術・製品開発においては、NEC システムテクノロジーがサポート(開発リソースを利用)
その他
−
支援制度活用の有無
無し
設立時出資比率
ユーフォニック・テクノロジー社が開発に成功した組込みシス
リアルビジョン:15%、NEC システムテクノロジー:15%、
(ユーフォニック・テクノロジー社員 1/3、VC 1/3)
□(創業以降の)大企業とのアライアンスの概要
産みの親との
アライアンス
それ以外の大企業(育ての
親 等)とのアライアンス
6
(特に無し)
NEC(NECシステムテクノロジー)をビジネスパートナーとして市場開拓を推進。
組込み表示コントローラの応用分野(同社プレゼンテーション資料より)
http://www.euphonic-tech.com/pdf/pp_data0812.pdf
大企業とベンチャーがWIN-WINの発展を実現するためのベストプラクティス事例集
本事例に見られる WIN-WIN の発展のためのベストプラクティス
(注)大文字で表記のベストプラクティスは、
「ベストプラクティスの一覧」にとりあげている
<大企業(産みの親:リアルビジョン)の取組み>
●リスクの高い技術・製品開発を、外部資源を活用してチャレンジ
急速に需要が拡大しつつある技術・製品のスピーディーかつチャレンジングな開発実現や資金等外部資源の
受け入れによる新事業創出を図るため、新たな事業体(ベンチャー)を設立した。
⇒上記から学べること
各社の対等なノウハウの持ち寄りを可能とする新会社設立によって、異業種のノウハウの融合が必要な
新事業を実現し得る!
<ベンチャー企業創業者からのメッセージ>
ユーフォニック・テクノロジー
(株) 代表取締役社長 高見沢 一彦 氏
起業には、新たな事柄に挑戦するチャレンジ精神と
ともに、自らを律することができるしっかりした考え
方が大切です。大企業の中で培った経験がきっと活き
るはずです。自分を信じて懸命に取り組めば、必ず道
は拓けて行きます。
■創業メンバー(キーマン)のプロフィール
高見沢 一彦 氏
ユーフォニック・テクノロジー(株)
代表取締役社長
●プラン策定、新事業体設立のコーディネートにVCを活用
外部リソースを活用する新たな事業体(ベンチャー)の設立にあたっては、効率的・効果的に立ち上げができる
よう創業に必要なノウハウを有したベンチャー支援組織「TSUNAMIネットワークパートナーズ」の協力を得た。
1980年
東北大学(工学部通信工学科)大学院
博士課程修了、
同年日本電気
(株)
入社
2002年
NECエレクトロニクス
(株)
へ移籍
2004年
ユーフォニック・テクノロジー(株)を
設立し代表取締役社長に就任
(現職)
。
⇒上記から学べること
外部リソースを活用する新たな事業体(ベンチャー)の立上げを行なう上では、外部専門機関によるコー
ディネートを得ることが有効!
7
個別事例研究
CASE4 アクセラテクノロジ
ベンチャー・
・
・アクセラテクノロジ(株) (関係主体) 大企業・・・産みの親:富士通(株)/育ての親:富士通(株)、みずほ情報総研(株)、NECソフト(株)他
<ベストプラクティス>
● 社内で出口の無くなった技術(非コア)の事業化を、外部資源を活用してチャレンジ <大企業(産みの親)
:富士通(株)>
● 販路拡大面の協力によって WIN-WIN関係を強化 <大企業(育ての親)
:みずほ情報総研(株)、NECソフト(株)>
● 調整役(VC、コンサルタント)の活用によって、大企業と対等条件での社外ベンチャー化を実現 <ベンチャー:アクセラテクノロジ(株)>
■企業データ
事例の概要
□ ベンチャーの概要
会社名
アクセラテクノロジ(株)
代表者
代表取締役社長 進藤 達也
カテゴリ
IT技術
設立
2001年7月
内容 高性能ビジネス検索システムの開発と販売
資本金
140百万円
設立経緯
富士通研究所、富士通スーパーコンピュータ部門に従事した進藤氏が、自らの開発成果(大容量・高速検索技術)を活かし、
その事業化の継続を実現する方策として、
(スピンアウト制度を利用し、母体企業の支援下での)外部化の道を拓いた。
社員数
34名(09.4現在)
主要株主
現在に至る概況
エグジット
企業内検索の分野で市場の獲得に成功。
(世界トップレベルの国産高性能検索ソフトウェア「Accela BizSearch」は国内導入
1447サーバの実績:2008年)SWベンダーとして富士通と value chain を共有し販売チャネルを活用、かつ、独立会社として
富士通のライバルも販売チャネルとして事業を拡大している。
−
概要
スキーム
住友商事(株)、
(株)エム・ヴィー・シー、
大和SMBCキャピタル(株)
本社所在地
東京都渋谷区恵比寿1-19-19
恵比寿ビジネスタワー13F
URL
□ 外部化過程に係る概要(産みの親サイド)
ベンチャー設立
(外部化)の理由
経営陣、富士通(株)、
(株)サンブリッジ、
(株)インテック・アイティ・キャピタル、
スーパーコンピュータ事業の撤退に伴う開発成果(大容量・高速検索技術)の死蔵化を、双方が納得できる形でのカーブ
アウトにより解決した。
「スピンアウト制度」を適用し、富士通保有技術の外部化を伴うスピンオフを支援。また、スピンオフにあたっては、VCの
リスクマネーを活用し負担を極小化。
人
・進藤社長個人は退職し新会社に転籍
・帯同したスタッフ(部下5名)は、当初2年は出向扱い(往復切符。富士通が給料を払い、
その分をアクセラが富士通に支払った。)
技術
基本技術の権利を保持しつつも※、派生技術の権利を与え、また、通常は困難なソースコード
の使用を可能とした
http://www.accelatech.com/
■事業概要
高度情報活用サーバAccela( アクセラ)シリーズの開発・販売、
プロフェッショナル・サービスの提供など。
※検索ソフトウェアの販売権は付与。ただし知的財産権は富士通にあり、
アクセラテクノロジは売上に応じたロイヤリティーを富士通に支払う。
その他
VC をコーディネート 等
支援制度活用の有無
有り
設立時出資比率
40.5%(経営陣 47.6%、サンブリッジ 11.9%)
□(創業以降の)大企業とのアライアンスの概要
8
産みの親との
アライアンス
SWベンダーとして、富士通とvalue chain を共有し、販売チャネルを活用。かつ独立会社として富士通のライバルも販売
チャネルとして事業を拡大している。
それ以外の大企業(育ての
親 等)とのアライアンス
先進IT企業(みずほ情報総研、NECソフト)と相互の付加価値向上が図れる技術融合を推進。
「Accela BizSearch ASP サイト内検索」ROI改善サイクル
(アクセラテクノロジ社HPより)
http://www.accelatech.com/products/asp.html
大企業とベンチャーがWIN-WINの発展を実現するためのベストプラクティス事例集
本事例に見られる WIN-WIN の発展のためのベストプラクティス
(注)大文字で表記のベストプラクティスは、
「ベストプラクティスの一覧」にとりあげている
<大企業(産みの親:富士通)の取組み>
●社内で出口の無くなった技術(非コア)の事業化を、外部資源を活用してチャレンジ
<ベンチャー企業創業者からのメッセージ>
アクセラテクノロジ(株) 代表取締役社長 進藤 達也 氏
企業向け検索エンジン(エンタープライズサーチ)の
富士通は、スーパーコンピュータ事業の撤退に伴う開発成果(大容量・高速検索技術)の死蔵化を、双方が納得
できる形でのカーブアウトにより解決した。
トップ企業を目指し、富士通のスピンアウト・プロムグラ
⇒上記から学べること
事業を撤退、子会社化、独立化、外部へ出すなど検討す
選択と集中の結果、これ以上の社内資源の投入が出来ないとされた非コア案件についても、外部化によっ
てVC等からの外部資源を獲得し社内資源の負担少なく事業化を継続する道も検討すべき!
ムで企画を認められ、起業しました。富士通本体が、各
る時期とタイミングが合い、経営企画室長などのアドバ
イスで、富士通、新会社の両方にメリットのあるプラン
の立案がキーとなりました。
<大企業(育ての親:みずほ情報総研、NECソフト)の取組み>
また、VCを活用することで、資本構成、技術ライセン
●販路拡大面の協力によってWIN-WIN関係を強化
ス等、富士通との適切な関係を保つための有益なノウハ
自社製品(大規模向けWebグループウエア)の付加価値向上のため、アクセラテクノロジ社の技術(高速検索技術)
を導入。協業による製品開発と拡販を実現した。
ウ、調整力を得ました。
⇒上記から学べること
■創業メンバー(キーマン)のプロフィール
相互補完性のある製品・サービスについて、共同でマーケティング及び販路拡大に取組むことでWIN-WIN
関係を強化!
進藤 達也 氏
アクセラテクノロジ(株)
代表取締役社長
1983年
<ベンチャー(アクセラテクノロジ)の取組み>
●調整役(VC、
コンサルタント)の活用によって、大企業と対等条件での社外ベンチャー化を実現
VCを活用することで、
資本構成、
技術ライセンス等、
富士通との適当な関係を保つための有益なノウハウ、
調整力を得た。
⇒上記から学べること
ベンチャーと大企業の関係は、
大企業に有利な条件になりがちであるが、
調整役を介在させることで解消し得る!
早稲田大学理工学部卒。同年 富士通
(株)
入社。
米スタンフォード大学客員研究員
(89-91年)。富士通研究所、富士通スー
パーコンピュータ部門(高性能検索ソ
フトの開発)などを経て、同社ソフト
部門で、開発担当部長として同検索ソ
フトをMicrosoft Windows および
UNIX向けに製品化。
1998年
情報科学博士
(早稲田大学)
。
2001年
アクセラテクノロジ(株)を設立し代
表取締役社長に
(現職)
。
●エンジニアの強いイノベーションに対する意志を持って、社外ベンチャー化を実現
起業者が、自らの開発成果(大容量・高速検索技術)の事業化を実現するため、(スピンアウト制度を利用し)
外部化の道を拓いた。
⇒上記から学べること
社内で継続が困難になっても、
開発した技術を事業化したいという強い意志が必要!
9
個別事例研究
CASE5 ラティス・テクノロジー (関係主体)
ベンチャー・
・
・ラティス・テクノロジー
(株)
大企業・
・
・産みの親:
(株)
リコー/育ての親:トヨタ自動車
(株)
<ベストプラクティス>
●自社ノウハウや要求仕様を与え忍耐強くベンチャーを指導・育成することで、お互いの技術・製品の完成度を高める <大企業(育ての親)
:トヨタ自動車(株)>
●出資によって協力パートナーとのWIN-WIN関係を強化 <大企業(育ての親)
:トヨタ自動車(株)>
●公的評価機能を利用して、企業発の高い技術力をアピール <ベンチャー:ラティス・テクノロジー(株)>
■企業データ
事例の概要
□ ベンチャーの概要
カテゴリ
IT技術
内容
独自の超軽量3D表現技術「XVL」をベースとしたアプリケーション開発・販売
設立経緯
リコーのソフトウェア研究所にて3次元形状処理技術の研究開発とビジネス化に取組んだ鳥谷氏が、同技術の可能性を世
に問うべくスピンオフを決意。母体企業との折合いをつけ、理解、支援の下でスタート。
現在に至る概況
トヨタとの協業により発展(トヨタをユーザーとして製品開発と市場創造に成功。また、同実績を活かし市場開拓に成功
している。)。さらにラティスは同社技術(XVL)のグローバル規模での普及を推進中。世界的にも高い評価を得る同技術は、
日本発の世界標準へと発展しつつある。
エグジット
−
概要
スキーム
ラティス・テクノロジー(株)
代表者
代表取締役社長 鳥谷 浩志
設立
1997年10月
資本金
700百万円
社員数
60人(日本50人、米国10人)
主要株主
トヨタ自動車(株)
日立ソフトウェアエンジニアリング(株)
三井物産(株)
東京海上日動火災保険(株)
本社所在地
東京都千代田区九段南3-8-11 飛栄九段ビル4F
URL
http://www.lattice.co.jp/ja/
■事業概要
□ 外部化過程に係る概要(産みの親サイド)
ベンチャー設立
(外部化)の理由
会社名
データ量が巨大で活用が難しかった3Dデータを、超軽量化し
本体で事業化できないノンコアビジネスの外部化を許容。外部資源を活用する新事業の創出につなげた。
ネット上のコミュニケーション媒体とし得る革新的な技術
(XVL:eXtensible Virtual world description Language)を確立。
リコー事業の継続(指揮、引継ぎ)を条件に、出向形態でのスピンオフを認める。
人
1.5年間の出向期間を与える(人件費を負担) 技術
技術シーズに係る知的所有権を両社で共有し、実施権を供与
DESIGNBASEのソースコードを貸与
その他
法務支援 等
支援制度活用の有無
無
設立時出資比率
0%
企業内・外のコラボレーションを実現する独自ソリューション
を提供し新たな市場を切り拓くと共に、3D技術のトップラン
ナーとして日本発の世界標準化に挑んでいる。
□(創業以降の)大企業とのアライアンスの概要
産みの親との
アライアンス
それ以外の大企業(育ての
親 等)とのアライアンス
10
(特に無し)
トヨタとの協業により発展(トヨタをユーザーとして製品開発と市場創造に成功)。
XVLの活用分野(ラティステクノロジー社HPより)
http://www.lattice.co.jp/ja/product/index.html
大企業とベンチャーがWIN-WINの発展を実現するためのベストプラクティス事例集
本事例に見られる WIN-WIN の発展のためのベストプラクティス
(注)大文字で表記のベストプラクティスは、
「ベストプラクティスの一覧」にとりあげている
<大企業(育ての親:トヨタ)の取組み>
●自社ノウハウや要求仕様を与え忍耐強くベンチャーを指導・育成することで、
お互いの技術・製品の完成度を高める
トヨタは、ベンチャー(ラティス)の技術シーズにポテンシャルを見出し、これを技術革新のツールに育てるべく、
自社業務ノウハウも与え指導・育成することで、有用なアプリケーションの開発を実現した。
⇒上記から学べること
ベンチャーは画期的なアイデア等を有していても大企業が即採用と言うことにはなりにくいが、だからと
いって捨ててしまうのではなく、自社のニーズに合わせ育成することも有効!
●出資によって協力パートナーとのWIN-WIN関係を強化
トヨタは、
協業に際し資本参加
(トヨタベンチャーファンドによる投資)
。
筆頭株主となりラティステクノロジー社の育成、
WIN-WIN関係の強化を図った。
<ベンチャー企業創業者からのメッセージ>
ラティス・テクノロジー(株) 代表取締役社長 鳥谷 浩志 氏
大企業と協調して発展するためには、自社技術を、い
かに相手に貢献できる形で提供できるがキー。
当社の場合は、トヨタ自動車に業務を教えてもらい、
先進の 3D軽量化技術を利用して、現実の業務を改善する
ソフトウェアを開発することで、Win‐Winの関係を構築
できた。
■創業メンバー(キーマン)のプロフィール
鳥谷 浩志 氏
ラティス・テクノロジー(株)
代表取締役社長
1983年
⇒上記から学べること
出資によって相手先ベンチャーを育成することで協業関係を強化。成功した場合の利益も確保!
●社内に、社外技術の導入・育成を担う機能を保有し、ベンチャーとのアライアンスを推進
トヨタは、全社的なCorporate Venturing Officeとしてのミッションを担う専門組織(事業開発部)が窓口となり、外部ベン
チャー(ラティス)とのアライアンスを推進。技術の評価、社内技術とのコーディネートおよび育成・活用を図った。
東京大学理学部情報科学科卒業、同年
(株)リコー入社、ソフトウェア研究所
に て 、3 D モ デ リ ン グ ソ フ ト ウ ェ ア
DESIGNBASE の研究開発に従事後、ビ
ジネス化を指揮
1989年
東京大学より理学博士号取得
1998年
ラティス・テクノロジー(株)に出向、
技術統括部長に就任
1999年
ラティス・テクノロジー(株)、代表取
締役社長に就任
(現任)
⇒上記から学べること
全社的なCorporate Venturing Officeとしてのミッションを担う専門組織の整備・拡充を図ることが重要である!
<ベンチャー(ラティステクノロジー)の取組み>
●公的評価機能を利用して、企業発の高い技術力をアピール
ラティスは、
公的支援事業・制度により、
自社技術
(大企業発ベンチャーゆえ当初より持ち得た完成度の高い技術シーズ)
の有用性に関する客観的評価を得、
その信用力を使って取引先を拡大。
⇒上記から学べること
大企業発ベンチャーの高い技術力について、公的な技術支援制度
(R&D助成制度、
各種表彰等)
の評価を積極的
に受けることで、そのパブリシティ
(知名度)
を向上することが重要!
11
個別事例研究
CASE6 パウデック
ベンチャー・
・
・(株)パウデック
(関係主体) 大企業・・・産みの親:ソニー(株)/育ての親:
(株)アルバック、
古河機械金属(株)
<ベストプラクティス>
● 目利きにより、外部ベンャーの技術を取り込み <大企業(育ての親)
:古河機械金属(株)>
■企業データ
事例の概要
会社名
□ ベンチャーの概要
カテゴリ
製造技術(半導体)
内容
窒化ガリウム系半導体エピ基板の開発および生産、窒化ガリウム結晶成長に係わる受託開発。 設立経緯
ソニー中央研究所において窒化ガリウム系半導体電子素子およびMOCVD装置の研究開発に成功した河合氏が、同成果
の事業化を実現するため、独力でスピンオフ。
現在に至る概況
窒化ガリウム系半導体電子素子製造技術の実用化に成功し、GaNエピのファウンドリーサービサーとして基盤を確立※。
古河機械金属とのアライアンスを得て、本格的な事業展開期を目前としている。
※2004年の第三者割当増資によりVC(三菱UFJキャピタル 他)から4.2億円の資金を得(資本金2.68億円に増資)、2007年には第三者割当増資により
古河機械金属から10億円の資金を得ている(資本金7.68億円に増資)。
エグジット
(株)パウデック
代表者
代表取締役社長 河合 弘治
設立
2001年5月
資本金
768百万円
社員数
16人
主要株主
古河機械金属(株)
創業者他
VC(三菱UFJキャピタル
(株)他)
本社所在地
神奈川県横浜市旭区市沢町739
URL
http://www.powdec.co.jp/index_j.html
−
■事業概要
□ 外部化過程に係る概要(産みの親サイド)
ベンチャー設立
(外部化)の理由
概要
スキーム
高効率、高周波大出力かつ環境負荷の少ない21世紀のデバイス
ソニーにおいて事業化可能性のない「窒化ガリウム系半導体電子素子」に係る研究開発成果の外部化を許容。
として注目される窒化ガリウム(GaN)半導体。パウデックは、革
新的な窒化ガリウムウエファ製造技術(MOCVD装置)をコア技
術として、GaN系半導体エピ基盤の開発・製造に取組み、同デバ
河合氏による(独力の)起業
イスの普及にチャレンジしている。
人
創業半年後、ソニー技術者(元同僚)をスカウト(→ソニー側は容認)
技術
窒化ガリウム系半導体電子素子用のMOCVD装置に係る特許の使用を許可
その他
−
支援制度活用の有無
無し
設立時出資比率
0%
□(創業以降の)大企業とのアライアンスの概要
産みの親との
アライアンス
特に無し
それ以外の大企業(育ての
親 等)とのアライアンス
創業時、アルバックとの協業(技術移転契約)で、事業基盤を得る。
その後、古河機械金属との協業(資本参加、GaN基盤事業での協業)で、本格事業展開の基盤を得る。
パウデックのエピ基盤事業(パウデック社HPより)
http://www.powdec.co.jp/japanese/core/index.html
12
大企業とベンチャーがWIN-WINの発展を実現するためのベストプラクティス事例集
本事例に見られる WIN-WIN の発展のためのベストプラクティス
(注)大文字で表記のベストプラクティスは、
「ベストプラクティスの一覧」にとりあげている
<大企業(育ての親:古河機械金属)の取組み>
●目利きにより、外部ベンャーの技術を取り込み
古河機械金属は、
目利き機能
(VCの活用)
により、
自社技術の付加価値を高めるための補完技術(※)を得ることができた。
※古河機械金属は、新たな素材(GaN)の半導体基盤ビジネスの付加価値を高めるため(素材としての基盤供給から、より川下の、電子素子用の
加工基盤の供給へ)、自社にない新しい半導体製造装置技術(有機金属化学着気相蒸着法(MOVCD)によるGaN結晶成長技術)の獲得を要していた。
⇒上記から学べること
外部ベンチャーに対する目利き機能を持つことで、社内では得難い技術シーズを素早くベンチャーから調
達することが可能である!
<ベンチャー企業創業者からのメッセージ>
(株)パウデック 代表取締役社長 河合 弘治 氏
独立にあたり親企業からは、私が会社内で発明した特許
の使用を許可していただきました。同社のように、大企業
が技術と人材を社会に還元していけば、日本の産業はさら
に活性化するのではないでしょうか。
また、技術開発型ベンチャーが発展するためには、大企
業とのGive & Take (Win-Win)のアライアンスが重要で
す。大企業から資金を得、技術・ノウハウでこれに応え一緒
にやるというのが理想的と考えます。ただし、ベンチャー
側は、何から何まで全部を差し上げてはだめなんです。大
<ベンチャー(パウデック)の取組み>
●立ち上げ当初の経営安定のため、独自技術を大企業に供与
パウデックは、創業段階での事業基盤を得るべく、アルバックのニーズ
(製造装置事業)
に絞って技術移転契約を結
び、
協力関係を構築。コア技術( GaN結晶成長技術)を保持しつつ、相互にメリットがある技術移転(装置関連技術)
契約を結んでいる。
⇒上記から学べること
特定の顧客にターゲットを絞り、立ち上げ当初のベンチャー経営の安定化を図る。その際、自社のコア技術を
保持しつつ協力関係を構築することが重要!
切なのは「コア・テクノロジーは自分の手元に持っておか
なければいけない」ということです。
■創業メンバー(キーマン)のプロフィール
河合 弘治 氏
(株)パウデック
代表取締役社長
1983年
静岡大学工学部化学科卒、業同年ソ
ニー(株)入社、同社中央研究所研究
員
1989年
同社主幹研究員
2001年
ソニー
(株)
フロンティアサイエンス研
究所退社、(株)パウデックを設立し
代表取締役社長に
(現職)
13
個別事例研究
CASE7 ザインエレクトロニクス
ベンチャー・
・
・ザインエレクトロニクス(株) (関係主体) 大企業・・・産みの親:(株)東芝/育ての親:Samsung Electronics Co., Ltd.
<ベストプラクティス>
● 立ち上げ当初の経営安定のため、大企業からの技術コンサル業務を受託 <ベンチャー:ザインエレクトロニクス(株)>
■企業データ
事例の概要
□ ベンチャーの概要
会社名
ザインエレクトロニクス(株)
代表者
代表取締役社長 飯塚 哲哉
1992年6月
資本金
1,175.26百万円(2008 年12月末現在)
カテゴリ
製造技術(半導体)
設立
内容
アナログ・ディジタルのミックスドシグナル処理に特化したファブレスLSIメーカー
社員数
設立経緯
東芝入社後、米国 HP社 IC研究所駐在、東芝半導体技術研究所 LSI開発部部長などを歴任した飯塚氏が、自立的にスピン
オフ。(1991年に 1人で起業し、最初の 1年はコンサルティングに従事。)
現在に至る概況
サムスンとの協業(初期の資金フローを確保し、次期事業展開の足固めが可能となった)を経て、
「ファブレス・メーカー」
として自社ブランド製品の開発・供給に注力。液晶向けシステムLSIの成長により2001年に株式上場を達成。
エグジット
IPO(2001年 JASDAQ上場)
120名(2008年12月末現在)
主要株主
本社所在地
(有)豊人、飯塚 哲哉
東京都中央区日本橋本町3-3-6
ワカ末ビル1F、6F
URL
http://www.thine.co.jp/
■事業概要
ミックスドシグナル・システムLSIの開発・製造・販売。ドッグイ
ヤーといわれる情報機器の製品開発サイクルの速さに対応する
□ 外部化過程に係る概要(産みの親サイド)
ベンチャー設立
(外部化)の理由
概要
スキーム
ため、ザインエレクトロニクスの開発速度は先駆的な製品投入
を可能とするものとなっている。
(特に無し)
飯塚氏による(独力の)起業
人
退職による起業
技術
−
その他
−
支援制度活用の有無
無し
設立時出資比率
0%
□(創業以降の)大企業とのアライアンスの概要
産みの親との
アライアンス
それ以外の大企業
(育ての親 等)との
アライアンス
14
(特に無し)
創業段階、サムソンとの協業により初期資金フローを確保。
その後、自社ブランド製品の開発・供給を実現・発展させるため、パートナー企業(川崎製鉄、ヤマハ、加賀電子、シリコン
テクノロジー)の資本参加を得て協業体制を確立。
最先端の設計開発ツールを整備(ザインエレクトロニクス社HPより)
http://www.thine.co.jp/corporate/r_and_d.php
大企業とベンチャーがWIN-WINの発展を実現するためのベストプラクティス事例集
本事例に見られる WIN-WIN の発展のためのベストプラクティス
(注)大文字で表記のベストプラクティスは、
「ベストプラクティスの一覧」にとりあげている
<ベンチャー(ザインエレクトロニクス)の取組み>
●立ち上げ当初の経営安定のため、大企業からの技術コンサル業務を受託
創業段階の生き残り策として、サムソンにノウハウ、技術を供給する対価として、初期資金フローを確保。
また、これにより次期発展の足固めを図った。
⇒上記から学べること
当初の経営安定のため、自社設立目的以外の受託業務を活用!
<ベンチャー企業創業者からのメッセージ>
ザインエレクトロニクス(株) 代表取締役社長 飯塚 哲哉 氏
創業し事業を成長させていく上で重要なことは、人財
が資本を得て完全燃焼できる、「人資豊燃」できる場を作
ることです。
現在は「個と知」を重視する企業だけが生き残れる時代。
知的価値を生み出せる個人に最適の環境・リソースを提供
し、自己実現の場、社会貢献の場を提供できるチームこそ
が新産業を創造する原動力になります。
■創業メンバー(キーマン)のプロフィール
飯塚 哲哉 氏
ザインエレクトロニクス(株)
代表取締役社長
1975年
東京大学工学部大学院電子工学修了、
工学博士。
(株)
東芝入社。
1980
-81年
米国ヒューレット・パッカード社IC研
究所駐在
(株)東芝半導体技術研究所LSI開発部
1990
-91年 部長
1991年
退職し、
( 株)ザイン・マイクロシステ
ム研究所設立、
代表取締役就任
1992年
ザインエレクトロニクス(株)設立、代
表取締役就任。
15
□参考資料
1. 大企業におけるコーポレートベンチャリングの取組み実態
(アンケート調査結果)
平成20年度経済産業省産業技術調査「コーポレートベンチャリングに関する調査研究」において実施したアンケート調査(※)から抜粋。
(※製造業および情報通信業:計2036社を対象に実施。117社からの有効回答を得ている)
1)大企業における人・技術の外部化の取組み状況
2)
コーポレートベンチャリングの取組み状況 ①研究開発テーマの事業化に至る割合
①未活用資産(技術シーズならびに人材)を活用した新事業創出の推進状況
取り組まれた研究開発テーマが事業化に至る割合 はアンケート調査回答企業の平均(単純平
大企業では社内の未活用資産(技術シーズならびに人材)を活用した新事業の創出が課題と
均)で31.7%であり、過程における研究成果や知見が、直接的に活用されない技術資産として蓄
なっている。
積されている実態が確認できる。
<アンケート調査結果:未活用資産(技術シーズならびに人材)を活用した新事業創出の推進状況>
推進している
②研究成果・技術シーズの未活用に係る問題状況
「研究成果・技術シーズが活用されていない」という状況が、我が国の大企業ほど当てはまる実
態が確認できる。
(アンケート調査では、資本金100億円以上の大企業において、
「当てはまる」
および「ある程度当てはまる」とする企業の比率が過半を占める。)
ある程度当てはまる
0%
20%
10%
40%
30%
70%
80%
不明
90%
40%
70%
37.5%
37.8%
100%
12.5%
2.7%
16.7%
29.6%
38.9%
40.0%
13.3%
不明
90%
80%
25.0%
37.8%
22.2%
20.0%
推進してない
60%
50%
50.0%
1000億円 (n=8)
10億円未満(n=15)
30%
あまり推進してない
26.7%
100%
12.5%
13.5%
2.7%
31.5%
37.0%
33.3%
20.0%
当てはまらない
29.7%
29.6%
20%
10%
10∼100億円未満(n=54) 9.3%
25.0%
48.6%
100∼1000億円未満(n=37) 5.4%
10∼100億円未満(n=54) 1.9%
60%
50%
37.5%
25.0%
1000億円 (n=8)
10億円未満(n=15)
あまり当てはまらない
0%
100∼1000億円未満(n=37) 5.4%
<アンケート調査結果:研究成果・技術シーズの未活用に係る問題状況>
当てはまる
ある程度推進している
②コーポレートベンチャリング推進組織(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の
整備状況
46.7%
ベンチャーを活用した新事業創出の仕組みとしてのコーポレート・ベンチャー・キャピタルを
③未活用技術(特許)の実態
社内外に設けている企業はごく一部に限られる実態が確認できる。
特許資産規模が大きい大企業ほど、多量な未活用(休眠)特許の保有があり、その有効活用が課
題視されるところである(アンケート調査では、資本金1000億円以上の大企業において、未活
<アンケート調査結果:コーポレート・ベンチャリング推進組織(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の整備
注)保有件数、未活用(休眠)特許の割合(%)は各回答企業の単純平均
用特許の割合は36.3%を占める。)。
<アンケート調査結果:未活用(休眠)特許の割合(国内)>
6000
5000
4000
5164.5
休眠特許の比率
(%)
25.7%
2000
24.0%
139.1
1000億円
(n=8)
23.2%
11.1%
990.6
1000
16
保有件数平均
36.3%
3000
0
設けている
注)保有件数、未活用(休眠)特許の割合(%)は各回答企業の単純平均
100∼1000億円未満
10∼100億円未満
(n=8)
(n=54)
4.8
10億円未満
(n=15)
637.2
全体
(n=75)
50.0%
45.0%
40.0%
35.0%
30.0%
25.0%
20.0%
15.0%
10.0%
5.0%
0.0%
0%
10%
16.2%
10∼100億円未満(n=54) 3.7%
10億円未満(n=15)
30%
40%
50%
25.0%
1000億円 (n=8)
100∼1000億円未満(n=37)
20%
特別設けていない
60%
70%
80%
不明
90%
100%
75.0%
81.1%
96.3%
100.0%
2.7%
大企業とベンチャーがWIN-WINの発展を実現するためのベストプラクティス事例集
1. 大企業におけるコーポレートベンチャリングの取組み実態
(アンケート調査結果)
3)大企業における人・技術の外部化に関する環境整備の実態
①人・技術の外部化支援制度の導入・運用実態
③技術を外部で事業化する際の 技術・知財 の扱いに係る配慮・工夫
アンケート調査においては、外部化支援制度の導入・運用している企業は、一部であることが
確認された(ただし、資本金1000億円以上の回答企業では25%が導入・運用しており、これら
大企業において環境整備が先行していることが把握できる。)。
・ 現在、スピンオフ制度で作ったベンチャーはすべて子会社扱いのため、知財権は親会社が持つが、実施(使
用)については、親会社の知財も含めて自由に行える。(今後、IPOなど完全な外部化の必要性が出てき
<アンケート調査結果:外部化支援制度の導入・運用実態>
導入・運用している
0%
過去現在、
導入・運用はしていない
20%
10%
30%
40%
50%
25.0%
1000億円 (n=8)
た場合、知財の売却等課題となる可能性はある。)
導入・運用していない
60%
70%
不明
90%
80%
100%
75.0%
2.7%
94.4%
10∼100億円未満(n=54)1.9% 1.9%
社内成果を社外で有効活用できるよう積極的な知的財産権の譲渡を図っている。
については、親会社がライセンスを行い、新会社が事業を行う形式とした。
1.9%
100.0%
10億円未満(n=15)
・ 個々の企業の情況を考慮し、個別に特許の実施許諾、譲渡等を行なっている。特に撤退事業については、
・ 発明者が事業に関連する特許を出願し、それを基に社内起業の応募をして新規事業を行った。当該特許
89.2%
100∼1000億円未満(n=37) 2.7% 5.4%
<アンケート調査結果:技術を外部で事業化する際の 技術・知財 の扱いに係る配慮・工夫の内容例>
④各社内規程の状況
社内の技術を活用したベンチャーの創出に際し、親企業と企業発ベンチャーとの双方が
②起業者等に対する人事の扱いに係る配慮・工夫
WIN-WINの関係を構築できるための社内規程・ルールを整備または整備する方向にある企業
アンケート調査においては、特段の配慮・工夫がなされていない企業が大勢を占める中で、一
は、おおむね2割。
部大企業においては外部化を図る環境整備が行われている。
<アンケート調査結果:各社内規程の状況>
<アンケート調査結果:起業者等に対する人事の扱いに係る配慮・工夫の有無>
工夫されている
配慮・工夫がなされる
(制度・プログラムにより)
0%
3.4%
全体
(n=117)
10%
20%
30%
「1」
以外においてもてなされる
(社内ルール化されている)
検討
(取組み)
中
「1」
以外においてもてなされる
(ケースバイケースで)
工夫されていない
(但し、
検討の
「必要あり」
と考える)
特になし
工夫されていない
(検討の
「必要なし」
と考える)
不明
不明
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
0.9%
6.8%
83.8%
5.1%
兼業禁止規程
(n=117)
0.9%
配慮・工夫の内容例
(採用アイデアには、
初年度の資本金として
・ 制度・プログラムにおいて支援。起業時出資金
最大5億円を提供、
また、
社員として出向、
あるいは一旦退職し、
最長5年までの契約社員となる。
後、
社員として復帰
(中途採用扱い)
も可能。
職務発明規程
(n=117)
44.4%
34.2%
5.1%
18.8%
43.6%
32.5%
0.9%
秘密保持契約
(n=117)
5.1%
17.1%
42.7%
34.2%
0.9%
休職プラン、
教育プランで支援。
・ 社外転進支援プログラム、
(社内ルール化はされておらず、
ケースバイケースで)
・ 現行社員として出向扱いとなる。
19.7%
0.9%
競業禁止規程
(n=117)
15.4%
0.9%
48.7%
34.2%
17
□参考資料
2. 企業発ベンチャーの実態
企業発ベンチャーの定義を以下のように検討し、企業発ベンチャーの実態を把握するため、
国内の企業発ベンチャーの数、EXIT(投資回収)の状況、親企業の出資比率の状況、ITやエネルギー等の分野別の割合、設立年の推移等基本的データを収集した。
1)企業発ベンチャーの定義と企業発ベンチャーの抽出方法
2)
企業発ベンチャーの概要
(続き)
①企業発ベンチャーの定義
④分野別割合
社内の技術や人材など経営資源を活用した新たな製品・サービスを創出するために、個人のア
最も多い分野は IT・ICT系で 39.5%を占め、次いで製造技術系16.9%、環境系10.0%、半導体
ントレプレナーシップを活用して、既存の組織とは別に新たに創られた新企業を「企業発ベン
系8.4%、バイオ(医療)系5.7%、エネルギー系4.2%、その他15.3%となっている。その他には、
チャー」と定義する。
フィットネスクラブ、人材サービス、不動産開発事業など。
<分野別割合の状況>
②企業発ベンチャーの抽出方法
エネルギー系
11
4.2%
本調査における企業発ベンチャーは以下のいずれかにより抽出した。
a. 2008年度研究開発投資額ランキング(日経産業新聞2008.7.28-30)の内研究開発投資額41億
円以上(上位200社)の企業に係る文献、ウエブに掲載されている企業発ベンチャー
その他
40
15.3%
バイオ系
15
5.7%
b. 本調査の一環で行った「コーポレートベンチャリングに関するアンケート調査」によって抽
出された企業発ベンチャー
半導体系
22
8.4%
c. その他、文献、ウエブに掲載のあった企業発ベンチャー
IT・ICT系
103
39.5%
環境系
26
10.0%
2)企業発ベンチャーの概要
①企業発ベンチャーの総数
261社
(技術系:製造業 及びシステム・ソフト開発型IT企業204社、非技術系:技術系以外の企業57社)
②EXIT(投資回収)の状況
株式公開:21社
自社売却:9社
不明・解散・倒産:42社
製造機械系
44
16.9%
⑤設立年推移
抽出したベンチャー企業の設立年の分布をみると、2000年から2003年にピークがある。
1990年代後半の情報・通信産業の急激な発展と過剰投資によってもたらされた ITバブルが
2000年後半から崩壊したことが、2001年、2002年のベンチャー設立数が急増した原因の一
つとして考えられる。
<設立年推移の状況>
(社)
35
30
25
18
③パターン別分類
20
a. 親企業の出資比率0%:27.2%
15
b. 親企業の出資比率0%を超え50%未満:20.0%
10
c. 親企業の出資比率50%以上100%未満:36.9%
5
d. 親企業の出資比率100%:15.9%
0
1972 1974 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 不明(年)
大企業とベンチャーがWIN-WINの発展を実現するための
ベストプラクティス事例集
本ベストプラクティス事例集は、平成20年度経済産業省委託調査「平成20年度産業技術調査(コーポ
平成20年度経済産業省委託調査
レートベンチャリングに関する調査研究)
(委託先:株式会社テクノリサーチ研究所)」において作成
されたものです。
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