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子どもたちの放課後シンポジウム報告

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子どもたちの放課後シンポジウム報告
子どもたちの放課後シンポジウム報告
第1回 平成15年10月31日(金)19:00∼21:00
戸塚区 横浜女性フォーラムホール(来場者数151人)
第2回 平成15年11月13日(木)19:00∼21:00
中
1
区 情文ホール
(来場者数155人)
明石座長基調講演概要
専門的な立場からお話しすると、ここ15年で、子どもたちが大きく変わってき
たことが3つある。
①
食べっぷりが悪い
②
遊びっぷりが悪い
③
付き合いっぷりが悪い
この3つの「ぷり」が身につくと、生きる力があるのだが、今、一番、親や教師達
が困っているのが、子どもがこの3つの「ぷり」を持っていないことだ。
①
食べっぷり:今の子どもは食が細い。放課後の世界の基本は食べること。食
べる勢いをいかに増やすかということが重要である。
②
遊びっぷり:遊ぶためには3つの条件「3間(さんま)」が必要。3間とは、
仲間の間と、遊びの空間、時間の間。今の子どもたちはこの3つの間を失って
いる。
③
付き合いっぷり:非常に仲の良い2人組や3人組はいいのだが、大勢だと付
き合いっぷりが悪い。簡単に言うと「あそぼうぜ」と切り出す、言い出しっぺ
がいない。
食べっぷり、遊びっぷり、付き合いっぷりを何とか放課後の世界で豊かにして
いきたいというのが私の提案である。
- 1 -
2
(1)
パネリスト
鈴木本部長
・子育て支援事業本部について
・放課後児童育成事業とはまっ子ふれあいスクール事業について
・両事業に対する市会や市民の声
・放課後児童育成課の取組み
・あり方検討の視点
①子どもたちの置かれた環境が大きく変わっている。どういう環境に合わせた対
策をとっていくのか。
②規則の枠組みにとらわれないで子どもたちにとってどんな方法が一番望ましい
か。
③留守家庭とそうでない家庭の子どもにとって、大事なことは共通しているはず
④障害のある子どもにとっても問題は同様にある。
⑤留守家庭にとって、家庭的にくつろげる時間というのが、この対策の中で確保
されなければならない。
(2)
小田切委員
子どもたちの充実した放課後を考えるにあたり、1.人、2.場所、3.地域
の連携この3つがキーワードだと思っている。
放課後の活動では、子どもたちにたくさんの仲間と遊ぶことの楽しさを体験し
てほしいと思っている。そのために、仲間集団に受入れられてぶつかったり、も
めたりしながら、その子の年齢や性別にふさわしい行動を身に付けていってほし
い。
今の子どもたちは、子どもたち同士で遊びを発展させたりできないので、周り
の大人がさりげなく介入することが求められている。
また、スタッフには研修プログラムを用意すべきである。
(3)
上原委員
障害がある子どもも同じように遊びを通じて成長することはとても大切だが、
残念なことに、その場が限られている。障害児は親と一緒でなければ、遊ぶこと
もできない限られた生活をしている。
障害児が豊かな放課後を過ごす為には、いろいろな機関や人をつなぐ調整をし、
子どもにとって成長、発達を支える心地よい居場所を作り、支えるための人材が
必要。
はまっ子と学童以外にも障害児の放課後の選択肢が増えることを願っており、
そのために障害児を理解してくれる地域社会であってほしいと思う。
- 2 -
(4)
松岡委員
一昨年前に「1万人の子育て提言プロジェクト」という市民提言をしたが、そ
の時、はまっ子と学童のアンケートもたくさん回収できた。
子どもの居場所というのは、非常に重要な問題である。
はまっ子も学童も場所によって格差がある。
いろいろな話を聞いていると、子どもの放課後を考える時に保育の問題と遊び
の問題を分けたほうがいいのではないかと思う。
共働き家庭にとっては、子どもの放課後を安心して預けられるところは、第二
の家庭ということで、固定した場所、固定した人が大事。
一方遊びの場所は固定していたらつまらない。管理してしまうのではなく、い
ろんな人たちがいろんな関わり方をすることが必要。地域も連携していくことで、
遊びの場を広げていくことが求められる。
子どもの居場所を考えると、
①
きちんとした場所の確保と人材
②
自由な遊びの場の提供
が大事。地域における、子どもにとって良い放課後の居場所ということを考えて
いくべきだと感じている。
(5)
内野委員(10/31)
家庭であっても学童やはまっ子であっても自分の将来やりたいと言ったことを
自由に望むことができる環境が育っていけばいいと思う。
学童やはまっ子の違い、目的をはっきりさせたうえで 、「学童やはまっ子に行
ったからこういうわたしに成長した」と言えるよう、子どもの将来を伸ばせるよ
うな環境になっていったらいいと思う。
(6)
山本委員(11/13)
はまっ子のアシスタントパートナーをやっているが、今の子どもは集団遊びが
なかなかできない。なるべく子どもたち同士で関係を作れるよう、遊べるように
することを心がけている。
また、体験学習を見ていると、自然の中で遊ぶと、子どもはとても生き生きす
る。
放課後児童クラブとはまっ子は、それぞれが存在して、利用者がうまく使って
いけばいいのではないかと感じている。
小学校とはまっ子と放課後児童クラブ、保護者の連携を密にとっていかなくて
はならないと思う。
大学生はどんどん利用してもらって、子ども達を満足してあげられればと思う。
子どもの目線、子どもだったらどう感じるか、どう思うかを常に頭に入れて話
をしていきたい。
- 3 -
3
会場からの意見(口頭)
・いろんな方たちの子ども達をサポートしていただくということは非常に大事。
・放課後の事業は1つにしなくても、それぞれがそれぞれの要求に応じた施策を充
実させればよい。
・児童館ができないのなら、地域の小学校を活動拠点にして、家庭、地域、学校を
連携させることが必要。
・快適で安全な場所とは、温かいそして、時には厳しい目に囲まれた街であり、そ
れが、子ども達の放課後の一番大切なことだと思う。
・温かい目で地域の子どもを見守る地域を作るためには、学校がPTAをうまくつ
かっていく必要がある。
・プレイパークは、子どもも大人も自分の責任で自由に遊ぼうということを掲げて
います。自分の責任で、自由に遊んでいいよ言われた子どもたちは、きちんと自
分の領分をわきまえて動きます。子どもが自分で判断できるように育っていきま
す。また、プレイパークは地域の皆と一緒に展開しています。子どもの放課後と
言ったとき、施設の中に囲い込むことだけを考えず、地域で生きるということを
忘れないでほしい。
・はまっ子ふれあいスクールは施設が不充分だったり、狭いところだったりすると
ころで開かれている。施設の充実は横浜市が責任を持ってやるべきところではな
いかと思っている。また、高学年になると参加が少なくなるが、要求を救い上げ
るようなものを考えていく必要がある。
・障害児が自由に遊べないというところの保障をどういうふうに皆が考えてくれる
かが心配である。地域から普通の学校にいけない学齢の子どもをどうするかとい
うことも論点に入れていただきたい。
・学童では、できる範囲で少しでも多くの障害をもったお子さんを受け入れたいと
思っているが、どうしてもお金の問題、わたし達が払いきれないという問題が残
っていることをご認識いただきたい。
・相武山小のはまっ子では、学校と連携のうえ、障害児対応を行っている。学校の
障害児対策費用をつかえば、子どもはいくらでも助けられる。気持ちの問題だと
思う。
・障害児の受入れに対しては、はまっ子とは違った、遊び場とは違った、保育とい
う面において、学童保育は頑張っていますので、ぜひ理解をいただきたい。研修
についても積極的に受講したり、自主研修も行っている。
・障害のあるお子さんたちの放課後の活動支援を会社組織で行っているが、その活
動の中で気付いたことは、子ども同士が遊ぶとき、橋渡し役をする存在が必要。
人材育成という面で支援者を育てていくような仕組みがたくさん必要。
- 4 -
4
(1)
文書による意見
学童保育について(50件)
・親が働いている場合には、ケアが必要。学童がなぜ作られてきたのかを考えて
ほしい。子どもの放課後はひとくくりに考えてよいのか?
・全児童対策の事業と一本化することなく、両事業を充実発展させてほしい。
・学童の指導員として、新規事業を始めるにあたっては、
①不特定多数でなく、一定の仲間と過ごせること
②専門知識を持った者が、毎日、適切な指導ができること
③公園等に隣接したくつろげる空間であること
④学童保育は、法に基づく事業であり、対象児童を拡大する
以上の4点の方向で考えるべきである。
・共働き家庭や一人親家庭にとっては、学童は欠かせない制度である。より良い
放課後を検討するにあたっては、学童のよい点、悪い点をしっかり聞いて、深
い議論を望む。
・家庭に代わる場所は、いつも同じ人が迎えてくれ、同じ仲間がいることが必要。
ほっとでき、自分を出し、心から安心してすごせるそんな場所である。
・学童の指導員だが 、「食」にこだわりを持っており 、「おいしいね」の一言が聞
きたくて、手作りのおやつを心がけている。
・学童では、親も行事に参画し、親同士のコミュニケーションを広げていくこと
もできる。子育ては「預ける側」も「預かる側」も双方向で関係しなくてはな
らない。学童は、働く親にとって、「子育て・親育て」を意識した場である。
(2)
はまっ子ふれあいスクールについて(4件)
・子どもたちに必要な遊び場としては不充分である。児童館的な役割を果たすよ
うになってほしい。
・今後は、自由遊びを中心に置くとしても、知育、徳育、体育の面のバランスを
考えた遊びが必要。
・高学年も参加するような内容を考えるべき。
・もっと自由に参加できるようにしてほしい。スタッフ以外に学生ボランティア
をもっと導入すべき。
(3)
遊び場・居場所の確保(19件)
・プレイパークなど、やりたいと思うことに思いっきり挑戦でき、自由と責任を
持って遊ぶ場所が必要。
・子どもの安全な場所とは、地域の人に見守られ、育まれていく地域が最高の場
所。一つの場所に閉じ込めることではない。
・わくわくする経験を安心してさせてあげられるような場所、社会になるとよい。
・子どもだけで安心して遊べる場所がほとんどない。その中、一番安心できる場
所は小学校だと思う。
- 5 -
・はまっ子は施設もなく、昇降口の一角で行っているようなところもある。施設
や用具の確保は行政の責務である。将来的に子どもセンターのような役割をも
ち、有効活用されるとよい。余裕教室がない場合は、プレハブの建設を希望。
・いろいろな遊び場や居場所の必要性を感じる。はまっ子、学童だけに絞らない
でほしい。
・地域のネットワークを利用した安全体制を考えてほしい。
・横浜にも児童館のようなものが必要である。
(4)
プログラム(5件)
・自由で自らが考えてつくっていく遊びが必要であり、放課後の重要性があげら
れる。大人からのきっかけづくりも必要である。
・すべての子どもが同じ環境にはないので、バラエティに富んだ施策をしてほし
い。
・地域のボランティアを放課後児童の遊びに導入していったらよい。
・実際にどれだけ手を出せるかは不明だが、親や地域が内容に口を出し、興味を
持ちつづける仕掛けが必要。
・昔遊びや野外活動は大切である。
(5)
障害児(5件)
・養護学校のはまっ子実施を送迎バスの運行拡大とともに、検討してほしい。
・養護学校の放課後は地域のはまっ子利用できるよう送迎バスも含めて検討して
ほしい。
・障害児が遊ぶには、人材確保が必要。
・学童クラブでも何件も障害児を受け入れているが、人件費や施設で受入れられ
ないクラブがあることも知ってほしい。
(6)
その他(21件)
・はまっ子と学童の統一を
・親の願いは、新しい放課後のシステムが真の意味で安全で安心して任せられる
システムになってゆくのかということ。子どもの安全を最優先に考えた新施策
の設立を望む。
・放任ではなく、「あたたかさ」と「厳しさ」をあわせもった職員の養成が必要。
・現在の2事業の成果、問題、課題を評価したうえで、新施策の検討をしてほし
い。また、きちんと公表してほしい。
・学齢期の子の放課後という視点だけでなく、その前後の子どもたちに連続した
成長の場としてとらえ返し、0歳児から思春期・青年期の子どもたちも含めた
地域での子育て論を立てるべきである。
・乳児、幼児、児童期には一貫した市の対応を望む。
・受益者負担についても考えるべきである。
・運営委員会方式は問題。
・有意義なシンポだった。常に子どもの目線で活動し、皆で楽しい放課後にして
いくべき。
- 6 -
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