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インディアナ大学 滞在記

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インディアナ大学 滞在記
インディアナ大学 滞在記
秋野 祐一
はじめに
この度、日本学術振興会 Core-to-Core Program 先端研究拠点事業 –拠点形成型– のプ
ログラムの一貫として、Short term Research Scholar としてインディアナ大学で研究する
機会を頂きました。2011 年 10 月 17 日から 2012 年 2 月 29 日まで、約 4.5 ヶ月にわたり滞
在させて頂きました。
インディアナ大学は、州都であるインディアナポリスにインディアナ大学・パデュー大学
イ ン デ ィ ア ナ ポ リ ス 校 (Indiana University Purdue University Indianapolis; 以 下
IUPUI) というキャンパスがあり、ここに大学病院があります。さらに車で 1 時間ほど離
れたブルーミントンには陽子線治療施設 Indiana University Health Proton Therapy
Center (旧 MPRI) があります。今回の滞在では IUPUI において光子線治療に関する研究
を重点的にさせて頂きました。
インディアナポリス
シカゴの少し南に位置する、インディアナ州の州都
です。内陸性の気候ということもあり、冬の朝晩は
-10℃前後、寒い日は-20℃くらいまで下がります。た
だこれでも今年は暖かいほうで、昨年は地面に分厚い
氷が張ることもあったそうです。
ダウンタウンには南北戦争の記念碑が多く見られ、
クリスマスシーズンには美しいイルミネーションが施
されます。また Circle Center と呼ばれる巨大なショッ
ピングモールもありますが、日本のような都市集中型
ではなく、お店も郊外分散型のため、街の規模として
はそれほど大きくありません。
2012 年は Super Bowl の開催地ということで、試合の前夜からダウンタウンはお祭り騒
ぎでした。それ以外でも、アメフトの試合があると翌日はその話で盛り上がっています。
日常生活
車社会なので、どこへ行くにも車がないと非常に不便です。幸い、滞在先から自転車で
10 分ところにスーパーがありました。ただ雪が積もると行けないので、他の物理士に車で
連れていってもらうこともありました。滞在先のアパートから大学へは学生向けのシャト
ルバスが利用できたので、夜 9-10 時まで研究していても困ることはありませんでした。
すぐ近くにスバルの巨大工場があることもあり、日本の食料品や馴染みのある野菜もある
程度は手に入ります。私はよく休日に野菜を炒めて小分けで冷凍し、朝食にはうどんを温
めた野菜と温泉卵と一緒に食べていました。またキムチ鍋や鶏の水炊きをしたり、お好み
焼きを Das 先生宅で作ったりもしました。
こちらでは大学のスタッフはもちろん、学生や病
院の職員まで多くの人が大学名やロゴのプリント
された服を着ています。大学の購買でも衣類の売り
場はかなり広く、多くの学生が買っていきます。イ
ンディアナ大学にいるということを誇りに思って
いるのでしょう。
IU Hospital, Simon Cancer Center
大学病院の南側に新たに Simon Cancer Center が増設され、Radiation Oncology は地下
でこの両者にまたがるようなフロアになっています。外来の待合室の壁にはベルがあり、
最後の放射線治療を終えた患者さんはこのベルを3回鳴らすと、その場のスタッフ、患者
さんやそのご家族みんなから拍手で讃えられ、送り出されます。感謝祭やクリスマスシー
ズンには、受付や詰所、診察室も飾られます。
ここには Varian 社製リニアックが3台 (Trilogy, iX, 2100C/D) あります。区別している
わけではなく、全てのマシンで IMRT も SBRT も行なっています。
さらにはガンマナイフが 1 台、コバルトが 1 台あります。コバ
ルトは外照射用のものをカスタマイズして、モーター駆動の寝台
と併用して TBI 専用マシンとして使用しています。
小線源は
192Ir
マイクロセレクトロンによる高線量率照射を乳
癌と GYN のシリンダー治療に、137Cs セレクトロンとマニュア
ルアフターローディングを GYN の低線量率照射に用いています。
終わりに
4 ヶ月間 IUPUI に滞在させて頂き、アメリカの放射線治療に触れることが出来ました。
よく日本と比較されるアメリカの医学物理士は確かに素晴らしい知識を持つ方々でした。
しかしその一方で、大阪大学が引けを取らない点も多々あり、我々の現在の立ち位置が具
体的に理解できたのは非常に有意義でした。
研究面では、私自身が主研究者として3つのプロジェクトについて研究を行い、それぞれ
について学会発表、論文化の準備を進めております。また他の研究者と 5 つのプロジェク
トについて協力し、共同研究の基盤構築という目的にも貢献できたと思います。
このような素晴らしい機会を与えて下さいました手島昭樹教授、多大なるご支援を賜りま
した Indra Das 先生、Chee-wai Cheng 先生、Huanmei Wu 先生、その他 IUPUI のスタッ
フの皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。
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