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i.plot - 研究紹介PDF - 土佐尚子
i.plot 場の空気を読むコンピュータ 人間は任意の言葉からイメージする「思考の記憶」 の型を持っています。それが文化につながり、様式 やモードやコードといった「型」の文脈になってい きます。例えば、歌や茶や花の作法、能や狂言や歌 舞伎などの振る舞いや武道などもあります。これら の日本の作法の「型」は、因習を伝えるために存在 します。例えば、釈迦三尊、序破急、雪月花や松竹梅、 「読み・書き・そろばん」 「三世一身」 「出船・入り船・ 通い船」 「飲む・打つ・買う」などがあります。 このような文化を形どる「記憶」の形を持つデータベー スを作成することで、一般的な同義語や連想語を超えた 人間の奥にある民族性をキックするインスピレーション を構築しました。このインスピレーションのエッセンス だけを抽出した連想検索・生成システムの名前を「i.plot」 と付けました。「 i 」は、インスピレーション、インフォ メーション、インタラウティブの意味を持つプロット (文脈)です。 インスピレーション・スぺス ユーザが2つあまりの関係がなさそうな言葉を選ぶと、システムは「インスピレーション・スペース」として 隠れた関係をユーザに提示します。示されるものは、「思考の形」(別紙参照)心理的に連想された言葉が、人間 よりも早い膨大な計算のカオス検索によって、蜘蛛の巣のように次々と連結し、複数の言葉に関係のある言葉群 をフレーミングして「思考空間」を作り出すことが特徴です。 私たちが日常的に、何かについて考えると時、外部情報と内部情報が混じり合い、まだ決定打の言葉として発 する事前段階の「脳内思考空間」に似ています。 漢字プロット ( 表意文字の漢字と表音文字の英単語の組み合わせ ) イメージと文字をつなぐ試みを行いました。ソフトウェアは、2 つ の英単語を入力したら、入力された言葉からの連想によって翻訳され た象形文字、つまり英単語と共に対応した漢字がインスピレーション を生成します。 例:leaf と love を入力して得られた英語と漢字の組み合わせインスピレーション ▲ 「leaf」と「love」を入力して得た、英語と漢字の組み合わせ インスピレーション 行間を読む i.plot 文を入力すると、インスピレ一ションコンピューティングを通してその文の背後に隠されている多様な関係性の ある言葉がユーザに提示するソフトウェアを考案しました。 このソフトウェアは、詩の文章のように意味が圧縮されたものであればあるほど、その文章が背後に持つ豊かな ボキャブラリーを反映する言葉が数多く生成されます。いわゆる「行間を読む」という行為をコンピュータで行い ます。 例えば、恋は盲目 ① Love is blind. そしてご存じシェイクスピアの「ハムレット」の名台詞 ② to be or not to be. ③ That is the question. と 3 つの詩的文章喜入力してみましょう。背後に隠されている連想言葉が青色で 表示されています。 ▲ ① 「Love is blind」の連想言葉 ▲ 「to be or not to be」と「Love is blind」との文脈の流れ ▲ 「That is the question」と「to be or not to be」との文脈の流れ ここで、① Love is blind ② to be or not to be ③ That is the question という文章の文脈が表現する 空気 の可視化され、読めることに気づかれたでしょうか。 ① Love is blind の時には、甘い雰囲気がありましたが、最 後の ③ That is the question に移るにつれて、段々と緊張感みなぎるシリアスな雰囲気を表現する否定語を含んだ 言葉群に変わっています。この文脈の流れに反することを発言すると「空気を無視したことになる」でしょう。 問い合わせ : 京都大学 学術情報メディアセンター教授 土佐尚子 Email : [email protected] URL : www.tosa.media.kyoto-u.ac.jp 研究室 TEL / FAX : 075-753-9081