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慢性関節 リウマチの関節液および血液についての研究

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慢性関節 リウマチの関節液および血液についての研究
616. 72-002. 772-092. 18
慢性 関節 リウマチの 関節 液 お よび血液 につ いて の研 究
第2編
組
織
化
学
的
検
索
岡山大学医学部第二病理学教室(指 導:小 川勝士教授)
岡山大学医学部整形外科学 教室(指 導:児 玉俊夫教授)
大学 院学 生
三
輪
泰
〔昭 和42年11月10日
受稿〕
10例,結
1.
は じ め に
彦
核 性 膝 関節 炎1例,計80例
腎 孟 腎 炎3例
慢 性 関 節 リウ マ チ(以 下 関節 リウマ チ と略 す)の
の 尿 中 の 細 胞:化 膿 性 筋 炎1例
滲 出性 細 胞 お よ び 関節 リウマ チ32例,膝
関 節 液 に見 られ る細 胞 は,多 形 核 白血 球,単 核 細 胞,
痛 風2例,腰
リンパ 球 お よ び滑 膜 細 胞 に 大 別 で き る. Hollander
名,計54例
らは8)9)10),関 節 リウ マ チ の未 処 理 の 関 節 液 中 の 多
ウ マ チ例 で は,男 性20名,女
形 核 白血 球,と
ら76才,病
き に 単核 細 胞 の 細 胞 質 に 黒 く見 え る
封 入 体 顆 粒 を 認 め,こ の よ う な細 胞 を"RA細
と名 づ けた."RA細
胞"は
胞"
関節 リウマ チ の95%の
の 関 節 液 細 胞:
痛 症2例,骨
腫 瘍2例
の局 所
内障5例,
お よ び正 常 人11
の流 血 中 白血 球 につ いて で あ る.関 節 リ
性49名,年
令 は11才 か
年 は3ヶ 月 よ り28年 ま で に 及 ん で い る.
病 期 と機 能 障 害 度 は,Steinbrockerの
分類 に従つた
(表 Ⅰ).
関 節 液 で 認 め られ る が,骨 関節 炎 の 関 節 液 で は 認 め
表1 Steinbrockerの
分 類
られ ず,関 節 リウ マ チ に か な り特 異性 の 高 い 細 胞 と
考 え て い る.ま た"RA細
胞"の
リウマ チ因 子 につ
い て の 検 索 に よ り,封 入 体 顆 粒 は リウ マ チ因 子(22
Sマ ク ログ ロブ リン)で あ る とい う.こ の よ うな封
入 体 顆 粒 は,ブ
リ リア ン トク レ ジル 青 や ス テル ンハ
イ ム ・マル ビ ン染 色 液 を 用 い た 超 生 体 染 色(以 下 超
生 染 と 略す)で
中 等 度 に 染 ま り,ま た オ イル レ ッ ド
0可 染 で あ る とい う.著 者 は,Hollanderら
に従 つ て,こ
の記載
れ ら封 入体 顆 粒に つ い て 検 索 を 行 な つ
2.2
2.2.1
実験材料
関 節 液 の 採 取:膝
関 節 液 を 使 用 し,採
取
た と こ ろ,関 節 リウマ チ に 特 異 的 な もの で は な く,
す る と きに 血 液 混 入 の疑 わ れ た もの は 使 用 しな か つ
骨 関節 炎 お よ び結 核 膝 関 節 炎 の 関 節 液 に も認 め られ,
た.
ま た蛍 光抗 体 法 に よ る染 色 所 見 で も,封 入 体 顆 粒 と
は形 態 学 的 に か な り異 る よ う に思 われ た.そ
Hollanderの
こで,
い う封 入 体 顆 粒 の特 異 性 状 を よ り 一 層
2.2.2
末 梢 血 の 採 取:通
常 は,抗 凝 固剤 を 用 い
ず,肘 正 中 静脈 よ り採 取 した が,数 例 に つ いて は,
ク エ ン酸 ナ トリウ ムや ヘ パ リンを 使 用 し た.白 血 球
明確 に す る 目的 で一 連 の 特 殊 染 色 を行 い,関 節 液 中
を 選 択 的 に採 取 す る場 合 に は, Chen
の細 胞 な らび に流 血 中 白血 球 の細 胞 質 内 顆 粒 に つ き,
を 改 変 して 用 い た.
2.2.3
組 織 化学 的 お よ び 形 態 学 的 検 討 を行 な つ た.
関 節 リウマ チ の 滑 膜 採 取:滑 膜 切 除 術 に
よ り採取 し,ク
2.
2.1
研 究 対 象,実 験 材 料 な ら び に 実 験 方 法
研 究対 象
院 ま た は入 院 して い る関 節 リウ マ チ69例,骨
関節炎
リオ ス タ ッ ト(リ プ シ ョー 製)を 使
用 して 厚 き6mμ
2.3
研 究 の対 象 と した もの は,岡 山 大学 整 形 外 科 に 通
2.3.1
& Palmer法11)
の切 片 を 作 つ た.
実験 方 法
塗 抹 標 本 の作 成:採 取 した 関 節 液 お よ び
膿 はす み や か に,尿 は1000rpm.で10分
間 遠沈 し
990 三
輪
泰
彦
た の ち塗 抹 標 本 と した.末 梢 血 の 場 合,採 取 後 直 ち
一 ル で 透 徹;ア
に無 処 理 で 塗 抹 標本 に した 場 合 と,白 血 球 を採 取 し
シ ロ ー ル で 透 徹;バ
10.
た の ち塗 抹 標 本 に した 場 合 が あ る.塗 抹 標本 の1枚
につ い て,油 浸 レ ンズ を 使 用 し検 鏡 し た.
2.3.2
乾燥
し,そ れ ぞれ の染 色 法 に 適 当 な 固 定 液 で 固 定 した 後
1.
2.
染
色
0.15g,ピ
ラ イ ト染 色
メ イギ ー ムザ 染 色
粘 液 染色
水;キ
6.
ア ザ ン染 色(Heidenheimの
洗;石
フ オ ィ ル ゲ ン 反 応(Feulgen
et
過)で1時
Rossenbeck法)
洗,純
アル コール
ル サ ム 封 入.
崎 法)72):ク
ク ロ ム 酸 カ リ: 2.5g.硫
100ml,氷
純 ア ル コ ー ル:
変 法)
炭 酸 水 溶 液 を加
シ ロ ー ル 透 徹;バ
5ml,
3%石
間 染 色;水
間 固 定;水
晶 性 フ ク シ ン:
0.5g,
炭 水:
用前濾
洗5分;
95ml,使
1%塩
酸 水 で10分
8.
ア ク リ ジ ン ・オ レ ン ジ 染 色
別;水
9.
線 維素 染色
酸 ソ ー ダ ー 液 に5分;水
ピ ロ ニ ン ・メ チ ル 緑 染 色(Unna-Pappenheim法)
核 染 色;水
11.
石 炭 酸 フ ク シ ン 沃 度 法(浜
ル コ ー ル で 脱 水;キ
12.
ズ ダ ン Ⅲ染色
13.
ズ ダ ン ブ ラ ッ クB染
14.
オ ィ ル レ ッ ドO染
15.
ブ リ リア ン トク レ ジ ー ル 青 超 生 染
こ れ を ケ ト ノ エ ル 物 質 と 区 別 す る た め に は0.3%水
16.
ス テ ル ン ハ イ ム ・マ ル ビ ン 超 生 染
酸 化 バ リ ウ ム 液 に 約15時
17.
中 性 赤 ・ヤ ー ヌ ス 緑 超 生 染(Simpson-Sabin法)
す る と,真
18.
メ チ レン青染色 な らび に超 生 染
た は 著 し く滅 じ,類
10.
19.
崎 法)
る.こ
ヘ マ トキ シ リ ン ・エ オ ジ ン染 色69)
2.
ラ イ ト染 色17)
5.
過 ヨ ウ 素 酸 ・シ ッ ク 法
6.
ア ザ ン 染 色(Heidenheimの
12.
水 洗;ヘ
変 法)マ
焔 に よ り 固 定:
塩 酸 中 に 入 い,
漬;短
4分,
時 間IN塩
徹.バ
et Rosaenbeck法)
酸 で 洗 う;
10分,
20分
酸 で 洗 い,水
氏 試 薬 中 に 浸 漬;亜
水,透
IN塩
硫 酸 水 で3回
洗 滌;水
間浸
洗,脱
ル サ ム 封 入,
ア ク リ ジ ン ・オ レ ン ジ 染 色71)
線 維 素 染 色69):ア
ル ミ ン で 核 染 色 後,
1%塩
ル コ ー ル 固 定;リ
間 浸 し た 後,水
性 の ケ トエ ノ ル 物 質 は,呈
洗 して 染 色
色 性 を失 い ま
脂 質 は 呈 色 を 変 え な い か,ま
ズ ダ ン Ⅲ 染 色70):506ア
色 液(ズ
た
ル コー ル 液 で 短 時
ダ ン Ⅲ:
一 昼 夜 染 色;
0.3g,
70%ア
50%ア
ル コ ール
ル コ ー ル で 洗 滌;
マ ト キ シ リ ン液 で 核 染 色;水
ズ ダ ン ブ ラ ッ クB染
洗;ア
パ ッ
酸 ア ル コ ー ル 中 で 分 別,
洗 後 ル ゴ ー ル 液 を 注 ぎ 水 洗;キ
シロ
色(Lison法)70);
70%
色 液(ズ
シB:
0.1g,
100ml)で30分
50%ア
ル コ ー ル で 短 時 間 洗 う;水
で 核 染 色;ア
14.
70%ア
ル コ ー ル:
洗;サ
染 色;
フ ラニ ン
色(Lillie法)70):染
(オ イ ル レ ッ ド0:300mg,
60ml,蒸
ダ ンブ ラ ッ
パ ッ チ の ゴ ム シ ロ ッ プ で 封 入.
オ イ ル レ ッ ド0染
置 後 濾 過)に
チ オ ンカ
ニ リ ン ・ゲ ン チ ア ナ ・ヴ ィ オ レ ッ ト混 合 液
染 色;水
定の類脂質 があ
ア ル コ ー ル 液 で 短 時 間 洗 う;染
ル:
9.
で3分
のIN
1.5時 間 シ ッ フ
8.
水 洗;ア
60℃
お よ び30分
洗;
13.
ロ リー
染 色69)
70):火
ル サ ム 封 入.
チ の ゴ ム シ ロ ッ プ で 封 入.
(PAS)69)
フ ォ イ ル ゲ ン反 応(Feulgen
洗;ア
シ ロ ー ル で 透 徹;バ
れ は 脂 肪 酸 こ と に 不 飽 和 の 脂 肪 酸 で あ る が,
: 100ml)で
メ イ ギ ー ム ザ 染 色17)
マ トキ シ リン液 で
酸 水 で 分 別15分;水
炭 酸 フ ク シ ン沃 度 法 で 陽 性 の 物 質 に は,
間 洗 う;染
粘 液 染 色69)
分
亜硫
は 呈 色 性 を 高 め る.
1.
3.
洗;ヘ
1%次
本 来 の ケ トエ ル ノ 物 質 の ほ か に,一
色(Lillie法)
4.
ゴ ー ル 液 に30分;
洗;3%塩
分 別 法:石
色(Lison法)
トル イ ジ ン青 染 色 な ら び に 超 生 染
7,
洗3分;ル
ロー
酸 ソ ー ダ:
醋 酸6.0ml)で48時
炭 酸 フ ク シ ン 液(結
チル グ
ア ル コ ー ル:
0.5%石
石 炭 酸 フ ク シ ン 沃 度 法(浜
1.Og,水:
過 ヨ ゥ 素 酸 ・シ ッ フ 法(PAS)
20m1,
以 上 染 色;水
ム 合 剤 固 定 液(重
5.
ンナパ ッペ
ロ ニ ン: 0.25g,純
リセ リ ン:
11.
4.
7.
リー ン:
で 分 別,脱
ヘ マ トキ シ リ ン ・エ オ ジ ン 染 色
3.
ル ノ ア 固 定;ウ
え て100ml).で30分
法
ン 染 色(Unna-
ン ハ イ ム の メ チ ル グ リー ン ・ピ ロ ニ ン 液(メ
2.5ml,グ
染 色 した(表2).
キ
ル サ ム 封 入.
メ チル グ リ ー ル ・ピ ロ ニ
Pappenheim法)69)=カ
染 色 方 法:塗 抹 標 本 は直 ち にfanで
表2 ニ リ ン ・キ シ ロ ー ル 液 で 分 別:純
溜 水:
入 れ,10分
リ ン 液 で 核 染 色;水
99%イ
40m1を
ソプ ロパ ノ ー
混 じ た も の を10分
染 色;水
洗;ア
色液
洗;ヘ
間放
マ トキ シ
パ ッチ の ゴ ム シ ロ ッ プ で
封 入,
15.
ブ リ リ ァ ン トク レ ジ ー ル 青 超 生 染10):新
な 関 節 液,尿
お よ び 膿2mlに,
0.2%ブ
鮮
リ リア ン ト
慢 性 関 節 リウマ チの 関 節 液 お よび 血 液 につ いて ク レ ジ ー ル 青 染 色 液1滴
16.
を 入 れ 撹 拌 す る.
ス テ ル ン ハ イ ム ・マ ル ビ ン超 生 染73):新
な 関 節 液,尿
す る.染
お よ び 膿2mlに
色 液 は,
85%ゲ
染 色 液1滴
化 ア ン モ ニ ウ ム:
80ml)と95%サ
0.25g,
95%ア
ル コ ー ル:
に,暗 灰 色 に見 え る球 状 の顆 粒 が,
蒸 溜 水:
お よ び 膿2ml
滴 を 入 れ 撹 拌 す る.染
色 液 は,使
10ml,第1染
性 赤:
色 液(中
純 ア ル コ ー ル:
第2染
認 め られ る(写 真1,
0.125g,純
62.5ml)
0.15mlを
チ レ ン 青 液(純
燥;レ
ア ル コ ー ル100mlに
100mlを
混 合 し,
カ 月 間 放 置 し た も の)で2分
ア ル コ ー ル 中 で 脱 水,分
胞 は,関 節 リウ マ チ69例,骨
性 膝 関節 炎1例
関節 炎10例 お よび 結 核
の 関節 液全 例 に 認 め られ る.関 節 液
多 形 核 白血 球 お よ び単 核 細 胞 に もあ る.こ の よ う な
フ レル の メ
新 鮮 材 料 で み られ る球 状 の顆 粒 を もつ 細胞 は,関 節
リウ マ チ の多 数 例 で は有 核 細 胞 の過 半 数 を 占め るが,
骨 関 節 炎 で は 最 高40%に
しか見 られ ず,一 般 に 少
卵 器 中 に 約1
以 上 染 色;水
別;キ
な ら な かつ た.こ の よ うな顆 粒 を 細 胞 質 に 有 す る細
チ
酸 化 カ リウ ム
37℃ 孵
胞 質 ば か りで な く,細 胞 外 に も あ
ば か りで な く,腎 孟 腎炎 の尿 お よ び 筋 炎 の 化 膿 創 の
95%メ
メ チ レ ン青;
溶 か し た も の30mlと0.01%水
水 溶 液:
0.125g,
混 じ た 液.
間 固 定;乾
の顆粒 は ブロウ
る細 胞 は 多 少 増 加 す るが,融 合 して 大 きな 顆 粒 に は
ア ル コー ル
ー ヌ ス 緑:
3).こ
る.関 節 液 を数 時 間放 置 して も,封 入 体 顆 粒 を 有 す
用時 純 ア ル コー ル
色 液(ヤ
2,
1な い し10数 個
ニ ア ン運 動 を示 し,微 動 差 に よ り白 く輝 い て も見 え
100ml)
に 染 色 液1
メ チ レ ン 青 染 色 お よ び 超 生 染69):
ル ア ル コ ー ル で2分
き に 単核 細 胞 お よび 滑 膜 細 胞 の細 胞 質
る(写 真4).細
鮮 な 関 節 液,尿
: 50ml)1.1mlと
未 処 理 の 関節 液 細胞 を 検 鏡 す る と,主 と して 多 形
蒸 溜 水:
中 性 赤 ・ヤ ー ヌ ス 緑 超 生 染(Simpson-Sabin
法)17):新
未染色新鮮 標本について
核 白血 球,と
フ ラ ニ ン0:
10ml,再
3.1
実 験 結 果
チルァル
混 じ た 液.
17.
0.2gを
0.8g,再
フ ラ ニ ン0液(サ
を97対3に
18.
を入れ撹拌
95%エ
3.
鮮
ン チ ア ナ ・ヴ ィ オ レ ツ ト液
(ク リス タ ル ・ヴ ィ オ レ ッ ト: 3g,
コ ー ル:20ml,酸
991
洗;純
図1 RA細
胞 数 と罹 患 年 数 と の相 関
シ ロ ー ル で 透 徹;
バ ル サ ム 封 入.
超 生 染 は,関
チ レ ン青 液1滴
19.
節 液 お よ び 尿2mlに,レ
フ レル の メ
を 入 れ 撹 伴 す る.
トル イ ジ ン 青 染 色 並 び に 超 生 染70):
チ ル ァ ル コ ー ル で2分
間 固 定:乾
%メ
100ml,ト
チ ル ァ ル コ ー ル:
で 染 色;水
洗;脱
水;キ
燥;染
95%メ
色 液(95
ル イ ジ ン青:
1g)
シ ロ ー ル で 透 徹;バ
ル
サ ム 封 入.
超 生 染 は,関
染 色 液1滴
2.3.3
節 液 お よ び 尿2mlに,ト
ル イ ジ ン青
を 入 れ 撹 拌 す る.
関 節 液 有 核 細 胞 数:関
ち に よ く混 和 し,無
節 液 を 採 取 後,直
稀 釈 で 血球 用 計 算 盤 を 用 い て 算
定 し た.
2.3.4
血 液 白血 球 数
2.3.5
RA試
験14)15):
Hyland社
のRA試
薬を用
い た.
2.3.6
CRP反
応16):Difco社
のC蛋
白反 応 用 血 清
を 用 い た.
2.3.7
赤 血 球 沈 降 速 度(以
Westergren法17)に
2.3.8
し た,
下 赤 沈
と 略 す):
よ り測 定 し た.
関 節 液 蛋 白 量:日
立 蛋 白計 を 用 い て 測 定
図2 RA細
胞 数 と蛋 白量 との 相 関
992 三
図3 RA細
胞 数 とRA試
輪
験 との 相 関
泰
彦
節 炎 の関 節 液 で は 有 核 細 胞 の う ち単 核 細 胞 が 相 当 数
を 占 めて い る.
有 核 細 胞 数 と 関 節 液 貯 溜 量 お よび 関 節 液 蛋 白量 と
の 関 係 を調 べ た.す な わ ち,有 核 細 胞 数 と 関節 液 貯
溜 量 お よ び 関 節 液 蛋 白 量 との 間 に は相 関が な い(図
5,
6).
図5 有 核 細 胞 数 と関 節 液量 との 相 関
図4 RA細
胞 数 と有 核 細 胞 数 と の 相 関
い.こ れ ら顆 粒 を有 す る細 胞 と罹 患 年 数,関 節 液 蛋
白量,RA試
図6 有 核 細 胞 数 と 蛋 白量 と の 相 関
験 お よ び 有 核細 胞 数 との 関 係 を 調 べ た.
結 果 は,罹 患年 数,関 節 液蛋 白 量 お よびRA試
は 相 関 が な い(図1,
2,
3,
4).有
験 と
核細 胞数 と
は,有 核 細 胞 数 の 少 い 時 に は,顆 粒 を 有 す る細 胞 の
数 も少 く,有 核 細 胞 数 が1mm3当
る と,全 例50%以
り5000以 上 と な
上 と増 加 し,有 意 の 関 係 が 認 め ら
れ る.
3.2
1.
染色結果
ヘ マ トキ シ リ ン ・エ オ ジ ン染 色:関 節 液 細 胞
は,核 は 藍 色 に,細 胞 質 は 淡 紅 色 に 染 色 され る が,
陽 性 顆 粒 は見 られ な い.
2.
ラ イ ト染 色 お よ び メ イギ ー ムザ 染 色:関 節 液
細 胞 で は,末 梢 血 とは 違 つ て 多 形 核 白血 球 の 中性 好
顆 粒 の染 りに くい こ とが 多 い.特
に 関節 リウ マ チ な
ど炎 症 性 関節 液 で は,こ の 顆 粒 の 滅 少 ま た は 消 失 を
思 わせ る所 見 が 著 明 で あ る.関 節 液 有 核 細 胞 数 も,
骨 関節 炎 で は1mm3当
り約300よ
り7,000で
あ るが,
関 節 リウ マ チ で は 約500よ り70,000と 増 加 して お り,
か つ そ の う ち多 形 核 白血 球 の 占 め る率 も高 い.骨
関
3.
粘液 染 色:関 節 液 細 胞 の 細 胞 質 に 陽 性 所 見 は
見 られ ない.
慢 性 関 節 リ ウマ チ の 関 節 液 お よ び 血 液 に つ い て 4.
過 ヨ ウ素 酸 ・シ ッフ法:関 節 液細 胞 の 細 胞 質
に陽 性 所 見 は な い.
5.
ア ク リジ ン ・オ レ ン ジ染 色
関 節 液 細 胞 ば か りで な く,腎 孟 腎炎 患者 の 尿,化 膿
性 筋 炎 患 者 の 化 膿 創 お よ び末 梢 血 の 多形 核 白 血 球 お
フ ォイ ルゲ ン反 応:関 節 液 細 胞 の核 は 暗赤 色
に染 るが,細 胞 質 に 陽 性 所見 は な い.
7.
別 す る と,呈 色 性 を失 うか 著 し く 滅 ず る の で ケ ト
エ ノル 物 質 で あ る.こ の よ うな ケ トエ ノル 顆 粒 は,
ア ザ ン染 色:関 節 液 細 胞 は,核 は赤 く,細 胞
質 は 淡青 に 染 るが,顆 粒 状 所 見 は認 め られ な い.
6.
993
よ び単 核 細 胞 に み られ る(写 真6,
7).ま
た 関節
リウマ チ 滑 膜 組 織 の 滑 膜 細 胞,多 形 核 白 血 球 お よ び
関節 液 細 胞 の核
単 核 細 胞 に もみ られ る.関 節 液細 胞 で は,ケ
トエ ノ
は緑 色 に染 るが,数 例 に つ い て の検 索 で は,細 胞 質
ル 顆 粒 を 有 す る細 胞 は骨 関 節 炎 に少 く,関 節 リウマ
に鐙 色 に染 る陽 性 所見 は 見 られ な かつ た.
チ に 多 い(表3).ケ
8.
線 維 素 染 色:関 節 液 細 胞 に は 陽 性 所 見 は見 ら
トエ ノル 顆 粒 を 有 す る 細 胞 数
と罹患 年 数,関 節 液 蛋 白量, RA試
験 お よび有核 細
れ ず,細 胞 外 に 青 紫 色 に染 る 糸 状 の 線 維 が 認 め られ
胞 数 との 関 係 を 調 べ た.す な わ ち,ケ
た.
を 有 す る細 胞 数 と 罹 患年 数,関 節 液 蛋 白量 お よ び
9.
ピ ロニ ン ・メチ ル 緑 染 色:関 節 液細 胞 お よ び
RA試
験 と の 間 に 相 関 は な い(図7,
トエ ノル 顆 粒
8,
9) .し
尿 中 の 細胞 を 染 色 す る と,主 と して 単 核 細 胞 お よ び
リンパ 球 の 細 胞 質 に,赤 色 に 染 ま る微 細 な 円形 顆 粒
図7 ケ トエ ノル 顆 粒 と罹 患 年 数 との 相 関
が び ま ん性 に あ る.多 形 核 白血 球 に も見 られ るが 少
く,多 くの もの で は細 胞 質 は微 か に淡 赤色 が 或 は 無
色 で あ る.
10.
石 炭 酸 フ ク ミン沃 度 法:関 節 液 細 胞 を染 色 す
ると,主 と して 多 形 核 白血 球,単 核 細 胞 お よ び 滑膜
細胞 の少 数 の 細 胞 質 に,紫 紅 色 に染 ま る球 状 顆 粒 が
数個 な い し10数 個 あ る(写 真5).こ
の顆 粒 は一 般
に小 型 で 粒 が 揃 い,境 界 明 瞭 で,細
胞 質 内分 布 に
特 殊 性 が な い.細 胞 内 ば か りで な く,細 胞 外 に も少
数 あ り,形 態 学 的 に は前 項 新 鮮 標 本 で み た 顆 粒 と
区 別 し 難 い.こ の 顆 粒 は,水 酸 化 バ リウ ム液 で 分
表3 関
節
液
細
胞
994 三
輪
図8 ケ トエ ノル 顆 粒 と蛋 白 量 との 相 関
図9 ケ トエ ノ ル顆 粒 とRA試
泰
彦
図10 ケ トエ ノル 顆 粒 と有 核 細 胞 数 と の相 関
験 との 相 関
流 血 中 で は,極
く少 数 の多 形 核 白血 球 お よ び単 核
細 胞 に しか 現 わ れ ず,ま
た ケ トエ ノル顆 粒 は,関 節
液 細胞 等 の そ れ に 比 べ や や 小 さい.ケ
トエ ノル顆 粒
を 有 す る細 胞 数 は,関 節 リ ウマ チ,痛 風
そ の他 の
疾 患 お よび 正 常 人 の 間で 差 が な く,し た が つ て,罹
患 年 数,白 血 球 数,赤 沈, RA試
応 と相 関 はな い(表4).し
験 お よ びCRP反
か し正 常 人 で も,抗
凝
固 剤 の クエ ン酸 ナ トリ ウム や ヘパ リンを 加 え た 末 梢
血 や,薬 剤 を 使 つ て末 梢血 白血 球 を採 取 した 場 合 に
は,ケ
トエ ノ ル顆 粒 を有 す る細 胞 が 多 数 出現 す る.
正 常 人 血 液3m1に0.1%ヘ
37℃ でincubateす
パ リ ン0.5mlを
細 胞 質 に, 30分 で 有核 細 胞 の48%,
か し,有 核 細 胞 数 と は有 意 の 関係 が あ り,有 核 細 胞
数 が1mm3当
50%以
り4,000以 下 で は少 く,4,000以
分 で90%に,ケ
加 えて
る と,主 と して 多形 核 白血 球 の
60分 で63%,
た.し か し,こ の よ うに 末 梢 血 のincubateを
上で は
上 と増 加 して お り,一 定 の 相 関 が 認 め られ る
て も,ま た 関 節 液 を 数 時 間 放 置 して も,ケ
(図10).
180
トエ ノル 顆 粒 を 有 す る細 胞 が 出現 し
続 け
トエ ノ ル
顆 粒 が融 合 して大 きな 顆 粒 を 形 成 す る こ と は な かつ
表4 流
血
中
白
血
球
慢 性 関 節 リウマ チ の 関 節 液 お よ び 血 液 につ い て 図13 脂 肪 顆 粒 と有 核 細 胞 数 と の 相 関
た.
11.
995
ズ ダ ンⅢ染 色,ズ ダ ン ブ ラ ックB染 色 お よ び
オ イ ル レ ッ ド0染 色:関 節 液 細 胞 を 脂 肪染 色 す る と,
多形 核 白血 球 お よ び 少 数 の単 核 細 胞,滑 膜 細 胞 の細
胞 質 に赤 燈 色 お よび 黒 色 に染 る 円形 の脂 肪 顆 粒 が,
1な い し10数 個 み られ る.細 胞 内 ば か りで な く.細
胞 外 に もあ り,炎 症 症 状 の ほ とん ど な い骨 関 節 炎 で
も多 数 認 め られ る(写 真8).脂
肪顆粒を 有す る 細
胞 は,関 節 液 細 胞 ば か りで な く,尿 中,化 膿 創 お よ
び流 血 中 の多 形 白血 球 お よ び 単 核 細 胞 に もあ る.ま
た 関 節 リ ウマ チ の 滑膜 組 織 の 滑 膜 細 胞,多 形 核 白血
球 お よ び単 球 細 胞 に も認 あ られ る.新 鮮 な 関節 液 で
は,脂 肪 顆 粒 は 一 般 に小 さい が,関 節 液 を数 時 間 放
置 す る と,融 合 して 大 きな 顆 粒 と な る も の が 多 い
(写真9).脂
肪 顆 粒 を 有 す る関 節 液細 胞 は骨 関 節
炎 に少 く,関 節 リウ マ チ に 多 い(表3).脂
肪顆粒
を有 す る細 胞 数 と罹 患年 数,関 節 液 蛋 白量 お よ び有
増 加 す るに し たが つ て,脂 肪 顆 粒 を有 す る細 胞 数 も
増 加 し,有 意 の平 行 関係 が 認 め られ る(図11,
12,
13).
流 血 中 の場 合,ご
く少 数 しか 認 め られ ず,関
節液
核 細 胞 数 と の 関 係 を 調 べ た.す な わ ち,脂 肪 顆 粒 を
細 胞 の そ れ に 比 べ 顆 粒 は 小 さい.脂 肪 顆 粒 は,細 胞
有 す る細 胞 数 と罹 患年 数 お よ び関 節 液 蛋 白量 と の 間
内 に は 少 な い が,細 胞 外 に は,か な り 多 数 見 ら れ
に は相 関 は な い が,有 核 細 胞 数 と は,有 核 細胞 数 が
る.脂 肪 顆 粒 を 有 す る細 胞 数 は ご く少 く,ま た関 節
リウマ チ,痛 風,そ
図11 脂肪 顆 粒 と罹 患年 数 との 相 関
の他 の 疾 患 お よ び 正 常 人 の間 に
差 が な い.そ して,罹
患 年 数,白
RA試
応 との 間 に も相 関 は な い(表
験 お よ びCRP反
4).正
血 球 数,赤
沈,
常 人 の 白 血 球 で も,抗 凝 固剤 の クエ ン酸 ナ
ト リウム や ヘ パ リンを 加 えて 保 存 した 血 液 や,薬 剤
を 使 つ て 流 血 中 白血 球 を 採 取 した もの に は,脂 肪 顆
粒 を 有 す る細 胞 が 多 数 出現 す る.正 常 人 血 液3mlに
0.1%ヘ
パ リ ン液0.5mlを
加 え37℃
でincubateす
る と,採 取 直 後 に は な か つ た 脂 肪 顆 粒 が,主
と して
多 形 核 白血 球 の細 胞 質 に 出現 す る.す な わ ち, 5分
後 に は多 形 核 白 血 球 の12%,
%,
90分 で92%,
180分 で95%と
図12 脂 肪 顆 粒 と 蛋 白 量 との 相 関
30分 で72%,
120分 で98%,
60分 で87
150分 で96%お
よび
増 加 して く る.多 形 核 白血 球 を 分 葉
型 と 非 分 葉 型 に大 別 す る と,脂 肪 顆 粒 は分 葉 型 に
お い て 非 分 葉 型 の2倍
incubateす
以 上 に 出 現 す る. 180分
る と,脂 肪 顆 粒 が 融 合 して 大 きな 顆 粒
を 形 成 して い る もの が あ る.
12.
ブ リ リア ン トク レ ジー ル背 超 生染:関
節液細
胞 お よ び 尿 中 の 細 胞 を 染 色 す る と,核 は 赤 褐 色 な い
し桃 色 に,細 胞 質 は淡 青 色 な い し青 色 に染 る.主
と
して 多 形 核 白血 球 の細 胞 質 に 見 られ る顆 粒 は,小 型
球 状 で 境 界 は鋭 利 で あ り,暗 灰 色 な い し黒 色 にみ え,
活 発 な運 動 を 示 す.こ
の顆 粒 は,微 動 差 に よ り無 色
淡 明 に 見 え た りす る.骨 関 節 炎 例 で は少 な く,関 節
リウマ チ 例 に多 い(表3)(写
真10).
996 13.
三
輪
ス テル ンハ イ ム ・マ ル ビ ン超 生 染:関 節 液 細
胞 お よ び尿 中 の 細 胞 を 染 色 す る と,核 は 桃 色,細 胞
質 は 淡 青 色 に染 る か,あ る い は染 色 され な い.主
と
泰
彦
み え る顆 粒 が 認 め られ た.こ の もの をHollanderの
い う封 入 体 顆 粒 と見 な す と,こ の よ うな 顆 粒 を 有 す
る 白血 球 は,す べ で"RA細
胞"と 称 す べ きで あ ろ う.
して 多 形 核 白血 球 の細 胞 質 に,暗 灰 色 な い し黒 色 に
事 実 上記 の 顆 粒 はHollanderの
見 え る小 型 球 状 の顆 粒 が あ り,活 発 な 運 動 を 示 して
粒 の 性 状 に一 致 し,ま た他 に これ に該 当 す る特 殊 な
い る.こ の 顆 粒 は,微 動 差 に よ り無 色 淡 明 に も見 え
顆 粒 を 識 別 で き な かつ た.そ
る.骨 関 節 炎 例 に は少 な く,関 節 リウマ チ の 関 節 液
を もつ 白血 球 を"RA細
胞"と 理 解 して 検索 す る と,
"RA細 胞"は 関 節 リウ マ チ 関 節液 の全 例 に 認 め られ
細 胞 に 多 い(表3)(写
14.
真11).
中 性 赤 ・ヤー ヌ ス緑 超 生 染:関
び尿 中 の 細 胞 を 染 色 す る と,主
節液細胞お よ
と して 多 形 核 白血 球
こで,こ の よ うな顆 粒
る が,そ の 他 骨 関 節 炎 の 関 節液,腎 孟 腎 炎 の 尿 中 お よ
び筋 炎 の 化 膿 創 に も認 め られ た.し か し,こ の"RA
お よ び 単 核 細 胞 の 細 胞 質 に,赤 褐 色 に染 ま る球 状 顆
細 胞"は,一
粒 が1∼10数
マ チ 例 で は 多 くみ られ,そ
個 あ り,ま た緑 色 に染 ま る球 形 顆 粒 が
記 載 す る 封入 体 顆
般 に骨 関 節 炎 例 で は少 な く,関 節 リウ
の増 減 は 患者 の 罹患 年 数,
数 個 見 られ る.細 胞 質 に は,中 性 赤 ・ヤ ー ヌ ス緑 超
関 節 液蛋 白 量, RA試
生 染 で 染 ま る顆 粒 の ほか に,暗 灰 色 な い し無 色 淡 明
の 間 に一 定 の 相 関 関 係 が認 め られ た.特 に有 核 細 胞
に み え る小 型 球 形 の顆 粒 が1∼10数
数 が1mm3当
15.
個 あ る(写 真12).
トル イ ジ ン青 お よ び メ チ レ ン青 染 色:関 節 液
て"RA細
験 と相 関 な く,有 核 細 胞 数 と
り5,000以
胞"は50%以
上 の症 例 で は,全 例 に お い
上 に見 られ,局 所 の 炎 症 症
細胞 お よび 尿 中の 細 胞 の 固定 標 本 を染 色 す る と,主
状 とほ ぼ 比 例 す る.こ の事 実 か ら,"RA細
と して 単 核 細 胞 お よ び リ ンパ 球 の 細胞 質 に,青 色 に
現 頻 度 は,関 節 リウ マ チ に必 ず し も特異 的 な もの で
胞"の
出
染 ま る微 細 な 球 形 顆 粒が 瀰 漫性 に あ る.多 形 核 白血
は な く,関 節 炎 の強 弱 の程 度 に比 例 す る よ うに思 わ
球 に は 一 般 に少 な い.超 生 染 で も同様 の 所見 が え ら
れ る.封 入 体 顆 粒 を 有 す る細 胞 は,主 に 多形 核 白血
れ た.
球 で あ るが,単 核 細 胞 お よ び滑 膜 細 胞 に も 見 ら れ
る. Hollander に よ る と,"RA細
4.
総 括 並 び に考 按
胞"は 敗 血 症 性 関 節
炎 や 痛風 性 関 節 炎 の 関 節 液 に時 々見 られ る細 胞 と区
関 節 リウ マ チの 滑 膜 組 織 内 に は,多 形 核 白 血 球 を
別 し難 い とい うが,他 方Astorgaら
は60),骨 関 節 炎,
見 る こ とが 比 較 的 少 な い の に反 し,関 節 液 中 には か
外 傷 性 関 節 炎,痛 風 性 関 節 炎,敗 血 症 性 関 節 炎,ラ
な り多 数 出現 して い る.関 節 リ ウマ チ の 関 節 液 で は,
イ タ ー症 候 群,Sick
1mm3当
直 性 脊椎 炎 お よ び紅 斑 性 狼 瘡 の関 節 液 で も少 数見 ら
りの有 核 細 胞 数 は 約500よ
り70,000と
増加
cell arthritis,リ ウマ チ 熱,強
して お り,し か もそ の うちで 多 形 核 白 血球 の 占め る
れ る と い う.し て み る と,"RA細
率 が か な り高 い.ま
して 明確 に 区 別 す る こ と は, Hollanderの
た関 節 液 細 胞 の メイ ギ ー ムザ 染
色 で は,末 梢 血 と は違 つ て 多 形 核 白血 球 の 中 性 好 顆
粒 の染 ま り難 い こ とが 多 く,関 節 リウマ チ で は,ほ
胞"を
い う程 に
は 容 易 で な い か も知 れ な い. Astorgaら は,ま た
"RA細 胞"は 関 節 液 ば か りで な く
,末 梢 血 白血 球 に
と ん ど これ を 認 め る こ とが で き な い.関 節 液 細 胞 を
も見 られ,関 節 リウ マ チで は58%に
未 処 理 の ま ま 鏡 検 す る と,主 と して多 形 核 白 血 球 の
液 の貯 溜 して い る例 の方 が,そ
細 胞 質 に小 型 で黒 く見 え る円 形 顆 粒 が あ る. Hollan
と述 べ て い る.
derら は8)9)10),こ れ らの顆 粒 を 有 す る細 胞 が, 600
特異細胞 と
他 方Zucker-Franklinは68),電
認 め られ,関 節
うで な い 例 よ り多 い
顕像で封入体顆粒
例 の 関 節 リ ウマ チ の 関 節 液 の95%に 見 られ るの に,
を検 索 し,多 形 核 白血 球 の細 胞質 に,薄 い膜 で 被 わ
骨 関 節 炎 で は見 られ ず,関 節 リウ マ チ に か な り特 異
れ た 直 径0.5∼1.5μ
的 な 細 胞 と考 え"CRA細
胞"
ァゴ ゾ ー ムで は な い か と考 え て い る.し か し,電 顕
の 数 は,関 節 リウ マ チ 患 者 の 罹 患 年 数 お よ び 局 所 の
像 で は フ ァゴ ゾ ー ム と 他 の 貪 喰 空 胞 と の鑑 別 は 困難
炎 症 症 状 に ほ ぼ比 例 す る とい う.ま た"RA細
の よ うで あ る.
胞"と
名 づ け た,"RA細
胞"に
つ い て, Lames Fisaticn teatお よ び螢 光 抗 体 法 を 行
な つ た と こ ろ,こ の 封 入 体 顆 粒 は,リ
(22Sマ
ウマ チ 因 子
ク ロ グ ロブ リン)で あ る とい う.
Hollanderに
の均 等 に 灰 色 の 顆 粒 を 示 し,フ
よ る と10),封 入 体 顆 粒 は,ブ
リ リア
ン トク レ ジ ー ル 背超 生 染 お よ び ス テ ル ンハ イ ム ・マ
ル ビ ン超 生 染 で 中 等 度 に染 ま り,オ イル レ ッ ド0染
著者 の 未 処 理 新 鮮 標本 に つ い て の検 索 で も,白 血
色 で も染 ま る とい う.オ イル レ ッ ドO染 色 で染 ま る
球 の細 胞 質 に微 動 差 に応 じて 黒 く も,ま た 淡 明 に も
の は,封 入 体 顆 粒 が 脂 肪 液 胞 に含 ま れ て い る と推 定
慢 性 関 節 リウ マ チ の 関 節 液 お よ び血 液 につ い て 997
して い る.し か しJackson73)は 既 に ス テ ル ンハ イ ム
・マル ビ ン超 生 染 で 腎 孟 腎 炎 患者 尿 中 の 細 胞 の 細 胞
患 年 数,関
質 に陽 性 顆 粒 を 認 めて お り,ま たKrishnan74)は
行 関 係 が見 られ る.以 上 の 所見 は,関 節 炎 の 強 弱 に
常入,肺 炎,赤 痢 お よ び カ ラァ ザ ー ル 患 者 の,さ
正
らに
Sutro75)は 他 の感 染 症 患 者 の 末 梢 血 白 血 球 の 細 胞 質
節 液蛋 白 量 とは 相 関 が な い が,全 有 核 細
胞 数 が 増 加 す る に従 つて 増 加 し,両 者 間 に 一 定 の 平
よ る細 胞 変 性 の程 度 に基 く もの と考 え られ る.一 方,
末 梢 血 白血 球 の脂 肪 顆 粒 は,関 節 リウマ チ,痛 風,
に類 似 の顆 粒 を証 明 して い る.こ の 顆 粒 はJackson
そ の他 の疾 患 お よ び正 常 人 の 間 で 差 異 が な く,い ず
に よれ ば,細 胞 が変 性 に 陥 つ た た め に 生 ず る変 性 顆
れ もご く少 数 で あ り,著 者 の観 察 した 範 囲 で は,有
粒 で あ る と い う.ま た 彼 は,中 性 赤 超 生 染 で 非 染 色
核 細 胞 数 の3%以
性 の空 胞 が局 在 す る部 位 に,ト ル イ ジ ン青 に染 ま る
白血 球 数,赤 沈,RA試
小 さな顆 粒 が あ り,RNAaseで
が見 られ な い.末 梢 血 に クエ ン酸 ナ トリウ ムや ヘ パ
処 理 す る と染 ま らな
くな る こ とか ら,後 者 の 顆 粒 はRNAで
う.す な わ ちRNAが
た状 態 にな つ て い る と考 え て い る.こ
Hollanderは10),尿
あ る とい
中性 赤 超 生 染 の空 胞 に含 まれ
れ に対 し
下 で あ つ た.す な わ ち,罹 患 年 数,
験 お よ びCRP反
応 と は相 関
リ ンを加 え た り,薬 剤 を 用 い て 白血 球 を 取 り出 す と,
細胞 内 の 脂 肪 顆 粒 が 増 加 す る.正 常 人 の末 梢 血 に ヘ
パ リンを 加 え, 37℃ でincubateす
る と, 30分 で 多
中 多 形核 白血 球 に見 られ る 顆 粒
形 核 白血 球 の 過 半 数 に, 60分 で は ほ と ん ど全 て の 多
と,関 節 液 細 胞 に み られ る封入 体 顆 粒 は 相 異 る もの
形 核 白血 球 に脂 肪 顆 粒 が 出現 し,顆 粒 が 次 第 に大 き
で,そ の違 い の1つ に,封 入 体 顆 粒 がRNA染
色で
くな つて い く.多 形 核 白 血球 以 外 に は,単 球 の少 数
に もあ る.こ の 事 か ら,多 形 核 白血 球 は,抗 凝 固剤,
染 ま ら な い こ と を挙 げ て い る.
著 者 の検 索 で は,未 染 色 標 本 に お け る封 入 体 顆 粒
緩 衝 剤 お よ び 薬 剤 の 作 用 で,脂 肪 変 性 が強 め られ た
も,ス テ ル ンハ イ ム ・マ ル ビ ン超 生 染 や ブ リ リア ン
こ とが 窮 え る.関 節 リウ マ チ の滑 膜 組 織 で も,滑 膜
トク レ ジー ル 青 超 生 染 で 暗 灰 色 に見 え る顆 粒 も,ま
細 胞 お よ び 多 形 核 白血 球 に脂 肪 顆 粒 が あ る.関 節 リ
た新 鮮 な 関 節 液 細 胞 の 中性 赤 ・ヤ ー ヌ ス 緑超 生 染 で
ウマ チの 関 節 液 お よ び血 清 の総 脂肪 量 は, Chung78)
認 あ られ る非 染 色 性 の顆 粒 も形 態 学 的 に は 全 く区 別
に よれ ば,正 常 範 囲 に あ り,ま たBole79)は,関
し難 い よ う に思 わ れ た. Malinin76), Pekin77)に よ れ
液 の 脂 肪 量 は血 清 の40乃 至65%で,症
ば, Hollanderの
罹 患 年 数 お よ び 蛋 白 量 と相 関 が な い と述 べ て い る.
封 入 体 顆 粒 は,中 性 赤 超 生 染 で も
節
状 の 激 し さ,
陽性 に染 め 出 され る と い う,著 者 の 観 察 で は,し か
これ ら の事 実 か らみ て も,細 胞 内 脂 肪 顆 粒 は,細 胞
し,中 性 赤 陽 性 顆 粒 は,形 態学 的 に は封 入 体 顆 粒 と
の貪 喰 作 用 に よ る もの で は な く,細 胞 自体 の変 性 に
類 似 す る が,関 節 液 をincubateす
る と時 間 と 共 に
そ の数 が減 ず る こ とか ら,両 著 は本 質 を異 に す る も
の と思 わ れ る.
よ り生 じた 顆 粒 で あ ろ う.
関 節 液 細 胞 お よび 尿 中の 細 胞 を ピ ロニ ン ・メチ ル
緑 で 染 色 す る と,主 と して 単 核 細 胞 お よ び リンパ 球,
封 入体 顆 粒 の 脂 肪 染 色 の結 果 に つ い て は, Wil
の 細 胞 質 に,赤 色 に染 ま る微 細 な 円形 顆 粒 が び慢 性
liameonら は67)染 色 さ れ な い と い い, Malinin79),
にみ られ る.多 形 核 白血 球 に は こ の よ う な 微 細 顆
Pekin77)ら は 染 色 され る と報 告 して い る.著 者 の 検
粒 は少 く,多 くの もの で は,細 胞 質 全体 が かす か に
索 で は,ズ ダ ンⅢ,ズ
ダ ンブ ラ ックB染 色 お よび オ
び慢 性 に淡 赤 色 に染 色 され る.ト ル イ ジ ン青 お よ び
イル レッ ドO染 色 で染 ま る細 胞 質 内顆 粒 は,関 節 液
メ チ レ ン青 で も,同 様 の顆 粒 が 青 色 に染 ま る.こ れ
を 数 時 間 放 置 す る と"融 合 し粗 大 空 胞 状顆 粒 とな る.
ら の顆 粒 はRNAと
考 え られ るが, Jacksonは73),
ま た脂 肪 顆 粒 は,関 節 液 細 胞 ば か りで な く,腎 孟 腎
RNAが
中 性 赤 超 生 染 で は非 染 色性 の 空 胞 に含 ま れ
炎 の 尿,筋 炎 の 化膿 創 お よ び 稀 れ に は末 梢 血 の多 形
て い る と考 え て い る. RNA顆
核 白 血 球 お よ び 単 核 細 胞 に もみ られ た.し た が つ
生 染 で も同 様 の 所 見 を 示 す.主
粒 は,メ チ レ ン青 超
と して 多 形 核 白血 球
て,細 胞 内 脂肪 の 出 現 は,細 胞 の変 性 に起 因 す る一
の 新 鮮 標 本 で み られ た封 入 体 顆 粒 と比 較 検 討 す る と,
般 的 な現 象 と見 な して よい で あ ろ う.脂 肪 顆 粒 を 有
RNA顆
す る関 節 液 中 の 細 胞 は,骨 関 節 炎 で は 少 な く,関 節
よ び リ ンパ 球 の細 胞 質 に び 慢 性 に あ り,封 入 体 顆 粒
リウマ チ に 多 い.し
と は異 な つ た形 態 を 示 して い る.
か し,細 胞 外 の 脂 肪顆 粒 は,関
節 リウマ チ と骨 関 節 炎 で は大 差 な く,ま た 末 梢 血 塗
抹 標 本 で 血 清 に もか な り認 め られ る.
脂 肪顆 粒 を 有す る 関 節 液 中 の 細 胞 数 は,患 者 の 罹
粒 は よ り微 細 円 形 で,主
と して 単 核 細 胞 お
関 節 液 細 胞 の 細 胞 質 に は,石 炭 酸 フ ク シ ン沃 度 法
で 紫 紅 色 に染 ま る円 形 顆 粒 が多 数 出現 す る.こ の顆
粒 は 主 と して 多 形 核 白血 球 の細 胞 質 に あ り,通 常 数
998 三
輪
泰
彦
コか ら10数 コみ られ るが,単 核 細 胞 お よ び滑 膜 細 胞
関 節 液 細 胞 に フ ォイル ゲ ン陽性 で, Oxidized tannin
の少 数 に もあ る.ま た この 顆 粒 は関 節 液 細 胞 ば か り
aze法 で 黒 褐 色 に染 ま る顆 粒 の あ る こ とを 報 告 して
で な く,腎 孟 腎 炎 の 尿,化 膿 創 お よ び少 数 な が ら末
い る.こ の 顆 粒 は塩 基 性 で 卵 円 形 の 小 顆 粒 で あ り,
梢血 の 多形 核 白 血 球 に証 明 され る.細 胞 質 に ケ トエ
関 節 液 細 胞 の 細 胞 質 内や,ま
ノル 物 質 を有 す る細 胞 は,骨 関 節 炎 に は少 く,関 節
細 胞 外 に 遊 離 して 存 在 し,関 節 リウマ チ に は見 られ
リ ウマ チ で は 増 加 して い る.ケ
る が,痛 風,骨 関 節 炎 お よ び感 染性 関 節 炎 の 関 節 液
トエ ノ ル 物質 を 有 す
た 細 胞 膜 に 附 着 した り,
る細 胞 は,患 者 の 罹 患 年 数,関 節 液 蛋 白量 お よ び
に は見 られ ず,組 織 化 学 的 な 検 索 よ り,DNA蛋
RA試
複 合 体 とみ な して い る.こ れ に 関 し てZvaifler80)
験 と 相 関 が な い.有 核 細胞 数 が1mm3当
4,000以 下 の 場 合 に は,ケ
り
トエ ノル 物 質 を有 す る細
は,図14に
白
示 す よ うな仮 説 を 唱 え て い る.す な わ ち,
胞 は 少 い が,そ れ 以 上 で は,有 核 細 胞 数 の50%以 上
に あ り,一 定 の 相 関 が 認 め られ る.末 梢 血 白血 球 に
図14 関 節液 白 血球 の 封 入 体 形 成 の 機 序
もケ トエ ノル 顆 粒 が あ るが,関 節 リウ マ チ と痛 風,
Zvaifler
(1965)
そ の 他 の 疾 患 お よ び正 常 人 との 間 に差 異 な く,い つ
れ も3%以
下 と少 な く,し たが つ て,罹
血球 数,赤 沈,RA試
験 お よ びCRP反
患年 数,白
応 と 相関が
な い.
浜 崎 によ れ ば72),ケ
基性 を もち,DNAの
胆 汁酸 か ら成 り,と
もの で は, DNAの
トエ ノル 物 質 は 中 等度 の 好塩
プ リ ン誘 導 体,脂 肪 酸 お よ び
くに重 ク ロ ム酸 カ リで 固定 した
解 合 され て で き た オ リゴ ヌ ク レ
オ チ ッ ドな い しモ ノ ヌ ク レオ チ ッ ドを主 成分 と して,
これ に種 々の 程 度 に類 脂 肪 の吸 着 した もの で あ る と
い う.
関 節 の 炎 症 の際 に 白血 球 は 強 い 変性 を 来 た す が,こ
末 梢 血 に ク エ ン酸 ナ ト リウ ムや ヘパ リンを加 え た
り,薬 剤 を 用 いて 白血 球 を取 出 す と,ケ
トエ ノル 顆
の 過 程 で 生 じた変 性 核 蛋 白質 に 対 して 抗 核 抗 体 が 産
生 され る.変 性 した核 蛋 白質 と抗核 抗 体 と の複 合 物
粒 が 増 加 す る.正 常 人 の末 梢 血 に ヘパ リンを加 え,
が,リ
37℃
球 に 貪 食 され る.封 入 体 顆 粒 を 貪 食 す る と,こ れ に
でincubateす
ると, 60分 で 半 数 以 上 の多 形 核
ウ マ チ因 子 の存 在 で封 入 体顆 粒 とな り,白 血
白血 球 にケ トエ ノル 顆 粒 が 染 色 さ れ る.こ の事 実 は,
続 い て リゾ ゾ ー ム の溶 出 が 起 る.こ のDNAaseが
ヘ パ リンの 細 胞 に 対 す る 障 碍 作用 に よ つ て,DNA
さ ら に他 の 白血 球 の核 に 作 用 して,新
に解 合 が起 こ り,ケ
質 を つ くる と い つ た循 環 に よ り,関 節 の炎 症 が 持 続
トエ ノル 物 質 が増 加 した もの と
しい変 性 核 物
推 定 され る.す な わ ち,細 胞 が 老 化,変 性 す るに 従
す る とい う説 で あ る.し か し,リ ゾ ゾー ム活 性 の増
いDNAは
加 は,関 節 リ ウマ チ ば か りで な く炎 症 性 関 節 疾 患 の
核 外 に拡 散 し,細 胞 が 死 滅 す る とDNA
の重 合 度 が 低 下 す る こ とが 知 られ て い る72).
新 鮮 な 関 節 液 細 胞 の観 察 で は,ケ
トエ ノル 顆 粒 は
関 節 液 に も見 られ81),お そ ら く白血 球 の破 壊 に よ る
一 般 的 な現 象 と推 察 され る82). Malinin76)ら の い う
封 入 体 顆 粒,脂 肪 顆 粒 お よ び 中性 赤 陽 性 顆 粒 と形 態
細 胞 質 内DNA顆
学 的 に 区 別 し難 い.し
す れ ば,従 来 の 知 見 と合 致 しな い.す な わ ち,関 節
か し,関 節 液 を 数 時 間 放 置 す
粒 を 抗 核 抗 体 性 の もの と見 倣 す と
る と,脂 肪 顆 粒 は 粗 大 顆 粒 と な る もの が 多 く,中 性
リウ マ チ に 認 め られ る抗 核 抗 体 は患 者 の27%程 度 で,
赤 陽性 顆 粒 は 非 染 色 の空 胞 と な つ て い く.し か し,
紅 斑 性 狼 瘡 に お け る程 高 率 で な い83). Williamson67)
ケ トエ ノル 顆 粒 お よ び封 入 体 顆 粒 に は,こ の よ うな
は,"LE細
胞"と"RA細
胞"の 組 織 化学 的 な性 状 の
著 明 な 変 化 は見 られ な い.
違 い は,前 者 がDNA染
色 で染 るの に反 し,後 者 は
フ ォ イル ゲ ン原 法 は,重 合 性DNAに
は陽性で あ
る が,解 合 性 の もの お よ び それ 以 下 の プ リン誘 導 体
後 者 は染 らな い こ とで あ る と述 べ て い る.
Hollander8)9)10)ら の い う封 入 体 顆 粒 は,ラ イ ト染
で は陰 性 で あ る.著 者 の用 い た フ ォ イル ゲ ン染 色 法
色,ギ
で は,関 節 リウマ チの 関 節 液 細 胞 に 陽 性 顆 粒 は証 明
お よ び 過 ヨウ素 酸 ・シ ッ フ法(PAS)で
され な か つ た.他
い.著 者 が 検 索 した細 胞 質 内 顆 粒 も そ の 性 状 は
方, Malinin76), Pekin77)ら
は,
ー ムザ 染 色,ヘ
マ トキ シ リン ・エ オ ジ ン染 色
染 色 され な
慢 性 関 節 リウ マ チ の 関 節 液 お よ び 血 液 に つ い て Hollanderの
記 載 に一 致 す る もの で あ るが,し
か
999
例 に認 め られ,関 節 リウ マ チ に特 異 的 な 現 象 と は い
し,螢 光 抗 体 法 で 陽 性 の顆 粒 と は,形 態 や 分 布 に お
い 難 い.
い て 異 り,ま た 関 節 リウマ チ 以 外 に も 出現 す る と こ
3.
"RA細
胞"の
数 は,罹 患 年 数,関
ろ か ら,こ れ を リウ マ チ 因子 と同 一 視 す る こ と はで
お よ びRA試
きな い.一 方,こ
有 意 の 相 関 が 認 め られ る.
の顆 粒 は,石 炭酸 フ ク シ ン沃 度 法
で 染 め 出 され る と こ ろ か ら,解 合性 のDNA物
質と
4.
節液蛋白量
験 とは 相 関 な く,有 核 細 胞 数 と の間 に
ケ トエ ノル顆 粒 は,形 態 学 的 に,未 染 色標 本 の
考 え られ,関 節 リ ウマ チ に特 異 的 な もの とい う よ り
封 入 体 顆 粒 と 同 一 の 性 状 と分 布 状 態 を示 し,こ れ ら
は,む
の顆 粒 を有 す る 細胞 は,関 節 液 で は,罹 患 年 数,関
し ろ,細 胞 の変 性 に起 因 して 出 現 す る非 特 異
的 な 顆 粒 と思 わ れ る.
節 液 蛋 白量 お よ びRA試
験 と は相 関 な く,有 核 細 胞
つ ぎに,Riddle84)ら
は,電 顕 像 で 関 節 液 の 多 形 核
数 と の間 に有 意 の相 関 が 認 め られ た.ま た,血 液 中
白血 球 の細 胞 質 に,フ
ィブ リン様 物 質 が あ るの に 気
に は ご く少 数 しか見 られ ず,罹 患 年 数,白 血 球 数,
付 き,標 識 抗 人 フ ィブ リノ ーゲ ン血 清 で 螢 光 染 色 す
血 沈,RA試
る と,粗 大 顆 粒 状 の 陽 性 所 見 を報 告 しLて い る が,
5.
Willamson67)は,陰
性 で あ つ た とい い,著 者 の ワ イ
ゲ ル トの 線 維 素 染 色 で も染 色 され な か つ た.ま た 粘
験 お よ びCRP反
チ の滑 膜 組 織 に も見 られ る.
6.
Hollanderの
い う封 入 体 顆 粒 は リウ マ チ 因 子 と
は決 め 難 く,石 炭 酸 フ ク シ ン沃 度 法 で ケ トエ ノル 顆
液 染 色 も陰 性 で あ つ た.
粒 と して 証 明 さ れ,む
5.
1.
む
関 節 リウマ チ69例,骨
節炎1例,計80例
す
び
核性膝 関
の尿
中 の細 胞;化 膿 性 筋 炎1例 の 局 所 滲 出性 細 胞 お よ び
内 障5例,痛
2例 お よ び骨 腫 瘍2例,計43例
風2例,腰
炎10例,結
胞"は,関
本 論 文 の 要 旨 は第11回 日本 リウ マ チ学 会 総 会 に お
稿 を 終 わ るに あた り,終 始 ご懇 篤 な ご指 導 と こ校
関節
閲 を い た だ い た 小 川 勝 土 教 授,児
の検 体 全
参
考
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玉俊夫教授に深 甚
な る謝 意 を 表 し ます.
9) Hollander, J. L. et al.:
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6) McCormick, J. N.:
を 識 別 しえ られ な か つ た.
い て 発 表 した.
の 関 節 液;腎 孟 腎 炎3
例 の 尿 お よ び化 膿 性 筋 炎1例 の 膿,計84例
1) Mellors, R. C. et al.:
著 者 の用 い た染 色 法 で 検 索 した か ぎ り に お い て
は,螢 光 抗 体 法 で 見 られ た 陽 性顆 粒 に該 当す る顆 粒
の記 載 に一
節 リウ マ チ69例,骨
核 性 膝 関 節炎1例
7.
の 流 血 中 白血 球 につ
著 者 の検 索 に お い て,Hollanderら
致 す る"RA細
と考 え ら
痛症
いて 組 織 化 学 的 お よ び形 態 学 的 な 検 討 を 行 つ た.
2.
しろ 変 性顆 粒 の1つ
れ る.
関 節 炎10例,結
の 関 節 液 細 胞:腎 孟 腎 炎3例
関節 リウ マ チ32例,膝
応 と は相 関 が な い.
ケ トエ ノル 顆 粒 お よ び 脂 肪顆 粒 は,関 節 リウ マ
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Reticuloendothe
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1964.
Studies
Part
2.
on the
Synovial
Fluid
of Chronic
Rheumatoid
Histochemical
Study
Blood in Chronic
and
the
Arthritis
of Synovial
Rheumatoid
Blood
Fluid
and
Arthritis
By
Yasuhiko
MIWA
Department of Pathology (Director : Prof. Katsuo Ogawa)
Department of Orthopedic Surgery (Director : Prof. Toshio Kodama)
Okayama University Medical School, Okayama, Japan
ABSTRACT
Following the study on the characteristic traits of the synovial fluid and the blood in
rheumatoid arthritis by the fluorescence antibody techniques as reported in a previous paper ,
histochemical and morphological observations were carried out by various staining methods
using the synovial fluid and blood from the patients with rheumatoid arthritis in order to
further clarify characteristic traits of leucocytes. The results are briefly summarised as follows.
1) It seems that the appearance of "RA cell" that correspond to what is reported by Hollan
der and his co-workers is not necessarily a phenomenon specific to rheumatoid arthritis.
2) There is a correlation between the number of "RA cell" and the number of nucleated cells
(leucocytes).
3) Ketoenol granules have been found to reveal a similar distribution pattern as that of in
clusion bodies (as observed not staining the cells).
4) It is difficult to identify the granules of inclusion body of Hollander at a rheumatoid
factor, but these granules can rather be identified as ktoenol granules by the carbolfuchsin
iodide method, and they seem to represent one of degenerative granules.
5) It was not possible to identify any granules that corresponded to those granules positive
to the fluorescence-antibody reaction as reported in a previous paper.
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