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NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE Title ネットワークトラブルの切り分け方法 Author(s) 鶴, 正人 Citation センターレポート, 17, pp.120-125; 1998 Issue Date 1998-03 URL http://hdl.handle.net/10069/25678 Right This document is downloaded at: 2017-04-01T00:16:55Z http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp ネットワークトラブルの切り分け方法 総合情報処理センター 鶴正人 tsur ・ [email protected] 1 はじめに 大学での研究/教育/事務活動において、学内 LANやインターネットの利用は既に不可欠なもの になっています。手書きやタイプライタの論文の時代から、ワープロで論文を書くことが普通の時代 に移り変わったように、今は、電子メールによる情報交換・連絡や wwwによる情報検索は日常的 な道具になり、学会の案内は wwwで公開され、投稿論文は電子メールで発送する時代になってき ました。 しかし、ネットワーク利用者層の急速な拡大に伴って、トラブルも急増してきました。これを読ん でるあなたも、ネットワーク利用時のトラブルに何度も遭遇したのではないかと思います。例えば、 wwwページを見ょうとしたらつながらない 2 .ある wwwページを見ょうとしたが異常に遅い 1.ある 3 .メールを読もうとしたらつながらない 4 .メールを読んだら何度やってもそこでパソコンがハング 5 .メールを送ろうとしたらエラーが出て送れない 明日が論文投稿の〆切というときにこうなったら大変です。焦るとますます泥沼に入り込んでいき、 またそういう時に限って、別のトラブルも発生しますれ ネットワーク利用時のトラブルの切り分け/解決は、それほど簡単ではありません↑2 0 相手(ネッ トワークそのものや、サービスを提供してくれるサーバ)があることなので、相手との何かの不整合 があったり、相手の調子も悪かったりする場合があります。そして、このようなトラブルの切り分け /対応については、以前より、基幹 LANを管理する総合情報処理センター(以下、センターと呼び ます)と、学内 LAN全体の運用調整の場である NUNet運用専門委員会で、標準的手順の確立の必要 性が認識されていました。 本稿では、この問題に関して、現在試行中の“ネットワークトラブル自動診断システム"↑3 を中心 に説明します。 2 原因の分類 ネットワーク利用時のトラブルは、その原因が物理的にも論理的にも分散しており、また階層構造 をもっています。例えば、“メールを読もうとしたらつながらない"、というトラブルを考えてみま しょう↑4 0 1.自分のパソコン ↑1 世の中では一般にマーフィーの法則と呼ばれるようですぐ J 。 ↑2 一方、パソコン単体のトラブルの多くは、リセットすれば直るようです。 t 3電気情報工学科の古里君彦君の平成 9年度卒業研究として実現されました。 ↑ 4 センターのどれかのシステムに登録されている人を想定します。つまりメールサーバはセンターにあるとします。 -1 2 0- -ハード:故障、つなぎが緩んでる l P ):設定ミス、インストールミス ・基本通信 (TCPj ・ネームサーバ参照:設定ミス ・電子メール:操作間違い、設定ミス、インストールミス 2 .自分の部屋内のネットワーク ・ケーブル:つなぎが緩んでる、不良ケーブル ・HUB:故障、電源 OFF、異常状態(リセットで復旧)、 e t c 3 .部局 LAN(自分の建物内のネットワーク) ・ケーブル:つなぎが緩んでる、不良ケープル t c ・HUB,スイッチング HUB:故障、電源 OFF、異ー常状態(リセットで復旧)、 e 4 .基幹 LAN(上記以外のネットワーク) t c ・ケーブル、各種機器のハード、ソフト、 e 5 .ネームサーバ t c ・ハード、 OS、基本通信、サーバ機能自身、 e 6 .電子メール読出し (POP)サーバ ・ハード、 OS、基本通信、ユーザ管理機能、サーバ機能自身、 e t c 一般には、このような原因の可能性を 1つ 1つ切り分けていく必要があり、そのためには、専門的 知識(ノウハウ)とネットワークの状況を調べるツールが必要です。また、センターからリモートで 調べればわかるというものでもなく、パソコン側の環境でのテストや情報が必要です。 さらに、ネットワークの形態/運用の詳細は日々変わっていくので、トラブルを切り分ける手順の 詳細な部分もそれに伴って変化していきます。 そして、原因が上の 1~3 の大項目(自分のパソコン、自分の部屋内のネットワーク、部局 LAN) の 場合、原則的には自分でなんとか解決するしかありません。 逆に 4~6 の原因の場合、至急センターに連絡して、センター側が解決するしかありません。 3 ネットワークトラブル自動診断システム 前章で見たように、ネットワーク利用時のトラブルの原因を切り分けること簡単ではありません。 そこで、ネットワーク(サービス)の状態を自動的に診断するためのツール(診断エージェント)をサー バ側に置き、トラブルが発生した時に、その診断エージ、エントをパソコン側にダウンロードして実行 させ、診断エージェントとサーバ側が連携して、トラブルの原因切り分け/解決を図ろうというのが、 この“ネットワークトラブル自動診断システム"です。 これは、利用者が普通の wwwブラウザ↑5 で、特定の“診断ページ"にアクセスすると、以下の ようなことが行われるものです。 ・サーバ側が正常に動いていることを確認する。 →サーバ側の障害が利用者側の問題かを切り分ける。 t sただし、 Javaa p p l e tを実行する機能を持っていることが必要です。 Netscapeや IEなどは皆この機能を持っています。 -1 2 1- -利用者側に原因がある場合、適切なアドバイスや何らかの復旧手段を提供する。 →利用者自力での解決。もちろん、すべての利用者がその表示をみれば自分で解決できる(ある いは解決できるほど具体的な切り分けができる)とは思えない。そういう人は近くの詳しい人に 助けを求めるだろう。しかし、助けを求められた人に取っては、最初からある程度切り分けられ ていることは重要である。 ・サーバ側の障害の場合、利用者およびサーバ管理者に通知する。さらに、可能なものは自動復旧 する。 →障害管理、早期解決。利用者は無駄な試行錯誤をする必要がなくなる。 現状では、ここでいう“サーバ"はアプリケーションレベルのサーバを想定しており、ルータなど のネットワーク機器は入っていません↑6 O つまり、“アプリケーシヨン層のトラブル診断"をメイン に考えているので、 ・ネットワーク自体の障害 ・利用者(パソコン)側の基本通信機能の障害 等の場合、「診断ページが開けない」のでそれ以上先にほ進みませんが、少なくとも 診断ページが開けない場合は、基本的通信自体がおかしくなっており、可能性として、上の 2点にほぼ絞られる ことは重要です。また、そういう切り分けをするためには、診断ページ(診断サーバ)には高い信頼性 が要求されます。 なお、現時点の試行版では、以下の 2種類のみ用意されています。 ) 1.基本診断ページ(図 1 • p i n gによる込み具合い(応答時間)や t r a c e r o u t eによる経路の妥当性診断。これはクライ アントアドレス(サブネット)毎に、適正値の表を保持しており、それとの比較でチェック 0 ・時五J I(時計)の診断。基本診断サーバのマシンは NTPを用いて高い精度で時刻を維持して おり、それと診断エージェントがクライアントマシン上で取得した時刻を比較。 I P ・ネームサーバ参照の診断。診断エージェントがクライアントマシン上であるドメイン名 / アドレス変換を試み、それがうまくいかなかった場合、基本診断サーバに連絡し、基本診 断サーバ側で、同じドメイン名 / I Pアドレス変換を(クライアントマシンが参照している可 能性のあるすべてのネームサーバにおいて)実施する。 ・次のメールサービス診断ページのリンク (URL)の提示。 2 .電子メールサービス診断ページ(図 2 ) ・メールサーバ名 ( F Q D N )のネームサーバ参照の診断 診断エージェントからヲ│けるか、診断サーバからヲ│けるかを確認 0 ・SMTPサーバの診断 診断エージェントがメールサーバへ SMTPコネクションを張り、 HELO等を行って正常性 を確認。 • POPサーバの診断 ( C h e c k ) 診断エージェントが POPサーバへ POPコネクションを張り、 USER ,PASS,STAT等を 行って正常性を確認。 ↑ 6 将来的にはルータなどにも診断ページを置けるようになると予想しています。 -1 2 2- -異常メール受信トラブルの復旧 ( D e l e t e, D e l e t e A l l ) メールを読む時に、メールの中身が原因でメーラ(メールを読むソフト)やパソコン全体が ハングする場合がある↑ 7 ので、その応急処置としてのトラブルメールの削除。 ・異常終了後のロックアウトの復旧 ( R e c o v e r ) メールを読んでる途中でパソコンをリセットしたりすると、セションが残り、だいぶ時聞が 経ってタイムアウトで消えるまでは、再度メールを読みにいくことができないので、その 場合の POPセションの強制終了 。 1"FU. [ < 1 , 争制p V加., Q同 . 8・ 蝿 - 情 。p 出 情 。嗣民拘f ' I W1n申噌 主l j 当 金j五j主j 三j 皇j 皇j 主j 豆j U 個 師 側d ;'t句 :11133.45.25.出 Ino 回 M 咋 l.aHI -...~rWt....盟主回目~l~惣~Peot>I俗世到 M a l lSer v i 回 H 軸 l t h C h e c k NeW o r kSe問i c eH e a l t bC h e c k 学科.."町~Uli"l_とで鐘供書札晶ネヲ 1トフ-!lサ四ピス時鎗新町た臨時ぺ叩グで抗践し 〈段、三三世湖町字書は 議 lD 時間制"""世叩略本一ム哲」必鰻陣。曲《正鱗でわ・2 M 抽 出 融 制 附 シ ン 嚇b ,1)時欄柵 d蹴ゆ略本『ムサーバ量動曲哨,iE'唱でか 3 含 制 押 融 制 -J明治色叫正常です四 3P oPct置 防 相 咽 財 吋 峨bだしー古田日鵬捻む→ 告別1et _~~b Z2"忽.50'.町。叫T "l9-曲四時 Y叫 ;Smf;晶君排却胡JS'l'1 鍔1 8 。償制?岡低調障でわ叫 昧廿醐唱応害時制白7(,岡 曲掛糟伊叫lElIfでわ喝 4 . 1<0蜘油田嶋勘:1 3 3 ..46剛一M盟..o.s却盟) > 1 担45.,削 S Good剛. u c D t . t J トトで嘗31 1 伊 ・ 眠 、n・ N "ch叫 ; V . 副 lyPOPS 智噂殴鉱..,...鉱事Z 富強制4 v l ミ・潟明芳 ・ 相 0""皿 POPI e ・s 誕m ・ v!)o掬鈴'0...僧加。凶咽 m 1副 憎 柑 噌 VD ・ 惚 色e A . 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( b ) 自分のメールアドレスの設定は正しいか? 5 .ボタンで Q u i tを選択すると、この「電子メールサービス診断jが終わります。 以上、ネットワーク利用時のトラブルの切り分け/解決のための、“ネットワークトラブル診断ぺー ジ(診断システム)"を簡単に説明しました。具体的手順は、今後のこのページの拡充や対象ネットワー クサービス自体の変更によって変わっていきますが、とにかくこのページにアクセスすればマニュア ルなしで使える、となるようにしていくつもりです。この診断システムが、学内のネットワーク利用 の発展の助けになれば幸いです。 ↑ 9 ソフトをパージョンアップする、別の種類のメーラに乗り換える等。 E4 噌 4 円 に u