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村上先生講義資料
依存症フォーラム 2016年11月6日 依存症の本質と回復のヒント ーひとは何故、依存するのかー 独立行政法人国立病院機構 榊原病院 院長 村上優 (1)アルコール依存症やアルコール依存症者 に対するイメージ (複数回答可) 内閣府調査2016 • 酒に酔って暴言を吐き,暴力を振るう 51.7% • 昼間から仕事にも行かず,酒を飲んでいる 51.4% • 本人の意志が弱いだけであり,性格的な問題である 43.7% • 飲酒にまつわる嘘をつく 7.6% • お酒に強い人は,アルコール依存症にはなりにくい 7.2% アルコール依存症について知っているもの • 飲酒をコントロールすることができない精神疾患である • 飲酒をしていれば,誰もが依存症になる可能性がある 68.5% 40.1% • アルコール依存症はゆっくり進行していくため,飲酒をしていても, 依存が作られている途中では自分では気付かない 39.8% • 断酒を続けることにより,依存症から回復する 32.2% • 女性の方が短期間で発症する傾向がある 19.7% • 一度依存症になると治らない 5.9% • お酒に強い人ほどなりやすい 9.8% 相談できる場所として知っているもの 複 数回答可 • 医療機関(病院や診療所など) 76.2% • 公的機関(精神保健福祉センターや保健所な ど) 33.9% • 自助グループ(断酒会など) 18.2% • 自助グループ以外のN P O などの民間団体 9.4% 家族にアルコール依存症が疑わる場合,相談 窓口を知っていれば相談しますか 複数回答可 • する 88.1% • しない 11.7% (212 人) 以下はその理由 ・相談する必要を感じないから 28.8% ・どのような対応をしてもらえるか不安だから 19.8% ・特にない 10.4% ・わからない 19.3% ・アルコール依存症の相談をすることが恥ずかしい 11.8% ・アルコール依存症と認めたくないから 9.4% ・相談に行く時間がない 8.5% 依存症の視点 • • • • • 習慣の病という視点=アディクション(嗜癖行動) 衝動性の病という視点 精神依存=快刺激(大脳の報酬系) 身体依存=慣れ(薬物耐性)と自律神経異常 家族病理の視点 病気としての視点 依存症のあれこれ • アルコール依存 • 薬物依存 • 衝動制御の障害 病的ギャンブル インターネット依存 過食 リストカット 虐待 依存症のあれこれ • アルコール依存 • 薬物依存 • 衝動制御の障害 病的ギャンブル インターネット依存 過食 リストカット 虐待 アルコール依存症 におけるうつ病合併率 アルコール依存症における 精神科合併症の男女比較 男性 女性 P 反社会性人格障害 0.8% 2.2% 0.1528 情緒不安定性人格障害 2.1% 11.8% < 0.0001 他の薬物乱用/依存 8.3% 19.8% 0.0003 統合失調症 1.3% 2.2% 0.3897 気分障害 8.1% 16.2% 0.003 うつ状態 (入院前 30 日) 11.2% 17.7% 0.034 うつ状態 (生涯) 16.3% 30.2% 0.0001 強い不安 (入院前 30 日) 16.5% 30.9% < 0.0001 希死念慮(生涯) 14.6% 25.7% 0.0014 自殺企図 (生涯) 7.8% 12.5% 0.0731 うつ病における アルコール依存症の合併率 うつ病・不安障害における アルコール依存の合併率 アルコール依存の合併率 (%) 大うつ病 気分変調性障害 躁病 軽躁病 パニック障害(広場恐怖を伴う) パニック障害(広場恐怖を伴わない) 16.40 13.54 23.79 24.04 18.81 特定の恐怖症 15.29 13.05 12.34 全般性不安障害 14.82 社会恐怖 Grand BF, et al., Alcohol Research & Health, 2006 物質依存 依存性薬物の分類 依存性薬物の類型 モルヒネ型 (ヘロイン,コデイン) アルコール・バルビツール型 (アルコール,睡眠薬) 精神依存 耐性 ●●● ●●● ●●● ●● ●● コカイン型 (コカイン) ●●● アンフェタミン型 (覚せい剤,スピード,S) ●●● ●●● 大麻型 (マリファナ,チョコ,ハシシ) 身体依 存 ●● ●●● 近年の薬物依存 • 法的規制を超えての行動⇒思春期心性、非社会性傾 向、新奇性の希求などアルコール依存よりは若年層 • 近年は中年層への侵入が著しい 清原効果 • 法規制の変化で危険ドラックは激減している • DARC NAの発展 • アパリasia pacific addiction rehabilitation instituteの保 釈プログラム • 保護観察所に於ける介入(尿検査) • 刑の一部執行猶予制度 • SMARRPなどMATRIXモデルや認知行動療法と心理教 育の併合などの治療介入 ギャンブル依存 ギャンブル障害 gambling disorder 苦痛を引き起こす持続的かつ反復性の問題賭博行為 で 過去12ヶ月で4項目以上 1.掛け金を増やして賭博をする欲求 2.賭博を中断、中止をすると落ち着かなくなる、いらいらする 3.賭博を制限する,減らす,中止する努力が繰り返し成功しない 4.賭博に心を奪われる(絶えず賭博のことを考える) 5.苦痛気分(無力感、罪責感、不安など)のときに賭博をする 6.賭博ですった金を取り戻すために深追いする 7.賭博にのめり込みを隠すために嘘をつく 8.賭博のために重要な人間関係、仕事、教育、仕事上の機会 を危険にさらすか失う。 9.賭博のために借金を繰り返す パチンコの特殊な位置 • 法律的にパチンコは遊戯との位置づけ • 身近な生活圏にパチンコ店がある • アメリカの有病率は0.2~0.6%、日本の調査 では10%をこえる「依存がある」というデータ • 「自閉的な環境」での依存行動=発達障害の 併存率の高さ • GA 自助グループ • RSN電話相談事業や回復者施設(ワンデイ ポートサービス)などの独自 一般病院の調査より 有害な飲酒とアルコール依存(男女全体) 21% 有害な飲酒 10点台 4.5% アルコール依存 75% 20点以上 10点未満 N=421 10点未満 10点台 20点以上 男女別 男性 N=200 女性 5% 34% 61% 20点以上 10点台 9% 10点以下 4% 87% 10点台 20点以上 N=221 10点以下 10点未満 10点以上 20点以上 飲酒者のピラミッド Types of Drinkers AUDIT Scores 20+ 8-19 1-7 0 アルコール依存 5% 20% 35% 40% 有害な使用=危険な飲酒 リスクの少ない飲酒 飲酒をしない アルコール依存の診断 ICD-10の依存症候群診断基準 ー6項目中3項目ー 1.飲酒・薬物摂取したいという強烈な欲求、強迫感(渇望) 2.節酒ないしは薬物制限の不能(抑制喪失) 3.離脱症状 4.耐性の増大 5.飲酒や薬物使用や、それからの回復に1日の大部分の 時間を消費してしまう(飲酒・薬物中心の生活) 飲酒や薬物使用以外の娯楽を無視(飲酒・薬物中心の 生活) 6.精神的身体的問題が悪化しているにもかかわらず、断 酒ないしは薬物中止しない(負の強化への抵抗) 10/55 アルコール離脱症候群 Victor 1973 大離脱 (振戦せん妄) 小離脱 振戦 軽い発汗 一過性幻覚 けいれん発作 軽い見当識障害 0 20 振戦 著しい発汗 精神運動興奮 幻覚 著しい見当識障害 40 60 80 100 120 断酒後時間 回復支援の社会資源 • • • • • • • • • 困ったひとがまずは相談 必ず困った事態が起こります マイナス体験をプラス体験へ 無力と言うこと ご静聴ありがとう 相談機関 ございました 共生=自助ということ 治療の視点=専門医療機関 福祉の視点=回復者施設 市民の視点=復権をめざして