...

レジュメ - 富山大学

by user

on
Category: Documents
13

views

Report

Comments

Transcript

レジュメ - 富山大学
e‐Learningとは
  パソコンやコンピュータネットワークなど
を利用して教育を行なうこと。
e‐Learningの評価
  遠隔地にも教育を提供できる
  PCならではの教材が利用できる
教育工学的な観点から教材の評価を論じる 人間発達科学部 小川 亮
教育工学とは
  教育工学は教育改善のための理論、
方法、環境設定に関する研究開発を
行い、実践に貢献する学際的な研究
分野であり、教育の効果あるいは効
率を高めるためのさまざまな工夫を
具体的に実現し、成果を上げる技術
を、開発し、体系化する学である。
教育工学分野における教材評価
 実践的評価  事前事後テストによる評価  質問紙調査による評価  自己評価(前後)による評価
  実物に触れる体験が重要となるような学習
はeラーニングには向かない。
独学用教材の設計 鈴木克明 2002 教材設計マニュアル 北大路書房   学習目標の決定(明確化)   前提テスト   事前/事後テスト   課題の領域(言語,知的技能,運動,態度)   課題分析(分類、階層化、手順、態度)   評価(形成的評価と総括的評価)   PDCAサイクルによる教材の改善
実践的研究
 3つのタイプ  直感や実感に基づく評価  準実験的な量的研究  客観性を重視した質的研究
事前事後の成績の比較
 事前と事後に同じテストを行う  成績の変化によって教材の学習
効果を確認する  必要に応じて統制群を設けて、
変化を比較する
質問紙調査による評価
 教員に配布したリーフレット
の評価  情報モラル教材の評価  Web教材を利用した研修の
評価
自己評価による教材評価
 学習者が、学習の事前と事後に自
己評価尺度に回答する。  学習後に、自らの学習に対する自
己評価アンケートに回答する
モジュール型コア教材
 センター協議会が教育GPの支援を
受けて開発した教材(教育臨床編・
教育実践編・ICT活用編)  様々な場面で利用できる、短い映
像教材を作成し、その資料を解説
するWebを用意することで、研修用
の教材として利用できるようにした  h6p://jccerd.u‐gakugei.ac.jp/ 事例1 モジュール型教材 (ICT活用編)の評価
目的
 ICT活用編のモジュール教材を利用し
た授業や講演会・研修会を実施して、
教材の効果を評価する  指導者側の調査を行い、教材として
の改善点などを検討する  現在の教材では不十分な点を、調査
結果から検討する
方法
教材1 学校でのICT活用の場面を教材化する
  センター協議会の情報教育・教育工学
研究部会のメンバーに、モジュール教
材(ICT編)を利用した授業を依頼し、
使用した時に学習者用アンケートを実
施してもらう。   授業者の立場から、モジュール教材を
評価する教授者用アンケートに記入し
てもらう
教材1‐2 教材2‐2 教材2‐1 教員のICT活用指導力を育成する
教材2‐3 教材2‐4 教材の例
評価者
  教授者として評価  8大学の9名の教員が評価に参加した   学習者として評価  3大学107名の学部生と2大学26名の大
学院生が評価シートによる評価を行った  2大学105名の学部生と1大学23名の大学
院生が授業レポートの形で評価を行った
評価項目(学習者用)
評価項目(教授者用)
•  講義に関する質問(区分、名称、受講
生..etc.)
•  モジュール名
•  教育目標・活用場面・活用方法(流れ)
•  観点別評価(目標達成・使い勝手・分かり
やすさ・臨場感・興味関心・利用意欲)
•  改善点
授業実践の内容(流れ)
  授業(区分、授業名、所属、対象学年、受講
者数)   パターン1:授業中に解説して、学習者が選ん
だ教材を課題として視聴する   モジュール(臨床/ICT/実践, タイトル)   パターン2:教材を割り当て、院生が授業中に
発表   講義(テーマ、活用場面)   観点別評価(楽しさ、魅力、目標達成、分かり
やすさ、臨場感、興味関心)   改善点
  パターン3:授業中に教材を一斉に視聴   パターン4:ICT活用教育の解説教材の中でコ
ア教材を利用し、その効果を検討
結果(学習者の評価)
結果(教授者の評価)
評価項目
平均
標準偏差
内容
T-1
4.2
0.93
研修のねらいが達成できた
T-2
3.8
0.80
研修スムーズに展開できた
T-3
4.5
0.88
学習内容分りやすくできた
T-4
4.2
0.93
臨場感を高めることできた
T-5
3.9
1.04
興味・関心を喚起できた
T-6
4.3
0.95
同じような教材利用したい
結果(改善意見:教授者)
評価項目
平均
標準偏差
内容
4-1
3.4
0.85
教材で楽しく学習できた
4-2
3.5
0.90
魅力的な教材であった
4-3
2.4
0.87
つまらない教材であった
4-4
3.6
0.75
講義のねらい達成できた
4-5
3.8
0.76
わかりやすく学習できた
4-6
3.5
0.94
臨場感高めることができた
4-7
3.6
0.84
興味・関心を喚起できた
4-8
3.5
0.94
同じような教材利用したい
結果(改善意見:学習者)
  映像教材が短い(数分にまとめる)   使い勝手(パスワード、別ウインドウ) •  内容
–  現場の事例、問題場面事例、高校「情報」の事例
–  学習方法の提示(学習者の活動場面、シナリオ)
–  単調な説明は短く
–  相互性(書き込める、話し合い、クイズ等) –  アップデート
  再生が途切れる   内容(専門性を高める)   内容(学習者の視点、効果)   内容(学習教材としての充実)   双方向性、確認問題、重要概念をキャプション、   字幕、更新の必要性、学習目標の明示、ワークシ
ート
評価の5つの分類
  A教材研究、指導準備、評価にICTを活用  事例2 ICTの教育活用を推進する教材
の開発と評価
  B授業中にICT活用する   C児童生徒にICT活用を指導   D情報モラルの指導   E校務にICT活用   計18個の調査項目
教員のICT活用指導力のチェックリスト
評価項目(教員のICT活用指導力のチェックリスト)
方法
ICT活用指導力の習得
  Web教材を作成した   富山大学 共通科目「教育工学」   人文学部、経済学部、芸術文化学部   学習前に事前評価   3‐4年生(教職の必修科目)80名   Web教材を利用して学生にICT活用指
導力について解説   芸文学部の受講者は遠隔講義   WebCT(教材配布)とSNS(課題・質問)を利
用
  1週間の学習期間を設けて、事後評価
教材
  解説資料と
して使用   コア教材を
説明に利用
教材で利用したモジュール
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
• 
Aー1 ビデオカメラを利用した実践
Aー2 資料検索ノウハウ
Aー3 デジカメを活用した実践授業
Aー4 表計算ソフトによる成績集計
Bー1 英語授業にフラッシュタイマーを使用
Cー2 ワープロでわかりやすく編集しまとめる
Cー4 自己学習資料を生成するシステム
Dー2 個人情報流出の事例
D‐3 ネットで情報利用するときの注意点
Eー1 所見の記録
Eー2 学校WEBサイトによる取材・発信
結果
  E(校務)以外のすべての大項目の複数の項
目で統計的に有意な評価の上昇が見られ
た   教員をめざす学生を対象にモジュール教材
を利用した授業を行うことで、ICT活用指導
力の自己評定が高まる
考察
•  開発したコア教材は教育効果を発揮する(可能性
を持っている) •  教育効果をあげる大学における実践事例を充実
させる必要がある。教材を利用した大学の授業
案を提供することで、より使いやすいものになる
•  教材のアップデートが重要
•  学習者の学びを具体的に提示したり、説明に適切
な図表・キャプション・字幕を利用することで効果
を高めることが可能
•  利用者と教材のインターラクションを考慮する
開発した教材の特徴
 
事例3 Flashアニメーションを 利用した統計教材の評価
 
 
教材で扱う統計ソフトを、富山大学の学生
が利用できる「STAR」と「JMP」に設定した
Web教材にする事で、学習者がいつでも、ど
こでも学習出来るようにした
視覚的に説明するFlashによる説明教材を使
用した事
研究の方法
対象者は富山大学の大学院生、及び富
 
山大学で研修中の現職教員の計30名
授業者は富山大学人間発達科学部発達
 
教育学科教育心理コースの男性教員1
名と、講義補助者である男子学生1名
研究の方法(本調査)
2008年11月4週から2009年1月5週に、
富山大学人間発達科学部の2棟端末室、
及び附属人間発達科学研究実践総合セ
ンター2F教育実践研究室で実施  統計学自習教材は、全13回からなるWeb
教材の形で開発  
•  h6p://ogawas.cerp.u‐toyama.ac.jp/e‐stat/ 結果(テスト)
研究の方法(本調査)
手続き • ①講義の初回に事前テスト • ②授業者が教材をスクリーンに映しながら
説明。対象者はコンピュータで教材を使用
しながら受講 • ③講義の最終回に事後テスト • ④講義終了後にアンケート
 
基礎的な知識
を問う項目(事
前と事後のテ
ストで出題) •  ー15項目中
12項目に有意
な差  
結果(テスト)
応用的な知識を問う24項目(事後テストで
出題) ーほとんどの項目で正答率が6割以上、
及び10点満点中平均値が5点以上。 しかし、計算問題の3項目では、
10点満点中平均値が4点以下。
 
結果(アンケート、5段階評価)
教材全般に対する項目 ー7項目全ての平均値が3.5以上。  学習内容の分かりやすさ ー45項目中37項目の平均値が3.5以上。 評価の低かった8項目中5項目が、検 定に関する項目であった。
 
結果(自由記述)
•  自分1人でもSTARを使って分析出来るよ
うに作成されていたので、とても使いや
すく、分かりやすかった。
•  Flash教材があると、楽しく学ぶ事が出
来た。
ー29名中、15名が教材を好意的に評価
否定的な感想はゼロ
考察
統計学の知識に関しては、教材は一定
の学習効果がある。  テストとアンケートの結果から、3要因
の分散分析等、より応用的な統計処理
の学習は十分ではない。
 何が応用的な学習の阻害要因になっ
ているかを明らかにする必要がある。
 
今後の課題
統計ソフトの使い方を、より分かりやす
く解説する。
 計算の方法を教えるだけでなく、検定
結果を解釈出来るように改善する。  必要十分な説明を行うことで、教材をス
リム化する。  完全な自習教材として使用できるよう
に改善する。
 
教材の評価のまとめ
•  e‐Learningの教材には、学習の評価を含め
ることが重要である
•  前提テスト、事前事後テスト
•  量的な指標と質的な指標がある
•  学習者の行動や言語反応
•  学習者の成績や自己評価の変化
•  事後に教材改善に関する質問紙を加える
Fly UP