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Shariah Research Institute
拓殖大学
イスラーム研究 所
Vol.14
ニューズレター
No.1
マレーシア・JAKIM主催第7回ハラール認証団体会議報告
イスラーム研究所 科学委員会副委員長 小
ことである。つまりハラール認証をハラール産業の中に位置づけ、
林栄三
その体制を国家的に整えるということであろう。
2016 年 3 月 28 日- 29 日マレーシアの首都クアラルンプールのス
また、今年 2 月までに、JAKIMに対して 21 の海外ハラール認
ランゴール、サマサマホテルで開催されたJAKIM(マレーシア連
証団体から承認の申し込みがあったこと、2 団体をスタンダード
邦政府イスラーム開発局)主催の第 7 回ハラール認証団体会議と翌
規定の不履行などの理由で承認を取り消したことを明らかにし
30 日開催の世界ハラール協議会(World Halal Conference)2016 に
た。(注:JAKIMに承認された海外の認証団体の数は、この挨拶
出席するために拓殖大学イスラーム研究所シャリーア委員と科学委
では 52 となっているが、他のところでは55とも54ともされている)
。
員計 5 人が参加した。また同時開催のMIHAS(マレーシアハラール
国際見本市)とクアラルンプール市内食品売り場の視察を行うこと
(2)Presentation 1;Halal の新たなる局面に向かって
も出来た。以下その報告をする。
Dr. Sirajuddin
Director of Halal Hub Division
th
1.7 Halal Certification Bodies Convention
Department of Islamic Deveropment Malaysia(JAKIM)
(JAKIM主催)
講演では、①ムスリム人口の
─Halalの新たなる
世界的増加、購買力の増加、②
局面に向かって─
Halal製品の国際市場の中での
2016 年 3 月 28 日~29 日 可能性、③経済発展の中での
会場:SamaSama Hotel
Halal分野の可能性、④承認し
こ の 会 議 に は、JAKIMが 承
て い る 海 外 認 証 団 体 の 数(32
認している海外 32 か国のHalal
か国、54 団体、4Autority)
、⑤
認証団体 54 団体のうち 43 団体
各 種MS( マ レ ー シ ア ス タ ン
とHalal Authorities4 団 体 が 出
ダード)
、⑥将来の課題(医療
席した。約 300 人の出席者が会
器具・TOHIRの認証、海外認証
場を埋め盛会であった。
団体によるモニター査察)
、⑦
Malaysia Halal Council、
3 月 28 日 AM 8:00~PM 4:30
会議場風景
(1)基調挨拶:Dr. Asyraf Wajdi
⑧
Majlis Halal Malaysia、 な ど に
ついて述べられた。
Deputy Minister, The Prime Minister’
s Department
挨拶の中で注目されたことは、
「マレーシア政府は、Prime
Minister Departmentの下にHalal Malaysia Councilを設置し、ハ
(3)Presentation 2:マレーシアにおける食品産業の Halal Quality
Assurance System の評価
ラール産業に対する権限を与え、ハラール産業を強化するという
Professor Dr. Sharifudin
新しい方向を打ち出す。このCouncilはHalal Industry Management
Dean Faculty of Food Science &Nutrition,
and Development Special Cabinet Committeeに 移 行 す る。
UniversityMalaysiaSabah
JAKIMは認証、管理、シャリーアに関する問題を扱う」とした
講演では、①Halal食品製造の問題点(原料、屠畜、イスラ─
1
Shariah Research Institute
ムの基盤など)、④Malaysia Halal Assurance System、⑤Halal食
品製造と食の安全性、⑥HalalとHACCEP、GMPの関連、などに
ついて述べられた。
(4)Presentation 3:Halal 製品の分析:挑戦と利益
Professor Dr. Mohd Yazid
Director of Halal Product Reseach Institute, University
PutraMalaysia
講演 で は、 ①Halal Management System、 ②Halal Supply
Chain、③分析の必要性、⑤物質同定技術の発展、⑥Real Time
PCRを用いた分析、⑦フーリエ変換赤外線分光光度計の利用、⑧
ゼラチン中のアミノ酸分析、⑨アルコールの検出技術、⑩ハラー
ル分析の挑戦、⑪Logistics Framework Management、⑫正確で
迅速な同定技術、⑬Halal Big Dateなどについて述べられた。
(IMANOR)
Mr. Hussalmizar
Director of Strategic Division, Department of Standard
(5)Presentation 4:Department of Chemistry Malaysia:Halal
認証における役割と支援
Malaysia
Mr. Mughtarullah Sadein
Dr. Cornelia Charito Siricord
Chairman, Supreme Islamic Council Halal Meat
Head of DNA Forensic Section, Department of
Australia(SICHNA)
Chemistry Malaysia
講演では、①Department of Cemistry Malaysiaの紹介、組織
体制、②Halalの定義、③Halal認証の一般的必要条件、⑥Halal認
Mr. Saqib Mohamed
Chief Executive Officer, Halal Food Authority(HFA)
UK
証の流れ、⑦誰が何をするのか、⑧Environment Health Division
(KAS)紹介、⑨Industry and Classification Trade Tariff(IKTD)
紹介、などが述べられた。
フォーラムでは、モロッコからモロッコスタンダードの紹介、
オーストラリアから動物福祉と屠畜方法問題の報告があった。マ
レーシアからは、食品・加工食品・化粧品・機器・家庭用品・機械・
(6)Presentation 5:Halal な医療手段:新しい検査
添加剤・保管・輸送・市場などのマレーシアスタンダードの解説が
Dr. Shaikh Mohd Saifuddeen
あり、スタンダードの地域差、スタンダードの統一問題、国内認証
Senior Fellow&Director, Centre for Science and
と国際認証の差異の問題、国際協力問題について話し合われた。
Environment Studies
Institute of Islamic Understanding Malaysia
講演では、①医療産業のシナリオ、②グローバルHalal市場の
3 月 29 日 午後
工場訪問:Pharma Niga 15:40~16:10
製品区分(食品 61%、医薬品 26%、化粧品 11%、その他)、③
Halal産業のシナリオ、④Halal市場の地域別価値、⑤市場の将来
性、⑤医療産業の挑戦、⑥縫合のこと、⑦投資の好機、⑧将来性
のある市場の出現、などについて述べられた。
3 月 29 日 AM 9:00~PM 11:00
フォーラム:展望:国際的 Halal 認証団体
司会者:
Puan Hajjah Hakimah
Director of Islamic Development Division, Department
of Islamic Development Malaysia(JAKIM)
パネリスト:
Mr. AbderrahimTaibi
Coordinator, Institut Morrocain de Normalisation
2
午後からいくつかのグループに分かれ、バスでそれぞれの工場訪
問に向かった。我々の訪問先は、クアラルンプール郊外のPuchong
にある製薬会社Pharma Niagaであった。会社側は会議室いっぱい、
Shariah Research Institute
円卓に食事を用意して歓迎してくれたが、我々の到着が大幅に遅れ
2.World Halal Conference(WHC)2016
たため、スライドによる会社案内といくつかの質疑応答だけで、約
─経済および社会的変革の最前線におけるHalal─
30 分で退席した。
DHC(The Halal Industry Development Corporation)組織
この会社は、世界のトップクラスの設備と、ヨーロッパ水準の品
2016 年 3 月 30 日~31 日
質を誇る製薬会社で、抗コリン作用剤、ビタミン剤、抗心臓血管剤、
知覚運動麻痺剤、鎮痛剤、抗低カリウム血症剤、PH調整剤、賦形
剤等のジェリアトリック薬剤を製造しているようだ。マレーシアの
化学工場の質の高さを垣間見た。
3 月 29 日 20:00~22:30
歓迎夕食会(Welcoming Dinner)Concorde Hotel
Yang Berhormat Dato’Dr. Ahmad Yunus 招待
Member of Selangor Executive Council
3 月 30 日 AM 9:30~12:30
歓迎挨拶
The Hon, T un Abdullah Haji Ahmad Badawi
Patron. World Halal Conference, Malaysia
Former Prime Minister of Malaysia
(1)大臣のパネル:グローバル Halal 経済の展望
The Hon, Dato’
Sri Mustapa Mohamed
Minister of international Trade and Industry, Malaysia
民族音楽演奏をバックに、多数の来賓、300 名近くの招待客で円
卓は埋まり、盛大なWelcoming Dinnerが開催された。
冒頭、Yang Berhormat Major General Dato’
Sen Jamil Khir
(Minister in The Prime Minister’
s Department)より歓迎の挨拶が
あった。その中で、7th Halal Certification Bodies Convention
(JAKIM)には、JAKIMが承認した 54(55 ?)の海外ハラール認
H. E. Mr. Darmin Nasution
Coordinating Minister for Economic Affairs, Indonesia
H. E. Mr. Dossaev Erbolat Askarbekovich
Minister of National Economy, Kazakhstan
司会者:Dr. Mohd Munir Abdul Majid
Co-Chair of ASEAN Business Advisory
証団体のうち 43 団体及び 4Halal Authoritiesが出席したことを報告
Council Chairman of ASEAN Business Advisory Council
した。
Malaysia
また、この機会にHalal Assurance Management Systemの重要
性を紹介できたこと、これは「トレサビリティー、責任、義務」に
パネルの基調:
通じており、ハラール認証を受ける企業はこのシステムを組織する
2016 年のグローバル経済の展望は、世界各地の穏やかな経経済
義務があるとした。また、“Halalan Toyyiban”の徹底的追求の意
成長を予測している。ムスリム人口は 18 億であり、今も増加中だ。
義を強調した。
Halalの経済価値は 2.3 兆米ドル。この数字にはIslamic Bankingと
他のHalal要素も含まれているが、Halal食品だけでも 7000 億米ドル
を占めている。
3
Shariah Research Institute
Halal経済における貿易及び投資によって、新しい市場へ進出す
Head of Trade and Investment Division, Department of
るアクセスを得ることができるプラットフォームが提供されてい
Economi Affairs, General Secretariat of the OIC
る。消費者に競争力のある価格で豊富な商品を提供する機会も与え
Mr. Isham Ishak
られるが、Halal経済において国家間の競争激化も引き起こされる。
Deputy Secretary General(Tradel), Ministry of
イスラームと共にHalal経済の成長が着実に進むにつれて、Halal
International Trade and Industry, Malaysia
産業国家の市場へ投資家を引きつけるような戦略的投資の動機が生
Dr. Mehmet Karabay
まれた。
Director General of ProductSafety and Inspection,
イスラームの投資は完全に違う倫理的基盤をベースにしている
Ministry of Economy, Turkey
が、イスラームは社会、倫理、環境問題についての大きな関心を共
Madam Frida Adiati
有している。
Director of Standard, National Standardization Agency,
Halal経済の推進において、Innovationは重要な役割を果たしてお
Indonesia
り、正しい戦略を用いれば、これらの国はIslamic Innovatorsにも
司会者:Mr. Rushdi Siddiqui
主導権を与えることができるはずだ。
Co-Founder & Chief Executive Officer Zilzar Tech, USA
2016 年のグローバル経済の展望は明るくないが、グローバル
Halal経済はそれによって影響されるだろうか。どのようにHalal経
パネルの基調:
済を探求すれば、国家間の繋がりを深めることができるか。どうす
イスラームの拡大は、特にアフリカ及びアジアにおいては、貿易
ればHalal Innovationは主流のマーケットによるチャレンジに打ち
に負うところが多かった。貿易は数世紀に渡って発展してきたが、
勝つことができるか。
自由な貿易の流れは貿易バリアによってコントロールされる。それ
は、現地の中小企業(SMEs)を大手多国籍企業の影響を受けない
3 月 30 日 PM 14:00~18:00
(2)大使のパネル:経済及び社会面における戦略的展望
H. E. Mr. Samkelisiwe Isabel Mhlanga
High Commissioner of South African
Mr. Antonius Mandemaker
Acting Ambassador of The Netherland Embassy
H. E. Mr. Luc Vandebon
Ambassador & Head of Delegation of EU
司会者:Mr. Rushdi Siddiqui
Co-Founder & Chief Executive Officer Zilzar Tech, USA
よう保護するためにある。
Halal経済の発展に拍車をかけるための一つの方法は、同じよう
な考えを持つビジネスと戦略的協力を作り出すことだ。免税、輸入
割り当て、輸入規制によって、全体的に富をもたらすHalal経済を
作ることがでる。Global Islamic Economy Report 2014 - 2015 によ
れば、2019 年までに、Halal経済は 3.7 兆米ドル規模に達する見込み
だ。
Halal産業の株主の主要な仕事は、Halalエコシステムの中で国境
を越えた産業パートナシップを築き、連携を促進することである。
このことはHalal認証ビジネスの合併と買収も起こる可能性を含ん
でいる。潜在的主導権の奥行と適用範囲、また合併と買収は、専ら
パネルの基調:
過去 10 年、Halal経済は著しく成長した。力強いHalal消費者のお
利益を求めることではなく、お互いの現地コミュニティーを発展さ
せるためでなければならない。
かげで、Halal経済は市場の隙間(niche market:従来の製品・サー
ビスでは満たされなかった潜在需要に対応する小さいが収益可能性
の高い一分野)を作り上げた。これらのHalal消費者は社会及び文
化境界を越え、Halalにいろいろな影響を及ぼしている。
Halalは現代の地理及び文化的差異を乗り越えられるだろうか。
国の経済及び社会面にも影響を与えているだろうか。ポジティブな
影響か、それともネガティブな影響か。どの分野がHalal経済を推
進してくれるか。理想的なHalalのエコシステムはどういうものか。
(4)イスラーム経済のグローバリゼーション:産業の展望
Datuk Dr. Mohd Daud Bakar
Chairman, Shariah Advisory Council of Bank Negara
Malaysia
Dato’
Wan Mohd Fadzmi Wan Othman
President & CEO Agrobank, Malaysia
Mr. Mohammad Jamal Alsaati
Halal産業はこれからもHalal経済の成長に努力し続けるに違いな
Director, Islamic Development Bank, KINGDOM OF
い。そしてより良い世界の形成に重要な役割を果たしていくことだ
SAUDI ARABIA
ろう。
Dr. Ali Adnan Ibrahim
First Vice President, Al Baraka Banking Group, USA
(3)戦略的な提携による貿易の円滑化と経済発展
Mr, Naghi Jabbarov
4
Mr. Ibrahim
Director Program and Communication, CCM Berhad,
Shariah Research Institute
Malaysia
司会者:Dr. Tabassum Khan
President, Stratgurus Dubai, UAE
MITI)が主催し、マレーシア貿易開発公社(MATRADE)によっ
て組織される。
今年は、3 月 30 日から 4 月 2 日まで、クアラルンプ─ルのKLCC
コンベンションセンターで開催され、29 カ国から 528 企業出展申し
パネルの基調:イスラーム経済のグローバリゼーション:産業の展望
Islamic FinancialサービスはHalal産業にとってより一層重要な役
割を持つだろう。
込みがあり、67 カ国から 2 万 5 千人が訪れると期待されていた。
広い会場いっぱいに世界各国のハラール製品・サービスのブース
が並ぶ中で、Japan Pavilionも設置されている。そこには、マレー
しかし、Islamic Financialのマネージメントは厳しい局面にも遭
シア及び日本国内のハラール認証を得た日通をはじめ、日本国内認
遇する。それは現地の中小企業(SME’
s)ビジネスと多国籍企業
証機関が認証したバター・チーズ(よつ葉、マリンフード)
、クロ
(MNC’
s)
の間のFinancialギャップに存在する。Islamic Financialサー
レラ、味噌(ひかり)・醤油(伊賀、正田)、天ぷら粉(西尾)、な
ビスはIslamic Insurance、Takaful、をSME’
sやMNC’
sに供給するこ
どのハラール製品が展示されていた。JMAの認証品としては有機
とを考慮するかも知れない。
合成薬品(アミノ酸)が出展していた。認証品ではないが、ブタな
Islamic Financialサービスは製品貿易を推進することに利用でき
るより多くのファンドを作り出し、Halal産業の成長を刺激するだ
ど動物DNAの簡易検出キッド(GeneFieds-Meat:クラボウ)の出
展もあり興味深かった。
JapanPavilionの外でも、JMAの認証しているお茶(ハラダ)や、
ろう。
マレーシアで認証を取得している和食店(Fuji Yama Cuisine)
、ま
th
3.13 Edition MIHAS ─The Global Halal Market
Place─
MATRADE(The Malaysia External Trade Development
だ認証がないが合成樹脂のホース類(TOYOX’
)など日本企業のブー
スもみられた。
食品・化粧品以外では、マレーシアの認証を受けた韓国製の炊飯
Corporation)組織
器や、まだ認証はないがプラスチック・パレット、プラスチック整
3 月 30 日~4 月 2 日
理籠類などの工業製品の展示も増えていた。
会場:KLConvention Centre
その他目立ったことは、ここでも中国パワーだった。会場の一角
には中国各省のブースが立ち並び、銀川からの出展もみられた。ま
MIHAS(Malaysia International Halal Show cace)は、クアラル
た、韓国、台湾のブースも着実に増えている印象をもった。
ンプールで毎年 3 月末に開催されるHalal製品・サービスを中心とし
た年次国際見本市で、マレーシア通商産業省(国際貿易工業省:
《 国際見本市会場風景 》
5
Shariah Research Institute
4.クアラルンプール市内食品売り場視察
中国、インドを主とする多民族食文化をミックスしたものだが、こ
まず、スリアKLCC内の伊勢丹スーパーマーケットを視察した。
こでは基本的にハラール食を提供しているためか、特にハラール表
棚にはJAKIM認症マークが付いた食料品の数が年々増加している
示は見られなかったが、地元のムスリム客は安心して食しているよ
が、認証品と非認証品が厳密に分けられているわけではない。例え
うだった。
ば、飲料水では認証がある国内品と認証がないエビアンが並んでい
食事後、パピリオン内にある東京ストリートを視察した。ここは
るし、また醤油も認証がある中国製品と認証がないキッコーマン醤
日本製品・日本食品が売られているコーナーで、ハラール食品に限
油が並んでいる。これらはレジも一緒であった。
定しているわけではない。そのため、レストランには、ムスリム客
厳格に分別販売されているものは、豚製品と、ビールを除くアル
コール飲料であり、豚製品とアルコール飲料にはNON HALALの表
に注意を促す「NON HALAL」の表示が目立っていた。主として裕
福な中国系の顧客を対称としているようだ。
示があり、レジも別に専用レジがある。ビールの取り扱いは店に
その後、郊外のイオンの食品売り場を視察した。イオンにある食
よって違うようで、伊勢丹は一般商品と同じ取り扱いがなされ、レ
料品はほとんど、JAKIMの認認証マークが付いていた。食品にハ
ジも一般商品と同じであったが、近接するCold Strageスーパーで
ラール認証を取ることは今日では常識となってきたようだ。
はビールもその他のアルコール飲料と一緒に分別管理されて、レジ
も豚製品・アルコール飲料専用レジになっていた。
その他、食品に関して興味を感じたことは、日本では豚まん・餡
まんとなるだろう饅頭がチキンまん・チョコレートまんとなってい
その後、クアラルンプール随一の繁華街と言われるブッキ・ビン
タンのフードコートを視察した。マレーシアの食文化は、マレー、
たことや、ハム・ソーセージがターキーストリップ、ビーフストリッ
プ、チキンソーセージになっていたことなどがある。
《 クアラルンプール市内食品売り場風景 》
第7回ハラール認証団体会議基調講演から
拓殖大学イスラーム研究所客員教授 シャリーア専門委員会委員 有
見次郎
参列賜われましたのは、ひとえに全能のアッラーの慈悲と祝福が
あってこそ可能となったことを感謝すると共に、ご参列賜りました
2016 年 3 月 28 日- 29 日マレーシアの首都クアラルンプールのス
ランゴール、サマサマホテルで上記の会議が開催された。会議の冒
そして本日、主催者としてまたマレーシア政府に成り代わりまし
頭に基調講演が首相府次官の歓迎挨拶から以下のように始まった。
て、この掛け替えのない機会をえられたことは、まことに喜びに堪
「はじめに、第 7 回ハラール認証団体会議を開催し、皆様方の御
6
皆様方に、衷心より厚く御礼申し上げます。
えない次第です。
Shariah Research Institute
そして、私は、海外のハラール認証団体から派遣された方々や、
立つ製品製造に希望を与えることでしょう。
この会議に参加された方々を温かく広く迎え入れる機会となること
このようにムスリム共同体は、この活動からハラール食品と商品
を願っております。そして私は、この会議に参加及び派遣された
の需要が高まり成長し、世界的に拡大することでしょう。しかしな
方々の目的が達成されますよう全能のアッラーに祈ります。
がら、そこにはイスラーム諸国同様に非イスラーム諸国のムスリム
皆様。
私は、マレーシアに関心を持たれ、訪れる機会を得られた凡ての
参加者を招き入れ、皆様のご家族ご友人が、再び私たちを訪問して
くれることを願っております。
私たちが、2016 年第 7 回ハラール認証団体会議を開催しましたの
共同体の組織からも協力を得なければならない要求があるのです。
皆様。
マレーシアは、首相府の権限の下、マレーシアハラール会議を創
設し、国内におけるハラール工業に自由裁量権を与え強化を図る新
たな次元の取組をして参りました。
は、マレーシア政府と凡ての参加者との同胞愛に基づき、経験や意
マレーシアハラール会議は、ハラール工業運営に焦点を合わせ特
見交換を通して、食品の安全強化のシステムと高品質な安全食品の
別議会委員会を設置しています。認証、行政、シャリーアに関して
生産を支持するためであります。
は、JAKIMの下になるでしょう。
皆様。
さまざまな工業におけるハラール団体は、最大の効果を確実にす
もとより、食品の生産は、広範囲に他国からの原材料を取り入れ
るため国によりハラール商品の製造をこの会議の下に集約されてい
生産するものであります。それらの原料素材は、尊敬と信頼できる
ます。このようにマレーシアは、ハラール製品製造の前線に立って
外国のハラール認証団体の役務のチェックに基づいたものが求めら
いるのです。
れております。
ハラール会議は、首相府の権限の下、マレーシアハラール製品製
思い起こせば、認証団体の設立は、少数派(マイノリティ)ムス
造の到達点を決定しているのです。この点において、JAKIMが認
リム共同体がハラール食品と消費者のための商品を、人びとが生き
める外国のハラール認証団体が成功するためのイニシアチブを創出
延びるために必要とされる需要性への配慮が発端となりました。
する機会をもたらすことを、私は歓迎いたします。
これらの需要はマイノリティムスリムの事態改善のため、惜しみ
のない努力と主体的精神をもってムスリムのために食品を製造し、
消費することに取り組めることを担うのであります。
昨今のハラール市場は高まりを見せ、その主たる要望を満たすた
めハラール認証団体と様々な組織が協力して製造するハラール食品
と商品が増加しております。
皆様。
現在のところ、JAKIMは、海外の 52 の認証団体を認め、イスラー
ム諸国とりわけOIC諸国のハラール認証の権威を受け入れることに
同意しています。
2016 年 2 月JAKIMには認証されている海外の 21 のハラール認証
団体から申請書を受け取っています。しかし不幸にも、JAKIMは 2
皆様。
つの認証機関を海外のハラール認証団体の規定基準と指針、さらに
私たちの存在意義は、任務の継続と組織を合理化し、ハラールと
正式な手段に対して規則不履行のため削除しています。したがって
して求められることに確実に向かい合い、正しく任務を履行するこ
私は海外で認められている凡てのハラール認証団体にその重要性を
とであります。誠に、計画実行の目標は、生活の道としてのシャリー
優先させ、ハラールの求めるものに注意を促すことを呼び掛ける機
ア(イスラーム法)とイスラームを達成することであります。
会を得たことをうれしく思います。いかなる安全な食品、衛生的な
皆様。
システムであろうとも合法にして良いもの(ハラーラン・タイイバ
JAKIM(マレーシア連邦政府イスラーム開発局)は、国内にお
ン)
をモットーに包括的に達成する取り組みを手助けするでしょう。
けるハラール認証を遂行するマレーシア政府を代表する確かな権威
皆様
であります。それと同時に連邦政府宗教局でもあります。またこの
ハラール認証の責任は、内容の完全保護、公平性、内密にそして
会議が、存在感を増しているハラール認証に関連する様々な問題を
高度な配慮を尺度とし、顧客とパートナーがムスリムであれ非ムス
より効果的に協議できることでしょう。
リムであれ、納得させるのと同様にハラール認証者が、常に信用を
マレーシアにおける認証運営は、政府の様々な機関によって積極
保証しなければならないのです。それゆえハラール証明は、明るい
的に創始履行されております。マレーシアは、この様々なチャンネ
未来と高度な信頼そして高度な信用が持てることでしょう。イン
ルにアプローチすることにより、その恩恵に浴することができるで
シャーアッラー。
しょう。マレーシア政府は凡ての機関との関係の間に有利な立場に
あり、ハラール認証に関する問題をはじめハラール食品、様々なレ
皆様のご列席、ご配慮を重ねて感謝いたします。さらに会議を通
じて皆様に有益な熟慮がありますよう希望しています。
ベルのムスリム商品、そしてOIC(イスラーム協力機構)の機関を
最後に、皆様に感謝し、すべての発言者と参加者に祝福がありま
含む、ムスリム共同体全体の改善のために多くの舞台が私たちに与
すように。そしてハラール認証局が人々に貢献できますよう、第 7
えられてきました。このような取り組みは、ハラール認証制度を拡
回ハラール認証会議の成功を確信いたします。
充するムスリムと同様に、ハラール食品製造とムスリム消費者に役
成功と導きはアッラーに。平安と慈悲と祝福のあらんことを。
7
お問い合わせ先:拓殖大学イスラーム研究所
〒112-8585 東京都文京区小日向3-4-14
TEL:03-3947-2419 FAX:03-3947-9416
ホームページURL. http://www.sri.takushoku-u.ac.jp
平成28年6月20日発行 第51号
発行人 拓殖大学イスラーム研究所
編集人 イスラーム研究所客員教授
柏原 良英
拓殖大学 イスラーム研究所 ニューズレター
正統四代カリフの時代-アブーバクル(28)
(前号より)
ますように。あなた様は生きても死んでも最も素晴らしいお方であ
「預言者ムハンマドの逝去」
る。」
聖遷から 11 年目のラビーウ・アルアゥワル月(3 月)12 日月曜日
のことであった。
(西暦 632 年 6 月 9 日)アブーバクルはイマームと
それから、アブーバクルは預言者の顔を布でおおった。
アブーバクルはアーイシャの部屋を出て、モスクへ入った。人々
して礼拝したあと、預言者の部屋に入り、彼を見舞った。その日は、
の間をかきわけ説教台のところまできた。アブーバクルは人々に呼
預言者の容体が少し良さそうであった。
び掛けた。
アブーバクルは、預言者が病床に臥して以来、マディーナ近郊の
「アッラー以外に神はなし、と誓言します。ムハンマド様はアッ
スンフにある家に殆ど帰っていなかったので、預言者に許しを得
ラーの使者である、と誓言します。
」と最初に言って、それから、
て、暫しの間、家に戻ることにした。しかし、アブーバクルが家に
次のように言葉を続けた。
帰っている間に、預言者は座っていることもできないほどに苦しく
なり、後から抱えるアーイシャの胸の中で永遠の眠りについた。
アブーバクルは用事を済ませ、預言者の見舞いに戻ろうとした矢
先、訃報が大地を揺るがした。
「信徒の衆よ、ムハンマド様を崇拝していた者は、まことにムハ
ンマド様は逝かれたと承知あれ。しかし、アッラーを崇拝していた
者にとっては、まことにアッラーは生きておられると知らねばなら
ぬ。」
(次号に続く)
「アッラーの使徒様が逝去された!!。」
アブーバクルは涙が止めどもなく流れ落ちるにまかせて、震える
声で「我々はアッラーのものであり、アッラーのもとへと帰りゆ
く。」(2 章 156 節)とクルアーンの一節を言った。
アブーバクルは乱れる心を落ち着かせて、預言者の家へと急い
研究会報告
【平成 28 年度第1回タフスィール公開研究会開催】
今年度第 1 回目のタフスィール(クルアーン解釈)公開研究会が、
だ。モスクの中では、預言者の家の前で人々が集まり、悲しみのあ
平成 28 年 5 月 21 日午後 2 時より文京キャンパスC館で開かれた。講
まり泣き叫び騒然としていた。人々に取り囲まれて、精神的に頑強
師は森伸生イスラーム研究所長でクルアーン第 17 章夜の旅章 1~21
で賢明なウマルでさえも剣を片手に立ち上がり叫んでいた。
節を解説した。今年度最初のタフスィール公開研究会で例年通り森
「偽信者の輩どもは、アッラーの使徒様が亡くなったなどと叫ぶ
所長の解説でクルアーンの新しい章を読み始めた。
が、アッラーの使徒様は決して亡くなったのではない。だが、アッ
ラーの使徒様は主の許へ会いに行っただけである。アッラーに誓っ
【平成28年度第1回イスラーム講演会開催】
て、アッラーの使徒様は戻ってこられる。ムーサー(モーゼ)がシ
毎年第 1 回目のイスラーム講演会は、ハラール料理を食べながら
ナイ山で主に会いに行って戻ってきたように。アッラーの使徒様が
イスラームの食についての講演と実際の料理を味わうというユニー
亡くなったなどと言う者はその両手をたたき切ってくれようぞ。い
クな企画による講演会を行っている。今回も昨年と同じイラン料理
やいや、アッラーの使徒様が亡くなったなどと言う者はその首をこ
を提供するイラン料理レストラン「アラジン」で、6 月 4 日午後 3
の剣ではねてくれようぞ。」
時より 5 時まで行われた。講師は、当研究所客員教授の有見次郎氏
この時のウマルの状態がこのようであったならば、他の者達は推
で 2 日後から始まるラマダーン月の断食にかけてのイスラーム食に
して知るべしであろう。ムスリム達はアッラーの使徒が病気で亡く
ついての話もありイスラームにおける食文化の講演の後、参加者は
なるなどとは全く想像していなかった。預言者に対する悲しみは誰
イラン料理を楽しみながらイスラームの話に花を咲かせた。
よりもアブーバクルが最も大きく深かったはずである。アブーバク
ルは最初の啓示の信頼者であり、サウルの洞窟で共に試練をくぐり
抜けた聖遷の時の随行者であった。預言者との別れのつらさを耐え
ぬくのは尋常な忍耐力ではなかった。しかし、アブーバクルは、あ
たかも何の動揺もないかのように振る舞った。アブーバクルは喚い
ているウマルや人々をかきわけ、自分の娘でもあり、かつ預言者の
妻であるアーイシャの部屋に入った。
預言者の遺体は外衣でおおわれていた。アブーバクルは預言者の
顔の上の布をあげて膝まづき、彼に口付けをした。涙を流しながら
静かに呟いた。
「イブン・ハッターブが言っていることは何も意味がないことで
ある。アッラーの使徒様は召されたのである。我が命が手中にある
お方にかけて。アッラーの慈悲がアッラーの使徒様あなた様にあり
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Ω Ϊ˰ό˰ϟ΍ ΕΎ˰ϳϮ˰Θ˰Τ˰ϣ
ΎϳΰϴϟΎϣ ϲϓ ΔόΑΎδϟ΍ ϝϼΤϟ΍ Ε΍ΩΎϬθϠϟ ΔΤϧΎϤϟ΍ ΕΎϬΠϟ΍ ωΎϤΘΟ΍ Ϧϋ ήϳήϘΗ .1
ϭΰϳ· ϲηΎϳΎΑϮϛ : Δόϳήθϟ΍ ΕΎγ΍έΩ ΪϬόϤϟ ϡϮϠόϟ΍ ΔϨΠϟ βϴ΋έ ΐ΋Ύϧ
ΔόΑΎδϟ΍ ΔΤϧΎϤϟ΍ ΕΎϬΠϟ΍ ωΎϤΘΟ΍ ΓήοΎΤϣ Ϧϋ ήϳήϘΗ .
ϭήϴΟ ϲϤϳέ΃ : Δόϳήθϟ΍ ΕΎγ΍έΩ ΪϬόϤϟ ή΋΍ί ΫΎΘγ΃
(28) ϦϳΪη΍ήϟ΍ ˯ΎϔϠΨϟ΍ : ϝΎϘϣ .3
ϭ΃ϮΑϮϧ ϱέϮϣ : Δόϳήθϟ΍ ΕΎγ΍έΩ ΪϬόϣ ήϳΪϣ
(˯ϼγ·ϝ΍ ΓέϮγ) ήϴδϔΘϟ΍ ΕΎγ΍έΪϟ ϰϟϭ΃ϝ΍ ΓέϭΪϟ΍ :ΪϬόϤϟ΍ έΎΒΧϷ΍ .5
ΔϴϣϼγϹ΍ ΔϤόρϸϟ ϰϟϭϷ΍ ΔϴϣϼγϹ΍ ΓήοΎΤϤϟ΍ .6
ϭήϴΟ ϲϤϳέ΃ : Δόϳήθϟ΍ ΕΎγ΍έΩ ΪϬόϤϟ ή΋΍ί ΫΎΘγ΃
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