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薬師寺みちよ国政報告便り vol.2 2016年2月号

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薬師寺みちよ国政報告便り vol.2 2016年2月号
2016 年 2 月号 Vol.2
http://www.yakushiji.info/
参議院議員
発行/参議院議員 薬師寺みちよ 国会事務所
〒100-8962 東京都千代田区永田町 2−1−1
参議院議員会館 1012号室
薬師寺 みちよ
国政報告便り
女性が輝く未来へ。
MICHIYO YAKUSHIJI Government Report Vol.2
Feb. 2016
2015年 189回 通常国会を振り返って
厚生労働委員会では、2つの重要広範議案を抱え、総理入り質疑や
参考人質疑・地方公聴会開催と、
いつもながら忙しい委員会運営でした。
毎週火曜日木曜日の定例日には必ず25分の質問に立つという、
大政党では味わえない緊張で張り詰めた毎日を送りました。
委員会で質疑した法案は9本、総質疑回数43回、
トータル質疑時間13時間17分戦後最大の延長国会にふさわしく、
厚生労働省等を相手に様々な議論を展開することができました。
今国会で私が心がけたことは、政府提出法案には質疑した内容の付帯決議を必ずつけると
いうことでした。付帯決議は、法律案を可決する際に、当該委員会の意思を表明するものとして
行う決議で、政府はこの付帯決議を尊重しなければならないのです。付帯決議をつけることで、
詳細を決めるための審議会に対し、一定の縛りをかけることができるのです。
この決議は与野党の合意の下決定されますので、質疑を通し、他の委員にもそれが必要な
根拠を示し納得させなければなりません。
これを自らに課すことで質問の質が変わり、
根拠となる材料を探すため、
日頃からアンテナを張って社会を眺める様になりました。
特に今回の目玉は
「労働者派遣法改正案」。正に政局に絡む法案であったため、衆議院では
乱闘騒ぎで混乱を来たしたまま参議院へと送られてきました。最初から最後まで波乱含みの
厚生労働委員会でしたが、今国会でも小さいながら勝ち取れた部分も多く、
今後も答弁通りに調査研究や施策が進んでいくのかを追っていきたいと思います。
1 89回 通 常 国 会 予算 委 員 会 (平成27年2月3日)
補正予算の審議2日目、
『少子化問題・女性の活躍に関する問題』を中心に質疑をさせていただきました。
「エンゼルプラン」
から20年間、政府も少子化対策に取り組んできたが、
なぜ合計特殊出生率の
長期低下傾向に歯止めがかからないのか、現在実施されている
「少子化危機突破のための
緊急対策」
は有効に働いているのかを質問いたしました。
OECD諸国では、女性の労働力参加が高い国は出生率が高いことから、
日本も職場や労働市場の
柔軟性を高め、認知度の低い
「くるみん」制度を拡充する必要があると主張いたしました。
また、特に遅れている国家公務員の女性の採用・登用の促進、男性育児休業の取得率向上に
ついて一刻も早く取り組んで欲しいと要請いたしました。
少 子化 によって…
経済規模の縮小
労働力人口 の減少
社会保障負担の増大
過疎化など
1
予算委員 会 女性アスリートの健康問題
(平成27年3月18日)
今回のテーマは「女性アスリートの健康支援」です。オリンピックを見据え
スポーツ庁も設置される予定の今、厚労省においても「スポーツと健康障害」と
いう視点で積極的に調査研究すべきではないかと主張いたしました。
スポーツにけがや病気はつきものですが、医療提供体制を整備すべき厚労省は
管轄外のため、
これまでアスリートの健康問題は置き去りにされ、医療機関を使用した相談窓口も
整備されていないことを指摘いたしました。
特に、女性アスリートの問題は深刻で、
「エネルギー不足」
「無月経」
「骨粗鬆症」
の
女性アスリートの三主徴 から将来の健康障害につながることを紹介し、厚労省として
女性アスリート支援をおこなうべきではないかという質問をいたしました。
これに対し、
厚労大臣からは、今後、女性健康支援センターが相談指導を実施し医療機関へつなぐ役割を
担うべく体制整備を図るとの答弁いただきました。
薬師寺みちよ活動報告
女性アスリート支援のためのプロジェクトチームPT設立
上記の予算委員会で主張していた
「女性アスリート支援」
の必要性が認められ、12月、
超党派スポーツ議員連盟の下、女性アスリート支援のためのプロジェクトチームが
立ち上がりました。
オリンピックを見据え、
スポーツ庁も設置されました。
これまでは、
アスリート・スポーツというだけで担当は文科省となり、医療提供体制を提供すべき
厚労省は管轄外でした。
そのため、
アスリートの健康問題は置き去りにされてしまい、十分な
相談窓口も整備されてきませんでした。
スポーツ庁設置をきっかけに、省庁横断的な
健康管理体制の構築を訴えてまいりました。特に、女性アスリートの問題は深刻です。
「エネルギー不足」
「無月経」
「骨粗鬆症」
の三つの問題を 女性アスリートの三主徴 と
位置づけられ、IOCからも注意喚起がなされておりますが、厚労省ではその問題を認識して
おらず、積極的な施策が打たれておりません。
この三主徴の起点はエネルギー不足であり、
この状態が長期間続くと、脳からのホルモンが低下し、
月経が止まってしまいます。
さらに、
無月経となると女性ホルモンの分泌が低下し骨密度が低下し、疲労骨折を繰り返すだけでは
なく、将来的にも骨折や不妊のリスクを高める可能性があります。
このPTの立ち上げに際し、国立スポーツ科学センター
(JISS)
や
順天堂大学女性スポーツ研究センター・日本障がい者スポーツ協会へヒアリングを行い、
スポーツ医学関連学会へも参加し、学びを続けてまいりました。少しでも現場でお手伝い
できればと考え、
日本医師会認定健康スポーツ医も取得、Mama Athletes Network(MAN)へ
参加しママさん選手の悩みを耳に収めてまいりました。
いよいよその学びを活かす時が
やってまいりました。
このPTの立ち上げに際しても、多くの同僚議員の協力がございました。
少しでも彼らの努力に報いる様に、事務局次長としてPTのお手伝いをさせていただきます。
2
予算委員 会
(平成27年3月19日)
「災害医療・防災と女性」。仙台で行われた国連防災世界会議に
今日のテーマは、
参加した経験から、厚労省で進められている地域包括ケアと地域防災計画を
連動させ、医療・介護・防災を一体化させる必要性を主張いたしました。
会議では
「女性と防災」
というテーマ館が設けられ、災害弱者に対する対応や復興に
おける女性活躍について活発に議論が展開されていたのを受け、東日本大震災から得た
多くの教訓を活かした施策をお願いいたしました。
さらに、
自衛隊小牧基地で視察した際に、大規模災害や有事において救急患者輸送に使用する
起動衛生ユニット
(空飛ぶICU)
が全国に2台しかないことがわかりました。
これでは
いざと言う時に不足することが予想されるため、衛生機能拡充の検討をお願いいたしました。
予算委員 会 (平成27年3月24日)
介護と育 児 の ダ ブ ル ケア の 問 題 に つ い て 議 論
今回のテーマも少子化対策。
次から次へと対策を打ち、最近では毎年3兆円つぎ込んで
1994年以来、
政府を挙げ少子化に取り組んでいるにもかかわらず、職場や社会の理解も
一向に進まぬ原因は、国民と少子化の危機感が
共有できていないからではないのかと問題提起をいたしました。
問題の一つに、妊娠や身体に対しての知識の不足があげられます。未婚女性の妊娠に関する
調査結果を基に、健康リテラシーとしての妊娠出産教育の必要性を文科大臣と共有することが
できました。
また、晩婚化、少子化、高齢化が進んだため、近年問題となっている育児と介護が
同時進行している
「ダブルケア」
を紹介し、子供・高齢者という縦割りの支援ではなく、
家族単位で総合的に支える施策を提案させていただきました。
厚生労働 委 員 会 (平成27年3月26日)
育児介護休業法の短時間勤務について。
大臣所信質疑 今回の質疑は、
男性の育休取得率は2%と伸び悩んでいる現実を踏まえ、職場において
ファミリーハラスメント(仕事と家庭の両立を認めないハラスメント)が
横行する中、育児中の男性にとって、育休よりも短時間勤務の方が
取りやすいのではないかと問題提起をいたしました。
育休給付金の様に育児中の短時間勤務にも給付金制度を設け所得を補償する等、
短時間勤務制度を拡充することで、労使とも負担なく子育てに参画できる可能性があるのでは
ないかと提案いたしました。
また、短時間勤務制度自体を男性の77%が知らないという実態から、
さらなる周知徹底をお願いいたしました。
3
育児と介護の両方を抱えることにより主に
女性が直面する問題が、
【ダブルケア】
です。
6歳未満の子供を持つ母親を対象にした
調査では、
14%がダブルケアに直面した経験が
あると答えています。
予算委員会の質問を受け、
内閣府は、
ダブルケアの実態調査に乗り出し、調査結果を
基にダブルケアの問題を抱える女性の支援策を
まとめる予定となりました。
また、
第4次男女共同参画基本計画に、
ダブルケア問題の実態について調査を行い、
負担の軽減の観点から対策を検討することを
盛り込むよう、
答申がなされました。
予算委 員 会 (平成27年3月30日)
「終末期医療」。
今回のテーマは、
現在、年間死亡者数は急速な増加傾向にあり、平成15年からは100万人を超え、
平成23年は120万人に達しました。
平成19年からは110万人台となり、
今後もその勢いは衰えず、平成40年には150万人、平成50年には年間死亡者数は約170万人
に達すると見込まれています。
このような多死社会において、高齢者の生活の質や尊厳を基本に、
地域包括ケアシステムも構築が急がれていますが、同時に、尊厳死や死生観に関する
社会的合意に向けて国民的な論議を行う必要があるのではないかと問題提起をいたしました。
2013年に出された
「社会保障制度改革国民会議」
の報告書では、国の審議会として初めて
「死」、
すなわち死すべき運命にある人間の尊厳ある死を視野に入れた
『QOD(クォリティ・オブ・デス=
死の質)
を高める医療』について言及がなされました。厚労省でも人生の最終段階における医療
の決定プロセスに関するガイドライン」の普及を開始したところです。多死社会の今、誰が何処で
看取るのかの議論を、政府としても真剣に取り組んでいただきたいとお願いいたしました。
厚生労 働 委 員 会 (平成27年3月31日)
戦没者 等 の 遺 族 に 対 す る 特 別 弔 慰 金 支 給 法 改 正 案 質疑
戦傷病者の記録を残すために平成18年に設置された
「しょうけい館」について取り上げました。
この資料館は戦争病者に関連する様々な資料が展示されています。
義肢や義足や三角巾など、施設も医療用具も整備されぬ中で医療活動を行っていた先人の
苦労から、現代の我々医療者が学ぶべき点も多く、
今後、次世代に継承していくための運営をお願いいたしました。
4
予算委員 会 特 別 養 子 縁 組( 愛 知 方 式 )(平成27年4月2日)
養子が戸籍上養親の子となり、
特別養子縁組は、
。
「特別養子縁組」
今日のテーマは
実親との親子関係がなくなる点で普通養子縁組と異なります。
なかでも注目されているのが、
「愛知方式」
です。愛知方式は妊娠中から養子のマッチングを
行い、乳児院にお世話になることなく、赤ちゃんを産まれるとすぐに養親が育て始める方法です。
施設で育つことが一般的な日本においても、子供が自然と家族になれる
「愛知方式」の普及促進
をと、厚労大臣にお願いいたしました。
厚生労働 委 員 会 予 算 委 嘱 審 査
(平成27年4月7日)
医療給付費・介護給付費の伸びを抑えるためにも、予防という概念が重要に
なってきます。その為に、予算や費用対効果もそれぞれの事業ごとではなく、
1次予防2次予防3次予防という横串を通して考えていく必要があるのでは
ないかと提案いたしました。
特定健診の受診率50%以下と国民の予防に対する意識が低いことも紹介し、
今後、保険者機能を強化していく中での取り組みをお願いいたしました。
また、無理なダイエットに
よって20代女性の5人に一人は痩せという現状を紹介し、将来起こり得る
不妊や骨粗しょう症などを予防するためにも、若年層への教育啓発の徹底を提案いたしました。
予算委員 会
(平成27年4月8日)
「アベ政権の女性政策と予算分析」。安倍総理は、女性の活躍が
今日のテーマは、
成長戦略の中核であると位置付け、ウーマノミクスという言葉まで生まれて
いますが、本当に必要としている所へ予算が配分されていないのではないかと
問題提起をいたしました。
その解決方法として、
「ジェンダー予算」導入の提案をさせていただきました。
ジェンダー予算は名前の通り、政府予算を性差、男性と女性いわゆるジェンダーの視点から
分析し、男性と女性に及ぼす影響について検証する手法です。予算の配分に
「ジェンダー」の視点
を反映する努力をしなければ、
ジェンダー予算
本物の男女共同参画社会は実現されません。予算は政策
ごと、省庁ごとに縦に積み上げてまいりますが、
そこに
政府予算をジェンダーの視点から分析し
男性と女性に及ぼす影響について検証する手法
ジェンダーという視点の
「横串」
の分析が行われることに
より、少ない税源を効率的に使用し、
ダブルケアの様に、
今日では世界 60カ国 で実施
縦割り行政のはざまに落ち込んだ問題も拾い上げていく
実施効果
ことが可能となります。新たな予算分析の仕組みを
男女共同参画政策の推進に対する
予算過程の透明性の向上
研究開発し、早期に取り入れていく必要性があることを
政府の説明責任の強化
主張いたしました。
5
予算委員 会
(平成27年4月9日)
今日のテーマは政治分野における女性の参画について。
国会でも11%の女性議員しかいない今、2割の地方議会では女性議員が0、
特に町村議会の4割が0という現状です。
これでは、女性の視点から発議も出来ません。
フランスの地方議会で行われた
混合ダブルス方式という選挙制度(男女が必ず50%ずつ)
を紹介し、総理に女性議員を増やす
ためのポジティブアクションをお願いいたしました。
薬師寺みちよ活動報告
あいち女性議員の会
愛知県内の女性議員による超党派の政策勉強会を立ち上げました。女性が未来に
夢を持てる社会をつくり、安心して子供を産み育てることができる環境を整備したい。
女性の皆様の声が反映できる医療・介護や年金制度の充実を図りたい。
地域特性を活かした地方の活性化を図り、子供たちの笑顔あふれる明るく元気なまちづくりを
実現したい。地方議会で活躍する女性議員の声に押され、党派に縛られることのない女性に
よる政策勉強会を立ち上げました。
女性同士で誰に気兼ねすることなく学び、
自由闊達に議論ができる場を提供いたしております。
子育て中のお母さん議員は、遠方の勉強会や泊りの研修会などに参加できません。
さらに地方議会によっては、女性議員が政策を学び地域に役立てたいという思いを好意的に
受け取ってもらえなくて困っているという声も聞こえてまいります。
我々女性議員が議会を牽引していくのだというつもりで、今後も議会の質問に直結する
講演やデータ提供、地方行政を先取りした情報発信を続けてまいります。
厚生労働 委 員 会 健 康 経 営・健 康 会 計
(平成27年4月14日)
医師の過重労働について、男性勤務医はほぼ全年代で、
女性勤務医も50歳前まで過労死認定基準に達しているため労務管理の徹底を
お願いいたしました。医療機関に産業保健という考え方自体が馴染みにくく
専門家なのだから自己管理・自己責任が当たり前という考え方が染みついています。
そのため、病院長が産業医を兼ねている機関も多く、労働時間の管理監督が行われていませ
ん。
まずは事業者と指導監督を行う産業医を分離する様に医療機関に対し通知を出し改善を図
るべきだと主張いたしました。
また、最近の産業保健の在り方として
話題になっている
「健康経営」
「健康会計」
を紹介いたしました。政府においても
経産省が中心となり、生産性の向上を
図るためにも従業員の健康管理に経営課
題として取り組む考え方である
「健康経営」
の推進に取り組んでいます。
厚労省では研究中ということであり、
今後も経産省や健保組合・企業等と
連携し、働く世代の健康管理の徹底を
お願いいたしました。
6
薬師寺みちよ活動報告
産業 医 を 選 任 し てい ま す か ?
代表 者 が 産 業 医 を兼 務 し て い ま せ ん か ?
昨年の医療介護確保総合法案や本年度の一般質疑を通して議論してきた
「勤務医の労働環
境改善」
の主張がやっと厚労省を動かし、
通達を出してもらうことができました。
これで、病院内労
働環境改善へ一歩前進することが出来ました。勤務医は医師不足を補うための過重労働や当
直明けの手術(徹夜明けの手術)
などが常態化しているために、医療安全にも大きく影響してい
ることが以前より指摘されていました。一刻も早く、医療を守るためにも医師の健康を守る必要
がありました。常時50人以上の労働者を使用する事業場は、産業医を置くことを義務づけてい
ます。産業医は、労働者の健康を確保するために、事業者に対し、労働者の健康管理等について
必要な勧告をすることができます。
しかし、病院では院長が産業医を兼ねている場合も多く、
自分(産業医)
が自分(事業者)
に勧告をするという通常では考えられない状態が、
過重労働対策の遅れにもつながっていました。
この点に関して委員会で質していましたが、平成27年10月30日、病院の院長等が産業医を
兼ねている場合は改善するようにとの通達を出しました。現役の産業医として、
これからも産業保健の視点から労働者を守る提案を続けてまいります。
厚生労 働 委 員 会 勤 労 青 少 年 福 祉 法 改 正 案 質 疑
(平成27年4月16日)
女性は結婚・妊娠・出産などのライフイベントを迎えるたびに、
特有の悩みを抱えなければなりません。
そのため、女性が就労を継続しやすい労働環境の整備を行うための視点を
本法案でも明確にすべきだと主張いたしました。
具体策として
「子育て世代包括支援センター」
にキャリアコンサルタントを配置し、
ワンストップサービスが提供できる体制整備をお願いいたしました。
また、労災でもメンタル疾患が増えているため、新入社員のメンタルヘルス教育を徹底すべきと
主張いたしましたが、国では教育内容、効果等の調査研究も実施していないため
今後検討すると答弁いただきました。今後も検討状況を見守りたいと思います。
厚生労働 委 員 会 母 子 健 康 手 帳 の 電 子 化 に 向 け た 取 組み
(平成27年4月21日)
今日のテーマは母子保健。医療費適正化等を行うために、
様々な疾病について、様々なデータが収集される中で、妊娠・出産・子供の
正常な成長についてのナショナルデータは存在しません。
妊娠すると市町村から交付される母子健康手帳の情報を収集し、
ナショナルデータベースへと成長させてはどうかという提案をいたしました。
また、母子健康手帳は日本独自のシステムであり、妊婦健診の情報、出世児の情報、新生児期の
情報、予防接種の情報が記載されています。今後、医療提供サイドと医療消費者サイドの双方に
とって有用なシステムを構築すためにも、母子手帳をデジタル化
するためのアプリを開発すべきだと主張いたしました。
さらに問題があるのは、妊婦健康診査です。市町村の判断に
任されているため、
かける費用や検診内容に地域間格差がありま
す。最低限でも国から示された標準的な検査項目を全てカバーす
る様に各自治体へと、
さらに強く働きかけをいただくことをお願い
いたしました。
7
厚生労働委員会 産業医と病院管理者 (平成27年4月23日)
独立行政法人に係る改革を推進するための
厚労省関係法律の整備に関する法律案
今回の独法統合に当たり、労災病院の存在意義について質問いたしました。
労災病院は勤労者医療の中核的役割を担うために設立されました。
しかし、今日では労災病院
も地域医療の一翼を担い、労災患者の比率は4%程度と低く、労働災害専門病院としての本来の
設立趣旨とかい離し始めています。
今後も、全国に30病院の労災病院が必要であるのか、必要とするのであれば、専門性を
担保してほしいと提案いたしました。大臣からも問題提起を受け止めたいと答弁いただきました。
その後、厚労省では、労災病院の在り方について検討を進めていると報告いただきました。
今後の検討を見守ります。
厚生労働 委 員 会
(平成27年5月12日)
「ストレスチェックテスト」について質問
2015年12月より義務化される
いたしました。ストレスチェックテストは、昨年の労働安全衛生法改正案で、
労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止する取組として
新たに組み込まれた制度です。
この度の質問で、厚労省から出されたガイドライン・マニュアルでは、重要な役割を担うはずの
衛生委員会(常時使用する労働者が50人以上の事業場で設置義務)、
産業医(常時50人以上の労働者を使用する事業場で選任義務)
について、平成22年以来、
設置されているのか、選任されているのかの調査も行っていないことが明らかとなりました。
平成22年の時点でも、義務化されているにも関わらず、安全衛生委員会等の開催は84.7%、
産業医の選任は87%の事業場に限られていました。
早急に調査することを強く要請いたしました。
さらにストレスチェックテスト実施にあたり人材育成も必要であると提案いたしました。
今までの産業医業務と違った側面もあり、
マニュアルの整備や事例集など作成も併せて
お願いいたしました。今回のストレスチェックテストを機会に、産業保健全体を活性化し、
実のある制度へと充実を図ってまいります。
その後、厚労省より、産業医の選任と衛生委員会の設置について、平成27年11月に行われた
「労働安全衛生調査(実態調査)」
において、
①産業医の選任、②衛生委員会の設置について調査を行い、
現在集計中だと報告を受けています。
8
厚生労働 委 員 会
(平成27年5月19日・21日・22日・26日)
持続可能な医療保険制度を構築するための
国民健康保険等の一部を改正する法律案
本法案は重要広範議案でしたので、参考人質疑を2回、総理入り質疑を1回行い、
充実した審議を尽くしてまいりました。
私は、患者申し出療養制度と医療費の適正化に焦点を当て質問いたしました。
本来、皆保険制度の日本では、混合診療(保険診療と保険外診療を併用すること)
は原則禁止
され、実施した場合は全体が保険外診療扱い、
すなわち自由価格で全額自己負担となります。
今回の患者申出療養は、一定の条件下で混合診療が可能となる新たな方法です。
「日本で標準的治療として行われていない新しい技術や薬を、患者さんが使いたいと申し出れば、
安全性をチェックした上で、身近な医療機関で受けられる制度で、新しい薬や技術については
自費(保険外診療)
ですが、
それ以外は保険証が使えます
(保険診療)」
と言えば
とても良い制度と聞こえるかもしれません。
しかし、
「日本で承認されていない薬や技術(その危険性は未知)
を、患者さん
(専門医とは
情報の格差あり)
の申出で、
その道の専門家ではない医師が行うことになる」
ため、
様々な弊害が生じる可能性も否定できません。
今までは臨床研究の中で、専門医が専門病院で行っていた
(規制することで安全性の担保をして
いた)
ものを、一気に
「規制緩和」
してしまうこととなってしまったことは、単に、
「混合診療を解禁する、
しない」
という問題以上に、患者の安全をどのように担保していくのか、
効果判定にどの様に活かしていくのかなどの論点は残されているため、時間をかけ慎重に
審議すべきだと何度も主張させていただきました。
また、社会医学領域の医師が行政内に不足していることを訴えました。
本法案成立後、
さらに医療経済などにも精通した医師が地方自治体に必要になりますが、
育成に至る施策は語られておりません。医療費適正化や地域医療構想のビジョンを描ける人材を
育成するためにも、新たに設けられる専門医制度の1分野として社会医学のキャリアパスの
準備をせねば、
さらに人材が枯渇し医療介護行政にも支障が出る可能性が高い旨を意見させて
いただきました。最後に、
「患者申出療養」
は安全性と有効性の確認が難しく、
患者への補償制度の検討もなされていないなど、詳細が全く詰められぬまま、
生煮え状態での法案提出がなされたため、質問しても議論が深まらないことに危機感を抱き、
このまま無責任に可決されることは一医療者として何としても阻止せねばと考え、
再度検討の余地ありという理由で、
「患者申出療養」
の条文をすべて削除した修正案を
提出いたしました。
もちろん、否決されましたが、
せめてもの意思表示、無所属の私ですが、
一人でもできる精一杯の抵抗でした。衆議院ではすでに可決されている法案ですので、
無駄な抵抗と言われても仕方ないことは分かっております。
しかし、思いのほか賛同者が多かった
ことには驚きました。
医師としてこれは否定すべきと考えた際には議論を尽くし、
あらゆる手段を取りながら厚労省にも意見を伝えてまいりたいと思います。
9
厚生労働委員会 自殺総合対策等に関する件
(平成27年6月2日)
自殺対策基本法成立より10年、来年の4月から担当省庁が内閣府から厚労省へ
移管されるにあたり、参議院では質疑を行い自殺総合対策のさらなる推進を求める
決議をいたしました。
質疑の中では、
自殺対策におけるメディカルモデルとソーシャルモデルが両輪となり自殺予防総合
対策センターのさらなる強化をお願いいたしました。
また、
この12月から開始されるストレスチェック
テストも自殺対策に活かし、産業保健総合支援センターにおいてもこの決議を機会に、
さらなる
メンタルヘルス対策強化に努めてほしいと要望いたしました。
薬師寺みちよ活動報告
第1回グローバルヘルスに関する
アジア太平洋国会議員フォーラム
7月に韓国で行われた国会議員フォーラムへ参加いたしました。今回のテーマは
感染症。
日本では過去の病気と思われている感染症は、世界の保健を考える上で新たな
ステージに入っています。今や1日あれば飛行機で世界1周できる程に運送技術も発達し、国や人
種を超え、
もはや感染症に国境はありません。
そのため、
今回の会議では、
昨年アフリカのギニア、
シ
エラレオネおよびリベリアを中心に流行した「エボラ出血熱」
と、今年韓国で流行した「マーズ
MERS」
について情報交換を行い、
今後起こり得るパンデミック
(世界的な大流行)
の予防策につい
て検討を重ねました。
自国の医療レベルを上げただけでは周辺諸国からの感染流入に対応できません。周辺諸国に
おいてユニバーサル・ヘルス・カバレッジ
(UHC)
(誰もが、
どこでも、
お金に困ることなく、
自分の必
要な質の良い保健・医療サービスを受けられる状態)
を実現しなければ、
自国民を新型感染症な
どの新たな脅威から守ることは不可能です。周辺諸国からは、制度の構築や財政支援などの面で、
日本がリーダーとしての役割を求められていることを痛感した会議でした。来年、
日本で開催され
るG7伊勢志摩サミットでもUHCが主要な議題として取り上げられることになりました。
これからも、
UHC実現に向け日本の国会議員として何ができるのか考えていきたいと思います。
厚生労働 委 員 会
(平成27年7月14日)
韓国で行われた「第一回アジア太平洋国会議員国際健康フォーラム」にて
国内の状況を確認する質問を行いました。
情報交換を行ったMERS対策について、
感染症危機管理で大切なのは、指示命令系統が一貫し、的確な初期対応で、一刻も早く感染を封じ
込めることです。MERSが疑われる患者さんが発生した際には、地域ごとに設けられている
「地方衛生研究所」
もしくは
「国立感染症研究所」
で検査をいたしますが、地方衛生研究所は法律事項
ではないため、地域によっては規模が縮小され、地域間格差が拡がっています。明確に
法的な位置づけ、質の確保をすべきだと主張いたしました。
また、一種病原体等を取り扱う
BSL(バイオセーフティーレベル)4施設が日本では稼働していないことは、今後、
ウィルス変異の確定
や治療薬やワクチンの研究開発に大きな遅れを生じてしまうことにつながります。
地域住民の皆様のご理解をいただき、一刻も早く備える様、要請いたしました。患者輸送中の感染リス
クを軽減させるためにも重要なアイソレーター
(患者隔離装置)及び感染症移送専用車の
確保十分でないことも分かっております。
そのため、
自治体間で貸与される仕組みづくりを
提案いたしました。
そして、一番重要なのは、危機管理体制と決断です。韓国において、感染拡大につ
ながった一番問題は、決断できる組織」
ではなかったことだと、先日参加した韓国のフォーラムで学ん
でまいりました。大臣から明確な答弁はいただけませんでしたが、今後も、厚労省だけではなく、内閣官
房など他省庁に対しても問題提起を行い、
「そこにある危機」
「命の安全保障」
に備えようと思います。
予算委 員 会
(平成27年8月10日)
久しぶりに行われた予算委員会のテーマは少子化対策。
未来の日本を支えるためにも、財務大臣に予算の確保と、地方創生担当大臣には、来年度予算に
組み込まれる
「地方創生の深化のための新型交付金」
が、
自治体の少子化対策推進のインセンティブ
になる様にとお願いいたしました。
10
厚生労 働 委 員 会 派 遣 法 改 正 案
(平成27年7月30日・8月4日・11日・19日・20日・26日・27日・9月1日・3日・8日)
本法案は昨年の通常国会・臨時国会の
今国会2つ目の重要広範議案です。
今回、
2回にわたり政府より提出されたのですが共に廃案となり、
の法案でした。
「いわくつき」
三度目の正直で漸く参議院の質疑へとたどり着いた
衆議院で強行採決に至った経緯からも、今国会の山場であったことは容易に想像していただけるこ
とでしょう。2回の参考人質疑に加え、地方公聴会、視察と現場の声を審議に反映させ、総理入りの質
疑も行い十分な時間をとり採決にいたりました。私は産業医として派遣労働者の劣悪な労働環境改
善を企業に対し要請してきた経験から、派遣労働者の立場の弱さと派遣先派遣元の二重支配によっ
て起こる弊害について、今後、制度の中でどのように手当てされ改善されるのかを確認いたしました。
派遣労働の実態は様々です。高度技術者がプロジェクト毎に雇用され、
その技術を様々な現場で活か
せるため望んで派遣という雇用形態をとっている者から、単純作業で人件費削減のために派遣で人手
不足を補っている企業で正社員化が望めないにも関わらず名ばかり専門職として長年派遣として働
かされてきた者まで、
その待遇も置かれた環境も千差万別です。
にも関わらず一つの法律で括ってしま
うことに無理があります。各議員、頭に置いている派遣労働者像が違えば、議論がかみ合う訳もなく、何
度も議論の中断を見ながら波乱の委員会運営でした。
まず、
「派遣労働者の健康管理」
「派遣元」は派遣労働者の一般的な健康管理を行い、
「派遣先」は
安全管理全般に関する事項、衛生管理のうち就業に伴う具体的な事項について責任を持つことに
なっています。
そのため、
「派遣元」が派遣労働者の雇用主として労働安全衛生法(職場における労働
者の安全と健康を守り、労働災害を防止することを目的とする法律)上の事業者責任を負いますが、
現場では、派遣労働者は
「派遣先」の指揮命令を受けて就業することになります。
そのため、健康診断
の結果や事後措置などの指示が活かされず、身体に負荷のかかる就労を強いられてしまうこともしば
しばです。労災隠しも発生し易い環境のため、健康管理における派遣先・派遣元の役割分担を見直
し、健康管理や労災隠しの横行の是正、安全衛生教育にも厳しい指導をお願いいたしました。厚労省
も現状を把握しており、前向きな回答をいただきました。また、職種によっては、将来健康被害が発生
する恐れのある化学物質や粉じんなどに曝露されている場合がありますが、派遣という働き方は一時
的ですので、特殊健診を行っている時期に働いていなければ定期的な特殊健診から漏れてしまう危
険性も生じます。特殊健康診断やじん肺健診の結果を、派遣労働者本人が管理する方法を考えて欲し
いとお願いいたしました。厚労省のアンケートでは、6割の方が
薬師寺の発案で
派遣という働き方を望んで選択したという結果が出ていますが、
【福島第1原発】視察を実施
これは正社員の長時間労働の常態化や多様な正社員の普及の
遅れの裏返しです。正社員の働き方が変わらねば、
女性が消極的に派遣を選択する現状は変わりません。残念な
がら政府に正社員の長時間労働やダイバーシティーを促進さ
せるロードマップは明確に示していただけませんでした。
また、派遣労働の証明ともなる派遣管理台帳の保存義務は3
年しかありません。本来は個人の記録としてキャリア研修や特
殊健診などの記録は長期間の保存が必要です。将来体調不良
と労働の関係性を証明しようと思っても3年後には記録は残っ
ていないため因果関係の証明が難しい事態も生じます。労働
契約と労働安全衛生と別の法律で管理されているため、現状と
かい離した労働管理が行われていることを指摘いたしました。
さらに、派遣法違反が発生している現場の典型として
「原発作
業員」の労働を取り上げました。本来であれば、原発作業員は
建設業にあたり派遣が禁止されているにも関わらず、偽装請負
が横行していた事実、労災の多発や安全教育の不足、労働管
理の不徹底など問題山積であることを指摘いたしました。厚労
省も指導を徹底しているがいまだに問題があることは認識して
いるとの答弁をいただきました。
これからも数十年にわたり廃
炉の作業は続きます。作業員の労務環境改善については、今後
も国会で責任をもって追い続けようと思います。
11
厚生労働委員会 年金個人情報流出問題
(平成27年6月16日・8月25日・9月3日)
日本年金機構の水島理事長を参考人に迎え、年金情報漏えい問題について
質疑をいたしました。
国会にはセキュリティーの問題があるからと出せない資料が、
職員を通じテレビに新聞に次から
次へと出てくる状況を、
理事長へ質問しても
「警察で調査中のため答えられない」
とう答弁の繰り返
しや衆参の委員会で答弁が二転三転する事態もあり、審議は何度も中断し流会という事態まで起
こった委員会でした。
そこで分かったのは、
情報を外へ持ち出してはならないという職員規範が守ら
れない組織風土が蔓延っていること、
これ自体が年金情報という究極の個人情報をパスワードも
かけず、
煩雑に扱っていた今回の情報漏えいにつながったことは間違いありません。
消えた
年金情報の旧社会保険庁から生まれ変わった新たな組織で、国民の財産は我々で守るという
位の気合を見せてほしかったのですが、中身は全く変わっていなかったことも明白となりました。
平成26年3月まで、年金業務監視委員会の委員長であった郷原参考人を交え、外部監視の
あり方についても審議を行いましたが、
まずは真相究明が先だと取り合ってもらえませんでした。
厚生労働委員会
(平成27年9月10日)
厚生労働省が管理する医療ビッグデータのシステムで、
特定健診のデータのうち、同じ患者のレセプトのデータと照合できたのは
2割程度にとどまることがわかりました。
この状態では、健診の医療費抑制効果の検証に活用できないことが、会計検査院から指摘され
明るみに出ました。
原因は患者情報の入力方法を統一していないことという初歩的ミスであった
ことに加え、
少なくとも平成24年の検討会で突合率が明らかに低いことが分かっていたにも
関わらず放置してきた厚労省の体質に問題があると指摘いたしました。
年金情報漏えい問題と合わせ、
今後改善を行う旨の答弁をいただきました。
また、
がん診療連携拠点病院についても質問いたしました。拠点病院は、全国どこでも質の高い
がん医療を提供することを目的として全ての二次医療圏に原則一か所指定することとなって
おりますが、
いまだ84か所も整備されていないことを問題といたしました。
拠点病院に課せられる業務に国からの財政支援や人的支援が追い付かず、様々な側面において
拠点病院の負担が大きいことも整備が進まぬ大きな要因であることを指摘させていただきました。
厚労省としても問題視しており、
今後、
さらに支援を行っていきたいと答弁いただきました。
この問題は、
12月に策定された
「がん対策加速化プラン」
に盛り込まれたことから、
今後、
拡充を図られることを確認したいと思います。
厚生労働委員会 医療法の一部を改正する法律案
(平成27年9月15日)
「地域医療連携推進法人」という
地域医療を充実させるために、
新たな法人の形態を認めるという法案です。
法案自体に反対するものではありませんが、法人内への利益誘導に走らぬために地域住民の
意見を反映させる仕組みや、地域の保健所と連携し疾病・介護予防などの住民教育や啓発活動
を通じ、医療費適正化に結び付けられる制度としてほしいと要望いたしました。
残念ながら、現在のところ医療費適正化まで制度設計に至っていないとの答弁でしたので、
今後の地域医療連携推進法人の動向を注視してまいりたいと思います。
12
1 89回 通 常 国 会 総括
戦後最長95日間延長した第189通常国会が終了いたしました。
9月25日、
今回の通常国会(常会)
では、厚生労働委員会と予算委員会、地方創生消費者問題に関する
特別委員会に所属し、議論を尽くしてまいりました。
常会が開会すると、
まず、予算委員会が開催されます。
その年の4月までの補正予算案と4月からの
本予算案についての審議が行われます。予算は企業においても同様で、次年度の国の動きを左右
する大切なものです。特に大切なのが、無駄の削減がなされ、重点項目に対し十分な手当てが
なされているのか、質問を通して確認作業を行っていかねばなりません。
1月25日に開会した今回の常会では、国会の花形である予算委員会の委員を初めて務めさせて
いただきました。予算委員会は他の委員会とは違うところが多く、戸惑う毎日でした。
まず、
テレビ入りの機会も多いため、会派内の割り当てを平等に決定しなければなりません。
また、持ち時間も質疑の往復で全体の持ち時間が決まっている
(往復方式)他の委員会と違い、
質問時間に対して2.5倍・3倍の質疑時間を確保しなければならない片道方式という
特殊な方法がとられています。短い質問を連発しながら有効な答弁を引き出す難しい手法が
要求され、
自らの主張を長々と続けると、
あっという間に質疑時間が終了し、後に続く他会派の
議員に迷惑をかけてしまうことになってしまいます。最初は慣れずに苦労しましたが、
予算委員会が終了する4月にはすっかり自分のものにすることができました。
毎回、答弁者は担当大臣という緊張の中、良い経験をさせていただきました。
議員連盟 勉強会
「遺伝医療・ビジネスを取り巻く諸課題を考える勉強会」
2015年に立ち上げた
「遺伝医療・ビジネスを取り巻く諸課題を考える勉強会」
が、
新たな展開を迎えました。
現在、遺伝情報は、疾病罹患リスクや血縁関係だけでなく、出生前診断や体質、能力等の判定・評価にも利
用されています。
遺伝子に関わる医療やビジネスは、
これからの日本にとって成長産業として大いに期待され
ている分野です。
この分野の発達によって、将来、診断や治療の概念が根底から覆される可能性もあり、
ゲノ
ム
(遺伝情報)
を制する者は医療を制すともいわれているのです。
しかし、一方、国民の健康やプライバシー
に大きな影響を与えることから、
個人情報保護との関係や検査・情報提供の精度管理、
遺伝情報を利用した
差別禁止などに関する法整備が喫緊の課題となっていました。
残念ながら政府において検討に向けた動き
が大変鈍く、研究者の間からは早急な対応を望む声が高まっていました。
この分野に興味を持ち勉強を続けていた薬師寺が、
日本人類遺伝学会の主要メンバーから要請を受け、
他党の議員に呼びかけることで、昨年、超党派勉強会が立ち上がりました。
今年も事務局長として勉強会を企画し、厚労・文科・経産省など関係省庁に早
急な対応を求め続けたところ、11月に入り、
ようやく内閣官房「健康・医療戦略
推進本部・ゲノム医療実現推進協議会」
の下に
「ゲノム情報を用いた医療等の
実用化推進タスクフォース」が設けられ、遺伝子検査の品質・精度や遺伝差別
の防止などについて議論が始まりました。
「政府の動きが悪い時には、議員連盟や勉強会を通じて動かすことも可能であ
る」、今回勉強会開催でお世話になった大先輩からの教えです。政治の力学の
凄さを見せていただきました。無所属の私でも、心ある同僚議員の力を借り、
大きなうねりを作り出すことが出来ました。
この出来事は、私に国会議員として
の自信とこれからのミッションを与えてくれた、今年一番のニュースです。
タスクフォースの議論は始まったばかりです。
これから法制化に向け漂流しな
い様に、勉強会の運営にも力を入れてまいります。
13
議員連盟 勉強会
「 乳 が ん・子 宮 頸 が ん 検 診 促 進 議 員 連 盟 」設 立
女性の健康問題を解決するために、3月4日
「女性の健康週間」に因み、
「乳がん・子宮頸がん検診促進
議員連盟」
を設立いたしました。私がこの議連設立に対して抱いていた思いは、女性特有のがんについて
検診を促進することで、
自らの健康にも関心を持ち、女性として誇り・自信を育んでもらいたいという願いで
した。先進諸国の検診受診率が7割を越えているのに対して、我が国の受診率は4割程度に止まり、女性
の健康への関心の低さをうかがわせます。子宮がん検診の受診率向上などについては、昨年来委員会で
質問してきましたが、検診は市町村事業のため、国は市町村にお願いするに止まります。
そのため、本年は
「地域と国を繋ぐ乳がん・子宮頸がん検診促進全国大会」
を開催し、地方議員の皆さまと情報共有・意見
交換を行いました。私もパネルディスカッションの司会としてお手伝い
させていただきました。
また、
この議員連盟の活動が認められ、一般社
団法人シンクパール主催の「地球女性からだ会議@2015」において
大賞に選出されました。議連の活動は始まったばかりです。今後も専
門家や民間団体の皆さまのお力をお借りしながら、検診率向上に向
け施策を前進させてまいりたいと思います。
議員連盟 勉強会
「 ギャンブル 依 存 症 対 策 推 進 のための 超 党 派 勉 強 会 」設 立
昨年の通常国会の厚生労働委員会において質疑を重ねた
「ギャンブル依存症対策」
が新たな展開を迎
えました。
ギャンブル依存対策の遅れに対し問題意識を持っている超党派議員の勉強会が立ち上がり、発
起人の一人として勉強会に参画いたしております。
カジノを含む統合リゾート
(IR)
を推進する法案の議論
が盛んに行われている一方で、
ギャンブル依存症対策の必要性が漸く議論されることとなりました。今まで
パチンコや競馬競輪は遊戯でありギャンブルではないという国の建前があるため、諸外国と比較しても日
本はギャンブルが野放し状態でした。
ギャンブル機器の6割が日本にある現状で、我が国は実質ギャンブ
ル大国と言っても過言ではないのですが、
依存症の中でも薬物・アルコールに遅れをとっています。
今年はニュースなどのマスメディアを通じ、
野球賭博からギャンブル依存の怖さが認識されたところです。
「ギャンブル依存症対策推進フォーラム」
ではパネリストとして、現
状報告と今後の対策の在り方についてお話しさせていただきまし
た。
また、
ギャンブル依存回復施設「グレイス・ロード」
を視察させて
いただく機会もいただき、入所者の皆さまの社会で生き辛い本音や
後悔の念など、生の声を聞かせていただきました。今後も、
ギャンブ
ル依存症を考える会の田中紀子代表の熱い思いに我々も励まされ
ながら、
勉強会で提言を取りまとめてまいりたいと思います。
日本臨床外科 学 会
毎年開催される
「日本臨床外科学会 政党討論会」
に参加いたしました。参加するのは今年で3回目です
が、
トピックスを中心に、他党の医系議員(医師である国会議員)
と議論を戦わせる討論会です。
日頃、医系
議員は厚生労働委員会や医学的な議員連盟などで顔を合わせる機会も多く、
互いに立ち位置が分かって
いるだけに面白い議論が展開できます。
今回の論点は、
「医療と消費税」
「医師の地域偏在」の2つでした。医療は非課税ですが、医薬品や医療
機器・給食清掃などの委託料には消費税がかかり、損税が発生しています。病院が倒産する地域まで
現れ、医療界では消費税対策待ったなしの状態です。消費税10%になる際には、解決策を見出さねば
消費税の差額を還付してもらうシンプルな制度が良いと主張いたしました。
なりません。私の主張は0税率。
医師の地域偏在の問題解決には、女性医師の活躍が欠かせません。女性医師の就労環境整備が急務で
あることを訴えました。
マタニティ ー ハ ラ ス メ ン ト 調 査 が 実 施 さ れ ま し た
女性労働者へのマタニティーハラスメントによる雇い止めという観点で厚労省は調査を行っていないこ
とを、昨年10月28日に厚生労働委員会で指摘させていただきました。最近これほど問題になっているにも
関わらず、現状把握も出来ていないのであれば対策も打てないと主張し、早急に調査を依頼いたしました。
本年11月22日、厚生労働省は、
その実態調査結果をまとめ公表されましたが、妊娠・出産した女性で
「マタハラを経験したことがある」のは、正社員で21%、派遣社員で48%にも上り、予想以上に深刻な状況
が浮き彫りになりました。
この調査結果を受け厚生労働省は、マタハラ防止策強化のため、男女雇用機会均等法の改正を検討して
います。今後も経過を追いながら、女性の働きやすい職場環境改善のための提案を行ってまいります。
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九州大学大学院医学系学府 医療経営・管理学専攻(専門職大学院)の卒業生を代表して、
公衆衛生専門職大学院で学ぶ未来の学生に向けた薬師寺のメッセージが掲載されました。
2015年10月掲載
公衆衛生専門職大学院で学ぶ意義
九州大学大学院医学系学府医療経営・管理学専攻修了生 参議院議員 薬師寺みちよ
臨床しか知らなかった専門バカの私が専門職大学院で学んだこと、
それは大局的・多角的視点を持ち、
ロジカルシンキングやクリティカルシンキングを標準装備する重要性であった。
専門職ヒエラルキーを特徴とする医療界では、
これらのスキルを身に着ける機会は極めて乏しい。私も専門職大学院で、初めて様々
な職歴を持った仲間と徹底的に議論を交わす機会を得て、
その楽しさに興じた。
さらに講師の導きによって、
グローバルスタンダードで
物事を考える重要性に触れ、視野の狭さを恥じた。
この経験が自分の人生観を変え、新たなキャリアの道を切り開く大きな切っ掛けと
なった。
専門職大学院という即戦力を持った高度な専門職業人を育成するカリキュラムでは、医療版MBAと言われるに相応しく、
リーダー
シップ論や組織論など、社会の中で人・物・金・情報をマネージメントしていく方法論も学ぶ。今、正に、
この即戦力、
日本の医療・介護・
福祉を支える力が枯渇しているのである。
全国隅々に至るまで厚労省が舵取りを行ってきた医療・介護。福祉の金太郎あめ方式も限界を迎え、地方への権限移譲の波が止ま
らない。
とりわけ医療・介護のかじ取りは、一歩間違うと、地方財政が危機に瀕する可能性を孕んでいるため、地域特性を活かし医療・
介護をマネージメントできる人材は、地方の宝に等しい存在である。
地域医療構想について、国は地域医療介護総合確保基金への財政支援を行っているが、地域医療構想策定は都道府県任せ。医療
費適正化計画についても、都道府県が医療費の目標を定めなければならない。平成30年には国保の財源運営も、都道府県が責任を
負うこととなっている。医療提供体制の現状や患者の医療状況、地域の医療構想策定方法などに精通した専門家がほとんど存在しな
い中、都道府県の負担は重くなる一方である。
保健所もまた、災害・自殺・新型感染症・依存症対策など、新たに発生する社会問題に対し司令塔となることが要求されている。
しかし、
全国の保健所長の約1割は他の保健所長の職務を兼務しており、地域保健の現場も人材不足に見舞われている。
地域を動かし国を動かし、国家経営・地域経営の一翼を担う医療経営管理人材の育成が急務である。
私も、持続可能な社会保障制度の構築に社会的責任を見出し、歩み始めた。
今後も大学院で得た貴重な仲間と共に議論を交わしながら日本の未来を見つめ続けていきたい。
少子高齢化やグローバリゼーションのもと、
様々な健康・医療に関わる課題、
医療費など社会保障に関わる課題、
食の安全問題など、
人々の健康、
医療、
環境に関わる課題は多様化、
あるいは有害物質等による環境リスク、
複雑化しております。
この様な問題の解決には、
俯瞰的・システム的な思考が求められるため、
今後、
ますます公衆衛生分野専門職大学院での教育の必要性が増してまいります。
事 務所 か ら の お知らせ 『出張 国政報告会 & 意見交換会』を 行います!
★ 育児中のママさん ★ 医療・介護施設にお勤めの皆様 ★ 仕事をがんばっている女性 などなど
是非、意見交換をさせてください。少人数のグループでかまいません。
「小さな声を大切に」私 薬師寺みちよからのお願いです。
ホームページお問い合わせフォームにて、皆様のご連絡お待ち致しております。
薬師寺みちよ プロフィール
1989年
東京女子医科大学医学部 卒業
1989年
医師免許 取得
1996年
医学博士号 取得
2003年∼2010年
内閣官房構造改革 特別区域推進本部・評価委員
2003年∼2013年
愛知みずほ大学大学院 特任教授
2005年
九州大学大学院医学系学府
医療経営・管理学専攻
(専門職大学院)
卒業
2005年
医療経営・管理学修士号 取得
2005年∼現在
NPO 法人 からだとこころの発見塾 理事
2013年
参議院議員選挙 愛知県選挙区 初当選
2014年
第186回通常国会
厚生労働委員会・議院運営委員会・災害対策特別委員会所属
2015年
第189回通常国会
厚生労働委員会・予算委員会・地方消費者問題に関する
特別委員会所属
参議院議員
薬師寺 みちよ 事務所
国会事務所 〒100ー8962 東京都千代田区永田町2−1−1 参議院議員会館 1012号室
TEL.03−6550−1012 FAX.03−6551−1012
愛知事務所 〒460ー0002 愛知県名古屋市中区丸の内1−7−6 丸の内テラス604
TEL.052−201−3710 FAX.052−201−3720
2016 年 2 月号 Vol.2
http://www.yakushiji.info/
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