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オーストリア・バルカン地域における再生可能エネルギーの現状(その2)

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オーストリア・バルカン地域における再生可能エネルギーの現状(その2)
情報報告
ウイーン
●オーストリア・バルカン地域における再生可能エネルギーの現状(その2)
先月号に引き続き、2009 年 6 月 16 日にウィーン市内で開催された「西バルカン地域におけ
る再生可能エネルギー分野の可能性」の講演について報告する。主催はオーストリア貿易省
(Aussenwirtshaft Österreich:AWO)である。
4. アルバニアでの再生可能エネルギー
Elton Nastasi 氏、アルバニア商業投資局(AlbInvest)
4.1 アルバニア商業投資局(AlbInvest)の紹介
当アルバニア商業投資局(AlbInvest)は、2006 年 3 月に政府機関として設立され、経済貿
易エネルギー省(METE)の一員となった。当局の任務は、外国からの投資促進、中南欧向け輸
出などで、顧客重視の立場で精力的に活動する機関である。委員会は政府や企業の代表、およ
び世界各国からの委員 31 名で構成されている。
4.2 マクロ経済の安定化
アルバニアでは、2008 年には約 6%の持続的な経済成長を遂げ、またインフレ率は約 4%に
上った。直接対外投資については、2008 年には 6 億ユーロに達し、2007 年と比べて 24%の増
加を示した。2008 年の国民 1 人当たりの総生産は 6,800 米ドルに達し、2007 年と比べて 17%
の増加を示した。失業率も 13.2%にまで減少している。また輸出の伸びも著しく、2007 年と比
べて 2008 年は 16.5%の成長率を示している。
4.3 NATO と EU との関係
2009 年 4 月、アルバニアは NATO(北大西洋条約機構)に加盟した。すべての政党は NATO お
よび EU への加盟を支持し、実現のために必要な改革や変化に献身的に協力してきた。
また EU 加盟に関しては、2006 年 6 月 12 日ルクセンブルクにおいて、アルバニアは EU との安
定化・連合協定、および仮条約に署名した。2006 年 12 月 1 日現在、貿易および関連問題に対す
る仮条約が有効に機能している。さらに、EU 加盟の申請がまもなく受理される見通しである。
図 4-1 に直接対外投資額および条約締結の推移について示す。
直接対外投資額(百万ユーロ)
NATO 申請
NATO 加盟
安定化・連合協定
仮条約署名
出典:
「西バルカン地域における再生可能エネルギー分野の可能性」講演資料、
Elton Nastasi 氏、アルバニア商業投資局
図 4-1 アルバニアにおける直接対外投資額および条約締結の推移
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ウイーン
4.4 アルバニアへの投資の魅力
アルバニア南部は、風力発電施設建設の非常に大きな潜在性を有している。また年間の日照
日数が 250 日あることから、太陽エネルギー利用実現の潜在性も高い。
バイオマスエネルギーについては、アルバニアが強力に促進している再生可能エネルギーで
最も普及が進んでいるものである。水力発電については、潜在力の 3 分の 1 を利用している。
外国企業は、アルバニアにおいての 100%の所有権を認可され、また投資で得られた収益の
本国送還は自由に行うことができる。アルバニアは、投資家の利益を保護することでは、世界
で 2 番目の国である。また大抵の EU 加盟国との自由貿易協定も結んでいる。
2009 年からは電子納税システム(e-tax)および電子調達システム(e-procurement)の採用
を開始している。国庫負担も軽減され、税率は一律 10%、付加価値税は 2009 年に 20%から 17%
に引き下げられた。さらに 2009 年 5 月に、健康および社会貢献分野に関する税率軽減も行われ
ており、20%から 15%へ引き下げられた。
4.5 ERE(エネルギー調整局)の概要
ERE(Energy Regulatory Entity of Albania:アルバニアエネルギー調整局)は 1995 年にア
ルバニアに設立され、法的および市民向けの業務を行っており、産業界の利益や政府機関から
は独立した機関である。最終顧客への電力供給の継続性およびその確保を目的としている。
コストに基づいた透明性のある料金表を通して顧客の利益を保護すること、エネルギー分野
への許認可の交付や操業条件の監視なども、当局の業務内容である。
4.6 政府による再生可能エネルギーの支援政策
アルバニアはエネルギー共同体協定の要求に合わせる努力を続けており、アルバニアの最新
のエネルギー戦略はすでに完成しており、承認手続きに入っている。
再生可能エネルギーの開発は、この戦略の中で予見された目標の一つであり、供給の安全性
だけでなくクリーンエネルギー利用の促進も含まれている。特に太陽光パネルシステム装置の
建設、風力発電の開発に強い期待が寄せられている。
4.7 アルバニアのエネルギー問題
アルバニアが直面するエネルギー問題について述べる。コスト面に関しては、8 セント/kWh
が発電の直接コストとなることや、
2 ユーロ/kWh が組織の間接コストとなることが挙げられる。
(100 セント=1 ユーロ=約 137 円:2009 年 8 月現在)
またアルバニア国内では、エネルギー需要が 5~7%増加しているところであり、電力 99%を
水力発電から確保している。したがって電力危機は、雨が降らなくても、また雨が多過ぎても
起こり得ることになる。
これらの危機に対する我々の行動は、モンテネグロ~ギリシア間(アルバニアはこの両国間
に位置する)の下水道設置、エネルギー市場の自由化、さらにエネルギー生産の民営化のそれ
ぞれを進めている段階にある。
4.8 再生可能エネルギープロジェクトの計画
アルバニアのエネルギー調整局(ERE)は、ヴロラ州(アルバニア南西部)の 95,000 ヘクター
ルに及ぶ風力発電開発の認可を、イタリア Moncada 社傘下の Enpower Albania Ltd 社に与えた。
このプロジェクトは、
イタリア市場への電力販売可能な海底輸送線500MW 分の建設も含んでいる。
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アルバニア北西部での風力発電施設の開発および建設の認可を受けている他の企業もある。
内容は 78 基のタービンからなり、発電容量は 234MW に及ぶ。年間発電量は 7 億 5 千万 kWh、バ
イオマス潮汐発電プラントの発電容量は 140MW である。
さらに他の 6 社は、7 つの風力発電施設で全発電容量 676MW の開発および建設の認可を同調
整局より受けている。
またフランス Sogreah 社は、Vjosa 川、Semani 川、Drin 川における水力発電の潜在性につい
て、世界銀行からの補助金を受けて適用可能性に関する研究を行っている。
4.9 再生可能エネルギーに関するプログラム
アルバニアは UNDP、UNEP、GEF と共同で、5 ヶ年計画によるアルバニア国内での 75,000 平方
メートルに及ぶ太陽光パネルの設置を含む、太陽熱温水供給市場への参入を促進している。全
予算は 275 万米ドルを見込んでいる。
(UNDP:United Nations Development Programme→国際連合開発計画)
(UNEP:United Nations Environment Programme→国際連合環境計画)
(GEF:Global Environment Facility→地球環境ファシリティ)
イタリア政府によるプロジェクトは、クリーン開発メカニズム(CDM)や他の炭素市場メカニ
ズムに相応しいプロジェクトとして、アルバニア政府を援助するもので、約 500 万ユーロの基
金が用意されている。またこのプロジェクト同意の目的は、再生可能エネルギーに関する京都
議定書の 12 条に従って、
アルバニアにおけるいくつかの試験的プロジェクトへの参加および実
施である。
4.10 アルバニアが求めるもの
アルバニアがエネルギーに関して必要としていることを以下に示す。
①石油エネルギーと再生可能エネルギーの最適比の検討
②再生可能エネルギーへの外国からの投資と利益との最適比の検討
③選択可能な様々なエネルギーからの必要電力および熱量の確保
④中小規模水力発電からのエネルギー保証
⑤建設系廃棄物からのエネルギー生産
⑥風力および太陽光発電施設からのエネルギー生産
4.11 アルバニアにおける再生可能エネルギー支援についての課題
アルバニアにおける再生可能エネルギー利用拡大を継続的に支援するための、今後の課題を
以下に示す。
①再生可能エネルギーに関する新しい種類の法律の準備に対する技術的支援
②再生可能エネルギー料金表設定に対する技術的支援
③「グリーン」の認証手続きを取り扱う第二次立法は、まだ実現していない。また他の欧州各
国と共通で取り組む、
「グリーン」
の認証プログラムの設計に関する技術的支援が必要である。
④新しい国家エネルギー戦略の履行のための政治的支援
⑤再生可能技術に適切な税制と義務の検証に対する支援
⑥バイオマス市場の潜在性と経済的な評価の詳細な分析
⑦再生可能エネルギープロジェクトに対するカーボンファイナンス(排出権買取ファンド等)
を得るための技術的かつ組織的支援
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(参考資料)
・
「西バルカン地域における再生可能エネルギー分野の可能性」講演資料、
Elton Nastasi 氏、アルバニア商業投資局
5. ボスニア・ヘルツェゴヴィナアにおける再生可能エネルギーへの投資チャンス
Sabina DERVISEFENDIC 氏、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ外国投資促進協会
5.1 エネルギー分野の概観
ボスニア・ヘルツェゴヴィナにおけるエネルギー分野は、最も強力で将来性のある分野の一
つであり、長い伝統も持っている。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナにあるすべての発電施設からの電力発生容量は、約 4,000MW で
あり、うち 56%が火力発電、46%が水力発電施設からのものである。
2008 年における各エネルギーからの発電量および消費量について、表 5-1 に示す。
表 5-1 ボスニア・ヘルツェゴヴィナにおける発電量および消費電力量
発電量合計
13,942 GWh
水力発電
4,818 GWh
火力発電
8,933 GWh
小規模発電
191 GWh
消費電力量
12,241 GWh
出典:
「西バルカン地域における再生可能エネルギー分野の可能性」講演資料、
Sabina DERVISEFENDIC 氏、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ外国投資促進協会
5.2 再生可能エネルギーに関する国内規制
エネルギー政策、法律、規制および戦略開発は、内閣が担当する。エネルギー生産および輸
送に関する法律および規制は、
エネルギー省が担当する。
電力輸送および国際取引については、
国家電力規制委員会が担当する。許認可、料金体系、技術状況については、規制運用委員会が
担当する。エネルギー輸送および市場開発は、輸送企業 1 社が行う。発電、および消費者への
送電および電力供給は、4 つの私企業が行っている。
5.3 再生可能エネルギー(5MW 以下)に関する料金体系および購入価格
動力エネルギーに対する料金体系と、ハイシーズン時および 1 日のピーク時の価格が 10 ま
たは 20kV で種別され、ボスニア・ヘルツェゴヴィナおよびスルプスカ共和国へ販売するエネル
ギーの料金表となっている
発電形態による補正係数として、以下の数値が挙げられている。
-小規模水力発電
0.80
-バイオマスからのガス発電
0.77
-風力、地熱発電
1.00
-太陽光発電
1.10
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5.4 再生可能エネルギー源の利用可能性
小規模水力発電(5MW 以下)については、設置が計画されているのが 286MW、期待される年
間発電量は 963GWh、現在稼動中施設からの発電量は 37.7MW である。
風力発電については、約 2,000MW と見積もられている。太陽光発電については、70.5MWh の
利用可能性があるとされている。地熱発電のポテンシャルは 90.2MW、バイオマスについては、
薪や炭がボスニア・ヘルツェゴヴィナではエネルギー源として利用されている。
5.5 同意または条約
旧ユーゴスラビア地区が参加するエネルギー共同体条約からの、EU 法総体系への参加が、
2005 年 10 月 25 日にアテネで調印され、2006 年 7 月 1 日に施行された。
その代表例が Directive 2001/77/EC(EU 再生可能エネルギー指令)で、2001 年 9 月 27 日の
欧州議会および協議会において制定された、EU 内市場において再生可能エネルギーの使用によ
る電力生産を推進する規制である。
5.6 送電体系
電力輸送状況について、表 5-2 に示す。
表 5-2 ボスニア・ヘルツェゴヴィナにおける送電状況
送電線の公称電圧
長さ(km)
相互連結数
400kV
992
4
220kV
1,691
8
110kV
3,649
17
31
19
110kV-ケーブル線
出典:
「西バルカン地域における再生可能エネルギー分野の可能性」講演資料、
Sabina DERVISEFENDIC 氏、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ外国投資促進協会
さらに 0.4kV、10kV、20kV、35kV に減圧されて供給されている。
5.7 再生可能エネルギー推進策
再生可能資源からのエネルギーの全量が、既存送電網に受け入れられ、また相当の金額も支
払われる必要がある。再生可能資源から発生したエネルギー生産者への補助金については、発
電、送電、および操業者、分配者、供給者の独立したシステムをすべて含むコストを、生産者
に対して支払われるものとする必要がある。継続的な送電および資金回収に対する安全性も同
時に必要である。
またボスニア・ヘルツェゴヴィナにおけるビジネス環境については、安定した金融部門の存
在、貿易等の協定、法制度、諸税制についても諸外国に対して好意的であること、人件費も競
争力を持っていること、外国からの投資を支援するファンドの存在などから、ボスニア・ヘル
ツェゴヴィナに対する投資を大いに歓迎するものである。
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5.8 投資対象プロジェクトの概要
(1)PLOCNO 風力発電施設の基本概要
発電容量は 30~45MW、タービンモデルはクラス1(基準風速 50m/s、平均風速 10m/s 対
応型)を使用している。建設計画では、風の状況計測開始が 2006 年 10 月、操業開始が 2011
年、電力生産容量は年間 75~110GWh を計画している。
タービン数は 15 基、発電容量は 30MW、平均風速は高さ 30m 地点において 6.5m/s、電力
生産時間は年間 2,500 時間、全投資額は 4,000 万ユーロ、投資額回収は 13 年、IRR(内部投
資収益率:Internal Rate of Return)および ROI(投資利益率:Return on Investment)
は 4.5%を見込んでいる。
(2)PODVELEZJE 風力発電施設の基本概要
発電容量は 30~42MW、タービンモデルは同じくクラス1(基準風速 50m/s、平均風速 10m/s
対応型)を使用している。建設計画では、風の状況計測開始が 2005 年 10 月、操業開始が
2011 年、電力生産容量は年間 75~105GWh を計画している。
タービン数は 15 基、発電容量は 30MW、平均風速は高さ 30m 地点において 6.3m/s、電力
生産時間は年間 2,400 時間、全投資額は 3,750 万ユーロ、投資額回収は 13.5 年、IRR(内部
投資収益率:Internal Rate of Return)および ROI(投資利益率:Return on Investment)
は 4.5%を見込んでいる。
5.9 5MW 以下の小規模水力発電施設
ボスニア・ヘルツェゴヴィナの河川流域において、400 以上の小規模発電に適した場所が存
在している。また小規模水力発電建設の許認可の要求件数も増加しており、ボスニア・ヘルツ
ェゴヴィナの国家電力規制委員会が対応している。
(参考資料)
・
「西バルカン地域における再生可能エネルギー分野の可能性」講演資料、
Sabina DERVISEFENDIC 氏、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ外国投資促進協会
6.クロアチアへの投資
Nino PRSTEC 氏、クロアチア共和国貿易投資促進協会
6.1 クロアチアにおける再生可能エネルギー
エネルギー開発戦略、実現可能なプロジェクト、投資機会も十分あり。この 3 項目について
順次報告する。
6.2 エネルギー開発戦略の概要
クロアチアにおけるエネルギー分野での基礎的な目標として、エネルギー供給の安全性、エ
ネルギーシステムの競争力、持続可能なエネルギーの開発の 3 項目が挙げられる。
そのために、欧州規制 EU2001/77/EC(再生可能エネルギーに関する欧州規制)の遵守、全エネ
ルギー消費に対する再生可能エネルギー使用割合の規定、京都議定書に則した排出削減、環境保
護、輸入依存からの脱却、雇用の促進などが、エネルギー戦略として必要項目に挙げられる。
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6.3 2020 年までの義務
温室効果ガス排出量の 20%削減、再生可能資源からのエネルギー割合を 20%にすること、
エネルギー効率の 20%上昇、ガソリンおよびディーゼル燃料中へのバイオ燃料混合比率 10%、
電気エネルギー生産の 35%を再生可能資源(大規模水力発電もこれに含む)から賄うことが、
2020 年までの義務およびエネルギー開発戦略の主な項目として挙げられる。
図 6-1 に各国の人口 1 人当たりの温室効果ガス排出量(CO2 換算値)を示す。また図 6-2 に
クロアチアにおける再生可能エネルギーに関するプロジェクト数の推移の予測を示す。表 6-1
には、2020 年までに達成目標とする再生可能資源からのエネルギー生産量を示す。
国民 1 人当たりの温室効果ガス排出量(CO2 トン換算量)
出典:
「西バルカン地域における再生可能エネルギー分野の可能性」講演資料、
Nino PRSTEC 氏、クロアチア共和国貿易投資促進協会
図 6-1 各国の国民 1 人当たりの CO2 排出量
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- 合計
プロジェクト数
■ 地熱発電
■ 風力
■ 太陽エネルギー
■ バイオマス
■ 水力発電
■ バイオディーゼル
出典:
「西バルカン地域における再生可能エネルギー分野の可能性」講演資料、
Nino PRSTEC 氏、クロアチア共和国貿易投資促進協会
図 6-2 クロアチアにおける再生可能エネルギープロジェクト数の推移
表 6-1
2020 年までに達成目標とする再生可能資源からのエネルギー生産量
風力発電
1,200 MW
バイオマス
140 MW
小規模水力発電
100 MW
太陽光発電
45 MW
地熱発電
20 MW
廃棄物燃焼発電
40 MW
合 計
1,545 MW
出典:
「西バルカン地域における再生可能エネルギー分野の可能性」講演資料、
Nino PRSTEC 氏、クロアチア共和国貿易投資促進協会
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6.4 実現するプロジェクト
2009 年 3 月 1 日までに合計 287 のプロジェクト実施の要求が届いている。
うち、
風力は 164、
小規模水力発電施設が 63、太陽光発電施設が 29、バイオマスが 10、コジェネレーションが 8、
それぞれプロジェクト実施要求が届いている。
(図 6-3 参照)
風力発電では、ドイツ WPD 社の建設したウィンド・パーク・Krtolin(南部シベニク市近郊)
が 11.95MW の容量を持つ施設が一例である。
また同じくドイツ WPD 社の建設したウィンド・パーク・Orlice(同じく南部シベニク市近郊)
が 9.6MW の容量を持つ。建設費用は 1,000 万ユーロに上る。
180
160
プロジェクトの要求数
140
120
100
80
60
40
20
0
風力
小規模水力
太陽光施設
バイオマス
コジェネレーション
出典:
「西バルカン地域における再生可能エネルギー分野の可能性」講演資料、
Nino PRSTEC 氏、クロアチア共和国貿易投資促進協会
図 6-3 クロアチアに寄せられた再生可能エネルギープロジェクト実施要求数
6.5 太陽光発電-ソーラーモジュールの生産企業紹介
(1)Solvis 社、ヴァラジュディン市(クロアチア北西部)
資本金 500 万ユーロ、従業員数は 50 人。
出典:
「西バルカン地域における再生可能エネルギー分野の可能性」講演資料、
Nino PRSTEC 氏、クロアチア共和国貿易投資促進協会
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(2)Solaris 社、ノヴィグラド市(イストリア半島)
資本金は 1,500 万ユーロ、従業員数は 220 人、太陽光モジュール生産能力は年間 40MW で
ある。
出典:
「西バルカン地域における再生可能エネルギー分野の可能性」講演資料、
Nino PRSTEC 氏、クロアチア共和国貿易投資促進協会
6.6 太陽光発電-プロジェクト紹介
クロアチアで実施が具体的に計画されている太陽光発電プロジェクト 3 件を紹介する。
(1)NEXUS グループが“Solar Steam 50”プロジェクトを立ち上げ、土地 300 ヘクタール、予算
8,000 万ユーロを投じて、50MW の太陽光発電施設建設を計画している。
(2)ヴァラジュディン市(クロアチア北西部)においては、太陽光発電を中心とした再生可能
資源の技術拠点の設立計画を発表している。
(3)また Autocesta Rijeka-Zagleb 社(高速道路建設運営会社)では、Diracje~Orahovica
間(クロアチア北部を東西に結ぶライン)の高速道路上に太陽光発電施設の建設を計画し
ている。
6.7 バイオマス-プロジェクト紹介
前節同様に、クロアチアで実施が具体的に計画されているバイオマスプロジェクト 2 件を紹
介する。
(1)ゴスピック町(クロアチア沿岸中央部)に 3MW の地域熱供給施設を建設。
出典:
「西バルカン地域における再生可能エネルギー分野の可能性」講演資料、
Nino PRSTEC 氏、クロアチア共和国貿易投資促進協会
(2)Bioenergija 社(ヴコヴァル市、クロアチア東端)に、バイオガス工場が建設される予定
で、予算は 3,000 万ユーロ、電力は 10MW、熱量は 12MW、操業開始は 2010 年からとなって
いる。
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情報報告
ウイーン
(3)バイオディーゼル製造に関しては、次の 3 社を紹介する。
①Modibit 社、オザリ市(クロアチア北西部)
年間 20,000 リットルを生産し、輸出も行っている。
②Vitrex 社、ヴィロヴィチカ市(クロアチア北東部)
年間 6,000 リットルを生産し、ドイツへの輸出も行っている。
③Europa-mil 社、ヴコヴァル市(クロアチア東端)
現在進行中のプロジェクトで、年間 35,000 リットルの生産を計画。
6.8 投資の機会
2007 年 7 月 1 日よりクロアチアにおけるエネルギーに関する行動を開始しており、以下に示
す定義を持った活動を行っている。
(1)フィードインタリフ(固定価格買取制度)などの投資促進策の決定権付与
(2)再生可能資源からの電力買取の強制化
(3)HROTE(クロアチア・エネルギー市場運営公社)による、顧客へのネットワーク接続の義
務負担
(4)優良製造者資格の認証プロセス
6.9 再生可能資源およびコジェネレーションによる電力生産およびその料金システム
電力料金体系を作成するに当たり、魅力的な価格を決定する権利をエネルギー製造側に与え
ることを、市場管理側が与える必要がある。再生可能資源およびコジェネレーション施設から
の電力料金を算出するのに必要な要素として、①資源の種類、②電力および供給されるエネル
ギーの種類、③これら要素の適用に対する手段および状況、が挙げられる。
クロアチアにおける再生可能エネルギーからの電力料金体系について表 6-2 に示す。
表 6-2 再生可能エネルギー料金体系
エネルギー源
<1MW
≧1MW
0.64kn/kWh
0.65kn/kWh
10kW まで 3.4kn/kWh
刺激策なし
30kW まで 3.0kn/kWh
刺激策なし
農林業由来バイオマス
1.2kn/kWh
1.04kn/kWh
木材産業由来バイオマス
0.95kn/kWh
0.83kn/kWh
1.26kn/kWh
1.26kn/kWh
風力発電
太陽光発電
バイオマス
地熱発電
水力発電
0.42~0.69kn/kWh
バイオガス
1.2kn/kWh
1.04kn/kWh
液体バイオ燃料
0.36kn/kWh
0.36kn/kWh
1kn(クーナ:クロアチア通貨)=0.1365 ユーロ=18.51 円(2009 年 7 月現在)
出典:
「西バルカン地域における再生可能エネルギー分野の可能性」講演資料、
Nino PRSTEC 氏、クロアチア共和国貿易投資促進協会
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6.10 金融面における投資促進策
金融面での投資促進策として、経済労働企業省の協力、環境保護およびエネルギー効率に対
するファンドの利用が可能である。また金融面では、再構築および開発のためのクロアチア銀
行からの協力を得ることが可能である。
6.11 日照地図
クロアチアにおける日照エネルギー分布図を図 6-4 に示す。特にクロアチアの沿岸地域は年
間 2,600 時間の日照時間があり、理想的な状況にあると言える。
出典:
「西バルカン地域における再生可能エネルギー分野の可能性」講演資料、
Nino PRSTEC 氏、クロアチア共和国貿易投資促進協会
図 6-4 クロアチアにおける日照エネルギー分布図
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6.13 地熱分布地図
クロアチアにおける地熱分布図を図 6-5 に示すが、非常に大きな地熱利用可能エリアが存在
していることが分かる。
出典:
「西バルカン地域における再生可能エネルギー分野の可能性」講演資料、
Nino PRSTEC 氏、クロアチア共和国貿易投資促進協会
図 6-5 クロアチアにおける地熱分布図
(参考資料)
・
「西バルカン地域における再生可能エネルギー分野の可能性」講演資料、
Nino PRSTEC 氏、クロアチア共和国貿易投資促進協会
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