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ソウル - 出版文化国際交流会
第 15 回ソウル国際ブックフェア 名 称 15th Seoul International Book Fair 会 期 2009 年 5 月 13 日 ( 水 ) ~ 17 日 ( 日 ) 入場時間 13 日 ( 水 ) 9:00-19:00 14 日 ( 木 ) 10:00-19:00 15 日 ( 金 ) 10:00-19:00 16 日 ( 土 ) 10:00-22:00 17 日 ( 日 ) 10:00-20:00 会 場 COEX( 韓国総合展示場 ) 展示面積 14,733㎡ 主 催 ソウル国際ブックフェア実行委員会 大韓出版文化協会 テ ー マ Start over AGAIN with a Book ( もう一度、本から始まる ) 出 展 数 885 社 ( 国内 : 330、日本 : 232、 海外 : 153、ブック・アート : 42、 電子出版 : 9 など ) 参 加 国 19 カ国 アイルランド、アメリカ、イギリス、イタリア、インド、インドネシア、 韓国、シンガポール、中国、チェコ、タイ、台湾、ドイツ、フランス、 フィリピン、ベトナム、ポーランド、マレーシア、日本 テーマ国 日本 ( スローガン : 読書がつなぐ日韓の心 ) 入 場 者 110,559 人 内訳 13 日 ( 水 ) 9,460 人 14 日 ( 木 ) 12,200 人 15 日 ( 金 ) 23,140 人 16 日 ( 土 ) 33,755 人 17 日 ( 日 ) 32,004 人 入 場 料 一般・大学生 : 3,000 ウォン (255 円 ) 小・中・高生 : 1,000 ウォン (85 円 ) 小学生未満・65 才以上 : 無料 (1 円≒ 0.085 ウォン ) 報告:梶原 千歳 [( 社 ) 出版文化国際交流会 事務局 ] 韓国 はじめに 2009 年 5 月 13 日 ( 水 ) ~ 17 日 ( 日 ) の 5 日間、ソウル市内の COEX( 韓国総合展示場 ) にて 第 15 回ソウル国際ブックフェア ( 以下 SIBF) が開催された。昨年からテーマ国の制定が始まり、 2008 年は中国が現代的なパビリオンを作り上げた。そして今年は日本がテーマ国となったのだ が、その発端は 2007 年 6 月、大韓出版文化協会 ( 以下 KPA) の 60 周年記念祝賀会に出席した 日本書籍出版協会の小峰紀雄理事長と金原優副理事長が、パク・ミョンホ会長 ( 当時 ) より打診 を受けたことから始まる。同年 11 月、同協会の理事会にて正式に要請が承認され、翌 2008 年 4 月 1 日には第 1 回 SIBF2009「日本年」実行委員会が小峰氏を委員長に開催された。委員会 を構成するのは、次の 14 団体 ( 順不同 )。日本書籍出版協会、日本雑誌協会、自然科学書協会、 出版梓会、日本出版取次協会、日本書店商業組合連合会、出版文化国際交流会 ( 以下 PACE)、出 版文化産業振興財団、大学出版部協会、日本児童図書出版協会、日本電子出版協会、日本洋書協会、 文字・活字文化推進機構、ヤングアダルト出版会。また、国際交流基金 ( 以下 JF) が共催、在韓 国日本大使館公報文化院が後援した。 実行委員会は展示、催事、総務の 3 つの小委員会に分かれ、本会の石川晴彦専務理事は総務小 委員会に、筆者は展示小委員会へ出席することとなった。展示については、6 月 18 日に第 1 回展 示・催事合同委員会が日本書籍出版協会にて開かれた。2009 年 4 月 6 日を最後に計 6 回の展示 小委員会が持たれ、日本会場のレイアウトや展示分野、出品要領、販売の有無、ロゴ・スローガン、 出品図書の寄贈先など、展示のコンセプトから細かな実務まで議論された。 「日本年」開催までに は 1 年に及ぶ準備期間、関係者の努力があったのだ。 ソウルへ 5 月 11 日 ( 月 )、新型インフルエンザの拡大が取り沙汰される中、羽田から金浦空港へ飛んだ。 すでに韓国でも感染者が確認され、ブックフェアという多数の来場者が各地から訪れる場へ出張 することへ多少の不安もあったが、いざ現地に着いてみるとインフルエンザなどどこ吹く風、マ スク姿の人さえ見かけない。報道の仕方なのか、受け止め方なのか。 到着日はあいにくの雨、ホテルまで向かうタクシーの窓越しに見る風景が徐々に去年の記憶と 重なる。チェックインし昼食を取った後、JF の現地事務所であるソウル日本文化センターを石 川専務理事、落合博康と訪れる。迎えて下さったのは、日本語・日本研究部長の十河俊輔さん、 司書のシン・キュンミンさんとジュン・ジュリさん。翌日の設営と会期中のアテンドなどについ て打ち合わせる。 5 月 12 日 ( 火 ) 開会前日、昼前に会場入りし、設営状況を確認する。日本会場にはどこのブー スよりも早く棚が設置されている。図書の搬入は午後から。正午に十河さん、シンさんと合流、 午後 1 時には今回インフォメーション・デスクを担当してくれるアテンダントのチョウ・ヨン ソンさん、シン・ドンワン君、イム・ジフン君が到着し、総勢 7 名で JF/PACE の展示エリアと インフォメーション・デスクのセッティングに当たる。午後 6 時に無事終了し、本会の山口雅 己副会長 ( 大学出版部協会・理事長 ) と同協会の個別ブースを担当される京都大学学術出版会の 韓国 高垣重和さんをまじえ、ブックフェアの健闘を称えて会場近くの焼肉店で乾杯。韓国料理で英気 を養い、初顔合わせとなった方々とも知り合え良い懇親会に。明日からの 5 日間、順調に進み そうだ。 開会式 5 月 13 日 ( 水 )、 会 場 は 9 時 に オ ー プ ン。初日のみビジネス・デイということで、 出足は穏やか。開会式は予定通り 11 時に 始まった。昨年までは会場入り口前の渡り 廊下でテープカットが行われていたが、今 年は場内のイベントスペースである Book Lovers' Corner 1 で開かれ、KPA のペク・ソ クギ会長のスピーチから始まった。開会式 には韓国でも大人気 ( 後々目の当たりにす ることとなった ) の江國香織さんが参列し、 小ぢんまりとしながらも華やかなスタート となった。 11 時半には先ほどの参列者が日本館内のイベントスペースに移り、日本館開会式を行った。 小峰理事長の挨拶に続き、ペク・ソクギ会長、文化体育観光部のユ・インチョン長官代理、日本 大使館の重家俊範大使が祝辞を述べた。また、開会式では小峰理事長から国立中央図書館へ図書 の贈呈式が行われた。ブックフェア終了後、展示図書は同図書館へ寄贈される。なお、児童書に ついては多文化図書館への寄贈となる。 その後引き続き、書道のデモンストレーションへ。書道家・木下真理子さんが日本館外周 2 隅 に垂らされた真っ白な布に源氏物語を書作。観衆は台に登って滑らかに筆を運ばせる木下さんに 釘付け。木下さんは夜のオープニング・レセプションや 2 日目以降も意欲的にデモンストレーショ ンを続けた。いずれも観衆に囲まれ大盛況であった。 オープニング・レセプションは、日本書籍出版協会と KPA の共催にて午後 7 時から開かれた。 場所はブックフェア会場外のロビーを仕切った一角ということで、簡易なものを想像していたが、 ステージが設置された立派な立食パーティー会場が用意されていた。約 300 名の関係者が詰め 寄せ、 先の木下さんのデモンストレーションや日本舞踊が披露され盛大なレセプションとなった。 「日本年」展示 ブックフェア会場は Hall A( 以前の名称は太平洋館 ) とその半分ほどの Hall B( 前・インド洋館 ) の 2 館からなる。日本は Hall A のメイン入口正面に 495㎡の「日本館」を設置。館内は図書展 示スペース、インフォメーション・デスク、イベントスペース、書籍販売コーナー、ショーケー 韓国 スでの絵本の歴史紹介コーナーで構成され る。図書は、323 社の出版社から寄贈を受 けた約 2,800 点が分野別に展示された。分 野は、人文・社会、自然科学、家政学、文 学、児童、芸術、辞事典・学習・語学、趣 味・実用、雑誌・ムック、コミック、ビジ ネス、韓国関係図書、日本関係図書の 13。 また、分野ごとにより細かい分類表示がな された。 本会は JF との共催により、毎年ソウル 国際ブックフェアに出展している。今年は 「日本年」ということで、個別出展ではなく、日本館に図書を出品し協力することに決め、上記 13 の分野のうち、韓国関係図書 ( 日本で出版された韓国に関する図書 )、日本関係図書 ( 韓国で 出版された日本に関する図書 ) の展示を担当した。韓国関係図書 190 点は、歴史、政治、経済、 韓流、人文・社会、文化、料理、スポーツ、芸能、言語、文芸、出版の 12 の分類に分けて展 示。日本関係図書 190 点については、ソウル日本文化センターが現地の書店を通して集書、同 様に細かな分類に分けて展示を行った。この他、JF が発行する季刊書誌情報誌 “Japanese Book News” に掲載された過去一年分 (56 号~ 59 号 ) の図書 147 点を季刊誌の配布とともに紹介した。 また、第 2 回目となる国際交流基金ポラナビ著作・翻訳賞の受賞作、最終選考候補作の計 10 点 を日本語の原書と併せて計 20 点展示。賞の説明書きや授賞式の様子なども案内された。これに 加え、日本館の展示図書には英文が欠けているため、英文図書コーナーを設置し 44 点を展示。 また日本書籍出版協会からの要望を受け、催事関連の図書 42 点を出品、イベントスペース横の ステージイベント関連書籍コーナーに展示され、イベントごとに展示図書が入れ替えられた。JF と本会が出品した図書は合計すると 633 点、全体の約 2 割に当たる。両者で連携しての集書、 充実した内容になったのではないか。出展図書をまとめると下記の通り。 韓国関係図書190 点 日本関係図書190 点 Japanese Book News 掲載図書147 点 ポラナビ受賞作・最終選考候補作20 点 英文図書 44 点 催事関連図書 42 点 合計 633 点 ちなみに、日本館以外にも個別ブースが設けられた。出展したのは、文藝春秋、ポプラ社、大 学出版部協会、医学書院、シーエムシー出版、日本聖書協会、二玄社、トーハンの 8 社。また、 児童書の出版社 13 社が、日本の図書と韓国で翻訳出版された日本の図書を併せて展示する児童 書共同ブースを設置した。 韓国 インフォメーション・デスク 本会と JF では図書出展の他、期間中は、 主にインフォメーション・デスクを担当。 続々と訪れる来場者をテキパキと丁寧に応 対してくれる現地のアテンダント 3 名には 助かった。配布物は、 「日本館」 出展目録、 「日 本年」催事プログラム、“Practical Guide to Publishing in Japan”(PACE/JF 共 同 出 版 ) を中心に、 大学出版部協会の出展目録や「日 本館」出展目録に掲載されていない日本関 係図書の目録、東京国際ブックフェアのパ ンフレットなど。日本の出展社から随時持ち込まれるパンフレットや冊子なども配布した。「日 本館」出展目録と「日本年」催事プログラムは各 3,000 部用意され、前日に届けられた時には、 そのボリュームにデスクが隠れるほどで圧倒されたが、日を追うごとにどんどんとストックも 減っていった。またインフォメーション・デスク以外に、展示図書スペースでも配布を行った。 期間中特に多かった質問は、○○のイベントはどこでありますか?目録をもらえますか?○○ の本はどこ?買えますか?など。韓国語が分からない筆者も、徐々に要領を得てきて、イベン トスペースを指差したり、目録を手渡したり。はたまたブックフェアのマップを取り出し、Hall B はあちらですとジェスチャーで案内したり ( 会場全体のインフォメーションと勘違いして来る 人、 以外に多いのです! )。そのうちにアテンダントから「韓国語分かるんですねぇ」と茶々が入り、 必死になっていくつか言葉を覚える。勘では答えられない質問の時 Sorry ではぎょっとされるけ ど、韓国語で「すみません、韓国語分からないんです」と言えば、お互い苦笑い。その隙にすか さずアテンダントにヘルプをお願い。日々あらためて、言葉の大切さを痛感した。 販売は教保文庫が日本館に書籍販売スペースを設置し、対応。20%の割引がなされた。展示 図書については原則注文としたが、最終日の午後には一部販売が行われた。 インフォメーション・デスクには、一般来場者の他、出版関係者も訪れた。「日本年」である ことから多数の出版社や取次会社に会えることを期待している。話を伺い、適当な関係者を紹介 することもデスクの役割の一つとなった。この他、同様にメディアへの対応も行った。テレビ局 に関しては、分かっているだけでも全国放送の KBS や MBC、ケーブルテレビのカンナム GSTV、 アリラン TV の取材があった。また大手新聞の一面に日本館の写真が大きく掲載されるなど、注 目の高さを窺わせた。 「日本年」催事 「日本年」開催に向け、日本書籍出版協会は事前に昨年のブックフェアで来場者にアンケート 調査を行っていた。質問事項は、日本の図書で興味のある分野、来てほしい作家、興味のある伝 統文化、好きなコミック、 「日本年」に期待することの 5 つについて。催事や展示には大いに調 韓国 査結果が反映され、催事については、来場者からも日本側からも参加型が重視された。 目玉となったのは、サイン会。江國香織、辻仁成、吉田修一、神尾陽子、丘修三、恩田陸、相 原実貴などの有名作家やマンガ家が参加した。どのサイン会も大変な盛況ぶりであったが、特に 13 日 ( 水 )4 時から日本館イベントスペースで行われた江國さんのサイン会はすごかった。昼食 に出て戻ってくると、 日本館を囲む長蛇の列。それも 20 歳前後の女性がほとんど。イベントスペー スはまさに黒山の人だかり、背伸びしても江國さんを見ることはできず、かろうじて辻仁成さん との『右岸・左岸』の新刊発表ポスターが見えるだけだった。 サイン会の他にも、参加型の日本舞踊・三味線・鼓のワークショップや着物の着付け教室が賑 わいを見せた。また、紙芝居や赤ちゃんへの読み聞かせを紹介するブックスタート・セミナー、 読書推進シンポジウム、日韓出版セミナー、日韓印刷パネルトーク、絵本文化セミナーなど、気 軽に楽しめるものから専門的なものまで、多彩なプログラム構成となった。 アンケート結果 SIBF 実行委員会、JF、本会の三者名にて、期間中、アンケート調査を行った。実施は本会が担当、 インフォメーション・デスクや日本館を訪れた来場者に来場目的や興味のある分野、日本館の印 象などを尋ねた。会期 5 日間を通し、計 473 名の回答を得ることができた ( 集計結果は 7 ペー ジに掲載 )。 回答者は 9 割が女性、また 20 代が 6 割と、昨年と同様、若い女性が断トツに多い。職業は学 生が 4 割を占める。実際に 13 日 ( 水 ) のビジネス・デイ以降は、課外学習に来る中高生のグルー プが多くみられた。日本館のインフォメーション・デスクも資料を求める生徒たちに囲まれるこ とも多々。感想文などが宿題になっているそうだ。また金曜日には、保母さんに挟まれ 2 列になっ た幼稚園児のグループも。風船や着ぐるみに気を取られる園児を保母さんが上手に引率。SIBF は、 読書推進の場として大いに活用されている。 アンケート Q1 の日本館を訪れた目的は、 「①日本に関心があるから」が半数を占める。やは り展示図書への期待が大きい。 「③ビジネス」が 1 割に及ぶことも見逃せない。兼ねてより SIBF は一般読者向けと言われているが、対日本に関しては版権交渉などで訪れる関係者も多数。 韓国大手出版社からの売り込みや、フランス大手出版社からは児童書の版権に関心が寄せられ た。ちなみに、フランスは自国の出版物の宣伝、販売促進を目的としたフランス出版国際事務所 がブースを構え、多くの関係者が参加していた。 Q2 の興味深かった展示分野のトップは「児童」。Hall B が児童書館となっている通り、子連れ のお母さんが多く来場しており、教育熱の高さも窺える。これに次ぐのが、「芸術」と「文学」。 伝統芸能のワークショップやサイン会への関心の高さからも納得。 Q3 の日本館の印象では、図書数・種類、展示の仕方、アテンダントの対応を質問したが、「(4) 総合評価」が示す通り、4 段階評価の「満足」が 8 割となった。 Q4 を自由記述としたところ、率直に意見を述べる韓国、 「日本年」の反省点も見えてきた。複 数回答に上げられた「展示台の位置が高い」は、子どもが多く来場することを念頭に棚を設置す 韓国 べきであった。 「もっと本の説明を」では、展示図書には全てハングル語訳の書名、出版社名、著 者名を記したラベルを貼付したものの、 詳しい内容説明が求められた。Q4 の単数回答の中に「もっ と本の説明をしてくれるアテンダントを」や「もっと親切な説明を」 「積極的な案内が不足」とあ るが、本の梗概を作成すべきだったというよりも、アテンダントから話し掛けることが必要だっ たのではないか。これは、あくまでも推測だが、日韓の習慣の違いが考えられる。韓国のスーパー に入って驚いたのは、売り場ごとに店員さんがおり、見ているだけでどんどん商品説明を受けた こと。日本館でも同様に、こちらから説明していくことが求められたのかもしれない。 来場者からは「もっと○○を」との意見が多い。展示図書は約 2,800 点、この上個別ブース の出展もあり、催事も盛りだくさんと臨んだ「日本年」だが、来場者の期待度は高い。他の外国 と比べて、韓国では随分と日本文化が浸透している。大型書店ならまず日本書コーナーがある。 こういった状況の中、 「もっと、もっと」と希望されるのはもっともなことだろう。全てに応え ることは難しいが、今回の「日本年」が新たな関心を喚起する機会、お互いの知ってほしいと知 りたいを高める相乗効果の場にもなったと思う。 ブックフェア概要 昨 年 ま で の 会 場 時 間 は 10:00 ~ 19:00 であったが、今年は、初日は 1 時間早め た午前 9 時の開場、土曜日はなんと午後 10 時まで、日曜日は午後 8 時までとなっ た。ブックフェア会場は、ショッピング・ モールやレストラン、映画館、水族館を有 する一大複合施設である COEX( 韓国総合 展示場 ) 内に位置するため、集客力があり、 夜も訪れる人が絶えない。土曜日も朝から 続々と来場者が訪れ、細い通路では人に揉 まれながら前進する状態。しかし、午後 9 時にはめっきり人出も納まった。週末の時間延長は良い試みだったと思うが、午後 10 時までも は必要なさそうだ。 来場者数は計 110,559 人。土日は両日とも 3 万人を超えた。昨年の 205,423 人に比べると半 減しているように思えるが、昨年は入場が無料だったため、延べ数のカウントになっている。今 年は再入場者には退出時にスタンプを押すことでコントロールがなされた ( 再入場は可能 )。主 催者によると、来場者数は昨年よりも多かったそうだ。実際にアテンドしていても、そのように 思われた。 一般向け、読書推進を重視したブックフェアとあって、セールの看板を掲げたブースが多い。 割引率は 10 ~ 50%がほぼ。Hall B の児童書館では、1,000 ウォン (85 円 )、2,000 ウォン (170 円 )、 3,000 ウォン (255 円 ) 均一やワゴンセールが目立つ。一般書の価格は 1 ~ 2 万ウォン (850 韓国 ~ 1700 円 ) が多い。市場の 25%を押さえるオンライン書店では、少なくとも定価の 19%オフ で図書を購入することができる。やはり、こういった中、わざわざブックフェアへ足を運ぶ読者 の期待は高い訳で、出展者側も割引販売せざるを得ない状況だろう。 海外出展社については、日本を除いて 18 カ国 153 社の参加があった。昨年はテーマ国の中 国を除いて 24 カ国 157 社であったから、参加国数がやや減少したものの規模自体は例年並み。 地域はアジアと欧米がほぼ。タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インド ネシア、インドなどが小さいながらもブースを構える。台湾は共同ブースの他、台北国際ブック フェア主催の台北書展基金会が出展し、アジア諸国の中でも一番存在感があった。中国は昨年と 打って変わって 2、3 の共同ブースを出展したのみ。欧米からはフランスの他、ドイツ、アメリカ、 イギリス、イタリア、チェコ等が出展。欧米・アジアに挟まれ、異彩を放っていたのはサウジア ラビア。中東から唯一の出展であった。 最後に韓国の出版事情について。KPA の統計によると国内の出版社数は約 3,000 社、 うち 2,000 社はソウルに位置する。2008 年度 (1 ~ 12 月 ) の出版点数は 43,099 点 ( 前年比+ 4.9% )、発 行部数は 106,515,675 部 ( 前年比- 19.6% ) であった。また出版点数の 31.1%に当たる 13,391 点は翻訳書。日本からの翻訳が 4,592 点 ( うちマンガが 2,404 点を占める )、 これにアメリカ 3,992 点、イギリス 1,129 点が次いでいる。 来年の会期は 2010 年 5 月 12 日 ( 水 ) ~ 16( 日 ) の予定、テーマ国は未定。会場が COEX か ら郊外に移動するという話もあるが、公式発表はされていない。 韓国