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平成21年度 農林水産物等輸出ステップアップ推進委託事業 (日本産米の輸出促進) ロシアにおける米の市場動向 調査報告 平成 22 年 3 月 総合食料局食糧部食糧貿易課 (委託先:株式会社ジェイコム) 目 第1章 Ⅰ. 次 ロシア経済と消費市場の概要 ロシアの概要 1.ロシア国内政治の現状.......................................................................................................2 2.ロシア国際政治の現状............................................................................................2 Ⅱ. ロシア経済の概要 1.ロシア誕生からの歩み.............................................................................................3 2.ロシア経済の特殊性と今後の見通し..................................................................................4 Ⅲ.経済危機とロシアの消費市場 1.ロシアにおける経済危機の影響...........................................................................................6 2.ロシアの消費市場.........................................................................................................8 第2章 ロシアにおける米市場について Ⅰ.ロシアにおける米の生産状況 1.世界における米生産国としてのロシア............................................................................11 2.ロシア国内の米の産地及び生産量....................................................................................13 3.ロシアの米加工生産業者....................................................................................................16 Ⅱ.ロシアにおける米の輸入状況 1.ロシアの米輸入状況.........................................................................................................21 2.ロシアの米輸入相手国.....................................................................................23 Ⅲ.ロシアにおける米の流通・小売状況 1.ロシアの米の物流状況........................................................................................................25 2.ロシアの米輸入・卸業者.........................................................................................29 3.外国のロシア向け米輸出企業.........................................................................................36 Ⅳ.ロシアの米輸出状況.....................................................................................38 第3章 ロシアにおける米の消費者特性・市場動向. Ⅰ.ロシアにおける米の消費状況 1.ロシアの米消費量の動向................................................................................................39 2.ロシア国民の米の消費について........................................................................................40 3.ロシアにおける米の消費市場の状況...............................................................................42 Ⅱ.消費者アンケートによるロシア人の米の消費者動向調査............................................48 第4章 ロシア向け日本産米輸出促進について Ⅰ.日本産米のロシア向け輸出状況 1.日本産米のロシア向け輸出額の推移..........................................................................59 2.日本産米のロシア向け輸出の現状................................................................60 3.日本産米のロシア向け輸出ルート......................................................................61 Ⅱ. ロシアの米市場における日本米消費状況 1.業務用米市場における日本米消費状況 1)欧州地域.................................................................................................................63 2)極東地域......................................................................................................66 2.小売用米市場における日本米消費状況 1)欧州地域.....................................................................................................69 2)極東地域..........................................................................................................................73 Ⅲ.日本産米のロシア向け輸出促進のための課題.....................................................................76 Ⅳ.日本産米のロシア向け輸出実務.............................................................................................78 Ⅴ.日本産米のロシア向け輸出拡大案.........................................................................................86 資料 ロシアの米小売価格調査表 第1章 ロシア経済と消費市場の概要 Ⅰ.ロシアの概要 国土面積: 1,708 万 Km2 (日本(38 万 Km2)の 45 倍、地上面積の 1/8) 国内に時差帯を 11 個持ち、1,000km 超の大河を 58 本有する。(日本最長 の信濃川の長さは 367km) 人 口: 1 億 4,190 万人(世界第 9 位、2009 年) 100 以上の民族を有する多民族国家(ロシア人種は総人口の約 8 割を占め る) 宗 教: ロシア正教、イスラム教、仏教など多宗教国家 首 都: モスクワ 政治体制: 人口 1,051 万人 連邦共和制 元首ドミトリ・メドべージェフ (2008 年 5 月大統領就任(1 期目)、任期 4 年、1965 年生まれ 首相ウラジミール・プーチン(前大統領)、外相セルゲイ・ラヴロフ 議会制度: 上院(連邦会議 178 議席、各連邦構成体の行政府・立法機関の代表各 1名で構成) 下院(国家ドゥーマ 450 議席、比例代表制) 1 1.ロシア国内政治の現状 1991 年ソビエト連邦が崩壊し、ロシア連邦が誕生した。故エリツィン元大統領の 下でロシアは民主化、資本主義化を押し進めるが、急進的な経済体制の移行過程で ロシア経済は落ち込み、治安が悪化、中央連邦政府の地方政府に対する管理能力が 低下したほか、チェチェン戦争に追われた。さらに大統領と議会が対立した挙げ句、 1993 年には議会派が立てこもった最高会議ビルをエリツィン大統領の命令で戦車部 隊が砲撃する モスクワ騒乱事件 が起こるなど、1990 年代のロシア国内は混乱の 極みにあった。 しかし、2000 年にプーチン前大統領(現首相)が就任後、地方行政府を掌握、与 党「統一ロシア」で議会を管理し、税制・行政・社会保障制度改革を進めて国内を 安定化させるとともに、オリガルヒ(新興財閥)の統制、メディアの支配確立、エ ネルギー産業の再編を進めた。チェチェン戦争も終結させ、経済の成長基盤を形づ くることに成功した。2008 年にはプーチン氏の盟友、メドベージェフ氏が大統領に 就任。プーチン氏は首相となり、いわゆるタンデム政権(二頭政治)となっており、 強権政治との批判はあるものの、国内は安定した状態を保っている。 2.ロシア国際政治の現状 国際政治面では、ロシアは欧州の一員を自認し、ドイツやフランス、イタリアな どのいわゆる「古い欧州国家」と好関係を築いている。一方、「新しい欧州国家」 であるポーランドやバルト諸国等との関係には旧ソ連時代のしこりを残している。 米国とは 2001 年のアメリカ同時多発テロ(9・11)事件で テロとの共闘 と の名目で協調したが、2003 年のイラク戦争ではロシアが開戦反対に回り、2004 年以 降のウクライナ、グルジアの民主化革命と東欧ミサイル防衛計画では米ロは対立し、 ロシア・ウクライナ間の天然ガス供給問題やグルジア紛争も勃発して、ブッシュ政 権時代は米ロは冷たい関係が続いた。2009 年に米国オバマ大統領が誕生し、米ロ関 係は雪解けの兆しが見えたが、両国の警戒感は根深いものがある。 ロシアは、中国とは上海協力機構や東シベリアパイプラインによる原油の供給増 加を通して関係強化を進めている。日本とは北方領土問題が依然として残っている が、サハリン開発案件やトヨタなど自動車メーカーのロシア進出で、日ロ経済関係 は発展しつつある。 2 Ⅱ.ロシア経済の概要 名目 GDP: 1 兆 6,766 億米ドル( 日本は 4 兆 9,238 億米ドル、08 年) 一人当たり GDP: 11,807 米ドル(日本は 38,559 米ドル,08 年) 主要産業:鉱業(石油、天然ガス、石炭、鉄鉱石、金等)、鉄鋼業、機械工業、化学 工業、繊維工業など 貿易規模:輸出 4,716 億米ドル(燃料等鉱物製品、金属貴石、化学品ゴム、等) 輸入 2,919 億米ドル(機械設備、化学品ゴム、食料品農産物、等) (主要貿易相手国:EU、中国、ウクライナ、ベラルーシ、日本、トルコ等、08 年) 失業率: 7.8%(08 年末、ILO 方式) 外貨準備高: 4,125 億米ドル(08 年、世界第 3 位) 通貨単位:ルーブル(1 ルーブルは約 3 円 2010 年 2 月現在) 1.ロシア誕生からの歩み ソ連邦崩壊(1991年12月)以後、政治・経済・社会体制の大転換を余儀なくされ た新生ロシア連邦は、 ショック療法 と呼ばれる急進的な経済改革を断行した結 果、1992年にはインフレ率が2,600%に達するなど未曾有の経済混乱に陥った。GDP 成長率は7年連続で下落し、生産高はソ連時代の半分に落ち込んだ。その後、ロシ ア経済は一時的に立ち直りを見せたものの、1998年8月には原油安、為替安、株安の トリプル安から金融危機を迎え、再びマイナス成長に転落した。 しかし、危機対応策としてのルーブル切り下げ効果と、2000年代の国際的原油価 格の高騰、ロシア第二代目大統領に就任したプーチン氏の安定政治により、1999年 からGDPはプラス成長に転じ、その後10年連続で平均6.6%の高い経済成長を達成し、 折からの中国、インド、ブラジルの経済成長と重ね合わせられ、新興経済国家群 BRICs として世界の注目を浴びるようになった。 この景気拡大を生んだ最大の原因は原油価格の高騰で、ソ連時代末期から1バレル 20ドル前後で推移してきた原油価格が、プーチン政権となった2000年以降は右肩上 がりで伸び、メドベージェフ大統領に政権のバトンをタッチしたあとに急激な下落 をしている。 3 メドヴェージ ェフ 大統領 WTI原油価格推移 140 ゴルバチョフ・ペレ ストロイカ期 アンドロホ ゚フ、チェルネンコ 第一書記 エリツィン時代 プーチン 時代 120 (USD/バレル) 100 80 60 40 20 2009M3 2008M8 2008M1 2007M6 2006M1 2006M4 2005M9 2005M2 2004M7 2003M1 2003M5 2002M1 2002M3 2001M8 2001M1 2000M6 1999M1 1999M4 1998M9 1998M2 1997M7 1996M1 1996M5 1995M1 1995M3 1994M8 1994M1 1993M6 1992M1 1992M4 1991M9 1991M2 1990M7 1989M1 1989M5 1988M1 1988M3 1987M8 1987M1 1986M6 1985M1 1985M4 1984M9 1984M2 1983M7 1982M1 1982M5 1981M1 1981M3 1980M8 1980M1 0 国際原油価格の推移とロシアの政権 2.ロシア経済の特殊性と今後の見通し ロシアは鉱物、森林、水産など豊富な天然資源を有する国家で、特に石油と天然 ガスの生産・輸出に関してはサウジアラビアを凌ぐ世界トップレベルのエネルギー 大国である。ロシアのエネルギー産業は同国総輸出額の 6 割以上、連邦予算歳入の 4 割以上を稼ぐ同国最大の産業となっている。 一方、非エネルギー産業も、1998 年の金融危機後のルーブル安、欧米からの資本 流入、そして、旺盛な国内消費に支えられ、2000 年代にロシア経済復活の波に乗っ た。 資源ナショナリズム が懸念される天然資源セクターに比べ、ロシアの消費 セクターは 2000 年代にはリベラルな政策に則り、外国資本が積極的に誘致され、ビ ール部門など外資がほぼ独占している分野も見られるようになっている。 ただ、ロシア経済の復活は何よりも国際資源価格の高騰に多くを負っている。ロ シアの GDP 成長率と Urals 原油価格(ロシア原油価格指標)の推移を見ると、明ら かな相関関係が見て取れる。特に 2008 年の原油価格の大幅な下落は 2009 年のロシ ア GDP の 7.9%減少という景気後退の結果をもたらした。 ロシアはソ連時代よりロケットから自動車、日用雑貨、食品などあらゆる製造業 を有しているが、それは国家発注に基づく官僚的・定型的なものづくりであったた め、製造業の国際競争力では劣り、大量の物資を外国から輸入している。一方、基 4 幹産業は資源採掘に依存しており、この構造がロシア経済の不安定さを生み出して いる。ロシアの政権トップは、国内の付加価値産業を育成し、経済構造改革を断行 すると宣言しているが、改革は遅々として進んでいない。 2012 2011 -3.0% 2010 $40 2009 -1.0% 2008 $50 2007 1.0% 2006 $60 2005 3.0% 2004 $70 2003 5.0% 2002 $80 2001 7.0% 2000 $90 1999 9.0% 1998 $100 1997 11.0% $30 -5.0% $20 -7.0% $10 -9.0% $0 GDP成長率 Urals原油価格(年間平均)㌦/bbl ロシアの GDP 成長率と原油価格の推移(出典ロシア財務省、Rosstat、2010 年以降は推定値) ロシアは、産業構造の脆弱さ、金融基盤の小ささ、人口減少問題、インフラ老朽 化、地域・職種・年代による大きな所得格差問題など、多くの問題を抱えている。 その一方で、ロシアは、世界最大のエネルギー大国で、数々の天然資源に富み、IT や宇宙・軍需産業など高度技術を保有し、教育レベルが高い良質の人的資源を擁す る国でもある。従って、中長期的には明るい見通しが示されており、消費関連でも 大きな潜在力を持っている。 現在の原油価格の高止まりもあり、経済危機後のリバウンド期待は大きく、ゴー ルドマンサックスなどの金融機関は 2010 年のロシアの経済成長率を 4%以上と推計、 ロシアの経済復活に期待している。 5 Ⅲ.経済危機とロシアの消費市場 1.ロシアにおける経済危機の影響 上述の通り、1998 年の金融危機後の 1999 年から 10 年もの長く、高い成長を続け てきたロシア経済は、リーマンショック後の世界的な金融・経済危機の影響を受け て再び大きく後退した。ロシアの金融市場はグルジア侵攻ショックも併せて、外資 の急激な引き上げに見舞われ、ロシア株式市場(RTS)は 2008 年 5 月の最高値から 5 ヶ月で 8 割も下落。それまで外国資本に依存していたロシアの民間企業は短期融資 の借り換えに奔走した。ロシア中央銀行によると 2008 年のロシアの資本流出は 10 兆円以上と膨大で、この外資引き上げはルーブル安を引き起こし、ルーブルレート は最大で対ドル 57%の下落をみた。ロシア中央銀行はルーブル防衛のため大規模市 場介入を実施、その結果、最高期には約 60 兆円あったロシアの外貨準備高はその 1 /3、20 兆円以上が流出した。 外貨準備高と対ドル・ルーブルレート推移 (2008年1月∼09年8月) 22 61 0 外 貨 準 備 高 (10億 ド ル ) 26 28 51 0 30 46 0 32 対 ド ル ・ ル ー ブ ル レ ー ト ( R U B / U S D ) 24 56 0 34 41 0 36 36 0 2 0 0 9 / 8 / 1 4 2 0 0 9 / 7 / 3 2 0 0 9 / 5 / 2 2 2 0 0 9 / 4 / 1 0 2 0 0 9 / 2 / 2 7 2 0 0 9 / 1 / 1 6 2 0 0 8 / 1 2 / 5 2 0 0 8 / 1 0 / 2 4 2 0 0 8 / 9 / 1 2 2 0 0 8 / 8 / 1 2 0 0 8 / 6 / 2 0 2 0 0 8 / 5 / 9 2 0 0 8 / 3 / 2 8 2 0 0 8 / 2 / 1 5 2 0 0 8 / 1 / 4 外貨準備高 RUB/USD ロシア政府は金融危機対策で20兆円規模の経済支援策を打ち出し、295社にのぼる ロシアの主要企業を各産業界から選出し(いわゆる プーチンのリスト )、政府 の支援対象として保護方針を明確にして、金融危機における倒産パニックを封じる ことに成功した。一方、事業会社向け支援資金として政府から大手銀行に投じられ た資金の多くが、焦げ付き不安のため事業会社への融資実行に至らず、外国債券の 購入等に向けられてしまい、ルーブル安に拍車をかける結果となるなど、金融支援 策が全て有効に機能したとは言えない。しかしながら、金融危機以降の1年3ヶ月間 で、ロシア政府が国内銀行に対して注入した3兆円以上の資金によって、経済危機の 第一波は食い止められた。 6 ロシア経済の第 2 のエンジンである個人消費も信用収縮の影響を受け停滞し、失 業率は一時 9.4%まで上昇し、地方を中心にデモが頻発した。2005 年から 2008 年ま での 3 年で約 3 倍値上がりしていた不動産業界は、一気に冷え込み、モスクワの建 設ブームに乗った開発プロジェクトは、工事停止に追い込まれた。金融機関の住宅 ローンと自動車ローンは貸し出し条件が厳しくなり、2009 年のロシア自動車販売は ほぼ半減した。今回の金融危機を境として、それまでエネルギー価格高騰で水面下 に隠れていたインフレ問題、不動産・消費ローンのバブル状況、金融市場の脆弱さ など、ロシア経済の問題点が一気に表面化した格好だった。 経済危機の結果として、ロシア経済は 2008 年第 4 四半期から減速を始め、2009 年 は GDP 成長率が 7.9%減と大きく落ち込んだ。しかし、2009 年前半を底として、そ の後は緩やかな回復の傾向を見せている。 ロシアの主要経済指数(2005 - 2009年) 2005 2006 2007 2008 2009 GDP成長率(前年比) 6.4% 6.7% 8.1% 5.6% -7.9% 1人当りGDP(米ドル) 5,229 6,859 9,449 11,807 − 鉱工業生産指数(前年比) 4.0% 3.9% 6.3% 2.1% -10.8% 消費者物価上昇率(前年比) 10.9% 9.0% 11.9% 13.3% 8.8% 設備投資増加率 (前年比) 10.7% 13.5% 21.1% 9.1% -17.0% 失業率 (年末) 7.7% 6.9% 5.8% 7.8% 8.2% 為替レート (年末、ルーブル/米ドル) 28.78 26.33 24.55 29.38 31.75 出典:Rosstat、ロシア中央銀行 7 2.ロシアの消費市場 ロシアは BRICs(Brasil, Russia, China, India の頭文字をとって名付けられた新興経 済国家群の通称)の一国として注目されたが、経済危機の中で 2009 年の GDP 成長 率の速報値・予測値としては、中国が 8.7%増、インドが 6.4%増、ブラジルが 0.2% の減少に比べて、ロシアは 7.9%の減少と、際だって経済危機の影響を受けており、 もはや ロシアは BRICsの一員としては見られない との声もでてくるような不振 となった。当然、ロシアの消費市場も収縮しているが、ソ連崩壊から厳しい経済状 況を生き延びてきたロシア国民にしてみると、今回の経済危機はそれほど大きなも のではないという声も多い。 実際に 2000 年代のロシア国民の所得の伸びは非常に高く、1999 年から 2007 年ま での実質所得の増加率はほぼ 10%以上の二ケタの伸びを毎年続けていた。この所得 増加は、ソ連時代に良い商品がなく、ロシアの自由貿易によって大量に流入した西 側の商品に対するロシア国民の消費熱に火を付けることとなり、小売売上高も毎年 二ケタ成長を続けた。2009 年には経済危機により、この小売市場の成長に急ストッ プが掛かったが、ロシアの消費市場は、日本や欧米のような成熟した消費市場と異 なり、潜在的な消費欲は非常に強い。 従って、経済危機が去るとともに、このロシアの強い消費欲が戻ってくることに より、日本を始めとする欧米産の高品質製品の購入が、再び強い伸びを示す可能性 は高いと見られている。 実質可処分所得 商品小売販売高 消費者物価指数 25% 20% 20.2% 15% 18.6% 15.1% 12.0% 12.0% 12.4% 13.3% 13.3% 12.1% 11.1% 8.7% 10% 11.7% 15.0% 10.4% 8.8% 11.9% 10.9% 9.0% 5% 1.9% 1.9% 0% -5% 2000 9.0% 2001 11.0% 2002 9.3% 2003 8.8% 2004 13.3% 2005 2006 12.8% 13.9% 2007 16.1% 2008 2009 13.5% -5.5% -10% ロシアの実質可処分所得、商品販売高、消費者物価指数(出典:Rosstat、ロシア中央銀行) 8 ロシアといえば、一部の裕福なビジネスマンと一般市民の給料の差が非常に大き い、所得の格差問題で有名だが、2000 年代には中間層が大幅に増加した。1999 年に はロシアの 1 人当たり GDP は 1,341 米ドルだったが、2008 年には 11,807 ドルに至っ ている(2009 年は GDP の大幅な減少で再び 1 万ドルを割り込む予想)。 以下の、ロシアの一人当たり月収別人口構成推移を見てみると、月収 80 ドル以下 の構成比は 2000 年当時全体の半分以上だったものが、2007 年には 3%以下に減少し、 逆に 320 ドル超の所得層は、2000 年当時 3%以下だったものが、2007 年には半分以 上を占めるようになっており、中間層の増加を確かに示している。 2.5 9.7 6.6 12.3 6.6 1.5 5.2 15.2 18.4 16.4 22.3 31.1 3.1 8.6 6.1 10.1 (単位%) 12.7 16.5 24.2 28.3 27.1 35.1 30.4 34.5 36.2 35.1 32.4 32.8 56.7 28.5 28.1 41.9 1,000ドル超 600ドル超 320ドル超600ドル以下 160ドル超320ドル以下 80ドル超160ドル以下 80ドル以下 21.9 29.2 18.3 16.2 12.3 7.1 4.3 11.9 2.6 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 ロシアの一人当たり月収別人口構成の推移(出典:Rosstat) ロシアの消費市場を地域別で見てみると、1 千万人以上の人口を抱える大消費地で ある首都モスクワと周辺のモスクワ州、第 2 の都市であるサンクトペテルブルグ (人口約 4.6 百万人)が大きな消費市場で、連邦管区別で中央管区となる。また、チ ュメニ州などの油田地帯の小売高も大きい。 日本に地理的に近い極東地域は、日本の面積の 15 倍もの広大な土地に、約 7 百万 人ほどの人口しかいないため、消費市場規模としては決して大きくないが、日本海 を挟んで飛行機で 1 時間半の近さと、心理的な日本に対する親近感、日本の中古車 や日用品を扱う輸入業者の数が多いことなどから、日本製品の販売が活発に行われ ており、無視できない市場となっている。 9 <ロシア小売売上高地域ランキング(2006)> 地域名 小売売上 Share 1. モスクワ市 21.1% 2. モスクワ州 5.8% 3. サンクト・ペテルブルグ市 4.0% 4. チュメニ州 3.7% 5. スヴェルドロフスク州 3.5% 6. クラスノダール州 3.1% 7. サマーラ州 3.1% 8. バシュコルトスタン共和国 2.7% 9. ロストフ州 2.7% 10.タタルスタン共和国 2.5% 北西管区 9% ウラル管区 10% 人口 Share 7.4% 4.7% 3.2% 2.4% 3.1% 3.6% 2.2% 2.9% 3.0% 2.6% 極東管区 4% 中央管区 35% シベリア管区 12% 南部管区 12% 沿ボルガ管区 18% ロシアの連邦管区別小売売上シェア(2006 年、出典:Rosstat) BRICs諸国中の比較でも、ロシアの1人当たり GDP は4カ国のなかで最も高く、 ブラジルの約 2 倍、中国の約 3 倍、インドの約 5 倍ほどの高い数値となっている。 また、携帯電話の普及率、識字率などをとってもロシアの優位性が垣間見える。 ロシアの BRICs 諸国との比較−ロシアの先進国的要素(2008 年) ロシア 人口(100万人) 人口増加率(%) 1人当りGNI(ドル) (資産10億ドル以上の人数、Forbes2009年発表) 平均寿命(歳)* 幼児死亡率(1,000人当り人数)* 識字率(%)* 携帯電話加入者(100人当たり台数) (注)* 2007 年。(出典:ロシア NIS 貿易会) 10 141.8 ▲0.2 9,620 (32) 66 14 99 132 ブラジル 191.6 1.3 5,910 (13) 72 19 89 78 インド 1,123 1.4 950 (24) 64 62 61 30 中 国 1,320 0.6 2,360 (28) 72 20 91 48 第2章 ロシアにおける米市場について Ⅰ.ロシアにおける米の生産状況 1.世界における米生産国としてのロシア ロシアの国家としての歴史は、9世紀のノブゴロド公国やキエフ大公国を源と されており、ロシアの伝統的な食文化も古くから形成されていたと推測される が、米は熱帯から温帯で耕作されるため、主に北方の冷帯に属するロシアの気 候風土には米の栽培は合わなかったため、米がハンガリーとウクライナ経由で ロシアにもたらされたのは15世紀に入ってからと遅かった。 ロシア帝国による米の試験的な耕作は18世紀前半のピョートル大帝によるペ ルシャ侵攻後に始まったという。少量がアストラハン地方やスタブローポリ地 方で栽培された。本格的な米の耕作が始まったのは1950年代のフルシチョフ時 代の農業政策によるもので、現在、ロシアの南方、黒海沿岸の南部連邦管区の クラスノダール地方と極東連邦管区の沿海地方で米の耕作を行っており、特に ここ数十年でロシア国民の消費穀物の中に確実に根付いてきている。 ロシアは穀物生産では、中国、米国、インドに次ぐ世界第4位の穀物大国であ り、生産量では大麦、ライ麦、オーツ麦で世界第1位、小麦で第4位を占めてい る。一方、米の生産では、米の収穫面積、生産量とも非常に小さく、2007年の 統計によると、収穫面積・生産量とも世界全体の0.1%に過ぎず、日本の生産量 とも比べても10分の1以下の数字となっており、小麦の生産・輸出では世界4位 であることと比べても対照的な状況だ。 世界の米の収穫面積・生産量推移 国名 2005年 収穫面積:Ha 世界計 2006年 生産量:Mt 収穫面積:Ha 2007年 生産量:Mt 収穫面積:Ha 生産量:Mt 154,833,838 632,271,515 155,792,215 641,636,358 155,811,821 659,590,623 1 中華人民共和国 29,116,400 182,055,138 29,201,200 183,276,048 29,179,116 187,397,460 2 インド 43,659,800 137,690,100 43,810,000 139,955,008 43,770,000 144,570,000 3 インドネシア 11,839,060 54,151,097 11,786,430 54,454,937 12,147,637 57,157,436 4 バングラデシュ 10,524,067 39,795,618 10,579,000 40,773,000 10,732,000 43,057,000 7,329,200 35,832,900 7,324,800 35,849,500 7,201,000 35,867,500 1,706,000 11,342,000 1,688,000 10,695,000 1,673,000 10,893,000 136,700 574,610 156,200 680,610 157,000 704,544 5 ベトナム 10 日本 − ロシア 資料:FAO「FAOSTAT」 11 ロシアにおける米の生産は、穀物全体の生産内訳の中でも、主要な穀物生産 物である小麦(68%)や大麦(20%)に比較して少なく、そのシェアは耕作面 積で 0.4%、収穫量では 1%にとどまっている。 ロシアの穀物収穫量シェア(%) 蕎麦, 0.6 米, 1.0 ライ麦, 5.0 アワ, 0.3 オート麦, 6.0 オーツ麦 6% 小麦, 67.1 大麦, 20.0 2009 年の穀物収穫量におけるシェア(出典:ID-Marketing、Greenwich plus9、特に明記なき場合、 第 2、3 章の表・グラフの出典は以下同様) しかし、規模は少ないながらも、最近のロシアにおける食生活の多様化や健 康志向ブーム、日本食ブームなどから米の消費は増える傾向にあり、耕作面積、 生産量とも 2004 年から 2008 年まで右肩上がりで増えている。 ロシアの米耕作面積・生産量推移 (千Ha) (千トン) 180 800 160 700 140 600 120 500 100 400 2000 2001 2002 2003 2004 耕作面積(左軸) 12 2005 2006 生産量(右軸) 2007 2008 2.ロシア国内の米の産地及び生産量 ロシアの気候上の特性から、米の耕作はロシアで最も南に位置する地方での み可能となっている。米の作付は国内 10 地方にて行われており、その中の 8 地 方が連邦南部管区に、2 地方が極東管区に属している。 米の耕作面積は、2004 年から安定して増加しているが、これには消費の伸び の他に、ロシア政府の米の輸入代替政策が関連している。但し、ロシアは、気 候条件上、最近需要が伸びている長粒種米の耕作には適していないため、輸入 米を全て国内生産に切り替えることは困難といえる。 2009 年、ロシアで米を耕作している 10 地方の内、8 地方において米の収穫量 は前年度を上回った。全体的にロシアでは 2008 年比で 23%以上の収穫の伸びを 記録した。管区別では、全ロシアの米の収穫量のうち、約 96%が南部連邦管区 で、約 4%が極東管区において収穫されている。 2008 年と 2009 年のロシア地方別の米収穫量 (単位:千トン) 2008 地方 脱穀前重量 2009 脱穀後重量 脱穀前重量 2009 年脱穀後 脱穀後重量 重量前年比(%) 844.2 738.3 1,003.6 908.1 123.0 821.1 718.4 961.5 871.7 121.3 12.7 11.5 10.7 10.3 90.3 24.5 22.4 24.6 21.6 96.6 19.7 17.4 23.6 20.7 119.5 1.2 1.0 1.3 1.1 105.1 クラスノダール地方 690.3 601.3 800.4 727.1 120.9 アストラハン州 23.3 21.0 32.9 28.4 135.4 ロストフ州 49.4 43.9 68.0 62.4 142.1 23.0 19.9 42.1 36.3 182.8 沿海地方 21.4 18.5 39.2 34.3 185.7 ユダヤ人自治州 1.6 1.4 2.9 2.0 143.4 ロシア全土 南部連邦管区 アドゥイゲ共和国 ダゲスタン共和国 カルメキア共和国 チェチェン共和国 極東連邦管区 13 地方別では、2009 年に最も収穫量実数が多かったのはクラスノダール地方で、 脱穀後重量で前年比 125.8 トン増加、伸び率は 20.9%を記録した。2 位はその隣 にあるロストフ州だった(2008 年比で 18.5 トン増加)。 収穫の増加率で首位に立ったのは沿海地方で前年比 85.7%だった。これにより 沿海地方は 2009 年に全ロシアの地方別収穫量で 3 位になっている。 カルメキア共和国 2% アストラハン州 3% アドゥイゲ共和国 1% ダゲスタン共和国 3% 沿海地方 4% ロストフ州 7% クラスノダール地方 80% ロシア連邦の地方別の米収穫量シェア ロシアにおいて 2009 年に収穫量で前年を上回った穀物は米のみで、その他の 穀物は不作だった。米については1ヘクタール当たりの収穫高が伸び、クラス ノダール地方では、1 ヘクタール当り 66.6 ツェントネル(脱穀前重量)という 記録的な数字となった。 14 2009 年の地域別の米収穫高(単位:ツェントネル/1 ヘクタール) 2008 2009 地方 脱穀前重量 脱穀後重量 脱穀前重量 脱穀後重量 ロシア全土 52.6 46.0 57.0 51.6 南部連邦管区 54.1 47.3 60.3 54.7 アドゥイゲ共和国 49.0 44.3 41.9 40.7 ダゲスタン共和国 32.4 29.5 36.5 32.1 カルメキア共和国 36.4 32.1 40.6 35.7 チェチェン共和国 16.7 14.1 21.1 18.4 クラスノダール地方 59.6 52.0 66.6 60.5 アストラハン州 32.8 29.5 38.2 33.0 ロストフ州 38.7 34.4 45.9 42.1 極東連邦管区 27.0 23.3 25.2 21.7 沿海地方 26.3 22.7 24.6 21.6 ユダヤ人自治州 42.0 35.5 37.4 25.1 2009 年に米の収穫高が伸びた原因は、天候条件が良かったこと、農業機械、 特に灌漑用システムへの投資が実を結んだこと、病気・害虫に対して耐久力の ある高収穫の米品種が導入されたこと、などが挙げられる。また、ロシア政府 による米の輸入制限や季節的関税の導入などの保護貿易政策が、商品価格水準 を押し上げ、収益性の確保に繋がったことで生産者の生産意欲を刺激したと言 われている。 現在、ロシアの米産業に対する支援策として、優良種の購入や土地改良対策 への助成金が与えられている。助成金の総額は 2009 年末時点で1トン当り 7,000 ルーブル(約 2 万円)で、2008 年にはこの目的で連邦予算から 3,200 万ルーブ ル(約 9,500 万円)が割り当てられた。 ロシア政府は「2010 年∼2012 年のロシアにおける稲作の復興及び発展」プロ グラムによって米の耕作支援策を打ち出し、2010 年には米の生産量を 10 万トン 増やし、この分野の収益性を 6∼7%向上させる計画となっている。 15 クラスノダール地方には、70 年以上の歴史を誇る「全ロシア米科学調査研究 所」が存在しており、同研究所は稲作技術の改善及び開発、ロシアの条件に適 した種の品種改良を行っている。ロシア領内において生産されている米の主な 品種は、短粒種と中粒種であるが、これらは世界で最北部における稲作という こともあり、厳しい気候でも高い収穫率を得るために先端テクノロジーを駆使 した品種改良による生産増加に向けた研究が行われている。 3.ロシアの米加工生産者 ロシアの大手の米加工生産者は、スラヴャンスキー穀物製造コンビナート、ア ンゲリスキー穀物エレベーター、パルトフスキー穀物製造コンビナートの 3 社 だが、これらは全てロシアの大手穀物生産・卸企業ラズグリャイ(Razgulyai) グループの傘下にあり、ある情報によるとロシア産米の総加工量の 90%以上を 占めるという。但し、2009 年下半期にはラズグリャイグループがアンゲリスキ ー大穀物倉庫の株式売却を行うと伝えられている。 LLC «Razgulyaikrupa»社 ООО «Разгуляйкрупа» 141070, Russia, Moskovskaya oblast', Korolev city, Tsilkovskij Str., d. 14/16, pom. VI Tel.: +7 (495) 510-17-21 LLC «Razgulyai-krupa»は、大手のロシア農業産業複合体ラズグリャイグループ に属し、同グループは、運営会社、穀物会社、砂糖会社、農業会社、そして商 社から成り立ち、北西管区、ロシアの中央黒土地帯、沿ボルガ管区、コーカサ ス北部、南ウラル、西シベリア地方など、18 のロシア連邦構成主体で企業活動 を行っている。 現在ラズグリャイグループは、同社の管理下にある土地を耕し、最新の穀物 栽培技術を導入することにより、積極的な生産開発を進めている。同グループ の近未来の戦略は、自社の基礎資源の拡大、高収益部門への集中、生産の近代 化にプログラムに基づいている。同グループの 2008 年の連結売上げは 364 億ル ーブルで、純損失が 62 億ルーブルだった。LLC «Razgulyai-krupa»には、3 社 16 (Славянский КХП, Ангелинский элеватор и Полтавский КХП)と蕎麦加工工場 ((株)「Gerkules」)が属している。 (株)パルタフスク穀物製造コンビナート ОАО «Полтавский комбинат хлебопродуктов» 353807, Krasnodarskij krai, Krasnoarmeiskij raion, stantsya Poltavskaya, Tsentral'naya Str., 60. Tel.: (86165) 4-20-81 E-mail: [email protected] [email protected] (株)パルタフスク穀物製造コンビナートは、パルトフスカヤ鉄道駅に近い クラスノダール州・ケルチから 7 キロの地点にある。利便性の高い交通インフ ラにより、原料輸送及び商品の消費者への供給条件は有利となっている。同コ ンビナートは、ロシア国家仕様(GOST)の米、技術仕様(ТУ)の米、白米を砕 いたもの、ライスフレーク、子供用食品向け米、蕎麦などを製造している。 (株)スラヴャンスキー穀物製造コンビナート ОАО «Славянский комбинат хлебопродуктов» Krasnodarskij krai, Slavyanskij raion, Slavyansk-na-Kuban', Druzhby Narodov Str., 63 Tel: (86146) 4-03-30, Fax: (86146) 4-16-48 E-mail: [email protected], [email protected] 同コンビナートは、クラスノダールスク地方の「スラヴャンカ・ナ・クバニ」 (Славянска-на-Кубани)市の南西部に位置している。敷地面積は 27 万 2599 平 米。同コンビナートには鉄道連絡線があり、最寄のノボロシスク港までは 88 キ ロ。GOST の高級品種米、GOST 仕様の米、GOST 仕様の屑粉米、養鶏場向け飼 料、養豚場向け飼料、放牧牛向け飼料などを製造している。2008 年には 6 万 4,600 17 トンの米と 3 万 4,700 トンの飼料を製造した。加工原料穀物総量は、22 万 9,400 トンで、内訳は小麦 5 万 6,300 トン、大麦 1 万 2,600 トン、米 12 万 2,700 トン、 トウモロコシ 1 万 200 トン、豆 6,900 トン、オート麦 700 トンだった。 (株)「アンゲルスク穀物エレベーター」のプロフィール «Ангелинский элеватор» 353840, Krasnodarskij krai, Krasnoarmeiskij raion, St. Staronizhesteblievskaya, Batareinaya Str., 4 Теl./fax: (86165) 97-4-01, 4-29-22, 97-4-33, 4-29-22 E-mail: [email protected] [email protected] [email protected] (株)アンゲルスク穀物エレベーターは、グループ会社ラズグリャイの傘下に あるクラスノダール地方における最大の精米工場の 1 つ。2007 年の米の生産量 は 4 万 9,400 トン。2008 年の売上高は、4 億 5,890 万ルーブルで、純利益は 1,060 万ルーブルだった。2008 年には米生産工場の第 2 エレベーターの再築が行われ、 高い技術の輸入設備が設置されたことによって生産効率と商品品質の向上が可 能となった。同社が生産している商品は、第 1 級の米、粉砕米、米粉など。 ロシアの農業者で収穫された米のほとんどは、上記のような関連加工会社へ と持ち込まれるが、全体の 3.4%分は直接外食チェーンへ、また 3.7%が企業間の バーター取引を通じて市民に販売されている。ロシアの米の販売量は 2003 年か ら収穫量の増加のテンポに合わせて伸びている。 18 2003 年∼2008 年のロシアにおける米の販売量 カルメキア共和国 2% 沿海地方 1% (単位:トン) アストラハン州 1% ダゲスタン共和国 2% その他 1% ロストフ州 6% クラスノダール地方 87% 2008 年の地方別米の販売構造 生産者価格は 2001 年以降、安定した水準で推移している。ロシア統計局によ れば、クラスノダール地方を擁する南部連邦管区の 2009 年の 1 トン当りの平均 価格は 20,282 ルーブルで、2008 年比で 8.3%増加した。2009 年末に向けて米の 収穫量が記録的に増えたことから、トン当たりの値段は値下がりしたが、総じ て米の生産者価格は伸びており、2000 年の価格からほぼ 3 倍の価格水準に達し ている。 19 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 2008 年~2009 年の米の生産者価格の推移(単位:ルーブル/トン) ロシアで生産される米のほとんどが南部連邦管区で栽培されているため、南 部管区の価格が、事実上ロシア全土の米生産者価格(1 トン当り 20,263 ルーブ ル)とほぼ同様になる。一方、極東連邦管区の平均の生産者価格は、1 トン当り 24,451 ルーブルと南部連邦管区に比較して高くなっている。 20 Ⅱ.ロシアにおける米の輸入状況 1.ロシアの米輸入状況 2000 年から 2009 年にかけてロシアの米の輸入量は、全般的に減少傾向にある。 これは、国内の米生産量の増加、政府の国内産業支援の強化、輸入関税政策の 変更等に関連している。2002 年の米輸入量(約 48 万トン)に比較すると 2009 年の米輸入量は約 23 万トンとほぼ半減している。 2000 年∼2009 年の米の輸入供給量の推移 (単位:トン) ロシア当局は、米の輸入関税率を頻繁に変更するとともに、外国米の品質が 低いことを理由に米の輸入制限措置を取るなど、米に関しては、一貫して保護 主義政策を取ってきた。 2007 年には、ロシア農業監督局の輸入米の品質に関する管理強化の結果、輸 入量は著しく減少した。さらに、世界の米市場でも、米の生産・在庫が減少し、 国内消費が増えたことで、ベトナム、インド、エジプトなど、米の主要輸出国 が 2007 年下半期から 2008 年初にかけて米の輸出規制や輸出禁止措置をとった。 また中国は 2008 年 1 月より米に対する輸出関税を設定している。 21 ロシア当局の米輸入規制の例 2006 ・ 9 月 29 日・・・米国米が輸入禁止(ドイツ企業「 Bayer CropSciences」 の遺伝子組み換え米が米国で販売されたため) ・ 12 月 4 日・・・生産地・国を問わず一時的輸入禁止(輸入米に多 くの遺伝子組換え米が発見され、輸入検疫許可証の発行停止) ・ 12 月 11 日・・・生産地・国を問わず、特定通関拠点 3 港(カリー ニングラード、サンクトペテルブルグ、ノボロシスク)のみ輸入可 能として全面輸入禁止が解除 2007 ・ 3 月 19 日・・・パキスタン米が輸入禁止 ・ 5 月 1 日・・・タイ米が一時輸入禁止(バンコクからノボロシスク 港に運び込まれた米の中から害虫の死骸が発見されたため) ・ 6 月 5 日・・・インド米が第 3 国経由の輸入も含めて一時輸入禁止 (同年 4 月にサンクトペテルブルグ港に保管中のインド米からア フラトシキン B1 が検出されたため) ・ 7 月 20 日・・・インド米に対する一時輸入禁止措置が解除 ・ 9 月 1 日・・・・米・もみ米の輸入許可港に、ナホトカ、ボストー チヌィが追加、その後、ウラジオストク、スホプゥートゥニィ港も 追加 2008 ・ 1 月 28 日・・・インドからの米輸入禁止。害虫が発見されたため ・ 3 月 1 日・・・タイ米の輸入解禁(ロシアとタイの農業省間で、品 質証明書整備を含む安全・品質に関する相互協力協定が締結された ため) 2009 ・ 11 月中旬・・・・ハバロフスクの米輸入再開 ロシアの米の輸入の特徴の一つとして、長粒種の輸入が多いということがあ げられる。これはロシアの同種生産が少ないことに起因している。ロシアの主 要な米生産地であるクラスノダール米の 2009 年種類別生産シェアを見ると、 94%が短粒種、中粒種が 5%、長粒種が 1%以下となっている。クラスノダール 地方では、2014 年に向けて、短粒種のシェアを 79%にまで減らし、中粒種は 18% まで、長粒種は 3%まで増加する計画だが、それでもロシアの長粒種輸入は必要 不可欠となっている。特に、 野生米 やバスマチ種は輸入に大きく依存して いる。 2000 年∼2006 年の総輸入量における長粒米のシェアは概ね 35∼56%だったが、 過去 3 年は、国内生産量が増加したため短粒米や中粒米の輸入量が減り、長粒 米の輸入シェアが 80%以上に達している。 22 短粒種米 7% 中粒種米 7% 破砕米 1% 長粒種米 85% 2009 年の輸入米の種類別構成(%) 2.ロシアの米輸入相手国 過去 10 年間、ロシアの米輸入相手国のトップ 3 の顔ぶれは、ほとんどベトナ ム、タイ、中国の御三家が順位を変えながら、上位を占めてきた。一方、2009 年には、それまで米輸入相手国の常連であったインドとカザフスタンからの輸 入量が大きく減少しトップ 5 の座から陥落し、代わりにパキスタンとウルグア イが米の供給者として浮上した。ウルグアイは 2006 年にロシア市場に参入を開 始したばかりで、短期間でロシアにとって大きな米の取引相手となった。 ロシアの主要な米輸入相手国シェアの推移 国名 ベトナム 2000-2007 の平均シェア 2008 2009 25.7% 19.9% 32.5% タ イ 16.4% 51.6% 27.7% 中 国 36.2% 12.0% 17.1% パキスタン 2.3% 0.8% 9.8% ウルグアイ 0.3% 2.4% 5.9% 23 ベトナムは、世界でトップ 3 に入る米の供給国で、ベトナム産米の価格はタ イ産米よりも安いため、輸出量が増加している。2009 年のロシアのベトナムか らの輸入量は 75,732 トンで第 1 位となっている。現在、インドやタイという他 の 2 大生産国の輸出量が減少しているため、今後もベトナム米の存在感は大き くなると見られている。 タイは最近数年間、ロシア農業監督局の規制・輸入禁止措置に加えて同国の 米の不作もあり、ロシア向け輸出量を増やすのは厳しい状況だが、アジア近隣 諸国の需要が増加しており、米の輸出量は今後増えると見られている。2009 年 のロシア向け輸入量は 64,496 トンで第 2 位。 中国は、2006 年までロシア向け米の輸入量でトップであったが、2007 年には ロシアの検疫安全基準に則らない米の輸入違反の結果、輸入停止措置が取られ、 さらには中国自身の輸出規制によってロシア向け米の輸入量が減少した。2009 年は 39,929 トンで第 3 位となっている。 ロシアの相手国別米輸入量推移(2003 年∼2008 年) 輸入先 タ イ ベト ナム 中 国 カザフ スタン インド ウルグア イ エジ プト 米 国 パキスタ ン ベル ギー その他 合計 2003 39,043 116,577 259,616 6,014 21,273 0 37 2,123 2,362 3,290 3,989 454,325 2004 106,450 107,304 130,103 66,386 7,321 0 23,074 2,433 14,327 5,176 4,275 466,848 2005 58,322 81,879 127,511 30,976 22,230 0 21,731 4,640 23,053 4,040 1,981 376,362 2006 35,708 58,678 136,807 17,620 48,449 260 5,874 4,686 27,692 3,866 1,061 340,700 (単位:トン) 2007 80,451 39,083 10,265 31,668 45,938 4,122 1,868 287 5,761 529 3,096 223,068 2008 139,091 53,652 32,129 19,031 8,024 6,514 2,741 2,312 2,262 566 3,351 269,672 ベトナムとタイは、ロシアへ長粒種米を輸出しているがその 99%以上が長粒 種となっている。また、ロシア向け長粒種米は、パキスタン、ウルグアイ、ブ ラジルからも輸入されている。短粒種米は、エジプト、中国、韓国がロシアに 輸出しており、中粒種米は、イタリアや米国から輸入されており、カザフスタ ンからは主に粉砕米が輸入されている。 24 Ⅲ.ロシアにおける米の流通・小売状況 1.ロシアにおける米の物流状況 2009 年の米の国内鉄道輸送量は 36,165 トンで、米の主な発送業者は、中国米 の主要な供給拠点の1つであるハバロフスクの運送会社 LLC「KOMPAS DV」だっ た。中国米は 2007 年にロシアの輸入が禁止となったが、2009 年の年末からロシ アへの輸出を再開したため、同社の輸送量も増加した。同社は「Pervaya Krupyanaya Kompaniya」を主要取引先に持ち、運搬量のシェアは 34.4%を占めた。 第 2 位の LLC「NOVOTEK plus」は、ノボロシスク港における輸出入貨物輸送と 倉庫ロジスティックの複合サービスを行っている。同社の 2009 年のロシアにお けるシェアは 31.6%を占めた。一方、ロシア大手の米生産企業「スラヴャンスキ ー穀物製造コンビナート」の鉄道輸送におけるシェアは 0.2%にとどまっている。 2009 年のロシアにおける主要な米の運送業者 (単位:トン) シェア, % № 発送業者 1 KOMPAS DV 12,456 34.4 2 Novotek Plus Company 11,442 31.6 3 Spektr - Terminal 3,938 10.9 4 Primtorg - DV 2,735 7.6 5 TIGRON 1,757 4.9 6 MORTRANSBUNKER 600 1.7 7 VREMYA 404 1.1 8 ZABAIKAL'SKAYA GRUZOVAYA KOMPANYA 340 0.9 9 TRANS- EKSPRESS, ООО 251 0.7 10 GRASP KOMPANY 196 0.5 11 LLC «KUBAN'» 173 0.5 12 TRANZIT 72 0.2 13 LOGISTIKA EKSPEDIROVANIE SERVICE 71 0.2 14 TYNDALES LESOPROMYSHLENNY KOMPLEKS 69 0.2 15 VOSTSIB CONTAINER 68 0.2 16 スラヴィヤンスキー穀物生産コンビナート 68 0.2 1,525 4.2 36,165 100.0 その他 合 計 25 運送量 2009 年の輸送業者の地方別シェアで見ると、ロシア産米の主要な生産基地で あるクラスノダール地方のシェアは 33.4%となっている。同地方からの輸送は、 「Novotek Plus」、LLC「Kubani」などの企業により行われている。 LLC 合弁企業「Kubani」(ООО «СП Кубань») Krasnodarsij krai, Krasnoarmeiskij raion, stantsya Mar'yanoskaya, Pervomaiskaya Str.,7 Теl.: +7 (86162) 96265 LLC 合弁企業「Kubani」は、米を含む様々な穀物の生産を行っている。また同社は穀物、 全粒粉の小麦粉、細粒などその他の穀物商品の生産も行っている。 一方で、アジアから極東地方を経由して大量の輸入米が入ってきていること から、極東・沿海地方の輸送業者のシェアが大きくなっており、全体の 47.9% を占めている。沿海地方、クラスノダール地方、サンクトペテルブルグ市は、 輸入米の荷揚げ地であると同時に、鉄道輸送の発送基地であることが分かる。 2009 年の輸送業者地方別米の鉄道輸送量・シェア(単位:トン) № 地方の発送業者 1 沿海地方 17,308 47.9 2 クラスノダール地方 12,077 33.4 3 サンクトペテルブルグ市 4,036 11.2 4 チタ州 940 2.6 5 アルタイ地方 421 1.2 6 アドィゲ自治州 404 1.1 7 スタヴローポリ地方 205 0.6 8 ノヴォシビルスク州 157 0.4 9 モスクワ市 122 0.3 10 スヴェルドルフスク州 103 0.3 392 1.1 36,165 100 その他 合 計 26 計 シェア、% 2009 年における米の鉄道輸送の発送先は 172 社だが、その 22%は、輸送業者 「Transkonteyner」によって占められ、第 2 位は米の卸売業者の「Mistral Trading」 だった。また、米の鉄道輸送の輸送先の 18.2%はモスクワの会社であり、その主 要な相手先企業は LLC「Mistral Trading」、 「Ochakovo」、そして LLC「Ovoshnaya group」等だった。 2009 年のロシア鉄道輸送における米の主な発送先 (単位;トン) № 貨物発送先 1 Transcontainer Center 7,953 22.0 2 Mistral' Trading 2,355 6.5 3 Bakaleya Holding 677 1.9 4 Podol'ski' Eksperimental'ny Mukomol'ny Zavod 670 1.9 5 UL'TRA 670 1.9 6 APN Proizvodstvenno – Kommercheskoe Predpriyatie 656 1.8 7 Pervaya Krupyanaya Kompanya 643 1.8 8 RESURS 539 1.5 9 OVOSCHNAYA GRUPPA 492 1.4 10 ATOMPROMKOMPLEKS 475 1.3 11 ELEKTROIZDELYA 475 1.3 12 ТК ZAPSIBTRANSBLOK 472 1.3 13 МАКFА 472 1.3 14 PARUS – PLUS 462 1.3 15 Ufimski' Khleb 408 1.1 16 Кing – Plus 408 1.1 その他 18,338 50.7 合 36,165 100 計 27 重量 シェア(%) 「Mistral Trading」(«Мистраль Трейдинг») 119285, Moscow, Pudovkina d. 4, Теl: (495) 741-7888 「Mistral Trading」社は、ロシアにおける米、穀物、豆、ローシュガーの大手生産者 で、「Finn Crisp」、「Kikkoman」、「Zelenyi Velikan」、「Darbo」、「Del Monte」、 「Billington’s」、「John West」、「Mazzetti」、「Campbell’s」、「Melitta」などの商標 商品の大手ディストリビューターでもある。2008 年には同社の数あるブランドの中に、 フレーク、加熱用お米・穀類パック、新しいプレミアム米シリーズなどが加わっている。 輸入米の主要な部分は、沿海地方、モスクワ市、サンクトペテルブルグ市、ノ ボシビルスク州などに輸送されている。モスクワやサンクトペテルブルグでは、 様々な生産国の多様な米が販売されているが、ノボシビルスク州ではベトナム 産とタイ産米が多く、沿海地方では、輸入米の大部分を中国産が占めている。 2008 年の地方別輸入米の購入シェア 地方名 シェア(%) 沿海地方 38 モスクワ市 16 サンクトペテルブルグ市 16 ノボシビルスク州 9 ハバロフスク州 7 カルムィキア共和国 5 アルタイ地方 3 その他 6 合 100 計 輸入米購買量の変化を見てみると、ノボシビルスク州やサンクトペテルブル グ市の企業の買い付けが伸びている一方、モスクワ市や沿海地方への輸入のト レンドは下降している。中国の輸入規制の影響が大きいと見られている。輸入 品の主要部分は、卸売業者・小売用パッキングメーカーなどに納入されている。 28 2.ロシアの米輸入・卸業者 2009 年の米の輸入業者となったのは 75 社で、2008 年の 65 社から増加した。 最 大 手 は 「 ProdGamma-Grein 」 で 輸 入 量 は 41,356 ト ン 、 2 位 は 「Prodprogramma-Impul's」社で同じく 36,975 トンだった。両社のシェアの合計 は 33.6%となる。「Prodprogramma-impulis」は 2008 年に海外から 6 万トン以上 の米を買い取っていた。 2009 年のロシアにおける輸入米購買企業(単位:トン) 会社名 購買量 ProdGamma- Grein 41,356.0 ProdProgramma – Impul's 36,975.0 Kompanya ANGSTREM Trading 32,106.9 AGRO-AL'YANS 26,973.6 MISTRAL TRADING 12,487.4 AGROAL'YANS 12,278.5 MIKHON 10,682.0 RESURS 10,511.9 TAMI 8,073.7 RAZGULYAI-KRUPA 6,499.9 PETROSNAB 4,692.6 KORVET TEKHKOR 3,715.4 IMPEKS FUDS 3,667.6 MANDARIN 3,155.0 V'ETRUSSPRODUKT 2,400.0 ROSTEK-ALTAI 2,112.0 PERVAYA KRUPYANAYA KOMPANYA 2,100.0 その他: 13,453.7 合 233,241.1 計 29 PETROSNAB 2% KORVET TEKHKOR 2% その他: 12% RAZGULYAI-KRUPA 3% ProdGamma- Grein 17% TAMI 3% RESURS 4% ProdProgramma ‒ Impul's 16% MIKHON 5% AGRO-AL'YANS 12% Kompanya ANGSTREM Trading 14% AGROAL'YANS 5% MISTRAL TRADING 5% 2009 年のロシアにおける輸入米購買企業のシェア 海外からの米の買付けに携わるロシア企業は、2 つのグループに分けることが 出来る。即ち、米の加工に携わる工場と、生産者と消費者間に介在する小売用 パッキングを行う卸売会社である。 輸入米は、脱穀、精米、蒸しなどの加工、半加工品・インスタント食品への 加工、様々なサイズの小売用パッキング、または、食品・飲料製造用原料とし て使用されている。 「Prodprogrammaimpulis」 «Продпрограммаимпульс» , 「ProdGammaGreyn」 «ПродГаммаГрейн» Novosibirsk city Tel: +7 (383) 362-05-55 +7 (383) 362-04-10 +7 (383) 362-03-33 E-mail: [email protected], 30 LLC「Prodprogramma-impulis」社 (商標「ProdGamma」)は、10 年以上前に設 立され、ウラジオストック、モスクワ、サンクトペテルブルグ、チタ、ノボロ シスクにオフィスを展開しロシアの 120 都市で商品を販売している。 1.米・デンプンの輸入と卸売 中国、ベトナム、タイ、インド、パキスタン、エジプトから米を輸入して いる。普通の品種の他に、高級種も提供している。 2.果物と野菜の卸売業 3.トラック運送業 輸入米の仕入れ先ランキングで第 3 位となったのは、13.8%のシェアを持つ 「Companiya Angstrem Trading」。2009 年の買付け量は 32,106.9 トンで、これは 2008 年よりも 23%少なかった。 LLC「Companiya Angstrem Trading」 ООО «Компания Ангстрем Трейдинг» Group Company «Angstrem» Russia, 198035, St.Peterburg,Shotlandskaya Str.,6 Теl.: (812) 303-93-90 Fax: (812) 303-93-94 e-mail: [email protected] Commercial Department of Russia regions, import and export Теl.: (812) 303-93-93 Fax: (812) 303-93-93 e-mail: [email protected] LLC「Companiya Angstrem Trading」は、「Angstrem」グループの傘下にあり、原料の 輸入及び商品の生産を行っている。「Angstrem」グループは、箱・袋詰の穀物のロシア 大手の生産者で、ペテルブルグとノボロシスクにパッキング工場を有する他、 「Angstrem」商品の CIS 諸国や海外への輸出も行っている。また、大衆層向けの 「National」ブランドも有している。 31 • 米、穀物、豆 • パッケージ入りの穀物«PROSTO» • 野菜と香料入りのミックス穀物 «PROSTO Super» • 即席カーシャとフレーク「ロシアの朝食」«Russian Breadfast» 同グループは、ロシアの 100 都市をカバーする広範な販売チェーンを有する。 輸入米の仕入先のトップ 5 で、第 4 位になったのが「Agroaliyans」である。2009 年の買付け量は約 27,000 トンで、運営会社「Agro-Aliyans」への供給量も含め、 全体で 39,000 トンとなっている(同社の前年の輸入量の 80%)。同ホールディ ングは 2008 年、49,500 トンの米を輸入している。 「Agroaliyans」«Агроальянс» St. Petersburg, В.О. 14-line, d.7 Business Center «Preobrazhenskij», 5 floor Теl: (812) 703-30-43 Fax: (812) 703-30-44 Sales Dept. ТМ "Аgro-Аliyans": Tel: (812) 703-30-45 Rice Tradig Dept.: (812) 703-49-14 VED Dept.: (812) 703-30-47 E-mail: [email protected] «Agroaliyans»社は、ホールディング«Agro-Aliyans»の傘下の、ロシアでもリーダー的な 米の輸入者・トレーダーで、プレミアム部門におけるパック穀物の生産者でもある。ま た大手の牛肉のトレーダーの 1 社でもある。 «Agroaliyans»社が扱っている米は、以下の通り。 1.長粒種米(高級種から庶民的な品種まで)、ベトナム、パキスタン産米 2.国産及び輸入の短粒種米と中粒種米 3.タイ、インド、パキスタン、米国産、イタリア産など 32 LLC«Agro-Aliyans»のロジスティックセンターは、サンクトペテルブルグ、クラスノ ダール地方、ウラジオストクにある。同ホールディングには、«Agro-Aliyans», «Kaskad», «南部米会社»が傘下にある。 «Kaskad»は子会社で、独自の商標でパック穀物の製造・ 販売に特化している。«南部米会社»は、同ホールディングの子会社機構で、国産の米生 産プログラムを行っている。 第 5 位の大手仕入先は、「Mistral Trading」だった。同社は上述のように、 ロシア国内の米の鉄道輸送における積極的な企業である。2009 年には、12,500 トンの輸入米を購入したが、これは前年比 3%増だった。 残りの輸入米の仕入先となる会社のシェアは 5%以下だが、数年に亘って安定 した輸入米の消費者となっている会社も数多いことが明記できる。 ロシア企業 LLC「Resurs」は 2009 年に 1600 トンの米を輸入した。 LLC 「Resurs」(ООО «Ресурс») Chelyabinskaya oblast', , Zheleznodorozhnaya Str., 59, 457000 Теl: 7 (35166) 313 17 LLC 「Resurs」社は、1993 年から高品質の穀物を生産しており、量り売りからパッ ク穀物まで幅広い品目を取り扱うロシアの大手生産者の 1 社である(蕎麦、米、小麦、 大麦、キビ、えんどう豆)。同社は「Uvelka」という商標で既に 15 年間営業している。 現在同社は、自社の商品をロシアの 47 の大都市に配送、またウクライナ、カザフス タン、ベラルーシ、米国、ドイツ、オーストリア、イスラエルに輸出もしている。 LLC 「Tami」は、2005 年から輸入米を購入しており、2009 年の輸入量は 8,000 トン、2008 年は 1,600 トンを輸入したが、2006 年には 22,000 トンを超える輸入 米の取扱業者だった。 LLC 「Tami」 ООО «Тами» Primorskij krai, Vladivostok city, Russkaya Str., 33 17-401 Теl: +7 (4232) 491773 +7 (4232) 340253 「Tami」社は、中国からの食品を大量に卸している。その商品の中には、精米、蕎麦、 高級米「Fushigon」、ピーナッツ、豆、即席イースト、トマトペースト、コンポート、 乾燥海藻などがある。 「Korvet Tekhkor」社は、2001 年に輸入米市場に参入し、毎年 400 キロから 34,000 トンまでの米を輸入してきた。2009 年には同社の米買付け量は 37,000 ト ンで、2008 年比で 29.3%減だった。 「 Korvet Tekhkor」 社 «Корвет Техкор» St. Petersburg City, Gorokhovaya Str., d.71, lit. A, pom 10H, 191180 LLC「Korvet Tekhkor」社は、ロシア市場で 12 年以上の歴史がある大手カップ麺メーカ ー「King Lion」傘下の輸入業者である。同グループは、商標「Biznes Menyu」、「Biznes Lanch」、「Umniy Obed」、「King Lion」などの有力ブランドを有している。 「ImpEksFuds」、「VietRussProdukt」、「Pervaya krupyanaya kompaniya」も 2009 年の大手トップ 20 に入った。 「 ImpEksFuds」 (ИмпЭксФудс) Moscow city, Michurinskij prospekt d. 51, 119607 Теl: +7 (495) 969 24 42 「ImpEksFuds」は、海外やロシアの袋詰め穀物の促進を行っている。ベトナム、タイ、 パキスタン、南アメリカ、中国からの米、豆、でん粉の輸入及び卸を行っている。取り 扱い品目は以下の通り; 34 タイ長粒種米、精米(プレミアムの品質)、ベトナムの長粒種米、ジャポニカ米、国産 米、その他の穀物 「 VietRussProdukt」 (ВьетРуссПродукт) 105425, Moscow sity, Sirenevyi 6-р, д. 15 Теl/Fax +7 (495) 1649783 LLC 合弁企業「VietRussProdukt」は、商社である。長粒種米を含め、ベトナムの商品 をロシアへ供給している。 LLC 「 Pervaya krupyanaya kompaniya」 Novosibirsk, 630501, Pos.Elitny, Lipovaya Str., 10 Теl.: (383) 363-05-29 「Pervaya krupyanaya kompaniya」社は、 1991 年に設立された米の商社・生産者で、 「Passim」、「Sultan」、「Supovaroff」という 3 つのブランドを持っている。2002 年か らペトロパーヴロフスク市(カザフスタン北部)の製造工場と契約を結び、商標「Sultan」 の製造を開始した。同社は、ウラル、沿ボルガ、シベリア、極東、南部連邦管区、カザ フスタン共和国にディーラー網を持っている。 35 3.外国のロシア向け米輸出企業 2009 年にロシアへの米の供給を行ったのは、146 社の外国企業だった(2008 年は 110 社)。この市場は、10%以下のシェアを持つ会社が多数を占め、プレ ーヤーは非常に多いが、その約半数がベトナムとタイの企業である。 その他 54% 外国のロシア向け米輸出企業シェア(2009 年) 2009 年の供給量でトップになったのはパキスタンの会社「Garibsons (PVT) LTD」で、1 年間に 15,162 トンをロシアに対して輸出した。同社のロシアへの 米の供給は、2003 年から開始されている。2 位以下のベトナム、中国、ウルグ アイ、タイの輸出企業も世界市場に米を輸出する各国の大手米輸出業者で、ロ シアへの輸出は 2000 年以降開始しているところがほとんどである。 36 2009 年のロシア向け米輸出企業ランキング シェア № ロシア向け米輸出企業名 1 Garibsons (PVT) LTD (パキスタン) 15,162 6.5 2 Kien Giang Trade and Tourism Co. (KTC) (ベトナム) 14,299 6.1 3 Kien Giang Agriculture Product Trading JS Co. (ベトナム) 13,316 5.7 4 Cofco International (Beijing) LTD (中国) 12,995 5.6 5 Coopar S.A. (ウルグアイ) 11,465 4.9 6 Capital Rice Co. (タイ) 9,725 4.2 7 Riceland International Ltd. (タイ) 8,988 3.9 8 K.V.C. Rice Intertrade Co. (タイ) 7,915 3.4 9 Tan Thanh Co. (ベトナム) 7,500 3.2 10 SUIFENHE ZHENBANG CO.LTD (中国) 6,780 2.9 その他 125,094 53.6 合 233,241 100 計 37 輸出量 (トン) % Ⅳ.ロシアの米輸出状況 ロシアは少量ではあるが米の輸出国でもある。2009 年は周辺国向けに国内の 米の収穫高の 10%強、95,948 トンが輸出にまわされた。同年の輸出高は、ここ 10 年間で記録的なものとなり、輸出総量は 2008 年の水準と比較して 4 倍以上も 増加した。2010 年も増加傾向が維持されると予測されている。 2000 年∼2009 年の米の輸出量の推移(単位:トン) ロシアからの米の主な輸出先は、トルコ(35,457 トン、全体の 37%)、カザ フスタン(25,709 トン、27%)、ウズベキスタン(13,220 トン、14%)、アゼル バイジャン(6,285 トン、7%)、モルダビア(3,735 トン、4%)、ウクライナ(3,676 トン、4%)の順で多い。トルコを除き CIS 諸国向けが主力となっている。 米の輸出供給者は、ラズグリャイグループの傘下にある製造会社の 2 社、「パ ルタフスク穀物製造コンビナート」と「スラヴャンスキー穀物製造コンビナー ト」が上位を占めており、約 3 割の輸出用米がこの 2 社から供給されている。 ロシア産米の主な買付け企業は、トルコ、カザフスタン、ウズベキスタン、 ウクライナの米生産販売会社で、他にも取扱量の少ない個人企業家など著しい 数の小規模な買付け先があり、2009 年にはこれら小規模な買手が 1,000 トン以 下を買い付けている。 38 第3章 ロシアにおける米の消費者特性・市場動向 Ⅰ.ロシアにおける米の消費状況 1.ロシアの米消費量の動向 ロシアは、世界で最も広大な土地資源を持つ国であり、その国土の一部は厳し い気候条件下にあるにもかかわらず、農耕栽培の可能性は幅広い。但し、米の 栽培には特殊な土壌と温暖な気候条件が必要なため、ロシアにおける米生産は 他の穀物に比べて大きな収穫量をもつには至っていない。 一方で、米はロシア人の食卓に上る穀物の中で重要なポジションを占めてお り、消費量も増えている。2009 年のロシアの米の消費量は、前年比 6%増加し て 104 万 5,400 トンとなった。最近の 10 年間、ロシアにおける米の輸入と輸出、 そして国内生産の関係は著しく変化した。2009 年では国内消費のほぼ 4 分の 1 を輸入が占めているが、全般的に年々、国内産米の収穫量が増加し、輸出も増 える一方で、輸入量は減少傾向にある。 米はロシアにおける食品消費構造の中で重要な役割を担っており、作付け面 積の拡大、政府による生産者支援、インフラ向上政策などにより、国産米の消 費におけるシェア増加傾向は、将来も維持されると考えられる。 ロシア国内生産量(加工後重量) 輸入 輸出 2008 年∼2009 年の米の消費量の構図(単位:1000 トン) 39 ロシアの主要な米生産地域であるクラスノダール地方では、農業開発プログ ラムに則って、2020 年には 81 万トンまで増加する計画で、一方、極東の沿海地 方では、米の作付面積を 2012 年にかけてほぼ倍増する計画である。 これらの傾向の中で、2010 年には長粒種米需要の増加が見込まれ、ロシアの 消費者は、米・米加工品のラインナップの拡大を望んでいる。従って、長粒種 米を始めとして、幅広く、珍しい稀少品種の米の輸入業者や、高品質の米・米 加工品の生産者にとっては、今後も販売量の増加が見込まれている。 2.ロシア国民の米の消費について 第2章に述べたように、ロシア人が米に初めて触れたのは15世紀に入ってか ら、ロシアで米の耕作が始まったのは18世紀に入ってからと言われており、米 はもともとロシア人の伝統的な食生活に根付いたものではなかった。それはロ シアの気候そのものが、米の耕作に適していなかったためで、ロシア人の伝統 的食生活に最も重要な食品はビートであり、ライ麦を利用した黒パンであった。 その後19世紀にジャガイモがロシアに入り、米については、1950年代のフル シチョフ時代に本格的な生産がクラスノダール地方で始まり、一般民衆が食べ るようになった。従って、ロシアにおける米の歴史は非常に浅く、一人当たり の消費量も2009年で7.4kgに過ぎない(日本は2006年で58kg)。 しかし、米は半世紀ほどの間にロシアの食生活に入り込み、その結果、前述 のように消費量も増えてきた。現在のロシアで米が使われる用途は、料理の付 け合わせ、スープの具、サラダの具、カーシャ(粥)、ピーマンやキャベツで 包む具として、肉団子などの具として、ピロシキの具としてなど、ロシア料理 の材料としてだけでなく、中央アジアのプロフ(ピラフ)、リゾットや、日本 食のスシ・ロールなど、外国料理にも使われるようになっており、現在、急速 に進行中のロシア人の食生活の多様化とグローバル化に伴って、米の需要はさ らに増えると見られている。 40 ロシアで米を使う代表的な料理 (参考文書:農文協「世界の食文化 19 ロシア」沼野充義・沼野恭子著) 1)カーシャ(粥) カーシャは穀粒やその挽き割りを煮たお粥、オートミールのことで、ロ シア人の伝統的な食事、特に朝食に用いられる料理である。お粥の具によ って、小麦のカーシャ、ソバのカーシャ、燕麦のカーシャなどがある。米 のカーシャはバターを入れ、牛乳で煮てクリームや砂糖を入れる場合が多 いが、ハチミツ、ジャム、レーズンなどを入れることもある。総じて、日 本人の口に合わない場合が多い。このカーシャは古代スラブ人の間で重要 な食べ物とされ、キリスト教受容後のロシアでは儀礼的な大きな意味を持 つものだったという。 2)プロフ 中央アジアやコーカサス地方全体に広く普及している料理の一つであ り、ロシア人にも馴染みが深い米料理。中央アジアではロシアと異なり、 紀元前 3∼2 世紀頃にすでに栽培が始まっていたため米を使った料理が古 くより発展したという。通常大人数でまとめて料理するため、パーティ料 理のメインディッシュにもなることが多い。中央アジアは羊肉を入れるが、 ロシアでは牛肉が多い。ニンジン、タマネギ、スパイスを加える。 3)いろいろな料理の具や付け合わせとして ロシアではロールキャベツ、ピーマンの肉詰め、肉団子の具に米を混ぜ ることが多い。またスープにも米を入れたり、メインディッシュの肉や魚、 鶏肉の付け合わせとしても頻繁に利用される。またサラダにも利用される。 中央アジアから来たプロフ 米のカーシャ(粥) 41 3.ロシアにおける米の消費市場の状況 ロシアにおける米の消費市場は、大きく業務用市場、即ち外食産業(レスト ラン、カフェ、食堂など)向けの市場と小売市場に分けることが出来る。 1)外食産業 ロシアの外食産業界は 2000 年代から右肩上がりで市場規模を拡大して いる。2000 年当時の外食業界全体の売上高は、830 億ルーブルだったも のが、2008 年には 7,230 億ルーブルとなり、名目上は 9 倍伸びたことと なる。一方で、2009 年年初のロシアにおけるレストラン、カフェの数は 27,400 軒で、バーは 3,300 軒、食堂・惣菜屋は 3,470 軒であるが、日本の 外食業界は、売上高が 24.4 兆円、店舗数は 72 万店であることから、ロシ アと日本の外食産業を比較すると、人口はロシアが多いにもかかわらず、 ロシアの外食業界の規模は日本の 10 分の 1 以下ということになり、同業 界の市場は飽和状態にはほど遠く、市場拡大の潜在能力は非常に大きい と見られている。 2008 年までの急激な業界規模の伸びは、経済危機で一息となり、2009 年のロシア外食業界の売上は前年比 13.5%減少した。ただ、この不景気の 中でファーストフード業界の店舗数は増えている。マクドナルドは 2008 年 9 月時点で 197 店舗だったが、2009 年 5 月には 240 店舗に増やし、ロ シアのジャガイモ・ファーストフードである クローシュカ・カルトー シュカ は同じく 286 店舗から 323 店舗に、 ロスティックKFC は 同じく 149 から 170 に増えている。 モスクワの調査会社 Invest-Proekt 社によると、日本食レストランのモス クワにおける市場規模は 400 億円程度であり、現在は経済危機で売上が 低迷しているが、潜在市場規模は 700 億円に上ると推計されている。モ スクワの日本食レストランの数は、数え方によって 270 軒とも 600 軒と も言われているが、大きなチェーンである ヤキトリヤ 、 たぬき 、 プラネッタ・スシ 、 ヤポーシャ 、スシ・ヴョスラ 、 ドベ・ パーラチキ などは主要な市場のプレーヤーといえる。以下、代表的な 日本食レストランを列挙する。 42 【日本人シェフ・経営者のいる日本食レストラン】 ・ 将軍 1990年代に開店したサンクトペテルブルグの老舗高級日本食レス トラン ・ 誠司、リッツ・カールトン誠司 モスクワで屈指の高級日本食レストラン、高級ホテル内にも店舗 あり ・ 美郷 大統領府が運営を行っている高級日本食レストラン ・ うどんやさん うどんとカレー・丼を主力とする、ロシア初の日本食ファーストフ ード店 うどんやさん の店内 将軍の外観 ・ いちばんぼし、桜 4店舗を展開するシンガポール資本の日本食レストランチェーン ・ NOBU 世界で21店を持つレストラン、ロシア・モスクワには2009年に開店 ・ 青空 モスクワに2店舗を構える、日本人駐在員に人気のレストラン ・ 夢 ・リース イ ルィバ (回転寿司店) 43 【有名チェーン店】 ・VESTAグループ(ヤキトリヤ、銀の瀧など) 37店舗 ロシアにおける寿司ブームの火付け役、日本食品小売店を持つ。 ・ Rosinterグループ(Planet Sushi) 86店舗 ロシア最大の外食グループで、Planet Sushi以外にも、T.G.I. Fridays、 Rostik-KFCなどの強力ブランドを有する。 ・ Novikovグループ(ヤポナ・ママ、Little Japan、Yoko、Sushi Vesla等) 主に高級店14店舗を運営する。 あらゆる種類のカジュアルレスト ランを展開、ロシアのレストラン王Novikov氏主宰。 ・ Dve Polochki (二本の箸) サンクトペテルブルグに19店、モスクワに3店を構える新興日本食レ ストラン。 ・ ヤポーシャ モスクワに 22 店舗、サンクトペテルブルグに 16 店舗を展開し、 スシ・アンチスシ (スシとそれ以外の料理)を提供して幅広 い集客を新感覚で提供するチェーン。 ロール物のメニュー ヤキトリヤの店構え 44 2)食品小売産業 ① ロシアの食品小売業の状況 外食産業と同様にロシアの食品小売業も 2000 年以降、ロシアの経済復 活とロシア国民の所得水準向上と伴に、大きく売上が伸びている。第 1 章 のデータの通り、ロシアの小売売上高は 2000 年代に入ってほぼ二ケタ成長 を続け、2000 年に 2 兆 3,520 億ルーブルだったものが、2008 年には 13 兆 9,150 億ルーブルまで伸び、食品部門に限っても、同じく 2000 年に 1 兆 930 億ルーブルだったものが、2008 年には 6 兆 3,430 億ルーブルに増えた。即 ち、2000 年代のロシア経済復活・経済規模拡大期には、あらゆる層の小売 店舗がこの好景気を享受したといえる。 しかし、2008 年秋以降の経済危機は業界に緊張をもたらし、一部小売チ ェーンが倒産し、業界内では企業買収等で合従連衡が行われた。ただ、2010 年に入ると景気の底打ちの見方が固まるとともに、一般市民を中心に高価 な食品から安価な食品を一度に大量に購入するという家計防衛の動きが出 たことで、ディスカウント店などは業績が上向いている。 これまで中級スーパーマーケットと言われてきたペレクリョーストク やアシャンなどは、こうした家計行動に対応して、販売商品の種類を限定 し、低価格の商品をより安く大量に売ることでコスト削減をし、大手チェ ーン店はプライベートブランドの開発と販売を増やしている。 Azbuka Vkusa の外観 Perekrestok の店内 45 高級スーパーマーケットチェーンの業績も意外と堅調で、例えば Azbuka Vkusa は、経済危機直後の 2008 年秋は売上が落ちたものの、2009 年に入る と売上高は前年比 10%以上増加した。経済危機の影響を受けた中間層の購 買力が減り、購買層は二極化しつつ、全般的な消費活動はまだ旺盛である といえる。 ソ連時代に国家計画に則った定型かつ品質の低い商品を限定的にしか 買うことができなかった、ロシアの消費者は、ソ連崩壊後の自由貿易移行 後に西側のマーケットから流れてきた高品質の商品に強い消費意欲を示し 続けており、その熱はソ連崩壊後 20 年近く経つ今も冷めてはいない。ロシ アの消費は、日本や欧米の成熟したそれとはことなり、未だに拡大する要 素を大きく残しており、それは食品販売部門にも同様の効果を生んでいる。 以下、代表的な食品スーパーマーケットチェーン店を列挙する。 ・Azbuka Vkusa ロシアの高級スーパーマーケットの老舗チェーンで、2008 年の売上 高は 110 億ルーブル(約 330 億円)。モスクワ市とモスクワ州に 26 店舗を展開し、2010 年も新規開店を目指している。 ・Globus Groumet Azbuka Vkusa と並ぶ高級スーパーマーケットチェーンで、モスクワ 市に 5 店舗、サンクトペテルブルグに 1 店舗、ウファに 1 店舗を有 する。 Globus Gromet が入るビルの外観 46 Globus Gromet の店内 ・ Sed'moi Kontinent 1990 年代半ばに設立されたスーパーマーケットの先駆けで、店舗数 は 140、2008 年の売上高は 439 億ルーブル。高級から中級スーパー までいくつかのカテゴリーで運営している。 ・ Lenta 主力はサンクトペテルブルグだが、ロシアの 17 都市に 36 店舗を展 開するハイパーマーケットチェーンで、2008 年の売上高は 538 億ル ーブル。 ・ X5 リテールグループ ロシアの有力財閥アルファ・グループ傘下のロシア最大の流通グル ープ。中級スーパーチェーン ペレクリョーストク 、庶民的スー パーチェーン ピチョーラチカ 、ハイパーマーケットチェーン カ ルーセル を擁し、グループの 2008 年の売上高は 83 億ドル、店舗 数は 1,100 に及ぶ。 ・ マグニト 2,500 店舗以上を広範囲に展開しているスーパーマーケットチェー ンで、拠点はクラスノダール。2008 年の売上高は 53.5 億ドル。 ・ ディクシー 492 店舗をモスクワ、サンクトペテルブルグなど 14 以上の都市で運 営するディスカウントストア及びハイパーマーケットチェーングル ープ。2008 年の売上高は 19.4 億ドル。 Kopeika の米売場 OKEI の店内 47 Ⅱ.消費者アンケートによるロシア人の米の消費動向調査 2010 年 1 月にロシアのモスクワ市、サンクトペテルブルグ市、ハバロフスク 市及びウラジオストク市において、ロシア人の米の消費動向、日本産米認識度、 及び、米の利用状況についてのアンケートを行った。 質問項目は以下のとおり: 0.属性(年齢、性別、職業) 1.米をどこで購入していますか? 2.どこの国の米を買ったことがありますか? 3.どこの国の米をいつも購入していますか? 4.どこの国の米を食べてみたいですか? 5.米を買うときに重視するポイントは何ですか? 6.日本産米を食べたことがありますか? 7.どこで日本産米を購入しましたか? 8.日本産米に対するイメージはどのようなものですか? 9.日本産米を今後購入しようと思いますか? 10.米をよく料理で使いますか?どのような料理に使いますか? 11.米を使う料理のうち、一番好きなものは何ですか? 12.米の味は重要だと思いますか? 総回答数:379 都 市: モスクワ 100、サンクトペテルブルグ 63、ハバロフスク 107、 ウラジオストク 109 性 別: 男性 110、女性 269 年齢別: 10 代 18、 20 代 151、 30 代 103、 40 代 61、 50 代 32、 60 代 11、70 代 3 職 業: 公務員 29、会社員 154、会社役員 87、学生 62、年金生活者 23、 無職 20、無回答 4 48 性 別 男性 性別 年齢 職業 年 10∼20歳 50∼60歳 女性 男性 齢 20∼30歳 60∼70歳 30∼40歳 70歳以上 40∼50歳 60∼70 歳 70 歳以上 女性 110 10∼20 歳 269 20∼30 歳 18 会社員 30∼40 歳 151 会社役員 154 40∼50 歳 103 61 学生 87 公務員 62 29 50∼60 歳 32 年金生活者 23 11 無職 3 無回答 20 4 職 業 会社員 会社役員 学生 公務員 年金生活者 無職 無回答 今回のアンケートの収集は会社員、学生が比較的多く 10 代から 40 代で 7 割を占たこと、また女性が多かったことから、好奇心が旺盛で、日本食レス トランを利用した経験がある人が多かったと推測される。従って、このアン ケート結果には、典型的なロシアの中高年層が根強く持つ、食に対する保守 的な面が出づらかった面を予め考慮に入れる必要がある。 49 1.米をどこで購入していますか? 米専門店 0% 無回答 高級スーパー 0% 8% その他 11% 中級スーパー 36% 食品店 32% 庶民的スーパー 13% スーパーマーケットで購入する人が全体の 57%と多く、大量購買で単価が 比較的安い中級スーパーマーケットが購入場所として最大となり、食品店がそ れに続いた。 その他 には市場との声もあった。米は、ジャガイモやリンゴ などのように個人がダーチャ(菜園付き別荘)で収穫できるものと異なり、ス ーパーマーケットや食品店で購入することが多い商品となっている。 2.どこの国の米を買ったことがありますか? 350 316 300 250 200 165 150 131 100 71 53 50 49 27 24 23 27 の 他 カ そ ア 米 ザ フ ス タ ン 米 ア フ リ カ 米 ン 米 タ イ タ リ イ 米 タ キ ス ウ ズ ベ 日 本 米 中 国 米 ベ トナ ム 米 ロ シ ア 国 産 米 0 ロシア国産米が最も多く、次いで中国米や日本米を購入したことがある人が 多いが、これは極東部に日本米・中国米体験者が多いためで、モスクワで日本 50 米を買ったことがある人が 8%であるのに対して、ウラジオストクでは 31%と 高くなっている。また、モスクワでも後述する 寿司用パッケージ米 を 日 本米 と勘違いしているケースが多いため、実際の日本米購入経験者はもっと 少ないものと考えられる。 3.どこの国の米をいつも購入していますか? 4.どこの国の米を食べてみたいですか? 300 (人) 2 7 3 250 200 178 150 90 100 71 65 48 50 30 29 9 4 24 カザフスタン米 10 その他 16 イタリア米 18 アフリカ米 どの国の米を食べているか? 39 39 タイ米 18 32 ウズベキスタン米 ベトナム米 日本米 中国米 ロシア国産米 0 24 72 どの国の米を食べたいか? ロシア人がいつも購入している米はやはり国産米が主体で、中国米、日本 米が続いている。但し、前述の通り欧州部と極東部間の地域差と 日本米も どき の存在は差し引いて考える必要がある。第 2 章で述べたようにロシア の主な輸入米はベトナム産、タイ産、中国産であるが、ロシア国産米に比べ るとその存在感は低く、普段からこれらの輸入米を購入する意識はあまりな いと思われる。 一方、 食べたいお米 の No.1 は日本米で、欧州部、極東部を問わず、日 本産米を食べてみたいという期待度は他国産に比べて抜群に高い。 51 5.米を買うときに重視するポイントは何ですか? 重視するポイントは、まず見た目の良さ、おいしさ、製造年月日、安さ、 産地・ブランド、ヘルシーさの順となっている。安さやおいしさよりも、見 た目の良さを重視する傾向は、肉、野菜、果物などでも同様であり、ロシア 人は食品を購入する際に見た目の良さを特に重視する。これは、ソ連時代か ら売場の食品がよく傷んでいたり、ゴミが混ざっていたりしていたことから、 不用意に品質の悪いものを買わないように、見た目で食品の善し悪しを判断 する習慣があるためであり、食品売場にはきれいな商品ばかり並んでいる日 本とは環境が異なる点と言える。 パッケージデザイン 3% ヘルシーさ 11% 安全性 6% その他 1% 香りのよさ 2% 見た目のよさ 27% 産地・ブランド 11% 安さ 12% 製造年月日 13% おいしさ 14% 6.日本産米を食べたことがありますか? 食べたことはない 20% 日本食レストランで 35% 店舗の試食で 1% 知人・友人宅で 5% 国内で買って 15% 日本訪問時に 24% 52 アンケートでは、「日本産米を食べたことがある」と回答した人が 8 割と 極めて高い数字となった。但し、現在の日本産米のロシア市場浸透度を考慮 に入れるとこの数字は額面通り受け取れず、「日本食レストランで」や「国 内で買って」食べた米の、ほとんどが実際には日本産米ではないと考えられ る。ロシア人が日本産米でないものを日本産米と間違って理解して食べてい る状況は問題であり、本物の日本産米をロシアの人に食べてもらい、味の違 いを認識してもらうことが今後、非常に重要なポイントとなる。尚、「日本 訪問時に」という回答の 8 割以上がウラジオストク、ハバロフスクの人であ り、この地域の日本へのアクセスの良さと、日本食理解度の高さが分かる。 7.(現地購入経験のある人に)どこで日本産米を購入しましたか? 都市名 サンクト モスクワ ペテルブルグ ハバロフスク ウラジオストク 14% 14% 36% 49% 日本食品専門店 8 2 8 8 スーパーマーケット 2 4 15 15 レストラン 2 1 10 16 市場 0 1 2 2 その他 2 1 3 12 合 計(人) 14 9 38 53 日本産米を買った人の割合 日本産米を購入する人の割合は、極東部で多く欧州部で少ない。特にウラ ジオストクでは 49%と約半分の人が現地で日本産米を購入した経験がある。 ハバロフスクは同じく 36%、モスクワ、サンクトペテルブルグは 14%ずつと なった。購入場所として多いのはスーパーマーケットや日本食品専門店で、 極東部ではレストランで買うという人が相当数いた。他に、市場で購入、イ ンターネットで購入という回答があった。 インターネット販売はロシアでもかなり普及しており、日本食品の販売サ イトも多数存在している。しかし、今回調査したサイトの中で本物の日本産 米を販売していたのは、日本人資本の 1 社のみで、その他のサイトで寿司用 米として紹介されているのは、ロシア産や米国産、中国産だった。 53 8.日本産米に対するイメージはどのようなものですか? 250 200 150 100 50 0 おいしそう 健康によさそう 安全そう 見た目がきれいそう香りがよさそう 価格が魅力的 その他 日本産米に対するイメージは、おいしそう、健康によさそう、安全そう、 見た目がきれいそうの順に多かった。このイメージはほぼ、ロシア人の日本 食に対するイメージと合致しており、最も人気のある日本食メニューである 寿司には米が欠かせないところから、「日本食=日本産米」というポジティ ブなイメージができていると考えられる。 9.日本産米を今後購入しようと思いますか? 全く買うつもりはない 2% 試してみないと 1% 無回答 1% あまり買いたくない 16% どちらかというと買いた い 55% 是非買いたい 25% 54 「どちらかといえば買いたい」、「是非買いたい」を併せると全体の 8 割 となり、日本産米の購入意欲は強い。一方、「あまり買いたくない」、「全 く買うつもりはない」という回答も 2 割近くあり、寿司や日本の食品は高い ものだというイメージからネガティブな回答となったものと思われる。また、 ロシアの中高年層には、食に対して保守的な考えを持つ人も多く、ロシアで 作った材料をもとにしたロシア料理しか食べないと公言する人も散見される。 ここでも重要な点は 安全 で 高品質 な食品という点で、日本のブラン ドをしっかり作ることが重要と言える。 10.米をよく料理で使いますか?どのような料理に使いますか? 400 350 300 250 その他 日本料理を作るのに スープの具として 料理の付け合せとして 200 150 100 50 0 (人) 毎日使う よく使う 時々使う まれに使う ロシア人は米を主食としていないことから、料理における米の使用頻度は 日本人などアジア人に比べて低い。毎日米を食べる人は少なく、主にメイン 料理の付け合わせや、スープの具として週に数回使う人がほとんどである。 日本食やアジア食=ヘルシーフードというイメージから、健康を考慮して、 料理の付け合わせをジャガイモから米に変える人も多いと聞いた。最近は付 け合わせのご飯に醤油をかけて食べることが多く、これもジャガイモに塩を 掛けるよりも健康的なイメージがあるという。 米の使用方法としては、他にプロフ(アジア風ピラフ)やカーシャ(粥) がある。特にカーシャはロシア人の朝食に欠かせないもので、穀粒やその挽 き割りを水や牛乳で煮た粥であり、具は小麦、米、オート麦、ソバなどが代 55 表的だ。米のカーシャの人気は高いため、ロシア人にとって日常的に最も米 を身近に感じる料理かもしれない。 11.米を使う料理のうち、一番好きなものは何ですか? 料理名 サンクト モスクワ ウラジオストク ハバロフスク ペテルブルグ 合計 1 プロフ 64 39 41 48 192 2 お寿司 13 11 17 22 63 6 4 19 12 41 5 19 1 25 13 2 3 3 21 1 4 3 10 18 9 6 15 3 巻きずし 4 肉の付け合わせ 5 カーシャ 6 御飯 7 カレーライス 8 魚の付け合わせ 3 6 2 11 9 温野菜と米(ラグー) 1 7 1 9 4 1 1 6 1 6 2 5 2 2 5 14 おにぎり 2 3 5 15 スープ 1 2 1 4 16 リゾット 1 1 2 4 1 1 3 2 1 3 1 2 10 鶏肉の付け合わせ 11 サラダ 3 12 米入りロールキャベツ 2 13 米入りミートボール 1 17 日本料理 2 1 1 18 レバーと米のクレープ巻き 19 米のピロシキ 1 20 丼 2 21 中華料理 1 22 タイ風野菜鶏肉ごはん 2 1 2 2 2 23 韓国風肉まん 1 1 24 米入りピーマン詰め物 1 1 ロシアの全ての地域で人気のある米料理はプロフだった。プロフは主に羊の肉 を使った中央アジアの炊き込み御飯で、ロシア全土で食べられている。米は中 央アジア原産の長粒米を使用する。2 位、3 位はお寿司と巻きずしだが、ロシア 56 人にとってお寿司は通常巻きずし(ロール)を意味することも多いので、主に 巻きずしと考えられる。最近、ロシアではホームパーティで巻きずしを作るこ とが多くなっており、通常より価格が少し高めの「寿司用米」が使われる。 寿司、巻きずしが好きと回答した人は欧州部で 18%だが、極東部では 28%に 上る。さらに極東部にはカレーライスや丼が好な米料理だという人もいて、日 本に近いロシアでは、日本の食文化の浸透度が見て取れる(欧州部ではカレー ライス、丼ともにゼロ)。 その他は、伝統的なカーシャ、付け合わせや米入りのロールキャベツ、ミー トボールなどに人気があるようだ。プロフは中央アジアからロシアに古くから 知られている料理であり、その他の料理も伝統的なものがほとんどで、その中 で 2 位、3 位に寿司や巻きずしが入ること自体が、ロシアにおける日本食文化の 広がりの可能性を感じることができる。 12.米の味は重要だと思いますか? 5% 0% 27% 68% とても思う まあまあ思う あまり思わない 全く思わない 前述の通り、ロシアでは米は主食ではなく、付け合わせなどでの使用がメ インとなるが、プロフやカーシャ、寿司など、米が主役の料理も多く、「米 の味はとても重要だと思う」人は 7 割近くいる。「まぁまぁ重要」を加える と 95%に達する。おいしいお米の需要は確実にあると考えられる。 今回のアンケートは全体的に若い層が多く、日本産米に肯定的な意見を持 っており、機会があれば購入を希望する人が多かった。一方で、現地の日本 食レストランで使用されている米を日本産米と思っていたり、スーパーマー ケットで購入する「スシ用ジャポニカ米」を日本産米と思っていたりする人 が多いことが分かった。ロシアの消費者市場、特に若い層には日本産米を受 57 け入れる土壌はあるため、本物の日本産米を現地で試食する機会を作ったり、 販路を拡大したりすることで、日本産米の普及を推進しシェア拡大を進めて いくべきと考える。 58 第4章 ロシア向け日本産米輸出促進について Ⅰ.日本産米のロシア向け輸出状況 1.日本産米のロシア向け輸出額の推移 ロシアにおける昨今の日本食ブームの広がりにもかかわらず、今のところ現 地における日本産米の利用量は決して多くない。従ってロシア向け日本産米の 輸出量は極めて限定的となっている。日本産米のロシア向け輸出量・金額は、 2007 年以前は多い年でも 5 トン程度であったが、2007 年からは増加の傾向に ある。2008 年の輸出量は 63 トンという記録的な増加を見たが、経済危機の影 響から 2009 年は 10 トンに減少している。それでも史上2番目に多い年となっ た。 70 30,000 60 25,000 50 40 15,000 30 (千円) (トン) 20,000 10,000 20 5,000 10 0 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 輸出量 2008 2009 輸出金額 ロシア向け日本産米輸出量の推移 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 数量(トン) 1 3 0 0 0 0 0 4 63 10 金額(千円) 737 729 0 244 267 0 617 3,109 28,030 3,660 (出典:財務省貿易統計、単位以下切り捨て、金額は FOB 価格) 59 2008 2009 我が国の 2009 年の全世界向け農林水産物等輸出額は 4,463 億円だったが、そ の内、商業用の米の輸出量は 1,310 トン、輸出金額は 5.4 億円ほどであった。即 ち、日本産米の輸出自体、全輸出総額の中で 0.12%と割合は少ない。これは 2009 年の米菓輸出額 30 億円、醤油 40 億円、味噌 20 億円と比較しても少ない数字と いえる。 さらに、日本のロシア向け農林水産物等輸出額は 48 億円であり、全世界向け 総輸出額に占めるシェアは 1.08%のみとなっている。従って、日本産米のロシ ア向け輸出とは、輸出額が少ない品目である米を、輸出が少ない国向けに行う、 まだまだパイオニア的な要素に溢れる事業であることが分かる。 2.日本産米のロシア向け輸出の現状 上述の日本産米輸出量が少ないこともあり、日本産米のロシア向け輸出経路 は限定的であり、2009 年末現在、今回の調査で明らかになった範囲においては、 日本の産地から直接ロシア極東地域に輸出する生産者と、日本のロシア向け輸 出商社数社のみが、日本産米を直接ロシア市場に輸出するにとどまっている。 その他、欧州市場経由でロシア国内に日本産米が流通するケースもあると聞く が、極めて少量と思われる。従って、日本の米生産者がロシアに輸出を行う場 合は、1)生産者自らがロシアの輸入者と直接取引を行う、2)日本のロシア 向け食品輸出商社を通してロシアに輸出する、のどちらかを選ぶこととなる。 しかし、食品に限らず、日本産品をロシアに輸出し、同国市場に流通させる には、複雑な通関手続き、代金回収、ロシア市場販売経路の確保、言葉や商習 慣の違いなど、多くのハードルがあるため、1)の場合は、ロシア側手続きの 全てを実行できる信頼できるロシアの輸入者とのパートナーシップを構築する 必要がある。2)の場合の、日本のロシア向け輸出商社自身も、このような問 題を確実にクリアするため、実質的に自らロシア国内の販売ルート開拓・通関 を担っているケースもある。これらのケースでは、日本の輸出商社がロシア側 に子会社(事実上の子会社を含む)を設立し、ロシアにおける通関・販売・代 金回収を確実に行うことで、輸出の諸問題を解決している。但し、このような 形で多額の資金、時間、労力を投入して子会社をロシアに設立し、自社の取引 システムを構築しても、予期せぬ問題が頻繁に発生するため、日本の商品を常 時円滑にロシアに流すことは容易ではないという。 60 2000 年以降のロシアにおける日本食ブームの中で、同国には日本食レストラ ン向けに業務用食品を販売する市場が生まれ、多くの食品輸入・卸業者が存在 する。これらの業者には日本の食品輸出者との取引を行っている会社も多いが、 常に安い商品を求める体質から、価格の安さという観点だけで、日本側輸出者 を船積みの都度選定し、その後のフォローアップがないため取引が安定せず、 関係も長続きしないというケースが多いという。特に 2008 年秋の経済危機以降 は、それまで扱っていた日本産の食品を、より安価な中国産、韓国産、東南ア ジア産に切り替える動きが顕著にあったため、日本の輸出者はいきなりの注文 停止にとまどう光景がしばしば見られたという。 その一方で、日本側輸出者がロシア国内に信頼できるパートナーを見つけ、 事実上の独占販売権を供与し、比較的に安定した取引を行っているケースもあ る。この場合は、日本側輸出者が自ら、ロシア人パートナーとの定期的な面談、 現地販売状況の把握、緊急時の値引き等の援助などを通して良好な関係構築を 絶やさないという努力が必要となる。 3.日本産米のロシア向け輸出ルート 現状、ロシア向け日本産米の輸出のルートは、以下が考えられる。 ① 海上輸送 ⇒ サンクトペテルブルグで荷揚げ ⇒ トラック・鉄道 ⇒ 欧州 ロシア ② 海上輸送 ⇒ ヨーロッパの第三国で荷揚げ ⇒ トラック・鉄道 ⇒ 欧州ロ シア ③ 海上輸送 ⇒ ウラジオストク等極東で荷揚げ ⇒ トラック・鉄道⇒極東ロ シア ④ ③ ⇒ シベリア鉄道 ⇒ 欧州ロシア ① サンクトペテルブルグ港で荷揚げして国内輸送を行うルートでは、経済危機 発生前は、サンクトペテルブルグ港のキャパシティが足りず、同港で足止め を食らうケースが散見された。現在は経済危機の影響による港の取扱貨物量 減少によって、状況は改善したと言われている。サンクトペテルブルグ港ま での必要日数は 1 ヶ月以上。 ② ヨーロッパの第三国経由でロシアに輸送するルートもよく使われているが、 多くはロシアの食品輸入者によるもので、日本側輸出者が状況を把握できる 61 ケースは少ない。欧州港までの必要日数は 1 ヶ月以上。 ③ 主にウラジオストクやハバロフスクの食品輸入者の主導で取られるルート であり、日本からの輸送ルートは、直接ロシアに送るルートと、ロシア極東 港向けの定期便が多い韓国プサン経由ロシア極東港がある。ロシア極東港ま での必要日数は 4 日以上。 ④ ③のルートでロシア極東港に荷揚げをした後、ロシアの最大の消費エリアで ある欧州市場まで輸送するもの。シベリア鉄道はユーラシア大陸を文字通り 横断するもので距離は 9,000km 以上となるが、8∼14 日ほどでウラジオスト クとモスクワを結ぶため、船の便よりも時間的に速くなる。一方、シベリア 鉄道のタリフが比較的高く、リーファーコンテナの数量が少ないため、輸送 できる時期が限られるなどの不利な点もある。 日本からの米の輸出状況は、現在③及び④の極東揚げ、極東市場向け及び欧 州市場向けが大きく、2009 年はほとんどが極東揚げであったと見られる。 62 Ⅱ.ロシアの米市場における日本米消費状況 1.業務用米市場における日本産米消費状況 今回、日本産米を扱う可能性の高い日本食レストランを中心に、使用して いる米の種類、価格水準、産地などをモスクワ、サンクトペテルブルグ、 ハバロフスク、ウラジオストクで聴取した。 1)欧州地域(モスクワ・サンクトペテルブルグ) ① 現地のレストランで使用されている米の種類 日本食レストランの数、質ともにロシア国内市場でトップのモスクワ であるが、日本産米を使用している店舗は多くはない。数店でこしひか り、つがるロマンを使っている他は、日本人シェフがいる高級レストラ ンでも米国産「田牧米」、「錦」、イタリア産「おこめさん」、台湾産「山 水米」を使用している。これらの米の仕入れ価格は 1kg80∼140 ルーブ ルだが、最近は外国米の偽物が出回り、現場のシェフが困っているとい う。中級レストラン、特に日本人シェフがいない店舗では、中国産やロ シア産の米を主に使用している。 サンクトペテルブルグでも、状況はモスクワとほぼ同様だが、クラス ノダール産(40 ルーブル、約 120 円)から、米国産カルロースの一番 安いもの M401(120 ルーブル、約 360 円)までの範囲の米を使用して いることが多い。米国産の錦米は、以前はロシアで良く使われていたが、 偽物が横行している。市場で、錦の袋の偽物が売られており、中身はロ シア産ということもしばしばある。 z 高級日本食レストラン ロシア人シェフ 「ロシア米を試したこともあるが、米粒のサイズがバラバラ、ゴミ が多い、割れが多いなどの理由で使っていない。また、日本の会社 が日本産米を提案したこともあるが、価格が高すぎて合わなかっ た。」 z 中級日本食レストラン ロシア人シェフ 「ロシア産米を寿司やロールに使っているが、日本産米に関心を 持っている。但し、日本産米は事実上、市場に出回らないので試 す機会もなく残念。」 63 z 中級日本食レストラン 日本人シェフ 「日本米はサンプルに使うのみ。ロシアの輸入者から中国産 Fushigon 種を買っている。1kg56 ルーブル。」 z 高級日本食レストラン 日本人シェフ 「以前は米国産の錦米を使っており、今は台湾産。日本米はあき たこまちを利用してみたい。」 z 中級日本食レストラン ロシア人シェフ 「以前は米国産米を使っていたが、経済危機後はロシア産米を使 っている。日本産米はおいしいと思うが高すぎて、商売をするレ ベルではない。」 z 高級日本食レストラン 日本人シェフ 「日本産米を使うように心がけている。但し、コストは下げなく てはいけないのも事実なので、安い日本産米を常に探している。」 ② 米の仕入の問題点 日本食レストランが使用する米を決める最大のポイントはコスト だが、高級レストランで日本米を検討する店舗においても、高級米 の選択肢が乏しく、また、供給体制が安定していないため、同じ種 類の米が継続して使えないとの声が多い。また、卸業者の米の管理 状態が悪いため米が劣化すること、米のブランド偽造が多く、信頼 できる卸売業者を探すのが難しいといった問題点がある。 ③ 米の使用量 米の使用量は店舗の大きさや、来客人数によって異なるが、1 店舗 1 ヶ月あたり 200kg∼1 トンを消費している。ロシアの最大手のスシ チェーンは、チェーン全体で 1 ヶ月あたり 40 トンを消費するという。 64 ④ 米を使った料理 最も多いのはスシ及びロール。他にカレーライス、丼、雑炊など。 スシ・ロールは 9 割以上を占める。特にロールが一番多い。 ⑤ ロシアにおける米の方向性 多くのシェフの意見では、今後、ロシア人の中でおいしいお米を 求める動きが出てくるため、米国産、イタリア産、台湾産の需要が 増えてくるが、日本産は価格が高すぎる。一般市民の生活にはすぐ には入り込まないので、当面はロシア国産米が支配的、次に米国産、 イタリア産などが続くだろう。 ⑥ ロシアにおける日本産米の今後 ブランド性が高く、おいしい日本産米のロシアにおける販売は、 長い目で見れば増えると思うが、価格が問題で、このままでは米国 産、イタリア産、台湾産に差を付けられてしまう。生産者としても 種々支援が必要。 フードコートのロールスシ ファーストフードのスシ 65 2) ① 極東地域(ハバロフスク・ウラジオストク) 現地のレストランで使用されている米の種類 極東地域では日本産米が欧州地域よりも多く見られるが、価格が他国 産米に比べて特別に高いことは変わらず、日本食レストランでは、中 国産米(概ね 25∼80 ルーブル/kg)が最も多く使われている模様。中 国米は品質と価格で選択肢がある模様。 米国産錦米は高級であり、ハバロフスクでは 117 ルーブル/kg の仕 入れ値。ロシア国産米は 20 ルーブル台から 40 ルーブル/kg なので、 寿司・ロールは錦米で、他の料理の付け合わせはロシア米でと、使い 分けしているレストランもある。 調査時(2010 年 2 月)にハバロフスクのレストランで日本産米を使 用していた店舗はなく、同地で最後に日本産米が出回ったのは 2009 年 11 月で、150 ルーブル/kg だったという。 一方、ウラジオストクでは、強力な米の輸入商社が同地に存在するこ ともあり、高級日本食レストランでは日本産米(あきたこまち)が使 用されていた。現在の日本産米の仕入れ価格は 160∼180 ルーブル/kg ほど。 z 高級日本食レストラン ロシア人シェフ 「随分長い間いろいろなお米を試したが、現在使用している日本産 の錦米は品質面で申し分ないと思う。 (今回、錦米は米国産だと指摘 したところ)驚いた。今まで日本産米を使っていると思っていた。」 z 高級日本食レストラン ロシア人シェフ 「現在は錦米を利用しているが、日本産米を使用したい。170 ル ーブル/kg 以下であれば、買うことは可能。日本産米を一度試し たら、他の米は使えないくらい日本産米は素晴らしい。」 z 中級日本食レストラン ロシア人シェフ 「以前は錦米(115 ルーブル/kg)を使っていたが、経済危機後、 経営陣からコストダウンの命令があり、中国米(40 ルーブル/kg) に切り替えた。中国米で炊く御飯はすぐに乾燥し、においがする ため不評だが、経営者命令でどうしようもない。」 66 z 高級日本食レストラン ロシア人シェフ 「寿司・ロールには高価な「あきたこまち」を使用し、ビジネス ランチの御飯には中国産「ジャポニカ」 (35 ルーブル/kg)を使 っている。」 z 高級日本食レストラン ロシア人シェフ 「我がレストランの寿司は、どの店よりもおいしいと言われてい る。その理由の一つには、純粋な日本産米を使い続けていること があると思う。」 z 中級カジュアル・スシバー ロシア人シェフ 「我々、カジュアル・スシバーにとっては、中国産「ジャポニカ」 (33 ルーブル/kg)が、価格面でも、食感が日本産米に近いとい う点でも、最も適切な選択だろう。これまで、米国産米、錦米、 中国産米を試した結果、中国産「ジャポニカ」に決定した。日本 産米は高すぎて選択肢に乗らない。」 z 中級カジュアル・スシバー ロシア人シェフ 「スシ・ロール用には、中国産「ジャポニカ」 (40∼45 ルーブル /kg)を使い、他のアジア料理には中国産「ゴールド」(23∼37 ルーブル/kg)を使っている。顧客の中で米の違いが分かる人は 少数だ。」 ② 米の仕入の問題点 日本産米は価格が高すぎるとの声が多い。また、日本産米は常に在 庫量が不足しており、供給に不安があるという。実際に調査時には ハバロフスクでは入手しようとしても見つからない状況だった。 ③ 米の使用量 米の使用量は店舗の大きさや、来客人数によって異なる。極東地 域の店は、小規模な店も多く、大規模店と収容人数に大きな開きが あるので、参考にするのは難しいが、1 店舗 1 ヶ月あたり 50kg∼1.2 トンを消費している。季節的に、冬の消費量が少なく、春から秋ま ではその倍くらい出る。尚、経済危機前は日本産米を毎月 50kg 使 用していたが、危機後は 30kg に需要が減ったという高級店もある 67 (当然危機後の一人当たり客単価も 2 分の 1 から 3 分の1ほど落ち ている)。その一方で、経済危機下の 2008 年秋にオープンし、その 後、売上・顧客数を増やし続けているカジュアル・スシバーもある。 ④ 米を使った料理 スシ及びロール。他にカレーライス、プロフ、付け合わせ、丼、 ごはんなど。 ⑤ ロシアにおける米の方向性 一般的なロシア人が家庭で使用する場合は、価格が安い米が一番 であり、ロシア国産米が今後も伸びるという予測が多い。おいしい ものが食べたいという需要はあるものの、現在の所得状況下では、 一般のロシア人にとって米の安さが最も優先順位が高く、 米は米 と考えれば味は二の次になるという。また、タイ産米や中国産米は 国産米と値段が近いので、国産米と同じ感覚で買うことができるの で売れやすいとの声があった。 また、ロシアの人口の約 10%を占める富裕層にとっては、食品は 価格よりも品質が最重要であるため、これらのニッチ層の人気が日 本産米に集まる可能性があるという。 ⑥ ロシアにおける日本産米の今後 日本産米のロシアにおける普及度は価格が重要なファクターであ ることは間違いないが、売り方(パッケージを小分けにするなど) の工夫によって販売拡大の可能性が高い。また、日本ブランドは信 頼感があるので、ニッチであっても市場は確保できるとの声があっ た。 68 2.小売用米市場における日本米消費状況 モスクワ、サンクトペテルブルグ、ハバロフスク、ウラジオストクの食品 小売店、輸入者、及び卸売業者に、米の販売市場と日本産米の可能性等に つき聴取した。 1) 欧州地域(モスクワ・サンクトペテルブルグ) ① 現地の小売市場で使用されている米の種類 欧州部で日本産米が販売されているのは、事実上、高級スーパーマーケ ットか一部の中級スーパーマーケット、日本食専門店、インターネット 販売などの少数のチャンネルに限られている。 あきたこまちのロシアにおける小売り販売店舗数は、モスクワに 46 店、 ウラジオに 23 店、他にハバ、クラスノヤルスク、サハリンにも入り、広 範囲に及んでいるが、2008 年秋からは中級スーパーマーケットにも販売 チャネルを広げた。一方で、輸入者は中級スーパーに対して棚代として 数千万円を支払わねばならなかったと言われたということから、欧州地 域の小売市場への参入障壁は非常に高いといえる。 • 大手スーパーマーケットチェーン店 マネージャー 「当社では輸入米も国産米も幅広く取り扱っている。全部の 米の 1kg 当たりの平均小売価格帯は、20∼85 ルーブルとなる。 2009 年の販売数量は 2,550 トン(140 店舗)だった。」 • 高級スーパーマーケット店 マネージャー 「スシ用米の品揃えは、日本産米「あきたこまち」と英国製 ブルードラゴン の米(アジア産と思われる)の 2 種類。 以前はサトウのインスタント米も取り扱っていた。あきたこ まちは価格が高く、利益も上がる商品だが、納入が安定して おらず残念。2009 年 4 月から 12 月末までで 675kg 売れた。ブ ルードラゴンは 2009 年 1 年間で 550kg の販売。サトウのイン スタント米も 144kg 売れた計算となる。」 69 ② z 日本食品専門店 マネージャー 「青森つがるロマン 332 ルーブル/kg、台湾山水米 140 ルーブル /kg で販売している。当社は業務用も扱っているが、米の全体 の販売比率は日本産:外国米=2:98 と圧倒的に外国産が多い。」 z 日本食品輸入者 マネージャー 「日本料理用にロシアの輸入者から仕入れている中国産 Fushigon 米を販売している(56 ルーブル/kg)。」 z 日本食品輸入者 マネージャー 「世界の米価格や禁止措置次第で、タイ、ベトナム、パキスタン、 インドなどの国から輸入している。安いお米の方がよく売れ る。」 米の仕入の問題点 日本産米は価格が高いこと、また、大量に購買につながる炊飯器 の普及度が低いことがネックであり、ロシアにもともとあるお米の 種類と味の感覚がちがうため、ロシア人に売りにくいという。 z 日本食品専門店 マネージャー 「日本の市場価格は海外輸出販売ができる価格ではない。輸出分 については価格保護を免除すべき。」、「ロシアにはソバの実を 炊く蒸し器はあるが、一般的にお米用はなく、普通の鍋で炊い ている。おいしいご飯を炊こうという考えがそもそもない。ふ っくら、艶がある、もちもち、甘さなどの米の味に関する観念 がない。」、「もともとロシアではピラフやロールキャベツにお 米を使っており、お米の味だけで食べることがない。どのお米 も同じという考え方だ。」 z 日本食品輸入者 マネージャー 「価格が高すぎる。米は、ロシア側の割当量や、様々な生産国 に対する輸入禁止の有無など、市況次第で値段が急激に下がる 可能性がある。」 70 • 日本食品輸入者 マネージャー 「輸入米に関する問題は数多くある。① ロシアには輸入した 米の質が悪いと、破棄して国外から出さなければならないと いった厳しい規制があること。② 輸入制限措置が頻繁に発生 していること。③ 技術力の向上、機械設備投資のおかげで、 ロシア国産米の品質が向上し、収穫高も増えて値段が安いた め輸入米の代替となったこと。中国米が禁止されていた時に は、寿司をロシア米で作っていたことを見ても輸入米が厳し くなってきている。」 ③ ロシアにおける米の方向性 輸入米について今後も輸入が増えるという見方と、国産米が輸入 代替に成功しているため、輸入量は増えないという見方がある。こ の動向は経済状況に大きく影響を受けると考えられており、経済危 機が深刻化した場合は、さらにロシア国産米の人気が増えるという。 ④ ロシアにおける日本産米の今後 日本産米のロシア小売市場への浸透可能性については、可能性が あるという見方が多かった。品質が良いものはロシアで必ず評価さ れ、販売は増えるというものがそれで、既に米国産の錦米などが入 っているが、日本産純粋なものは、よく売れるはずという。但し、 ここでも価格がある程度なれてこないと難しいという。 ⑤ ロシアの食品小売店等における米の販売状況例 a) ダニーロフスキー市場 モスクワの代表的な生鮮市場の一つ。米は、ドライフルーツ を販売しているところに数種類おいてある。ウズベキスタン産 のみで、1kg 当たり 200∼250 ルーブル(交渉によって値下げ可 能)。ウズベキスタン産の米は特にプロフやハルチョーといっ た中央アジア料理に合う。 市場で野菜、肉、米を買う人はまだ多く、5 割以上とも言わ れている。最近の市場の価格はスーパーマーケットに比べて特 に安い訳ではないが、常に新鮮な商品が運ばれてくること、同 じ商人がいるので安心なことで、品質はスーパーマーケットよ 71 り明らかに良いといい、市場でしか食品を買わない人も多い。 市場の外観 b) C) 米を売っているスタンド Azbuka Vkusa モスクワに 26 店舗を展開するロシアを代表する超高級ス ーパーマーケットチェーン。日本食品コーナーもロシアのスー パーマーケットの中では最も充実している。 「日本米の用途は寿司やロール用が多いようだ。ロールは家 でもパーティでも人気があり、雑誌や本で紹介され、スーパー やお店でも売られているので、作る人が多い。日本をよく知る 人は家で日本食を作って食べているという。 以前、同社では店頭で炊飯器を売ったことがあるが、使いづ らいとの声があり、余り売れなかった。同店ではお米は日本産、 イタリア産、ロシア産しかおいていないが、日本産はロール用、 イタリア産はリゾット用、ロシア産はその他の用途、特に付け 合わせ用が多い。」 日本産米の販売価格の比較(モスクワ、2009 年 12 月時点) 販売店舗/銘柄 あきたこまち 京都キヌヒカリ 新潟コシヒカリ 610 ルーブル 540 ルーブル 560 ルーブル (1,830 円) (1,620 円) (1,680 円) 高級スーパー 800 ルーブル 714 ルーブル 738 ルーブル マーケット (2,400 円) (2,142 円) (2,214 円) 日本食品専門店 72 d) その他の販売価格の比較(小売市場全般、2010 年 2 月現在) 日本米(あきたこまち、コシヒカリ、ひとめぼれなど) 高級スーパー:1,500∼2,400 円/Kg ブランド米(Mistral 社、Agro Alliance 社、Yarmarka 社等) Kuban 米 :160∼200 円/Kg Indika 米 :190∼220 円/Kg Italika 米 :290∼320 円/Kg Basmati 米:410∼570 円/Kg Wild Rice:2,000∼2,500 円/Kg 最も安いブランド(スーパーPB ブランド、Nominal 社など) 93∼100 円/Kg ※ 2) ① 詳細な価格調査については添付参考資料を参照 極東地域(ハバロフスク・ウラジオストク) 現地の小売市場で販売されている米の種類 極東地域でも欧州地域と同じようにロシア国産米を主体としたパ ッケージメーカーのブランドが多いが、より中国産米が目に付き、 日本産米も多い。但し、今回の調査時にはハバロフスクでは日本産 米は見つからず、ウラジオストクにて数種類確認した。価格は総じ てモスクワ、サンクトペテルブルグよりも安かった。 米以外でも極東地域のスーパーマーケットには、日本の食品が多 種販売されており、チキンライス等の冷凍食品も見かけた。 極東地域は日本と距離が近いこともあり、中古車を始めとして日 本の食品や日用雑貨が入りやすく、日本への親近感も強い。この地 域では、炊飯器を買って日本人と同じように御飯を炊く人も多く、 日本産米の販売促進をスタートするための条件が揃っている。 73 z ウラジオストクの高級スーパーマーケット マネジャー 「日本産こしひかり(399 ルーブル/kg)の他、中国米、ベト ナム産米、タイ産米、ロシア国産米をそろえている。最も人 気のあるのは自社 PB ブランド米(約 40 ルーブル/kg)。」 z ウラジオストクの中級スーパーマーケット マーチャンダイ ザー 「取扱っている米は、ロシア国産(40 ルーブル/kg、月間販 売量 150kg)、ベトナム(38 ルーブル/kg、50kg)、日本産(345 ルーブル/kg、20∼25kg)、中国産(多種あり、200kg)日本 産こしひかり(399 ルーブル/kg)の他、中国米、ベトナム 産米、タイ産米、ロシア国産米をそろえている。最も人気の あるのは自社 PB ブランド米(約 40 ルーブル/kg)。」 z ウラジオストクのディスカウントストア 営業部長 「ロシア国産米、中国産米、ベトナム産米と、ロシアのパッケ ージメーカー11 ブランドを取り扱っている。販売量は、ロシ ア国産米が 700∼1,500kg、中国米が 500∼1,000kg、ベトナ ム米が 500kg。」 • ハバロフスクの高級スーパーマーケット 店長 「輸入米、国産米とも取扱っている。15 ブランドの米がある が、全てが産出国を明記しているわけではない。日本産米で は、あきたこまち以外は冷凍食品のキムチライス、チキンラ イスなどが人気がある。また日本産米を使ったお総菜を作っ ている。日本産米の消費量は小売分で月 20kg、総菜分で月 60kg、であり、当社の米販売量の 5%を占めている。」 • ハバロフスクの高級スーパーマーケット 営業部長 「ロシア国産米、中国産米、ベトナム産米、タイ産米を取り 扱っている。取扱量は 1 ヶ月で 50∼150kg。」 74 ② 米の仕入の問題点 極東地域でも聞く問題点は、やはり日本産米の価格の高さが第一 である。また、ウラジオストクには強力な日本産米の輸入者が 2 社 存在しているが、それでも安定供給には問題がある。今回の調査時 に、ロシアで最も売れているブランド「あきたこまち」が極東地域 の店頭から姿を消していた。その理由の一つは、モスクワへの大口 販売先との契約で相当量をモスクワに送った後だったこと、もう一 つの理由は、次の輸入貨物が通関手続きのため、税関に留め置かれ ていたことだった。日本からロシアの極東の港への運送所要期間は 1 週間以内だが、ロシアの輸入通関に時間がかかり、結局、日本の 港を出てから通関が切れるまで最低 50 日はかかるという。 また、極東地域では、頻繁に鉄道運行が遅れ(特に冬)、納入に 問題がでているという。石炭や建設資材の運送に対して食料品は劣 後するので、鉄道輸送は不安材料となっている。 ハバロフスクの市場で ジャポニカ米 として中国産米を売って いるが、湿度が高すぎたためかカビが生えていたケースがある。一 般的に市場は、新鮮な食品を売る場所として市民から信頼されてい るが、ことほど左様に中国の品質には疑問符が付いている。 ③ ロシアにおける米の方向性 米は日常食するものなので、日本産米が、魅力ある価格とアジア や中国の米に比べて品質面で優位にあると宣伝広告することによ って販売が伸びるとの声があった。意外にも品質面・安全面で定評 があり、しかも価格は安いということで、ロシア国産米を評価する 人が多かった。日本産米はこのロシア国産米と全く違うカテゴリー になるので、ロシアの輸入政策上も、引っかからずニッチ市場を築 くことができるかもしれないという。 ④ ロシアにおける日本産米の今後 日本産米は、その品質と高級イメージによって独特の地位がある ので、エリート層向けの商品として打ち出せば、ニッチ市場は把握 できる可能性がある。今のところ販売促進活動がないが、日本側か ら積極的に動けば、市場は活性化するだろう。 75 Ⅲ.日本産米のロシア向け輸出促進のための課題 日本産米のロシア向け輸出促進のための課題を以下に列挙する。 1.価格の高さ 1)販売費用が高い ロシア側輸入者が日本産米を小売販売の現場に持ち込むためには、 予めロシアの小売業者と販売条件を詰める必要があり、新規参入時の Listing Fee、いわゆる 棚代 を支払う必要がある。この棚代はモ スクワを中心とする大規模チェーンとなると、数万ドルもの先行投資 となるため、新規参入時のリスクとして大きな障害となっており、そ の分の回収のため、利益を上積みする必要がある。 2)通関手続きが煩雑、時間が掛かり、不透明かつコストがかかる ロシアの税関対応はよく言われているように、事務的・官僚的かつ 複雑であり、日本人では通関手続きは対応できず、ロシア側輸入者経 由でロシア人税関ブローカーに依頼することになる。 実際に多岐に亘る提出書類と通関の手続きの複雑さによるトラブル は多く、商品の通関がスムーズにいかないことが良くある。米のロシ アへの輸入については、輸出国での商品の燻蒸や、国内受け手倉庫の 燻蒸など条件が付くこともあり、一般の食品よりも多くの費用・労力・ 時間がかかることがある。 3)輸送費用が高い 通常は海路によるコンテナ輸送となるが、現在、日本の会社でロシ ア向けに米を一度に大量に輸出する業者は少なく、コンテナの半分以 下の量となる場合が多い。一方、混載とすると、通関時に問題が発生 してコンテナまるごとが税関でストップしてしまう危険性がある。そ のため、米だけをコンテナの半分ほどにまとめて輸送することが多く、 そのため輸出一回あたりの輸送費が高くなる。 4)商品そのものが高い ロシアが米を輸入する国は多く、ベトナム、タイ、中国などから大 量に輸入しているが、その中でも日本の米は、これらの国から輸入さ れる米に比較して突出して高く、数倍から 10 倍以上の価格となる。他 の値上がり要素を考慮に入れると、もともと高価な日本産米がさらに 76 高くなることとなる。 5)輸入申請書類経費が高い 国家基準適用証明書、衛生・伝染病鑑定証明書などの取得費用がか かり、しかもサンプルの発送から証明書入手まで 2 週間から 1 ヶ月ほ どかかるケースも多い。 2.安定供給・納期の問題 上述のように、日本産米の価格の高さは際だっているが、ロシアの高級小 売店や、高級レストランが、日本産米の課題を述べる場合、価格の問題より も、安定供給と納期順守を上げるケースが多い。 これは、ロシア市場の日本産米に対する需要の弱さ、特に経済危機後の需 要低下に関して、日本側がチャンネルを絞っていることもあるが、ロシア側 輸入者の資金繰りが厳しくなり、注文が少なくなったり、遅くなったりして いることも原因としてある。 3.品質の問題 ロシアのレストラン、小売店等が、日本産米を指名する時、ロシア側は日 本のブランドイメージに沿った最高級の米を納入することを要求している。 従って、日本産米ブランドの維持・向上のために、納入商品の品質チェック 体制を構築し、タイムリーに対応する必要がある。 4.輸出実務上の問題 ロシアの輸入通関は一般的に時間が掛かり、一部には一貫性に欠け、恣 意的な運用がなされており、輸入商品に係る認証取得に関するコストと手 続きの複雑さも相まって円滑な日本農水産物・食品の輸出活動の妨げとな っている。 5.ロシアの輸入者・卸売業者の信用リスクへの対応 ロシアにおける農水産物・食品輸入者、卸売業者との取引に当たり、関 係者の財務状態の把握は不可欠だが、現状は国際基準による財務諸表を得 られることはまれで、信用リスクの高さから売掛販売が難しい。また、ロ シア販売状況が日本側から見えにくく、安定的・定期的な受注ができず、 製造者の輸出予測が立てにくい。 77 Ⅳ.日本産米のロシア向け輸出実務 1.ロシア向け輸出実務の流れと注意点 ロシア向けに米を輸出する実務手順の例は、以下の通りである。 1)ロシアの市場調査と販売ルートの決定、輸入者候補下調べ 2)ロシア側輸入者の選定と売買契約交渉・締結 3)ロシア輸入者に対してサンプル、必要書類の送付 4)ロシア側輸入許可取得作業 5)貨物輸出・輸送 6)輸入検疫・通関 7)ロシア国内輸送・販売 ロシア向けに初めて米を輸出する場合は、まず、日本においてロシア 市場に関する各種調査報告を予め精読の上、実際にロシアを訪問し、市 場視察と現地関係者との面談を通じて現地事情を肌で感じることを強く 勧めたい。ロシアは日本食文化を広く受け入れる土壌を持ち、今後の経 済発展に伴い、日本産農産物・食品の販売が拡大する大きな可能性を持 つ有望市場であるが、一方でロシア向け輸出には、輸送距離の長さと輸 送費用の高さ、販売市場の参入障壁の高さ、代金回収の不確定さ、ロシ アの輸入に関する法律・規制の頻繁な変更など、先進国向けとは異なる 数々の高いハードルが存在し、長期的視野に立つ戦略思考が必要とされ る市場である。従って、十分なリスクとリターンの認識を持った上で、 輸出準備にかかる必要がある。 ロシアへの輸出取引に当たり、しばしば問題となるのがロシア側の輸 入通関におけるトラブルである。ロシアの税関は総じて形式的・官僚的 であり、ロシア側輸入者が、同種の貨物の輸入取引に関して豊富な経験 を有していても、税関当局から通関申請書類の細かい不備を指摘された り、追加書類の要求を受けたりなど、通関に関して予想外の時間と労力 がかかることがある。また、頻繁に発生するロシア当局による制度変更 に即時に対応出来ないと、貨物の通関ができずに長期間港に留め置かれ ることとなり、多額のデマレージ費用の発生、商品の劣化、小売業者か らの納入遅延違約金の要求等に繋がることもある。さらに、ロシアでは きめ細かく法律・規則が定められているものの、通関地点毎にその運用・ 78 対応が異なるといった問題点も指摘されている。 日本産米のロシア輸出では、円滑にロシア側の輸入通関を行うことが 重要であり、それをしっかり実行できる輸入者の選定がビジネスの成否 の鍵となる。従って、十分な事前準備をもって輸入者を決め、書類を整 えて輸出することが必要となる。 ロシア側輸入者の選定に当たっては、既に対外貿易活動の許可を取得 済みで、かつ、輸入検疫許可証を取得可能な輸入者を選ぶ必要がある。 通常は、既に海外から米を輸入した経験があるパートナーを選ぶことと なり、さらに日ロ間のビジネス慣習の相違点に鑑みて、スムーズな取引 の可能性を増すため、できれば日本との取引経験があり、日本企業のビ ジネススタイルを知る業者が望ましい。 2.ロシアの輸入通関に関する書類 上記の通り、米を輸出する際には、ロシア側輸入者と売買契約書を締結し た上で、日本の輸出側必要書類を準備するとともに、ロシア側輸入者による 通関必要書類作成のため製品関連情報を適宜提供する必要がある。 輸入者が製品をロシアに輸入するためには、ロシアの税関に対して契約書、 インボイス、パッキングリストを始め非常に多くの通関書類を提出する必要 があるが、特に重要かつ事前に輸出者からの情報・書類提供を必要とするも のに以下の書類がある。これらの書類は、輸出準備段階で輸入者が当局に申 請し、入手しておく必要がある。 1)適合証明書 2)衛生・伝染病鑑定書 3)輸入検疫許可書 1)適合証明書(Certificate of Conformity) いわゆる「サート」あるいは「サーティフィケイト」と呼ばれる書類で 製品のロシア国内への持ち込みと販売に際して、当該製品が、ロシアの国 家規格及び技術規定を満たしていることを認め、商品に該当する規格の番 号を付与するもの。 製品に対して義務的に規則および規格を順守させる適合証明書に関す る制度は、現在、改訂作業が行われているものの、農産物に関してはまだ 技術規則が整備されていないため、現在の規格および規則によって定めら 79 れていた要求事項と手続きが適用されることとなる。すなわち、 GOSSTANDART of RUSSIA(ロシア連邦国家規格機関、通称 GOST-R)の 認証手続きが、ほとんどの種類の農産物の証明に対して適用される。2009 年 2 月に強制的適合確認の製品リスト手続きの変更が発表されたが、実務 上の取扱に関してはまだ不明点が多い。 製品の認証は、連邦技術規則・計量庁から認定を受けた認証機関によっ て行われる。認定機関は、提出された申請書を審査し、受領から1カ月以 内に認証の条件、認証スキーム、必要書類及び検査機関に関する決定を行 う。検査機関は、製品サンプルの分析・テスト、関連書類の審査、必要な 場合には製品の製造条件の分析を始め、必要な検査を実施する。取得所要 時間は通常1カ月以内。 同証明書の有効期限はスキームによって異なるが、通常は1年間、認証 機関による現地調査を実施する場合は3年間である。 通常、ロシア側輸入者がこの適合証明書を取得するために、輸出者は製 品サンプルや製品が該当する規格を順守していることの証拠書類(検査記 録、衛生許可書・証明書、外国の適合証明書、原産地証明書、外国の検査 機関が実施した検査記録、生産者発行の技術文書など)を提出することに なる。 2)衛生・伝染病鑑定書(Sanitary-Epidemiological Certificate) 衛生・伝染病鑑定書は、輸入・国産を問わず、ロシア国内で販売・展開 される商品や経済活動、サービス等が、国が定める衛生・伝染病規則や関 連法令に適合するかどうかを証明する文書である。連邦消費者権利保護・ 福祉監督局は、衛生・伝染病鑑定書の対象となる製品のリストを定めてい る。同リストには食品(個人消費用の生鮮食品または加工食品、原材料及 び遺伝子組み換え食品)、殺虫剤及び農薬、食品と接触する材料及び品目 が含まれており、ほぼ全ての種類の食品と関連製品を含む。 証明書の取得に必要な期間は、製品の種類と検査の複雑さによるが、2 カ月を超えることはないとされている。 発行された本鑑定書の有効期間は、サンプルは1年、販売目的のものは 5年である。衛生・伝染病鑑定書の発行を監督するのは連邦消費者保護・ 福祉監督局で、鑑定書の発行は、衛生・疫学センターと呼ばれる連邦政府 の保健機関が実施し、特定の製品以外は、連邦消費者権利保護・福祉監督 局の地方部局の責任者が署名した後に発行される。 輸入品に関して衛生・伝染病鑑定書を取得するためには、生産方法説明 書、製品の安全性証明書、成分証明書、製品サンプル等の書類の提出が必 80 要となる。 3)輸入検疫許可書(Import Quarantine Permit) 農業省の下部機関である連邦動植物検疫局によって発行され、製品をロ シアに輸入する際に、受ける検疫の種類と検疫所の場所を指定する書類で、 ロシア連邦領域内に米を輸入する業者は、輸入検疫許可書の発行を受ける 必要がある。 輸入検疫許可書を取得するため、申請者は所定の書式の申請書を連邦動 植物検疫局に提出し、保管倉庫に予防的な植物防疫的消毒を実施の上検査 を受ける必要がある。当局は、申請書及び必要書類の提出を受けてから 30 日以内に検疫証明に関する決定を下す。検疫証明書の有効期間は発行日か ら 12 カ月を超えないとされている。 3.ロシアの輸入通関手続 1)通関書類 製品の通関に際して登録輸入者(又は登録輸入者の業務を代行する専 門通関業者)は、税関申告書を提出し、税関当局者は、同申告書の該当 部分に記入し、かつ申告された通関方法に基づく製品の輸入を承認する スタンプを押す。 2)その他の必要書類 輸入者は、税関当局に対し上記税関申告書の他に、以下の書類を含む 関連書類を提出しなければならない。 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 税関当局に対し輸入者を代表し活動する権限を証明する書類 ロシア領内で事業を行う法人の法的能力、および税関申告書に明 記されたデータを確認する書類 当該法人の税務登録書類 製品の申告価格を証明する書類 申告対象製品に関する外国貿易契約書、又はその他商業書類 該当する場合には、ロシアの銀行が承認した為替管理書類である 外国貿易契約書の取引パスポート 該当する場合には、特恵関税率または税制優遇措置の適用を受け る権利があることを証明する書類 関税品目分類に関する事前決定、あるいは必要な場合には原産地 81 に関する決定 ⑨ 許可書、ライセンス、証明書あるいは次のものを含め、当局が発 行した書類 ○ 適合証明書または適合申請書(輸入製品が強制認証の対象にな る製品のリストに含まれている場合) ○ 衛生・伝染病鑑定書(該当する場合) ○ 人間に脅威をもたらすおそれのある特定種類の製品、あるいは ロシアに初めて輸入される特定種類の製品の国家登録証明書 (該当する場合) ○ 植物検疫証明書 ⑩ 通関手数料の支払いを証明する書類 ⑪ 要求された場合には、通関手数料支払用の担保提供に関する書類、 及びその他の保証書 ⑫ 該当する場合には、製品に特定の通関方法を適用することに対す る税関の許可証 ⑬ 税関申告書に添付される書類のリスト ⑭ ロシアの法令で要求されるその他の書類 ロシアの米の輸入については、通関地点が限定されており、カリーニ ングラード、サンクトペテルブルグ、ノボロシスク、ナホトカ、ボスト ーチヌィ、ウラジオストク、スホプゥートゥニィ、ハバロフスク等を通 関地点とする。予め輸入者が通関地点を決め、必要関係書類を準備する 必要がある。 ロシアの米輸入通関の際には、輸出国における燻蒸処理が必要とされ ているが、輸入通関地点によっては燻蒸処理証明書が求められなかった り、真空パックなどのプラスチック製袋包装の米については燻蒸処理が 不要とされたり、実際の通関時には当局の見解が異なることがあるため、 輸出前に十分現地の確認を取ることが肝要である。 3)税関当局が特に注意する事項 税関当局が実施する通関検査には、税関当局に提出された税関申告書 及び関連書類に明記された情報の正確性の検査、関税/手数料/付加価 値税(VAT)が全額支払われているか否かの他、かつて輸入された製品に 関する税関監査も含まれる。 実際には、税関検査官は、輸入製品を検査する際には、極めて形式的 な手法を採る。従って、全ての関連書類、マーク表示および包装などは、 82 法律の規定を厳格に順守していなければならない。 税関当局は、通関の際、必要なあらゆる適合証明書、衛生・伝染病鑑 定書及び検疫証明書が提出されているか否か、有効か否か、また真正な ものであるかを確認する。一般的に、税関当局は、法律に明記されてい る要求事項を超えて検査をすることはない。しかし税関ごとに注意する 事項が異なる場合がある。 4)関税率など税金、手数料 ① 関税 製品のロシア輸入の際、輸入関税と通関手数料を支払う必要があ る。関税と手数料の金額は、ロシアの関税品目分類(HS コード)に 定められており、輸入製品の関税評価額に基づいて計算される。外 国貿易契約書に基づいてロシアに輸入される製品の関税評価額に は、契約価格、保険料、ロシア国境までの輸送料や顧客が当該製品 の売買条件として直接的、間接的に支払うライセンス料・関連手数 料等が含まれる。 輸入関税率は輸入製品の関税評価額に対する比率(%)で表示さ れ、特定種類の製品の場合、輸入関税は単位数量あたり、又は単位 重量当たりの固定金額(単位はユーロ)で計算される。 関税計算において農水産物は次のグループに分類される。魚類・ 貝類軟体動物およびその他(関税率は関税評価額の 10%∼20%)、 乳製品、鶏卵、蜂蜜およびその他(関税率は高い品目で同 15%) 、 野菜(同 15%)、果実およびナッツ(同5%∼10%) 、穀物(5%、 一部の関税率は1kg 当たり 0.07 ユーロ)、木材、その他の植物、切 花および観賞植物(同5∼15%)。具体的な果実の関税は、リンゴ (ジュース以外:1∼7月1kg 当たり 0.1 ユーロ、8∼12 月1kg 当たり 0.2 ユーロ)、梨(10%)、いちご(10%)、ぶどう(5%) 、 メロン(5%)、桃(5%)、ミカン(5%)。 米は、1kg 当たり 0.07 ユーロが原則とされているが、保護主義的 暫定税率が頻繁に設定され、2009 年 12 月 10 日から 9 ヶ月間は 1kg 当たり 0.12 ユーロが適用されている。 関税は、製品がロシアの関税国境に位置する税関当局に搬入され た日から 15 日以内に支払う必要がある。 ② 輸入付加価値税(VAT) 輸入製品には、ロシアの販売付加価値税と同一の料率で輸入付加 83 価値税(VAT)が課される(18%、10%、0%)。VAT は、ロシアに 輸入されるすべての製品に課されるものであるほか、ロシア国内で の製品、役務およびサービスの販売に対しても課される。一般的な VAT の税率は 18%で、ほとんどの製品、役務およびサービスに適用 されている。10%の VAT は、医薬品、子供用の製品および特定の食 品を始めとする一部の製品に適用されている。0%の VAT は、他の 医療機器、医薬品、芸術品および文化財に適用されている。一般的 な VAT の計算式は、 申告価格(CIF+関税)×18%=VAT となる。 ③ 通関手数料 ロシアの関税基本法は通関手数料を定めている。同手数料は、輸 入製品の関税評価額に対して比率(%)で課される。ただし、10 万 ルーブルが上限となっている。 5)消費者権利の保護について ロシアにおいて消費者の権利は消費者保護法に定められている。消費 財は契約条件を順守すべしとし、購入された製品に欠陥があった場合は 消費者に広範な権利を認めている。消費者は、消費者保護法に基づき、 企業名、住所、営業時間及び取扱製品を含め、製造者(または販売者) に関する適切・正確な情報を受け取ることができる。製品が購入される 時点で、ロシア語で書かれた、明確で分かりやすい情報が消費者に提供 されなければならない。 製品に関する情報として、以下の内容をロシア語で明記する必要があ る。実際には、製品の包装紙にこの情報をロシア語で印刷するか、情報 を含むロシア語のラベルを製品に貼ることが一般的である。 ① 製品の名称 ② 技術規則に対する参照、または法令順守の義務的確認が行われた ことを示すマーク(もし適用されるものがあれば) ③ 主要成分など ④ ルーブル建ての価格 ⑤ 製品を効果的に、安全に使用するための規則と条件 ⑥ 製品の貯蔵寿命 ⑦ 生産者(販売者、輸入者)の商号と住所(所在地) ⑧ 製品の強制適合認証に関する情報 ⑨ 製品の販売に関する特定の要求事項 ⑩ 過去における製品の使用、または過去の欠陥の除去に関する情報 84 (該当する場合) 製品に関する上記情報は、製品に添付された技術文書、ラベル、マ ークまたは特定の製品に認められる他の方法で消費者に伝達しなけ ればならない。製品の法令順守に関する義務的証明についての情報は、 技術規則に関する法令に定められ他方法で提供しなければならない。 GOST-R 認証制度に基づき、製品は、同制度の要求事項を順守してい ることを示す RST マークを表示しなければならない。同マークは、適 合証明書が認証機関に登録された後、製品の表面に印刷し、製品の貯 蔵期間が切れるまで、見やすいところに安定的な方法で貼付する必要 がある。 85 Ⅴ.日本産米のロシア向け輸出拡大案 1.市場戦略 これまで述べてきたロシアの米市場の状況は: • • • • • 米を主食とせず、伝統的食生活における米の使用は限定的 ソ連崩壊後、食生活の多様化・欧米化が進行中 ロシア国産米は増産、輸入米は減少傾向 日本食ブームは持続中、日本ブランド効果が大きい 日本産米の輸出量は少ないが極東地域では知られる存在に 日本産米の輸出の観点から見るロシア市場は、伝統的なロシア食生活があり ながらも、食生活の欧米化と日本食ブームが続く、柔軟かつ潜在性のある市場 であり、国際原油高騰ブームに乗っていたとはいえ 2008 年の急激な日本産米輸 入増に見られるような、日本産米購入の大きな可能性のある市場と言える。 但し、人口 1 億 4 千万人と日本より多くの国民を抱えるとはいえ、現在のロ シアにおいて高価な日本産米を購入できる人は、富裕層と言われる人口 10%以 下であり、本格的な日本産米輸出がようやく始まり、経済危機の傷跡が癒える 過程にある現状では、急速な輸出拡大を狙うよりも、じっくりと中長期的な視 点で日本産米のロシア市場への浸透を図る策をとるほうが現実的であろう。 市場戦略としては、日本産米を購入可能な富裕層が多く住み、日本食レスト ランが普及しているロシア欧州地域のうち、首都モスクワとサンクトペテルブ ルグ、そして、日本海を隔てて近く、親日家が多い極東地域のうち、ウラジオ ストク、ハバロフスクを重点都市として設定する。 これらの都市には、すでに日本食レストランが相当数営業し、日本食品輸入・ 卸業者がおり、少なくとも日本産米がどのようなものかを知っており、輸出拡 大策のパートナー候補となり得る企業が存在する。 また、モスクワにはレストラン・ギルドやモスクワ日本人レストラン経営者 協会があり、輸出拡大策の調査・実施の支援が期待できる。 現在、モスクワやサンクトペテルブルグに日本産米輸出しているのは、日本 の輸出商社とロシア極東の輸入者のみで、販売先も極めて限定的となっている。 86 業務用米は高級日本食レストラン向けが主体で、小売用米は高級スーパーマー ケット向けのみ(一部大手キャッシュ&キャリー含む)となっている。その最 大の原因は価格の高さにあり、ロシア産はもとより他の外国産に比べても日本 の米は数倍高くなっており、他国産米とは全く異なる存在となっている。 前述の通り、ロシアはソ連崩壊後、特に 2000 年以降は食生活が急速に欧米化 し、グローバリゼーションの波の中で各国との交易が飛躍的に発展。アジア各 国やイタリア、米国などから、多種多様な米を輸入するようになってきた。そ の中でも高級レストランや高級スーパーマーケットの要求する日本産米は、日 本のブランド力を背景とした一種の贅沢品、 プレミアム・ライス としての格 付けで販売される特殊な商品と言える。 現在、ロシアで日本産米を購入可能な消費者は、日本産米に対して、米とし て最高の品質を要求しており、求められるのは価格の安さよりも品質の高さ、 おいしさ、見た目の良さ、そして安定供給である。 ロシアの多くの米輸入者にとっても、日本産米は超高級マーケットにしか販 路がない高嶺の花で、中国・タイ、ベトナムなどから大量に安価で輸入・販売 する他の輸入米とは差がありすぎ、手間がかかる上に少量であることから手を 出すのは難しい。そのため、ロシア欧州市場における日本産米販売は、完全な ニッチマーケットに限定されており、市場規模は小さく、担い手のプレーヤー は少ない。従って、当初の輸出拡大策は、現在のニッチマーケットを完全に掌 握し、その拡大を進めることが有効と考える。 2.販売戦略 販売戦略は、まず上記のニッチマーケットをターゲットとして策定。同マー ケット上にいるロシア側関係者と協力関係を構築し、マーケット参加者の属 性・嗜好・行動様式を共同で調査し、市場のあらましを確認した上で、マーケ ットを拡大する日本産米販売拡大の方策を検討していく。 同方策を計画、実行後、結果の点検・評価を行った上で、実施内容と戦略本 意・計画の見合わせを行い処置をとる、即ち PDCA(Plan, Do, Check, Action) を回すことによって、効果的な販売戦略を進めることが有効である。 87 以下、現在のロシアの米市場を考慮に入れた方策案を例として挙げる。 1)試食会 日本産米のおいしさを体験させるには、言うまでもなく、試食が最 も効果的である。ロシアが市場経済国家に移行して 20 年足らず、小 売業界が欧米の店頭プロモーションを始めてからまだそれほど歴史 が深くないため、ロシア人にとって試食は面白いものであり、それも 日本産米を試食する機会はほとんどないので、記憶に残りやすい。 ロシア人が日本産米を食べる目的としては上述のように、スシやロ ールの材料としての用途が最も大きいため、試食会も小さめでもスシ やロールをつくるのが一番良いだろう。比較のためにロシア国産米と 一緒に試食をするのも味の違いを際だたせるのに効果的と考える。 また、日本産米=スシという概念を破ってみる Trial も興味深い。 即ち、付け合わせとして日本産米がおいしいと実感してもらうような 試食会を行い、スシ・ロール以外の用途を広げることで、富裕層の日 本産米販売拡大につながる可能性が出てくる。 前述のように、ロシア人の健康志向は強く、これまでの ジャガイ モ+塩 や 油で揚げたジャガイモ よりも 米+醤油 をヘルシー な付け合わせの形として、日本人が強力にプッシュすることは、日本 産米と日本産醤油の拡販に効果がある。2000 年以降の日本食ブーム のおかげで、ロシアのスーパーマーケットのほとんどには醤油が売ら れるようになっている。既に付け合わせとしての米に醤油をかけて食 べるスタイルは存在しているので、 純粋な日本産でよりヘルシーに と印象づけることは面白い取組と考える。 2) パッケージの変更 現在の日本産米のパッケージは、日本国内販売用のものにロシア語 のシールを貼っただけもので、ロシア国内販売に注力しているもので はない。上述のように、ロシア人の米の消費量は少ないため、小売の 現場で販売されているロシアの米パッケージメーカーのパッケージ は、通常 1kg が最大で、900g、800g、500g、350g、250gなど 細かい取りそろえがある。 一方、現在ロシアに輸入されている日本産米のパッケージ容量は、 1kg が最小で、2kg、5kg、10kg、25kg である。言うまでもなく日本 産米の 1kg 当たりの単価は、飛び抜けて高いため、パッケージ容量を 小さくすることで、一袋当たりの出費額を減らして、消費者が試しや 88 すく、買いやすい状況を創り出すことは重要と考える。 五穀米、雑穀米などの MIX パッケージ 上記のロシアにおける米の価格表によると、1kg 当たりで日本産米 よりも高価な米があることに気づく。それはいわゆる Wild Rice で あり、北米五大湖周辺で収穫される古代米の一種である(1kg 当たり 2,000∼2,500 円)。この Wild Rice は高級スーパーマーケットだけで なく、中級スーパーマーケットでも販売されており、これほど高価な 米にもかかわらず、広い層に使われていることが分かる。このパッケ ージは 350gほどと小さいが、だいたいこの Wild Rice の隣の棚には 米と他の穀物・豆との MIX パッケージが売られている。日本でも良 く販売されている五穀米や雑穀米と似た形のものであり、日本産の五 穀米、雑穀米などはロシア市場では受け入れられる可能性が高いと考 えられる。 3) 4) ホーム・スシ の拡販 現在、ロシアではホーム・パーティでスシやロールを作ることが静 かなブームになっているという。この動きを加速するために、家で簡 単にスシ・ロールができるようなレシピと日本産米の拡販のキャンペ ーンを打ち出す。昨年モスクワの日本食品専門店では 200 台もの炊飯 器が売れたという。炊飯器の目的の一つがスシ・ロールを家庭で作る ためであり、炊飯器の販売は直接日本産米の販売に結びつく可能性が 高い。 従って、ホーム・スシの拡販イベントでは、日本産米、炊飯器、ロ ール作成キット、レシピ、スシネタを併せて用意するなどのバリエー ションを持たせたい。 89 ロシア 米 小売価格調査表 1) 高級スーパーマーケット Gastronom No.1 GUM メーカー 銘柄 日本産 あきたこまち Azbuka Vkusa メーカー Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Carnalori Italia Yarmarka Yarmarka 日本産 Blue Dragon Globus Groumet メーカー Yarmarka Yarmarka Yarmarka Yarmarka Yarmarka Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Blue Dragon 日本産 日本産 日本産 Komsomolski Prospekt 4 銘柄 Aquatica wild Aquatica Mix Alborio Basmati Gold Basmati Basmati Mix Jasmine Yaponika Indika ゴールド Indika Italika Yantal stemed Kubani 4 seasons rizotte Jasmine 4 mix Mix black & blown あきたこまち Sushi 銘柄 Alborio Wild Rice Basmati Egipt Jasmine Basmati Mix Indika ゴールド Indika Italika Yantal Kubani Akvatika Arborio Jasmine Basmati Sushi Kinuhikari Koshihikari Akitakomachi 2)高級スーパーマーケット Sedimoi Kontinent Leninski pr 61/1 メーカー 銘柄 Optimum Tri Khozaiki Mistral Itarika モスクワ 産地 秋田 Sep.2009 容量(G) 価格(Rub) 価格/Kg 1kg当り円価 1,000 900.00 900 2,700 モスクワ 産地 Feb,2010 容量(G) 価格(Rub) 価格/Kg 1kg当り円価 500 369.00 738 2,214 500 99.50 199 597 500 59.00 118 354 500 94.00 188 564 500 79.50 159 477 500 121.00 242 726 500 53.00 106 318 500 72.00 144 432 1,000 79.50 80 239 1,000 73.00 73 219 1,000 98.50 99 296 900 64.50 72 215 900 58.50 65 195 1,000 267.50 268 803 500 171.00 342 1,026 350 79.50 227 681 350 81.50 233 699 1,000 579.00 579 1,737 500 238.00 476 1,428 Thailand Russia Russia 秋田 イギリス サンクトペテルブルグ Feb,2010 産地 容量(G) 価格(Rub) 価格/Kg 1kg当り円価 350 64.00 183 549 350 366.00 1,046 3,137 350 80.00 229 686 350 87.00 249 746 350 56.00 160 480 500 121.00 242 726 1,000 85.00 85 255 1,000 81.00 81 243 1,000 98.50 99 296 900 69.00 77 230 900 62.00 69 207 500 333.00 666 1,998 500 63.00 126 378 500 56.00 112 336 500 85.00 170 510 500 242.00 484 1,452 1,000 624.00 624 1,872 1,000 645.00 645 1,935 1,000 700.00 700 2,100 モスクワ 産地 1 Feb,2010 容量(G) 価格(Rub) 価格/Kg 1kg当り円価 1,000 60.90 61 183 1,000 53.90 54 162 1,000 98.90 99 297 Sed'moi Kontinent メーカー Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Agro Alience Optimum Optimum Optimum Tri Khozhaiki Leninski Prospekt 銘柄 Aquatica Aquatica Mix Basmati Jasmine Indika Brown Indika ゴールド Indika Italika Yantal Kubani Martabriatti steamed rice medium long rice long steamed rice long rice Perekrestok メーカー Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Novinskii Pazazh B1F 銘柄 Jasmine Kuban Yantal Indika Orient 3)中級スーパーマーケット 12 mesyatsev Leninskii メーカー 銘柄 Mistral Basmati Gold Mistral Alvorio Mistral Jasmine Mistral Indika ゴールド Mistral Indika Mistral Yantal Mistral Orient Mistral Italika Mistral Kubani Agroretail MRBKH 1st sort MRBKH 精米 MRBKH 精米 Tri Khozhaiki 精米 long rice Tri Khozhaiki 精米 round rice Agro Alience lyuoubimaya kasha Agro Alience Steamed rice Ameria Yantal Ameria long rice Ameria round rice Angstrem National Angstrem National otborny Angstrem National No.5 Angstrem Zalochisty モスクワ 産地 Feb,2010 容量(G) 価格(Rub) 価格/Kg 1kg当り円価 500 329.00 658 1,974 500 96.60 193 580 500 80.90 162 485 500 53.90 108 323 1,000 76.90 77 231 1,000 80.90 81 243 1,000 72.90 73 219 1,000 98.90 99 297 900 49.90 55 166 900 58.90 65 196 900 76.90 85 256 1,000 44.90 45 135 900 44.90 50 150 1,000 60.90 61 183 1,000 53.90 54 162 モスクワ 産地 Feb,2010 容量(G) 価格(Rub) 価格/Kg 1kg当り円価 500 54.80 110 329 900 49.50 55 165 900 66.90 74 223 1,000 75.30 75 226 900 54.10 60 180 モスクワ 産地 Feb,2010 容量(G) 価格(Rub) 価格/Kg 1kg当り円価 500 78.99 158 474 500 58.99 118 354 500 52.50 105 315 1,000 78.99 79 237 1,000 77.50 78 233 900 63.90 71 213 900 60.50 67 202 1,000 104.50 105 314 900 57.50 64 192 1,000 51.50 52 155 900 47.99 53 160 900 36.99 41 123 900 36.99 41 123 1,000 55.50 56 167 1,000 44.50 45 134 900 74.50 83 248 900 78.50 87 262 900 63.99 71 213 900 48.90 54 163 900 50.99 57 170 900 59.50 66 198 900 61.00 68 203 900 44.50 49 148 900 61.00 68 203 Thailand Russia ベトナム krasnodar krasnodar 2 Perekrestok メーカー Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Angstrem Angstrem Angstrem Angstrem Angstrem Angstrem Angstrem Agro Alience Agro Alience Agro Alience Agro Alience Agro Alience Agro Alience Agro Alience Agro Alience Yarmarka Yarmarka Yarmarka Passim Passim Passim Perekrestok (PB) Perekrestok (PB) Ashan Citi メーカー Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Mistral Desan Angstrem Nekstra Agro Aliance Agro Aliance Agro Park Agro Park Agro Aliance Agro Aliance Tyshinskaya 銘柄 Basmati Mix Aquatica Mix Jasmine Indika 白 Indika ゴールド Indika Yantal Orient Kubani National zalochisty National Otborny Ontalio wild black zalotoy duete mix wild & white Rizot Sushi Basmati Mix wild & white Extra Rizot Mix Basmati Extra for Japanese food Kubani American Crassic Extra Slim & Fit Wild rice Black Mix For family 1 Steamed rice 2 3 long rice Krasnaya tsena Krasnaya tsena University 銘柄 Alborio Yaponika Aquavatika Indika Yantal Orient Indika Gold zelenograd Don Gust super モスクワ 産地 米国 米国・ウルグアイ Vetnam モスクワ 産地 Feb,2010 容量(G) 価格(Rub) 価格/Kg 1kg当り円価 500 48.50 97 291 500 55.24 110 331 500 248.15 496 1,489 1,000 59.20 59 178 900 52.56 58 175 900 42.66 47 142 1,000 65.02 65 195 1,000 36.47 36 109 1,000 35.47 35 106 1,000 57.34 57 172 900 41.00 46 137 900 58.03 64 193 3,000 155.93 52 156 3,000 166.98 56 167 900 46.50 52 155 900 52.14 58 174 モスクワ 産地 Feb,2010 容量(G) 価格(Rub) 価格/Kg 1kg当り円価 900 49.90 55 166 900 46.90 52 156 1,000 70.90 71 213 1,000 30.90 31 93 1,000 31.90 32 96 Martagliati Otlichnyi Produkt Steamed rice Steamed rice National 4)庶民的スーパーマーケット Kopeika メーカー Mistral Kuban Mistral Orient Mistral Indika Nominal 白 Nominal 銘柄 Feb,2010 容量(G) 価格(Rub) 価格/Kg 1kg当り円価 500 84.70 169 508 500 80.00 160 480 500 43.90 88 263 1,000 60.30 60 181 1,000 77.20 77 232 1,000 63.60 64 191 900 54.30 60 181 900 46.30 51 154 900 49.30 55 164 900 53.90 60 180 900 53.90 60 180 500 333.00 666 1,998 500 73.00 146 438 500 70.50 141 423 500 54.80 110 329 500 68.60 137 412 500 56.60 113 340 500 53.50 107 321 500 56.60 113 340 500 57.50 115 345 500 47.90 96 287 900 56.10 62 187 900 47.90 53 160 800 41.80 52 157 350 282.00 806 2,417 350 47.90 137 411 800 39.60 50 149 800 47.50 59 178 800 41.30 52 155 800 38.40 48 144 900 32.10 36 107 900 29.20 32 97 3 V-LASER Hypermarket, Eliet-Class, Il'icheva 4, メーカー 銘柄 Agro Aliance Extra Thai Gold Classic Thai Extra Rissotto Jasmin Sushi Long rice Krasnodarskiyi Mistral' Basmati Gold Steamed Basmati Round Orient Indika Long rice "A" Krasnodarskii Polished Round polished Long polished Steamed Polished Japanese Rice (Elan) KoshiHikari KoshiHikari Uvelka Long Classic Round Krasnodarkij Long Steamed Knyazhniji Stol Long steamed Round Passim No1 Steamed No 3 Long No3 Long No4 Krasnodarskiji No8 AK-Marzhan Yarmarka Basmati Platinum Egypt for Sushi Carlous for Sushi Blagorodniyi Steamed For Family long Molochniyi (milky) rice Krasnodarskyi Tzar long rice Zolotaya Yarmarka Round Long grain polished Steamed Sun Clad Shidone For Sushi Golden Field Fushigon Generic Brand Round Krsnodarskiji Vietnam Chinese Yaponka ウラジオストク 産地 Parus Supermarket, Elite-Class, 100Years 68 メーカー 銘柄 Agro Aliance Long Agro Aliance Gold Steamed Agro Aliance Classic Thai Agro Aliance Thai Jasmine Agro Aliance Sushi Maltal'yati Long Maltal'yati Pekinskiyi Maltal'yati Steamed Rus' Vostochnaya Long (Vietnam) Yarmarka Carlous Sushi Yarmarka Jasmine Japanese Rice (Elan) Koshihikari Japanese Rice (Elan) Koshihikari Gold Fields Fushigon (5 packests) Gold Fields Classic (5 packests) Gold Fields Long Rice (5 packests) Gold Fields Thai (5 packests) Uvelka Long (8 packets) ウラジオストク 産地 4 容量(G) 価格(Rub) 価格/Kg 1kg当り円価 900 52 58 173 900 51 57 170 500 49.5 99 297 500 61 122 366 500 47 94 282 1,500 72.5 48 145 1,500 84 56 168 500 130.5 261 783 500 130.5 261 783 500 36 72 216 900 90.5 101 302 1,000 113.5 114 341 800 52.5 66 197 800 52.5 66 197 800 49 61 184 800 66.5 83 249 2,000 816.5 408 1,225 5,000 1939 388 1,163 800 58.5 73 219 800 62.5 78 234 800 55 69 206 800 48.5 61 182 800 49 61 184 800 48.5 61 182 800 49.5 62 186 1,500 80 53 160 800 44.5 56 167 800 55 69 206 350 77.5 221 664 350 78 223 669 350 72.5 207 621 400 44 110 330 400 44.6 112 335 800 54.8 69 206 800 56.8 71 213 500 53 106 318 800 63 79 236 800 64 80 240 800 64 80 240 1,000 360 360 1,080 500 65 130 390 1,000 32.5 33 98 1,000 38 38 114 1,000 35.8 36 107 1,000 59 59 177 容量(G) 価格(Rub) 価格/Kg 1kg当り円価 1,500 76 51 152 1,500 88 59 176 900 56 62 187 500 60 120 360 500 51 102 306 900 63 70 210 900 56 62 187 900 59 66 197 800 32.5 41 122 350 71 203 609 350 53 151 454 2,000 798 399 1,197 5,000 1894 379 1,136 500 63 126 378 500 57 114 342 500 66 132 396 500 60 120 360 800 78 98 293 NK City Supermarket, Elite Class, K.Marksa 74 メーカー 銘柄 Uvelka Thai Long Uvelka Round Steamed Tzar' Round rice Tzar' Long Rice Tzar' Steamed Angstrem Golden Long Angstrem Jasmin Long Angstrem Otborniyi Angstrem Krasnodarskiji Elite Angstrem Krasnodarksiji Passim No1 Long Steamed Passim No2 Round Passim No3 Long rice Passim No4 Krasnodarskiyi Agro Aliance Mix Golden & Wild Agro Aliance Jasmine Agro Aliance Akvatika Agro Aliance Slim & fit Yarmarka Brown and Wild Yarmarka Jasmine and wild Yarmarka Basmati and Wild Golden Fields Rassipchatiyi Granmulino Krasnodarskiyi Granmulino Steamed Mistral' Indika Mistral' Italika ハバロフスク 産地 Tri Tolstyaka Supermarket, Medium-Class, Lenina St メーカー 銘柄 Argo Aliance Extra Brown & Wild Argo Aliance Extra Brown Argo Aliance Extra Wild & Golden Argo Aliance Long Argo Aliance Kranosdarskiji Argo Aliance Extra Kubanskiyi Etalon Argo Aliance Extra Kubanskiyi Elite Argo Aliance Extra Kubanskiyi Elite Argo Aliance Steamed Golden Argo Aliance Extra Sushi Argo Aliance Extra Thai Jasmine Argo Aliance Extra Thai Classica Argo Aliance Thai Steamed Argo Aliance Extra Thai Steamed Argo Aliance Brown & Wild Argo Aliance Wild & Golden Argo Aliance Extra Super Basmati Argo Aliance Thai Jasmine Argo Aliance Thai Classical Argo Aliance Thai Steamed Angstrem Jasmine Angstrem Golden Angstrem Golden Regular Angstrem Krasnodarskiyi Angstrem Krasnodarskiyi Regular Angstrem Otborniyi Angstrem Otborniyi Regular Angstrem Regular Basmati Angstrem Regula Jasmine Angstrem Regular Golden Duet Bakaleyinaya Kompan Rice (China) Bakaleyinaya Kompan Rice (China) Bakaleyinaya Kompan long Bakaleyinaya Kompan Steamed Golden Fields Thai Granmulino Long ハバロフスク 産地 5 容量(G) 価格(Rub) 価格/Kg 1kg当り円価 800 64.3 80 241 800 46.8 59 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Mariya Mistral' Mistral' Mistral' Mistral' Mistral' Mistral' Passim Passim Passim Passim Passim Passim Passim Passim Passim Rus' Vostochnaya Uvelka Uvelka Uvelka Uvelka Uvelka Uvelka Uvelka Uvelka Uvelka Uvelka Uvelka Uvelka Uvelka Khabarovskiyi KP Khabarovskiyi KP Yarmarka Yarmarka Yarmarka Yarmarka Yarmarka Yarmarka Yarmarka Yarmarka Yarmarka Yarmarka Yarmarka Yarmarka Yarmarka Yarmarka Steamed Long Steamed Round Long Round Steamed Long Indika Jasmine Indika Brown Italika Kuban' Yantar' Ak-Marzhan Long 3min No 4 Long No3 Long Long Steamed Long Steamed Krasnodarskyi Round rice Round Polished Round Long Long Long Classical Long Steamed Long Steamed Krasnodarskyi Round Round ROUnd Thai Basmati Brown Round Pekinskiyi Round Round Arborio Long Ideal Long Ideal Long Family Long Family Jasmine Kalrous for Sushi Round Round Krasnodarskyi Steamed Blagorodnyi Steamed Blagorodnyi Mix 4 kinds Mix Brown and Wild Mix Steamed and Wild Pier Supermarket, Medium-Class, Frunze St メーカー 銘柄 Agro Aliance Extra Golden Steamed Agro Aliance Extra Basmati Agro Aliance Extra Thai Classic Agro Aliance Kubanskyi Kulon Uvelka Round Uvelka Steamed Uvelka Thai Yarmarka Ideal Long Rice Yarmarka Family Long Rice Mistral' Arborio Mistral' Yantar' Mistral' Basmati Mistral' Akvatika 800 900 900 800 800 800 1,000 500 1,000 1,000 900 900 800 250 400 800 400 800 800 800 400 800 500 800 800 500 800 800 500 800 800 800 500 500 500 1,000 1,000 350 400 800 400 800 350 350 800 400 400 800 350 350 350 ハバロフスク 産地 6 81 86 88 47 49 57 101 81 114 137 76 78 56 59 39 51 39 62 57 55 38 48 48 76 55 48 57 63 49 75 50 67 79 53 61 56 44 59 45 69 41 60 51 69 64 46 42 66 70 69 73 101 96 98 59 61 71 101 162 114 137 84 87 70 236 98 64 98 78 71 69 95 60 96 95 69 96 71 79 98 94 63 84 158 106 122 56 44 169 113 86 103 75 146 197 80 115 105 83 200 197 209 304 287 293 176 184 214 303 486 342 411 253 260 210 708 293 191 293 233 214 206 285 180 288 285 206 288 214 236 294 281 188 251 474 318 366 168 132 506 338 259 308 225 437 591 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Angestem Gold Angestem Gold Passim No1. steamed Passim No2. round rice Passim No2. round rice Passim No3. long rice Passim No3. long rice Passim No4 Krasnodar Rus' Vostochnaya Round rice Uvelka Rice Vostochniyi steamed Uvelka Long rice Uvelka Round rice Uvelka Krasnodar Uvelka Thai Yarmarka Long rice For Family Generic Brand Krasnodar Generic Brand Thai Steamed ハバロフスク 産地 Market Vladivostok --1st Stall メーカー 銘柄 Mistral' Round Mistral' Basmati Mistral' For Japanese Cusine/Sushi Mistral' Jasmin Mistral' Yaponika Mistral' Kuban' Mistral' Indika Gold Mistral' Indika Mistral' Italika Agro Aliance Jasmin Agro Aliance Basmati Super ウラジオストク 産地 7 容量(G) 価格(Rub) 価格/Kg 1kg当り円価 250 62 248 744 500 93 186 558 800 50 63 188 800 53 66 199 800 62 78 233 800 46 58 173 800 53 66 199 500 56 112 336 1,000 38 38 114 1,000 40 40 120 容量(G) 価格(Rub) 価格/Kg 1kg当り円価 1,500 76.02 51 152 500 57.1 114 343 800 47.3 59 177 500 58.6 117 352 500 57.1 114 343 900 45.6 51 152 900 45.6 51 152 500 57.1 114 343 1,500 72.2 48 144 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Mid-grain Mistral' Cuban' Mid grain Mistral' Akvatika Wild Black Mistral' Akvatika Mix 7 rice Mistral' Orient Long Mistral' Steaemed Mistral' Yantar' Stemed Mistral' Yaponika white Round Mistral' Krasnodar Mistral' Round rice Mistral' Round rice Mistral' Long rice Mistral' Long rice Mistral' Steamed Mistral' Steamed Knyazhniyi Stol Long rice Knyazhniyi Stol Round rice Passim No1. steamed Passim No2. round rice Passim No2. round rice Passim No4 Krasnodar Passim No4 Krasnodar Rus' Vostochnaya Round rice Shekibinskiyi Classic Shekibinskiyi Steamed Uvelka Long rice Uvelka Long rice Steamed Uvelka Round rice Uvelka Round rice Yarmarka Krasnodar Round rice Yarmarka Long rice Blagorodnyi Steam Yarmarka Long rice For Family Yarmarka Arborio Platinum Yarmarka Basmati Platinum Yarmarka Brown & Wild Platinum Yarmarka Wild Platinum Yarmarka Jasmin Platinum Yarmarka Carlous Sushi ウラジオストク 産地 Market Vladivostok --2nd Stall メーカー 銘柄 Altayiskaya Skazka Krsnodarskiji Round Agro Aliance Krasnodar Traditional Agro Aliance Krasnodar Traditional Agro Aliance Thai Jasmin Agro Aliance Classic Long rice Agro Aliance Classic Long rice Agro Aliance Steamed Gold Agro Aliance For Japanese Cusine/Sushi Generic Brand non-paYaponka Generic Brand non-paRprimorskiyi Rice Minstal' Round Minstal' Yantar' Long Steamed Minstal' Steamed Minstal' Orietnt Long ウラジオストク 産地 8 容量(G) 価格(Rub) 価格/Kg 1kg当り円価 900 46 51 153 500 44 88 264 900 45.5 51 152 500 42 84 252 900 45.5 51 152 800 46.5 58 174 800 45 56 169 800 38 48 143 800 51.5 64 193 500 26.5 53 159 1,000 78 78 234 1,000 81.5 82 245 1,000 100 100 300 900 59.5 66 198 500 293.5 587 1,761 500 98 196 588 900 53.5 59 178 500 31.5 63 189 900 66 73 220 500 73 146 438 800 41 51 154 800 44 55 165 500 41 82 246 500 30.5 61 183 800 48 60 180 500 35.5 71 213 800 52.5 66 197 800 33 41 124 800 41 51 154 1,500 82.5 55 165 800 41 51 154 1,500 72 48 144 800 41 51 154 1,500 79.5 53 159 5,000 217.5 44 131 900 55.5 62 185 900 46 51 153 1,500 75.5 50 151 800 43.5 54 163 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