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アイシングが外側広筋のstiffness
アイシングが外側広筋の stiffness,筋形態に与える効果 北里大学医療衛生学部 PT01335 守井 梢 共同研究者:早川奈緒 目黒智康 指導教員:渡邊裕之 【背景】 アイシングは障害予防や除痛目的に多くの場面で行わ れている. しかし 生理学的基礎研究が少ない. 筋組織そのものの物性的変化に着目した研 究が少ない. ↓ アイシングの効果について不明な点が多い. アイシングの効果を明確にすることで,より適切に アイシングの処方が行えるのではないか. 【背景・目的】 アイシングが筋組織に与える影響は,これまで関節可 動域や筋力の変化から測定されていた. しかし 筋組織の機能特性を測定することは困難. 近年,超音波断層撮影装置を用いたstiffness, 筋形態測定方法が確立された. アイシングが筋組織に与える影響を,超音波断層 撮影装置を用いた画像解析により明らかにする. 【方法:対象】 循環器疾患及び神経・整形外科的疾患を有さ ない健常成人25例25脚. 対象の基礎情報 年齢(歳) 身長(㎝) 体重(㎏) 男性 13例 21.9±1.3 174.1±6.4 65.9±9.4 女性 12例 22.3±1.1 158.2±5.5 50.2±4.3 全体 25例 22.1±1.2 166.5±10.0 58.4±10.8 【方法:測定肢位】 • 股関節・膝関節各屈曲 80°に固定する. 深部温度計(プローブ) 超音波断層撮影装置(プローブ) Hand held dynamometer:HHD 測定肢位 【方法:測定手順】 以下の一連の測定を1セットとする. 安静 50%MVC 筋力測定 超音波画像録画 安静 100%MVC 筋力測定 超音波画像録画 • あらかじめ最大筋力発揮を行い,その50%の平 均値を目安に50%MVCの筋力発揮を行う. • アイシング前後で上記の測定を各3セット行う. (セット間には3分間の休息をおく.) 【方法:アイシング】 アイスバッグにクラッシュアイスを入れた氷嚢2個 (各700g)を作製する. z 大腿長50%で大腿直筋と外側広筋を20分間冷却する. z 氷嚢 深部温度計(プローブ) 超音波断層撮影装置 (プローブ) アイシング方法 アイシング後の測定 【解析:深部腱膜伸張量の測定】 筋束と深部腱膜の接合部を点Pとする 筋束 P0 P0 深部腱膜 安静時 P1 ⊿ℓ100 最大収縮時(100%MVC) 100%MVCの伸張量を⊿ℓ100,50%MVCの伸張量を⊿ℓ50とする. 【解析:羽状角,筋厚の測定】 外側広筋 筋厚 羽状角 θ θ 遠位← →近位 安静時,最大収縮時ともに,羽状角及び外側広筋 筋厚を測定する. 【解析:データ算出式】 〈外側広筋・腱膜のstiffness(S:N/㎜)算出〉 S(N/㎜)=(F100−F50(N)) /(⊿ℓ100−⊿ℓ50(㎜)) F(N)= k×L(㎜)×f(N)/M(㎜) F:外側広筋発揮張力(N) k:大腿四頭筋での外側広筋横断面積相対比=0.22 L:下腿長(㎜) f:等尺性膝伸展筋力(N) M:大腿四頭筋モーメントアーム=43㎜ 〈外側広筋筋束長の算出〉 筋束長(㎜)=筋厚(㎜)/sinθ θ:羽状角 【結果:stiffness変化】 * 70 stiffness(N/㎜) 60 50 40 30 20 10 42.0 33.4 0 アイシング前 アイシング後 *:p<0.05 【結果:羽状角変化】 ** 16 16 14 14 12 10 8 6 13.4 NS 18 羽状角(°) 羽状角(°) 18 11.0 12 10 8 6 4 4 2 2 0 0 アイシング前 アイシング後 **:p<0.01 安静時 14.1 14.3 アイシング前 アイシング後 NS:有意差なし 最大収縮時 【結果:筋束長変化】 160 ** 140 140 120 120 100 80 60 96.8 111.4 筋束長(㎜) 筋束長(㎜) 160 100 80 60 40 40 20 20 0 0 アイシング前 アイシング後 **:p<0.01 安静時 NS 95.3 91.7 アイシング前 アイシング後 NS:有意差なし 最大収縮時 【考察】 アイシングにより 安静時:筋束長↑ 羽状角↓ 接合部P0が遠位へ変位 収縮時:筋束長→ 羽状角→ 接合部P1は変位なし 安静時に筋束長が増大したことから, アイシングにより安静時に筋線維が弛緩した と考えられる. 【結語】 z アイシングによる筋組織への影響を明らかに するために,超音波断層撮影装置を用いて 外側広筋のstiffness及び筋形態を測定した. z アイシングにより,外側広筋筋線維が弛緩し, 外側広筋のstiffnessが減少した. z アイシングにより得られる筋緊張軽減などの 効果は,筋線維の弛緩によるものであると示 唆されました.