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東日本大震災の教訓

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東日本大震災の教訓
国際防災・人道支援フォーラム2014
東日本大震災の教訓
~災害時要援護者支援のあり方~
石巻市長
亀山
紘
1
石巻市の被害状況
H22人口(千人)
市町村職員数(一般行政)
(人)
(H25年11月末現在)
556
18,460
岩手県
6,730
19,973
1,033
石巻市
13,787
7,226
1,813
62,933
4,220
5,268
8,453
2,029
3,600
5,816
死者・行方不明者数(人)
災害廃棄物推計量(千t)
2,187
15,279
面積(㎢)
全壊戸数(戸)
163
1,330
21,221
13,834
11,568
宮城県(石巻市を除く)
3,372
11,683
福島県
被災3県における石巻市の被害(死者・行方不明者数、全壊戸数、災害廃棄物推
計量)の割合は、人口・面積等に比べてかなり高い。
2
避難所運営のあり方
○学校の体育館では収まりきれない数の避難者が・・・
○避難所の運営主体は市職員が原則当たることになっているが・・・
毛布や食料の手配は誰がどのように行うのか・・・
避難者名簿や安否確認は誰がどのように行うのか・・・
要援護者の支援は誰が・・・etc
東日本大震災における被害概要
7,241人
震災時の要援護者名簿登録者数(H22.4.1)
要援護者名簿登録者のうちの死亡者数推定
障がい者手帳保持者総数
370人(5.1%)
発災時
平成24年度
8,140人
7,643人
397人(5.0%)
障がい者死亡者数(実数比)
障がい者種別死亡者数(※重複障がい者含む)
身体障がい者(351人)
肢体不自由
視覚障害
176人
24人
知的障がい者
聴覚障害 その他障害
25人
126人
28人
精神障がい者
23人
※重複障がい者含む
4
東日本大震災の教訓
東日本大震災時の避難所運営

避難所運営に問題発生! 避難所開設数251箇所
避難者数50,758人
学校の体育館等では収まりきれない数の避難が・・
1~3日目
(3/11~13)
4日目~2週間
(3/14~17)
2週間~3月末
(3/18~3/31)
4月
(4/1~4/30)
災害時要
援護者の
状態
・避難所への避難
・一般避難者と同室
・介護用物資の不足
・民間介護施設被災
・在宅介護者へのサ
ービス停止
・避難所運営で一般避
難者との摩擦が発生
・介護用物資の不足
・通信、道路事情の改
善に伴い在宅要介護
者の問題が顕在化
・左記の状態が続く
・要援護者の医療・保健
・一般避難所にはベット、 のニーズ調査開始
ポータブルトイレがない
ため、要介護レベルが
・災害時要援護者の福
上がり、寝たきりの高齢
祉避難所への移動
者が増える。
対応状況
・通信不能、被害状況
の把握不能、要介護者、
障がい者の避難状況、
問題の把握不能
・避難者用食料、物資
等の調達
・3/17福祉的避難所設
営(稲井中学校)
・遊楽館に要介護者用
福祉避難所を集約
・介護ボランティア受入
・市立病院スタッフ福祉
避難所での診療開始
・手話通訳者派遣受入
・避難者の健康相談
組織的調査を開始
・リハビリテーション支
援団体各避難所巡回
・透析患者へのガソリン
優遇証明書の発行
・透析患者への送迎バ
ス運行開始
・4/5要介護者に関す
る会議を定期的に開催
・4/16桃生トレセンに福
祉避難所開設
・4/29桃生トレセン入所
受入開始
・遊楽館へのPCAT等の
5
支援開始
災害時要援護者避難の課題
1~3日目
(3/11~13)
4日目~2週間
(3/14~17)
2週間~3月末
(3/18~3/31)
4月
(4/1~4/30)
・高齢者や障がい者への対応の遅れ
・どの避難所も障害のある方や、虚弱の高齢者
にとって自立を阻む環境
・避難所運営マニュアルに福祉避難所の開設に
ついての位置づけがない
・災害時要援護者の安否確認・所在把握が困難
・避難所の状況把握の段階で、災害時要援護者
の収容状況を調査、把握し、福祉避難所への
二次避難へ誘導すべき
・福祉避難所への二次避難の条件を整理
・在宅の災害時要援護者の把握手順の整理
・福祉避難所の運営及び在宅災害時要援護者の
巡回、把握には多数の専門職の確保が必要
・三次避難(福祉避難所→福祉施設)のための広
域調整が困難(受け皿が不明確)であった
・福祉・介護のための専門職部門の設置が必要
・専門職確保のための外部関係機関との事前協
定(職能団体等:介護士、保健師看護師、医師)
・設備、資材の調達のための事前協定の締結(移
動式多機能トイレ、ベットなど)
・厚生労働省:遊楽館福祉避難所等との位置付け
は5月後半に決定
・福祉避難所の自動開
設基準を設定し、福
祉避難所の早期開設
を図るべきである
・福祉避難所での医療
福祉・介護等の関係
者のネッワークを構
築することが必要
遊楽館福祉避難所:市
立病院の医師や看護師、
ボランティア団体による
支援、医療依存度の高
い方を中心に対応<利
用状況>
・設置期間:3/17~
9/30(198日間)
・避難者数:362人(延
人数:13,094人)
・専用スペースの確保、
簡易ベット、ポータブ
ルトイレの備蓄・調達
などの災害時要援護
者対応が必要
・介護老人福祉施設や
介護老人保健施設等
との事前協定を締結
し、災害時に備える
桃生農業者トレーニン
グセンター福祉避難所:
要支援~要介護3程度
でリハビリを必要とする
方を中心に対応
<利用状況>
・設置期間:4/29~
9/27(152日間)
・避難者数:49人(延
6
人数:2,812人)
Ⅰ.応急仮設住宅の現状
平成25年9 月末現在
整備箇所
整備戸数
入居者件数
入居人数
空き戸数
134ヶ所
7,153戸
6,967 件
15,377人
186 戸
Ⅱ.民間賃貸住宅の現状
平成25年9 月末現在
申請件数
入居者件数
入居人数
応急仮設+民間賃貸
7,170件
4,788件
12,555人
11,755件
27,932人
・現在、仮設住宅やみなし仮設にお住ま
いになっている高齢者や障がい者、また
一部の若年者も含め、支援を必要とする
方々が、最後の一人まで、その心と体を
いかに健やかに保ち、生きる希望と、気
力・体力を持って、災害公営住宅などに
移転し、生活を再建できるかどうかが課
題である。
7
「新しい東北」先導モデル事業選定
被災者を最後のおひとりまで支える次世代型地域包括ケアの推進
開成・南境地域の仮設住宅
(1,882戸)
仮設住宅生活
の長期化
保健師
入居する高齢者、
障がい者等の心身
の健康悪化
若年入居者も含めた
引きこもり、
生活不活発病の増加
石巻市の仮設避難者 11,755戸 27,932人
(H25.9月末現在)
うち仮設住宅 7,153戸 15,377人
みなし仮設 4,788戸 12,555人
地域包括支援センター
(ケアマネージャー)
看護師
社会福祉士
多職種協働による
ケアの実施
ボランティア
社会福祉協議会
地域福祉コーディネーター
訪問支援員
石巻市立病院開成仮診療所
(在宅医療連携拠点事業の指定)
民生委員
・児童委員
仮設自治会(被災者)
医師
石巻市第6期
介護保険
事業計画
(㉗~㉙)
へ反映
(仮称)ささえ
あいセンター
で地域包括
ケアを本格展
開
被災者に重点を置
いた心身のケア等を
実施
(※)
石巻市立病院開成仮診療所長の長純一医師が
石巻市地域包括ケアセンターの主導的役割を担
う。長医師は、農村医療・地域医療のメッカ、長
野県の国保川上村診療所長などを歴任し、佐久
総合病院の小海診療所長から現職へ転身した
地域医療のスペシャリスト。
8
G空間×ICTを活かした次世代地域包括ケアの展開①
保健師
看護師
地域包括支援センター
(ケアマネージャー)
社会福祉士
社会福祉協議会
地域福祉コーディネーター
被災者
訪問支援員
防災部局
当該被災者の罹災証明
はどのような内容か?
再度、大規模災害発生の
可能性があるなかで、
医療・福祉
「避難行動要支援者」に
部局
該当する被災者がどこに
どれだけいるのか?
当該被災者は、仮設住宅、みな
し仮設、在宅で、いつ、どのよう
な健康指導・ケアを受けたか?
石巻市
健康指導・ケアを担当した専門多職種の
担当者、支援したボランティアは誰か?
どの団体か? 仮設住宅入居中にどのよ
うな行事や活動に参加したことがある
か?他の被災者との交流はあったか?
民生委員・児童委員
自治会
ボランティア
医師
復興まちづく
り部局
生活再建
支援部局
当該被災者は、どの地区の災害
公営住宅・防集宅地への移転を
希望か?
当該被災者とつながりが
当該被災者は、各種支
援制度をどのように活
用しているか?
◇各種生活相談
◇税金、公共料金等の減免
◇生活再建支援金
◇災害援護資金
◇住宅再建の独自支援
所管法令ごとに縦割りで被災者情報が管理されている
これらの情報は、個人情報保護制度の壁のため、
市役所内部でも“OPEN DATA”になっていない。
H25.9~
「事前登録制度」運用開始
ある者・グループが入居
している災害公営住宅等
があるか?
H25.6.17
改正災対法成立
9
G空間×ICTを活かした次世代地域包括ケアの展開②
【
被
災
者
支
援
段
階
】
個人情報の取扱い
被災者台帳
(改正災対法90の3)
氏名
生年月日
性別
住所または居所
住家の被害等
要配慮者に関する
情報
その他
【改正災対法90の4①】
⇒ 市役所内部での
情報共有可能
平時 (改正災対法49の11①②)
【
平
時
・
発
災
直
後
】
避難行動要支援者名簿
(改正災対法49の10)
氏名
生年月日
性別
住所または居所
電話番号その他の連絡先
避難支援等を必要とする
事由
その他
⇒ 市役所内部での情報共有可能
⇒ 本人同意があれば、消防・警
察、民生委員、市社協、自主
防等の避難支援関係者へ情報
提供可能
発災直後
(改正災対法49の11③)
⇒ 本人同意が無くても、市
長の判断で、避難支援関係
者へ情報提供可能
「個人情報保護制度の
壁」撤廃を受けて、市役
所内部はもちろん、一部
は専門多職種などの間で
も情報共有が可能となる。
G空間×ICTなどを活
かしつつ、被災者情報の
共有を図り、今後本格展
開する「地域包括ケア」
に有効活用。
被災者の心身のケアのさ
らなる充実。
被災者を仮設住宅等から
災害公営住宅へ移転を促
す取組みの強化。
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