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東日本大震災における津波の科学 津波の科学と減災へむけた街づくり

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東日本大震災における津波の科学 津波の科学と減災へむけた街づくり
関東沿岸における津波の実態と被害状況
横浜国立大学 大学院都市イノベーション研究院
佐々木 淳
主な現地調査関連資料
 東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループ調査結果
 茨城県北部
 信岡尚道, 鵜崎賢一, 松浦健郎, 鍋谷泰紀:2011 年東北地方太平洋沖地震
による茨城県北部の津波,土木学会論文集B2,Vol. 67,No. 1,2011(印刷
中).
 茨城県南部,千葉県九十九里海岸
 下園武範, 高川智博, 田島芳満, 岡安章夫, 佐藤愼司, 劉 海江 : 2011年東北
地方太平洋沖地震津波による茨城県・千葉県沿岸域における被害,土木学
会論文集B2, Vol. 67, No. 1, 2011(印刷中).
 横浜国大による九十九里海岸調査(6月21日)
 PWRIなぎさ総合研究室報告
 東京湾
 横浜国立大学・大成建設(株)による調査(3月20日,6月14日)
横浜国立大学: 佐々木淳・鈴木崇之・Retno Utami Agung Wiyono
大成建設(株): 伊藤一教・織田幸伸・高山百合子・横田華奈子・古田敦史
 高木泰士氏@東京工業大学による隅田川河口調査(3月20日)
 神奈川県相模湾
 鈴木崇之氏@横浜国立大学による調査(3月13日)
茨城・千葉における津波の浸水高・遡上高
東北地方太平洋沖地震津波
学会合同調査結果
10m 弱
日立
沿岸捕捉波?
東海村
鹿島灘
銚子
九十九里
提供: 信岡尚道氏@茨城大学
茨城県北部
遡上高と浸水高[m]
死者
床上
浸水
36.9
市町村
11
9
7
5
3
1
北茨城,日立市南,東海村で高い
床下
浸水
1 3 5 7 9 11 (m)
北茨城市
36.8
5
419
高萩市
142
36.7
北茨城市
日立市
1
512
129
東海村
2
184
141
大洗町
1
200
167
茨城県
茨城県
情報源
茨城県
大洗町
Runup
ひたちな
か市
ひたちなか市
Inundation
0
36.2
0
36.3
4
36.4
東海村
36.5
18
緯度
日立市
10
36.6
高萩市
1677年延宝房総沖地震津波
ひたちなか4.5-5.5m,大洗5.5-6.0m
多くは茨城県の想定内
提供: 信岡尚道氏@茨城大学
北茨城市 平潟
平潟漁港(漁協提供)
平潟漁港(漁協提供)
平潟町東
沖防波堤が有効
3.6m (I)
7.1m (I)
平潟町東
北茨城市 大津港 磯原海岸
提供: 信岡尚道氏@茨城大学
大津港
痕跡高5.0m
大津港
沖防波堤が有効
磯原海岸
痕跡高5.1m
磯原海岸 護岸を超えて浸水
千葉県旭市 飯岡
 沖合に向かい舌状
に浅くなる地形
 旭市死者13名(千
葉県死者20名)
 浸水高6~8m
 天端高4.5mの堤防
山武市 木戸川河口
 津波の高さ5-6m
 河道によって砂丘が寸断
 河川堤防を破壊し,越流して後背地に浸水
6月21日撮影
山武市 木戸川河口
 津波の高さ5-6m
 河道によって砂丘が寸断
 河川堤防を破壊し,越流して後背地に浸水
6月21日撮影
砂丘の浸食
破壊された導流堤
東京湾
 今回の津波
 2011年 M9.0
 船橋2.8m,晴海1.5m,横浜
1.6m
東京港想定高潮T.P. 3-4 m
 元禄関東地震津波
浸水高
遡上高 3.5
元 禄
1.51.5
晴海
1.6
横浜
1.3
1.6
4.5
金沢漁港 6-8
金沢八景
 1703年 M8.2
羽鳥(2006)
2.5
2.9
1.9 2.8 木更津漁港
2.0
大貫
漁港
浦賀
三浦
1.5
 安政東海地震津波
 1854年 M8.3
 浦安1m,横浜1-2m,浦賀3m
2.0
2.8
(T.P. 2.6)
新富津
漁港
 大正関東地震津波
 1923年 M7.9
 船橋0.6m,横浜1m,
浦賀1.5m,三浦5m
船橋漁港
船形漁港
10km
東京湾隅田川
提供 高木泰士氏@東京工業大学
津波高
地名
1
2
3
年/月/日 時刻
隅田川
3月19日
左岸テラス
隅田川
右岸テラス
3月19日
(霊岸島水
位観測所)
晴海運河
右岸
3月19日
(石川島公
園)
測定高
11:09
2.49
1:07
2.18
1:31
1.92
の種類
根拠
テラス護
岸手すり
浸水深
柵の浸水
痕
テラス護
岸手すり
浸水深
柵の浸水
痕
テラス護
岸手すり
浸水深
柵の浸水
痕
潮位補
正後の
高さ
1.43m
1.46 m
1.37m
注1)潮位補正は3月11日19:15の天
文潮位を使用 (気象庁報道発表資料
3月13日9時の晴海観測最大波観測
時刻)
注2)観測者により隅田川を逆流する
流れ、およびテラス上への氾濫が確
認されている(3月11日19時半ごろ)。
提供 高木泰士氏@東京工業大学
明瞭な浸水痕
隅田川(測定地点1)の津波痕跡(手すり柵)
提供 高木泰士氏@東京工業大学
隅田川(測定地点1付近)の津波による土砂堆積
提供 高木泰士氏@東京工業大学
浸水痕
水門閉鎖時の津波によると思われる浸水痕(亀島川水門)
東京湾 船橋漁港
浸水高 2.8 m
陸ゲートは閉鎖され,周辺住宅街への浸水なし
木更津漁港
浸水高 2.5 m 3月20日撮影
Google Earth
新富津漁港
遡上高調査結果
2.91 m
提供: 鈴木崇之氏@横浜国立大学
新富津漁港西側海岸
遡上高調査結果
1.92 m(潮位補正前)
新富津漁港
提供: 鈴木崇之氏@横浜国立大学
 (海苔養殖業者)
 30隻くらい転覆した.津波は,西側から入り込み,東側に抜
けて行った.大桟橋の左右に渦が発生していた.濁流.津波
というよりも速い流れであった.
 地震前,沖に出ていた時にコーン,コーンと響く海底から聞こ
えた(これは複数の漁師さんからの証言).水深12m,岸から
約3km.
 海苔の9割はだめになった(ほぼ全滅).今回の津波は,70m
級の台風程の被害ではないか.50m級の台風であってもここ
までの被害は受けない.
千葉県大貫漁港
 底が見えるほど潮が引いた
 船1隻転覆
 一部のノリヒビの杭が抜ける
といった漁業被害
写真提供 鈴木崇之氏@横浜国大
手前が漁港
浸水高2.0 m
遡上高2.8 m
神奈川 三浦半島
津波の高さは2 m未満,東京湾を除きほぼ被害なし
江ノ島
三浦半島
房総半島
km
津波の高さ (m)
神奈川 相模湾
提供 鈴木崇之氏@横浜国大
2.7
唐ヶ原
2.2
片瀬西浜
片瀬漁港,片瀬西浜江ノ島水族館前
片瀬漁港は被害なし
片瀬西浜には枯れ草の
遡上痕あり
提供 鈴木崇之氏@横浜国大
片瀬西浜
片瀬漁港
江ノ島
Google Earth
遡上高2.2 m
通常の満潮位
津波による痕跡
3月13日撮影
3月13日撮影
神奈川を襲った津波
1498年明応地震津波(東海,東南海,南海)
 鎌倉15m? 大仏殿流出?
90年から150年周期
1633年寛永小田原地震
 熱海・網代で津波被害
1703年元禄地震津波 M8.1(大正関東地震と同タイプ,規模大)
 川崎1.5m,横浜3~4m,浦賀4.5m,三浦6~8m,鎌倉鶴
200年周期
丘八幡宮浸水
1854年安政東海地震津波 M8.4
 横浜1~2m,浦賀3m
1923年関東地震 M7.9
 川崎1m,横浜1m,三浦4-6m,鎌倉壊滅 (熱海12m)
まとめ
茨城から千葉の太平洋沿岸
 津波の高さは低減傾向
 沿岸捕捉波,地形の影響で複雑な分布
 鹿島灘では後浜砂丘と津波の高さが同程度で,
河川も尐ないことから被害は軽微
 九十九里海岸では飯岡,河川河口で浸水被害大
東京湾
 千葉沿岸で高く,漁港では浸水被害あり
 三番瀬と富津でノリヒビおよびノリの被害大
神奈川相模湾
 被害はほとんどない
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