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空調一括サービス事業の紹介 - エネルギー有効利用のご提案
―― トピックス ―― 空調一括サービス事業の紹介 中国電力ñ 販売事業本部 淺 田 篤 志 ■キーワード/空調一括サービス事業・学校空調 1.はじめに このたび,山口県下の私立高等学校において,エコ・ 学校法人鴻城義塾 中電アクセス 空調サービス費 年一定額 ・空調機 ・受変電設備 ・機器設置設計・施工 ・フルメンテナンス ・電気代 (年度末までに生じる 差異部分は精算) アイスminiと非蓄熱のエアコンを組み合わせ,設備の設 一括提供 置からフルメンテナンスまでを含めた「空調一括サービ ス事業 (愛称:いっかつくん) 」を開始した。 サービス費 本事業で中国地区第1号の契約となった,「学校法人 ◎年一定額の空調サービス費のお支払い ・エネルギー費も空調サービス費の一部 として実際のエネルギー費とは関係な く定額お支払いいただく 鴻城義塾」は,山口鴻城高校(明治22年創立)と宇部鴻 ◎13年間で設備構築費用を回収 ・エネルギー費は使用実績に応じて電力 会社に支払う 城高校(昭和31年設立)を経営されており,両校は歴史 と伝統のある有名な進学校であると同時に,建築科や情 図−1 事業スキームの概念 報商業科・衛生看護科など,多岐にわたる学科を有した 学校でもある。 それでは,事業概要および設備概要について紹介する。 3.事業の概要 空調一括サービス事業とは,熱 (冷風・温風) を提供す 2.導入に至る経緯 るために必要な空調機器の設計・施工および維持・管 学校空調(冷暖房施設)については,従来,公費で設置 理・エネルギー調達を一括するサービス事業である。 できるのは職員室やパソコン教室および調理実習教室な 3−1 空調一括サービス事業のサービス内容 ど,限られた教室でしかなかった。しかしながら今日の a.空調機器(室外機,室内機,冷媒配管,電気配線, 受変電設備など)の設計・施工 週休2日制導入による教育時間の問題,学力向上をめざ した教育システムと環境づくりの問題,少子化傾向に対 b.契約期間中の空調機器,受変電設備のメンテナンス, 故障修理 する生徒数の確保など,さまざまな問題を抱えており, 教室内の環境改善,いわゆる「全教室への冷暖房設備の c.空調機器の工事代,メンテナンス・修理代,電気代 完備」というニーズが,生徒の保護者より強い要請とな は,空調一括サービス事業者が負担(毎月一定額をサ ってきている社会情勢がある。 ービス料金として学校側から申し受け) しかし,各学校とも,全教室へ空調機を設置するには, 3−2 事業スキームの概念 図−1に事業スキームの概念を示す。 多額な設備投資資金,故障時の対応,修理費の負担など 3−3 事業のポイント 多くの不安を抱えている。 そこで中国電力では,平成15年度以降,中国5県下 a.学校・PTAと事業主(中電アクセス)の契約で実施す る事業 の学校関係各機関へ「空調一括サービス事業」をツール とした,空調整備を提案している。 b.契約期間は13年 (6∼13年で設定可能) 表−1 空調設備 山 口 県 鴻 城 高 校 学 校 名 宇 部 鴻 城 高 校 空調設備 エコ・アイスmini エコ・アイスmini 冷房能力:14.0kW,暖房能力:14.0kW 36台 冷房能力:11.2kW,暖房能力:10.0kW 12台 冷房能力:14.0kW,暖房能力:12.5kW 21台 冷房能力:16.0kW,暖房能力:16.0kW 1台 非蓄熱パッケージ 非蓄熱パッケージ 冷房能力: 8.0kW,暖房能力: 9.5kW 3台 冷房能力: 6.3kW,暖房能力: 7.1kW 1台 冷房能力:16.0kW,暖房能力:18.0kW 2台 冷房能力: 5.0kW,暖房能力: 6.0kW 5台 冷房能力:14.0kW,暖房能力:16.0kW 7台 冷房能力: 8.0kW,暖房能力: 9.0kW 1台 冷房能力: 4.0kW,暖房能力: 5.0kW 5台 冷房能力:11.2kW,暖房能力:12.5kW 2台 受電設備 高圧受電100kVA 高圧受電100kVA 設置条件として,受電設備および空調設備(室外機)の設置場所は無償で借用する。 ヒートポンプとその応用 2004.3.No.63 ― 58 ― ―― トピックス ―― f.空調分電気料金の差異部分は,年度末精算 g.職員室または事務室へ集中制御システムを設置し, 空調機の運転状況を管理 h.地上に設置する室外機には,生徒の安全を考えフェ ンスを設置 (写真−2) i.契約期間中に中途解約した場合は,残存期間のサー ビス料金を一括で支払い j.契約期間満了後は,再契約,空調設備の撤去(費用 は学校・PTA負担),市況価格での買い取りのいずれ かを選択 4.空調設備および受電設備など 写真−1 屋外機設置例A 4−1 空調設備 表−1に2校の空調設備を示す。 5.メリット 学校・PTA側からして,この空調一括サービス事業を フェンス 契約した場合,次のようなメリットが考えられる。 a.学校・PTA側に空調機器・受変電設備等の初期投資 がなく,長期間のサービス料として費用が平準化され るので生徒の個人負担額が抑えられる。 b.設計・施工・維持管理など複数社と契約する必要が なく,契約が一本化でき事務作業が軽減できる。 c.快適な学習環境が実現でき,学力の向上,さらには, 室外機 生徒数の確保が期待できる。 蓄熱槽 d.設備のメンテナンスを含めた,一切の維持管理業務 写真−2 屋外機設置例B のサービスを受けられるため,故障時の心配は不要で ある。 e.エコ・アイスminiなどの導入で,空調分エネルギー 費を低減し,地球環境にやさしい。 室内機 6.おわりに 空調一括サービス事業は,中国電力が学校への蓄熱空 調の普及を目指し提案,推奨してきたもので,今回その 活動成果が実ったものである。 今日の学校をめぐる情勢から考えると,普通教室およ びその他教室の環境改善の必須条件である空調設備の充 実という課題に対して,国や県費から助成ができないと いうことになれば,どうしても学校独自で対処せざるを 得ないということになる。「空調一括サービス事業」は, 保護者や学校側からすると大変魅力のあるスキームであ 写真−3 室内機設置例 り,今後教室への空調設備導入において利用拡大が十分 に考えられる。今後中国電力と事業者である中電アクセ c.点検・維持・管理つきで故障時の心配不要 スが,一層連携を密にして,お客さまである学校・ d.教室に快適な環境を提供するために,最適な設備を PTA・生徒のより満足が得られるサービスを追求してい 設置 く。 e.月々の支払額は,空調の使用・不使用にかかわらず 一定額 ― 59 ― ヒートポンプとその応用 2004. 3. No.63