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皮膚に適用した化学物質の安全性と経皮吸収 C EC C E E + × =

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皮膚に適用した化学物質の安全性と経皮吸収 C EC C E E + × =
皮膚に適用した化学物質の安全性と経皮吸収
城西大学 薬学部 教授 杉林堅次
皮膚に適用した化学物質のなかには、全身循環系に吸収されることによって体内で毒性反応(レ
スポンス)を示すことがあり、また、全身に吸収されなくても適用した皮膚組織中で皮膚炎などの
局所毒性が現れることがある。これらのレスポンスは、その化学物質の経皮吸収性や皮膚中濃度に
大きく影響を受ける。すなわち、全身毒性については経皮吸収性に、また、皮膚組織中での毒性に
ついては皮膚中濃度に影響を受ける。従来からレスポンスと用量の関係はシグモイド型の用量反応
曲線を描くことがよく知られている。より正確には、レスポンス E は化学物質濃度 C の関数として
次式で示される。
E=
Emax × C γ
γ
EC50 + C γ
(1)
ここで、Emax は最大レスポンス、EC50 は 50%レスポンス発現濃度、そして γ は形状因子である。
ただし、C と EC50 はより厳密には反応場における化学物質濃度と考えることができる。式(1)は Hill
式と言われ、直接反応モデル下で成り立つ。したがって、C は体内での反応においては血漿中濃度、
皮膚中での反応においては反応がみられる深度・部位における皮膚中濃度ということができる。
皮膚炎は、大きく分けて、アレルギーとは無関係で原因物質の毒性の強さによって症状の強さが
決まる「一次刺激性接触皮膚炎」と原因物質に触れて皮膚の炎症細胞が感作され、再度その原因物
質に接触することによって皮膚の炎症細胞が活発に働き湿疹を誘発する「アレルギー性接触皮膚炎」
がある。ここで、一次刺激性接触皮膚炎は典型的に式(1)に従う現象であるが、アレルギー性接触皮
膚炎では原因物質の毒性の強さと原因物質の濃度は相関しない。したがって、一次刺激性接触皮膚
炎の強度は経皮吸収性や皮膚中濃度によって評価できるものの、アレルギー性接触皮膚炎の強度は
これらとは直接的には関係づけることは、いまのところできていない。しかし、きっかけになって
いる炎症細胞の活発化には経皮吸収が関係しているはずである。
化学物質の経皮吸収には主なバリアーである角層の寄与が大変重要であると考えられてきた。す
でに、500 ダルトンルールでみられるように、これより大きな分子は皮膚をほとんど浸透しないと
考えられてきた。しかし、ごく微量で感作を示すような化学物質については、毛嚢などの経付属器
官を経た化学物質の浸透についても十分な注意を払う必要がある。微量な化学物質を定量する方法
論の発展とともに、経皮吸収とアレルギー性接触皮膚炎の関係性についても議論できる日が近いと
期待している。
Irritant test は永久に不可欠。その中における河合法の重要性。
中山皮膚科クリニック院長、医学博士 中山秀夫
日常用品の安全性に関する予知的な検査は今後永久に必要である。その内容には毒性/刺激性テ
スト、アレルギーテスト、発癌性テスト、眼の刺激性テスト、その他である。皮膚に関しては、
これまでの1世紀で、刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、光毒性皮膚炎、光アレルギ
ー性皮膚炎、特に persistent light reactor (PLR)、二次的色素異常(黒皮症、白斑、白斑黒皮症)、
二次的脱毛症、乾皮症、アトピー性皮膚炎の悪化などが知られている。
皮膚に強い毒性発揮するものは、生物化学兵器や化学熱傷惹起物質は別格として、日用品(化粧
品、洗浄剤、衣類、医薬部外品など)で、急性刺激、慢性刺激が見られる。一般に刺激性皮膚炎で
は皮膚に紅斑、ヒリヒリ感、乾燥局面が見られ、瘙痒や小水疱は出ない。それに対してアレルギ
ー性接触皮膚炎では紅斑、丘疹、小水疱などが出現し、ふつう瘙痒がある。しかし表皮基底層を
中心としたアレルギー反応がおこる苔癬型反応では、日本人の場合褐色∼黒色の色素沈着となり、
瘙痒は稀にしかなく、ヒリヒリ感はなかった。かつて日本中で広く見られた顔面黒皮症(色素沈着
化粧品皮膚炎)はこのタイプで、薬剤では全く治らず、複数の医療機関による十数年にわたるパッ
チテストと、化粧品業界により主要原因アレルゲンを製品から除去する努力で一時は殆ど見られ
なくなった。
皮膚炎の反応は紅斑+浮腫が被検者において生じてよい限界といってよく、それ以上強い反応
(壊死や大水疱、強度の湿潤反応など)
は避けるのが常道である。その点河合法
(Replica method)
は、弱い紅斑はチェックし、しかも肉眼ではわかりにくい表皮下の弱い浮腫反応を顕微鏡的に把
握して見つける点、世界に先駆けた優秀な安全テストであった。今後もいくつかの信頼性のある
代替法と併用で、危険な物質の予知に努めることが重要である。
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