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子供たちの健やかな成長を願って!
子供未来局子供育成部 子供相談支援センター 所長 藤代 正倫 仙台市青葉区錦町1−3−9 ℡022-262-4828 第5号 平成19年2月23日 子供たちの健やかな成長を願って! 早春の候,春の気配が風の息吹とともに少しずつ感じられるようになってきました。銀杏坂を歩く人々が,年度末の 忙しい時期にあたって心なしか足早に通り過ぎていきます。平成18年4月,新たに設置された子供相談支援センター は皆様の日頃より多大なご協力をいただき11ヶ月が経とうとしています。社会で起きているいろいろな子供たちの事 件や事故の情報を聞きますと,「なぜ防げなかったのか。」という思いに駆られます。子供たちの思いを受け取ることや その環境作りの大切さを改めて感じるとともに当センターの業務の重大さを実感する次第です。 今後とも尚一層,子供たちの健やかな成長をめざして邁進してまいりますのでよろしくお願いいたします。 さて,今回の銀杏坂タイムは当センター街頭指導活動,就労 支援活動,青少年健全育成団体支援関係の業務について各 街頭指導活動とは・・・青少年の非行防止のための声がけ活動 担当より報告をいたします。 です。仙台市内繁華街を巡回する中央街頭指導と市内63中学校 区を地域の青少年指導員が巡回する中学校区街頭指導がありま す。中央街頭指導は6つのコース、3つの時間帯に分けて当センター 専任指導員と青少年指導員とで巡回します。今年度からは専任指 導員だけで巡回する活動も始まり、合わせるとほぼ毎日巡回して います。中学校区街頭指導は月1回程度、主に小中学校の授業が 終了した後などにそれぞれの地域を巡回しています。 −中央街頭指導の様子から− 子供の声に耳を傾けて 専任指導員 古賀 直哉 子供相談支援センターに勤めて一年が経とうとしています。 ここでの私の仕事は,街頭指導を通して,非行の未然防止や早期発見,早期の指導を行い,青少年の健全育 成を図ることです。 正直,私にとっては未知の世界でした。面識のない子供たちに声をかけ,その状況に応じて適切な指導を行 う。簡単に聞こえるかもしれませんが,実際に街に出ると,指導どころか,どのように声をかけたらよいかも わかりませんでした。 そういった中で,非常に心強かったのが,先輩の指導員の存在でした。初めて会う子供たちに対して,笑み を交えて「こんにちは」と声をかける。しばらく話をして「またね」と言って別れる。日常生活で普通に交わ される挨拶が,この仕事ではとても重要なことがわかりました。 しかし,実際にやってみると難しいもので,たむろしている少年たちに「こんにちは」と声をかけると,声 がけを無視して無言で立ち去って行きました。ショックでした。しかし,数日後,同じ少年たちと再び会い, 同じように声をかけたところ,今度は「あ,この前の人だ!」と笑顔で返事が返ってきたのです。前回はショ ックだったことを伝えると「前に会った時は,気分が悪かったんだ」と何事もなかったかのように言います。 内心,腹も立ちましたが,それ以上に,今この場で話ができてよかったという思いがありました。 それ以降は,会えば会話が弾み,その日の出来事,友達関係,自分の悩みなど,様々な事を話してくれ,こ ちらが話をまとめないと終わりがないほどです。 このように街の中では,誰かに話を聞いてもらいたい子供がたくさんいます。私たち大人は,そんな子供た ちに目を向け,もっと関心を持ち,その声に耳を傾けてやりたいものです。その姿勢こそが,子供たちの健全 育成の第一歩ではないかと私は感じています。 −中学校区街頭指導の様子から− 高森中学校区街頭指導 仙台市立高森中学校 伏見 淳先生 「報告会を始めます。高森東小学校区側からお願いします。」「コンビニ の店長からの情報では・・・。明通では金融関係の広告が貼られましたので 除去しました。」 「ご苦労様でした。次回は富谷の大型スーパーを巡回しよ うと思いますがよろしいですか。」 高森中学校区で巡回が必要なところといえば,コンビニと公園として整備された大きな調整池くらいである。 定例の活動は,もっぱら火バサミとごみ袋を持って環境美化を兼ねながら,商店や公園を巡回している。 一昨年から始めた違反広告の除去も継続して行ってきた。明通の電柱にびっしり張られていた金融と風俗関 係の張り紙は,いたちごっこの末,今ではめったに見られなくなってきた。地域に住んでいる指導員は,たっ た1枚貼り出されただけでも目ざとく見つけてしまうほど敏感である。 高森を離れて,泉中央と富谷の大型スーパーに足を伸ばすことがある。ゲームコーナーに入ってみると小中 学生を見かける。今年はのべ16人に声を掛けた。 中央街頭指導に比べれば,平和そのものだが,それでも万引きなどの少年非行は地域から始まることを思い 出し,抑止効果を合言葉に,派手なPTAジャンパーで目立つように巡回している。 就労支援で心がけていること 専任相談員 齋藤 涼平 「少年たちの将来を私のようなものが決めてしまっていいものだろうか。」これが,当センターの就労支援 業務に就いた最初の頃の私の悩みでした。 就労支援活動は,街頭指導や学校,保護観察所など関係機関から紹介された少年たちに対し,継続的な支援 を行っています。やってくる少年たちは,行動や服装など実に個性的で,金髪のリーゼントで来る少年やハロ ーワークで検索もせずにお菓子を食べ,携帯電話をいじる少女など,常識的に見ればおよそ就職活動とは程遠 いものも少なくありません。しかし,そうした服装や行為をありのままに受け入れることが,私たちの関わり の第一歩です。大切なのは,彼らが「仕事をしよう」という気持ちを一瞬でも持ち,電話をかけてきたこと, ハローワークに来たという事実だと考え支援を行っています。 ある少年が「俺は少年院から出てきたばかりなんだけど,こんな俺でも仕事探せますか。」と電話をかけて きました。「こんな俺でも」という言葉のように,少年たちの中には自尊感情が低い者も多く,自分で自分の 可能性を狭めてしまっているように思えます。私たちは,ハローワークでの職探しに限らず,電話や面接相談 など継続的な関わりの中で,少年の興味ある話題や生活に関する悩みを聞かせてもらうなど,たくさんの話を します。その中から,例えば,彼らの良いところや変化をみつけて褒めてあげたり,意識して励ましの言葉を 掛けてやったりします。一見,世間話とも思える話をきっかけとした関わりの中から,意欲が芽生え,何とか 進もうとするそれまでにはなかった自分に気づき,やがては他者をも認められる心を持てるよう支援していく ことが,就労支援の大きな目的です。「少年院に行くような事件をおこした」という過去にとらわれるのでは なく,「仕事探せますか」という現在と未来の可能性を彼ら自身にも大切にしてもらいたいと考えます。 少年たちとの関わりは難しいことの連続です。私たちの対応ひとつで少年たちの意欲をつぶしてしまう事も ありえます。かつての私は,就労支援という言葉にとらわれ,採用だけを目的に仕事を与えようと考えていま した。そうした対応に馴染まず,去っていった少年たちもいます。当たり前のことながら,将来を決めるのは 私ではなく彼ら自身です。少年個々の抱えた事情や思い,心の進度に目線を同じくして,共に悩み,居場所と なり得るような関わりを大切にしたい。そして,少年たちが将来の可能性を広げ,自分自身でそれを掴み取る ための手助けになれるような関わりをこれからも続けていきたいと思います。 市政出前講座のご利用ありがとうございました。 今年度は「すこやかな子供の成長と家庭・地域の役割」というテーマのもと幼稚園,小中学校 PTA,地域の民生委員児童委員協議会,保護司会など数多くの団体から依頼を受け,総数 32回1451名の参加をいただき行うことができました。(H19.2.23現在)今後も引き続き 実施することにより、皆様の健全育成活動のお手伝いができればと思います。どうぞご利用ください。 今年度の新しい業務の紹介② 『青少年健全育成団体』をご存知でしょうか? 「子供たちのふれあいの場を作ろう」,「青少年へ健全な社会環境を与えた ◇当センターで活動を支援している団体 い」等,そういった思いから,様々な活動を自主的に取り組んでいる団体を ガールスカウト仙台地区協議会,日本ボーイスカウト 総称して『青少年健全育成団体』と呼んでいます。子供相談支援センターの 仙台地区協議会,仙台子どもまつり実行委員会,仙 新しい事業として活動している一つがこの『青少年健全育成団体等支援』で 台市保護司会連絡協議会,更生保護法人宮城東華 す。仙台市内で活動している『青少年健全育成団体』の運営や取り組み方な 会,各区児童福祉協議会連絡協議会,「社会を明るく どを一緒に考えていく活動拠点として,役割を担っていくことになりました。 する運動」各区実施委員会,仙台市子ども会育成会 右は各団体の一覧です。 連合会,仙台市泉区子ども会育成会,仙台市宮城子 激変する社会環境は,子供たちへの影響を及ぼすことも多く危惧される事 ども会育成会連合会,仙台市秋保町子ども会育成連 が多様にあります。私たちは,子供たちが元気で遊び,たくさんの人と関わ 合会,仙台市地域子育て支援クラブ,仙台市青少年 りあいながら社会のルールを学び,人間味溢れ心豊かに育つ環境を守ってい 育成推進指導員・推進員連絡協議会など くことが勤めだと痛感しています。 たとえば,パソコンや携帯電話の普及が急速に進み,情報の取得,コミュニケーションはボタン一つで可能となりました。青 ひわい 少年に相応しくない卑猥な画像,抽象,バーチャル世界が飛び交い,人と人が触れ合う機会を奪い,架空の社会と現実の区別がつ かない,対人関係が苦手という人が増えてきているのが現実なのです。 このような状況下で青少年健全育成団体が,直接的なコミュニケーションの場や地域交流の場をつくり支援していくことで, 人間同士の繋がりの大切さを実感し,健全な心と体の成 長を促すキッカケ作りが図られると期待されます。 各青少年健全育成団体が,それぞれの特徴を生かし積 極的な活動に取り組み,関連する団体と連携することに より,より大きな成果が得られると考えています。地域 の方々にも活動内容を理解いただき,協力していただく ことがこれからの課題です。 皆さんの身近な場所で活動している団体を知ってい ただき,もし,興味を持っていただけたら,活動にお力 添えいただきたいと願っています。