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高速切削加工の効率的利用について

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高速切削加工の効率的利用について
鹿児島工業高等専門学校
研究報告 41(2006)
37∼39
高速切削加工の効率的利用について
油田功二十
AboutEfficientUseofHigh"speedMilling
Koji ABURADA
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H
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g,CAD/CAM,Manufactureo
1.はじめに
という切削スタイルに変わってきている.特に今回加
近年,金型や複雑形状部品などの加工では,より速
く,より精度良く,低コストで製作する手段として高
速切削加工が注目されている
O
.
そこで,本研究では
高速切削加工により,複雑形状の部品や難削材等の加
工した小物で、複雑形状のモデルの場合には小径ボール
エンドミルによる高速切削加工は欠かせない.
FAシステム実験:I!
CNC工作機緩軍事
工を効率的に行うために,学内 CNC工作機械群のネ
ットワーク化を試み,理論的に解明するのが困難な高
速切削加工の最適条件抽出を目的としている.
2. ネットワークの確立と有効活用
本校の FAシステム実験室の CNC工作機械群はプ
ログラミング?室のセルコントローラをホストとしてネ
ットワーク化されている.それを校内 LAN と接続す
ることによって複雑形状プログラムの迅速な作成,
NCプログラムの共有及びフ ログラムやデータの管理
O
等高度な運用を図る.
本研究は CNC工作機械群のネットワーク管理の整
備と CAD/CAMシステムの運用確立により,学内・学
外者が本校設備を有効に活用できるシステムを構築す
る2).図 1に今回確立した CAD/CAM運用システムの
ネットワーク図を示す.
3. 高速切削加工
工作機械の高精度・高速度化に伴い,従来の低回転・
高切り込み・低送りという高負荷を必要とする加工か
ら高回転・低切り込み・高送りという軽負荷高速加工
+技術室
~C
~C
図 1 ネットワーク図
− 37 −
油田 功二
本研究により加工した一例を図 2に,加工条件を表
1に示す。
図 3 荒加工ツールパス
・中仕上げ(コピーミルオベレーション)
図 2 本校ロコーマーク
走査線加工により仕上げ加工をする.このと
き垂直壁部分のみ仕上げ代を残し,他の部分はこ
表 1 加工条件
被削材
のオベレーションで終了する. (
図 4)
SKD61 (
7
0x60x25mm)
荒加工
使用工具
R2ボールエンドミル
主軸回転数
18000min-1
切削送り速度
2000mm/min
L2mm
0_3mm
なし(エアブ、ロー)
切り込み(半径方向)
切り込み(軸方向)
切削油
中仕上げ
使用工具
RL5ボールエンドミル
主軸回転数
20000min-1
切削送り速度
切り込み(半径方向)
3000mm/min
O_lmm
切り込み(軸方向)
0_3mm
図 4 中仕上げツールパス
-仕上げ加工(フ。ロファイノレオベレーション)
垂直壁部分はコピーミノレオベレーションだけで
なし(エアブロー)
切削油
は仕上がりが悪いのでプロファイルオベレーショ
仕上げ
使用工具
RL5ボールエンドミル
主軸回転数
20000min-1
切削送り速度
3000mm/min
切り込み(半径方向)
O_lmm
切り込み(軸方向)
0.8mm
切削油
今回の加工は
ンを使い等高線加工にて仕上げる. (
図 5)
なし(エアブロー)
3種類のオベレーションを使用し,
それぞれ荒加工・中仕上げ・仕上げ加工をした.
-荒加工(ボリュームクリアオベレーション)
このオベレーションによってポケットからほとん
どの材料がとりのぞかれる. (
図 3)
− 38 −
図 5 仕上げツ ールパス
高速切削加工の効率的利用について
4. 3 その他の加工事例
4. 高速切削加工の効率的利用の実践
本研究では,高速切削加工の最適加工条件を抽出
4. 1 共同研究における事例
するために,数多くの切削実験を行いデータの収集
この研究成果を活かし水道部品関連の企業と共同研
に努めた.また,それにより得られたデータを基に
究を行った.内容は,水道関連部品の旋盤加工用治具
製作依頼業務や卒業研究等でいろいろな形状やワー
の試作で、あった.水道設備に関する部品の機械加工で
ク材質の加工を行った.図 8,図 9に加工事例の一
は,その形状の特異さから加工治具の精度が製品の善
部を示す.
し悪しに多大な影響を与える.これまでその加工を特
定の技術者による倣い加工後の現物摺り合わせによる
方法と外注に依存してきた.それを自社で短期間に内
製できなし、かというものである.本研究では,製作時
の問題点として実際の鋳物寸法と図面寸法との違いが
A
D
/
C
A
Mシ
あったので敢えて現物の寸法を基に三次元 C
ステムで作図し,マシニングセンタにより高速切削加
工を行った.図 6に今回作成した加工事例を示す.
図 8 流体実暁装置の部品
N
C旋盤用生爪)
図 6 加工治具 (
これにより
(1) 外注による費用が軽減できる.
(
2
) C
A
Dデータを管理することによって新規加工
品・加工移行品・既存治具の更新等に即座に
対応できる.
(3) 手作業による磨き加工がいらなくなり加工精
度が向上した.
(4) 特定技術者の負担が軽減した.
以上のような好結果をもたらすことができた.
図 9 携帯電話(コア)
5. まとめ
これまでの研究により,製作が極めて困難だ、った
複雑形状の部品加工が
C
A
D
/
C
A
Mによる作図.N
Cデ
ータの作成からネットワークを有効に活用したデー
4. 2 技術相談における事例
タ管理・共有, D
N
C運転による高速切削加工までのシ
今回の研究で確立されたネットワークを有効活用し
ステムが明確に,且つ効率的に確立された.今後は,
た CAD/CAM運用システムを用い,高速切削加工によ
この研究の成果を日常の教育支援業務や製作依頼業
り,照明器具部品の試作を企業の方と共に行った。図
務,そして高専のもの作り教育に大いに活かしてい
7にその試作品を示す.
きたい.
謝辞
本研究は,平成 15, 16年度校内研究助成金を受
けて行われたことを記して謝意を表します.
参考文献
1)日刊工業新聞社:“機械技術"ボールエンドミルに
よる高速ミーリング加工 vol.52N
o.8(2004)18-21
2
)臼刊工業新聞社:“機械技術"ネットワーク構築の
ol.49No.11(2001)17-59
ポイントと構築事例 v
図 7 照明器具部品の試作
− 39 −
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