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知っておこう! 薬の効果と副作用
知っておこう! 薬の効果と副作用 NTT東日本札幌病院 健康セミナー 平成25年4月20日(土)13:00~ 薬剤科 高橋健太 ~本日のお話の内容~ Ⅰ.薬の効果と副作用の関係について Ⅱ.代表的なお薬の効果と副作用について 1)血圧のお薬について 2)胃薬について 3)睡眠薬について 4)痛み止めの薬について ~本日のお話の内容~ Ⅰ.薬の効果と副作用の関係について Ⅱ.代表的なお薬の効果と副作用について 1)血圧のお薬について 2)胃薬について 3)睡眠薬について 4)痛み止めの薬について カゼをひいたので カゼ薬をのんだ ねつが下がって鼻水 がとまった ねむたくなって、 いねむりをした ねらった効きめ いらない効きめ 薬の作用 薬の副作用 ☞ どんな薬にも副作用はある ☞ 薬を正しく使うことが副作用を少なくする 眠気を催すくすり 抗ヒスタミン剤 抗アレルギー剤 精神安定剤 筋弛緩剤 医療用麻薬 ・ ・ 副作用はどうしておきるのか 1.用量超過 2.特異体質によるアレルギー反応 3.過敏性 4.主作用の過剰発現 5.目的以外の作用の発現 6.代謝・排泄機能による作用の変化 7.相互作用によるもの お薬の量と効果・副作用の関係 効果 お 薬 の 効 果 お薬の量 副作用 副作用にはいろいろあります 発疹、発赤 興奮、不眠 胃痛、胸やけ 下痢、便秘 肝機能障害 腎機能障害 貧血 定期的な受診は とても重要 など ~本日のお話の内容~ Ⅰ.薬の効果と副作用の関係について Ⅱ.代表的なお薬の効果と副作用について 1)血圧のお薬について 2)胃薬について 3)睡眠薬について 4)痛み止めの薬について 血圧のお薬について 分類 作用 薬剤名 心・血管 作用薬 主に血管や心臓に働 いて血圧を下げる カルシウム拮抗薬 アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬 (ARB) α(アルファ)遮断薬 アンギオテンシン変換酵素(ACE) 阻害薬 レニン阻害薬 β(ベータ)遮断薬 利尿剤 おしっこをたくさん 出して血圧を下げる チアジド系利尿薬 ループ利尿薬 カリウム保持性利尿薬 単独で治療することもあれば、 複数の種類を併用することもあります。 降圧薬の配合剤 ARB+利尿薬 ARB+Ca拮抗薬 Ca拮抗薬+スタチン エカードLD・HD エックスフォージ カデュエット1-4番 コディオMD・EX ミカムロAP ユニシアLD・HD プレミネント ミコンビAP・BP レザルタスLD・HD アイミクスLD・HD 1回に服用する錠数が少なくなるので 飲み忘れが少なくなる! 利尿薬の服用タイミング おしっこを出すお薬なので、基本的に は日中に服用します。 (効果持続時間は薬の種類にもよりま すが大体飲んでから約3~5時間) 夜に服用すると、寝ている間 に何度もトイレに行くことに なってしまいます。 降圧薬の副作用 血圧が下がることによる 「ふらつき」や「めまい」 「倦怠感」 利尿薬 口の渇き 脱水 頻尿 など ACE阻害薬 空咳など カルシウム拮抗薬 ほてり・歯肉肥厚など 薬とグレープフルーツ グレープフルーツ(ジュース)は、カルシウム拮抗薬の効き 目を強くするといわれています。 そして、一部のコレステロール低下薬との相互作用も報告さ れています。 これらの薬の共通点は、お薬を分解する酵素が同じです。 グレープフルーツジュース中の成分であるフラボノイドが、 この酵素の働きを肝臓や小腸で阻害しますので、薬の血中濃 度が上昇して作用が強く現れることがあります。 グレープフルーツ ⇔カルシウム拮抗剤 カルシウム 拮抗剤 ~本日のお話の内容~ Ⅰ.薬の効果と副作用の関係について Ⅱ.代表的なお薬の効果と副作用について 1)血圧のお薬について 2)胃薬について 3)睡眠薬について 4)痛み止めの薬について 胃薬について 増加因子 アルコール たばこ ストレス など 胃酸 低下因子 たばこ ストレス 痛み止め 加齢 など 攻撃 防御 胃粘膜 胃粘液 胃薬の効果と種類 分類 作用 薬剤名 胃酸の分泌を抑制・胃 攻撃因子 酸を中和することで胃 抑制薬 を保護する プロトンポンプ阻害薬(PPI) H2受容体拮抗薬(H2ブロッ カー) 選択的ムスカリン受容体拮抗薬 制酸剤 など 胃粘膜を強化したり補 防御因子 修したりして胃を保護 増強薬 する 粘膜保護剤 組織修復・粘液産生分泌促進薬 プロスタグランジン製剤 など 攻撃因子抑制薬 H2受容体拮抗薬 弱 プロトンポンプ阻害薬 胃酸を抑える力 ガスター ザンタック アシノン プロテカジン など タケプロン パリエット オメプラール ネキシウム など < 強 併用して使用することはありません! 状況に応じて、しばしば併用されます 防御因子増強薬 ムコスタ セルベックス アルサルミン マーズレンS ガストローム サイトテック 効果の違いによって併用する場合もありますが、 多くは単独で使用されます。 胃薬の副作用 皮膚障害 (湿疹・かゆみなど) 肝機能障害 (黄疸・倦怠感など) 血液毒性 (貧血・白血球減少など) お薬の重複を避けるために 大きな役割を果たすお薬手帳 お薬手帳の活用 投薬歴(いつから) アレルギー発現歴の確認 副作用の確認 重複投与の確認 他科での処方状況 入院中に使用したお薬の記録 他病院、薬局への情報提供 アレルギー発現状況 副作用 投薬歴(いつから) 他病院で処方されているお薬の記録 重複投与の確認 アレルギー発現状況 投薬歴(いつから) ~本日のお話の内容~ Ⅰ.薬の効果と副作用の関係について Ⅱ.代表的なお薬の効果と副作用について 1)血圧のお薬について 2)胃薬について 3)睡眠薬について 4)痛み止めの薬について 睡眠薬について 昔の睡眠薬⇒バルビツール酸系 脳の睡眠・覚醒を制御している部分に働く反面、 呼吸を制御している部分の作用を抑制したり、麻 酔薬に似た働きをしてしまう一面もありました。 その為、大量に服用すると呼吸が停止してしまう 恐れがあり、安全性について問題がありました。 今の睡眠薬⇒ベンゾジアゼピン系 脳の睡眠・覚醒を制御している部分には働かず、感 情や不安に関係する部分に働き、興奮を抑えること によって眠れるように働きます。 その為、大量に服用してしまっても、昔の薬のよう に呼吸が停止するなどの危険性が少なくなり、安全 に服用できるようになりました。 睡眠薬には持続時間によって4つのタイプがあります。 作用時間 特徴 寝付きの悪い「入眠困難」型に使用 超短時間型 翌日に持ち越しにくい。 薬剤 ハルシオン マイスリー 短時間型 「入眠困難」「中途覚醒」型に使用 年齢を重ねると、効果が持続してし まうことがあり「早朝覚醒」に使わ れることも。 レンドルミン リスミー 中時間型 「早朝覚醒」型に使用 起きた後も精神軟安定作用があるた め、眠れなくて不安感の強い人に使 われることも。 ユーロジン ロヒプノール ベンザリン 長時間型 「熟睡感の欠如」型に使用 不安感が強くあり、不眠を伴う時に 使われうことが多い。 ドラール 睡眠薬の副作用 作用時間の短い睡眠薬:物忘れ 例)効き目の短い睡眠薬を飲んだ後に、軽く夜食をと り食べたことを忘れてしまう。 ⇒お薬の効き目が強く出始めた時に脳は眠ったままな ので、覚えていないということになります。 作用時間の長い睡眠薬:翌日へ眠気の持ち越し 例)朝、頭がぼんやりする、体の動きが鈍い、 脱力感、居眠りなど ⇒作用時間が長く、朝起きる時間にも薬の効果が持続 しているということになります。 転倒などによるけがの原因となることがあり注意! 使っているとどんどん効き目が弱くならないか? 現在使用されている睡眠薬は効かなくなって くることはないと言われています。 また、一度飲み始めたら一生飲まなきゃいけ ないということもありません。 お薬のおかげで睡眠が正常にとれている間に、スト レスなどをうまく処理する方法などを見つけ、睡眠 環境を整備して行き、薬を飲まなくても眠れるよう にしていくことが大切です。 止められなくなるのではないかと心配。 お薬を長く服用していると、眠れなくなるという「反 跳性不眠」症状が出現することがあります。 その場合は下記の図のように徐々にお薬を減量し中断 する方法などがあります。 ~本日のお話の内容~ Ⅰ.薬の効果と副作用の関係について Ⅱ.代表的なお薬の効果と副作用について 1)血圧のお薬について 2)胃薬について 3)睡眠薬について 4)痛み止めの薬について 痛み止めの薬について 色々な種類の薬があります。 痛み止めの種類 アセトアミノフェン 非ステロイド鎮痛薬(NSAIDs) ピリン系薬 非麻薬性鎮痛薬 医療用麻薬 など 単独で使用することが多いですが、痛みの強さ に応じて、複数の薬を併用することがあります。 一般的な痛み止めの多くは解熱鎮痛消炎剤と 言われ、熱を下げたり、痛みを抑えたり、炎 症を抑えたりと、様々な症状で使用されるこ とが多いです。 例)発熱、頭痛、打撲、腰痛、骨折の痛み、手術後の 痛み、リウマチ・がんなどの病気による痛み、など アセトアミノフェン インフルエンザの発熱にも使用されます。 医師の指示通り服用していれば、比較的副作用 の少ないお薬です。 痛み止めでよく言われる胃が荒れるなど胃への 負担は少ないです。 問題となる副作用:肝障害 だるい・皮膚や白目が黄色くなる (大量に服用すると起こりやすい) 非オピオイド鎮痛薬(NSAIDs) 発熱時の解熱・様々な痛みに良く使用されます。 胃炎など胃の障害を起こす可能性があり、胃薬 と一緒に処方されることが多いです。 例)ロキソニン+ムコスタ など 代表的な副作用: 湿疹がでる・胃がムカムカする(胃障害) 手や足がむくむ(腎障害) だるい・皮膚や白目が黄色くなる(肝障害) 医療用麻薬 痛みを止める作用しかないが、他のどの痛 み止めよりも強力。 現在、日本ではモルヒネ・オキシコドン・ フェンタニルの3種類が認められています。 代表的な副作用 【吐き気】 もし、出たとしても飲み始めてから2週間程度 で落ち着きます。その間、吐き気止めを使用す ることで、しっかり予防することができます。 【眠気】 使用し始めて2週間程度で慣れてきます。 また、痛みが弱くなって薬が多くなった時 に出ることもあります。 【便秘】 使用し続けている間、起こりうる副作用です。 便を軟らかくする薬や腸の動きを良くする薬を 使用してうまく付き合っていく必要があります。 医療用麻薬の悪い噂 中毒になる 寿命が縮む 死ぬ時に使う薬 おかしくなる がん患者への緩和ケアが生存率へ及ぼす影響 生存期間中央値 早期緩和ケア導入群 11.6ヵ月 標準治療群 9.8ヵ月 しっかりと麻薬を使っ ているグループの方が 生存期間が長い Early Palliative Care for Patients with Metastatic Non-Small-Cell Lung Cancer Temel et al,2011,N Engl J Med 中毒や錯乱などは起こりにくい! 麻薬と聞くと覚せい剤などを連想する人がいますが、 麻薬と覚せい剤はまったくの別物です! 「麻薬及び向精神病薬取締法」 で扱う薬品 医療用麻薬 麻薬性鎮痛薬 麻薬性鎮咳薬 弱 幻覚発現薬 コカイン,違法ドラッグ 依存・耐性 「覚せい剤取締法」 「大麻取締法」で扱う薬品 覚せい剤,大麻 強 医師の指示通り使用していれば 問題になることはありません。 死期が近くなってから使う薬ではありません! 痛みの程度に応じて使用していきます 痛みのある人へ使用する場合、 精神依存は起こりません 痛みのある人 痛みのない人 医療用麻薬を投与 医療用麻薬を投与 ドパミンは増えない ⇒快感は無い 痛みが取れる ドパミンが増える ⇒快感が得られる 依存・耐性は生じない 依存・耐性が生じる (必要量が増加) 最後に・・・ 正しい知識を持って安全にお薬を使用しましょう。 誤解や誤った情報などに注意しましょう。 気になる症状があれば、ご相談ください。 ありがとうございました。