Comments
Description
Transcript
外資系ホテル東京大進出
外資系ホテル東京大進出 -その原因の解明- 高橋麻衣子 (東洋大学国際地域学部国際地域学科4年) 久松ゼミ [研究動機] 『日経ビジネス(2005年6月27日)』の記事を読んだ。 (「東京ホテル戦争:ハイアットの牙城崩せるか」) パークハイアット東京へホテル見学に行ってみた。 コンシェルジュの方にお話をうかがうこ とができた。そして、優しい人だった。 この研究をすることに決めた。 コンシェルジュの方 [私の質問] 外資系ホテルは、1992年ごろから次々と開業 している。しかし、なぜ今、東京に外資系ホテ ルが建ち並ぶのだろうか? z バブルを経て、都内に宿泊する人の需要、ホテ ルの思惑はどのように変わったのだろうか? z 先行研究は何を言っているのだろうか? z [先行研究] 富田昭次『東京のホテル』光文社、2004年。 <外資系ホテルが建つ理由> z バブル崩壊後の地価や金利の下落。 z 大規模再開発や繁華街の見直しによる、立 地の創造。 z バブル崩壊によるパーティ等の法人需要の 減少。 ⇒問題点:実証されていない。他に原因がある のではないか? [研究方法] 東京と海外主要都市の地価と金利を比較する。 z 各新聞・雑誌のオンライン記事データベースで、 ホテル関連記事件数の推移を調べる。 z ホテルの売上構成を調べ、バブル崩壊によっ てどのように変わったか調べる。 z 訪日した外国人数の推移と、対日直接投資額 の推移を調べる。 z [研究結果(その1)] 地価 図1 <主な都市の商業地地価 (\/㎡)> ( 4500 万 4000 円 3500 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 サンフランシスコ ) ニューヨーク フランクフルト ロンドン パリ 東京(千代田区) 1973 1977 1981 1985 1989 1993 1997 2001 (年) 600 400 200 0 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 出所:(社)日本不動産鑑定協会「世界地価等調査結果」より筆者作成 [研究結果(その2)] 金利 (%) 20 15 図2 <プライムレートの推移> 日本 アメリカ 10 5 0 1970 1973 1976 1979 1982 1985 1988 1991 1994 1997 2000 2003 (年) 出所:日本銀行調査統計局「金融経済統計月報」、「The Federal Reserve Board」より筆者作成 [研究結果(その3)] 法人需要の減少 (件) 500 400 図3 <「ホテルandパーティ」ヒット件数> 聞蔵 日経テレコン21 ヨミダス文書館 300 200 100 0 1975 1979 1983 1987 1991 1995 1999 2003 (年) 出所:データベース検索により筆者作成 z 80年代末をピークにしてホテルでパーティが減少した という可能性を示す [研究結果(その4)] z z 売上高の構成に ついて、日系ホテ ルは外資系ホテ ルに比べて、客室 以外の売り上げ が大きい。 そのため、日系ホ テルの方が法人 需要の落ち込み から、より影響を 受ける。 日系と外資系の違い 図4 <日系ホテル8社の売上構成> 26.2 1986 38.7 21.5 1999 0% 35.1 37 20% 客室 料飲 その他 41.5 40% 60% 80% 100% 出所:『日本ホテル年鑑』より筆者作成 図5 <外資系ホテル2000年の売上構成> パークハイアット 28.8 ウェスティンホテル 37.2 40 0% 20% 14.8 28 40% 19.2 27 5 宿泊 飲料 宴会 その他 60% 80% 100% 出所:『日本ホテル年鑑』より筆者作成 [研究結果(その5)] 日系ホテルの落ち込み 図6 <日系ホテル7社合計売上高1991=100> 105 総売上高 客室 客室以外(料飲・その他) 100 95 90 85 80 75 70 65 60 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 (年) 出所:『日本ホテル年鑑』より筆者作成 z 客室売上高のほうが落ち込みが激しいが、客室以外の 動きに全体は左右されている。 [研究結果(その6)] (万人)(室) 700 600 ホテル需要の原因 図7 <目的別訪日外客> 一時上陸客 その他客 商用客 商用・その他の客 観光客 ホテルの客室数 500 400 300 200 100 0 1970 1973 1976 1979 1982 1985 1988 1991 1994 1997 2000 2003 (年) 出所:『日本ホテル年鑑』「国際観光振興会(JNTO)」より筆者作成 (億円) 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 図8 <対日直接投資額の推移> 外国人客も 対日直接投 資額も増加し た。 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 (年) 出所:財務省HPより筆者作成 [実証分析からの結論] z 地価と金利の下落 z z z 日系ホテルと外資系ホテルの比較 z z 外資系ホテルは、たしかに地価と金利が下がり始めた1992 年ごろから次々と開業している。 2000年以降は、他より比較的地価が低く、交通の便も良い 港区にホテル建設が集まっている。 日系ホテルは、売上高の多くを客室以外からの売上に頼っ ているため、バブル崩壊以降、減少した法人需要が日系ホ テルの総売上高減少に大きく影響を与えた。 新たな需要 z 訪日する外国人数の増加も、外資系ホテルの増加に影響を 与えたであろう。 外資系ホテル東京大進出 -その原因の解明- 高橋麻衣子 (東洋大学国際地域学部国際地域学科4年) 久松ゼミ ご清聴ありがとうございました