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間接法による営業キャッシュ・フロー
企業会計ナビ ダイジェスト 間接法による営業キャッシュ・フロー 企業会計ナビチーム 公認会計士 蟹澤啓輔 • Keisuke Kanisawa 監査部門に所属し、不動産業、製造業、専門商社などの会計監査に携わる傍ら、書籍執筆、法人ウェブサイト(企業会計ナビ)に掲載す る会計情報コンテンツの企画・執筆に従事している。 ナレッジ本部 企業会計ナビチームでは当法人の ウェブサイトで、会計に関するさまざまなナレッジを 発信しています。 本シリーズでは、企業会計ナビチームの発信してい るナレッジのうち、アクセス数の多いトピックスを取 り上げ、紹介しています。 今回は「わかりやすい解説シリーズ『キャッシュ・ フロー計算書』第3回:営業キャッシュ・フローの表 示方法」の一部「間接法による営業キャッシュ・フ ▶図1 間接法によるCF計算書のイメージ 間接法による営業キャッシュ・フローの表示 税金等調整前当期純利益 減価償却費 有価証券売却損 売掛金の増減(△増加) 棚卸資産の増減(△増加) 買掛金の増減(△減少) 小計 法人税等の支払い 営業活動によるキャッシュ・フロー 8,000※1 1,500※2 1,000※3 500※4 −1,000※5 1,500※6 11,500 −4,000 7,500 ロー」をご紹介します。 Ⅱ 損益計算書に関係する調整 【ポイント】 • キャッシュ・フロー(CF)計算書の「間接法」 による表示方法は、損益計算書の税金等調整前 当期純利益に非資金損益項目や、投資活動や財 務活動の区分に含まれる損益項目を加減して表 示する方法です。 1. 非資金損益項目 損益計算書の税金等調整前当期純利益には、減価償 却費のようなCFを伴わない項目(以下、非資金損益 項目)が含まれています。このような非資金損益項目 を税金等調整前当期純利益から除外することで、利益 をCFに調整します。 2. 投資活動や財務活動の区分に含まれる損益項目 Ⅰ 間接法による表示方法の概要 損益計算書の税金等調整前当期純利益には、有価証 券売却損益のような投資活動や財務活動の区分に含ま 間接法による営業CFは、損益計算書の税金等調整前 当期純利益からスタートし、減価償却費などの非資金 れる損益項目も含まれています。 例えば、有価証券の売買は投資活動に該当するた 損益項目、有価証券売却損などの投資活動や財務活動 め、営業活動ではなく、投資活動によるCFに記載され の区分に含まれる損益項目、営業損益計算の対象とな ることになります。このため、投資活動や財務活動の る取引に係る債権債務の調整等を加減して表示します 区分に含まれる損益項目を加減することによって、税 (<図1>参照)。 28 情報センサー Vol.92 April 2014 金等調整前当期純利益を営業CFに調整します。 ▶図2 損益計算書のイメージ 売上高 売上原価 減価償却費 有価証券売却損 給料 その他費用 税金等調整前当期純利益 法人税等 当期純利益 ▶図3 商品の販売による収入のイメージ 25,000 −9,000 −1,500※2 −1,000※3 −2,500 −3,000 8,000※1 −4,000 4,000 売掛金 期首残高 2,000 売上高(PL) 25,000 債権回収 25,500 期末残高 1,500 △ [期末残高−期首残高] =△ (1,500−2,000) =500※4 ▶図4 商品の仕入れによる支出のイメージ 棚卸資産 <図2>のように1. の非資金損益項目である減価償 期首残高 3,000 却費1,500や、2. 投資活動の区分に関係する損益項 目である有価証券売却損1,000について調整を行い ます(<図1、2>※2、※3参照)。 Ⅲ 営業損益計算の対象となる取引に係る債権 債務の調整 仕入高 期末残高 4,000 △ [期末残高−期首残高] =△ (4,000−3,000) =△1,000※5 買掛金 損益計算書には、営業損益として売上高や売上原価 などが含まれていますが、当期の売上高のうち期末の 10,000 売上原価(PL) 9,000 債務支払 8,500 期末残高 7,500 期首残高 仕入高 6,000 10,000 [期末残高−期首残高] = (7,500−6,000) =1,500※6 売掛金残高については、キャッシュとして回収されて いません。他方期首の売掛金については当期に回収さ れています。このため、営業損益計算の計算対象とな 期首貸借対照表 損益計算書 期末貸借対照表 CF計算書 る債権債務、例えば、売掛金、買掛金、未払費用など を調整することによって、利益をCFに調整します。 金の期末残高7,500と期首残高6,000の差額1,500 をプラスする調整をすることになります(<図1、4> 1. 売掛金の調整 ※5、※6参照)。 税金等調整前当期純利益には売上高25,000が含ま れています。これを当期の債権回収高25,500に調整 するためには、売掛金の期末残高1,500と売掛金の ウェブサイトの企業会計ナビコーナーでは、同シ リーズで次の項目の解説を行っています。 期首残高2,000の差額500をプラスする調整をする 第1回 キャッシュ・フロー計算書とは ことになります(<図1、3>※4参照)。 第2回 企業活動とキャッシュ・フロー計算書 第3回 営業キャッシュ・フローの表示方法 2. 棚卸資産、買掛金の調整 第4回 キャッシュ・フロー計算書の読み方 税金等調整前当期純利益に含まれている売上原価 9,000は、棚卸資産勘定の[期首残高3,000+仕入 高10,000−期末残高4,000]として計算されます。 次に、商品の仕入債務の支払い8,500は、買掛金 勘定の[期首残高6,000+仕入高10,000−期末残高 7,500]として計算されます。 続きをご覧になりたい方は、各種検索サイトで「企 業会計ナビ」と入力し、検索してください。 ▶ 企業会計ナビURL www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting このため、売上原価から商品の仕入による支出に調 整するためには、棚卸資産の期末残高4,000と期首残 高3,000の差額1,000をマイナスする調整と、買掛 情報センサー Vol.92 April 2014 29