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Enteral Omega-3 Fatty Acid
ALIの経管栄養 慈恵ICU勉強会 はじめに ・栄養不良は特に重症患者にとって悪い結果をもたらすと考 えられてきた。 必要十分量のカロリー投与 ⇕ 投与カロリー制限 Chest 2004;125;1446-1457 Chest 2003;124;297-305 によってoutcome改善 ⇒ICU入室患者における、ENのタイミング、組成、量はいまだ に議論が分かれるところである。 侵襲下ではOver feedingを避ける Over feeding 静脈経腸栄養 Vol.24 No.5 2009 Early versus Late Parenteral Nutrition in Critically Ill Adults N Engl J Med 2011;365:506-17. Design ; prospective RCT Settings ; multicenter Patients ; ICU入室した大人の 患者4640人 Methods ; 早期経管栄養開始 PN開始時期 Early-initiation群 (48時間以内) V.S. Late-initiation群 (day8以降) Early versus Late Parenteral Nutrition in Critically Ill Adults N Engl J Med 2011;365:506-17. 90日死亡率は同等 late-initiation群で ICU滞在期間(hazard ratio, 1.06) が有意に減少。 Early versus Late Parenteral Nutrition in Critically Ill Adults N Engl J Med 2011;365:506-17. 早期ENを開始している状態でPNを併用 Late initiation群では合併症が少なかった。 ⇒早期には、十分量のカロリーを投与しな い方がoutcomeが改善するのでは? ENについて… PNは全く併用しない 方法① Design; open-label , RCT Setting; ARDS clinical trials network 44施設 Patients; 発症48時間以内に人工呼吸器 管理され、人工呼吸器管理期間が 72時間以上のALI患者1000人 Exclusion criteria ; 13歳未満、妊婦、 慢性肺疾患、肝障害、神経疾患、 難治性のショック、 TPNを受けた患者 etc 方法② Primary endpoint; Ventilator-free days (VFDs) secondary endpoint; 60日死亡率、臓器障害、 新たな感染症発生率 Statistical analysis ; ・1000人に対して4回の中間解析(検出力91%) ・ VFDsにおいて差2.25日、平均14日、SD10.5日という結果。 ・中間解析はO’Brien-Fleming法 、最終の両側P値=.0429。 方法③ Methods; 経管栄養を用いた trophic feeding群 V.S. full feeding群 Trophic feeding : 最低400 kcal/day、必要カロリーの25%(上限) Full feeding : 最低1300kcal/day 、必要カロリーの80%(上限) 方法④ ・肺保護戦略 ・保守的水分管理 ・血糖管理80~150mg/dl 患者背景 ただし、比較的若年 (52歳) Medical ICU (60%) Trophic feeding群 508人 Full feeding群 492人 高いBMI (30) 両群間に背景の差はなし。 DM合併率 (27-29%) という特徴。 結果① Ventilator-free days (VFDs) 、60日死亡率、 臓器障害、新たな感染症発生 両群間に有意差なし。 結果② Trophic feeding群で 嘔吐 (1.7% vs 2.2%; P=.05), 逆流 (0.4% vs 0.7%; P=.003), 便秘 (2.1% vs 3.1%; P=.003), 胃内容量増加 (2.2% vs 4.9%; P=.001) が有意に少なかった。 結果③ 血糖値:day7まで有意差あり。 インスリン使用量:day9まで有意差あり。 結果④ Day7における水分量 full-feeding群; 2.1 L (95% CI,1.2 to2.9) , trophic-feeding群; 0.4 L (95% CI,−0.5 to 1.3)(P=.01) 循環動態、呼吸状態に 差はなし。 電解質やアルブミン量に も差はなし。 Discussion① ・Day6までに投与カロリーを比較した人工呼吸 器管理患者間でoutcomeに有意差はなかった。 ・Trophic feeding群ではgastric intoleranceが有 意に少なかった。 ・一方で、Trophic feedingの6日間以上の安全 性や有効性は示せない。 Discussion② ・24時間以内にENを開始するEarly feedingがよいと されている。EDEN studyでは、EN開始は発症24時間 以内は40% (48時間以内は90%)である。 ・No feeding群を設定して比較できない。 →No feedingとtrophic feedingが同じ結果になるか どうかもわからない。 Discussion③ ・85%はGastric tubeで経管栄養。 →胃内容量はfull feeding群で多いが、誤嚥やVAP の頻度は両群とも低い。 postpyloric tubeはいらない かもしれない。 ・Refeeding syndromeはfull feeding群, tropic→full feedingに移行する際にも起こらなかった。 Discussion④ ・大規模、多施設、RCT、intention-to-treat ・40%はショック。 ・基礎疾患の有無に関わらず、同一の経管栄養を実施。 ・ARDS networkのcriteriaにそって死亡率を比較できる。 ・同一の治療戦略であり、 outcomeを比較することができる。 limitations ・Open-label designによるバイアス ・Adult medical ICU ・ALI患者のみでその他の呼吸器疾患を含まない。 ・経静脈栄養の併用を禁止している。 結語 ALI患者を対象に 6日間の経管trophic feedingを行う事で VFDs期間、死亡率、新たな感染症合併率を 減少させることができなかった。 考察 実は… The EDEN studyの272人は Enteral Omega-3 Fatty Acid, -Linolenic Acid, and Antioxidant Supplementation in Acute LungInjury JAMA. 2011;306(14):1574-1581 と同一の患者群! Enteral Omega-3 Fatty Acid, -Linolenic Acid, and Antioxidant Supplementation in Acute LungInjury JAMA. 2011;306(14):1574-1581 Design; prospective RCT Setting; multicenter Patient; ALI患者272人 Method ; EPA, DHA, GLA, 抗酸化物質を含む 栄養投与の有無 Enteral Omega-3 Fatty Acid, -Linolenic Acid, and Antioxidant Supplementation in Acute LungInjury JAMA. 2011;306(14):1574-1581 ・実はω-3の有無と投与カロリー量の 2×2 factorial design. 無作為に 1, ω-3(+) と tropic feeding 2, ω-3(+) と full feeding 3, ω-3(-) と tropic feeding 4, ω-3(-) と full feeding の4群に分け、比較検討しているが…。 OMEGA studyではω-3の有無のみでoutcomeを判定。 Enteral Omega-3 Fatty Acid, -Linolenic Acid, and Antioxidant Supplementation in Acute LungInjury JAMA. 2011;306(14):1574-1581 VFDs は減少。合併症、ICU滞在日数は増加。 調整60日死亡率 ( 25.1% vs 17.6%; P=.11 ) ω-3系脂肪酸、抗酸化物質投与でoutcomeは改善せず。 ⇒EDEN studyに振り分けても差し支えない。 Editrial 問題点 ・重症患者に必要な投与カロリーについてのevidenceはない。 ・Full feeding群でも理想体重におけるカロリーを投与 →実際には必要量より少ない可能性。 ・長期についてはどちらが良いか分からない。 ・50%以上は6日で人工呼吸終了した軽症な患者群。 ・80%は感染症。 長所 ・Gastric tubeを使っているが、誤嚥やVAPの頻度は低い。 ・ALIに制限した点は評価できる。 まとめ① • 対象患者のBMIは30程度であり、日本人に当ては められるかは不明。 • Gastric intoleranceはtropic feeding群で有意に少な かったが、60日死亡率は23.2%(full feeding群は 22.2%、有意差なし)と高い結果であった。そのため、 tropic feedingがoutcomeを改善するとは言い切れ ない。 まとめ② • ALI患者で早期投与カロリー制限によって、 ICU入室期間、臓器障害発生率、新たな感染症 発生率を改善することはできなかった。 • 重症患者において必要カロリーはわかっていない。 • 今後、ENについての投与カロリーを比較した研究 が望まれる。