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モロッコ国 - 海外農業開発コンサルタンツ協会

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モロッコ国 - 海外農業開発コンサルタンツ協会
モロッコ匡l
アンセミ川流域農業開発計画
プロジェクトファインディング調査報告書
平成6年3月
社団法人
海外農業開発コンサルタンツ協会
まえがき
モロッコ国では、地方農村における貧困と失業の撲滅及び農村と都市の社会・経済的不均衡の
解消が深刻な問題となっており、農村開発促進と砂漠化の抑止、地域開発計画の強化・促進を最
優先目標として掲げている。
ことに、農業部門については、食糧自給率の向上を大きな国家目標と位置づけ、その具体的な
対策として水源開発、砂漠化防止による農業生産性の安定化と農村の活性化をうたっている。
このような背景を認載して、本プロジェクトファインディング調査は、ムールヤ川上涜のアン
セミ川流域において、冷涼な気候を活かしたリンゴの増産と、地域振興を目的とした農業開発計
画の予備調査を実施した。
本報告喜ば、これらの調査結果に基づき取りまとめたものである。
この農業開発計画は、モロッコ国が早期事業実施を強く要望しているものであり、同案件に対
する技術協力は、非常に有意義なものと考えられる。本報告善がモロッコ国の農業,農村開発を
支援する日本政府の技術協力の前進に役立つことになれば幸いである。
本報告書は平成5年1
2月4日より1
2月1
7日にかけて実施したものであり、ご指導とご協
力を賜った、農林水産省構造改善局建設部設計課 海外土地改良技術室、海外コンサルタンツ協
会、在外日本大使館及びJ
I C A事務所の関係各位に深く謝意を表すものである。
平成6年3月
毛受享政
千葉信一
案件名:アンセミ川流域農業開発㌔画位
5
sヲ1
:2QPO3
1。km
約
要
モロッコ国は、アフリカ大陸の北西端に位置し、マグレブ三国の西端を占めている。国土面積
は45万8, 730km2
(西サハラ地域的25万km2を除く)で日本の約1.
2倍、地中海から大西洋岸に沿っ
て1, 835kmの海岸線を有するo
モロッコ国の経済は、天候あるいは原油価格といった外的環境の変化によって大きく左右され
ており、体質そのものの強化が望まれている。
1989年のモロッコの全耕地面積は約890万haで、そのうち約730万haに畑作物、飼料作物及び果
樹が作付され、残りは休閑地である。政府は独立以来、潅漉事業に力を入れ、現在モロッコは第
三世界で最も潅漉の普及した国の一つになっているが、潅液面積は季節的潅概、河川氾濫による
潅概を含めて約165万haにとどまっており、潅概事業の一層の発展が優先課題となっている。
本プロジェクトファインディング調査は、ムールヤ川上涜のアンセミ川淀城において、冷涼な
気候を活かしたリンゴの増産と、地域振興を目的とした農業開発計画の予備調査を行ったもので
ある。
アンセミ川中流域には、アンセミ川に設けられたAitBen
itSidi
Amar潅敵地区(対象面積4,
ムは老朽化が進み(1964年に事業実施)
015ha,実権概面積1,
Yachou頭首エより潅漉される
A
850ha)がある。同地区の潅概システ
、施設のリハビリの必要性が高まっている。本計画事業
は、この既設潅漉システムの改修とともに、新たに潅概整備が可能な地区も含めた農業開発を目
指すものである。
1.水源計画:
ムールヤ水系開発マスター・プラン(モロッコ国政府実施)の中で、本農業開発計画のための
ダム(提高80m,堤体積330.
000Ⅱf,貯水量100首万m3)が計画されており、
2003年完成を目指し
て準備が進められている。
2.潅概対象面積:
既存地区4, 015ha及び新規地区7, 985haの合計約12. 000haで、リンゴ作を中心に、小麦,とうも
ろこし作の増産を目指す。
3.計画潅概施設:
アンセミ川上流に計画中のダムより潅概用水供給を受けることを前提として、同ダムより流下
する幹線水路(約70km)
、ムールヤ川本川地区への導水路、及び計画対象地域内のオンファーム
整備。
4.その他の計画施設:
リンゴを中心としたポスト・ハーベストを目指した農業施設整備、及び生活用水補給,電化促
進のための農村施設整備。
上記の農業開発事業の概算事業費としてほ、水源施設を除いたもので約65億円と推定される。
農業開発計画の策定については、農業農地改革省により予備調査は完了しているが、今後、先
行しているダム計画と整合のとれた農業開発計画とするために、
60M/M程度の開発調査(F/S
の実施が望まれる。同F/Sでは、潅概施設コンポーネントの他に、農村施設、農業施設の調査ち
行う必要がある。
新規ダムは、 2003年の完工を目指して進捗していることから、ダム完成時には潅概施設も同時
完工する様な、実施スケジュールが望まれる。
)
モロ ッ=コ国
アンセミノIl流域農業開発計画
プロジェ ク トフ ァイ ンディ ング謬司査学匠告書
目 次
まえがき
位置図
頁
要 約
第1葦 調査の概要
1.1調査の目的
1.2 調査の実施
1.3 調査団の構成
2.1概要
2.2 農業
2.3 農業開発の方向
2 3 4
第2章 モロッコ国の現状
3.2 地形・地質
3.3 気象・水文
3.4 農業
3.5 人口及び社会状況
3.6 土地所有
3.7 既存潅漑事業
第4葦 開発計画
第5章 総合所見 ‥−…−−=−一−‥−−−−−−−一一−…−−り−−−一−−…‥10
添付資料
1.調査日程
2.収集資料リスト
3.\面会者リスト
4.現地写真集
5 ﹁ 〇 ﹁ 〇 6 7 7 8
第3章 調査対象地域概要
3.1調査対象面積
1.調査の概要
1.
1
調査の目的
本調査は、アンセミ川流域農業開発計画の国家計画に対する位置付けを明確にし、本計画に関
する資料の収集,整理を行うとともに,現地踏査により現況を把握するとともに、本計画事業実
施の可能性を検討することを目的としている。
1.
2
調査の実施
本調査は、
1993年12月4日より1993年12月17日の14日間にわたり、日本技研株式会社毛受亨政,
千葉信一の2名からなる調査団によって実施された。
1.
3
調査団の構成
(1)毛受享政
S.44. 3
東京工業大学工学部
土木工学科卒業
S. 44. 4-S.
48. 6
(秩)三祐コンサルタンツ
S. 48. 7-S.
60. 8
日本技研(樵)
S. 62. 5-S.
62. 4
同
上
技術研究所
S.62.5-Ⅲ.
1.6
同
上
取締役
H.
1.7-El.
5.7
同
上
取締役
].
5.8-現
在
同
上
常務取締役
技師
所長
海外事業本部副本部長
技術本部副本部長
(2)千葉信一
S. 58. 3
S. 58.4-a.
岩手大学農学部
5.5
8. 4.3
H. 5.6-現
日本技研(秩)技師
三重大学大学院
在
農業土木学科卒業
生物資源学研究科修了
日本技研(秩)課長
-
1
-
2.モロッコ国の現状
2.
要
1概
L モロッコ国は、アフリカ大陸の北西端に位置し、マグレブ三国の西端を占めている。国土面積
は45万8, 730k皿2
2倍、地中海から大西洋岸に沿っ
(西サハラ地域的25万km2を除く)で日本の約1・
て1, 835kzBの海岸線を有する。
モロッコ国の経済は、
1973年の投資奨励法制定以降、 1973-77年の期間は積極的な工業化政策
や燐鉱石価格急騰により年平均GD
P成長率7. 3%という高成長を遂げた。しかし、
1978-80年の
期間は燐鉱石価格が低下した影響を受けてインフレが進み、その抑制対策としてデフレ対策が採
られた結果、実質経済成長率は年平均3.
さらに1980-84年には、
4%と急速に鈍化した。
5年続きの早魅に見舞われた上に、西サハラ問題の深刻化に伴う軍事費
の増加や第2次石油危機による石油価格の急騰などのマイナス要因が重なり、経済状態は悪化し
た。
しかしながら、
1985-86年には、好天に恵まれて農業生産が安定したことや原油価格が急落し
たことで輸入依存が減少したこと、さらには、通貨の切り下げによる観光等の外貨収入の増加に
より、 1983/84年と2%台にとどまっていた実質GD
P成長率は、
1986年には5. 7%に上昇した。
このような経済成長は、天候あるいは原油価格といっった外的環境の変化によってもたらされ
たものであり、モロッコ経済の体質そのものが強化されたとはいい難い面がある。
モロッコ政府は、この点を厳しく受けとめており、第5次5カ年計画(1988-92年)では、潅
漉の促進による農業生産基盤の強化、輸出産業の国際競争力強化や輸出市場の多様化の促進など、
地に足のついた経済体質改善を目指す姿勢をとった。
第5次5カ年計画も19992年までで終局を迎えたが、貿易収支の悪化、早魅の再発などで経済状
態は再び悪化しており、現在でもまだ第6次5カ年計画の素案すらまとまっていない状況である。
- 2
-
2.
2
農
業
1989年のモロッコの全耕地面積は約890万haで、そのうち約730万haに畑作物、飼料作物及び果
樹が作付され、浅りは休閑地である。
1988/89年度の耕地利用状況は、穀物が551万haで全耕地の約65%、全作付面積の約75%を占め、
小麦・大麦を主体にした穀物作がモロッコ農業の中心であることを示している。次いで、豆額及
び果樹が作付面積のそれぞれ約7%を占め、工業作物、抽料作物、野菜はいずれも2-3%の面積で
作られている。休閑地は近年減少しつつあるが、それでも乾燥地帯を主にして約160万ha、全耕地
の約19%を占めている。
1980年代に、全作付面積は、耕地の拡大約70万ha、休閑地の減少約90万haで合わせて約160万
ha増加した。増加分のうち穀物が100万ha以上を占めるが、伸び率の高かったのは豆類、抽料作物
及び野菜である。また、
1960年代にはほとんど栽培面積のなかった砂糖きび、甜菜の糖料作物が
今日では広大な面積に作られるようになった。これらは潅概地の拡大と政府の政策によるところ
が大きい。
このように、モロッコ農業の発展は著しいものであるが、基礎食料の自給率は、現在でも穀物
80%,砂糖70%,食料油30%程度であって、農業生産力の一層の発展が政府の重要課題の一つに
なっている。
モロッコ農業のもう一つの特徴ほ、生産性の低い伝統的な零細経営と生産性の高い近代的な大
規模経営が併存していることである。
1982年の農業調査では、経営糸数の69%が5ha未満の零細経
営であるにもかかわらず、所有する耕地は全体の23%に過ぎない。他方経営数の3.
50ha以上の大経営が全耕地の32
4%に過ぎない
%を保有しており、かつ、これらの大経営は潅概や土地の肥沃性
の面でも有利で、糖料作物や輸出用のオレンジ、野菜などは大半が大経営によって生産されてい
る。 RifあるいはAtlasの山地や南部及び東部内陸地帯に多い零細経営の近代化と収益改善が今
後の大きな課題である。
- 3
-
2.
3
農業開発の方向
モロッコ農業の持つ構造的な問題点の一つは、その地理的・気候的な特性から、しばしば激し
い早魅に襲われ、農業政策が安定を欠くことである。例えば、最近10年間で最も早魅被書の大き
かった1980/81年度には、穀物収量が例年の約2分の1、豆類は3分の1近くに落ち込むという大きな
被害を受けた。その後も1982/83年,
1986/87年,
1991/92年,数年ごとに早魅に見舞われている。
そこで、政府は独立以来、潅概事業に力を入れ、.現在モロッコは第三世界で最も潅概の普及した
国の一つになっているが、潅概面積は季節的潅概、河川氾濫による権概を含めて約165万haで、
潅概事業の一層の発展が課題となっている。
- 4
-
3.調査対象地域概要
3.
1調査対象面積
調査対象地域は、既存のAit
Ait
Sidi
A氾r潅漉地区は4,
S叫Amar潅漉地区及び、その周辺の耕作可能地よりなる。
015ha
985ha
(内55haほ森林面積)拡大可能地及び放牧面積は7,
の、合計12, 000haが計画対象面積となる。調査対象面積は、これらと不可分な非農地を含むもの
とする。
3.
2
地形・地質
調査対象地域は、ケニフラ州の東部に位置する。オート・アトラス山脈の北西側裾野の土漠地
帯にあり、標高1,
600m以上の高原地形を呈している。
ダム地点は、オート・アトラス山脈の雪どけ水を貯留するのに最適のポケットとなっている。
地質はやや変成を受け千枚岩状の部分を含むが硬質な枯枚岩基盤で構成され、ダムサイト全体に
露頭している。下流耕地では砂質系の洪積沖積層が分布し、それを肥沃な表土が覆っている。
3.
3
気象・水文
調査対象地域は半乾燥気候に属し、年間平均降水量は218mmと少ない。降雨の季節分布は、下
表のように2月-6月と10月-12月に集中している。
( Ansegg)ir気象観測所1931-1984年平均)
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
合計
19.0
20.1
22.0
28.3
23.0
13.7
5.2
5.0
17.5
19.6
21.4
23.1
217.9
年平均気温は14. OoCで、最低月平均気温は12月の5.
過去最低気温は1965年1月に記録した-13.
9oC、最高月平均気温は7月の24.
4oC、最高気温は同じく1965年7月の36.
下気温を示す日数は、年間40日を越えている。毎年、
7oCである。零
11月から4月にわたって合計15日間程度の
降雪日がある。
相対湿度は、 25-59%の間で変動している。また、ブラネイ・クリドル法による蒸発散量推定
値は、 1, 092mm/年となっている。
-
5
-
4oCである。
5月の5. 91d/s、最低月平均流量は8月の0.
2. 66rrf/sである。最大月平均流量は
960km2)は、
アンセミ川の平均流量(TABOtJAZZANT観測所,
4. 5月には、雨水のほか、融雪水も含ま
93d/sである.
れる。流出量の月別平均値は、下表に示す通りである。
(TABOtJAZZANT観測所,単位:
3.
4
A/s)
1月
2月
声月 4月
5月
6月
7月
8月
9月
1.34
1.56
1.78
1.61
2.91
3.27
5.12
5.91
農
1.60
10月  ̄11月 12月
3.95
2.03
平均
0.93
2.66
業
調査対象地域周辺の農業は、穀物作と果樹栽培に大別される。穀物作は、主に小麦,トウモロ
コシが作付されているが、
3-
(1,990ha)用水不足、降雪などから生産性は低く、小麦の単収は0.
0. 8t/haにとどまっている。果樹栽培では、冷涼な気候を活かしたリンゴ生産が盛んで、現在も国
内有数のリンゴ生産地として国内向け及び輸出用に出荷されており、有望な産業として生産量の
増大が強く望まれている。
リンゴの生産は、一成木あたり120kg以上の収穫が可能で(haあたり200本の植生密度が一般的)
平均1. 5-2. ODH/kgで取引されていることから、他作物に比べかなり高収益な農産物となってい
る。
調査対象地域では、約1,
210ba
(90%で潅漉実施)においてプランテーションの形態でリンゴ栽
培が行われているが、さらにその周辺にも生産拡大の余地が十分ある。
■牧畜も、本調査対象地域農業の重要項目の一つであるo調査対象地域内の牧畜頭数(1992年統
計による)は、下表の通りである。
午
2,324
辛
ll,746
山羊
フ/ヽ
1,557
l,515
1一寸
ロ′(
482
鶴
七面鳥
兎
10,810
1,537
1,742
ハチ巣箱
牧畜については、今後、飼料作物生産を増大し、人工増加に見合った生産向上が求められてい
る。
- 6
-
410
、
3.
5
人口及び社会状況
調査対象地域は、
またがっている。
Mideltセルクル内のAit
1992年の統計では、
Ayadhコミューンルーランに属し、
1, 142戸で8, 565人、人口増加率2.
20のドア一に
0%と調査されている。人
口密度は、 214人/Km2と低い。地区内の生活用水供給は、潅概用水を含めて一部で河川水を利用し
ているほかは、浅井戸に依存している。電化は遅れており、現在、二つのドアーが電化されてい
るのみである。
3.
6
土地所有
調査対象地域内農地の65%は農民個人所有(LVELK)であるo ̄
32%は共同所有(COLLECTIF)で、
2. 27haで各面積規模の所有者比率は、
その他がモスク所有等である。農民の平均農地所有面積は、
下表の通りである。
Oha
0-0.5ha
8.5%
41.2%
0.5-1.Oha
1.0-2.Oha
16.0%
ll.8%
-
7
-
2.0-5.Oha
5.40/o
5.Oha以上
17.1%
3.
7
既存潅概事業
Ait
Sidi
Amar潅概事業は、
川水を水源として、
Aユt
Ben
1964年に実施された小規模潅漉整備事業である。アンセミ川河
Yadhou頭首エより重力潅減により3,
ば4, 015ha)をカバーしている。
(現在の潅概実施面積は1,
960ha
(森林面積を加えれ
850ha)各潅概地区ごとの水路延長、
及び対象面積は下表の通りである。
潅概地区名
水路延長(m)
対象面積(ha)
AGNI
2, 010
12
TAMALOUT
4, 140
30
TOUGLKHAIR
2, 580
28
12, 910
400
5,220
50
3, 580
35
3, 760
30
4, 220
30
ISWAL
IGNAN
BOU
N'HASS
RAAMOUCH
HMAD
BOUI
JRA
IFRANE
IAICH
1, 180
5
ZEHIRA
SGHIRA
7, 080
95
14, 300
870
44, 100
1, 705
5, 780
gO
6, 110
120
OUALI
10, 470
415
OULAHCEN
5, 160
100
132, 600
4, 015
AIT
SIDI
AMAR
ZAOUIA
TAHAKIT
AIT
BEN
AIT
ATMA
AIT
ALI
合
ALI
計
頭首工をはじめとして潅親水路等の潅概施設の老朽化が著しいとともに、アンセミ川流量の経
年変動は激しく、新規の水源開発を含めた事業のリハビリが強く求められている。
- 8
-
4.開発計画
モワッコ国政府は、リンゴ産地としての特徴と、地域振興の重要性及び水源開発の可能性より、
本地域を中規模農業開発の重点地区のひとつとして位置づけ、ダム建設による水源開発と、リハビ
リを含む潅概施設整備の両面から計画樹立に放り組もうとしている。
ダム建設は、公共事業省により、提高80m,堤体積330,
000d,貯水量1億Jdの計画で、
2003年の
完工を目指して現在、詳細設計にとりかかっている。潅概施設整備は、農業農地改革省により予備
調査が完了している。
農業開発コンポーネントは、次の3分野と考えられる。
一潅概施設整備
一農村施設整備
一集荷等の農業施設整備
潅概計画対象地域は、アンセミ川地区の拡大可能地を含む1,
計画潅概施設は、計画ダムより涜下する幹線水路(約70km)
2000haとムールヤ川本川地区とする。
、ムールヤ川本川地区-の導水路及び
計画対象地域内のオンファーム整備で、特にリンゴ栽培に配慮した潅概システム整備とする。
農村整備は、潅混用水を生活用水に利用するための共同水栓及び水洗場、家畜の水飲場と、新規
ダムにより供給が可能となる電力の供給用共同付帯施設である。
農業施設は、特にリンゴを中心とした集荷、貯蔵施設及びリンゴ生産の農業技術普及を目的とし
た農業技術普及センタ-の建設が考えられる。
事業費は、以下の概算額と見積もられる。
一潅概施設整備
一農村施設整備
一農業施設整備
合
計
約60億円
約3億円
約2億円
約65億円
-
9
-
5.総合評価
本件計画は、モロッコ国の中でも珍しいリンゴ生産を目指すものであり、農業開発として重要度
の高い計画である。水源としてのダム計画は、国家計画の中でその実施が決定されており、それに
対応した農業施設整備は、必須の国家事業と捉えられる。
農業開発計画の策定については、農業農地改革省により予備調査は完了しているが、今後、先行
しているダム計画と整合のとれた農業開発計画とするために、
60M/M程度のF/Sの実施が望まれ
る。同F/Sでは、潅減施設コンポ-ネン卜のほかに、農村施設,農業施設の調査も行う必要がある。
新規ダムは、
2003年の完工を目指して進捗していることから、ダム完成時には潅漉施設も同時に
完工するような、実施スケジュールが望まれるo
-
10
-
添付資料1
調査の日程
年月日曜日
H.4.12.4土
毛受享政・千葉信一
成田発12:50-パリ着17:35(AF275便)
5日
パリ発18:55-カサブランカ着21:00(AF8756便)
6月
カサブランカ-ラバト移動,JICA表敬
7火
大使館表敬,公共事業省表敬・情報収集
8水
農業省表敬・打合せ,ラバト-メクネス移動
9木
メクネス-ミデルト移動,ERM表敬,アンセミ地区現地調査
lo金
アンセミ地区現地調査,ミデルト-フェズ移動
11土
フェズ-ラバト移動
12日
資料整理
13月
大使館,JICA報告
14火
公共事業省・情報確認,農業省・情報確認
15水
ラバト発10:15-パリ着14:00(AT780便)
16木
パリ発20:10-
17金
-成田着15:55(JL406便)成田発18:45一名古屋着20:00(JLO53便)
添付資料2
収集資料リスト
1)アンセグミール川流域地形図(1/100000)
2)モロッコ国地形図インデックス
3) (「アンセグミール地区調査計画報告書+)
4) (「農業省
事業計画概要(1993-2000)+)
5) (「公共事業省
事業計画概要+)
添付資料3
面会者リスト
<日本国側>
日本国在モロッコ大使館
国際協力事業団モロッコ事務所
一等書記官
迫
久展
二等理事官
足立建一
所長
恵原裕樹
副参事
伊蔑英全
<モロッコ国側>
Ministere
I'Agriculture
de
de
la
ReforⅡle
Agaire
Directeur
de
la
Division
des
Etudes
de
Projets
X. Lahcerl
lngenieur
de
la
Division
des
Etvdes
de
Projets
肋】e.Malika
lngenieur
Implementation
Chef
∬iTlistere
et
d'agence
de
des Travaux
Directeur
Chef
de
Division
Zagh1oul
Zehri
札止ohamFled Bakache
A.姐ohammed
I'equipementrural比idelt
Taibi
Publics
de
la
Service
Division
des
Lacs
Colliuaires
M. Jamal
Divisoin
des Lacs
Co11iuaires
虹tlamid Nassoh
Hahfoud
Directeur
de
la Division
des
grarlds Barrages
M.
Hergaou i
Ingenieur
de
la Divisoin
des
grands
Barrages
M.
虻ohammadi
添付資料4
現地写真集
アンセミ)]J流域農業開発計画
(1)国道(P.21)よりアンセミ川
下流を臨む(地区末端)
-一書二
二ゝl/I-.
--.
rrr
-
I_
チ†′-I
ll
ヽ
 ̄「甲 ̄■ ̄ ̄ ̄-
 ̄
--ー甲F亡・=・T・-
I⊥ ̄=
- _^=■一■■申
(2)アンセミ川流域の農地状況
(地区中間のリンゴ畑)
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(3)アンセミ)l儀域の農地状況
(地区上流)
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アンセミ川沈域農業開発計画
(4)計画地区の可能耕地状況
その1
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(5)計画地区の可能新地状況
その2
(6)計画地区における一部
パイロット的に行った
開発耕地
(リンゴ畑として利用)
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アンセミ川流域農業開発計画
(7)AitBen
Yacbou頭首工
一部クラック等の老朽化が
みられる
また橋梁の替わり頭首工
下流エプロン部が道路とし
て使用されている
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(8)同取水口
土砂堆墳,コンクリートの
老朽イヒがみられる
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(9)取水工下流の水路(CANNAL)
降雨後の土砂流人により
部分的に水魔が埋もれて
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アンセミ川流域農業開発計画
(10)計画地区内の水路橋及び
分水工
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(ll)老朽イヒのため部分的な
漏水もみられる
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(12)ライジングされた
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土水路(SEGUIJ・l)
アンセミ川流域農業開発計画
(13)末端部の未整備土水路
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(14)同取水口部
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(15)井戸水を汲み上げて点滴
権概を行っているリンゴ畑
アンセミ川流域農業開発計画
(16)計画ダムサイトを下流側
から臨む
右岸側の灰白色の掘削ズリ
は、排坑調査部跡
夕さム規模は
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・提
高
・捉体破
80m
330,000m3
・貯水量1OO.000,000rd
(17)ダム下流の河川
通常
・雨期10月-3月
5月-g月に
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1回30mm程度
・年間
200-250m皿降雨量
調査時期は例年よりもやや
降雨量が多い
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(1B)ダムサイトの地質状況
層理面が顕著な粘板岩
部分的に千枚岩状の所も
介在する
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(1g)ダム地点全景
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(20二)ダム直下流の気象観測所
公共事業省では1979年から気象観測所を設置し、
常時1名の公務員を置いて、
降雨量,河川水位等の気象観測を行っている。
公共事業省の当ダム建設に対する意欲がうかがわれた。
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(21)計画潅概地域(上流部全景)
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