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大隅地域スポーツ合宿の拠点施設 整備基本計画

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大隅地域スポーツ合宿の拠点施設 整備基本計画
大隅地域スポーツ合宿の拠点施設
整備基本計画
平成26年12月
目次
はじめに
1
第1章 基本計画策定の背景
1 スポーツ合宿の現状について
2 大隅地域について
2
2
第2章 スポーツ合宿拠点施設の整備
1 拠点施設整備の必要性
2 拠点施設整備予定地
4
4
第3章 施設整備の基本的な考え方
1 基本方針
2 施設の基本的な考え方
10
10
第4章 拠点施設の概要
1 施設の概要
2 施設の配置
12
19
第5章 施設の運営のあり方
1 施設運営のあり方
2 合宿の受入体制
3 地域の連携
21
21
21
第6章
22
施設の設計・整備に当たっての留意事項
<参考>
1 大隅地域スポーツ合宿の拠点施設整備基本計画の検討経過
2 大隅地域スポーツ合宿の拠点施設基本構想整備専門家委員会名簿
23
23
はじめに
本県においては,スポーツ観光王国かごしまを一層推進するとともに,九州新幹線全
線開業効果を大隅半島に波及させるため,平成26年度末に閉校予定の県立有明高校敷
地に,大隅地域スポーツ合宿の拠点となる施設(以下,「拠点施設」という。)を整備
することとしています。
平成25年度には,拠点施設の整備に関して,その基本的な考え方や求められる機能,
望まれる施設等について専門家の立場から検討するため,学識経験者,競技関係者等を
委員として構成する「大隅地域スポーツ合宿の拠点施設整備基本構想専門家委員会」を
設置し,平成25年8月以降,3回にわたり幅広く議論していただき,平成26年3月
には同委員会から「大隅地域スポーツ合宿の拠点施設整備について」の提言書が提出さ
れました。
この提言書を踏まえ,競技関係者等の御意見も伺いながら,今後の施設整備や運営に
ついての基本的な考え方などについて検討を進め,このたび,「大隅地域スポーツ合宿
の拠点施設整備基本計画」(以下,「基本計画」という。)として取りまとめました。
この施設は,本県,とりわけ大隅のスポーツ合宿の拠点となり,交流人口の増加に伴う
地域活性化などが図られるよう,今後,この基本計画を基に,整備に向けて,着実に取
り組むとともに,施設運営や活用については,地元自治体や関係団体と連携してまいり
ます。
終わりに,この基本計画の策定にあたり,御尽力いただきました大隅地域スポーツ合
宿の拠点施設整備基本構想専門家委員会の委員の皆様をはじめ,貴重な御意見・御提言
をいただきました多くの方々に対し,深く感謝を申し上げます。
平成26年12月
鹿児島県知事 伊藤祐一郎
- 1 -
第1章
1
基本計画策定の背景
スポーツ合宿の現状について
本県は,これまで,観光振興を県政の重要な柱の一つとして位置づけ,様々な施策
に取り組んできている。
近年では,「観光立国かごしま」の実現に向け,県,市町村,県民,観光関係事業
者等の共生と協働により,観光立県の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進す
るため,それぞれの役割や施策の基本となる事項を定めた「観光立県かごしま県民条
例」を定めるとともに,同条例や,中長期的観点から本県のあるべき姿や進むべき方
向性を示した「かごしま将来ビジョン」を踏まえた,「鹿児島県観光振興基本方針」
(以下,「基本方針」という。)を定めた。
現在,同基本方針に基づき,「観光立県かごしま」の実現に向けた施策を展開して
いるが,同基本方針において,「国内外からの誘客促進」を図る施策として,「スポ
ーツキャンプ等の誘致」を掲げている。
スポーツ合宿等の誘致について,県は,これまでも,観光課内に総合窓口機能を設
置するとともに,地域レベルでも連絡会を設置し,関係団体,市町村との連携のもと
プロや大学等のキャンプ・合宿誘致に取り組んできており,その結果,毎年順調に参
加者は伸び,平成25年度には,延べ人数で約13万1千人と過去最高を更新した。
また,国においても,平成23年6月に策定した「スポーツツーリズム推進基本方
針」において,「スポーツを活用した観光まちづくり」を提唱しており,その手段の
一つとして,各自治体においても,スポーツ合宿の誘致に力を入れている。
スポーツ観光は,交流人口の拡大が図られるとともに,地域の魅力を高め,本県の
観光振興に寄与するものであり,今後とも,市町村や関係団体等と一層の連携を図り
ながら,スポーツイベントやスポーツ合宿の誘致活動に取り組む必要がある。
2
大隅地域について
(1)大隅地域の現状について
大隅地域は,温暖な気候と海や山の豊かな自然環境,佐多岬などの景勝地を有する
ほか,山上陵,古墳群など歴史的史跡や鹿屋体育大学,宇宙空間観測所などの人文資
源,豊かな食資源など魅力的な多くの観光資源に恵まれているが,その多くが活用し
きれていないため,今後,これらの活用を図りながら,多様で個性的な魅力ある観光
地づくりが必要となっている。
また,平成23年3月に全線開業した九州新幹線により,国内外からの観光客の増
加などの好影響が見られたが,大隅地域など県内全域への全線開業効果が比較的少な
いところもあることから,九州新幹線の全線開業効果を大隅半島に波及させるために
- 2 -
も,交流人口の増加を図る仕掛けが必要となっている。
(2)大隅地域におけるスポーツ合宿について
大隅半島におけるスポーツ合宿の受入数は,「フェリーさんふらわあ」の活用や市
町,観光団体との連携等によるスポーツキャンプ誘致の積極的な取組により,県全体
の3割程度を占めるなど,県内において,最も多い地域となっている。
合宿を受け入れている競技種目については,鹿屋市では野球,志布志市ではサッカ
ー,南大隅町では自転車競技などといった特徴を持った取組を行っており,特にサッ
カー,野球の2競技で大隅地域全体の約4割を占めている。
一方で,県全体の受入数において約1割を占めている陸上競技の合宿が少ない。こ
れは,公益財団法人日本陸上競技連盟(以下,「日本陸連」という。)公認の競技場
など,陸上競技の合宿に適したレベルの設備や陸上競技のトレーニングを想定した設
備等が不足していることも要因の一つと考えられる。
(参考)鹿児島県のスポーツキャンプ・合宿の受入れ状況
対前年度比
平成25年度 平成24年度
備
考
増減数
増減率
県 団体数
1,169
1,023
146
14.3% 過去最高
28,177
131,404
469
10,403
36,173
全 参加人数(人)
体 延べ人数(人)
大 団体数
参加人数(人)
隅 延べ人数(人)
25,659
121,905
441
9,941
36,567
2,518
9,499
28
462
△394
9.8%
7.8%
6.3%
4.6%
△1.1%
過去最高
過去最高
過去最高
過去最高
出典:鹿児島県スポーツキャンプ合宿状況調査(鹿児島県観光課調べ)
団体数・延べ人数の年次別推移(大隅地域)
40,000
36,567 36,173 500
35,000
30,000
30,609
20,000
15,737
15,000
6,612
5,000
0
469
21,571 23,021 371
25,000
10,000
441
49
H16
9,137
10,441 11,480
86
91
106
H17
H18
H19
400
300
278
200
225
100
144
0
H20
H21
- 3 -
H22
H23
H24
H25
団体数(団体)
延べ人数(人)
延べ人数
団体数
第2章
1
スポーツ合宿拠点施設の整備
拠点施設整備の必要性
本県及び大隅地域の現状を踏まえ,大隅地域の交流人口の拡大を図る仕掛けの一つ
として,スポーツ合宿の更なる誘致に取り組むことも必要であると考えられる。
先に述べたように,大隅地域では,鹿屋市では野球,志布志市ではサッカー,南大
隅町では自転車競技など各市町で盛んな競技があり,それぞれ県外チームを招いた大
会の開催や,新たな施設整備・改修などを行っている。
しかしながら,陸上競技に焦点を当てた場合,大隅地域における日本陸連の第3種
公認陸上競技場(加盟団体の選手権大会等を開催可能)は,鹿屋体育大学内にあるの
みである。ただし,同競技場は大学の施設であり,当然のことながら,大学の講義な
どが優先される状況にあり,陸上競技のスポーツ合宿に適したレベルの施設が大隅地
域内に不足している。
このように,大隅地域は,スポーツ合宿の誘致に積極的に取り組んでいるものの,
合宿競技種目の偏りや一定のレベルを満たした施設の不足等が見られるところである。
一方で,体育の専科大学である鹿屋体育大学との連携を図ることで,より効果的な
合宿の実施も期待できるという強みも有している。
また,本県の陸上競技におけるスポーツ合宿は,県全体の約1割を占めるが,その
多くは大島地域(奄美市,天城町)や鹿児島地域(日置市)において,ロードコース
等を活用した長距離を対象とした合宿が多く行われている。
これに加え,今後,主に短距離,跳躍,投てきも対象とした陸上競技の合宿の誘致
に取り組むことで,県全体としても新たなスポーツ合宿の受入につながることが期待
できる。
さらに,スポーツ合宿誘致の施設は,全国的に見ても,競技大会の開催を見込んだ
競技場を活用している例が多く,陸上競技においても,長距離走を対象としたロード
コースの設定等が多いなど,トレーニングに特化して一体的に施設を整備している例
は少ない。
これらを踏まえ,主に陸上競技のトレーニングに特化したスポーツ合宿拠点施設を
大隅地域に整備することとする。
2
拠点施設整備予定地
次のような理由から,スポーツ合宿の拠点施設を現有明高校敷地に整備する。
○
気候
温暖で日照時間が長く,風が穏やかであること。
- 4 -
○
交通アクセス
鹿児島空港を利用した航空路の外,関西圏からは「フェリーさんふらわあ」が
あるなど,交通アクセスの幅が広がっていること。
○ 土地の確保
陸上競技場などの合宿拠点施設の整備には,一定のまとまった土地の確保が必
要であるが,整備予定地の現有明高校は,平成26年度に閉校予定であり,活用
が可能であること。
○ 地元の動き
平成23年度に取りまとめられた「大隅地域の公立高校の在り方検討委員会」
の答申において,有明高校を廃止した場合の跡地の活用方法として,「広域交流
の拠点となる施設などの配置を図り,地域振興に努めること」とされていること。
また,県としても,大隅地域にスポーツ合宿の拠点となる施設を整備する方針
であり,地元の大崎町からも,有明高校跡地におけるスポーツ合宿拠点施設の整
備に関する要望がなされているなど,地元の要望もあること。
<整備予定地の位置・交通アクセス等の現状>
拠点施設整備予定地となる県立有明高校敷地は,大隅半島の東側に位置し,大隅半島を横断する
国道220号沿いに立地している。また,国道220号線を挟んで「くにの松原」があり,太平洋
に面した砂浜が広がっている。
近隣は,閑静な住宅地であり,合宿に集中できる環境にある。
気候は,1年を通じて温暖であり,風速も穏やかで,かつ,梅雨時期である6月を除けば,日照
時間も長くなっている。
※気象データについては,整備予定地に最も近い志布志観測所での観測データを使用
- 5 -
周辺の施設は,鹿屋体育大学まで車で40分程度,また,温泉施設についても,1.5km
程度の距離にある。
宿泊施設は,車で20分圏内に10程度の施設があり,計600名程度の収容が可能となっ
ている。交通アクセスは,関東圏からは空路で羽田空港から3時間程度,関西圏からは空路で伊
丹空港から2時間30分程度,新幹線利用で5時間15分程度になっている(乗継時間等は除
く)。また,関西圏からは,大阪と鹿児島(志布志)を結ぶ「フェリーさんふらわあ」を活用す
ることもできる。
(参考)県外から鹿児島県までの所要時間
移 動 手 段
航空機利用
(鹿児島空港まで)
鉄道利用
(鹿児島中央駅まで)
船利用
(志布志港まで)
出 発 地
東京(羽田)
東京(成田)
名古屋
大阪(伊丹・関西)
福岡
新大阪
広島
博多
東京(有明)
大阪(南港)
所 要 時 間
約1時間45分
約2時間 5分
約1時間20分
約1時間10分
約
45分
最速3時間44分
最速2時間21分
最速1時間17分
約28時間40分
約15時間
(参考)県内の交通拠点から有明高校までの所要時間
出
発
地
鹿児島空港から
所
要
時
間
自家用車利用:約 80分(高速道路を利用)
約 90分(高速道路の利用なし)
鹿児島中央駅から
自家用車利用:約 90分(高速道路を利用)
約120分(高速道路の利用なし)
志布志港から
自家用車利用:約 15分
※ 拠点施設整備予定地周辺には,高速道路のICの整備が予定されている。
(野方IC:平成26年12月21日開通,大崎IC(仮称):未定)
- 6 -
<<位置図>>
- 7 -
<<県立有明高校
周辺位置図>>
- 8 -
※
整備予定地の概要
県立有明高校として活用されている約94,000㎡の敷地内に,学校施設(校
舎,各実習棟,体育館,武道場,グラウンドなど)が点在している。
建物の多くは昭和30~40年代に建設されたものだが,一部には,近年改築・
改修された新しい施設(本館,体育館,武道場)もある。
○所在地:鹿児島県曽於郡大崎町菱田1441
施 設
本 館
体育館
武道場
改築・改修年
平成13年改築
平成4年改修
平成17年改修
<<県立有明高校
耐震基準
基準クリア
平成24年耐震補強済
基準クリア
鳥瞰図>>
- 9 -
第3章
1
施設整備の基本的な考え方
基本方針
スポーツ合宿による大隅地域の振興を図るため,有明高校敷地にスポーツ合宿の拠
点となるトレーニング施設を整備することとし,基本方針は次のとおりとする。
○ 陸上競技場を中心としたグレードの高いトレーニングの拠点施設とする。
○ 対象競技種目については,陸上競技を主なターゲットとする。
○ 施設レベルについては,一流アスリートのニーズにも対応可能なトレーニング施
設とする。
○ 類似する既存施設と比較して,魅力のある特徴的な施設を整備する。
○ 交流人口の増加等に伴う地域活性化や,本県スポーツ界の競技力向上にも寄与で
きる施設を目指す。
2
施設の基本的な考え方
基本方針に従い施設を整備するが,施設の利用等についての基本的な考え方につい
ては,次のとおりとする。
また,施設の年間を通した有効活用についても考慮することとする。
(1)利用者像・利用形態
○
主に県内外の陸上競技者(競技団体)を中心とした合宿練習での利用を基本と
する。
○ 一流アスリート及び社会人を受入可能なレベルの施設を目指す。
○ 各種育成事業等を通じ,ジュニア世代の選手発掘,競技力向上等を図る。
○ 施設の有効活用の観点から,学生のスポーツ合宿の受入,地元や子供が一流選
手と交流できる機会の創出,障害者アスリートへの対応などにも配慮する。
(2)施設の整備・運営について
○
○
陸上競技場など,スポーツ合宿に必要となる基本的な施設・設備を整備する。
地理的条件及び知名度等で他地域よりも不利な状況にあるため,空調設備を備
えた室内直走路や専用の投てき練習場など,類似する既存施設と比較して魅力の
ある特徴的な施設を整備する。
○ 同じ大隅地域内にある鹿屋体育大学との連携や,大隅地域の既存施設との連携
を図り,互いの施設の有効活用に努める。
○ 施設利用者のニーズを踏まえた施設の運営を行う。
- 10 -
○
トレーニングと同様にスポーツ合宿の重要な要素である宿泊・食事・送迎など
の各種サービスの提供について,施設利用者の満足度を高め,繰り返し利用して
もらうため,民間をはじめ地域全体で利用者を受け入れ,サポートする協力体制
を構築する。
- 11 -
第4章
1
拠点施設の概要
施設の概要
基本方針,施設の基本的な考え方などを踏まえ,以下に掲げる施設を整備する。
なお,既存施設のうち,比較的新しく,耐震基準も満たしている本館,体育館,武
道場については,それぞれ必要な改修を加えた上で,引き続き,活用することとする。
(1)基本となる施設
陸上競技のトレーニングに必要で,かつ効果的なトレーニングにも有効と考えられ
る施設
ア
陸上競技場
○ メインターゲットである陸上競技のトラック競技,フィールド競技に対応す
る施設として,日本陸連の第3種公認基準を満たすグレードの陸上競技場を整
備する。
(主な仕様)
・ トラック:一周400m×8レーンの全天候舗装
※ 直走路(ホームストレート及びバックストレートの両方)は,逆走対応
が可能な仕様
・ インフィールドは,天然芝
・ 観客席は,芝生席等で対応
・ 夜間使用も想定した照明設備
- 12 -
<陸上競技場イメージ図>
- 13 -
イ 多目的グラウンド
○ 大規模な団体又は複数の競技団体によるトレーニングへの対応などのため,
多目的に活用できるグラウンドを整備する。
(主な仕様)
・ 天然芝の多目的グラウンド
・ 一周400m×3~4レーン程度の広さを持つグラウンド(サブトラッ
ク)及び傾斜走路として活用できるグラウンド
ウ 投てき練習場(専用)
○ 安全に投てきのトレーニングができるスペース・設備を確保するため,専用
の投てき練習場を整備する。
(主な仕様)
・ 土を基本としたグラウンド
・ 施設規模は,145m×75m
・ 複数の種目,選手が同時に練習できる配置
<投てき練習場イメージ図>
- 14 -
エ
室内直走路
○ 気候や天候の影響を受けずに,また,陸上競技の国際カレンダーにも対応し
た,安全で質の高いトレーニングを実施するため,室内直走路を整備する。
(主な仕様)
・ 気候に関係なく,年間を通して質の高いトレーニングを実施するための空
調設備(夏場の熱中症や冬場の故障の防止につながる)
・ 100m走や110mハードル走などにも対応可能な全長150m×6レ
ーンの全天候舗装を施した直走路
・ 走り幅跳びや三段跳び,棒高跳びのための助走路や砂場
・ 棒高跳びや走り高跳びにも対応可能な空間(高さ8m程度)を備えた拡張
スペース
※ 映像の即時フィードバックが可能な映像遅延装置や,走速度の即時フィー
ドバックが可能な光電管などのトレーニングをサポートするための設備整備
も検討
<室内直走路イメージ図>
(施設外観)
(施設内部)
- 15 -
オ
傾斜走路(屋外)
○ 傾斜を利用した身体能力の強化やトップスピードの向上のため,全天候舗装
及び天然芝の傾斜走路を整備する。
(主な仕様)
・ 全天候舗装の傾斜走路は,40m程度の下り坂走専用として異なる傾斜角
の斜路を3レーン程度(傾斜走路を走り終えた後に引き続き直走路を利用し
たトレーニングを行えるよう陸上競技場のバックストレートと接続)
・ 天然芝の傾斜走路は,多目的グラウンドに,上り坂・下り坂に活用できる
芝生の緩やかな長い距離(190m程度)の斜面(芝生の傾斜走路は,周回
走路のコースとしても活用可能)
<傾斜走路(全天候舗装)イメージ図>
【傾斜走路側】
【競技場側】
- 16 -
カ
砂場走路(屋外)
○ 体幹部を含めた下半身の筋力強化や全身のコーディネーション(上手な身体
の使い方)能力向上のためのトレーニング,故障者のためのリハビリテーショ
ン等への対応のため,砂場を利用した直走路を整備する。
(主な仕様)
・ 走路は,全長100m,幅4m,深さ0.5m程度
(2)附帯的な施設
トレーニング等において活用される附帯的な施設及び設備
ア 管理棟
○ 必要となる諸附帯施設については,既存の校舎(本館)を管理棟として改修
することで対応
(主な施設)
・ 附帯施設として,管理事務所,トレーナールーム,救護室,更衣室,シャ
ワー室・浴室,トイレ,控室,休憩室,会議室,視聴覚室など
イ
体育館
○ 現在の高校の体育館は,比較的新しく,また耐震補強も施されていることか
ら,体育館として引き続き活用する。
○ ウォーミングアップやコーディネーション能力向上のためのトレーニング
(バスケットボール等)や雨天時の補強運動などを行えるスペースとする。
ウ トレーニングルーム
○ 陸上競技をはじめとする各競技種目のトレーニングのため,ウェイトトレー
ニングを行えるスペース及び必要な機器を確保する。
(主な仕様)
・ スペースは,既存施設(武道場)を改修することで対応
・ 機器は,フリーウェイト等を中心(高負荷への対応も考慮)
・ 機器の配置に当たっては,より効果的な筋力トレーニングのため,ウェイ
トトレーニング後の動作確認等を行うスペースを確保
エ
周回走路
○ 拠点施設の敷地内にある管理道路の一部(幅2m程度)を,トラック以外で
のトレーニングや調整のための周回走路としても活用できるよう整備する。
- 17 -
オ
休憩・日除け施設
○ トレーニングの合間における休憩や夏季利用時における熱中症対策として,
陸上競技場と投てき練習場などに休憩・日除け施設(四阿等)を整備する。
○ 併せて,拠点施設敷地内には,植栽を利用した日除けを整備する。
カ 駐車場
○ 想定される施設利用者数に対応できる駐車場数を確保する。
(3)拠点施設と連携が必要な施設等
拠点施設と連携することにより,本拠点施設の有効活用が期待される施設
ア
科学的サポートのための鹿屋体育大学との連携
○ 整備予定地から約30km(車で40分程度)の距離に,日本で唯一の国立
の体育単科大学である鹿屋体育大学があることから,拠点施設を利用する競技
者に対して,科学的なサポートを提供できるよう,同大学との連携を図る。
○ 具体的な科学的サポートの内容については,競技関係者のニーズや同大学の
設備・体制等を考慮し,今後,同大学との協議・調整を踏まえて検討する。
イ
ロードコース等
○ 長距離走のトレーニングは,スピード強化を図るためにトラック等で行うも
のと,持久力向上を図るためにロード等で行うもの(走り込み)がある。
本施設では,陸上競技場のトラックや多目的グラウンド等を活用したスピー
ド練習は可能であるが,持久力向上(走り込み)に対応したロードコースの設
定等については,今後,関係者(大崎町,警察等)と協議・調整を行うことと
する。
ウ
その他
その他,以下の施設について,近隣施設との連携を考慮する。
○ 故障者のトレーニング等に活用されるプール
○ リラクゼーションや体力回復などのために要望の多い温泉施設等
- 18 -
2
施設の配置
敷地を有効に活用するとともに,施設利用者の利便性・動線等を考慮し,想定され
る施設を,以下の考え方に基づき配置する。
(1)施設配置の考え方
○
拠点施設におけるトレーニングの中心となる陸上競技場については,日差しと
の関係からその長辺を南北にすることが原則であり,併せて予定地の風向きを考
慮する。
○ トレーニングを行う際の動線を考慮し,陸上競技場を中心に,多目的グラウン
ド,室内直走路,傾斜走路,砂場走路などの各施設を,隣接して配置する。
○ 投てき練習場は,利用者の安全等を確保する観点から,中心となる施設群から
離して配置する。
○ 各施設については,既存施設との位置関係や周回走路の設置も考慮して配置す
る。
○ 駐車場については,施設利用者の動線等を考慮し,各施設近辺に複数箇所整備
する。
- 19 -
(2)施設配置計画図
これらの施設配置の考え方を踏まえた施設配置計画図については,以下のとおり。
- 20 -
第5章
施設の運営のあり方
施設の管理運営に当たっては,次のような管理運営を目指すこととし,具体の管理
運営方式・受入体制等については,類似施設を参考に,今後検討することとする。
1
施設運営のあり方
拠点施設の稼働率を高め,多くの競技者に利用される施設として存続していくため,
競技者のニーズに配慮しながら管理運営を行う。
拠点施設の運営に当たっては,単に施設・設備を提供するだけでなく,鹿屋体育大
学との連携によるトレーニング等に関して専門的なサポートを行える体制や,スポー
ツ教室の開催などの様々なソフト事業の実施についても検討する。
2
合宿の受入体制
スポーツ合宿を推進するためには,良質なトレーニング環境の提供とあわせて,施
設利用者のニーズに対応した宿泊や食事等のサービス提供が重要な要素となる。
今後,トップアスリートや学生などのニーズに応じた宿泊の受入体制をはじめ,ア
スリート向け食事メニューの開発や昼食のケータリング等の検討,空港等の交通拠点
や宿泊施設からの送迎などを含むサービス提供のあり方について,民間事業者・関係
団体等を交えて,十分な検討と調整を行う。
3
地域の連携
施設利用者の利便性を向上させるため,拠点施設が所在する地域だけではなく,大
隅地域全体で競技者をサポートできる体制を構築する。
科学的かつ専門的なサービスの提供については,鹿屋体育大学等との連携について,
具体的に調整を図る。
また,各市町や官民の枠を超えた連携のあり方(例:施設利用など各種申請の一元
化・調整など)について,関係者間で協議・調整を図る。
- 21 -
第6章
施設の設計・整備に当たっての留意事項
施設の設計・整備に当たっては,今後,次の点に留意し,検討を進めることとする。
○
維持管理費用の軽減
拠点施設が安定的に運営され,持続していくため,拠点施設の設計や維持管理手
法の検討に際しては,維持管理費用の軽減について配慮する。
○
自然エネルギー等の活用
施設の維持管理費の抑制及び環境への配慮の観点から,太陽光発電などの自然エ
ネルギー等の活用についても検討する。
- 22 -
<参考>
1 大隅地域スポーツ合宿の拠点施設整備基本計画の検討経過
年 月
内
容
平成25年
第1回大隅地域スポーツ合宿の拠点施設整備基本構想専門家委員会
8月26日
・現地視察
・基本構想の背景,整備予定地域の現況について
・拠点施設の整備について(意見交換)
平成26年
第2回大隅地域スポーツ合宿の拠点施設整備基本構想専門家委員会
2月5日
・拠点施設について(基本的な考え方,施設の概要,運営のあり方など)
3月12日 第3回大隅地域スポーツ合宿の拠点施設整備基本構想専門家委員会
・提言書(案)の取りまとめ
3月19日 大隅地域スポーツ合宿の拠点施設整備基本構想専門家委員会から知
事へ提言書を提出
9月~
大隅地域スポーツ合宿の拠点施設整備基本計画(案)の公表
(県議会総務委員会において説明)
12月
大隅地域スポーツ合宿の拠点施設整備基本計画の決定
2 大隅地域スポーツ合宿の拠点施設整備基本構想専門家委員会委員名簿
氏
名
役
職
名
川西
正志
国立大学法人
鹿屋体育大学副学長・教授
髙城
国昭
公益財団法人
鹿児島県体育協会専務理事
今野
由夫
独立行政法人 日本スポーツ振興センター
国立スポーツ科学センター・ナショナルトレーニングセンター運営部長
間野
義之
早稲田大学スポーツ科学学術院教授
原田
康弘
日本陸上競技連盟強化委員長
窪田
久美
新開
浩一
鹿児島県スポーツ推進審議会委員
元陸上選手(京セラ)
鹿児島陸上競技協会強化委員長
鹿児島県立鹿児島南高等学校教諭
奈良迫 英光
鹿児島県観光プロデューサー
東
靖弘
大崎町長
中山
清美
鹿児島県知事公室次長
※
役職は,当時のもの
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