Comments
Description
Transcript
創 薬 - じほう
創薬 NEWS Selection 2016 年 vol. 28 11.16-11.30 PICKUP NEWS 8 週投与のC肝薬、アッヴィが近く申請へ 日本は来年初頭 ギリアド2 製品より短く C 型肝炎に対する新規 IFN フリー薬として、アッヴィが開発を進めている NS5A 阻害剤ピブレンタスビルと NS3/4A プロテアーゼ阻害剤グレカプレビルの 2 剤併 用療法の承認申請が近づいてきた。既存薬よりも短い 8 週投与で高い効果を示す可 能性があることが最大の特徴。日本では開発ターゲットである 1 ~ 6 型の全ての ジェノタイプのうち、1 ~ 2 型で 8 週投与を目指している。国内外ともに臨床第 3 相(P3)試験の段階にあり、米国では年内に、日欧では来年初頭に申請する方針。 ギリアド・サイエンシズの「ハーボニー」や「ソバルディ」の 12 週投与よりも短い 8 週投与製剤を投入することによって IFN フリー薬市場で巻き返しを狙う。 アッヴィは、1 型に対する IFN フリー薬 ら P3 試験をそれぞれ開始した。いずれも 1 として国内で昨年 11 月に「ヴィキラックス」 ~ 6 型の全ての C 型肝炎や代償性肝硬変を を発売。今年 9 月には 2 型の適応も追加し ターゲットに開発中。8 週投与で開発を進 た(投与期間は 1 型 12 週、2 型 16 週)。ただ めている適応は海外と日本では異なってお 1 型の市場ではハーボニーのシェアが、2 型 り、日本では 1 型や 2 型の C 型肝炎で、肝 の市場ではソバルディのシェアが圧倒的に 硬変がなく、DAA(直接作用型抗ウイル 高い。そうした状況の中、アッヴィが新規 ス薬)による治療歴がない患者で 8 週投与 IFN フリー薬として開発を進めているのが を目指している。 ピブレンタスビル / グレカプレビルだ。 最近公表された海外 P3 試験のデータで 両剤は、ヴィキラックスと同様、NS5A は、1 ~ 6 型の肝硬変がない未治療患者に 阻害剤と NS3/4A プロテアーゼ阻害剤の組 対する 8 週投与の SVR 率は 97.5%だった。 み合わせ(ヴィキラックスは抗ウイルス剤 既存の IFN フリー薬は 12 週投与が最短と リトナビルも配合)。臨床試験の段階にあ なっており、8 週投与で高い効果が得られ り未知の部分もあるが、ヴィキラックスを れば他社製品との競争で有利になるとみら 上回る「強い効果を期待している」 (同社)。 れる。 ヴィキラックスの課題である NS5A 耐性変 アッヴィは、IFN フリー薬の治療期間が 異がある患者での効果減弱についても「克 12 週から 8 週に短縮されることについて、 服を目指している」という。 リバビリンフリー DAA 治療不成功例にも 「C 型肝炎では高齢患者が一定程度を占め ており、アドヒアランスを考えると十分に 意義はあると思う。治療期間がさらに短く なれば、その分、副作用のリスクも少なく なる」と強調する。 海外では今年 1 月から、日本では 3 月か 2016.11.16~11.30 株式会社じほう 2 型については、8 週投与に加え、リバ 1 〒 101-8421 東京都千代田区猿楽町 1-5-15 猿楽町 SS ビル TEL 03-3233-6351 ビリンの併用を必要としない“リバビリン ついて、「臨床試験でわれわれが期待して フリー”といった特徴もある。2 型に対す いる通りの結果が出れば、ヴィキラックス る既存の IFN フリー薬はリバビリンとの 以上のプレゼンスを発揮できると思う」と 併用が必要となっており、この点も強みに 述べ、今後の開発や申請・承認取得に力を なるとみている。 注ぐ考えを示した。 さらにピブレンタスビル / グレカプレビ ルの開発ターゲットには、DAA 治療不成 競合他社も開発中 功例も含まれている。国内ではこちらは 1 ~ 6 型の全てが対象。投与期間は 8 週では 8 週 投 与 製 剤、2 型 で の リ バ ビ リ ン フ なく、12 週だが、現時点では同適応を持 リー、DAA 治療不成功例の適応について つ薬剤はなく、最初に承認されればこれも は競合他社も開発を進めている。8 週投与 差別化につながる可能性がある。米国では、 製剤については、海外ではギリアドが P3 1 型・DAA 治療不成功例に対する再治療の 試験を、MSD が P2 試験を実施しているが、 適応でブレークスルーセラピー指定を受け 両社ともに現時点では国内開発品目には含 ている。 まれていない。一方、2 型でのリバビリン 同社肝炎事業本部の水野義隆事業本部長 フリーや、DAA 治療不成功例の適応につ と小浜健二事業戦略部長は日刊薬業の取材 いては、アッヴィと同様、ギリアドも国内 で、ピブレンタスビル / グレカプレビルに で P3 試験の段階にある。 2 INDEX 2016 年 11.16-11.30 regulation R&D 未承認薬の開発要請でルール見直し 4 中外製薬、PI3KクラスI阻害剤を導出 13 抗HIV薬「プレジコビックス配合錠」を承認 4 オンコリス、腫瘍溶解ウイルスで中国企業と提携 14 4 ノーベルファーマ、産婦人科領域であすかと提携 14 5 独にデング熱ワクチン製造設備を建設 14 「キイトルーダ」、NSCLCの適応追加了承 新有効成分は3件、乾癬治療薬「オテズラ」など 3成分のオーファン指定了承、 アバスチンの適応拡大など 6 多発性硬化症治療薬「テクフィデラ」など了承 6 エルトロンボパグとヌシネルセンをオーファン指定 7 R&D 「レパーサ」、アテローム性動脈硬化を退縮 8 申請・承認 仏サノフィのSuliqua、CHMPが承認勧告 15 ヤンセン、抗HIV薬「プレジコビックス」の承認取得 15 ファイザー、乳がん薬「アイブランス」が欧州で承認 15 「ニンラーロ」、欧州で条件付き承認 15 サノフィ、 「プラルエント」の製造販売後臨床試験を開始 8 仏サノフィの「ソリクア」、米国で承認取得 16 ロモソズマブ、 骨粗鬆症男性対象の国際P3で有用性確認 8 参天製薬の「オプシリア」、来年初頭にもFDA申請 16 セレコキシブの心血管リスク、他のNSAIDと同等 オキシコドン乱用防止徐放錠を国内申請 16 ウレルマブと 「オプジーボ」併用、悪性黒色腫で抗腫瘍効果 9 「アクテムラ」、大型血管炎の適応追加申請 17 エーザイのBACE阻害剤、 米FDAがファストトラック指定 9 「レボレード」 など2剤、 再生不良性貧血の適応追加申請 17 「ステラーラ」のP3試験結果、NEJMに掲載 9 9 「オプジーボ」、欧州でホジキンリンパ腫の適応追加 17 米アッヴィの新規C肝薬、高SVR率を達成 10 シルクマブ、疾患活動性スコアが有意に改善 10 米アムジェン、新規片頭痛予防薬で好成績 10 C肝薬、耐性検査の必要性も選択ポイント 18 米メルクのC肝薬配合剤、解析結果を発表 11 エムプリシティ「多発性骨髄腫治療薬として有望」 18 塩野義、新規ボツリヌス毒素製剤を世界で開発へ 11 リアルワールドデータ重視の時代へ 19 米リリーのAD薬、軽度に絞ったP3試験を中止 12 LAL-D治療薬「カヌマ」、肝線維化を改善 12 レパーサのプラーク退縮「全病態で示した」 20 GSKの帯状疱疹ワクチン、接種間隔に柔軟性 13 新HIV治療薬は「従来の欠点を補完」 20 サリルマブ、ACRの評価基準を達成 13 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 臨床・学会 「イグザレルト」、PCI後心房細動患者で出血抑制 19 3 regulation regulation 11/17 R&D 申請・承認 臨床・学会 先端研究 未承認薬の開発要請でルール見直し 厚労省・検討会議 医療上の必要性が高い国内未承認薬・適応外薬の 現実的ではなく、 医療現場から要望のある未承認薬・ 開発を国が企業に要請する際に、国内における開発 適応外薬の開発に遅れが生じている可能性もあるた 権を持つ企業(国内開発権保有企業)と、海外で承 め、見直すことにした。 認を得ている企業の日本法人(承認取得企業)に対 このほか、既承認薬の投与経路違いを開発要請す して同時に開発要請を行うことになった。厚生労働 る場合に、国内で有効成分の承認を得ている企業に 省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検 も開発を打診することになった。例えば、貼付剤で 討会議」が 16 日、開発要請に関するルールの見直し 承認を得ている企業が同一の有効成分で点眼剤を開 を了承した。 発するのは容易でないと考えられるが、最初から難 これまでは、承認取得企業に対してまず開発を要 しいと決めつけず、今後は一度、開発の意向がある 請していたが、国内での開発権を別の企業に譲渡・ かを尋ねる。 売却している場合、承認取得企業に開発要請しても 11/22 抗 HIV 薬「プレジコビックス配合錠」を承認 厚労省 厚生労働省は 22日付で、ヤンセンファーマの抗 HIV 感染症治療薬「プレジコビックス配合錠」を承認 した。抗 HIV 薬のため、 迅速承認審査の対象になった。 今月 11 日の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で ■ 新医薬品として承認された医薬品について(2016.11.22) 販売名 申請者名 再審査 プレジコビックス配合錠 ヤンセンファーマ 2023 年 3 月 24 日まで 承認を了承済み。再審査期間は 2023 年 3 月 24 日まで。 「キイトルーダ」、NSCLC の適応追加了承 11/24 1 次治療にも使用可能 第二部会 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部 (ALK)融合遺伝子が陰性▽腫瘍組織で PD-L1 を発 会は 24 日、MSD の抗 PD-1 抗体「キイトルーダ」 (一 現した腫瘍細胞が 50%以上―の 3 つを条件にする。 般名=ペムブロリズマブ〈遺伝子組換え〉)につい 2 次治療では、腫瘍組織で PD-L1 を発現した腫瘍 て、 「PD-L1 陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞 細胞が 1%以上の場合に用いる。類薬のオプジーボ 肺がん(NSCLC)」の適応追加を了承した。進行・再 は PD-L1 の発現の有無にかかわらず使用できるた 発 NSCLC 患者に対する 1 次治療(化学療法歴のない め、この点も両剤に違いがある。 患者への使用)、2 次治療ともに使えるのが特徴で、 キイトルーダは年内にも承認されるとみられる。 2 次治療のみを適応とする小野薬品工業の類薬「オ 薬価収載時期は、通常の流れであれば来年 2 ~ 3 月 プジーボ」とは位置付けが異なる。 になる見込み。厚労省は、PD-L1 の発現を調べるた 1次治療での使用は、 ▽上皮増殖因子受容体(EGFR) めのコンパニオン診断薬についても臨床現場で同時 遺伝子変異が陰性▽未分化リンパ腫キナーゼ に使えるよう審査を進める方針。 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 4 regulation regulation 申請・承認 R&D 臨床・学会 先端研究 ■ 2016 年 11 月 24 日 医薬品第二部会審議品目・報告品目一覧 審議・ 報告 審議 審議 審議 審議 審議 審議 審議 報告 11/25 販売名 会社名 成分名 効能・効果等 備考 ― トレアキシン点滴 静注用 25mg 同点滴静注用 100mg シンバイオ製薬 ベンダムスチン塩酸塩 低悪性度 B 細胞性非ホジキンリンパ腫及 びマントル細胞リンパ腫を効能 ・ 効果と する新効能・新用量医薬品 アーウィナーゼ筋注用 10000 大原薬品工業 クリサンタスパーゼ 急性白血病(慢性白血病の急性転化例を 含む)、悪性リンパ腫 ただし、L- アスパ ラギナーゼ製剤に過敏症を示した場合に 限る。を効能・効果とする新有効成分含 有医薬品 ― キイトルーダ点滴静注 20mg 同点滴静注 100mg MSD ペムブロリズマブ ( 遺伝子組換え ) PD-L1 陽性の切除不能な進行・再発の非 小細胞肺癌を効能 ・ 効果とする新効能・ 新用量医薬品 ― リアメット配合錠 ノバルティス ファーマ アルテメテル / ルメファ マラリアを効能・効果とする新有効成分 ントリン 含有医薬品・新医療用配合剤 デシコビ配合錠 LT 同配合錠 HT 日本たばこ産業 エムトリシタビン / テノ HIV-1 感染症を効能・効果とする新医療 希少疾病 用医薬品 ホビル アラフェナミドフ 用配合剤 マル酸塩 オテズラ錠 10mg 同錠 20mg 同錠 30mg セルジーン アプレミラスト 局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関 節症性乾癬を効能・効果とする新有効成 分含有医薬品 イラリス皮下注用 150mg ノバルティス ファーマ カナキヌマブ ( 遺伝子組換え ) 希少疾病 既存治療で効果不十分な家族性地中海 熱、TNF 受容体関連周期性症候群高 IgD 用医薬品 症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)の 効能 ・ 効果を追加とする新効能・新用量 医薬品 ヴァクセムヒブ 水性懸濁注 武田薬品工業 沈降ヘモフィルス b 型ワ インフルエンザ菌 b 型による感染症の予 クチン ( 無毒性変異ジフ 防を効能・効果とする新用量医薬品 テリア毒素結合体 ) ― ― ― 新有効成分は 3 件、乾癬治療薬「オテズラ」など 第二部会 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部 た。国内の患者数が極めて少ないため、海外臨床試 会は 24 日、セルジーンの乾癬治療剤「オテズラ錠 験の成績や日本人の健常人が対象の薬物動態試験成 10mg」 「同 20mg」 「同 30mg」 (一般名=アプレミラス 績などに基づく承認申請となっている。 ト)など、新有効成分含有医薬品 3 件と新配合剤 1 日本たばこ産業の HIV-1 感染症治療用の新配合剤 件の製造販売承認を了承した。 「デシコビ配合錠 LT」 「同 HT」 (エムトリシタビン オテズラの効能・効果は「局所療法で効果不十分 〈FTC〉/ テノホビル アラフェナミド〈TAF〉フマ な尋常性乾癬」と「関節症性乾癬」を予定する。対象 ル酸塩)も了承。LT、HT ともに FTC の含有量は 患者数は想定で約 10 万人。 200mg だ が、TAF フ マ ル 酸 塩 は LT が 10mg、HT 新有効成分含有医薬品はこのほか、▽大原薬品工 は 25mg と 異 な る。 既 承 認 の「 ツ ル バ ダ 配 合 錠 」 業の「アーウィナーゼ筋注用 10000」 (クリサンタス (FTC/ テ ノ ホ ビ ル ジ ソ プ ロ キ シ ル フ マ ル 酸 塩 パーゼ)▽ノバルティス ファーマの「リアメット配 〈TDF〉)の TDF を TAF フマル酸塩に置き換えた配 合錠」 (アルテメテル / ルメファントリン)。アーウィ 合錠。希少疾病用医薬品に指定済みで、再審査期間 ナーゼは、L- アスパラギナーゼ製剤に対しアレル はエムトリシタビンを含む「ゲンボイヤ配合錠」の ギー反応などの過敏症を示した場合の「急性白血病 残余期間 2026 年 6 月 16 日まで。 (慢性白血病の急性転化例を含む)」 「悪性リンパ腫」 を効能・効果に予定。 「イラリス」など一変 2 件も了承 リアメットの効能・効果は「マラリア」で、国内の 年間発症数は約 50 例。熱帯病治療薬研究班の開発 同日の部会では、2 件の一部変更も了承。シンバ 要望を受けて、 「医療上の必要性の高い未承認薬・適 イオ製薬の「トレアキシン点滴静注用 25mg」 「同 応外薬検討会議」が医療上の必要性が高いと判断。 100mg」 (ベンダムスチン塩酸塩)は、 「低悪性度 B 細 今年 8 月 29 日付でノバルティスに対し開発要請し 胞性非ホジキンリンパ腫」と「マントル細胞リンパ 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 5 regulation regulation R&D 申請・承認 臨床・学会 先端研究 腫」の初回治療に適応拡大する。これまでは、 「再発 治療で効果不十分な家族性地中海熱」 「TNF 受容体 か難治性」限定だった。 関連周期性症候群」 「高 IgD 症候群(メバロン酸キ ノバルティスの「イラリス皮下注用 150mg」 (カナ ナーゼ欠損症)」の 3 つを加える。 キヌマブ〈遺伝子組換え〉)は、効能・効果に「既存 11/25 3 成分のオーファン指定了承、アバスチンの適応拡大など 第二部会 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部 と、CSL ベーリングの「ベリナート P 静注用 500」 (乾 会は 24 日、中外製薬の抗がん剤「アバスチン」 (一般 燥濃縮人 C1- インアクチベーター)の効能追加につ 名=ベバシズマブ〈遺伝子組換え〉)の適応拡大な いて、公知申請が可能と判断した。未承認薬・適応 ど、計 3 成分の希少疾病用医薬品指定を了承した。 外薬検討会議が今月 16 日の会合で公知申請の妥当 3 成分のうち、アバスチンに追加予定の効能・効 性を認めていた。いずれも同日付で医療保険制度上 果は「悪性胸膜中皮腫」。2014 年度の推定患者総数 の取り扱いが可能になる。 は約 2000 人。 タミフルは、1 歳未満の新生児や乳児に対する メルクセローノの avelumab の予定する効能・効 3mg/kg(ドライシロップ剤として 100mg/kg)を加 果は「メルケル細胞がん」。国内患者数は推定 75 人 える。ベリナートは、 「遺伝性血管性浮腫(HAE)の 程度で、皮膚悪性腫瘍総数の 0.5%。 急性発作と処置前の短期予防」の適応を追加する。 サノフィの spiramycin の予定する効能・効果は 「妊婦のトキソプラズマ症」。胎児への垂直感染の 「ヴァクセムヒブ」に筋肉内投与追加 予防や重症化予防として、「医療上の必要性の高い 未承認薬・適応外薬検討会議」が開発要請していた。 厚労省は同日の部会に、武田薬品工業のインフル 妊婦の初感染者数は推定で年間 1000 ~ 1 万人。 エンザ菌 b 型ワクチン「ヴァクセムヒブ」 (沈降ヘモ タミフルの用量追加など、公知申請可能 フィルス b 型ワクチン〈無毒性変異ジフテリア毒素 結合体〉)の用法・用量に筋肉内投与を追加すると報 告した。厚労省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 11/25 同日の部会では、中外製薬の「タミフルドライシ によると、皮下投与に比べ局所反応が出にくいこと ロップ 3%」 (オセルタミビルリン酸塩)の用量追加 などから、関連学会から要望があったという。 多発性硬化症治療薬「テクフィデラ」など了承 第一部会 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部 製薬の「リンゼス錠 0.25mg」 (リナクロチド)で効 会は 25 日、バイオジェン・ジャパンの多発性硬化症 能・効果は「便秘型過敏性腸症候群」。厚労省医薬・ (MS)治療薬「テ ク フ ィ デ ラ カ プ セ ル 120mg」 「同 生活衛生局医薬品審査管理課によると、便秘型に限 240mg」 (一般名=フマル酸ジメチル)など新有効成 定した過敏性腸症候群(IBS)治療薬の承認は国内 分含有医薬品 2 件の製造販売承認を了承した。 初。 同剤を使用する推定患者数は 2017 年で約 5 万人。 同剤の効能・効果は「多発性硬化症の再発予防と 再審査期間は 8 年。 身体的障害の進行抑制」で、希少疾病用医薬品に指 同日の部会では、2 件の効能追加も了承。塩野義 定済み。対象患者数は 1 万 9000 人程度。 製 薬 の「 サ イン バ ル タ カ プ セ ル 20mg」 「 同 30mg」 「便秘型」限定の IBS 治療薬が初承認 (デュロキセチン塩酸塩)は「変形性関節症に伴う疼 痛」を加える。同症状を有する患者は推定約 780 万人。 ファイザーの「セララ錠 25mg」 「同 50mg」 (エプ もう 1 件の新有効成分含有医薬品は、アステラス 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 レレノン)は、効能・効果に「慢性心不全でアンジオ 6 regulation regulation 申請・承認 R&D 臨床・学会 先端研究 テンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシン II 受容 経口投与を 24 日間継続した後 4 日間休薬する 28 日 体拮抗薬、β遮断薬、利尿薬などの基礎治療を受け 間を 1 周期とする用法・用量「28 日周期法」で承認を ている患者」を加える。 得ており、1 シートに実薬 24 錠と偽薬 4 錠の計 28 錠 バイエル薬品の「ヤーズフレックス配合錠」 (ドロ を包装。ヤーズフレックスは、月経困難症と「子宮 スピレノン / エチニルエストラジオール ベータデ 内膜症に伴う疼痛の改善」が効能・効果で、投薬 25 クス)も承認を了承。既承認薬「ヤーズ配合錠」と同 日目以降に 3 日間連続で出血(点状出血含む)が認め 成分で、1 錠当たりの有効成分含有量も同じだが、 られた場合か、連続投与が 120 日に達した場合に 4 最長で 120 日間連続投与できるようにした新製品。 日間休薬する「最大 124 日周期法」を用法とする。1 ヤーズ配合錠は「月経困難症」を効能・効果に持ち、 シート計 28 錠は全て実薬。 ■ 2016 年 11 月 25 日 医薬品第一部会審議品目・報告品目一覧 審議・ 報告 販売名 会社名 成分名 変形性関節症に伴う疼痛の効能・効果 を追加とする新効能医薬品 ― サインバルタカプセル 20mg 同カプセル 30mg 塩野義製薬 審議 テクフィデラカプセル 120mg 同カプセル 240mg バイオジェン・ジャパン フマル酸ジメチル 多発性硬化症の再発予防及び身体的障 希少疾病 害の進行抑制を効能・効果とする新有 用医薬品 効成分含有医薬品 リンゼス錠 0.25mg アステラス製薬 リナクロチド 便秘型過敏性腸症候群を効能・効果と ― する新有効成分含有医薬品 ヤーズフレックス配合錠 バイエル薬品 ドロスピレノン / エチニル 子宮内膜症に伴う疼痛の改善、月経困 ― エストラジオール ベータ 難症を効能・効果とする新効能・新用 量・剤形追加に係る医薬品 デクス セララ錠 25mg 同錠 50mg ファイザー エプレレノン 下記の状態で、アンジオテンシン変換 ― 酵素阻害薬又はアンジオテンシンⅡ受 容体拮抗薬、β遮断薬、利尿薬等の基 礎治療を受けている患者 慢性心不全 の効能・効果を追加とする新効能・新 用量医薬品 報告 リキスミア皮下注 300μg サノフィ リキシセナチド 2 型糖尿病を効能・効果とする新効能 ― 医薬品 報告 ヒューマログ注カート 同注ミリオペン 日本イーライリリー インスリン リスプロ ( 遺 伝子組換え ) インスリン療法が適応となる糖尿病を ― 効能・効果とする新用量医薬品 献血グロベニン-Ⅰ 静注用 500mg 同静注用 2500mg 同静注用 5000mg 日本製薬 ポリエチレングリコール処 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣 希少疾病 理人免疫グロブリン G 性運動ニューロパチーを含む)の運動 用医薬品 機能低下の進行抑制(筋力低下の改善 が認められた場合)の効能・効果を追 加とする新効能・新用量医薬品 審議 審議 報告 11/25 備考 審議 審議 デュロキセチン塩酸塩 効能・効果等 エルトロンボパグとヌシネルセンをオーファン指定 厚労省 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課は 生不良性貧血治療薬エルトロンボパグ オラミンと、 24 日付で、2 成分を希少疾病用医薬品に指定する課 バイオジェン・ジャパンの脊髄性筋萎縮症治療薬ヌ 長通知を出した(薬生薬審発 1124 第 6 号)。オーファ シネルセンナトリウム。 ン指定を受けたのは、ノバルティス ファーマの再 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 7 regulation R&D R&D 申請・承認 臨床・学会 先端研究 「レパーサ」、アテローム性動脈硬化を退縮 11/16 米アムジェン・P3 試験 米アムジェンは 16 日までに、PCSK9 阻害薬「レ (0.05%増)と比べ有意に減少。またレパーサ投与群 パーサ」について、欧米を中心に行われた、冠動脈 では、64.3%でプラークが退縮しており、プラセボ 疾患患者に対する最適用量のスタチン療法への上乗 投与群(47.3%)よりも有意に高率だった。 せ効果を調べた臨床第 3 相冠動脈血管内超音波造影 有害事象の発現率は 2 群間で差は見られなかっ 試験(GLAGOV 試験)で、有意なアテローム性動脈 た。臨床的に重要だった有害事象は筋肉痛(レパー 硬化の退縮が確認されたと発表した。 サ投与群 7.0%、プラセボ投与群 5.8%)、新たに診 主要評価項目である「治療開始 78 週目のアテロー 断された糖尿病(3.6%、3.7%)、神経認知機能関連 ム体積率のベースラインからの変化率」について 事象(1.4%、1.2%)など。 は、レパーサ投与群(0.95%減少)はプラセボ投与群 11/16 サノフィ、 「プラルエント」の製造販売後臨床試験を開始 ACS 患者が対象 11/16 サノフィ日本法人は 16 日、9 月に発売した PCSK9 対象は ACS で入院した患者で、スタチンでコン 阻害剤「プラルエント」について、日本人の急性冠 トロール不十分な高コレステロール血症の患者。ア 症候群(ACS)患者を対象に、冠動脈内プラーク量 テローム性動脈硬化を基盤とする冠動脈プラークへ の変化率を測定する製造販売後臨床試験を開始した の影響について、血管内超音波を用いて測定しプラ と発表した。 ルエントと標準治療薬を比較して検討する。 ロモソズマブ、骨粗鬆症男性対象の国際P3で有用性確認 アムジェンと UCB 米アムジェンとベルギー・UCB は 16 日までに、 投与した。 骨粗鬆症治療薬として開発しているロモソズマブに 主要評価項目とした 12 カ月の腰椎骨密度は、プ ついて、男性骨粗鬆症患者を対象とした国際臨床第 ラセボ比で 12.1%増と有意に増加。副次評価項目 3 相試験(BRIDGE 試験)で、プラセボ比較で 6 カ月 だった大腿骨近位部、大腿骨頸部の骨密度も有意な および 12 カ月の腰椎、大腿骨近位部、大腿骨頸部 増加を示した。 の骨密度を有意に増加させたとの結果を発表した。 重篤例を含む有害事象の発現率は両群間で差はな 16 日までワシントン DC で開催中の米国リウマチ学 かった。実薬投与群で 5%以上に発現した有害事象 会 / リウマチ専門医協会年次総会で報告されるとし は、鼻咽頭炎、背部痛、高血圧、頭痛、便秘。12 ている。 カ月の投与期間中に注射部位反応があったのは実薬 米 国 や ベ ル ギ ー、 日 本 な ど の 施 設 が 参 加 し た 投与群で 5.5%、プラセボ投与群で 3.7%となり、多 BRIDGE 試験で は、 患 者 245 人 を 実 薬 投 与 群(163 くが軽度だった。重篤な心血管系有害事象は実薬投 人)、プラセボ投与群(82 人)に振り分け、カルシウ 与群で 4.9%、プラセボ投与群で 2.5%。心血管に起 ムとビタミン D を毎日投与し、併せてロモソズマブ 因する死亡の発現率は実薬投与群で 0.6%、プラセ (210mg)あるいはプラセボを月 1 回、12 カ月間皮下 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 ボ投与群で 1.2%となっている。 8 regulation 11/17 R&D R&D 申請・承認 臨床・学会 先端研究 セレコキシブの心血管リスク、他のNSAIDと同等 米ファイザー 米ファイザーは 17 日までに、非ステロイド性消 生率は、セレコキシブ(100 ~ 200mg を 1 日 2 回)投 炎・鎮痛剤セレコキシブ(日本製品名「セレコック 与群 2.3%、ナプロキセン(375 ~ 500mg を 1 日 2 回) ス」)の心血管リスクが、他の非ステロイド性抗炎 投与群 2.5%、イブプロフェン(600 ~ 800mg を 1 日 症剤(NSAID)と同等とする大規模臨床試験の結果 3 回)投与群 2.7%だった。 を発表した。 消 化 管 イ ベ ント の 発 生 率 は、 セ レ コ キ シ ブ 群 試験は、変形性関節症(OA)か関節リウマチ(RA) 1.1%、 ナプロキセン群 1.5%、 イブプロフェン群 1.6%。 で、心血管疾患のリスクが高く、関節炎の症状をコ 試験結果は米ルイジアナ州ニューオーリンズで開 ントロールするために NSAID の日常的な投与が必 かれた米国心臓協会の年次集会で発表された。 要な 2 万 4081 人を対象に実施。心血管イベントの発 11/18 ウレルマブと「オプジーボ」併用、悪性黒色腫で抗腫瘍効果 米 BMS の国際 P1/2 試験 米ブリストル・マイヤーズ スクイブは 18 日まで (RECIST)の基準に沿って評価した。発表によると、 に、血液がんと固形がんの患者を対象に完全ヒトモ 悪性黒色腫患者では PD-L1 発現患者と非発現患者 ノクローナル IgG4k 抗体ウレルマブと免疫チェック の双方で抗腫瘍活性が認められた。ORR は PD-L1 ポイント阻害剤「オプジーボ」の併用療法の有効性・ 発現レベルが 1%以上の患者で 50%(20 例中 10 例)、 安全性を評価したグローバル臨床第 1/2 相試験で、 1%未満の患者で 47%(17 例中 8 例)だった。 評価可能な悪性黒色腫患者 46 例で有効性を示し、 また、全患者集団 138 例で、オプジーボ単剤療法 奏効率(ORR)は 50%だったと発表した。 と比較して顕著な毒性の増加は認められなかった。 ORR は固形がんの治療効果判定のガイドライン 11/18 エーザイのBACE阻害剤、米FDAがファストトラック指定 エーザイは 18 日、早期アルツハイマー病(AD) 減少させることで、病態の進行を抑制する作用を示 を適応として開発を進めている BACE 阻害剤 E2609 すとみられている。今年 10 月には臨床第 3 相試験プ (開発コード)について、米 FDA(食品医薬品局) ロ グ ラ ム(MISSION AD)の 一 つ で あ る MISSION から優先審査制度であるファストトラック指定を受 AD1 について米国での症例登録が開始されている。 けたと発表した。 同試験についてはグローバル試験として実施を予定 同剤は、アミロイド前駆体タンパク質のβサイト しており、欧州や日本の規制当局とも協議が進めら を切断する A β産生の律速酵素である BACE を阻 れている。 害して、毒性種と考えられる脳内の A β凝集体を 「ステラーラ」のP3試験結果、NEJMに掲載 11/21 米ヤンセンのクローン病治療薬 米ヤンセンファーマは 21 日までに、すでに欧米 ラーラ」 (一般名=ウステキヌマブ)の臨床第 3 相試 でクローン病治療薬として承認を得ている「ステ 験の成績が、 ニューイングランド・ジャーナル・オブ・ 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 9 regulation R&D R&D 申請・承認 臨床・学会 先端研究 メディシン(NEJM)に掲載されたと発表した。 評価項目の 6 週時の臨床的反応率がプラセボに対し 今 回 発 表 さ れ た の は、 寛 解 導 入 試 験 で あ る て優位との結果などが得られた。 UNITI-1 および UNITI-2 と、同剤の投与 1 年後の治 ステラーラは日本では乾癬治療薬としての承認を 療効果を評価した寛解維持試験(IM-UNITI)の 3 試 取得しており、中等症から重症のクローン病に対す 験の結果。UNITI-1 試験は抗 TNF- α製剤で効果不 る適応拡大を申請中の段階にある。 十分あるいは忍容性がなかった患者が対象で、主要 11/21 米アッヴィの新規 C 肝薬、高 SVR 率を達成 重度 CKD 合併患者の P3 試験で 米アッヴィは 21 日までに、同社が開発中の NS5A 全てのジェノタイプを含むとともに、前治療の有無 阻害剤ピブレンタスビルと NS3/4A プロテアーゼ阻 を問わずに患者を組み込んで評価した。104 人のう 害剤グレカプレビルの 2 剤併用療法(G/P 療法)につ ち 85 人が透析を施行し、20 人は代償性肝硬変だった。 いて、重度の慢性腎臓病(CKD)を合併している C 有害事象で最も多く報告されたのはそう痒症、疲 型慢性肝炎患者を対象に行った臨床第3相試験 労、悪心。重篤な有害事象は 24%の患者で確認さ (EXPEDITION-4)で、主要 ITT 解析で 98%、修正 れたが、いずれも治療との関連はなかった。投与中 ITT 解析で 100%の SVR(ウイルス学的著効)率を 止となった有害事象は 4 件で、うち 1 例が SVR4 の 達成したと発表した。 達成後に、治療と関連なしとされた重篤な有害事象 EXPEDITION-4 では 104 例の重度 CKD 患者を対 (頭蓋内出血)で死亡したという。 象に、12 週間にわたって G/P 療法を施行。HCV の 11/21 シルクマブ、疾患活動性スコアが有意に改善 米ヤンセン、アダリムマブとの単剤比較で 11/22 米ヤンセンファーマは 21 日までに、中等度から れた。24 週目の ACR50 改善を達成した患者割合は、 重度の活動性関節リウマチ治療を目的に開発中のヒ シルクマブの 50mg、100mg の両群、アダリムマブ ト型抗 IL-6 モノクローナル抗体製剤シルクマブに 群で有意差は見られなかったが、いずれの治療群で ついて、アダリムマブとの単剤療法を比較した臨床 も臨床的改善があった。 第 3 相(P3)試験(SIRROUND-H 試験)で、主要評価 また、抗 TNF 製剤による治療に効果不十分また 項目の一つである疾患活動性スコア(DAS28)がシル は 忍 容 性 が な い 患 者 を 対 象 に し た SIRROUND-T クマブ単剤投与患者で有意に改善されたと発表した。 (P3)試験の結果も明らかにした。主要評価項目の 24 週目の DAS28 のベースライン値からの平均変 16 週時点の ACR20 改善を達成した患者は、プラセ 化量は、シルクマブ 50mg の 4 週間隔投与群がマイ ボ群が 24%だったのに対し、シルクマブ 50mg 群は ナス 2.58、シルクマブ 100mg の 2 週間隔投与群がマ 40%、100mg 群は 45%だった。 イナス 2.96 で、マイナス 2.19 だったアダリムマブ 試験結果は米国リウマチ学会年次総会(ACR)で 40mg の 2 週間隔投与群に比べて有意な改善が見ら 発表された。 米アムジェン、新規片頭痛予防薬で好成績 国際 P3 試験で主要評価項目達成 米アムジェンは 22 日までに、片頭痛予防薬とし 験(STRIVE 試験)で、主要評価項目である反復性 て開発しているエレヌマブ(一般名、開発コード= 片頭痛患者での 1 カ月間の片頭痛日数をプラセボ比 AMG334)について、グローバル臨床第 3 相(P3)試 で有意に減少させたと発表した。 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 10 regulation R&D R&D 申請・承認 臨床・学会 先端研究 エレヌマブは、カルシトニン遺伝子関連ペプチド た。ベースラインの月間平均片頭痛日数は 8.3 日で、 (CGRP)受容体を特異的に標的とする完全ヒトモノ 実 薬 を 投 与 し た 2 群 で は、70mg 投 与 群 で 3.2 日、 クローナル抗体。CGRP 受容体は激しい痛みをもた 140mg 投与群では 3.7 日それぞれ減少しており、プ らす信号伝達に関与するとされており、同剤により ラセボ群(1.8 日)に比べ、有意な低下を示した。 受容体の働きを阻害することで片頭痛を予防するこ 同剤はアムジェンとスイス・ノバルティスが共同 とが期待できるという。 開発している。日本ではアムジェンが商業化権を有 同試験では同剤(70mg または 140mg)を月 1 回、 しており、現在 P2 試験段階にある。 6 カ月間投与し、プラセボとの有効性などを比較し 11/22 米メルクの C 肝薬配合剤、解析結果を発表 米メルクは 22 日までに、C 型慢性肝炎患者に対 P3 臨床プログラムの事後解析で、GT1、4 型の慢 するエルバスビルとグラゾプレビルの配合錠 性感染患者でプロトンポンプ阻害薬(PPI)を同時服 ( 「ZEPATIER 配合錠 50mg/100mg」)に関する複数 用していると自己申告した患者で治癒を達成したの の解析結果を発表した。 は 96%、PPI 非服用の患者で治癒を達成したのは 日本法人の MSD が同日、日本語翻訳版を発表し 97%で、PPI の服用が治癒達成の予測因子でないこ た。臨床第 2/3 相(P2/3)試験のレトロスペクティ とが示された。 ブ統合研究では、ZEPATIER を投与したジェノタ このほか、P2/3 プログラムのデータ統合解析で イプ(GT)1b 型感染患者の 97%は、治療終了後に は、ステージ 3 の慢性腎臓病患者への影響について、 ウイルス学的に治癒と判定された。治療歴や代償性 腎機能の改善が 38%に見られ、63%が安定を維持 肝硬変、HIV-1 重複感染などの患者特性にかかわら していた。 ず、治癒率は高かった。 11/24 塩野義、新規ボツリヌス毒素製剤を世界で開発へ 徳島大から権利取得、19 年初頭までに臨床入り 塩野義製薬は 24 日、徳島大との間で、新規のボ ツリヌス毒素製剤「A2NTX」に関するライセンス契 約を結んだと発表した。これに基づき塩野義は今後、 脳卒中の後遺症である痙縮に対する治療薬として同 剤の開発を世界的に進める方針で、2019 年初頭ま での臨床試験入りを目指す。 同剤は徳島大などの研究から見いだされた新規 A2 型ボツリヌス毒素。同大によると、脳卒中後の 機能障害の一つである痙縮への効果を検討した臨床 研究で、A2NTX は従来薬の「ボトックス」に比べ有 会見後に手を取り合う手代木社長(右から 2 人目)と徳島大の関 係者ら 意な改善を示した。安全性上の問題となる全身の筋 の取り組みで実現した。A2NTX の基本特許は日本、 への拡散についても、局所にとどまることを確認。 欧州、カナダ、米国で成立し、徳島大が権利を保有 脳卒中後の寝たきり患者が歩けるようになった事例 している。疼痛・神経を成長領域の一つに位置付け も経験している。分子量はボトックスの約 6 分の 1 る塩野義は、こうした知的財産権や、同剤のデータ・ で、抗体の産生が少ないのも特徴だという。 ノウハウを活用し、グローバルに開発を推進する。 今回の産学連携は、アカデミアの創薬シーズと製 塩野義が支払う契約一時金や、開発進捗に伴うマイ 薬企業をマッチングする大阪商工会議所の「DSANJ」 ルストーンなどの金額は現時点では非開示。 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 11 regulation R&D R&D 申請・承認 国内で最低 100 億円、グローバルはその数倍 臨床・学会 先端研究 ベーションの活動によって、治療薬候補の一つが得 られたことを指摘。 「アカデミアからのシーズを製薬 企業が受け止めた上で、 (日本から)グローバルに発 塩野義は今後、同剤の安定生産に関する検討を進 信していくといういい例にしたい」と抱負を語った。 めるとともに動物実験を行い、19 年初めまでの臨 痙縮は脳卒中有病者の約 40%に生じるとされ、 床試験入りを目指す。手代木功社長は同日の会見で、 標的患部へのボツリヌス毒素製剤の投与が筋肉の収 徳島大の研究データから同剤を「強力な知財」と評 縮を和らげ、リハビリテーション実施の助けとなる 価し、 「安心して開発に入っていける」と発言。発売 治療法の一つとして確立されている。痙縮以外にも 後は国内で最低 100 億円、グローバルではその数倍 ボツリヌス毒素製剤は臨床応用されており、世界市 の売り上げが期待できると見通した。また将来的に 場の 90%を占めるボトックスの年間売上高は 2000 は効能・効果の拡大も検討していく考えを示した。 億円に上るという。 手代木社長はまた、長期にわたるオープンイノ 11/24 米リリーの AD 薬、軽度に絞った P3 試験を中止 主要項目未達で 米イーライリリーは 24 日までに、アルツハイマー 中止することになった。 病(AD)治療薬として開発中のモノクローナル抗体 EXPEDITION3 の詳細な試験結果は 12 月 8 日に、 ソラネズマブについて、軽度 AD 患者に対象を絞っ アルツハイマー病臨床試験会議(開催地=米カリ た国際共同臨床第 3 相(P3)試験「EXPEDITION3」 フォルニア州サンディエゴ)で発表する。 を中止すると発表した。認知機能低下についてプラ 今 回 の 結 果 を 受 け、EXPEDITION、EXPEDI セボ投与群との比較で統計学的に有意な進行抑制が TION2 の被験者を対象に行っていた非盲検継続投 認められず、主要評価項目を達成できなかったため 与試験も中止する方針。 で、軽度 AD での承認申請は断念する予定。 このほかにも、▽軽度 AD よりも病勢進行が前段 同剤を巡っては、先行して実施していた軽度・ 階の軽度認知障害の患者を対象にした「EXPEDITION- 中 等 度 の AD 患 者 を 対 象 と し た 国 際 共 同 P3 試 験 PRO 試験」▽さらに前段階でほとんど症状が見られ 「EXPEDITION1」 「EXPEDITION2」で主要評価項 ないが病態生理学的変化の見られる患者を対象にし 目を達成できなかったことが、2012 年 8 月に発表さ た「無症候性 AD に対する抗アミロイド療法 A4 試 れている。この 2 つの試験結果のみで米国で承認申 験」▽遺伝的に AD になったと見られる成人患者に 請を行うのは難しいとして、米リリーは同年 12 月 対する「DIAN 試験」―を実施しているが、これら に追加試験として、軽度 AD 患者に絞った EXPEDI の今後の対応は現時点では未定。 TION3 を行うことを発表して進めてきたが、今回、 11/24 LAL-D 治療薬「カヌマ」、肝線維化を改善 米アレクシオン・P3 試験 米アレクシオン・ファーマシューティカルズは 24 日までに、 ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D) 線維化ステージがベースラインから改善し、半数 (12 人中 6 人)は 2 ステージ以上改善した。 治療薬「カヌマ」 (一般名=セベリパーゼ アルファ) また、同剤による 76 週間の治療を受けた患者の について、小児・成人患者を対象としたピボタル臨 98%(61 人中 60 人)で、アラニンアミノトランス 床第 3 相(P3)試験(ARISE 試験)の非盲検延長期か フェラーゼ(ALT)値が持続的に低下し、51%(61 ら、新たな長期的データが得られたと発表した。 人中 31 人)で ALT 値が正常化した。 同剤による 52 週間の治療を受けた患者の 3 分の 2 これらデータは、米マサチューセッツ州ボストン (12 人中 8 人)で、Ishak スコアによって測定した肝 で開かれた米国肝臓学会議年次集会で報告された。 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 12 regulation 11/24 R&D R&D 申請・承認 臨床・学会 先端研究 GSK の帯状疱疹ワクチン、接種間隔に柔軟性 P3 試験結果 11/25 英グラクソ・スミスクラインはこのほど、開発中 ベルの免疫反応や安全性プロファイルが確認された。 の帯状疱疹ワクチン「シングリックス」について、 また、2013 年の北半球のインフルエンザ流行期 複数の臨床第 3 相(P3)試験で、接種間隔に柔軟性 に 50 歳以上の成人を対象に実施したグローバル P3 を持たせても免疫反応や安全性が同レベルであるこ 試験(ZOSTER-004)で、シングレックスをアジュ とや、インフルエンザワクチンと同時接種した際に バント非添加型の季節性インフルエンザワクチンと 両ワクチンの忍容性が良好であることが確認された 同時接種したところ、忍容性はともに良好で、各ワ と発表した。 クチンに対する免疫反応も別々に接種した場合と同 50 歳以上の成人を対象に実施したシングリック レベルだった。 スのグローバル P3 試験(ZOSTER-026)で、1 回目 シングレックスは米国で今年 10 月に申請。日本 と 2 回目の接種間隔を 2 ~ 6 カ月にした際に、同レ は早期の申請に向けて準備を進めている。 サリルマブ、ACR の評価基準を達成 仏サノフィと米リジェネロン 仏サノフィと米リジェネロンは 25 日までに、関 い患者には 1 週間に 1 回投与まで増量した。 節リウマチ治療薬として開発中のサリルマブについ 試験では ACR の改善基準や HAQ-DI の評価項目 て、アダリムマブと単剤療法を比較した国際共同臨 も達成。ACR の基準で関節リウマチの徴候・症状 床第 3 相(P3)試験で、疾患活動性の高い関節リウ に 20%以上の改善(ACR20)が認められた患者の割 マチ成人患者の徴候・症状の改善でサリルマブの優 合は、サリルマブ群が 72%で、58%のアダリムマ 越性が認められ、米国リウマチ学会(ACR)が定め ブ群を上回った。ACR50、ACR70 を達成した患者 た改善基準や HAQ-DI(健康評価質問票を用いた機 割合もサリルマブ群がそれぞれ 45%、23%だった 能障害指数)の評価項目も達成したと発表した。こ のに対し、アダリムマブ群は 29%、11%だった。 れらの結果は ACR で口頭発表された。 HAQ-DI の改善はサリルマブ群、アダリムマブ群 試験(SARIL-RA-MONARCH)はメトトレキサー ともに認められ、ベースラインから 24 週目時点ま トに不応、不耐、継続投与が不適切となった疾患活 で の HAQ-DI の 変 化 は サ リ ル マ ブ 群 が マ イ ナ ス 動性の高い関節リウマチ患者 369 人が登録し、無作 0.61、アダリムマブ群はマイナス 0.43 だった。 為にサリルマブ単剤投与群(2 週間に 1 回 200mg)と サリルマブは米国、欧州、日本でそれぞれ承認申 アダリムマブ単剤投与群(2 週間に 1 回 40mg)に分 請を済ませている。 けて比較した。アダリムマブに十分な反応を示さな 11/28 中外製薬、PI3K クラス I 阻害剤を導出 独製薬企業とライセンス契約 中外製薬は、固形がんの適応で開発を進めていた ペイメント、ロイヤルティーなどの経済的対価の内 PI3K(ホスファチジルイノシトール 3- キナーゼ)ク 容は非公表としている。 ラス I 阻害剤 PA799(開発コード)を導出する。イ PA799 は中外製薬が創製した PI3K クラス I 阻害 タリアの製薬大手メナリングループの関連会社であ 剤。PI3K は、腫瘍細胞の増殖や分化、生存などに る独ベルリン - ケミ社との間で、全世界での開発・ 関わるシグナル経路に重要な役割を果たすとされて 製造・販売の独占実施権に関するライセンス契約を いる。同剤は、4 つに大別されるサブクラスのうち、 締結した。契約に伴う契約一時金、マイルストーン クラス I と呼ばれるものに対する選択性が高いとさ 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 13 regulation R&D R&D 申請・承認 れている。2010 年から 13 年にかけて欧州で行われ 臨床・学会 先端研究 という。 た臨床第 1 相試験では、良好な忍容性が確認できた 11/30 11/30 オンコリス、腫瘍溶解ウイルスで中国企業と提携 オンコリスバイオファーマは 30 日、開発中の腫 細胞毒性を示さないといった特徴がある。 瘍溶解ウイルス、テロメライシンについて、中国最 国内では、岡山大が食道がんの適応で放射線との 大手の製薬企業「江蘇恒瑞医薬」 (江蘇省連雲港市) 併用による医師主導の臨床研究を実施中。現在オン とライセンス契約を締結したと発表した。中国と香 コリスが企業治験の準備を進めている。また国立が 港、マカオにおける独占的な開発と販売の権利を恒 ん研究センター東病院と契約を結び、他の治療法と 瑞に与える。その対価として、オンコリスは恒瑞か の併用で固形がんでの治療効果を見る医師主導治験 ら契約一時金を受領するとともに、開発の進捗状況 も準備している。 や年間販売額に応じてマイルストーンの支払いを受 海外では、韓国のメディジェン バイオテクノロ ける。2016 年 12 月期業績への影響は現時点ではな ジー社との共同開発で、肝細胞がんを適応とした臨 いとしている。 床第 1/2 相(P1/2)試験を行っている。 テロメライシンは風邪のウイルスであるアデノウ 米国では、オンコリスが悪性黒色腫の適応で P2 イルスを改変し、がん細胞にくっつき溶かして殺傷 試験を実施するため、米 FDA(食品医薬品局)への する作用機序を持つ。正常細胞での増殖能力は弱く 治験実施計画の申請を済ませている。 ノーベルファーマ、産婦人科領域であすかと提携 月経困難症薬の製造・販促など ノーベルファーマとあすか製薬は 30 日、産婦人 NPC-16 は、黄体ホルモンとしてレボノルゲスト 科領域で包括的業務提携を締結したと発表した。 レル、卵胞ホルモンとしてエチニルエストラジオー ノーベルファーマが産婦人科領域で開発中の NPC- ルを含有した 1 相性の配合剤。現在、月経困難症を 16 などの製造と販売促進活動などをあすかが引き 対象とした国内臨床第 3 相試験を実施している。 受ける。 11/30 独にデング熱ワクチン製造設備を建設 武田薬品 武田薬品工業は 30 日、ドイツ・ジンゲンに新たな 同社は 9 月に 4 価弱毒生デング熱ワクチン(TAK- デング熱ワクチン製造設備を建設すると発表した。 003)の臨床第 3 相試験を開始しており、試験終了・ 1 億ユーロ以上を投じ、2019 年に製造準備が整う 承認取得後の生産に備える。新設備の生産能力は非 予定。 公表。 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 14 regulation 11/16 11/22 R&D 申請・承認 申請・承認 臨床・学会 先端研究 仏サノフィの Suliqua、CHMP が承認勧告 仏サノフィは 16 日までに、2 型糖尿病治療薬とし 血糖コントロールが得られない 2 型糖尿病患者を対 て開発し、欧州で承認申請している Suliqua につい 象にした臨床試験(LixiLan-O、LixiLan-L)の結果な て、欧州医薬品庁の医薬品評価委員会(CHMP)が どに基づき、CHMP が承認の勧告に肯定的見解を 承認勧告を採択したと発表した。 示した。 同剤は、基礎インスリンとなるインスリン グラ 米国などで承認申請が行われており、同社による ルギン(100 単位 /mL)と GLP-1 受容体作動薬のリキ と米 FDA(食品医薬品局)は 11 月中にも承認可否 シセナチドの用量調節可能な固定比率配合剤。経口 の判断を下す見通しという。日本では臨床第 3 相の 血糖降下薬や基礎インスリン療法でそれぞれ十分な 開発段階にある。 ヤンセン、抗 HIV 薬「プレジコビックス」の承認取得 ヤンセンファーマは 22 日、プロテアーゼ阻害薬 であるコビシスタット(150mg)を固定用量で配合 とコビシスタットの国内初の配合剤となる抗 HIV した製剤。用法・用量は 1 回 1 錠を、1 日 1 回食事中 感染症治療薬「プレジコビックス」の製造販売承認 または食直後に経口投与する。投与に関してはほか を同日付で取得したと発表した。 の抗 HIV 薬と併用することとしている。欧米では 同剤は、HIV のプロテアーゼ阻害剤ダルナビルエ すでに承認済み。 タノール付加物(800mg)と薬物動態学的増強因子 11/24 ファイザー、乳がん薬「アイブランス」が欧州で承認 米ファイザーはこのほど、サイクリン依存性キ 承認されたのはアロマターゼ阻害薬との併用、ま ナーゼ(CDK)4/6 阻害薬パルボシクリブ(海外製 たは内分泌療法を受けたにもかかわらず疾患進行が 品名「アイブランス」)について、「ホルモン受容体 認められた患者に対する抗エストロゲン剤フルベス 陽 性(HR+)・ ヒ ト 上 皮 成 長 因 子 受 容 体 2 陰 性 トラントとの併用。 (HER2-)局所進行または転移乳がん」の適応で、欧 州委員会から承認を取得したと発表した。 国内ではファイザーが 10 月末に「手術不能または 再発乳がん」の適応で申請している。 「ニンラーロ」、欧州で条件付き承認 11/24 武田薬品 武田薬品工業は 24 日、多発性骨髄腫治療薬「ニン 医薬品評価委員会(CHMP)が今年 9 月に、臨床第 3 ラーロ」 (一般名=イキサゾミブ)について、欧州委 相試験「TOURMALINE-MM1」や別途実施中の試 員会(EC)から、条件付き承認(販売許可)を取得し 験による安全性や有効性に関する解析結果を承認後 たと発表した。適応は前治療歴のある多発性骨髄腫 に提出するよう義務付ける、条件付き承認を推奨し に対するレナリドミドとデキサメタゾンとの併用。 たことを受けたもの。 欧州経済領域で使用することが可能になる。 TOURMALINE-MM1 試験では、同剤・レナリド 承認に否定的な見解を示していた欧州医薬品庁の ミド・デキサメタゾンの 3 剤併用が、プラセボ・レ 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 15 regulation R&D 申請・承認 申請・承認 臨床・学会 先端研究 ナリドミド・デキサメタゾン併用と比べ無増悪生存 同剤は米国やカナダ、イスラエル、オーストラリ 期間(PFS)を延長させることが確認されており、 ア、ベネズエラで承認済み。日本では 7 月に承認申 17 年には全生存期間(OS)のフォローアップ解析を 請を行っている。 予定している。 11/25 仏サノフィの「ソリクア」、米国で承認取得 インスリンと GLP-1 の合剤 米 FDA(食品医薬品局)は、基礎インスリンまた 人 2 型糖尿病患者 736 人を対象に行ったソリクア群 は GLP-1 受容体作動薬「リキスミア」で血糖コント とランタス群を比較した臨床第 3 相(P3)試験では、 ロールが不十分な成人 2 型糖尿病を適応とした仏サ 試験開始 30 週時点で HbA1c が 7%未満(米国糖尿病 ノフィの配合剤「ソリクア」を承認した。同社が 25 学会推奨値)に到達した患者の割合がソリクア群で 日までに発表した。2017 年 1 月から米国で発売する。 大きかった。低血糖の発現率は両群で同様だった。 ソリクアは同社のインスリン「ランタス」とリキ ソリクアは EU を含む 10 市場で承認申請を行って スミアの用量調節可能な固定比率配合剤。1 日 1 回 いる。EU では欧州医薬品庁の医薬品評価委員会が 投与の注射剤で、剤形は自己注射ができるペン型の 11 月 11 日に承認勧告を採択した。日本では P3 試験 注入器となる。 を行っている。 基礎インスリンで血糖コントロールが不十分な成 11/28 参天製薬の「オプシリア」、来年初頭にもFDA 申請 非感染性後眼部ぶどう膜炎治療剤 参天製薬は 28 日、非感染性後眼部ぶどう膜炎を では至適用量も検討。対照としたシロリムス注射 対象に開発していた「オプシリア」 (一般名=シロリ (44 μ g)との比較では統計的有意差はなかったもの ムス、開発コード= DE-109)に関するグローバル臨 の、有効性を裏付けるデータが得られており、これ 床第 3 相試験(SAKURA)で、至適用量による有効 ら 2 つの臨床試験に基づく総合的データにより申請 性および安全性を確認し、来年初頭にも米 FDA(食 を行うとしている。 品医薬品局)への新薬承認申請を行うと発表した。 米国に加え、申請を取り下げていた欧州医薬品庁 同剤は、炎症性サイトカインを産生する T 細胞の (EMA)への再申請準備を行うほか、日本について 増殖を刺激する mTOR を阻害する免疫調整薬。 も同試験の結果を踏まえて承認申請に向けた準備を SAKURA 試験のうち、Study1 では、主要評価項 進めていく方針だ。 目と 2 つの主な副次的評価項目を達成した。Study2 11/30 オキシコドン乱用防止徐放錠を国内申請 塩野義 塩野義製薬は 30 日、持続性疼痛治療剤「オキシコ の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討 ドン塩酸塩水和物 乱用防止徐放錠」の国内承認申請 会議」の結果に基づき開発要請を受けていた。 を行ったと発表した。 乱用防止徐放錠は、簡単にかみ砕けない硬い錠剤 適応は「中等度から高度の疼痛を伴う各種がんに で、水を含むとゲル化するよう改良された製剤。米 おける鎮痛」と「中等度から高度の慢性疼痛におけ 国では 2010 年に発売されている。 る鎮痛」。このうち慢性疼痛の適応は、厚生労働省 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 16 regulation R&D 申請・承認 申請・承認 臨床・学会 先端研究 「アクテムラ」、大型血管炎の適応追加申請 11/30 中外製薬 11/30 中外製薬は 30 日、「アクテムラ」について、大型 国内では高安動脈炎、海外では巨細胞性動脈炎を対 血管炎の適応追加に関する国内承認申請を行ったと 象とした臨床第 3 相試験を実施し、両試験の成績に 発表した。 基づいて承認申請した。 大型血管炎は、アジア・中近東、特に日本で発症 アクテムラは 2014 年に、大型血管炎を予定追加 が多い高安動脈炎と、欧米で多い巨細胞性動脈炎の 効能・効果として希少疾病用医薬品の指定を受けて 2 つの亜型があり、いずれも難病指定を受けている。 いる。 「レボレード」など 2 剤、再生不良性貧血の適応追加申請 ノバルティス 11/30 ノバルティス ファーマは 30 日、慢性特発性血小 貧血の適応追加のための製造販売承認事項一部変更 板減少性紫斑病治療薬「レボレード」 (一般名=エル 申請をそれぞれ行った。同社が同日発表した。 トロンボパグ オラミン)と自己免疫疾患治療薬「ネ レボレードは今月、再生不良性貧血を予定追加効能・ オーラル」 (シクロスポリン)について、再生不良性 効果として希少疾病用医薬品の指定を受けている。 「オプジーボ」、欧州でホジキンリンパ腫の適応追加 米 BMS 米ブリストル・マイヤーズ スクイブは 30 日まで 験を統合して解析した結果に基づく。有効性(評価 に免疫チェックポイント(CP)阻害剤「オプジーボ」 対象= 95 人)については、主要評価項目である奏効 (一般名=ニボルマブ)について、血液がんの一種 率は 66%で、完全奏効の割合は 6%、部分奏効の割 であるホジキンリンパ腫の適応追加が欧州で承認さ 合は 60%だった。 れたと発表した。CP 阻害剤へのホジキンリンパ腫 オプジーボへのホジキンリンパ腫の適応追加は、 の適応追加は欧州では初めて。 米国では今年 5 月に承認済み。日本でも今月 12 日の 適応は、自家造血幹細胞移植や、標準治療である 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で了承されて 武田薬品工業の分子標的薬「アドセトリス」 (ブレン おり、近く承認される見込み。 ツキシマブ ベドチン)による治療後の再発・難治性 ホジキンリンパ腫は白血球に発現するがんで、古 の古典的ホジキンリンパ腫の成人患者への治療。 典的ホジキンリンパ腫はホジキンリンパ腫の 95% 今回の適応追加は、臨床第 2 相(P2)試験と P1 試 を占める。 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 17 regulation 11/18 R&D 申請・承認 臨床・学会 臨床・学会 先端研究 C 肝薬、耐性検査の必要性も選択ポイント 長崎医療センター・八橋氏 長崎医療センターの八橋弘臨床研究センター長は となったとする厚生労 18 日、ギリアド・サイエンシズ主催のプレスセミ 働科学研究の中間解析 ナーで、C 型慢性肝炎に対するインターフェロン 結果も示した。八橋氏 (IFN)フリー療法について、治療前に C 型肝炎ウイ は治療効果判定を終え ルス(HCV)の薬剤耐性変異解析検査(耐性検査)が て い な い 症 例 が ITT 必要かどうかが、医師の薬剤選択に影響してきたと 解 析 で 57% あ る こ と し、耐性検査の必要がない同社の「ハーボニー」の を挙げ、最終的な解析 処方が伸びた要因の一つに挙げた。 を待つ必要性があると 現在、主流となっている IFN フリー療法は、ハー したが、現状では臨床 ボニーや「ソバルディ」のほか、ダクラタスビル / ア 試験結果に近いデータ スナプレビル併用、オムビタスビル / パリタプレビ が得られているとの認 ル / リトナビル併用療法がある。八橋氏はこれらを 識を示した。 選択する上で、併用薬という問題以外に、耐性検査 IFN フリー療法のエビデンスが集積される中で、 が必要か否かがポイントになると指摘。今月発売開 ウイルス学的著効(SVR)が得られた症例でも肝が 始となったエルバスビル / グラゾプレビルについて んが見つかるケースがあるとして、 「ウイルスが消 は、耐性変異の有無によって SVR 率に大きな差が えた後ほど、しっかり見なくてはいけない」と述べ、 ないことから、検査が必要とならない可能性が高い 治療後の定期的なフォローの重要性を強調した。併 と指摘した。 せて医療機関を受診して HCV 感染が明らかとなっ 八橋氏は、ハーボニーの実臨床での SVR12 率(治 た患者を IFN フリー治療につなげることも重要だ 療 12 週後のウイルス学的著効率)が 99.1%(PP 解析) と指摘した。 11/21 「SVR 後のフォローが重要」と語 る八橋氏 エムプリシティ「多発性骨髄腫治療薬として有望」 日赤医療センター・鈴木氏 日本赤十字社医療センター・骨髄腫アミロイドー 群で 41%となり、Rd 群の 27%に比べ有意に高い結 シスセンターの鈴木憲史センター長は 21 日、多発 果となった点を評価した。さらに E-Rd 群の無増悪 性骨髄腫治療薬として初の抗体医薬となる「エムプ 率が一定期間後に 20%から 30%の水準で安定する リシティ」 (一般名=エロツズマブ)について、 「レブ 時期があることから、長期的な無増悪生存への期待 ラミド」 (レナリドミド)との併用療法の有効性の高 を表明。 これまで難しかった多発性骨髄腫の治癒が、 さを評価した。 抗体医薬治療によって目指せる可能性が高くなった ブリストル・マイヤーズ スクイブが同日開いたメ と期待感を示した。 ディア懇談会で、鈴木氏は「レブラミドがある程度、 エムプリシティの適応は再発または難治性のもの 免疫能を高め、 エムプリシティが NK 細胞を活性化し、 とされているが、 「将来的には、寛解導入の後に地 効果を発揮する点で非常に有望な薬だ」と述べ、将来 固めとして使っていき、病勢を進行させない」とい 的には寛解導入できた患者に抗体医薬治療を行うこ う治療戦略も採り得るとの認識を示した。 とで、治癒を目指す治療戦略にも期待を表明した。 多発性骨髄腫を適応とした複数の抗体医薬の開発 鈴木氏は、レブラミドとデキサメタゾンの 2 剤併 が進んでおり、抗体医薬治療が拡充した場合は「医 用(Rd 群)と、それにエムプリシティを上乗せした 療費の問題」も出てくると指摘。 「ある一定期間の短 3 剤併用(E-Rd 群)との間で有効性などを比較した 期決戦で多発性骨髄腫の制圧を考えなくてはいけな 国際共同臨床第 3 相試験(ELOQUENT-2 試験)に言 い」とも述べ、これまでの治療アプローチが大きく 及。治療開始 2 年目の PFS(無増悪生存率)が E-Rd 変化する可能性を強調した。 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 18 regulation 11/21 R&D 申請・承認 臨床・学会 臨床・学会 先端研究 リアルワールドデータ重視の時代へ 日本薬剤疫学会 「観察」と「介入」、評価逆転も ランダム化比較試験など介入研究の価値が相対的 や実態を表す程度と見られていたが、数千万~数億 に下がり、医療現場の各種情報が重視される時代に 規模のデータが集積されることで、「いままで 1 軍 ─。 「医療リアルワールドデータ時代における疫学」 だった介入研究と 2 軍だった観察研究の入れ替わり をテーマに、18 ~ 20 日に京都市で開かれた日本薬 が必要ではないかという議論まで始まっている」と 剤疫学会学術総会で、会長の川上浩司京都大大学院 述べた。 教授は、エビデンスレベルの評価が変化する傾向に 薬剤疫学で使用できる資料には、各学会による疾 あると指摘し、既存の診療情報を活用する観察研究 患登録(レジストリ)系と、レセプト情報や DPC が介入研究に劣るとされた考え方は「もはや適用さ データベースなどのリアルワールドデータ系があ れない」と強調した。 る。川上氏は双方に強みや課題があるとして、 「そ 論文化されたデータだけを統合して解析するメタ れぞれの特徴を理解し、今後の薬剤疫学研究を実施 アナリシスは、効果が認められなかった研究結果を していくべきだ」と訴えた。 反映しないため、薬剤の効果の過大評価になるとい 企業も学ぶ必要性 厚労省・森審議官 う。川上氏は、臨床試験は被験者数や対象患者の範 囲が限定されていることに加え、GCP 外で実施さ れる市販後臨床試験では品質の担保が困難だとも指 新薬開発のインフラ整備について講演した厚生労 摘した。 働省の森和彦大臣官房審議官は、臨床研究の変革の うねりを世界のアカデミアが認識しつつある現状を 1 軍と 2 軍、入れ替え? 説明。米 FDA(食品医薬品局)がそうした流れに薬 事規制を対応させていくため、製薬企業も新たな臨 床試験の方法論を学ぶ必要があると強調した。 観察研究は従来、症例報告など 1 病院だけの特性 「イグザレルト」、PCI 後心房細動患者で出血抑制 11/25 帝京大・上妻氏「使用の正当性示された」 バ イ エ ル 薬 品 は 25 には抗凝固薬が用いられるが、両疾患の合併患者で 日、経皮的冠動脈形成 両剤を併用すると出血リスクが増大する。欧米のガ 術(PCI)後の心房細動 イドラインではワルファリンと抗血小板薬2剤 患者を対象に行った、 (DAPT)の併用が標準治療に位置付けられている 非ビタミン K 拮抗経口 ものの、エビデンスは十分ではなく、NOAC を用 抗凝固剤(NOAC) 「イ いたエビデンスはこれまでなかった。 グザレルト」 (一般名 そこで PIONEER AF-PCI では、PCI 後の心房細 =リバーロキサバン) 動患者を「イグザレルト 15mg(1 日 1 回)+ 抗血小 のグローバル臨床第 板薬(P2Y12 阻害薬)単剤」 「イグザレルト 2.5mg(1 PIONEER AF-PCI について解説 する帝京大・上妻氏 日 2 回)+DAPT」 「ワルファリン +DAPT」の 3 群に プレス向けのセミナーを開いた。講演した帝京大医 出血」の発現率は、いずれのイグザレルト群も標準 学部循環器内科の上妻謙氏は、イグザレルト使用群 治療群に比べて有意に下回っていた。また有効性指 で出血の抑制を認めた試験結果を踏まえ、 「リバーロ 標(心血管死、心筋梗塞または脳卒中)の発現率は 3 キサバンを PCI 施行心房細動患者に使う正当性が初 群で同程度だった。この結果は、今月の米国心臓協 めて示された」と評価した。 会年次学術集会で発表された。 冠動脈疾患には PCI 後に抗血小板薬が、心房細動 上 妻 氏 は 国 内 の 実 臨 床 で も 新 規 患 者 の多くで 3b 相 試 験「PIONEER AF-PCI」を テ ー マ に、 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 分けて比較。主要評価項目の「臨床的に意味のある 19 regulation 11/28 R&D 申請・承認 臨床・学会 臨床・学会 先端研究 NOAC を用いており、今回の試験によってその根 設定用量 15mg が「日本の適切用量かは分からない」 拠が初めて示されたと言及。一方、イグザレルトの とし、日本人患者でのデータの必要性を指摘した。 レパーサのプラーク退縮「全病態で示した」 東邦大・中村氏 東邦大医療センター 調べた。動脈血管内プラークの割合であるアテロー 大橋病院の中村正人循 ム体積率(PAV)が、レパーサ投与群では 0.95%減 環器内科教授は 28日、 少したのに対し、スタチンとプラセボ投与群では PCSK9 阻害剤「レパー 0.05%の増加が見られた。また、プラセボ投与群と サ」の臨床第 3 相冠動 比べてより多くの患者で PAV の退縮が見られた。 脈血管内超音波造影試 中村教授は「一般的には糖尿病があるなどのリス 験(GLAGOV 試 験 )の クがある場合はプラークの退縮がしにくいといわれ 結果について、 「全て ている中で、一貫したプラークの退縮が得られたこ とは臨床的に意味がある」と指摘。一方で、プラー の病態に対して一貫し て動脈血管内プラーク 11/29 講演する中村氏= 28 日、東京都内 クの退縮による心血管イベントの抑制効果について 退縮の効果を示した意味は大きい」と述べた。 は「少なくともプラセボ群と比べて(イベント発生 アステラス・アムジェン・バイオファーマのメディ は)多くないが、対象が少なくこれだけで結論付け アセミナーで講演した。GLAGOV 試験では、冠動 られない」とし、現在実施中の「FOURIER 試験」の 脈疾患患者に対するスタチン療法への上乗せ効果を 結果を待つ必要があるとの見方を示した。 新 HIV 治療薬は「従来の欠点を補完」 ACC・岡センター長 国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発 には副作用や耐性誘引 センター(ACC)の岡慎一センター長は 29 日、今月 などの課題があったと 製造販売承認を受けた HIV 感染症治療薬「プレジコ し、 配 合 錠 は ブ ー ス ビックス配合錠」 (一般名=ダルナビルエタノール付 ターを変えたことで、 加物 / コビシスタット配合錠)について、「これまで これらの問題が改善さ あったいくつかの欠点を補う薬」との見方を示した。 れることが期待される プレジコビックス配合錠に含まれるプロテアーゼ と述べた。 阻害剤のダルナビルは血中濃度を維持するため、薬 ヤンセンファーマが 物動態学的増強因子(ブースター)のリトナビルと 主催したメディアセミ の併用が必要だった。岡氏は、併用による薬物治療 ナーで講演した。 創薬 NEWS 2016.11.16~11.30 講演する岡センター長= 29 日、 東京都内 20