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創 薬 - じほう

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創 薬 - じほう
創薬
2016 年 vol.
15
5.1-5.15
NEWS Selection
PICKUP NEWS
CIN研究班・武田氏
患者レジストリ活用、まず希少疾病・難病で
先駆け核酸医薬、18 年度申請へ
CIN構築の意義を語る武田氏
クリニカル・イノベーション・ネットワーク(CIN)の構築に
関する厚生労働科学研究(CIN 特別研究班)で代表者を務めた
国立精神・神経医療研究センター(NCNP)神経研究所の武田
伸一所長は、日刊薬業の取材に応じ、
「希少疾病や難病の臨床
開発で疾患登録システム(患者レジストリ)を活用し、その事
例をひな型として、他の分野・領域へ活用を広げながらCIN
の構築を進めていくべき」と述べた。
先駆け審査指定制度で対象品目に選ば
難しいが、明確な自然歴がレジストリなど
れた核酸医薬のデュシェンヌ型筋ジスト
から収集できる場合、疾病によっては、そ
ロ フ ィ ー 治 療 剤 NS-065/NCNP-01( 開 発
の結果をもって治験での対照群として代替
コード、日本新薬と共同開発)について、
して薬剤の効果を検討できる可能性があ
NCNP の患者レジストリと病院ネットワー
る」と説明した。
クを活用し、2018 年度中の承認申請を目
具体的に取り組むべきこととしては、患
指すことも明らかにした。
者レジストリを活用した製造販売後調査の
CIN は、国立高度専門医療研究センター
実施も挙げた。
(NC)などが構築を進める患者レジストリ
を総合的に活用して症例情報を集約化し、
PMDAの協力が不可欠
臨床開発で活用する構想。厚生労働省の
臨床開発環境整備推進会議を中心に検討
承認申請や安全対策に役立てるため、
を進めている。CIN 特別研究班は、各 NC
「医薬品医療機器総合機構(PMDA)と共に
での患者レジストリの取り組みを横串で
取り組まなければならない」とも語り、患
評価し、問題点などを整理した。
者レジストリの登録項目や規制要件への適
武田氏は、CIN 構築に向けて具体的に取
合性などを検討する上で、「PMDA の協力
り組むべきこととして、治験の比較対象群
が不可欠」と強調した。
として自然歴(疾病が進行する経過)を得
このほか、製薬企業にとって利活用しや
るためのレジストリ構築を挙げ、「患者が
すくするための環境整備として、倫理的課
少なく、対象疾病の全貌をつかみやすい希
題の解決や改正個人情報保護法下での安全
少疾病や難病での医薬品開発がひな型にな
性担保などが必要と指摘。
「ある一定の水
り得る」との見方を示した。その上で「本
準を満たした患者レジストリの構築が求め
来なら希少疾病は対象患者がとても少なく
られる」と述べ、統一的なルールの策定を
一般的な二重盲検比較試験の実施がとても
訴えた。
2016.5.1~5.15
株式会社じほう
1
〒 101-8421 東京都千代田区猿楽町 1-5-15 猿楽町 SS ビル TEL 03-3233-6351
INDEX
2016 年 5.1-5.15
regulation
サノフィのPCSK9「プラルエント」など審議へ
3
2成分のオーファン指定も審議へ
3
臨床研究法案を閣議決定
4
R&D
ポリオワクチンを開発・供給へ ゲイツ財団が資金助成
5
JIT、角膜内皮治療薬の特許実施権取得
5
核酸医薬開発で出資先と米ファイザーが提携
5
米アキュセラの糖尿病網膜症治療薬、米でP2試験入り
6
武田薬品、糖尿病性腎症治療薬TAK-648の開発中止
6
前立腺肥大症治療薬の開発中止
6
細胞治療薬の開発で英社と契約
6
「スチバーガ」、切除不能肝細胞がんで全生存期間延長
7
米国でベンチャーキャピタル設立 がん領域への投資図る
7
キッセイ薬品、慢性便秘症薬KWA-0711は開発中止
7
バクスアルタ、特許権めぐり中外を提訴
8
20年に売上高倍増、がん大型品を続々投入
8
新規抗がん剤キザルチニブ「勝算ある」
9
キョーリンHDが新中計、
「創薬力を強化」
10
米メルクと東京大、創薬共同研究で提携
10
前立腺がん進行リスクとPROに有意な相関
10
キョーリン・穂川社長、
「キプレス・クリフ」克服に意欲
11
エーザイ・内藤CEO、国内医薬品10%増収は新薬重点化で
11
申請・承認
「ハラヴェン」、欧州で進行性脂肪肉腫の適応取得
13
「オプジーボ」、台湾でも承認取得
13
「オプジーボ」、頭頸部扁平上皮がんでFDAがBT指定
13
参天製薬のDE-109、EMA申請を取り下げ
13
新規骨粗鬆症薬ロモソズマブ、16年度中に国内申請
14
16年度の承認予定品目を公表
14
「レミケード」、乾癬で増量・投与間隔短縮が可能に
中外のセルセプト、
「ループス腎炎」の適応追加 後発品も
15
15
臨床・学会
ゲノム個別化医療と希少がんの体制強化へ
創薬 NEWS
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16
2
regulation
regulation
5/13
R&D
申請・承認
臨床・学会
先端研究
サノフィのPCSK9「プラルエント」など審議へ
27 日に第一部会、「レパーサ」と同じ位置付け
厚生労働省は 27 日、薬事・食品衛生審議会医薬品
第一部会を開き、サノフィの PCSK9 阻害剤「プラル
オーファン指定の 2 題も審議
エント皮下注 75mg ペン」
「同 150mg ペン」
「同 75mg
オーファン指定済みの 2 題は、アッヴィの抗パー
シリンジ」
「同 150mg シリンジ」
(一般名=アリロク
キンソン病配合剤「デュオドーパ配合経腸用液」
(レ
マブ < 遺伝子組換え >)を審議する。プラルエント
ボドパ / カルビドパ水和物)と、マルホの「ヘマンジ
は、4 月に薬価収載したアステラス・アムジェン・
オルシロップ小児用 0.375%」
(プロプラノロール塩
バイオファーマの PCSK9 阻害剤「レパーサ」
(エボ
酸塩)。デュオドーパの効能・効果は「レボドパ含有
ロクマブ < 遺伝子組換え >)と同じ位置付けになる
製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られな
との想定。ただ、レパーサは用法が「2 週に 1 回」と「4
いパーキンソン病の症状の日内変動の改善」。ヘマ
週に 1 回」があるのに対し、プラルエントは「2 週に
ンジオルの効能・効果は「乳児血管腫」。
1 回」のみで審議する。
同日の審議事項は、希少疾病用医薬品の指定を除
くと計 4 題で、新有効成分含有医薬品がプラルエン
アッヴィのクローン病薬の増量追加など
2 題報告
トを含む 2 題、オーファン指定済みが 2 題。
報告事項は 2 題で、アッヴィのクローン病薬「ヒュ
プラルエントの効能・効果はレパーサと同じく「家
ミラ皮下注 40mg シリンジ 0.8mL」
(アダリムマブ <
族性高コレステロール血症と高コレステロール血症。
遺伝子組換え >)の効能・効果に「効果が減弱した場
ただし心血管イベントの発現リスクが高くHMG-
合には 1 回 80mg に増量できる」を追加することと、
CoA 還元酵素阻害剤(スタチン)で効果不十分な場
大塚製薬工場の高カロリー輸液の「エルネオパ NF1
合に限る」。レパーサについては、厚労省が医療課
号輸液、他」の承認。
長通知(保医発 0419 第 1 号)を出し、家族性高コレス
テロール血症以外の患者に使う場合に、心血管イベ
ミカトリオの再審議、20 日までに判断
ントの発現リスクが高いと判断した具体的な理由の
5/13
記載を求めるなど適正使用を強く求めている。
承認可否が継続審議となっている日本ベーリン
ユーシービージャパンの抗てんかん薬「ビムパッ
ガーインゲルハイムの降圧 3 成分配合剤「ミカトリ
ト錠 50mg」
「同 100mg」
(ラコサミド)は新有効成分
オ」
(テルミサルタン / アムロジピンベシル酸塩 / ヒ
含有医薬品で、効能・効果は「他の抗てんかん薬で
ドロクロロチアジド)を同日の第一部会の議題にす
十分な効果が認められていないてんかん患者の部分
るかどうかは、20 日までに判断する。3 成分を併用
発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんか
している患者数の処方実態データなどがまとまらな
ん薬との併用療法」。
ければ、7 月以降に再審議する。
2成分のオーファン指定も審議へ
27 日の第一部会
27 日の医薬品第一部会では、日本新薬のセレキ
塞栓性肺高血圧症」。
シパグ(一般名)と、ジェンザイム・ジャパンのパチ
パチシランは、進行性の致死的な神経疾患であ
シランの希少疾病用医薬品指定も審議する。
る「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリ
セレキシパグの予定する効能・効果は「外科的治
ニューロパチー」を効能・効果とする。
療不適応か外科的治療後に残存・再発した慢性血栓
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3
regulation
regulation
5/13
R&D
申請・承認
臨床・学会
先端研究
臨床研究法案を閣議決定
政府
政府は 13 日、臨床研究法案を閣議決定した。塩
イアンスを大事にしながらしっかりと進める環境整
崎恭久厚生労働相は閣議後の会見で、「日本は研究
備という意味において、大変重要な法案ではないか
開発力が大変ある国だが、それを適正に、コンプラ
と思う」と述べた。
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regulation
5/9
R&D
R&D
申請・承認
臨床・学会
先端研究
ポリオワクチンを開発・供給へ ゲイツ財団が資金助成
武田薬品
武田薬品工業は 9 日、発展途上国でのポリオ(急
活化ワクチンを導入しており、単価ワクチンとして
性灰白髄炎)の根絶を目指し、ビル&メリンダ・ゲ
開発を進め、Gavi(ワクチンと予防接種のための世
イツ財団から 3800 万ドル(約 40 億 6600 万円)の資金
界同盟)の援助を受けている途上国各国で承認を取
助成を受け、セービン株不活化ポリオワクチンの開
得する方針。承認取得後は同社光工場(山口県光市)
発や承認取得に向けた取り組みを行うと発表した。
で少なくとも年間 5000 万本を製造し、70 以上の途上
今回の取り組みは、同社と同財団が締結した事業
国へ供給することを計画している。同社は「
(途上国
提携契約に基づくもの。武田薬品は、2008 年に日本
が)入手可能な価格で供給する」としている。
ポリオ研究所(当時)との契約により、セービン株不
5/9
JIT、角膜内皮治療薬の特許実施権取得
同志社大から
5/9
デ・ウエスタン・セラピテクスは 9 日、連結子会
化合物群が特許で保護される。
社の日本革新創薬(JIT)が、同志社大が出願してい
同発明は、同志社大が開発した画期的な病態モデ
る角膜内皮治療薬に関する特許の独占的実施権を取
ルを用いた薬効評価によって見いだされたもので、
得したと発表した。対象地域は全世界。今回の契約
このモデルにより新薬候補化合物の薬効評価を効率
締結により、JIT が同志社大に対して契約一時金と
よく行うことが可能になるという。
ロイヤルティーを支払う。
重度の視覚障害が発生する角膜内皮疾患に対す
出願中の特許は、特定の作用を持つ化合物群が角
る治療法が角膜移植しか存在しない現状を踏まえ、
膜内皮疾患の治療薬として使えることを示した同志
JIT は同志社大と新薬の開発を目指した共同研究を
社大の発明を基にしたもので、成立すればそれらの
行っている。
核酸医薬開発で出資先と米ファイザーが提携
新日本科学
新日本科学は 9 日、同社が創業し、現在は投資先
としてウェーブ社に支払う。さらに契約で定めた 5
となっている米ウェーブライフサイエンシズ社が、
つの新薬開発プログラムの各ステージに応じたマイ
米ファイザーと核酸医薬の共同研究開発契約を交わ
ルストーン報酬(最大 8 億 7100 万ドル)や、売上高
したと発表した。ウェーブ社が特許を持つ立体選択
に応じたロイヤルティーも支払う。
的な核酸合成技術に対し、ファイザーが契約時の支
ウェーブ社は昨年 11 月に米ナスダック市場に上
払いと開発ステージに応じたマイルストーン報酬で
場済み。現在は持分法適用会社からも外れている
最大 9 億 1100 万米ドル(約 1002 億円)と、売上高に
が、今回の契約により新日本科学の持ち株比率は
応じたロイヤルティーを支払う。
23.12%(ファイザーの増資前)から 21.54%(ファイ
契約によると、ファイザーは契約時に 4000 万ド
ザーの増資後)となった。今回の契約でウェーブ社
ルをウェーブ社に投じる。そのうち 3000 万ドルを
の時価総額が上がれば、新日本科学の業績にもプラ
増資引き受けに充て、残りの 1000 万ドルを一時金
スの影響が出る。
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regulation
5/9
R&D
R&D
申請・承認
先端研究
米アキュセラの糖尿病網膜症治療薬、米でP2試験入り
米アキュセラ・インクは、増殖糖尿病網膜症など
じたサイトカインの発現レベルの変化や網膜の血管
をターゲットとして大塚製薬と共同開発を進めてい
新生の変化などを評価する。4 月に被験者の登録を
るエミクススタト塩酸塩(一般名)について、米国
開始している。
で重度の増殖糖尿病網膜症を対象とした臨床第 2 相
同剤は他の疾患もターゲットとしており、地図状
(P2)試験を開始したと発表した。
5/10
臨床・学会
萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性治療薬候補として
同剤は、網膜が光を電気信号に変換する視覚サイ
米 FDA(食品医薬品局)から、画期的新薬に対する
クルに作用する酵素である RPE65 を抑制し、網膜
優先的審査が可能となるファストトラック認定を受
の健康維持に有用とされる低分子化合物。P2 試験
けている。またウエット型加齢黄斑変性、糖尿病黄
では同剤を 1 日 1 回、3 カ月間投与し、重症度に応
斑浮腫などの適応拡大も検討している。
武田薬品、糖尿病性腎症治療薬TAK-648の開発中止
戦略の見直しで
5/10
武田薬品工業は 10 日、決算発表に合わせ、開発
ついて、米 FDA(食品医薬品局)から現時点では承
品の進捗状況を公表した。臨床第 1 相(P1)試験の
認しないことを通知する「コンプリート・レスポン
段階にあった糖尿病性腎症治療薬 TAK-648 の開発
ス・レター」を受領した。
が中止となった。
開発が進展した品目もあった。そのうち LH-RH
同社は今年 1 月、糖尿病を含む代謝領域で新規の
アンタゴニスト TAK-385 は、日本で開発を進めて
研究を行わないなど研究開発戦略を見直す方針を打
いる子宮筋腫の適応の開発ステージが P3 試験と
ち出したが、それを受けた初の開発中止となる。
なった。
また米国で販売している大うつ病治療剤「ブリン
またクローン病がターゲットであるRORγtイン
テリックス」の添付文書に、成人大うつ病患者の認
バースアゴニストTAK-828と、固形がんを適応とする
知機能への効果に関する臨床成績を追記することに
CDC7阻害薬 TAK-931ががともにP1試験入りした。
前立腺肥大症治療薬の開発中止
Meiji Seika ファルマ
5/10
Meiji Seika ファルマは、臨床第 2 相(P2)試験段
いる。
階にある前立腺肥大症治療薬 ME3113(開発コード、
同剤は韓国の製薬企業である東亞 ST が創出した
国際一般名=ウデナフィル)の開発を中止したと発
5 型ホスホジエステラーゼ(PDE5)選択的阻害剤。
表した。P2 試験の成績を踏まえ、「開発妥当性を総
Meiji Seika ファルマは 2011 年 9 月に同社とのライセ
合的に検討した結果、開発中止を決定した」として
ンス契約を締結し、日本国内での開発を進めていた。
細胞治療薬の開発で英社と契約
第一三共
第一三共は 10 日、他家細胞治療薬「Heartcel」の
イセンス契約を締結したと発表した。
日本での開発と販売について、Heartcel を開発した
Heartcel は、健常人から単離した分化能を持つ体
英国の Cell Therapy 社から独占的実施権を得るラ
性幹細胞を培養し、心臓特異的に治療効果を示すよ
創薬 NEWS
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6
regulation
R&D
R&D
申請・承認
臨床・学会
先端研究
う加工されており、心筋に投与することで虚血性心
行う。第一三共が契約一時金のほか各種のマイルス
不全に対する治療効果が期待できるという。
トーン、販売ロイヤルティーを Cell Therapy 社に
今回の契約締結で、日本での開発・販売を第一三
支払う。
共が行い、治験用と商用生産を Cell Therapy 社が
「スチバーガ」、切除不能肝細胞がんで全生存期間延長
5/10
独バイエルが国際 P3 結果
5/10
独バイエルは10日までに、ソラフェニブ(日本製品
患者はレゴラフェニブ 160mg またはプラセボを 1 日
名「ネクサバール」)による治療後に病勢が進行した切
1 回 3 週間服用した後、1 週間休薬する 28 日を 1 サイ
除不能の肝細胞がんを対象とした経口マルチキナー
クルとした治療を受けた。主要評価項目は OS。副
ゼ阻害剤レゴラフェニブ(
「スチバーガ」)の国際共同
次的評価項目は無増悪期間、無増悪生存期間、奏効
臨床第 3 相試験「RESORCE」で、主要評価項目とした
率、病勢コントロール率。
全生存期間(OS)の延長を達成したと発表した。
試験結果の詳細は明らかにしていないが、
「安全
RESORCE 試験は日本、米国、欧州などで実施。
性と忍容性はレゴラフェニブの既知プロファイルと
573 例を評価した。試験では、レゴラフェニブ群と
おおむね一貫していた」と説明。詳細な解析結果は
プラセボ群を 2 対 1 の割合で無作為に割り付けた。
今後の医学会で発表する予定としている。
米国でベンチャーキャピタル設立 がん領域への投資図る
大鵬薬品
大 鵬 薬 品 工 業 は 10 日、 バ イ オ ベ ン チ ャ ー へ の
を中心にグローバルに投資を展開する方針で、当初
出資を行うコーポ レ ー ト ベ ン チ ャ ー キ ャ ピ タ ル
の投資規模は 5000 万ドル(約 54 億 4300 万円)。
「Taiho Ventures, LLC」を 4 月 15 日付で米カリフォ
5/11
同社はこれまでにも、オープンイノベーション
ルニア州に設立したと発表した。
ファンドである Remiges Fund に出資している。オ
がん領域での革新的新薬の研究開発や創薬基盤技
ンコロジー領域中心の Taiho Ventures と、創薬に
術の開発を手掛けるバイオベンチャーへ投資するな
特化して投資する Remiges Fund を通じて「さらな
ど、ベンチャー企業の発展を支援する。日本や欧米
る創薬力の強化を図る」としている。
キッセイ薬品、慢性便秘症薬KWA-0711は開発中止
消化器領域の本格参入、別品目で
キッセイ薬品工業は 11 日の決算会見で、国内で
ソニド注腸フォーム製剤 AJG511 は 2016 年度の申請
進めていた慢性便秘症治療薬 KWA-0711 の開発を
を、経口α 4 インテグリン阻害剤 AJM300 は 18 年度
中止したことを明らかにした。
の申請を目指しており、KWA-0711 に代わって、こ
KWA-0711 は自社創製品。承認にこぎ着ければ消
れらが消化器領域への本格参入の足がかりとなる可
化器領域への本格参入となるため注目されていた
能性がある。
が、臨床第 2 相(P2)試験で有効性は示されたもの
同日の会見では、
その他の開発品目の状況も説明。
の、市販後に安全性を十分に担保できない可能性が
国内で P3 試験段階にある品目のうち、シェーグレ
あることが分かったため、中止を決めた。
ン症候群に伴うドライアイ治療薬 KCT-0809 は 18 年
ただ、同社は、EA ファーマと潰瘍性大腸炎治療
度の申請を、杏林製薬と共同開発・販売契約を結ん
薬 2 品目の共同開発・販売契約を締結して導入。い
で導入した過活動膀胱治療薬 KRP-114V は 18 年度
ずれも国内 P3 試験の段階にあるが、このうちブデ
の発売をそれぞれ目指している。
創薬 NEWS
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regulation
R&D
R&D
申請・承認
臨床・学会
先端研究
2012 年に製造販売元のファイザーに販売移管す
ある(申請時期は非開示)。また同剤に続く中枢神
るまで扱っていたパーキンソン病治療薬「カバサー
経領域の製品として、自社創製のパーキンソン病治
ル」以来の中枢神経領域の製品として開発中の脊髄
療薬 KDT-3594 が新たに P1 試験入りした。
小脳変性症治療薬 KPS-0373 も国内で P3 試験段階に
5/11
バクスアルタ、特許権めぐり中外を提訴
血友病 A の新薬候補物質で
5/11
中外製薬は 11 日、同社が開発中の血友病 A に対
当たらないものと確信しており、裁判で当社の正当
する新薬候補物質 ACE910(開発コード、一般名=
性を主張していく」としている。
エミシズマブ)について、米バクスアルタとスイス・
中外製薬によると、バクスアルタは自社の保有
バクスアルタから特許権侵害差止請求訴訟を東京地
特許に抵触するとして、エミシズマブの製造や使
裁に提起されたと発表した。
用、譲渡、輸出などの差し止めのほか、廃棄を求
中外製薬は今回の訴訟に対し「特許権の侵害には
めている。
20年に売上高倍増、がん大型品を続々投入
AZ・ベルチ社長「パテントクリフは起きない」
る考えだ。
今年は第 3 世代 EGFR チロシンキナーゼ阻害剤
「タグリッソ」のほかに、経口抗血小板剤「ブリリン
タ」の発売を見込む。イレッサなどの EGFR チロシ
ンキナーゼ阻害剤に耐性を獲得した非小細胞肺がん
患者の約 6 割には、T790M 遺伝子変異が現れるこ
とが分かっており、タグリッソはこうした患者への
効果が期待される。すでに承認済みで、薬価収載後
アストラゼネカのガブリエル・ベルチ社長(4 月 25 日、都内)
に発売する。
17 年には、卵巣がんに対する世界初の分子標的
アストラゼネカ(AZ)のガブリエル・ベルチ社長
治療薬として、PARP 阻害剤オラパリブと、重症喘
は日刊薬業の取材に応じ、2020 年までに日本法人
息や COPD などの治療薬として開発中の IL-5 受容
の売上高倍増を目指す考えを示した。昨年 11 月に
体抗体ベンラリズマブを発売する予定。オラパリブ
は長期的な業績目標として「年率 1 桁台前半%の増
はがん細胞の DNA 損傷修復を阻害し合成致死を誘
収」を打ち出しており、数値目標を大幅に上方修正
引する薬剤で、乳がんなどへの適応拡大も狙う。現
した。
在は国内で承認申請準備中だ。
成長ドライバーはがん領域だ。今年から 20 年ま
がん領域ではその後も大型品がめじろ押しだ。が
で、がん領域を中心に毎年 2 品目以上の新薬を発売
ん免疫療法では、PD-L1 チェックポイント阻害剤
する計画。現在、日本法人の売上高に占めるがん領
デュルバルマブと、CTLA-4 チェックポイント阻害
域の比率は 3 ~ 4 割程度だが、さまざまな機序の抗
剤トレメリムマブの併用療法に期待する。デュルバ
がん剤を投入し、20 年までに売上比率を 60%に高
ルマブは、PD-L1 バイオマーカーが陽性の患者に対
める。
しては単剤でも高い効果を期待できるが、陰性患者
がん領域の現在の主力品は「イレッサ」や「ゾラ
の場合は全奏効率は 5%にとどまってしまう。しか
デックス」などだが、ベルチ社長は「日本でパテン
しデュルバルマブとトレメリムマブを併用すれば、
トクリフは起きない」と指摘する。イレッサが特許
陰性患者でも全奏効率が 38%に上がるとのデータ
切れになる前に新薬を投入し、成長率をさらに高め
が昨年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表された。
創薬 NEWS
2016.5.1~5.15
8
regulation
R&D
R&D
申請・承認
PD-L1 陰性例は非小細胞肺がん患者全体の 6 ~ 7 割
を占めると見られ、潜在的な市場規模は大きい。
ベルチ社長は「併用療法の開発速度は他社を上
5/12
臨床・学会
先端研究
がん専門 MR は約 300 人
さらに増員へ
回っている。国内でファースト・イン・クラスを期
ベルチ社長は、現在約 300 人のがん専門 MR を抱
待している」と述べた。免疫療法では、この他にも
えていることも明かした。さらなる MR 増員の可能
OX40 など、さまざまな標的で併用療法の実用化を
性については「多分、そうなる(増員する)」と述べ
狙っている。
た。だが、
現時点では具体的な計画は立てていない。
不可逆的経口ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤
開発品の試験成績を見ながら陣容を決める方針だ。
アカラブルチニブも開発品に加わった。AZ はこれ
メディカル・サイエンス・リエゾン(MSL)も拡充
まで血液がん分野の開発品を持っていなかったが、
する。現在は約 80 人体制だが、今後 100 人に増員す
オランダのアセルタ・ファーマを買収したことで、
る。ベルチ社長は「古くからあるアスピリンのよう
血液がんもカバーできるようになった。このほかに
に、薬の使い方が確立している領域ならば MSL は
抗体薬物複合体などの開発品も持っている。
要らない。だが、がんは複雑だ。どのような患者に
ベルチ社長は「現在、日本では 28 件の抗がん剤治
薬剤が効くか、副作用をどう管理するか、高額な薬
験を実施している。国内最大数だ。近い将来、AZ
剤を無駄にしないためにはどうするか。個別化療法
のビジネスの大半はがん領域の製品群になるだろ
に対応する必要があり、学術的に説明できる人が必
う」と述べた。
要だ」と語った。
新規抗がん剤キザルチニブ「勝算ある」
開発品で第一三共・中山社長
第一三共の中山讓治社長は 12 日の決算説明会で、
AXL 阻害剤 ASP2215(ギルテリチニブ)を開発中。
がん領域の新薬開発の進捗状況などを説明した。競
海外の開発ステージは両剤ともに臨床第 3 相(P3)
合他社と開発競争を繰り広げている新規作用機序の
試験だが、日本では ASP2215 は P3 試験、キザルチ
急性骨髄性白血病(AML)治療薬キザルチニブにつ
ニブは P1 試験となっている。さらに ASP2215 は、
いて「勝算はある」と述べた。
先駆け審査指定制度の対象にもなっている。このよ
同社は今年度からスタートした新中期経営計画
うな状況の中で、キザルチニブを将来的に大型製品
で、がん事業の立ち上げ・確立を事業戦略の柱の一
に育て上げられるかどうかについて中山社長は「わ
つに据えた。後期開発品の上市や初期開発品の着実
れわれなりの勝算があって獲得した。今はそのプラ
な開発推進、外部からの製品・開発品の獲得などに
ンを実現できると思っている」と語った。
より、同事業の売上収益を 2020 年度に 400 億円以上
に、25 年度には 3000 億円規模に拡大させることを
がん領域のポートフォリオ戦略を見直しへ
目指している。キザルチニブは主要な後期開発品の
一つに位置付けており、ピーク時に 1000 億円規模
同日の説明会には、4 月にオンコロジー研究開発
の売り上げを期待している。
グローバルヘッドに就任したアントワン・イヴェル
同剤は、アステラス製薬が“戦略上の理由”から
氏も出席。がん事業の立ち上げ・確立を成功に導く
開発途中で権利を手放した FLT3-ITD 阻害剤。その
ため、英アストラゼネカでがん領域グローバル開発
後、権利が戻った米アンビット社を第一三共が買収
ヘッドを務めた経験などを生かし、がん研究開発
したため、現在は第一三共が開発を手掛けている。
ポートフォリオ戦略の見直しなどさまざまな変革に
一方、同剤を手放したアステラス製薬は、FLT3/
取り組む考えを示した。
創薬 NEWS
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R&D
申請・承認
臨床・学会
先端研究
キョーリンHDが新中計、
「創薬力を強化」
新薬群比率を 50%以上に
キ ョ ー リ ン 製 薬 ホ ー ル デ ィ ン グ ス は 12 日、
ドや遺伝子治療といった新技術を活用することで、
2016 年 度 か ら の 4 カ 年 に わ た る 新 中 期 経 営 計 画
ファースト・イン・クラス創薬につなげる。
「HOPE100 ―ステージ 2 ―」を公表した。事業戦略
新薬群比率の引き上げでは、開発中のデスロラタ
として、創薬力の強化とともに国内の新薬群の比率
ジン、KRP-AM1977X(開発コード)など 4 品目を
を「19 年度には 50%以上」にまで高める目標を掲げ
19 年度中に上市させる。現在販売している喘息治
た。一方で、後発医薬品事業に関しては、オーソラ
療配合剤「フルティフォーム」と合わせ製品普及の
イズド・ジェネリックの積極的な取り組みを進める
最大化を目指す。
ほか、グループ内で新薬を取り扱うメリットを生か
また、
国内外の製薬企業やアカデミア、
ベンチャー
し機動的な事業展開を行う方針を重点戦略として打
などとのオープンイノベーションを積極的に推進す
ち出している。
るほか、オリジナル新薬のグローバル展開と開発の
創薬力の強化に関しては「ファースト・イン・ク
加速化に向けて、グローバルパートナーとの早期提
ラス創薬への取り組み」を掲げた。呼吸器科や耳鼻
携を目指す。
科、泌尿器科といった FC 領域で、創薬ターゲット
具体的な業績の成果目標では、連結売上高の年
を見いだし、低分子をベースとした、キナーゼや受
平均成長率 3%以上、連結営業利益率 15%以上を目
容体などの既存の創薬プラットホームと、ペプチ
指す。
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米メルクと東京大、創薬共同研究で提携
米メルクと東京大は 12 日、創薬共同研究に関す
薬プラットホームやグローバルネットワークと組み
る戦略的パートナーシップ契約を結んだと発表し
合わせ、グローバルレベルのオープンイノベーショ
た。MSD は、東京大トランスレーショナル・リサー
ンを実践する。
チ・イニシアティブ(TR 機構)の「リサーチマッピ
また東京大と MSD の間で新規プロジェクトを発
ングシステム」を通して、東京大が持つ学術研究成
掘するための協議体を持ち、革新的な新薬の創出を
果にアクセスできるようになる。これを MSD の創
目指す。
前立腺がん進行リスクとPROに有意な相関
「ザイティガ」併用 P3 事後解析で
ヤンセンファーマは 11 日、前立腺がん治療剤「ザ
験(302 試験)で、301 試験については mCRPC と診
イティガ」について、転移性去勢抵抗性前立腺がん
断された化学療法の治療歴がある患者が含まれてお
(mCRPC)に対するプレドニゾロンとの併用療法を
り、302 試験では、無症状か症状が軽度の化学療法
検討した 2 つの臨床試験の事後解析結果から、疾患
の治療歴がない患者を対象としている。
の進行リスクと患者報告アウトカム(PRO)との間
PRO の評価項目は、患者自身が訴える痛みの変
に有意な相関があることが明らかになったと発表し
化や症状、身体的健康状態など。評価ではこれらに
た。データは 4 月 23 日から仙台市で開かれた日本泌
加え、がんの転移や腫瘍増悪の状況といった臨床的
尿器科学会で報告された。
なイベントアウトカムを画像所見上の増悪と関連付
今回検討対象としたのは、ザイティガとプレドニ
けて評価した。
ゾロンの併用療法に関する国際臨床第 3 相試験であ
301 試験の結果からは PRO に改善がみられた患
る COU-AA-301 試 験(301 試 験 )と COU-AA-302 試
者の死亡リスクと画像所見上の増悪リスクが、PRO
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申請・承認
臨床・学会
先端研究
が悪化あるいは一定だった患者に比べ有意に低値
者は、PRO が改善あるいは一定だった患者に比べ、
だった。302 試験のデータでは、PRO が悪化した患
画像所見上の増悪リスクが有意に高かった。
キョーリン・穂川社長、
「キプレス・クリフ」克服に意欲
AG でシェア 5 割以上目指す 新薬 4 品上市も
キョーリン製
チャネル」で併売する予定。初年度の販売目標は 19
薬ホールディン
億円に設定した。穂川社長は「将来的に主力品の一
グスの穂川稔社
つに育成したい」と述べた。
長は 13 日会見し、
18 年度にはキノロン系合成抗菌剤のラスクフロ
2016 ~ 19 年 度 の
キサシン(経口剤)を上市する計画。グラム陽性菌
4 カ年中期経営計
から陰性菌、非定型菌まで幅広い抗菌スペクトラム
画「HOPE100 ―
を示し、嫌気性菌にも強力な抗菌活性を持つ。高い
安全性も期待されている。19 年度には注射剤も発
ス テ ー ジ 2 ―」に
ついて説明した。
15 年度に 441 億円
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キョーリン製薬 HD 穂川社長(13 日、
都内)
売する予定。
3 番手は過活動膀胱治療剤のビベグロン。選択的
を売り上げた主力品「キプレス」
(一般名=モンテル
β 3 アドレナリン受容体作動薬で、副作用や薬物相
カストナトリウム)の特許が切れ、今年 12 月には後
互作用の少なさが特長となりそう。キッセイ薬品工
発医薬品が参入する見通し。
「キプレス・クリフ」を
業と共同開発・販売する。穂川社長は「『ベタニス』
どう乗り越えるかが課題だ。
に追いつけ、追い越せ」と意気込みをみせた。
後発品対策として、同社はキプレスのオーソライ
これら 3 成分はいずれも売上高 100 億円の製品に
ズドジェネリック(モンテルカストAG)を投入する。
育てたい考え。フルティフォームも合わせて新薬の
6 月の薬価収載後に発売する予定。他の後発品より
最大化を図り、19 年度には新薬群の売上構成比を
先行投入できるメリットを生かし、後発品市場シェ
50%以上に回復させる計画だ。
アの 50%以上の獲得を目指す。キョーリン リメディ
海外展開も強化する。他社との協業を通して、
オと杏林製薬が一体となって情報提供を行う。
ASEAN(東南アジア諸国連合)を中心に医療用医
次期主力品の「フルティフォーム」も市場シェア
薬品とヘルスケア事業の直接進出を目指す。また自
の 30%獲得に向けて育成する。16 年度の売上予想
社研究品目を欧米企業に導出する時期を早め、海外
は 129 億円(前期比 57 億円増)。競合品とはデバイ
からの収入獲得を狙う。創薬研究では新奇な創薬
スが異なるため、当初目標を達成できない状況が続
ターゲットを見出し、低分子を中心とした既存技術
いているが、
「時間をかけてじっくりプロモーショ
のほかに、ペプチドや遺伝子治療などの新技術も活
ンしていく」という。
用してファースト・イン・クラスの新薬を作り出す。
16 ~ 19 年度には 3 成分 4 品目の新薬発売を計画す
中計期間内に 1 品目以上の新規研究開発テーマを導
る。トップバッターはアレルギー性疾患治療薬のデ
出し、グローバル企業との早期提携を目指す。米ブ
スロラタジンで、年内の承認取得と販売を目指す。
リストル・マイヤーズ スクイブに導出した FPR2 作
1 日 1 回投与型で、有効性と安全性のバランスが取
動薬プログラムや、スイス・ノバルティスに導出し
れているという。杏林製薬と MSD が「1 物 1 名称 2
た KRP-203 の開発進捗にも期待している。
エーザイ・内藤CEO、国内医薬品10%増収は新薬重点化で
エーザイの内藤晴夫 CEO は 13 日の決算説明会
比を 52%まで高めることで目標達成を果たしたい
で、2016 年度の売上収益 10%増を見込む国内医薬
との意向を表明した。
品事業について、新薬創出加算品目の国内売上構成
創薬 NEWS
2016.5.1~5.15
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regulation
R&D
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申請・承認
臨床・学会
先端研究
「(消化器領域で味の素と設立した)EA ファーマの
寄与もあるが、これをしっかり実施して(国内売り
上げ 10%増の)成長を果たす計画だ」と強調した。
「フラッグシップドラッグ」として掲げる 13 品目
についても言及した。このうち、アルツハイマー型
認知症(AD)治療剤として米国で開発を進めている
E2609(開発コード)については、16 年度中の臨床
決算内容を説明する内藤 CEO(13 日午後、同社)
第 3 相(P3)試験開始に向けた準備に着手したと説
明。BAN2401(同)についても順調に P2 試験が進
同社の新薬創出加算品目は、抗がん剤の「ハラ
行中であると強調した。その上で「2 剤併用療法の
ヴェン」
「レンビマ」
「トレアキシン」
「ギリアデル」
可能性を含めて、開発シナリオを検討中だ」と述べ、
のほか、ヒト型抗ヒト TNF- αモノクローナル抗体
共同開発しているバイオジェン社との協議を進めて
「ヒュミラ」、疼痛治療剤「リリカ」など提携品も含
いるとした。
めると 13 品目に上り、国内売り上げに占める割合
また、不眠症治療剤として米国で開発しているオ
は 44%。一方、長期収載品の比率は 41%となって
レキシン受容体拮抗剤 E2006(開発コード、一般名
いる。
=レンボレキサント)については、高齢者の睡眠障
内藤 CEO は「13 品目に加え、(新薬として)
『フィ
害を念頭に置いた P3 試験を開始予定であるとした
コンパ』が加わってくる。これらをしっかり拡大し
ほか、AD に伴う「睡眠覚醒断片化」を新規適応とす
ていくことが大きな眼目になる」と述べ、新薬創出
る P2 試験も今年度開始する方針を示し、
「ファース
加算品目の売上構成比を引き上げるとともに、長期
ト・イン・クラスの化合物となると考えている」と
収載品の比率を 35%に引き下げていく考えを強調。
述べた。
創薬 NEWS
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R&D
申請・承認
申請・承認
臨床・学会
先端研究
「ハラヴェン」、欧州で進行性脂肪肉腫の適応取得
5/6
エーザイ
エーザイは 6日、抗がん剤「ハラヴェン」
(一般名=
抗がん剤治療(不適な場合を除く)を含む化学療法の
エリブリンメシル酸塩)が欧州委員会から進行性脂肪
前治療歴のある手術不能な成人の脂肪肉腫」。進行
肉腫に対する適応症を追加取得したと発表した。適
性乳がんに続く、2 つ目のがん腫となる。ハラヴェン
応症は「進行または転移性で、アントラサイクリン系
の 2015 年度全世界予想売上高は 435 億円。
「オプジーボ」、台湾でも承認取得
5/9
小野薬品
小野薬品工業は 9 日、抗 PD-1 抗体「オプジーボ」
認を取得したと発表した。
(一般名=ニボルマブ)について、子会社の台灣小
上市後はブリストル・マイヤーズ スクイブ社と
野藥品工業(台湾小野)が「切除不能または転移性悪
2014 年 7 月に締結した戦略的提携関係に基づき、台
性黒色腫」および「進行・再発の扁平上皮非小細胞肺
湾小野と台湾 BMS が共同で販売する。製造は小野
がん」の治療薬として、台湾食品薬物管理局から承
薬品が担当し、完成品を台湾小野に供給する。
「オプジーボ」、頭頸部扁平上皮がんでFDAがBT指定
5/9
米ブリストル・マイヤーズ スクイブは 9 日まで
基づくもの。同試験の対象は、プラチナ製剤による
に、抗 PD-1 抗体「オプジーボ」
(一般名=ニボルマ
治療後 6 カ月以内に腫瘍が進行した再発または転移
ブ)が、治療歴を有する再発または転移性頭頸部扁
性 SCCHN。オプジーボは 3 種類の標準治療と比べ、
平上皮がん(SCCHN)の適応で、米 FDA(食品医
主要評価項目である全生存期間を有意に延長した。
薬品局)からブレークスルーセラピー(BT)指定を
試験は独立データモニタリング委員会の評価によ
受けたと発表した。
り、2016 年 1 月に早期有効で中止された。
指定は臨床第 3 相試験「CheckMate-141」の結果に
5/11
参天製薬のDE-109、EMA申請を取り下げ
追加の試験データで再申請へ
参天製薬は 11 日、慢性非感染性後眼部ぶどう膜
の議論に基づき、同社が決定した。現在行われて
炎を対象として欧州医薬品庁(EMA)へ医薬品販売
いる申請は、国際共同臨床第 3 相試験「SAKURA1」
承認申請を行っている DE-109(開発コード、一般
のデータに基づく。2 つ目の臨床第 3 相試験である
名=シロリムス)について、現在の承認申請をいっ
「SAKURA2」の終了後に、2 つの試験結果に基づい
たん取り下げ、追加の臨床試験データを踏まえて再
て EMA へ再申請を行うほか、全世界での認可を目
申請すると発表した。
指す予定。
今回の申請取り下げは、EMA の医薬品委員会と
創薬 NEWS
2016.5.1~5.15
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regulation
5/11
R&D
申請・承認
申請・承認
臨床・学会
先端研究
新規骨粗鬆症薬ロモソズマブ、16年度中に国内申請
アステラス製薬
5/11
アステラス製薬は 11 日の決算会見で、国内でア
確認されたものの、製剤上の新たな検討課題(注射
ステラス・アムジェン・バイオファーマと共同開発
部位反応)が発生し、製剤の製造過程や剤形に関す
を進めている新規骨粗鬆症治療薬ロモソズマブに
る検討が必要になったため、後退を余儀なくされて
ついて、2016 年度中の承認申請を想定しているこ
おり、現在は P1 試験の段階にある。
とを明らかにした。申請はアステラス・アムジェ
新規骨粗鬆症治療薬としては、米メルク(MSD)
ンが行う予定。海外ではアムジェンと UCB が開発
が開発中のカテプシン K 阻害剤オダナカチブもあ
を進めているが、こちらも 16 年の申請を目指して
る。骨吸収を抑制するが骨形成への影響は少なく、
いる。
既存の骨吸収抑制薬(BP 製剤、デノスマブなど)と
同剤は抗スクレロスチン抗体製剤で、国内外とも
同等以上の骨密度増加効果のほか、長期投与時の顎
に臨床第 3 相(P3)試験の段階にある。同製剤は骨
骨壊死や非定型大腿骨骨折のリスクの軽減が期待さ
形成を促進するとともに骨吸収を抑制するため、既
れている。国内外ともに申請資料に追加するデータ
存の骨形成促進薬(PTH 製剤)を上回る骨密度増加
を得るための P3 延長試験が進行中。その関係で米
効果や皮質骨劣化の防止などが期待されている。
国での申請予定時期は当初の 13 年前半から繰り返
米イーライリリーも抗スクレロスチン抗体製剤ブ
し延期されており、現在は 16 年となっている。日
ロソズマブを開発中。ただ P2 試験で骨密度増加が
本での申請時期は開示していない。
16年度の承認予定品目を公表
アステラス
アステラス製薬は 11 日の決算発表時に、2016 年
する予定だ。
度に承認取得や承認申請を期待している品目のリス
その他の品目でも開発ステージの変更を公表し
トを公表した。現在承認申請中で審査結果待ちの
た。経口 HIF 安定化剤のロキサデュスタットは日
品目には、
「イクスタンジ」の米国における錠剤の剤
本で臨床第 3 相(P3)試験を開始。
「慢性腎臓病(保
形追加(現在はソフトカプセル)がある。
「ベシケア」
存期および透析期)に伴う貧血」の適応症を狙って
は欧州で「小児過活動膀胱」の適応追加を申請中。
いる。またβ 3 受容体作動薬のミラベグロンは「小
「キックリン」は日本で顆粒製剤の剤形追加を狙う。
児の神経因性膀胱」の効能追加を狙った P3 試験を
新薬のリナクロチドは日本国内で「便秘型過敏性腸
欧州で開始。GnRH 受容体アンタゴニスト ASP1707
症候群」の承認取得を目指す。過敏性腸症候群治療
は子宮内膜症治療薬として欧州と日本で P2 試験を
薬としては「イリボー」も持つが、イリボーが下痢
開始した。旧オカタ社から加わった RPE 細胞プロ
型なのに対して、リナクロチドは便秘型。このほか
グラムは網膜色素上皮細胞の細胞医療で、萎縮型加
に UMN ファーマから導入した細胞培養季節性イン
齢黄斑変性や Stargardt 病の適応症を狙っている。
フルエンザワクチンの ASP7374 にも期待している。
米国で P2 試験を開始した。
16 年度に承認申請を計画している品目には、ベ
シケアの米国での「小児過活動膀胱」や、イクスタ
ASP6858 と ASP1707 は中止
ンジの日本国内における錠剤の剤形追加、「ゴナッ
クス」の日本国内における 3 カ月製剤の剤形追加な
同社は開発を中止した品目も公表した。慢性腎疾
どがある。骨粗鬆症治療薬の新薬であるロモソズマ
患を対象とした ASP6858 の開発は P1 試験で中止。
ブも国内で申請する予定。
「セロクエル」は日本国内
また ASP1707 は前立腺がんを対象にした欧州での
で「双極性障害におけるうつ状態」の適応追加申請
P1 試験を中止した。ただし同剤は他の適応症で開
を狙う。クロストリジウム・ディフィシル感染症に
発を継続している。両剤とも開発中止の理由は明か
対する新薬の「ディフィクリア」も日本国内で申請
していない。
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2016.5.1~5.15
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R&D
申請・承認
申請・承認
臨床・学会
先端研究
「レミケード」、乾癬で増量・投与間隔短縮が可能に
5/13
田辺三菱
5/13
田辺三菱製薬は 13 日、抗ヒト TNF αモノクロー
の短縮を求める声が上がっていた。
ナル抗体製剤「レミケード」について、乾癬の適応
通常は、体重 1kg 当たり 5mg を 1 回量として、初
で用法・用量の一部変更承認を取得したと発表した。
回、2 週、6 週に投与し、以後 8 週の間隔で投与する
これにより、効果不十分な患者などに対する増量や
が、一変承認により、6 週の投与以後、効果不十分
投与間隔の短縮が可能になる。
または効果が減弱した場合に、患者の状態に応じて
同剤は、乾癬(尋常性乾癬など 4 病型)の適応を持
段階的に増量(8 週間隔の場合は 10mg、投与間隔を
つが、一部の患者で使用中に効果が十分に維持でき
短縮した場合は 6mg が上限)や投与間隔の短縮(最
なくなることが課題となっており、増量や投与間隔
短で 4 週間)を行うことが認められた。
中外のセルセプト、
「ループス腎炎」の適応追加 後発品も
中外製薬の免疫抑制剤「セルセプト」
(一般名=ミ
リテマトーデス(SLE)に合併する難治性の疾患で、
コフェノール酸モフェチル)への「ループス腎炎」の
国内患者数は約 3 万人と推定されている。
適応追加が 13 日付で承認された。後発医薬品にも
同剤は、欧米各国の治療ガイドラインで、ループ
同様の適応が追加された。
ス腎炎に対する標準的治療薬の一つとして推奨され
厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・
ている。一方、催奇形性のリスクがあることから、
適応外薬検討会議」での結論を踏まえ、各社が公知
厚労省は薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会で公
申請を行っていた。
知申請を行うことが認められた昨年 7 月に、同剤の使
ループス腎炎は、自己免疫疾患である全身性エ
用に際しての留意事項を示した通知を出している。
創薬 NEWS
2016.5.1~5.15
15
regulation
5/11
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申請・承認
臨床・学会
臨床・学会
先端研究
ゲノム個別化医療と希少がんの体制強化へ
がんセンター・中釜理事長
4 月に就任した国立がん研究センターの中釜斉理
事長は 10 日、新体制の所信説明会を開き、特に強
化する課題として「ゲノム情報に基づく個々人に最
適化された医療の提供体制の整備」と「アンメット・
メディカル・ニーズ(希少がん、難治がん等)の研究・
診療体制の強化」を挙げた。
会見で中釜理事長は、遺伝子変異に基づく個別化
がん治療のための事業「TOP ― GEARプロジェクト」
を推進させる方針を示した。具体的には、センターで
整備した遺伝子検査ラボや遺伝子診療部門を運用し、
新体制について説明する中釜理事長(中央)ら= 10 日、国立が
ん研究センター管理棟内
▽遺伝子異常に応じた治療法選択▽希少がん、若年
診療科の枠を超えて患者に最適な診療を提供できる
がんの診療▽遺伝性腫瘍の診療―を展開する。ゲノ
ようにする。
「希少がんホットライン」では、患者が
ム医療実現に向けたネットワーク構築も進め、研究に
最適な医療を受けられるよう専任の看護師が電話相
有用なデータベースの整備を目指す。このほか、産学
談に応じる。
連携全国がんゲノムスクリーニング事業「SCRUM ―
Japan」の取り組みを引き続き推進する。
医療経済学的検討も
また、センター内の関係者が連携を高め、政府
の施策にも必要に応じフィードバックすることを
中釜理事長は、がん治療に用いられる「オプジー
目指して、今月「NCC ゲノム医療推進本部」を設置
ボ」など高額薬剤にも言及。
「薬価の策定はセンター
した。
が関わることではない」とした上で、
「がんに関する
ア ン メ ッ ト・メ デ ィ カ ル・ニ ー ズ に つ い て は、
最低限の医療経済的な側面は、センターとしても取
2014 年に設置した「希少がんセンター」を中心に、
り組むべきと考える」とし、センターの臨床経済研
診療・研究に有用なネットワークを院内に確立し、
究室で検討する方針を示した。
【MEDIFAX】
創薬 NEWS
2016.5.1~5.15
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