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電子ワット
基礎物理学 III (山崎:7号館 P-301) [email protected] 1 例題1 赤外線(λ=1.0 μm),可視光線(λ=400 nm), X線(λ=1.0 Å)の光のエネルギーはそれぞれ何eVか? プランク定数 h=6.63x10-34 [J・s] 光の速さ c=3.0x108 [m/s] 1eV=1.6x10-19 [J] とする. 追加:緑色(λ=532 nm)の光を出す出力1.0mWのレーザーポイ ンターからは毎秒いくつ光子が出ているか? [W]=[J/s] 2 解答1 赤外線(λ=1.0 μm),可視光線(λ=400 nm), X線(λ=1.0 Å)の光のエネルギーはそれぞれ何eVか? プランク定数 h=6.63x10-34 [J・s],光の速さ c=3.0x108 [m/s] 1eV=1.6x10-19 [J]とする. 光の持つエネルギーは, E = hν で与えられる. = νλ (v = f λ と同じ ) c ν= λ となので, ここで, c 3 解答1 E c = hν = h · λ = 8 3.0 × 10 [J] 6.63 × 10−34 · λ[m] i) infrared E 8 3.0 × 10 = 6.63 × 10−34 · [J] −6 1.0 × 10 = 1.99 × 10−19 [J] 1.99 × 10−19 [eV] = −19 1.6 × 10 = 1.2 [eV] 4 解答1 E c = hν = h · λ = 8 3.0 × 10 [J] 6.63 × 10−34 · λ[m] λ = 400 [nm] = 400 × 10−9 [m] E = 3.1 [eV] λ = 1.0 [Å] = 1.0 × 10−10 [m] E = 12 [keV] ii) visible light iii) x ray 5 解答1 追加:緑色(λ=532 nm)の光を出す出力1.0mWのレーザーポインターからは毎 秒いくつ光子が出ているか? E λ ここでEは,1個の光子 E が持つエネルギー 1秒間に放出される 光子の数nは, n c = hν = h · λ 3.0 × 108 [J] · λ[m] = 6.63 × 10 = 532 [nm] = 532 × 10−9 [m] −34 3.0 × 108 [J] = 6.63 × 10 · −9 532 × 10 = 3.74 × 10−19 [J] −34 W [W] W [J/s] = = E [J] E [J] 1.0 × 10−3 −1 = [s ] −19 3.74 × 10 = 2.7 × 1015 [s−1 ] つまり,3千兆個! 6 第5回 ・X線 ・ド・ブロイ波 ・波と粒子の2重性 ・不確定性原理 7 X線 1895年,レントゲン(W. Röntgen)に よって,偶然発見された. X線の特徴 ・写真フィルムを感光させる. ・磁場や電場によって曲げられない. ・物質中を良く透過する. ・電離作用がある. 8 X線の発生のしかたと種類 陽極の材料: Mg,Al,Cu,Mo,W... 特性(固有)X線 X線の強度 (光子の数) http://www.ktf-split.hr/から引用 連続(制動)X線 波長 λ 9 X線の強度 (光子の数) Kα線 エネルギー E Kβ線 真空準位 仕事関数 波長 λ 0 特性(固有)X線 起源:電子のエネルギー準位間の遷移 3s 2p Kα線:2p→1s 遷移 Kβ線:3p→1s 遷移 連続(制動)X線 起源:核とのクーロン相互作用などに よる運動エネルギーの変化 3p 2s 1s 10 X線の粒子と波の2重性 X線も光(電磁波)の1つなので,波と粒子 の性質を共に備えている. 波動性:X線回折など 粒子性:光電効果,コンプトン散乱など 11 ド・ブロイ波 1924年 L. de Broglie 公爵: 電子のような質量を持つ粒子にも,光のよ うな波動性があると仮定した. その場合の波長λは, h h λ= = p mv と表せる. 12 イメージをどう持つか:まず電磁波に対して考えると... E = hν p = = アインシュタインの関係: hν c h λ h E = hν, p = λ 13 ド・ブロイは,このアインシュタインの関係を 物質波にも使えると仮定した. h 粒子の波動性について, E = hν, p = = !k λ p2 粒子の粒子性について, E = 2m 14 電子の波動性の実験 実験配置図 電子の観測場所 出典:http://www.hqrd.hitachi.co.jp/em/doubleslit.cfm 15 マクロとミクロの波動につい マクロ (波動性) 波動方程式 (マクロな波の運動を記述) ド・ブロイの 関係式 ミクロ (波動性と粒子性) Schrödinger方程式 (電子の運動などを記述) 16 不確定性原理 1927年 Heisenbergによって提唱. 粒子の位置と運動量のうち,どちらか一方 を決めようとすれば,どうしても他方が不 確定になる. (純粋な量子力学的効果によるもの) ∆x · ∆px ! h Δx:粒子の座標xの不確かさ Δpx:その座標での運動量成分の不確かさ 17 例題2 左の装置は原子像を見ることが出来る透過 電子顕微鏡である.この装置では,電子を 300kVで加速して試料に入射する.加速さ れた電子の波長は何Åか? 電子の速さが光速に比べて十分小さいとし (v << c),このときのエネルギーと運動量 JEOL社webサイトより p2 の関係 E = 2m0 とド・ブロイの式 を用いて求めよ. h λ= p 18 プランク定数 h=6.63x10-34 [J・s] 電子の静止質量 m0=9.1x10-31 [kg] 電気素量 e=1.6x10-19 [C] 加速された電子の持つエネルギー E=eV [J] (=eV [C・V]) √ また, とする. 8.74 = 2.956 19 解答2 λ = = = = = = [J · s] h h =√ 1 1 p 2m0 E [kg] 2 [J] 2 ! = 1 2 [J] [s] [kg] 1 2 = 1 2 [kg · (m/s)2 ] [s] [kg] 1 2 " 6.63 × 10−34 √ [m] 2 · 9.1 × 10−31 · 1.6 × 10−19 · 300 × 103 6.63 × 10−34 √ 8.74 × 10−44 6.63 × 10−34 √ √ 8.74 · 10−44 6.63 × 10−34 2.956 × 10−22 2.24 × 10−12 [m] = 0.022 [Å] JEOL社webサイトより 20