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案 - 野々市市
野 々 市 中 央 地 区 土 地 利 用 構 想 (案) 平成 25 年 12 月 野々市市 野々市中央地区土地利用構想 概要 『学びの杜ゾーン』 『にぎわい交流ゾーン』 ・市民が文化、芸術にふれ、野々市市の歴史や文化を体験する場 ・市民が学び、知識を伝える場 ・市民が憩い、やすらぐ場 ・野々市市の文化・歴史を発信する役割 整備方針及び施設概要 『野々市中央地区』全体を、旧北国街道を中心とした面として捉え、本市の シンボルとすべく、まちなかの賑わいを取り戻すことで、市民全体の満足度向 ・ヒトとモノが交流し、にぎわいを創出する場 ・野々市市の魅力(野々市ブランド)を創出・発信する場。 ・「学びの杜」ゾーンと「金沢工業大学」を結ぶ、産学官連携の拠点 ・魅力づけのサポートを行う役割 上を図る。 中長期的には、 『学び』や『憩い』を通じて多くの市民が交流するゾーンとし て、希薄化しつつある地域コミュニティ組織の再構築を目指すため、大学や企 業の協力を得て、市民との協働による、既存地域コミュニティから一歩踏み出 した新たな『野々市版地域コミュニティの創出』を目指す。 公民館 創造する 大学連携拠点 物産品店 駐車場 「のっティ」結節点 26 「野々市の市」開催 旧北国街道 文化会館フォルテ ◆学びの杜ゾーン ◇図書館機能、市民学習センター機能を複合した市全域を対象とした生涯学 習の拠点。 ◇隣接する文化会館フォルテとの連携強化を図るとともに、近隣公園整備に <旧役場周辺> 歩行者空間整備 <第5,6駐車場> “つなぐ” 行き交う 金沢工業大学 よる緑の創出を図る。 ◆にぎわい交流ゾーン ◇本市の観光案内、特産品の販売フロア、生涯学習フロア及び市内外の大学 が活用できるフロアを有機的な連携を考慮して整備 ◇各フロアの機能連携により、老若男女を問わず交流できる複合施設とする 公民館 民有地 図書館 憩いの公園 集まる 交流する 憩う 連携 憩う 広場 市立図書館 市民学習センター 移 設 <養護学校跡地> <現況> “にぎわい創出” 「文化交流拠点」 「学術研究拠点」 まちづくり全体構想図 新施設の機能概要 市民が学習・文化・芸術に親しむ場=『学びの杜ゾーン』 ◆市立図書館 ・既存の樹木及び市花木「ツバキ」を活用する方法について検討する。 至 フォルテ フォルテから歩いて 移動できる歩行者 空間を整備 ◇長年にわたり市民ニーズの高い『知の拠点』 を整備 ◇市民の『憩いの場』とすべく、既存樹木を 活用した緑地空間やカフェの併設を想定 ◆市民学習センター 既存緑地 想定される機能 ・ギャラリー ・工房 ・セミナールーム ・会議室 ・ホール ◇公民館活動を総括する総合的な公的カルチ ャーセンター 市立図書館 市民学習センター 憩いの広場 民間施設 (カフェ) ◇市民のための創作工房、絵画等の展示ギャ ラリーの整備 南側からの採光 <断面図> 1F 図書館 3,200m 駐車場 (約 100 台) ◇地域交流の拠点として、市民交流ホール、 活動室等を整備 2F 市民学習センター 2,400 ㎡ 2 ことで、にぎわい創出効果を期待。 ◇民間活力の活用により、これまでの公共施設にはない付加価値を期待する とともに、市の財政負担を抑えた施設整備及び管理運営を進める。 「地域中心交流拠点」 “芸術・文化に親しむ” 全体敷地面積 18,800m2 憩いの広場 駐車場 3,000m2 3,500m2 旧 北 国 街 道 を 通 じ た 連 携 促 進 【 街 歩 き ・ 自 転 車 ・ の っ テ ィ 】 ヒト・モノが交流し、にぎわいを創出する場=『にぎわい交流ゾーン』 ◆物産品店 ◇本市の特産品を一堂に紹介し、販売する拠点 フロア アクセス性の向上 駐車場 (約 100 台) ◇観光物産協会(仮称)を設立、運営を検討 ◆公民館 ◇生涯学習拠点、市民サークル活動の拠点とな 想定される機能 ・公共サービス ・歴史展示スペース ・特産品販売 ・民間活動拠点 ・産官学連携の拠点 るフロア 公民館 大学交流拠点 物産品店 ◆大学交流拠点 ◇市民と大学、企業等との協働の拠点となるフ 憩いの 広場 回遊性の向上 ロア 憩いの 広場 ◇大学連携事業に基づき、大学生による物産品 店の HP 作成支援、販売促進策など相互検討 <断面図> 全体敷地面積 8,700m2 旧北国街道 からの回遊 憩いの広場 1,400m2 1,2F 公民館 3,000m2 2F 大学交流拠点 600m2 駐車場 1F 物産品店 3,800m2 1,400m2 の拠点としての活用を想定 ◇市内外大学のサテライトキャンパスを想定 ◇ボランティアガイドの活動拠点としての利 用も想定 利活用方針図(旧役場周辺【民有地利用有り】 ) 目 次 第1章 構想策定の目的 1. 構想策定の目的 2. 本構想の位置付け 第2章 ......................................................... 1 ............................................................ 1 .......................................................... 1 野々市中央地区の現況と課題 1. 野々市中央地区の位置 ............................................. 2 ...................................................... 2 2. 上位計画・関連計画等との関係 .............................................. 3 (1) 野々市市第一次総合計画(平成 24 年4月) ................................. 3 (2) 野々市市都市計画マスタープラン(平成 24 年4月) (3) 野々市市緑の基本計画(平成 12 年3月) 3. 本町地区の現況と課題 (1) 本町地区の現況 ......................... 5 ................................... 7 ...................................................... 8 .......................................................... 8 (2) 本町地区における課題 ................................................... 20 (3) 県立養護学校跡地の現況 ................................................. 23 (4) 県立養護学校跡地の課題 ................................................. 24 第3章 野々市中央地区における公有地の利活用方針 1. 野々市中央地区まちづくり全体構想 .............................. 25 ......................................... 26 2. 公有地の利活用方針 ......................................................... 27 (1) 県立養護学校跡地の利活用方針 (2) 旧役場周辺の利活用方針 ........................................... 27 ................................................. 28 (3) 文化会館フォルテ第5・第6駐車場の利活用方針 第4章 公有地利活用の事業化方針 1. 整備財源の確保 ........................... 30 .............................................. 32 ........................................................... 32 2. 整備手法及び管理運営手法 ................................................. 33 (1) 整備手法 ................................................................. 33 (2) 管理運営手法 3. 事業スケジュール ........................................................... 34 ......................................................... 34 第1章 構想策定の目的 1. 構想策定の目的 野々市市の中心部に位置する本町地区は、かつては旧北国街道の宿場町として栄え、その後、 町役場が立地していたこともあり、市の中心的な地域として発展してきた。現在も文化会館フォ ルテや市立図書館をはじめとし、中央公民館(野々市公民館) 、金沢工業大学、金沢工業高等専門 学校、放送大学石川学習センターなどの教育・文化施設が集積する文教地区として、多くの市民 が集まる地域である。 しかし、平成 15 年以降、町役場の移転や大型商業施設の撤退、土地区画整理事業の推進や郊外 型の大型商業施設の立地により市北部及び南部への新市街地の拡大が進んだことなどにより、本 町地区の活力や賑わいは低下してきている。また、立地する公共施設のうち、市民ニーズの高い いくつかの施設においては老朽化が著しく、近年の多様化する市民ニーズに応えきれない等の問 題を抱えている。本市では昭和 30 年以降、継続して人口が増加していることもあり、これらの状 況に即した公共施設の利活用検討は必須の課題であり、また、公共施設が多く集積する本町地区 の再整備は、本市全体の活性化に資するものと考えられる。 また、本町地区に隣接する、石川県立養護学校の統廃合により生まれた広大な跡地を、平成 26 年度に石川県から取得することとしており、これについても周辺地域の活性化に資する利活用を 図る必要がある。 このような背景から、県立養護学校跡地を含めた本町地区の一部を「野々市中央地区」と設定 し、当該地区内における公有地について、地域活性化に資する土地利用の方針を定めることを目 的とする。 2. 本構想の位置付け 「本町地区」は、本市の中心として発展してきた地域であり「野々市市都市計画マスタープラ ン」において、歴史的街並みなど昔ながらの面影が残る地域と位置付けられている。都市計画マ スタープランでは、本町地区のまちづくりのテーマを「地域の歴史・文化を活かした出会いと交 流のある魅力的な地域づくり」と定め、これまで本町通りくらしのみちゾーン整備事業など様々 な施策や取り組みを進めてきた。 この構想は、県立養護学校跡地取得に伴う公共施設の再配置と、都市計画マスタープランに定 める本町地区のまちづくりの推進を図るため、 「野々市中央地区」の公有地の利活用のあり方につ いて定めるものである。 1 第2章 野々市中央地区の現況と課題 1. 野々市中央地区の位置 「野々市中央地区」は、本市のほぼ中央に位置し、市の中心部として古くから発展した地域 である「本町地区」の一部と、隣接する「県立養護学校跡地」を含めた地域とする。 対象地区位置図 野々市中央地区 2 2. 上位計画・関連計画等との関係 各計画における「野々市中央地区」に関する内容は次のとおりである。 (1)野々市市第一次総合計画(平成 24 年4月) ・野々市市第一次総合計画のうち、基本計画に掲げる 88 の施策の中で「野々市中央地区」に関 する施策は次のとおりである。 コミュニティ活動の活性化【施策番号 1-1-4】 ■基本方針 ・地区公民館や集会所の有効利用により地域コミュニティ環境づくりを進め、市民が主体的に地域課題の解決に取 り組むコミュニティ活動の活発なまちを目指します。 大学連携の推進と地域参加【施策番号 1-1-5】 ■基本方針 ・大学と市民、大学と行政による協働のまちづくりを推進し、個性豊かなキャンパスシティ野々市の確立を図ります。 ・市内にある大学との一層の連携により地域の発展と人材育成を図るとともに、市外の大学との連携についても検 討します。 ・まちづくりに若い力を取り入れるため、大学生が地域活動に参加しやすい市民意識の高揚を図ります。 ■施策を実現する手段 ・大学と行政が協力した事業の実施 ・大学生の地域活動への支援 社会教育の充実【施策番号 5-3-1】 ■基本方針 ・各地区の公民館では、社会教育の拠点として地域に根ざした教育活動を行うことにより、生きがいを持って充実し た生活を送り、生涯にわたって自主的な学習活動を続けることができる環境を整えます。 ・本市の伝統や文化に根ざした創造的で活力ある社会教育を展開するとともに、大学や企業、地域と連携した支 援体制の充実を図り、市民が自主的、継続的な学習機会を得ることができ、学んだ成果を地域に還元できる学 習社会を築くことを推進します。 ・新しい図書館については、建設に向けて市民協働に基づく運営体制や、適切な建設場所について検討します。 ■施策を実現する手段 ・読書の普及活動 ・新しい図書館建設に向けた検討 ・地区公民館・自主サークルの活動支援 ・市民大学校・寿大学校・大学院の運営 市民文化・市民芸術の活性化【施策番号 5-4-1】 ■基本方針 ・文化会館フォルテと情報交流館カメリアを活用し、多彩で個性豊かな、野々市らしさが溢れる市民文化と市民芸 術の創造を目指します。 ・感性が豊かな児童や生徒に、優れた芸術を鑑賞する機会を提供し、生涯を通じて芸術文化に親しみやすい気 風、風土の醸成に努めます。 ・市民参加型の催し物を企画するとともに、市民が主体となって企画し、運営する催し物に対して活動を支援し、市 民が利用しやすい文化施設の環境を充実させ、各協会やサークルなど市民の文化芸術の活性化を促します。 ・情報文化振興財団が行う自主事業を支援し、市民芸術家も企画段階から参画ができる市民協働によるワークシ ョップ等の体験型事業を創出し、市民が芸術に身近に触れることのできる機会の提供を推進します。 3 ののいちの歴史再発見【施策番号 5-5-2】 ■基本方針 ・多く存在する市指定文化財や未指定の史跡などについて、案内板の整備や冊子“ののいち歴史探訪”の活用を 通して、市民にその魅力の再発見を促します。歴史遺産による野々市ブランドを確立し、市内外に誇ることのでき るまちづくりを目指します。 ■施策を実現する手段 ・史跡案内看板の整備 地域資源を生かした産業の活性化【施策番号 6-1-1】 ■基本方針 ・大学などの研究機関との連携や異業種交流などにより、地域の産物を生かした商品開発、特産品の販路拡大な ど、農商工の連携と活性化を推進します。 ■施策を実現する手段 ・産学連携への支援 ののいちの魅力創造と発信【施策番号 6-4-1】 ■基本方針 ・市民、企業、各種団体、行政などが共に力を合わせて、まち全体で新たな魅力を生み出すため、本市の自然や 歴史、文化に触れながら、本市特産品による郷土料理や創作料理を味わい、見て、体験して、感じられるまちを 創ることを推進します。 にぎわいの創出と交流人口の拡大【施策番号 6-4-2】 ■基本方針 ・“野々市じょんからまつり”をはじめとする催し物の内容充実と、市内外への広報を強化し、まちなかでのにぎわい 創出と交流人口の拡大に努めます。 ・地域の様々な資源を活用し、市民が主体的に企画や運営を行う、地域活性化に発展する催し物への支援を図り ます。 ・市内外から多くの観光客を呼び、にぎわいの創出を図るとともに、市民の地域への誇りと愛着が根づくまちを目指 します。 ■施策を実現する手段 ・野々市じょんからまつりの開催 ・野々市じょんからおどりの普及活動 良好な市街地環境の創出【施策番号 7-1-1】 ■基本方針 ・快適な市街地を確保するため、無秩序に形成される市街地を抑制し、居住・就業・憩い・にぎわいなどの各機能 がバランスよく配置されるよう、計画的な土地利用を推進します。 ■施策を実現する手段 ・県立養護学校跡地の利用方策検討 魅力ある街並みづくりの推進【施策番号 7-1-3】 ■基本方針 ・ゆとりと潤いを感じることのできる生活環境を創出するため、市内に点在する自然環境や歴史、文化などの地域資 源を生かし、市民、企業、行政が一体となって魅力ある景観の創造を図ります。 ・特に、歴史的な街並みの保全を図るため、くらしのみちゾーン(旧北国街道)の整備を継続的に進めるとともに、良 好な景観の保全と創出に向けた取り組みを推進します。 ・都市の魅力を高めていくうえで、歴史的な街並みを保全すべき地区や、文化教育施設を中心とした“市の顔”とな る地域においては、道路整備に伴う無電柱化などを行い景観の向上を図ります。 4 (2)野々市市都市計画マスタープラン(平成 24 年4月) ・ 「野々市市都市計画マスタープラン」は、市の総合的なまちづくり指針である「総合計画」及 び県が定める「金沢都市計画区域マスタープラン」に即し、市民参加のもとでまちづくりの ビジョンを描いたものである。 ・本市の目指すべき将来像や、まちづくりの目標を明らかにし、土地利用や市街地整備などの 基本的方針を示すことにより、具体的な都市計画の指針とするものである。 <本町地区の位置付け> ・本マスタープランでは、本町地区を東部地域に区分し、以下のように定めている。 ●まちづくりのテーマと基本目標 <まちづくりのテーマ> 地域の歴史・文化を活かした 出会いと交流のある魅力的な地域づくり <まちづくりの基本目標> ■歴史・文化資源を活かした地域デザイン ■魅力あるまちなか居住環境の整備充実 ■施設機能の連携による多様な出会い・交流の創出 5 ●まちづくり基本方針図 野々市市都市計画マスタープラン(平成 24 年4月)100 ページより引用 <県立養護学校跡地の位置付け> ■本マスタープランでは、 「県立養護学校跡地」は南部地域に属するが、 「県立養護学校跡地」の 土地利用に係る特段の位置付けはされていない。 ■本町地区に隣接し、立地する町丁及び周辺では人口の減少などが見られ、本町地区と類似した 状況にあることが伺える。 6 (3)野々市市緑の基本計画(平成 12 年3月) ・ 「野々市市緑の基本計画」は、都市公園の整備と合わせて民有緑地の保全や都市の緑化を総合的 かつ体系的に推進することを目的として策定され、本町地区(東部地域)に関連する方針及び 施策は、次のとおりである。 ●緑地の配置方針 <歴史的・文化的価値の高い緑の保全> ・本町地区の旧北国街道沿いには国指定重要文化財「喜多家」をはじめ、昔の街道の面影を残す 民家や屋敷林が比較的多く残されており、それらを一体的に保全するよう努める。 ・市内に残る巨樹・古木について保全に努める。 <市の歴史とふれあえる場の充実> ・旧北国街道沿いの歴史的な面影を残す街並みは歴史環境として保全に努めるとともに、歴史と ふれあえる街並みとして環境整備を図る。 ●緑地の保全及び緑化の推進のための施策 <既成市街地における街区公園未整備地区の解消> ・旧北国街道一帯と文化会館一帯については、道路沿いにポケットパークを設置するなど、道路 空間自体が身近なコミュニティの場となるような環境整備により、街区公園機能の補完を図る。 <近隣公園の整備> ・近隣公園は、整備水準(市街地人口1万人あたり1箇所)と比較すると、更に整備を推進する 必要があることから、地区公園及び既設公園の位置を考慮し、野々市小学校近辺に1箇所の整 備を行う。 7 3. 本町地区の現況と課題 (1)本町地区の現況 ①社会的条件 本町地区における社会的条件は、次のとおりである。 ●人口・世帯( 「野々市市都市計画マスタープラン」参照) ・本町地区の人口は、12,000 人台で概ね横ばい傾向にあり、世帯数は緩やかに増加しているが、 本町3、4丁目などでは人口、世帯数ともに減少傾向にある。 ・年齢別人口では、少子・高齢化が徐々に進行しており、平成 23 年3月末時点の 0~14 歳人口 割合は市平均を下回り、65 歳以上人口割合は市平均をやや上回っている。 人口・世帯数の推移 年齢別人口割合の推移 野々市市都市計画マスタープラン(平成 24 年4月)92 ページより引用 町丁別の人口増減率 野々市市都市計画マスタープラン(平成 24 年4月)93 ページより引用 8 ●土地利用現況 ・本町地区内は、ほとんどが住宅用地や商業施設用地、公共施設用地などで占められ、過密な土 地利用となっており、農地などの自然的土地利用はごくわずかである。 ・古くからの住宅地であり、金沢工業大学周辺に学生を対象とした共同住宅が非常に多い。 ・本町地区には、街区公園が点在しているが、小規模な公園が多く、緑や防災の拠点となる近隣 公園が不足している。 ●産学官連携 ・本町地区内には、金沢工業大学と放送大学石川学習センターの2校 の大学が立地しており、大学のもつ学術研究機能などを活かし、様々 な連携、協力を行うことにより教育及び地域産業の振興が図られて いる。 <金沢工業大学との連携> ・平成 16 年 11 月9日に金沢工業大学と締結した「金沢工業大学と野々 市市との連携推進に関する協定」に基づき、地域の発展と人材育成 を図るため、大学の有する人的資源や知的資源を活用し、大学と市 が連携して事業を実施している。 ・本市が提起する地域に実存する課題に対して、学生がチームを組ん で改善提案をする「プロジェクトデザインⅡ・地域連携テーマ」は、 平成 15 年度より毎年取り組まれ、これまでに「のっティの時刻表 上:金沢工業大学 下:プロジェクトデザイン (ポスター発表会(2012)) の改善提案」などが実際に地域の中で実践されている。 ②歴史・文化的条件 本町地区における歴史・文化的条件は、次のとおりである。 ●歴史・文化施設 旧北国街道が通る本町地区は、江戸時代には宿場町として栄え、現在でも由緒ある歴史的な 施設が多数存在する。 <主な歴史施設> ■喜多家住宅(国指定重要文化財) ・江戸時代後半の文政~天保期に建てられたと推定され、前面の格子や袖壁、屋内の間取りな どに最も古い加賀の町家形式を残している。昭和 46(1971)年に国の重要文化財に指定され た。 ■旧魚住家住宅(郷土資料館・市指定有形文化財) ・江戸時代末期の 1850 年頃に建てられた農村の商家で、表構えは町家、構造と間取りは農家、 という独特な複合建築物である。現在は郷土資料館として利用され、農具や民具などが展示 されている。 ■水毛生家住宅(市指定有形文化財) ・代々村役人を務めた旧家の住宅で、表構えは切妻妻入の農家型で、内部の間取りは町家型と 県内では見られない構成の住宅である。野々市の家々が町家化していった初期段階のものと 考えられている。 9 ■住吉の宮(布市神社・市指定記念物) ・加賀の有力武士団富樫氏の守護神を祀る神社で、1063 年、富樫家国が野々市に館を構えた際、 敷地内に社殿を造営したと伝えられる。大正3(1914)年に布市神社と改名し現在に至る。 喜多家住宅 旧魚住家(市郷土資料館) 水毛生家 住吉の宮(布市神社) <主な文化施設> ■市立図書館 ・市内唯一の図書館であるが、老朽化が進み、広さや設備も不十分であるため建替えを望む市 民の声が高まっている。 ■中央公民館(野々市公民館) ・各種講座やサークル活動など、多数の文化活動が行われ、市内の公民館の中で最も多くの利 用者がある。 ■文化会館フォルテ ・市民に広く芸術文化活動の場を提供することを目的に設置され、コンサートや展示会等、文 化的な催しが開催されている。 ●文化・芸術 ■野々市じょんから節(市指定民俗文化財) ・古くから市内に伝わり「野々市じょんからまつり」の催し物として 「野々市じょんから節保存会」の演奏により、市民総出の総踊りが 繰り広げられている。 ■BIG APPLE in Nonoichi ・毎年秋に文化会館フォルテにおいて、ニューヨークから一流のジャ 野々市じょんから節 ズ奏者を迎え行われるコンサートで、市内のみならず、日本中からジャズファンが集まるジ ャズの祭典である。 ●祭礼・行事 ■野々市じょんからまつり ・毎年7月末から8月初めにかけて、古くから市内に伝わってきた「野々市じょんから踊り」 のコンクール大会や総踊りが文化会館フォルテを中心に行われる。会場では、ミュージック ライブなどのイベントや商工会のテントが立ち並び、市内外からの多くの人でにぎわう。 ■花と緑ののいち椿まつり ・毎年3月中ごろに、文化会館フォルテを中心に行われる。市内から集った様々な品種の椿や、 椿を題材にした生け花、盆栽、絵画、写真などの作品が展示され、花と緑の市などの即売会 のほか、文化会館フォルテ大ホールでは椿芸能祭などのステージが繰り広げられる。 10 ■豊年野菜みこし ・毎年 10 月上旬の布市神社の秋祭りに、街中を練り歩く豊年みこしは、 別名「野菜みこし」ともいわれ、明治のころ天災と病害虫のため農作 物に大被害が続いたため、野菜でつくったみこしを神社に献上して五 穀豊穣を願ったのが最初といわれている。みこしの屋根は稲穂でふき あげられ、欄干は赤ズイキ、鳥居はレンコン、紋はススキなど秋の草 木を使用し数カ月をかけて制作され、北陸では野々市だけに伝わる独 特の文化である。 豊年野菜みこし ■北国街道野々市の市 ・旧北国街道の無電柱化工事の完成と平成 23(2011)年 11 月 11 日の市制施行を祝って、沿道 住民有志の手で企画されたもので、毎年 10 月中旬頃に、野々市の歴史遺産や文化の継承、情 報の発信、賑わい創出をテーマに新たな展開を生み出すことを目指し、学校、各種団体、サ ークルや市が協働という形で地域活性化を推進するイベント。地域のふれあいの場として毎 回多くの人でにぎわう。 北国街道野々市の市 11 ③まちづくりにおけるこれまでの取り組み 本町地区における、まちづくりにおけるこれまでの取り組みには以下のようなものがある。 ●都市再生整備計画(野々市市中心市街地地区) <取り組み概要> 社会資本整備総合交付金事業として、都市再生整備計画を作成し、道路改良、安全施設整備、 防災拠点整備、アダプトプログラムの推進などの事業を行った。 ・計画期間:平成 19 年度~平成 23 年度 ・大目標:人が集う魅力ある都市の実現 ・目標1:脆弱な都市基盤を改善し、交通施設や、地域の防災拠点の整備を図り、安心・安 全のまちづくりを目指す。 ・目標2:建築環境を整えることにより、宅地化を促進し、5万人都市構想の推進を図る。 <整備方針> ■整備方針1:交通の利便性・安全性の向上を図る。 [主な事業] ①バリアフリー整備事業(基幹事業) ②地下道安全施設整備事業(基幹事業) ④道路調査等(提案事業) ⑤駅前広場歩行空間整備事業(基幹事業) ③自歩道整備事業(基幹事業) ■整備方針2:安心安全なまちづくり、良好な住宅地の形成 [主な事業] ①克雪対策推進事業(提案事業) ②土地区画整理事業(関連事業) ④地区計画による良好な住宅地の形成 ⑤防災拠点整備事業(基幹事業) ③アダプトプログラム推進事業(提案事業) 12 ⑥温泉スタンド事業(提案事業) ●本町通りくらしのみちゾーン整備事業 <取り組み概要> ・本町通りにおける歩行者の安全性確保と快適性の向上を目的に、現況の幅員の範囲内で、電 線類の地中化を行い、併せて車走行部分を狭くし歩行者部分と車走行部分との間に「ゆずり あいゾーン」を設けるなど「車」と「歩行者」が共存できる道路整備を行った。 <取り組み概要> <整備個所> 計画期間 平成 17 年度~平成 23 年度 路線名 市道本町2丁目小学校線 事業区間 野々市市本町2丁目~本町3丁目 事業延長 L=440m 整備内容 電線共同溝整備、舗装(車道部 As、 歩行者部 Co 洗い出し) 、照明整備、 整備区間 L=440m ② 消雪装置布設変え ③ ① ①市郷土資料館 ②国指定重要文化財「喜多家」 ③市指定文化財「水毛生家」 北国街道 <取り組みの効果> ■整備前の状況 ・整備対象道路の整備前の幅員は、狭い箇所で約 6.5m、広い箇所で約 9.5mであり、電柱を避 けるために自転車・歩行者が車道側にはみ出すような状態であった。また、上空には多くの 電線がみられ旧北国街道の歴史的街並みの景観に影響を及ぼす状態であった。 ■整備後の状況 ・完成後に交通量の調査を行ったところ、過去(平成 16 年)の調査時との比較において、自動 車の交通量は減少し、歩行者の交通量は若干増加、更に自転車の交通量については平日で 2.4 倍、休日では 3.5 倍の増加が確認された。 <整備個所> 調査年度 通行量の変化 本町交差点 児童館前(自転車) 本町二丁目南交差点 平日 休日 平日 休日 平日 休日 平成 16 年度 5,420 4,153 473 159 4,588 3,902 平成 23 年度 3,588 3,432 625 393 4,029 3,434 ・また、工事完成後、地域住民主催のイベント「北国街道野々市の市」が開催され、多くの人 で賑わった。これは道路の整備などを機に、沿道住民有志が自ら企画・運営を行ったもので、 現在も継続して行われている。 <整備前> 交通状況 <整備後> 電線の状況 13 ・電柱が地中に埋設され、 すっきりとした街並みに。 ④公共交通現況 本町地区における主な公共交通現況は以下のとおりである。 ●北陸鉄道石川線 ・野々市駅と野々市工大前駅の二つの駅が立地している。野々市工大前駅は、高校生や大学生 が通学に多く利用する駅である。 ●のっティ ・本市のコミュニティバスで、平成 15 年9月1日より試験運行を開 始し、現在は「北部」「中央」 「南部」 「西部」の4ルートで運行し ている。平成 25 年6月には乗車数が 150 万人を突破した。 ・本町地区には最も乗車数の多い「北部ルート」と、野々市市役所 で「南部ルート」及び「西部ルート」と結節する「中央ルート」 が走っている。文化会館フォルテ前にある「フォルテ」バス停は、 フォルテ バス停 北部ルートと中央ルートとが結節する拠点となっており、この拠 点については、平成 25 年度に再整備し、更なる機能強化が図られる見込みである。 のっティ 北部ルート 「野々市中央地区」 のっティ 中央ルート のっティ 西部ルート のっティ 南部ルート コミュニティバス のっティ路線図 14 ⑤公有地の現況 ●公共施設の立地状況 本町地区の公共施設の立地状況は以下のとおりである。 本町地区における施設の立地状況 野々市市都市計画マスタープラン(平成 24 年4月)95 ページより引用 15 ●主な公共施設の現況 ■市立図書館 所在地 野々市市本町二丁目14番6号 規模 鉄筋コンクリート造 3階建地下1階 建築年 昭和 42(1967)年(築 46 年) 敷地面積 1679.19 ㎡ エレベーター 無 開館時間 10 時~19 時(土日は 17 時まで) 施設概要 1階:一般図書コーナー、児童図書コーナー、市民サービスコーナー、作業室、 延床面積 1826.33 ㎡ 貸事務所、ブラウジングコーナー 等 2階:学習室、事務室、学校図書交換室(ボランティア活動室) 等 蔵書数:82,880 冊 登録者数:9,334 人 利用状況 貸出人数:28,181 人(児童:5,502 人、一般 22,679 人) 貸出冊数:91,802 冊 【平成 23 年度】 駐車場 有(74 台:中央公民館と共有) 運営 市直営 ・旧役場を利用して開館している市内唯一の図書館である。 ・著しく老朽化が進み、耐震強度不足の問題から3階部分については利用不可となっている。ま た、5万人都市に望ましいとされている施設の広さ等の基準を満たしておらず、情報管理シス テムも陳腐化していることから蔵書数・情報の不足、利用者と本との出会いの場の確保等にお いて図書館活動に支障をきたしており、建替えを望む市民の声が高まっている。 ■中央公民館(野々市公民館) 所在地 野々市市本町二丁目1番20号 規模 鉄筋コンクリート造 3階建一部棟屋 建築年 昭和 53(1978)年(築 35 年) 敷地面積 1622.0 ㎡ エレベーター 無 開館時間 9 時~22 時 施設概要 1階:ホール(700 名) 延床面積 2763.19 ㎡ 2階:会議室(第1、第2、第3、第4) 3階:円卓会議室、研修室、学習室(第1、第2) 、調理実習室、視聴覚室 和室(第1、第2) 利用状況 2,764 件、46,286 人(市内の公民館利用者総数の半数以上)【平成 23 年度】 駐車場 有(74 台:市立図書館と共有) 運営 市直営 ・旧役場の横に隣接していたことから長く町の中心として市民に親しまれ、現在でも市内の公民 館の中で最も多くの利用者数がある。 ・中央公民館と野々市公民館が併設しており、市民の教養を高める各種講座やサークル等の文化 活動が多く行われている。 ・築 35 年が経過しており、老朽化に伴う設備や外壁等の劣化が課題となっている。 16 ■本町児童館 所在地 野々市市本町三丁目10番12号 規模 鉄筋コンクリート造 平屋建 建築年 昭和 57(1982)年(築 31 年) 敷地面積 771.67 ㎡ エレベーター 無 開館時間 10 時~18 時 施設概要 ホール、図書スペース、事務室 利用状況 25,662 人【平成 23 年度】 駐車場 無 運営 市直営 延床面積 192.26 ㎡ ・乳幼児を持つ母親や子どもたちが、自由に利用できる施設であり、季節ごとの行事やみらい子 育てネット(母親クラブ) ・子供クラブの活動を行っている。 ■郷土資料館 所在地 野々市市本町三丁目19番24号 規模 木造(一部鉄骨) 2階建(展示棟) 建築年 1854~1859 年頃 敷地面積 964.76 ㎡ 開館時間 10 時~18 時 施設概要 稲作を主とした農具、生活道具を展示。 利用状況 2,500 人【平成 23 年度】 駐車場 有(3 台) 運営 野々市市公共施設管理事業団【指定管理者制度】 延床面積 611.08 ㎡ ・市指定文化財「旧魚住家住宅」と展示棟において、民具・農具を中心に展示し、旧魚住家内で は生活道具を建物の様子と関連づけて公開している。 ・江戸時代末期の町家風農家風の典型的構造である。 ■野々市小学校 所在地 野々市市本町五丁目3番1号 規模 鉄筋コンクリート造 3階建 建築年 平成 23(2011)年(築2年) 敷地面積 14941.96 ㎡ 施設概要 教室と廊下を一体化したオープンスペースが特徴 延床面積 9888.00 ㎡ 的 生徒数 550 人 維持管理 野々市つばき PFI(株) ※PFI 事業として実施 ・52 年の歴史と伝統を誇る市内最大規模の小学校である。 ・本市で初めてPFI方式を採用した事業により建設された。 17 ■文化会館フォルテ 所在地 野々市市本町五丁目4番1号 規模 鉄筋コンクリート造 2階建 建築年 昭和 63(1988)年(築 25 年) (平成 23(2011)年 4 月に一部リニューアル) 敷地面積 11791.56 ㎡ 延床面積 5648.33 ㎡ エレベーター 有 開館時間 9 時~22 時 施設概要 1階:大ホール(804 席)、小ホール(300 席) 、ミーティングルーム 2階:多目的ルーム(4 室) 和茶室(2 室) 利用状況 ①大ホール 197 件、49,236 人 ②小ホール 259 件、22,936 人 ③多目的ルーム 652 件、10,701 人 ④和茶室 105 件、1,896 人【平成 23 年度】 駐車場 7(第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7) 計 331 台 運営 公益財団法人野々市市情報文化振興財団【指定管理者制度】 ・広く芸術文化活動の場を提供し市民の教養向上と芸術文化の振興を図り、市民の融和と福祉の 向上に資することを目的として設置された。 大ホール:舞台 大ホール:客席 小ホール ■教育センター 所在地 野々市市本町四丁目21番27号 規模 鉄筋コンクリート造 2階建 建築年 平成 4(1992)年(築 21 年) 敷地面積 1050.31 ㎡ エレベーター 無 開館時間 9 時~17 時 施設概要 1階:プレイルーム、相談室、事務室 延床面積 644.26 ㎡ 2階:研修室(2 室) 、相談室 駐車場 有(20 台) 運営 市直営 ・本市の教育の充実、振興、教育関係者の質的向上に資するために設置された施設 18 ●主な公有地 ■文化会館フォルテ第5・第6駐車場 ①概要 <現況図> 文化会館フォルテ 文化会館フォルテ第5駐車場 野々市小学校 文化会館フォルテ第6駐車場 ● 所在地 【第5】野々市市本町五丁目 315、316 番 【第6】野々市市本町四丁目 417 番外 6 筆 ● 敷地面積 【第5】2,500 ㎡ 【第6】3,400 ㎡ ● 収容台数 【第5】70 台 【第6】70 台 ②特徴 ・文化会館フォルテが有する7つの駐車場の中で最も規模が大きく、2つで総収容台数の約 40% 以上にあたる 140 台の駐車が可能であり、文化会館フォルテにおけるイベント開催時には多 くの需要がある。 ・周辺地域における唯一のまとまった大規模公共駐車場である。 ③現在の活用状況 ・主に文化会館フォルテの駐車場として活用されている他、近隣に立地する野々市小学校にお ける運動会などの学校行事や旧北国街道で行われる「野々市の市」開催時の臨時駐車場とし て、また民間イベント等の臨時バス発着場としてなど、周辺住民に大型駐車場として認知さ れており広く活用されている。 ④課題 ・市の中心的イベントが数多く開催される文化会館フォルテの駐車場として不可欠であると考 えられるものの、イベント開催時以外の利用が少ないことが課題である。 19 (2)本町地区における課題 本町地区の現況を踏まえた課題は次のとおりである。 ①まちづくりにおける課題 ●かつてのにぎわいの再生 ・本町地区は、以前、町役場が立地していたこともあり、市の中心部として古くから発展し てきたが、大型商業施設の撤退や市南部及び北部での商業地の形成などにより、かつての にぎわいが失われてきている。 ・旧北国街道の街並みや市立図書館等の文化施設など、地域がもつ歴史的・文化的資源を活 かすとともに、地域住民と連携をとりながら地域のにぎわいを再生することが望まれる。 市の中心部として、「市場」のようにヒトやモノ、情報が集まり、交流し、にぎわいを生み出す拠点づくり が必要である。 市民と学生が日常的に交流できる場や、地域の文化や行事を紹介するスペース、地域産品の販売 施設等が考えられる。 ●産学官連携の促進 ・本町地区には、 「産学協同」を建学の理念とする金沢工業大学が立地しており、本市では地 域の発展と人材育成を図るため、大学と連携した事業の実施に取り組んでいる。 産学官連携の取り組みを強化し、更なる地域発展の活力とするためにも、事業化の支援や事務所 スペースの提供、研究開発拠点の整備など、本市の産学官連携推進の中核的施設として産業界 等との窓口の役割を担う産学官連携拠点を整備する必要がある。 学生達が街中に集い、市民と憩うことで相互に交流し、情報を交換し合う場を提供することは、本市 のにぎわい創出に寄与すると考えられる。 ●歴史的・文化的資源の活用によるののいちの魅力発信 ・本町地区には、本市の歴史的・文化的資源が多数集積している。 本市の歴史・文化的資源の有効な活用及び新たな地域資源の発掘により、市の魅力を創造し市内 外に発信する必要がある。 無電柱化などの歴史的街並みを活かした景観整備や、地域に伝わる伝統行事などを活かした効果 的なまちづくりイベントの開催などが考えられる。 20 ●施設機能の連携及び機能の充足 ・本町地区には、金沢工業大学や市立図書館、中央公民館、文化会館フォルテなどの教育・ 文化施設が集積しており、市民の学習・文化活動の拠点となっている。 市民が集い憩う文化交流拠点として施設相互の連携を図り、施設機能の充足を図るとともに、地区 の魅力向上を図る必要がある。 施設の集約化による連携機能の強化や、施設間のイベント等の相互開催など、一体的な運営が考 えられる。 ②公有地における課題 ● 公共施設の老朽化及び市民ニーズへの対策 ・本町地区に立地する公共施設のうち、市民の利用度が高い市立図書館や中央公民館等につ いて、老朽化が著しく、耐震性能等の問題がある。 ・施設設備についても、近隣自治体の類似施設と比較して、多様化する市民のニーズに応え きれていない状況にある。 公共施設に求められる機能等を見直し、本市が目指すまちづくりに相応しい公共施設の在り方につ いて、整備も含めた対策を検討する必要がある。 ● にぎわい・交流を生む核となる要素の集約 ・本町地区には、文化施設や学習施設等、様々な要素をもつ施設が立地しているが、それぞ れの施設についてにぎわい・交流を生む要素機能が分散しており、地域の特徴がぼやけて いる状況にある。 にぎわい・交流を生む核となる要素を集約し、地域を特徴づけ、更なる魅力向上を図る必要がある。 21 ● 公園緑地面積の不足解消 ・本町地区には、小規模な公園が多く、まとまった緑のある公園が不足している。 公園緑地面積の不足解消や適性配置の面から、公園や広場などの整備を検討する必要がある。 ● 未利用地の有効活用 ・本町地区の、土地区画整理事業の未実施地区において、残存農地や未利用地が点在している。 空き地が目立つ地区において、それらの有効利用を検討することが必要である。 22 (3)県立養護学校跡地の現況 県立養護学校跡地の現況は、次のとおりである。 ①概要 <現況図> 文化会館フォルテ 県立養護学校跡地 ● 所在地 :石川県野々市市太平寺四丁目 164 番 ● 敷地面積:18,800 ㎡ ● 建築年(校舎建物) :昭和 41(1966)年(築 47 年) ● 校舎建物:耐震基準を満たさず、設備についても老朽化が著しい。 ● 現況:石川県立養護学校が廃校となったため、未整備のまま空地となっている。 ②沿革 ・昭和 40(1965)年 - 石川県立養護学校開設 ・昭和 41(1966)年 - 現在地に移転 ・平成 22(2010)年 - 石川県立明和養護学校との併合に伴い廃校 ・平成 23(2011)年 - 石川県との間で「県有財産無償貸付契約」を締結 ③跡地活用についての要望 ・県立養護学校の跡地活用については、議会において再三質問が提起されるなど利活用方策の 検討が望まれており、市の中でも課題として認識されている。 23 (4)県立養護学校跡地の課題 ● 有効な利活用の検討 ・県立養護学校跡地は、広大な未利用地であり、立地する養護学校が廃校してから数年が経 過し、建物も現存するが、現状では利活用が図られていない。 ・広大な土地であるため、未利用地の状態では防犯面などで懸念がある。 跡地利活用の方策については、市民の関心も高いことから、市民の利益に資する整備方針の早急 な検討が必要である。 ● 周辺公共施設等との一体的な整備 ・県立養護学校跡地は、都市計画マスタープランでは、南部地域に属している。南部地域の まちづくりにおいては敷地全体の活用を図る特段の位置付けはなされていない。 本町地区に隣接して立地するため本町地区と同様の現況にある。 都市計画マスタープランにおいて、文化交流拠点として位置付けている文化会館フォルテに近接し ていることから、教育・文化機能による土地利用を図ることにより文化交流拠点の拡充に資すること が期待できる。 24 第3章 野々市中央地区における公有地の利活用方針 前項までの整理から、野々市中央地区が、本市の中心市街地として多くの文化的・歴史的資源 を有する魅力的な地域であるとともに、未利用な公共用地や多様な公共施設を活用することによ って、更に地域の魅力を高めることのできる地域であることが伺える。 <文化会館フォルテ> ・約 800 人収容の大ホールを有し、「野々市じょんからまつり」や「花と緑ののいち 椿まつり」、「BIG APPLE in Nonoichi」など、文化的催しが多数開催されている。 <中央(野々市)公民館> <野々市小学校> <郷土資料館> <布市神社> ・秋祭りの際、野々市独特 の文化である「野菜みこし」 がみられる。 <市立図書館> <金沢工業大学> ・野々市市と協定を結 び、連携して事業を行っ ている。 <教育センター> <中央保育園、中央児童館> <フォルテ 第5・6駐車場> <旧北国街道の街並み> ・趣のある歴史的な街並み。国指定重要文化財の「喜多家住宅」等が立地す る。平成 23 年度に、電線の地中化などの整備事業(下写真左)が行われ、美 観化された。毎年秋には地域活性化イベント「北国街道野々市の市」(下写真 右)が開催される。 <県立養護学校跡地> ・約 1.9ha の広大な未利 用地。周辺には少ない大 きな樹木を有する。 <のっティ乗車場> ・文化会館フォルテ前は、 コミュニティバス「のっティ」 の結節点となっている。 <まちづくりの基本目標> ■歴史・文化資源を活かした地域デザイン <都市マスタープランにおけるまちづくりのテーマ> ■魅力あるまちなか居住環境の整備充実 「地域の歴史・文化を活かした出会いと交流のある魅力的な地域づくり」 ■施設機能の連携による多様な出会い・交流の創出 野々市中央地区の特徴 都市計画マスタープランをはじめとする市の上位計画における位置付けや、これまでの地域に おけるまちづくりの取り組み内容などを総合的に検討した結果、野々市市における新たな交流拠 点として、市全体の活性化に資するという観点から、 「野々市中央地区」における公有地の利活用 方針を次のように定める。 25 1. 野々市中央地区まちづくり全体構想 野々市中央地区におけるまちづくり全体構想については、以下のとおりとする。 ・本町通り(旧北国街道)を中心とする地域中心交流拠点は、学術研究拠点(金沢工業大学)と文化交流拠点の間に位置し、相互の拠点を結ぶ位置関 係にあることから、これらの3拠点の機能連携を図ることにより、ヒト、モノが出会い、交流し、賑わいを創出する環境整備の推進を図る。 『学びの杜ゾーン』 『にぎわい交流ゾーン』 ・市民が文化、芸術にふれ、野々市市の歴史や文化を体験する場 ・市民が学び、知識を伝える場 ・市民が憩い、やすらぐ場 ・野々市市の文化・歴史を発信する役割 ・ヒトとモノが交流し、にぎわいを創出する場 ・野々市市の魅力(野々市ブランド)を創出・発信する場。 ・「学びの杜」ゾーンと「金沢工業大学」を結ぶ、産学官連携の拠点 ・魅力づけのサポートを行う役割 公民館 大学連携拠点 創造する 物産品店 駐車場 「のっティ」結節点 26 「野々市の市」開催 旧北国街道 文化会館フォルテ 憩う 連携 憩う 集まる <旧役場周辺> 歩行者空間整備 <第5,6駐車場> “つなぐ” 行き交う 金沢工業大学 公民館 民有地 図書館 憩いの公園 市立図書館 市民学習センター <養護学校跡地> 交流する 広場 移 設 <現況> “にぎわい創出” 「地域中心交流拠点」 “芸術・文化に親しむ” 「文化交流拠点」 「学術研究拠点」 まちづくり全体構想図 26 2. 公有地の利活用方針 公有地の利活用方針については、以下のとおりとする。 (1)県立養護学校跡地の利活用方針 ・県立養護学校跡地については、近接する文化会館フォルテを文化交流拠点として位置付けて いることから、相互に連携を図るとともに文化交流拠点としての機能の拡充に資する土地利 用を図ることとし、図書館機能及び公民館機能を備えた新たな生涯学習施設を整備する。 「市民が学習・文化・芸術に親しむ場=『学びの杜ゾーン』」 を形成する。 ・新たな生涯学習施設は、図書館、市民学習センターを主とした複合施設とし、カフェや憩い の広場を併設した学びと憩いの空間とする。新たな図書館については、市政にふさわしい蔵 書を収容することを基本とする。 ・駐車場は南側の道路との接続に、憩いの広場は文化会館フォルテとの歩行者の動線に配慮し た配置とする。 ・既存の樹木及び市花木「ツバキ」を活用する方法について検討する。 至 フォルテ フォルテから歩いて 移動できる歩行者 空間を整備 既存緑地 想定される機能 ・ギャラリー ・工房 ・セミナールーム ・会議室 ・ホール 市立図書館 市民学習センター 南側からの採光 駐車場 (約 100 台) <断面図> 2F 市民学習センター 2,400 ㎡ 1F 図書館 3,200m2 憩いの広場 民間施設 (カフェ) 全体敷地面積 18,800m2 憩いの広場 駐車場 3,000m2 3,500m2 利活用方針図(県立養護学校跡地) 27 (2)旧役場周辺の利活用方針 ・学術研究拠点(金沢工業大学)に近接し、地域中心交流拠点に位置付けられる地域に含まれ ることから、金沢工業大学との連携を図りながら地域中心交流拠点としての機能の拡充に資 する土地利用を図ることとし、賑わいと交流の場となる商業機能や大学との連携拠点、周辺 住民のための市民サービス拠点機能を備えた「文化・コミュニティ施設」を整備する。 「ヒト・モノが交流し、にぎわいを創出する場=『にぎわい交流ゾーン』」 を形成する。 ①既存公有地において整備を検討した場合の配置案 ・公民館、大学交流拠点、物産品店は複合施設とし、利用者に対する駐車場を確保する。 ・旧北国街道に残る昔ながらの面影を活かした、施設外観、低層化等について検討する。 ・旧北国街道からの回遊性への配慮や憩いの空間としての広場配置等の機能向上、駐車場の十 分な台数及び工事期間中の作業スペース確保等の視点からみると、用地の不足が見られる。 駐車場 (約 7 台) 想定される機能 ・公共サービス ・歴史展示スペース ・特産品販売 ・民間活動拠点 ・産官学連携の拠点 公民館 大学交流拠点 物産品店 駐車場 (約 14 台) 駐車場 (約 20 台) <断面図> 全体敷地面積 5,200m2 旧北国街道 からの回遊 2F 大学交流拠点 1,2F 公民館 地区 1,2F 600m2 2 公民館 3,000m 駐車場 1F 物産品店 3,000m2 1,700m2 1,400m2 利活用方針図(旧役場周辺【民有地利用無し】 ) 28 前項のとおり既存公有地のみを活用し、想定する施設の整備を検討した場合、若干の用地の不 足が認められ、接道の状況に伴う利用者のアクセス性及び旧北国街道との回遊性の低下が懸念さ れる。 このことから、旧役場周辺公有地に隣接する民有地を利用することと仮定し、次のように検討 を行った。 ②既存公有地+隣接民有地において整備を検討した場合の配置案 ・公民館、大学交流拠点、物産品店は複合施設とし、利用者のアクセス性に配慮し東側道路(県 道窪・野々市線)に面して駐車場を配置する。 ・旧北国街道からの回遊性及び憩いの空間としての機能向上の観点から、憩いの広場を設置する。 アクセス性の向上 駐車場 (約 100 台) 想定される機能 ・公共サービス ・歴史展示スペース ・特産品販売 ・民間活動拠点 ・産官学連携の拠点 公民館 大学交流拠点 物産品店 憩いの 広場 憩いの 広場 回遊性の向上 <断面図> 全体敷地面積 8,700m2 旧北国街道 からの回遊 憩いの広場 1,400m2 1,2F 公民館 3,000m2 利活用方針図(旧役場周辺【民有地利用有り】 ) 29 2F 大学交流拠点 600m2 駐車場 1F 物産品店 3,800m2 1,400m2 (3)文化会館フォルテ第5・第6駐車場の利活用方針 ・文化会館フォルテ第5・第6駐車場については、現状、文化会館フォルテの駐車場及び地域の 大型駐車場としての機能を有している。県立養護学校跡地に新たな生涯学習施設を整備し、文 化会館フォルテとの連携を図る考えから、文化会館フォルテのみならず、新たな生涯学習施設 の駐車場としての利用促進を図ることにより、新たな生涯学習施設と文化拠点地域における利 便性の向上を図る。 『学びの杜ゾーン』の利便性向上をサポートし、ヒトを集める ①生涯学習施設整備に関する対象地としての検討 新図書館を含む生涯学習施設の整備対象地として、立地及び現状から「文化会館フォルテ第5・ 第6駐車場」 (以下、「第5・第6駐車場」と表記)も検討対象となりうるが、以下の観点から、 「養護学校跡地」がより適切であると考えられる。 ●文化会館フォルテからの徒歩による円滑な動線 ・ 「養護学校跡地」は、歩行者空間を整備することにより、「文化会館フォルテ」との徒歩での往 来が可能となるが、 「第5・第6駐車場」については、交差点を横断しなければ往来できない。 ●想定する整備規模 ・ 「学びの杜ゾーン」には、必要機能として「市民が憩える広場」及び「100 台程度の収容台数を 有した駐車場」を整備する方針であるが、 「フォルテ第5・第6駐車場」では建設面積が不足し、 求める機能を満たす整備が困難である。 ●現存する樹木の活用 ・ 「野々市中央地区」には大規模な公園がないことから、まとまった緑を有する公園整備が望まれ るが、 「養護学校跡地」が現有する樹木を活用することにより、緑の空間を形成することが可能 である。 ②駐車場としての必要性 「第5・第6駐車場」は、文化会館フォルテの駐車場として不可欠である他、地域における大 型駐車場としての役割も担っていることから、今後も駐車場としての活用が望ましいと考えられ る。 ●文化会館フォルテ駐車場としての必要性 ・大ホールの収容人数が約 800 人と大規模で、かつ立地特性から車での来場者が多い現状から、 第5、第6駐車場を除くその他の駐車場(第1~第4、及び第7、計 190 台)だけでは、収容能 力が不足である。 ・文化会館フォルテを中心に行われる、 「野々市じょんからまつり」 (例年の来場者:約 30,000 人)、 「ののいち椿まつり」 (例年の来場者:約 8,000 人)をはじめとする市の大きなイベントにおい て、第5、第6駐車場が活用されている。 ●地域住民による多様な利用 ・周辺地域における唯一の大規模駐車場として認知され、住民に広く活用されている。 ■近隣に立地する野々市小学校における、運動会等の学校行事開催時 ■旧北国街道で行われる「野々市の市」開催時 30 ■民間開催のイベント等における臨時バスの発着場としての活用 ●「野々市中央地区」における利便性の向上 ・ 「野々市中央地区」における再整備の実施に伴い、今後、市内外を問わず地域への来訪者数の増 加が見込まれることから、従前のとおり駐車場としての活用が望ましいと考えられる。 ③今後の課題 ・イベント非開催時の利用促進が課題として挙げられることから、駐車場としての機能を保ちつ つ、付加価値を持たせる工夫や利用が少ない期間の民間への貸出など、駐車場以外の利用方法 の検討が今後の課題である。 31 第4章 公有地利活用の事業化方針 野々市中央地区は、本市の中心的な地域として発展した地区である。しかし平成 15 年度以降に おける、町役場移転や新市街地への人口移動に伴う郊外へのスプロール化などが影響し、かつて の賑わいが失われつつある。地域住民の高齢化や店舗の減少、空き地空き家の増加など衰退傾向 が見られることから、更なる進行に歯止めをかけるべく先手を打って対策を講じる必要がある。 また、養護学校跡地への移転整備を予定する市立図書館については、耐震強度不足の問題から 3階部分が利用不可となるなど老朽化が著しく、新しい図書館を望む市民の声も多いことなどか ら早期に整備することが望まれる。これらの現状から、第3章に定めた公有地の利活用方針に基 づき、着実な事業化に向けた対応を図るものとする。 公有地利活用の事業化に向けた手法は、以下のとおりとする。 1. 整備財源の確保 本市では、当面の間、人口増加の傾向が続くものと予測される。このことから、公共施設整備 や都市防災機能の強化、老朽化が進む既存インフラの改修をはじめ、本市の更なる成長による新 たなインフラ整備事業等の発生が見込まれ、これらへの投資が増大することに併せて、本市の財 政負担も増加することが見込まれる。 「野々市中央地区」の土地利用を図るにあたっては、本市の 財源負担をできるかぎり低減するため、まちづくりに関する交付金や民間資金の活用を図ること を検討する。 ●まちづくりに関する交付金の活用 <交付金の例示> ・地方都市リノベーション事業(都市再生整備計画事業の活用) 地方都市の既成市街地において、既存ストックの有効利用及び民間活力の活用を図りつつ、持続可能な都市 構造への再構築を図るため、地域に必要な都市機能(医療・福祉・子育て支援・教育文化・商業等)の整備・維持 を支援し、地域の中心拠点・生活拠点の形成を推進することによる、地域の活性化を目的とする。 ●民間資金の活用 ・民間活力の導入可能性について検討し、民間資金やノウハウを活用することで、整備にあたっ ての建設費など当初費用のみならず、維持管理及び運営に係るランニングコストまでをも含め た事業費の軽減を図る。 32 2. 整備手法及び管理運営手法 公有地利活用の方針を踏まえ、各々の施設等において提供されるサービス内容を定め、それら のサービスを効率的かつ効果的に提供できるような整備手法及び管理運営方法について検討して いく必要がある。 (1)整備手法 利活用方針を踏まえた整備手法として、以下が考えられる。 ●野々市中央地区全体のデザイン化 ・野々市中央地区の整備に際しては、第一次総合計画に掲げる「野々市ブランドの確立」の視 点から、コーポレート・アイデンティティ計画を明確にし、各種デザイン等の統一化を図り、 本市の文化・芸術を戦略的に発信する。 ・公共施設をはじめ、旧北国街道を中心とした歴史・文化施設までの距離や位置、由来等を表 示する案内板を設置し、 「野々市中央地区」を利用する市民の利便度を向上する。 ●県立養護学校跡地 ・新しい市立図書館を「養護学校跡地」へ移設し、市民学習センターを併設する考えから、県 立養護学校跡地の整備を先行し、新しい生涯学習施設へ図書館機能を移動した後、 「旧役場周 辺」の整備を行うものとする。 <新しい市立図書館及び市民学習センターを現地で建替えることが望ましくない理由> ・現位置での建替えを行う場合、建設期間中は閉館とする、又は他所へ仮設するなどにより運営 することが考えられるが、市民の利用度が高い施設であることから閉館は望ましくなく、また、 仮設する場合の用地確保が困難であること。 ・必要面積の視点から、新しい市立図書館及び市民学習センターに求められる機能を併せ持つ複 合施設としての整備が困難であること。 ・整備中及び整備後の駐車場数及び工事作業スペースの確保を考慮した場合、敷地面積が不足し ていると考えられること。 これらの理由から、新しい市立図書館の整備完了をまって「旧役場周辺」の整備に着手するこ ととし、 「県立養護学校跡地」の整備を先行する。 ●旧役場周辺 旧役場周辺の整備においては、以下の理由から民間活力の導入を図ることが望ましい。 ・民間資金の活用による本市の財政負担の低減 ・にぎわい創出を目的とした施設であることから、設計及び建設、運営に民間のノウハウやアイ デアを活用することにより、公共主体の整備以上の効果が期待できる。 33 (2)管理運営手法 利活用方針を踏まえた管理運営手法として、以下が考えられる。 ●学びの杜ゾーン ・文化会館フォルテとの一体的な活用を想定し、かつ、教育と文化交流拠点として特徴づける という施設整備方針から、その運営は文化会館フォルテ管理運営の指定管理者である「公益 財団法人 野々市市情報文化振興財団」への全面的、又は一部業務の業務委託等を検討する。 ・現在、文化会館フォルテで開催されている「花と緑ののいち椿まつり」や「野々市じょんか 0 らまつり」 、本市の文化祭であるマナビィフェスティバル等を「学びの杜ゾーン」として一体 的に行うことにより、特徴が際立つほか、相乗効果による新たな魅力創出が期待できる。 ●にぎわい交流ゾーン ・施設を整備する民間事業者による管理運営を想定する。 ・施設のうち、公共部分については、市がスペースを賃借することによる使用を想定する。 ・ 「野々市市観光物産協会(仮称) 」の設立を目指し、物産品店のフロアについて、当該協会に よる運営の仕組みを検討する。 ・野々市市の魅力を多くの人々に紹介するボランティア団体「ののいち里まち倶楽部」の活動 拠点としての活用を検討する。 3. 事業スケジュール 想定する事業スケジュールについては、以下のとおりである。 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 学びの杜ゾーン (県立養護学校跡地) 設計 工事 実施設計 解体工事 建設工事 開館 移転作業 開館 開館イベント 実施 にぎわい交流ゾーン (旧役場周辺) 民間活力導入による事業 案の検討及び策定 事業スキーム・発注方式の検討 事業者選定 設計 民間事業者事業 解体工事 建設工事 開館 開館イベント 実施 開館 34