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資料7-6 森下委員提出資料(PDF形式:1138KB)
1 大学発バイオベンチャー協会 規制緩和分科会 提言書 2009年 8 月 2 はじめに 昨今、わが国では2007年ごろよりバイオベンチャーへの投資が厳しくなり、バイオ ベンチャーによる先端医薬品開発が滞っているのが現状である。この背景には、金融危機 発生による新規株式上場(IPO)による調達額の激減、IPOが難しい状況にあること からベンチャーキャピタル(VC)よるバイオベンチャーへの投資順位の格下げ等のポー トフォリオの変更などが挙げられる。それにより、これまでの事業モデルでは事業および 研究開発の持続は困難になり、臨床試験を行っているようなミドルステージのバイオベン チャーも淘汰される状況にある。 欧米におけるバイオ投資の現状も同様に厳しく、会計大手 Ernst & Young の発表によると、 2008年の欧米のバイオ投資額は前年比46%減少、IPOによる調達額は95%減少 であり、バイオ産業の厳しさが伺える。また、欧州でのバイオ企業の資金調達額は、20 07年の55億ユーロから2008年は20億ユーロ以下と約6割の減少が見られたとの 報告もあり、米国以上の激変振りが顕著にあらわれている。 このような中で、オバマ政権は米国の医療制度改革を政策としてあげており、バイオ産 業へ強い影響があるものと期待されるが、一方、医療制度改革による膨大な費用のしわ寄 せは、医薬品価格の抑制などでバイオ産業へ影響がおよぶのではないかと考えられる。 世界的にもバイオ産業が厳しい状況の中であるからこそ、わが国は長期的に今後益々、国 民の健康長寿を維持する為には、バイオ産業においてアドバンテージを取れるような政策 をいまこそ打ち出すときであると考えた。 そこで、バイオ産業のイノベーションの成功に欠かせない必要な施策として、以下の2 つを提言する。 【提言1】日本版SPA制度の導入 医薬品開発型バイオベンチャーにおいて、臨床開発における承認審査の確度の見通しが つかないことは、会社の資金的な運営の難しさに繋がる。それは、バイオベンチャーにと って、医薬品の開発費用は、製薬企業との連携による資金提供や共同研究費、もしくは、 ベンチャーキャピタル等からの投資により賄っている。これらの開発費用を受けるために は、開発品の承認の有無が判断基準である。現行では、その判断基準である承認審査の時 期や、承認を得るためのガイドラインが不明確なため、開発費用を集めることは難しい。 そこで、米国 FDA で実施している SPA(Special Protocol Assessment)制度のような、規制 当局からのコミットメントを得られるような制度の日本版 SPA を整備し対応することが必 要である。 さらに、日本版 SPA は、革新的医薬品に対する特許期間の薬価改定排除等の薬価制度の 特別処置の設定として、 「イノベーション薬価の設定」も含む制度とする。 また、バイオベンチャーと製薬企業との連携(アライアンス)を推進するためには、当事 3 者間の取り組みに対して、大企業(製薬企業)を対象としたインセンティブ向上のための 政策的な政策が必要である。そこで、日本版 SPA の制度には、日本版 SPA の承認を得た「バ イオベンチャーと製薬企業との連携の推進政策」として、下記の事項を含む内容を提言す る。 ・事業連携によって実施する開発費用に対する補助金・助成金の制度 ・製薬企業がバイオベンチャー企業の資産取得した際の減税処置 ・製薬企業がバイオベンチャーとの共同開発、およびバイオベンチャーからの導入品の開 発を実施した際の特別処置の設定 -審査料金の減額 -優先的審査 【提言2】会社体制の強化 国立大学法人の研究者の成果をベンチャーにより事業化を行うためには、発明者の事業 参画は必須である。他に類のない先端的な技術の事業化に向けた応用開発を行う際には、 その技術の専門家はその発明者のみであり、発明者の支援がなくては、イノベーションを 起こすことはできない。 そこで、研究者へベンチャー参画のインセンティブや、起業意欲の向上に対する整備が 必要である。 これらの施策を導入することにより、わが国の健康長寿を維持するための、国民の健康 維持と医療の向上が実施できる。さらに、日本の医療産業の活性化や、科学分野の学術的 な発展にもつながり、国際的なアドバンテージを保持できるようなバイオ産業のイノベー ションが達成に繋がる。また、この施策の導入・運営にあたっては、国民の理解と協力が 必要であることは言うまでもない。 4 目次 はじめに 1)提言1「日本版SPA制度の導入」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 2)提言2「会社体制の強化」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 3)医薬品・医療機器におけるわが国の規制緩和事項・・・・・・・・・・・・・・・ 8 付録・資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 1 大学発バイオベンチャー協会規制緩和分科会委員会・・・・・・・・・・・・・・ 11 5 1)提言1「日本版SPA制度の導入」 医薬品開発型バイオベンチャーにおいて、臨床開発における承認審査の確度の見通しが つかないことは、会社の資金的な運営の難しさに繋がる。それは、バイオベンチャーにと って、医薬品の開発費用は、製薬企業との連携による資金提供や共同研究費、もしくは、 ベンチャーキャピタル等からの投資により賄っている。これらの開発費用を受けるために は、開発品の承認の有無が判断基準である。現行では、その判断基準である承認審査の時 期や、承認を得るためのガイドラインが不明確なため、開発費用を集めることは難しい。 そこで、米国 FDA で実施している SPA(Special Protocol Assessment)制度のような、規 制当局からのコミットメントを得られるような制度の日本版を整備し対応することが必要 であることから、日本版 SPA 制度の導入を提言する。 米国FDAでのSPAは、フェーズII終了時からの制度である。しかし、日本版SP Aでは、医薬品開発型バイオベンチャーのイノベーション支援であることから、治験申請 (確認申請)前の段階から制度の対象範囲とし、フェーズII終了時に規制当局の独立行 政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と、フェーズⅢのエンドポイントを決定する こととする。 日本版SPA制度には、上記の内容のほかに、バイオベンチャーと製薬企業との連携(ア ライアンス)を推進するためには、当事者間の取り組みに対して、大企業(製薬企業)を 対象としたインセンティブ向上のための政策的な政策が必要である。 さらに、大学発革新的技術からの医薬品イノベーションを誘因するためには、イノベー ションの価値を認めるような薬価の設定が必要である。 日本版SPA制度には、下記事項も含むものとする ・ イノベーション薬価制度 ・ バイオベンチャーと製薬企業との連携の推進制度 提言1 日本版SPA導入 PMDAによるSPA(Special Protocol Assessment ) 厚生労働省による承認 治験申請 •規制側 ・開発側 基礎研究/シーズ検索 非臨床 大学 イノベーション 薬価 フェーズ1 フェーズ2 ベンチャー企業 イノベーション薬価設定により大 学の先端研究、応用化促進 フェーズ3 製薬企業 ベンチャー企業と製薬企 業との連携や開発を引き 継ぐインセンティブ向上 薬価設定 6 イノベーション薬価制度とは、国内ベンチャー発革新的医薬品に対する特許期間の薬価 改定排除等の薬価制度の特別処置である。この制度によって、国内大学やバイオベンチャ ー発革新的技術からの医薬品イノベーションを誘因し、イノベーションの価値を認めるよ うな薬価の設定が行える。 バイオベンチャーと製薬企業との連携の推進制度とは、バイオベンチャーと製薬企業との 連携(アライアンス)を推進するための、当事者間の取り組みに対して、大企業(製薬企 業)を対象としたインセンティブ向上のための政策的な政策である。 この制度には、下記3つの特別処置を実施する。 ①事業連携によって実施する開発費用に対する補助金・助成金の制度 ②製薬企業がバイオベンチャー企業の資産取得した際の減税処置 ③製薬企業がバイオベンチャーとの共同開発、およびバイオベンチャーからの導入品の開 発を実施した際の特別処置の設定 -審査料金の減額 -優先的審査 7 2)提言2「会社体制の強化」 国立大学法人の研究者の成果をベンチャーにより事業化を行うためには、発明者の事業 参画は必須である。他に類のない先端的な技術の事業化に向けた応用開発を行う際には、 その技術の専門家はその発明者のみであり、発明者の支援がなくては、イノベーションを 起こすことはできない。 研究者へベンチャー参画のインセンティブや、起業意欲の向上に対する整備が必要であ る。 そこで、会社体制の強化を提言する。 会社体制の強化としては、下記事項を検討することとする。 ① 株式取得に対する制限の緩和の検討 ② 取締役就任経営参画に対する利益相反および職業・倫理規定の、実情に応じた弾力的 な見直し 大学における兼業規定や利益相反における運営の柔軟化による産学連携の活性化は、イ ギリスにおいて多くの例が認められ、ケンブリッジ大学やインペリカルカレッジなどに おいて、大学内での大学発ベンチャーの研究所の整備などが有効な施策になることが明 らかになっている。日本においても、同様な施策をとることが望ましい。 アントレプレナーシップの啓発と会社体制の強化 応用化 ベンチャー 企業による 産業化 時間軸 今後 研究者へのインセンティブ付 けによるベンチャー企業での 開発促進 大学での研究 時間軸 ●研究者の事業への取締役としての参画は技術の応用化に不可欠 ●研究者の株式取得・保持制限の緩和によるインセンティブ付け スピードアップへ 大学での研究 時間がかかってしまう 現状 応用化 提言2 8 3)医薬品・医療機器におけるわが国の規制緩和事項 わが国のバイオ産業の成長に苦しむ状況の理由となっている重要な課題として、医薬品や 医療機器、生物製剤などの審査・承認体制の問題がある。このような現状を踏まえ、大学 発バイオベンチャー協会では、具体的な医薬品や医療機器、生物製剤などの審査・承認体 制を改革し、迅速化を図るために、平成16年2月には「大学発バイオベンチャー協会か らの提言」を河村文部科学大臣および坂口厚生労働大臣などの各方面へ提出し、また「大 学発バイオベンチャー支援のための特許制度について」を内閣官房知的財産戦略本部中小 企業・ベンチャー支援のために特許制度を検討する委員会に提出するなどの活動を行って きた。(大学発バイオベンチャー協会(編)「大学発バイオベンチャー・ガイドブック 改 訂版」、http://www.daigaku-bv.com/history.html) また、独立行政法人科学技術振興機構研究開発戦略センター(JST-CRDS)臨床医 学グループからも、わが国の臨床研究における諸問題を解決するために、2007年3月 に戦略イニシアチブ「統合的迅速臨床研究(Integrative Celerity Research; ICR)の推進」 (http://crds.jst.go.jp/output/pdf/06sp18.pdf)が提言され、2008年3月には戦略イニシアチ ブ 「 医 薬 品 、 医 療 機 器 等 の 審 査 ・ 承 認 体 制 の あ る べ き 姿 」(http://crds.jst.go.jp/ output/pdf/07sp15.pdf)が提言されている。 これらの動きに加え、医薬品に関しては、製薬協からも提言書がだされ、審査・承認の ための法制度の改正・整備や審査・承認に関わる人材の強化など、制度の見直し・改革が 行われた。 一方、医療機器の状況は、高齢社会であるわが国においては、病気の診断・治療・補助 療法・予防に医療機器は不可欠であるにも関わらず、医療機器の臨床開発を迅速に行える ような制度が整っていない。その為に、医療機器は自国による開発品は非常に少なく、輸 入に頼っているのが現状である。特に、からだへの危険が高い治療に用いる医療機器(国 際分類クラス3,4)は、海外の輸入品が主流である。 この現状の背景には、医療機器を開発する企業は予想外の不慮の事故に対する危機回避 の姿勢の問題もあるが、一方、医療機器を開発する際のわが国の薬事の問題が多い。 医療機器は、根本的に医薬品の開発とは異なり、臨床開発を行いながら改良を進め、患 者さんへ最適な製品を作り出す。しかし、わが国は半導体、電子機器、材料、製造などは、 世界に誇る優れた技術が多く存在する。 よって、医療機器の臨床開発を、迅速に行える新医療機器申請制度(日本版IDE)の 創設が必要である。 また、薬剤がコーティングされた新しいタイプの医療機器が急速に開発されてきている。 事実、薬剤流出ステント(Drug Eluting Stent;DES)は、冠動脈におけるステント市場の 80%に近いシェアを占めるにいたっている。現行の審査制度は、このような新規高機能 9 付加型医療機器に対応しておらず、早期にガイドラインの制定により海外への展開も可能 になるように思い切った規制緩和と早期承認を可能にするような制度設定を行うことを要 望する。 一方、簡易な医療機器や医療用具は、現在では規制緩和により都道府県の認可に変更さ れているが、高機能付加したような医療機器や医療用具の扱いは、国の認可か都道府県の 認可が明確でなく、イノベーションの発達を阻害している。そのような医療機器・用具の 例として、感染を防ぐ絆創膏やインフルエンザを防ぐマスクなど多岐にわたる。このよう な高機能付加型で簡易な医療機器・用具のために、医薬品分野における「特定保健用食品」 のような特定機能性医療機器制度の創設を希望する。 参考 ・ 自民党ライフサイエンス推進議員連盟の「医薬品・医療機器の研究開発および承認の 迅速化に関する決議」(平成 18 年 12 月) ・ 総合科学技術会議における臨床研究推進(平成 18 年 12 月) ・ PMDA の定員倍増を盛り込んだ審査認可機関の強化(平成 19 年度予算)に反映 ・ 文科省「橋渡し研究支援推進プログラム」の制度設計(平成 19 年度予算)における、 臨床研究実施機関と支援機関の拠点的整備及び拠点間のネットワーク形成の推進 ・ 厚労省におけるマイクロドージングの審査・認可制度の設置(平成 19 年 1 月) ・ 厚労省における再生医療に関するガイドライン(平成 12 年度医薬発第 1314 号通知) の改正検討(平成 19 年 3 月) ・ 厚労省・文科省・経産省の「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」(平成 19 年 4 月) ・ ライフサイエンスサミット(文部科学省・厚生労働省・経済産業省・内閣府・総合科 学技術会議などの官界、政府や国会議員などの政界、学会や産業界の関係者が参加)にお いてパネルディスカッション「我が国の臨床研究システム改革」と、我が国の臨床研究シ ステムの改革に全力で取り組むとする大会宣言(平成 20 年 4 月) ・ 自民党政務調査会、科学技術創造立国推進調査会、健康研究推進 PT の「SPECIAL7 (スペシャルセブン)」 (臨床研究強化戦略 7 項目)(平成 20 年 6 月) ・ 政府による医薬品・医療機器開発支援のための「健康研究推進会議」の新設(平成 20 年 7 月) ・ 新設された「健康研究推進会議」において、先端医療開発特区(スーパー特区)が創設。 24 件の「スーパー特区」事業(期間:5 年間)が開始(平成 20 年 11 月) ・ PMDA がスーパー特区の担当官を設置(平成 20 年 11 月) ・新設された「健康研究推進会議」においてアドバイザリーボードの開催が承認され、平 成 21 年 5 月を目処に健康研究推進戦略の策定に向けた意見・提言が実施(平成 21 年 2 月) ・ 「規制改革推進のための 3 ヵ年計画(再改定)」 (平成 21 年 3 月 31 日閣議決定)におい 10 て、下記 1)、2)に関する計画の策定 1)医療機器の臨床研究用承認制度(日本版 IDE) 2)自家移植再生医療に係る医療法及び薬事法の適用範囲の明確化へ向けた取り組み (臨床研究に関するガイドラインの改定等) ・大学発バイオベンチャー協会(編)「大学発バイオベンチャー・ガイドブック 改訂版」 ライフサイエンス出版、2006 年 12 月 16 日刊。第一部 大学発バイオベンチャー協会から の提言(坂口 力 厚生労働大臣、河村建夫 文部科学大臣、茂木敏充 科学担当国務大臣宛、 平成 16 年 2 月 20 日提出)および厚生労働省への緊急提言(平成 17 年 7 月 20 日提出) 11 別添資料 付録・資料 1 大学発バイオベンチャー協会規制緩和分科会委員会 開催日:2009年4月13日(月)10:00~12:00 開催場所:東京CRO本社分室7階会議室 東京都文京区後楽 2-1-2 興和飯田橋ビル7階 参加者 委員 役割 座長 氏名 森下 竜一 大阪大学大学院医学系研究科 教授 所属 委員 中富 一郎 ㈱ナノキャリア 代表取締役社長 委員 上田 実 名古屋大学医学系研究科教授 委員 小口 しのぶ ロー 備考 協会会長代行 協会副会長 (DDS) 協会副会長 (再生医療) (独)科学技術振興機構 研究開発戦略センター フェ (政策、特許規 制) 座長代 川上 浩司 理・委員 京都大学大学院医学研究科 教授 (政策、行政) 須田 浩幸 アンジェスMG株式会社 臨床開発部長 オブザーバー (バイオテクノ ロジー医薬 京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)准教 (産学連携、知 仙石 慎太郎 授 財) (医薬品、医療 廣田 直美 バクスター株式会社 執行役員・薬事薬制本部長 機器) ファイザー株式会社 執行役員 コーポレートアフェ (開発薬事、ド 松森 浩士 アーズ・信頼性保証部門長 ラッグラグ) 北海道ベンチャーキャピタル㈱投資事業部 インベス 伊藤 勝彦 トマネージャー 賛助会員 株式会社アフェニクス 代表取締役 加納 信吾 東京大学新領域創成科学研究科特任教授 正会員 オブザーバー 出口 俊一 ㈱デジタルニューディール研究所代表取締役社長 賛助会員 国際科学技術情報センター有限会社代表取締役 協会事務局長 委員 委員 委員 委員 委員 事務局 鈴木 潤 大学発バイオベンチャー協会(ファイナンス分科会) 要望書 (要旨) 【主旨】 バイオテクノロジー産業は、国際競争力を高め、健康・長寿社会を実 現する基軸産業として期待されている。 z z 医薬品、再生医療、診断薬、医療機器、研究支援サービス、機能 性食品やアグリバイオやグリーンバイオ(エコ)などを含む産業 バイオベンチャー数 577 社、就業者数は約 5,000 名(2007 年度) しかし、実用化の段階で他の先進国(特に米国)に大差をつけられて いる。 z 米国ではバイオテクノロジー産業が新成長産業として経済を牽引しているのに 対して、日本ではその期待さえ見られない状況。 一方で、実績も上げつつある。 ¾ 国内バイオベンチャーの歴史は浅いものの、新しい技術・特許を 多数創出して他国に比較して優れた研究成果がでている。 ¾ 上場企業は 20 社余り(サービスおよび医療機器企業を除く)が活 躍している。 しかしながら、多くのバイオベンチャー(上場会社を含む)は開発プ ロジェクトの実用化、事業化の途中段階、あるいは POC (Proof of Concept)を得る段階で、資金難に陥り、事業縮小・事業撤退を余儀 なくされ、雇用創出どころか、企業維持も困難な状況にある。 イノベーションを実現し、明るく豊かな日本を築くためにも、大学 発バイオベンチャーの振興・促進は必要不可欠である。 本協会ではファイナンス分科会を設置し、バイオベンチャーを取りま くファイナンスに関連する諸問題として下記14項目の抽出を行いその 改善策や方向を提言することとした。また、緊急の課題として、①新た に設置された産業革新機構のあり方、②Going Concern(企業の継続性) について、別途の提言をまとめた。 1 【要望内容】 1.バイオベンチャーへの投資の促進 1)年金資金など機関投資家のベンチャー(ファンド)への投資の促進 年金資産等の一定割合を Funds of Funds を通じて投資を行う。 2)株式会社産業革新機構(旧イノベーション創造機構)の運営について ① 上場、未上場に限らず、成果を上げられるベンチャーを対象とする 投資 ② 満期を迎えた投資ファンドの保有分買取り(セカンダリーファン ド)による再生(再構成)と資金循環 ③ ベンチャー投資全般に対する知識と経験を有する人材の確保 3)SBIR(Small Business Innovation Research)の強化 専門的な担当者の育成及び配置の促進の政策的配慮 4)補助金・助成金の在り方 イノベーションの担い手であるベンチャーを主体に採択すべき。 2.投資の出口(Exit)促進 株式上場、M&A などの Exit 成功例を積み重ねることが、投資促進に大きな影 響を及ぼす。 1)Going Concern(企業継続性に対する公認会計士の意見) ① 財務活動に関する観点から資金の有無が判断要素とされ、必ずしも 合理的な評価がなされない傾向がみられる ② 当該企業に合理的な事業計画がある場合には、バイオベンチャーの 特異性を考慮し、GC に対する判断をした上で、最終的な上場の是非 を検討すべきである。 ⇒ GC が付いていても上場時ファイナンスで解消される目途があ れば、上場を認めるようにしてはどうか。 2 2)新興市場の育成と形成、株式上場(IPO)の促進 ① バイオベンチャーの上場促進と発展段階に応じた株式市場の整備 ② 研究開発(治験)など成果までに時間を要し、継続的な収入がない等 の特性を考慮した四半期報告制度の導入 3.その他 1)人材の育成(バイオやファンナンスに明るい) 1-2 年程度の速習型実業融合教育プログラムと資格制度を立ち上げ るなど大学や大学院などアカデミアの協力によるプログラム運営を 国が支援してはどうか。 2)有限責任投資事業組合の監査の在り方 投資組合の監査で、金融商品取引法の会計準則が適用されて保守的 評価が行われ、投資期間中の運用収益率の悪化、投資活動の萎縮、 資金調達の未達成、新たな資金流入を阻害することにつながってい る。組合の定める評価準則に従った評価で監査を行うべきである。 3)自社株買い規制の改善 インサイダー取引規制の解釈を明確にするなどして、経営者の安定 株主を維持できるようにする。 4.税制 1)エンジェル税制の更なる適用拡大と簡素化(諸外国の例を参考に) 2)外形標準課税の免除措置 現在、キャッシュアウトを抑えるために減資手続き(資本金が1億 円未満になるように)を行うケースが増えているが、外形標準課税 の免除措置を設けられないか。 3 3)会計上と税務上の損金算入の整合性 投資(出資)持分の 50%を超える会計上の評価減額は有税での引当 て処理となっている。事業会社等は有税引当の回避を望むために VC の資金集めをする場合の足枷になっている。税務上の損金として取 り扱うべきである。 4)業績連動報酬のルールの緩和 現状の業績連動報酬のルール(定時・定額)では、長い研究開発の 結果でやっと収益が出て報酬を上げた場合に法人課税の対象になる という恐れがあり、ベンチャー経営者は活用しにくい。 5)国内企業連携により免税 バイオベンチャーと製薬会社の開発・販売連携を行った場合に、双 方企業に法人税や地方税の一部免税を行えば、開発意欲は促進され、 国際競争力に打ち勝つプロジェクトが発生する可能性が高い。 以上 4 大学発バイオベンチャー協会 ファイナンス分科会 平成 21 年 6 月 22 日 大学発バイオベンチャー協会 会長 黒川 清 会長代行 森下竜一 副会長 上田 実 副会長 中冨一郎 要望書 目次 大学発バイオベンチャー協会 要望書(ファイナンス分科会) ................................................. 2 1. バイオベンチャーへの投資の促進 ........................................................................................ 2 (1) 年金資金など機関投資家のベンチャー(ベンチャーファンド)投資の促進........................ 3 (2) 株式会社産業革新機構(旧イノベーション創造機構)について・・・別紙参照 .................... 3 (3) SBIR(Small Business Innovation Research)の導入・強化 ................................................ 3 (4) 補助金・助成金の在り方について ................................................................................. 4 2. 投資後の Exit(出口)について .............................................................................................. 4 (1) Going Concern(GC)の取り扱い ・・・別紙参照 .......................................................... 4 (2) 新興市場の育成と形成、株式上場(IPO)の促進 ............................................................ 5 3. その他 ..................................................................................................................................... 5 (1) 人材の育成について .................................................................................................... 5 (2) 有限責任投資事業組合の監査の在り方について ........................................................... 5 (3) 自社株買い規制の改善 ................................................................................................ 6 (4) 税 制 .......................................................................................................................... 6 ファイナンス分科会メンバー……………………………………………………………………...8 緊急提言: 別添1.産業活力再生法制定により設立予定の㈱産業革新機構に関する提言 ...................... 9 別添 2. バイオベンチャーをとりまくゴーイングコンサーンに関する提言 ................................ 14 1 大学発バイオベンチャー協会 要望書 ファイナンス分科会 座長 中冨一郎 事務局 谷 正之 バイオテクノロジー産業は、人類の健康を司る医療を基盤として食品、環境(ECO)、IT、農業な どの広範囲な産業分野に影響を与えることから、今世紀の重要な基軸産業であると言われ、新成 長産業としても期待されている。イノベーティブな技術革新は知財立国を目指している我が国にお いて、将来の日本の国際競争力を保持又は向上させる上で戦略的に重要であり、バイオテクノロ ジーに関する期待は特に高いものがある。 一方で、技術水準は日進月歩であり、知的財産はますます高度化・専門化しており、先進諸国 やアジア諸国との競争も激化している。このような中、大学や研究機関等の先端技術やノウハウを 円滑に実用化へ移転することが経済の発展上欠かせない課題となっている。大学発バイオベンチ ャーは産業への技術移転等の橋渡し機能を果たすという大きな役割を担っており、ここ数年、政府 主導の政策的支援もあり、1800 社を超える大学発ベンチャーが誕生(うち半数近くがバイオベンチ ャーと言われている)して、一定の研究成果や経済効果を上げてきている*1。しかし、昨今、多くの 大学発バイオベンチャー(以下バイオベンチャーという)は、開発してきたプロジェクトが実用化の 途中段階あるいは POC (Proof of Concept)*2 を得る段階で資金難に陥り、事業縮小・事業撤退を 余儀なくされている。これには様々な要因が考えられるが、景気の低迷のみならず、バイオ業界を 取り巻く法令や諸制度の整備などの問題に起因しているものと考える。 このような状況を鑑み、本協会では新たにファイナンス分科会を設置して、それらファイナンスに 関連する問題点の抽出を行い、その改善策や方向を提言することとした。 なお、問題点は多項目に亘るため、ここでは全般的な諸問題を取り上げることにし、早急な課題 として①新たに設置された産業革新機構のあり方、及び②Going Concern*3 (企業の継続性)に ついて緊急提言を行うこととし、別添しております。 1. バイオベンチャーへの投資の促進 バイオベンチャーの事業化は複数年にわたり多額の開発資金を要するために、エンジェル、 ベンチャーキャピタルや機関投資家などからの資金調達が必須である。バイオベンチャーは、 財政基盤が脆弱な上、継続的な収益基盤が確立されていないので、継続的資金調達は困難 である。また、有効な担保がないために、金融機関からの借入も極めて困難な状況にある。開 発資金や運転資金の調達は第三者割当増資等による資金調達や研究に対する補助金・助成 金などに限られているのが実状である。この様な状況の中で、未上場のバイオベンチャーにと ってベンチャーキャピタルが行う投資(増資引受)は非常に大きなウエートを占めており、ファイ ナンス面での生命線でもある。また、上場したバイオベンチャーは開発段階は進んでいるもの の、収益基盤が確立されていないために赤字企業が大半であり、公募増資による資金調達は 2 容易ではない状況である。 バイオベンチャー側の課題として、ビジネスモデルや技術評価に関してベンチャーキャピタル や投資ファンド側に対して理解を求める啓蒙活動が必要などの声があるが、バイオ領域へ投 資側における専門家不足などを含め以下の課題とその政策的な対策を講じることが必要とし、 ここに要望します。 (1) 年金資金など機関投資家のベンチャー(ベンチャーファンド)投資の促進 未上場のベンチャー企業に投資を行っているベンチャーキャピタルの運用するファンドに資 金を流入させる必要がある。年金資産の大半が債権投資と認識しているが、年金資産等の一 定割合を Funds of Funds を通じて、未上場のベンチャー企業への投資を行えるように施策を 講じる必要がある。 特に生命保険会社は、保険業務上のメリットを得られる疾患領域や画期的治療法に対して 積極的な長期投資を検討していただきたい。 (2) 株式会社産業革新機構(旧イノベーション創造機構)について・・・別紙参照 産業活力再生特別措置法の一部改正に伴い革新的な経済産業構造への転換を目的に政 府主導による資金供給を当該機構の株式化により進めている。今後、運用ルールなどは定ま っていくものと思われるが、日本の次世代の資産としてイノベーティブな新たな付加価値を創 出する産業に投資を行い、成果を上げていくことが重要である。バイオベンチャーの中で臨床 試験に入っている開発品目(非臨床段階から自社開発)を保有する上場又は未上場のベンチ ャーや大手製薬企業とのライセンス実績があり、臨床試験入りするベンチャーなどを対象にし て、臨床試験の費用を提供することにより、ステージアップの加速を図るような重点的な投資を 行うことが必要である。 また、バイオベンチャー向けの多くのファンドの投資期間が概ね 10 年であるのに対し て、バイオベンチャー投資の Exit にはそれ以上の期間を要している。機構が満期を迎 えた投資ファンドの保有分を買い取ること(2 次買い取り=セカンダリー・パーチェス) を検討することが求められる。これにより、将来有望なパイプラインを保有するベンチ ャーの統合や再生が可能となるとともに、投資資金の流動性を高める効果が期待される。 (3) SBIR(Small Business Innovation Research)の導入・強化 Small Business に対する公的な支援制度(貸付や支援活動など)は整備されてきているもの の、バイオベンチャーは技術的専門性や研究開発の特殊性(薬事)が要求されるために、金 額の多寡のみならず、事業の中身や経営に関して経験を有する担当者によるファイナンス提 供やアライアンス支援活動が求められる。このような専門的な担当者の育成及び配置が求めら れる。 3 (4) 補助金・助成金の在り方について イノベーティブなバイオ医薬品や遺伝子治療薬、再生医療などは開発リスクが高いために主 にバイオベンチャーが行っている。バイオ産業を育成する資金という観点からは、大手製薬企 業にではなく、バイオベンチャーを中心に開発資金の提供をおこなうべきである。倒産のリスク の低い優良な中堅以上の企業に対して大型の助成金が付与されるケースがよく見受けられる が、これは補助金や助成金の政策的な意義を失わせると考えられる。バイオ分野に限らずで はあるが、イノベーティブな技術開発は失敗するリスクも高いことを考慮し、倒産することもあり えるという前提に立って、プロジェクトの実現可能性に重点を置いて資金提供の可否を行うべ きである。 その他にも以下のようなことが考えられる。 x スーパー特区プロジェクト、臨床段階に入りあるいは臨床入り間近の開発品を有するバイ オベンチャーに重点を置いて付与してはどうか。 x オーファンドラッグやアンメットニーズの医薬品などに対して、一層のグラントを強化すべ きではないか。 x 共同研究法人に対する株式型投資スキームを認めることで、実際のキャッシュ部分は国 の助成・補助金をフルに活用できる制度を検討する。 x 府省及びその関連機関の補助金等については、透明性を高めるために、e-rad(府省共 通研究開発管理システム)に組み込むようにする。 x 治療領域別に組まれる国内製薬企業との提携を前提条件としたバイオベンチャーへの 研究開発資金の援助を検討する(国内で Win-Win 状況を重ねていく方策をつくる)。 2. 投資後の Exit(出口)について 投資家は一定の果実(リターン)を得ることができることを期待して、リスクを持って投資あるい は出資を行っている。最近では、株式上場、M&A などの出口(以下、「Exit」という)を実行して きているが、まだまだ成功例は少なく、投資家の資金回収成功例を増加させることが、投資資 金の集まりや投資促進に大きく影響を及ぼすものと考えられる。 (1) Going Concern(GC)の取り扱い ・・・別紙参照 Going Concern とは、企業の継続のことを言い、現行の監査基準では上場企業等に対し て向こう 1 年余の手元資金を継続して保有することが要求されている。赤字が続くバイオベン チャーの上場を認めながら、上場後は資金調達が困難な時期の GC のガイドラインは現状に 即していないのではないか。 未上場のバイオベンチャーも同様の問題に直面しており、上場準備企業に上場時に資金が 集まらなかった場合に備え、上場申請前に事前に 1-1.5 年分の資金を手元に保有できていな い場合には証券取引所への上場審査は受け付けられていない。 このように GC は非常に大きな問題となっている。この点が改善されれば、上場準備企業の 上場申請が増えることとなり、上場目的の一つである資本市場からの資金調達できることとなり、 4 バイオベンチャーの環境改善に大きく役立つ。 (2) 新興市場の育成と形成、株式上場(IPO)の促進 昨今の新興市場における株式上場の件数は歴史的に見て、激減している。ベンチャー企業 が資本市場から成長資金を得ることができるように株式市場が健全に機能を果たすことは、健 全な国民経済の発展に資することとなる。このような観点からバイオベンチャーの上場促進と 企業の発展段階に応じた株式市場の創生(現市場の整理統合も視野に入れて)が必要であ る。 また、IPOの入り口を広げるためにも透明性の高い開示制度は必要不可欠であるが、創薬 系ベンチャーなどは研究開発(治験など)の成果が出るまでに時間を要することから、また、継 続的な収入ではないことから画一的な財務状況の四半期報告ではなく、事業特性を考慮した 報告制度を導入することはできないか。 3. その他 (1) 人材の育成について バイオ産業は国の重点育成産業であるために、関連する専門家を増やすことが必要である。 バイオ産業を理解し、ファイナンス面にも精通した人材の育成(CFO、機関投資家やベンチャー キャピタルの運用担当者など)が急務である。バイオメディカル大学研究部門、社会科学(イノベ ーション研究・ビジネススクール)大学研究部門及び PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器 総合機構:Pharmaceuticals and Medical Devices Agency )が薬事など教育連携する形 での 1-2 年程度の速習型実業融合教育プログラムと資格制度を立ち上げるなど大学や大学院な どアカデミアの協力によるプログラム運営を国が支援するなどの対策が考えられる。 (2) 有限責任投資事業組合の監査の在り方について ベンチャーキャピタルは投資事業組合を運営することによって、投資資金を集め、バイオベン チャーへの投資を行っている。現在、投資事業組合は金融商品取引法のみなし有価証券に該 当することからその適用を受けている。有限責任投資事業組合は参加する組合員の契約関係に よって成立しているリミテッドパートナーシップ制であり、投資有価証券の評価方法も組合員の合 意による契約で定まっている。また、各組合員の持ち分を売買譲渡する流通市場も存在してい ない。しかし、現状の監査において、金融商品取引法の会計準則が適用され、過度に監査が実 施されている傾向にある。未上場企業の株式評価の方法に画一的なものは存在しない中で、投 資決定時の事業計画がその後未達成となれば簿価純資産で評価するなどの保守的評価が行 われている。 このような保守的評価は、投資期間中の運用収益率を悪化させ、ベンチャーキャピタルの投資 活動の萎縮、資金調達額の未達成、新たな資金流入を阻害することにつながるために、有限責 任投資事業組合(パートナーシップ)の評価準則に従った評価で足りるのではないか。 5 (3) 自社株買い規制の改善 現行の会社法では、自社株を購入できるのは配当可能な会社を基準としており、利益計上ま で時間を要するバイオベンチャーには不向きである。バイオベンチャーの多くはベンチャーキャ ピタルから資金調達に依存しているために経営者の所有株式が希薄化するケースがみられ、長 期安定株主の確保が困難である。さらに、上場後に経営者による安定株主を維持あるいは高め るためにも自社株買いを進めたいところであるが、インサイダー取引規制の解釈が明確ではない ために、経営者による自社株買いの機会が損なわれている。このため、インサイダー取引規制の 明確なガイドラインの制定が必要である。 (4) 税 制 ① エンジェル税制 エンジェル税制については、ここ数年において改善がなされてきており、活用する例が増 加してきていることはベンチャーの資金調達に有利に働いている。しかし、諸外国の例を参照 し、さらに一層の適用拡大と簡素化を図ることによって、バイオベンチャーへの資金流入を促 進すべきである(例えば、フランスの例では、銀行等が販売しているエンジェル税制適格投資 信託を購入するとその分が所得から控除される)。 ② 外形標準課税の免除 本来、資本金は売上げ規模や事業規模に応じてその規模が定まる傾向にある。しかし、バ イオベンチャーは担保となる資産がなく、銀行借り入れが非常に困難であることから資本増強 が資金調達の唯一の方法であるために、資本金額は他の産業に比べて過剰に過大にならざ るを得ない。バイオベンチャーの中には、未だ開発期間で売上が上がらない中でキャッシュア ウトを抑えるために、増資を行った直後に費用と手間を掛けて減資手続き(資本金が1億円未 満になるように会計的に累積損失と相殺する)を行うケースが増えている。バイオベンチャー については外形標準課税を免除するなどの措置を講じる必要があるのではないか。 ③ 投資先の会計上の評価損と税務上の損金算入 前述(3.(2))にある保守的な監査が行われていることもあり、会計上 50%を超えて評価減 が行われることがあるが、その場合に投資持ち分の評価減額は税務上の損金として取り扱わ れない。このために出資者は有税にて引当金処理を行うことになるが、有税引当を回避した いと事業会社等は考えるために新たな投資(組合への出資)に慎重になっている。金融環境 が逼迫している中でもあり、ベンチャーキャピタルが資金(出資金)集めをする上での足かせ になっている。会計上と税務上の損金処理の整合性が求められる。 ④ 業績連動報酬のルールの緩和 役員賞与が利益処分から費用に認められることに変更されたが、現状の業績連動報酬の ルール(定時・定額)では、長い研究開発の結果でやっと収益が出て場合に報酬を上げたら 6 法人課税の対象になるという恐れがある。このために、ベンチャー経営者は活用しにくい制度 になっている。 多くの先進諸国では役員賞与は原則損金算入となっており、業績連動型報酬の損金算入 を認めないわが国税制が国際競争力を削いでいるとの指摘もある。 ⑤国内企業連携により免税 国内企業連携を進めるために、バイオベンチャーと製薬会社の開発・販売連携を行った場 合に、双方企業に法人税や地方税の一部免税を行えば、その開発意欲は促進され、国際競 争力に打ち勝つプロジェクトが発生する可能性が高い。 (注記) *1 事業活動を行っている大学発ベンチャー企業は 1,809 社であり、市場規模は約 2,700 億円(波及効果 4,803 億円)、雇用者数は約 1 万 7,000 人(同約 3 万 3,000 人) である。(「平成 20 年度大学発ベンチャーに関する基礎調査」経済産業省より) POC (Proof of Concept)*2 概念実証として知られ、新たな概念やアイデアの実現可能性を示すために、簡単かつ不完 全な実現化を行うこと。創薬系バイオ業界ではヒト臨床試験で安全性や薬効を認められた医 薬品候補をいう。 Going Concern*3 企業会計の重要な前提条件で、企業が将来に渡って無期限に事業を継続すると仮定し、 廃業や財産整理などをしないことを前提とする考え方。 7 大学発バイオベンチャー協会 ファイナンス分科会メンバー 役 割 氏 名 座 長 中冨 一郎 ナノキャリア㈱ 代表取締役社長 委 員 森下 竜一 大阪大学大学院医学系研究科 教授 委 員 岩谷 邦夫 クリングルファーマ㈱ 代表取締役社長 委 員 江上 美芽 東京女子医科大学 先端生命医科学研究所客員教授 委 員 梶本 修身 ㈱総医研ホールディングス 取締役 委 員 加納 信吾 委 員 木村 佳司 ㈱メディネット 代表取締役社長 委 員 武内 博文 ㈱スカイライト・バイオテック 管理本部担当取締役 CFO 委 員 塚本 芳昭 ㈶日本バイオインダストリー協会 専務理事 委 員 出口 俊一 ㈱デジタルニューディール研究所 代表取締役社長 委 員 福田 伸生 ㈱ジャフコ 第三投資本部本部長 委 員 松田 一敬 北海道ベンチャーキャピタル㈱ 代表取締役 委 員 山崎 清一 ㈱いちよし経済研究所 主席研究員 事務局 谷 バイオ・サイト・キャピタル㈱ 代表取締役 協力者 正之 所 属 ㈱アフェニックス 代表取締役社長 東京大学新領域創成科学研究科特任教授 鈴木 邦彦 ㈱メディネット 経営企画室長 伊木 ㈱メディネット 社長室長 宏 香浦 敏樹 ナノキャリア㈱ 社長室長 加登住 眞 ㈱キャンバス 取締役CFO (注)委員は 50 音順 8 別添1.緊急提言 産業活力再生法制定による㈱産業革新機構に関する提言 大学発バイオベンチャー協会 ファイナンス分科会 1.主旨 今般のファイナンス分科会の協議と併行して、政府にて議論が進んでいる産業活力再生 法に伴う新たな枠組みとしての『㈱産業革新機構』に対する提案も検討を重ねて参りまし た。バイオベンチャーのファイナンスに関わる様々な問題点を解決し、ライフサイエンス 分野における「優れた先端技術シーズの実用化」を推進させるため、同機構の運営につい て、以下のとおり提言いたします。 要約: 1)機構に求められる優良な先端技術を保有または開発しているバイオベンチャー企業群へ の支援、育成のためのインフラとして、すでに議論が進んでいると思われる通常の VC ファ ンド創設やベンチャーへの直接投資に加え、政策目的を実現するためにも、新たに2つの 投資パターン『上場ベンチャー投資』および『セカンダリーファンド』を提案したい。 2)これらの投資パターンを実現するために機構に必要とされる人的資源は、バイオテクノ ロジーの知識よりもベンチャー全般に対する知識と経験を有する人材と考えられるが、バ イオベンチャーへの投資とリターンに関するモデルは他の分野の技術系ベンチャー投資と は異なるため、機構内にバイオベンチャー投資の経験者を置くことを提案したい。 3)日本のバイオベンチャーが、世界のバイオベンチャーと互角かそれ以上の存在として優 良な先端技術を世に出して行くためにも、より強い経営基盤を持つバイオベンチャーを育 成することが必要である。この実現に向け、業界の再編は喫緊の課題であり、再編を支援 するための制度の導入が重要であることを強調したい。 9 2. 投資パターン 機構の投資パターンとしては、直接投資、ファンドの GP(運用者)投資、ファンドの LP(出資者)投資の 3 つが想定される。機構に期待される役割は、現在その機能が存 在しないか、存在していても十分に機能していない資金調達機能の補完である。ファ ンドの組成には往々にして時間がかかることを踏まえると、まず緊急の課題について は機動的に直接投資で対応し、続いて必要性が高いが存在していない新たな機能につ いてはファンドを自ら組成し運用する実行力が求められると考える。上記を踏まえ、 バイオベンチャー支援策として、①上場ベンチャーの第三者割当増資への投資(以下、 『上場ベンチャー投資』という。)と、②VC ファンドが保有し、流動化を望むバイオ ベンチャーの株式の買取を目的とする新たな投資事業有限責任組合の設立(GP)もし くはそのような投資事業組合への出資(LP) (以下、 『セカンダリーファンド』という。) の 2 つを提案したい。それぞれの目的と課題は以下に示す。 目的 課題 資金調達機能を十分に果たし得ない 再編のシナリオと選別のための目利きが必要 資本市場の代替 対象となる上場企業の選別ルールの明確化→株式市 上場会社を中心とした業界の再編 場を通じた運用 VC へ新たな EXIT 機会を提供するこ 株式譲渡対象となる企業の選別ルール作り とにより、新規投資を促す→民間資 対象企業に対する新たな目標の設定と未達成時のル 金の循環 ール作り ①上場ベンチャー 投資 ②セカンダリー ファンド バイオベンチャー企業の M&A 促進 1)上場バイオベンチャーへの投資 ① 基本方針 上場バイオベンチャーへのエクイティ投資を実施することおよび当該企業を中心とす るバイオベンチャーの再編を促進する。 ② 効果 バイオベンチャー企業群のなかで、資本市場での上場を果たした企業がその後の事業展 開や研究開発において、その旺盛な資金需要を満たすことができない状況が事業の足か せとなっており、後に続く未公開バイオベンチャー企業にとっても上場のインセンティ ブが湧かない。ひいては有望な新規技術の事業化も低調になっている。 そこで今般の機構の資金による支援により足踏み状態の上場バイオベンチャー企業の 成長を促進させ、資本市場参加者の信頼性を確保しつつ、未公開バイオベンチャー企業 の目標となるような環境を整備する。 10 一方で VC ファンドの Exit に晒される企業、何らかの理由で事業継続が困難な状況に 陥った企業、将来の企業成長を目指すため他の企業とのアライアンス等を目指す企業な どの再編の核として上場バイオベンチャーを位置付け、業界全体の再編を促す。これに よって世界の企業と互角に戦うあるいはリードできるバイオベンチャー企業群の育成 を実現する。 ③ 機構の資金の流れ 機構の資金投入は上場バイオベンチャーが実施する第三者割当増資に伴う新株発行へ の直接出資(エクイティファイナンス)の形を取る。 投資対象証券は、①普通株式、②優先株式(種類株式)とし、債券等のデットファイナ ンス(転換社債等のメザニンも含む)は財務体質に悪影響を及ぼすため対象から外す。 ④ 投資運用マネジャーの役割 投資の実行に関しては機構側にて投資戦略(大枠の投資方針)を意思決定するが、投資 の指図は投資顧問会社の『投資運用業(投資一任業務)』を通じて行なう。上場株式投 資に必要な権限を投資運用マネジャーに委任する。 ⑤ 上場バイオベンチャーの業界再編における役割 上場バイオベンチャーによる M&A に業界再編の一定の役割を与え、候補企業による新 規事業獲得または関連事業獲得を通じて業界再編を促す。機構は上場バイオベンチャー への投資判断に当たり、この側面からの政策的判断も加味する。 2)セカンダリーファンドの運用 ① 基本方針 VC ファンドがすでに投資を実行して保有する未公開バイオベンチャーの株式(通常は 普通株式)を買い取るファンドを組成し、長期保有株式を流動化させることにより、有 望技術の開発継続と民間 VC による新規投資の促進を図る。 ② 効果 VC ファンドが保有するバイオベンチャー株式の流動化の問題は VC ファンドの投資期 間が 10 年であるのに対し、バイオベンチャーが製品を市場に投入できるまでの期間が 10 年~20 年を要していることに起因する。このようなタイムラグは株式市場が資本仲 介機能を果たしている間は問題とならなかったが、現在の資金調達環境下ではこのタイ ムラグを埋める仕組みが必要である。このような制度上の手当てを行なうことで日本が 誇る有望な技術への投資を促進し、世界に通用する技術立国の基盤をバイオ業界におい ても築くことができると考える。 セカンダリーファンドが適正な価格(交渉による価格)でバイオベンチャーの株式を購 入することにより、VC ファンドは株式市場に頼らない資金回収の選択肢が広がる。ま た、バイオベンチャーにとっても長期ビジョンに立った事業の進展に専念できる。 加えて、セカンダリーファンドが VC ファンドから長期保有株式を買い取った結果、VC ファンドの投資担当者は新たな投資機会を求めて新規有望技術の発掘に努めることが 11 可能となり、日本全体のバイオ産業の活性化が図られる。新たな株主となるセカンダリ ーファンドは投資先であるバイオベンチャー企業に対して継続的な支援を行なう一方 で、経営のゴールを明確にさせ、事業提携や M&A を通じた施策によって当該企業の保 有する先端技術の実用化・事業化を目指す。 ③ 機構の資金の流れ 機構の資金投入は新たに設立する投資事業有限責任組合(セカンダリーファンド)に対 して行なうが、自ら GP を務める場合と他に運用者(GP)を求める場合が考えられる。 他に運用者を置く場合には、その運用者もしくは当該運用者が並行して運用するファン ドとこのセカンダリーファンドとの間に利益相反が起きないように注意する。 当該セカンダリーファンドは他の VC ファンドが投資済みのバイオベンチャーの株式を 買い取ることを第一の目的とするが、加えて株式譲渡の対象となるバイオベンチャーの 株式保有を希望する第三者の買い手や当該企業の保有技術の買い手に対して以下のよ うな支援を行なうものとする(この支援はセカンダリーファンドではなく機構の直接投 資の機能として行なうことも考えられる)。 (i) 買い手と売り手(VC)の間で買収価格を含む諸条件が書面で合意された際に、買 い手側に資金供給(融資の場合は現株を担保提供)する。 (ii) 「買い手が付かないが、技術は良い」と投資決定委員会等の有識者が判断する場 合には当該企業は解体し、保有する優良な技術のみ売買の上、技術の買い手に当該セカ ンダリーファンドが資金供給する。 ④GP(運用者)の役割 セカンダリーファンドはその性格上、一般のベンチャーキャピタリストを GP とするこ とには利益相反など難しい問題が残るため、機構が直接運用するか、または機構の『投 資決定委員会』が株式譲渡の対象となるバイオベンチャー企業と運用者との間に利益相 反がないことを承認することが望ましい(LP の場合であっても承認手続きにより利益 相反を監視する)。もちろん利益相反の生じない独立した運用者を選んでファンドを組 成することを妨げない。 ⑤セカンダリーファンドのバイオ業界再編における役割 セカンダリーファンドがバイオベンチャーの株式を VC ファンドから買取ることにより、 有望な技術を有するバイオベンチャーの支配株主として経営に関与することが出来る。 従来、バイオベンチャーへの投資は普通株で行なわれることが一般的であり、しかも少 数株主の集合であったため、VC はバイオベンチャーの経営に関与できていない。核と なる投資家が出現することで、経営方針の転換、事業の見直しなどドラスティックなア クションを求めていくことも可能になる。さらには M&A の手法などを通じて、事業の 再編や企業の統廃合などの施策も視野にいれる。 3. ベンチャー企業に対する退出ルールの明確化 機構による投資は、様々な理由により成長できない企業を漫然と生き残らせるために 12 行なわれるべきではないと考える。成長できない企業は退場してもらうためにも業界の 再編を促し、経営責任の明確化と投資先資源の有効利用を図るべきである。 一方、時間をかけて投資先の選別を行なっていては、バイオに限らず日本の先端技術 分野はこの未曾有の経済危機の影響によって焦土と化し、日本は有望技術の草刈場とな ってしまいかねない。そうならないためにも、退場ルールを設けた上で迅速な資金投入 を行なうことを機構に望みたい。 以上 13 別添 2 緊急提言 バイオベンチャーをとりまくゴーイングコンサーンに関する提言 大学発バイオベンチャー協会 ファイナンス分科会 1. 主旨並びに要望事項 ゴーイングコンサーン(Going Concern)*1 は企業の継続性の観点から監査法人が監査意見を 表明するための基礎として重要な部分をなしていますが、バイオベンチャーにおいてはその事 業の特殊性から財務指標等の形式的な状況のみに主軸を置いた検討がなされ、必ずしも実態 評価がなされない傾向が見受けられました。バイオベンチャーにおいても合理的な事業計画が ある等であれば、他の産業の企業と同様にゴーイングコンサーンに対する実態評価によるべきこ とを基準上明確にすべきあり、また、証券取引所に上場する場合に必要とされている上場前に最 低手元資金 1 年分という証券取引所の上場判断基準の運用についても上場時(上場時のファイ ナンスを含む)の手元資金最低 1 年分(もしくは 1.5 年分)と基準上明確にするべきであると提言 します。 2.理由並びに背景 (1)継続企業の前提に関する規定(ゴーイングコンサーン規定)について 昨今の経済環境もあり、ゴーイングコンサーンに重大な疑念があり、かつ判断が難しい場合 に監査法人が意見を表明せずに、結果として企業が倒産等に追い込まれた事例が発生し、金 融庁がゴーイングコンサーンと適正意見表明に関する改定案(平成 21 年 3 月 24 日)*2 出し、 経営陣が合理的な経営計画を提示する場合には「監査意見不表明」という事態は回避される ことになりました (2)バイオベンチャーに対するゴーイングコンサーンの判断要素 研究開発型ベンチャーは、ビジネスリスクが高い、臨床試験に数年を要する、多額の研究開 発費が先行して発生などの特色があります。特に最先端のバイオテクノロジーを開発対象とし ているバイオベンチャーの事業計画は当該企業のパイプライン(開発品目)の研究開発の成 否に依存するところが大きく、専門的かつ高度な知識と業界の特殊性などを持って妥当性の 判断を行う必要があります。しかし、一般には専門的知識を有しない監査法人が研究開発の 成功の可否を判断するのは困難であることから、上記改定によって「事業計画の合理性」と言う 観点から意見不表明になることはなくなったものの、その「実行可能性」の検討が行われること から、依然として財務活動に関する観点から手元流動性(資金)の有無の判断がゴーイングコ ンサーンの重要な要素として判断されることが危惧されます。 14 (3)バイオベンチャーのゴーイングコンサーンについて望まれること ① 上場バイオベンチャー 上場バイオベンチャーにおいても経営陣が合理的な経営計画を提示できるのであれば、他 の産業の企業と同様となるようにゴーイングコンサーンに対する判断をすることが望まれます。 バイオベンチャーの事業計画を評価するに当たっては、研究開発(テクノロジー)の内容など に高度に専門知識等を要するが、事業計画が著しく合理性を欠くものでないことを確認し、手 元資金の要因のみでゴーイングコンサーンの注記、もしくは監査における意見不表明とはしな いとすることを要望します。 ② 未上場のバイオベンチャー 未上場のバイオベンチャーが証券取引所に上場する場合には、証券取引所から上場前に 上場後 1 年分以上の活動資金を確保していることが求められていると言われています。これは、 前述の通りに手元資金として上場前に事業資金を 1 年分保有していることが継続企業の前提 に関する注記要否の判断要素としてされていることに起因しています。 監査法人は上場の確度の高いバイオベンチャーに対する監査意見において、当該企業に 合理的な事業計画がある場合には、資金面での懸念は開示するにしても上場時のファイナン スを加えた資金計画を基に継続企業の前提に関する検討を行うようにすべきであると要望しま す。 これに合わせて、証券取引所は上場に際して必要とされている上場前に最低手元資金 1 年 分という上場判断の基準を上場時(上場時ファイナンスを含む)の手元資金最低 1 年分(もしく は 1.5 年分)と基準上明確にすべきであると要望します。 このようにゴーイングコンサーンは、バイオベンチャーにとって非常に大きな問題となっていま す。この点が緩和、改善されれば、上場申請が増えることとなり、資本市場から必要な事業資金 を調達できることとなりますので、バイオベンチャーの環境改善に大きく役立つとともに資本市場 の適正な発展に資するものと思われます。 以上 *1 Going Concern とは企業会計の重要な前提条件で、企業が将来に渡って無期限に事業を継 続するとする考え方。企業は自社の存続の前提に重要な不確実性(経営リスク)が存在してい る場合にその旨を財務諸表に注記を行います。また、公認会計士(監査法人)は当該注記の 内容を監査報告書に追記情報として記載を行います。 *2 昨今の経済情勢下において、経営計画に合理性がないことを理由に監査意見不表明としたた めに結果的に倒産に至る事例が散見され、金融庁(企業会計審議会)は合理的な経営計画が 15 あればそもそも注記は不要となるように会計基準等の改正を公表した(ただし、その場合にも有 価証券報告書の「事業等のリスク」や「財政状態・経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分 析」(いずれも非監査)において開示は必要)。これによれば、重要な疑義を抱かせる事象また は状況が存在する場合、「当該事象または状況を解消・改善するための対応をしても、なお 『継続企業の前提』に関する重要な不確実性が存在」し、さらに「貸借対照表日後も継続企業 の前提に関する重要な不確実性が存在」する場合に記載することになります。 16 バイオテク企業の活性化に向けた提言 平成 21 年 1 月 日本バイオテク協議会 (旧名 士(サムライ)会) 本提言を作成するにあたり「バイオテク企業の社会的意義」を解析し、存在意義を考 察。次に「バイオテク企業の活性化を阻害する要因」を分析した結果を 5 ページ以降に 後述した。これらを基にバイオテク企業の活性化阻害要因を排除する具体的な方策を以 下に提言する。 バイオテク企業の活性化阻害要因に対する具体的対策の提言 (1) 市場に対しての具体策 公的資金と民間資金からなるバイオテク企業向け資金ファンド、人材ファンド の設立 9 民間資金は投資組合的扱い。エンジェル税制の対象。 9 公的資金は PMDA 審査手数料など(後述→(2.1.2, 2.3))も活用。 9 人材ファンドは製薬企業 OB 及び PMDA、技術系厚生労働省職員 OB を活用。治 験相談や審査時の照会事項回答作成において助言することができるような審 査経験者人材プール(人材ファンド)を作る。 (2) 制度改革 (2.1) 治験相談制度、対応への要望 2.1.1. 治験開始相談システム 平成 21 年 1 月より開始されるベンチャー企業支援のための相談事業について、 使いやすく、意義のあるものとするために引き続きベンチャー企業の要望を収 集することが必要。なお、本件について、2008 年に厚生労働省医政局研究開発 振興課へ要望書を提出済。 2.1.2. 審査など費用 9 希少疾病用医薬品などの補助金 (後述 →(2.4) ) 9 PMDA 相談費用 ① 治験相談費用、相談資料作成費用、審査手数料等を補助金の対象。ベンチ ャーに対し、7-8 割程度を補助金として援助。 ② 資料整備相談は大幅な減額が必要(現在のように項目チェックだけであれ ば) 。 1/11 2.1.3. 対応に関する具体的な提言 9 製造販売承認申請後の相談への積極的な対応 体力も財力も大手製薬企業と比較して非常に小さいことに加え、製剤や製品、 治療法の前例もない革新的な治療薬を目指すケースも少なくないことから、 より具体的な指摘や修正案を伴う PMDA の指導を積極的に頂きたい。 初回面談から回答、承認審査まで同じ相談担当官によって審査側の考察意図 や的確な回答、丁寧なアドバイスなど、適宜、積極的に相談体制の構築。 (後期臨床試験を乗り越えたバイオテク企業には、最終ステップは資金と費 用がより厳しい状況にあるため、スピードと積極的な指導が必要。 ) 9 治験前相談での踏み込んだ積極的な指導と迅速な相談体制 提出資料の個々の考え方、明確な治験計画を示すなど、具体的な指摘や修正 提案を積極的にいただきたい。 また、現在の体制では相談申し込みから相談実現まで時間がかかる。バイオ テク企業にとって対面助言までの待ち時間が長くなることは、致命的なこと から、適宜、迅速に、優先的に相談に乗ってもらえる体制が必要。 9 確認申請時のタイムロス回避 確認申請から確認までの手順、タイミングを確認後の治験開始の準備時期、 手順と合わせて、指導やアドバイスが必要 2.1.4. その他(制度面など) 9 指定までのタイムクロック 希少疾病用医薬品など(医療用具などを含む)指定、優先対面助言指定、優 先審査、迅速審査指定について、タイムクロックを設ける。 9 治験相談の回答期限の設定 9 優先・迅速審査指定の指定促進 (2.2) エンジェル税制の手直し 既存企業によるバイオテク企業投資(買収を含む)についての優遇税制の創設。 (2.3) ベンチャー向け臨床開発費用の調達 巨額の臨床開発費用に対する融資制度 9 臨床開発資金の先払い制度新設 9 国内第 II 相臨床開発以降の補助制度新設 例)年間 5 億円を上限に 50%を国が負担。上市後のロイヤルティフィーで補助 金の一部を返済。 2/11 (2.4) 9 希少疾病用医薬品など指定制度とその研究補助金制度の手直し 指定制度 希少疾病用医薬品などの指定基準の緩和。 指定までの審査期間の短縮のため、タイムクロックの設置。 9 研究補助金制度の手直し 総額の増額。大企業への補助金を廃止しバイオテク企業に重点配分 補助金の対象を PMDA 相談に加え審査手数料、申請後追加試験、製造販売 後調査に拡大。 (2.5) 9 薬価(医薬品)と保険償還価格(医療機器)の見直し 新技術によるイノベーティブな新薬、治療法のない疾患に対する新薬の薬価算 定には既存の原価計算方式ではなく(例えば、医療経済効果や費用対効果を加 味した合理的な薬価算定方式の活用など)メーカー希望価格での査定を考慮。 9 希少疾病用医薬品及び小児用医薬品はメーカー希望価格で査定。 9 医療用具などの保険償還指定までの期間短縮のため、タイムクロックの設置。 9 医療用具などの保険償還価格については原価計算方式の透明化。 9 治療法のない疾患に対する新技術によるイノベーティブな医療用具などの保 険償還価格算定には既存の原価計算方式ではなくイノベーションをかきたて るようなメーカー希望価格で査定。 (補:2009 年 8 月「薬価制度見直しへの意見書」を作成し詳細検討中) (2.6) 9 社会的弱者救済 希少疾病用、および小児用医薬品の薬剤費を含め医療費患者負担を無料化、ま たは大幅助成。 (2.7) 9 コンパッショネートユース 極端に患者数の小さい超希少疾病指定制度を創設し、これの治療薬が認可なく 販売できる道を開き、保険償還の対象とする。 9 ウルトラオーファン、難治性疾患については、有償治験の推進及び有償治験に 対する国の助成を求める。 (3)その他 (3-1) 自社株買い規制の改善 現行法の改定が必要。 3/11 (3-2) インサイダー取引に関するガイドラインの制定 犯罪など規制も含めて明確な取引可能なガイドラインを制定すべきである。ベンチャ ーの社内のモチベーションへの影響が大きいため、自社株売却を含めたリーズナブルな 制度の制定。 連絡先: 日本バイオテク協議会 幹事長 アンジェス MG 関 電話番号 03-5730-2480 4/11 誠 E-Mail [email protected] 1 バイオテク企業の社会的意義 バイオテク企業の役割は、イノベーティブな医薬品、医療用具の開発を通じて国民医 療水準を向上させることにあり、そのためにも国際的にも通用する革新的な医薬品およ び医療用具など産業を促進させることにある。特に、治療法がない疾病分野でこそ革新 的な医薬品および医療用具などの開発は、国民的納得が得られ社会的支援に繋がるもの と確信する。そのような疾病分野の医薬品および医療用具などは治療対象患者数が少な いなど、ややもすると一見事業性が低いように見えることが多いが、患者救済という理 念から、これらの治療法の創製は果敢に挑戦していくべき課題であり、まさにバイオテ ク企業の役割と合致する。また、バイオテク企業は、少子高齢化時代の日本に相応しい 知識・技術集約型産業の創造およびそれに伴う雇用促進に貢献できるものと期待する。 このような状況のなかで、日本のバイオテク企業の置かれた市場環境は厳しく、未だ 米国 GENENTECH、AMGEN などのような成功例がないため、ベンチャーキャピタル他の積 極的投資を促す環境が育成されていないなども背景にあり、バイオテク企業にとって研 究開発資金は、必ずしも十分な状況ではない。特にハイリスク・ハイリターンな開発を 伴う新規治療法、新規治療薬の創製という観点からもバイオテク企業に対する資金供給 に係るシステムが出来上がっていないこともあり、当事者としての経験を通して新しい 仕組みを作っていく必要があると考える。 2 バイオテク企業活性化を阻害する要因 市場における要因 (1) ファンド 現行のファンドは、ベンチャーキャピタルによる上場益などのキャピタルゲインを目 論む短期的資金であり、長期的な観点を必要とする医薬品や医療用具などのバイオテク 企業には必ずしも向いていない。また、国の補助金は、大学向けが多く、(特に多額の 資金が必要な中後期の臨床開発を実施中のベンチャーにとっては)実用的ではないとい う指摘がある。長期的に実用化を目指すペイシェント・リスクマネーの提案が出始めて いるが、まだ現実に機能している状況ではない。また、エンジェル税制があるが必ずし も身近に感じるには至っていない。 また、新興市場の投資家の 7 割以上は個人投資家であり、バイオテク企業に対する理 解が必ずしも得られない状況下で短期株所有の結果、株価ひいては時価総額に著しい影 響を与える傾向にある。今後、米国ナスダック市場のように機関投資家が参入して研究 5/11 開発やイノベーション技術の価値を十分に評価する活性化対策が切望される。 (2) 目利き人材 医薬事業は、研究、開発、営業、生産などの分業化(科学的専門性、臨床開発ノウハ ウ、市場ニーズ分析、製造関連など)が進み、製品価値をバランス良く理解するには相 当の知識と経験が必要なため、初期開発品の競争力や将来性などを評価できる目利きは、 大手製薬でも人材は限られている。このような人材は、バイオテク企業には容易に流出 してこない。特に、研究開発型のバイオテク企業は、創薬研究シーズからの発想に陥り がちだが、開発ニーズからの発想が大事でありバランスのとれた人材が切望される。ま た、バイオテク企業にとっては、特に治験や薬事、製剤技術に詳しい人材を確保する仕 組みがなく、治験相談や審査時照会事項回答作成など十分な対応が必ずしもなされてい ないなど阻害要因となっている。 (3) 既存企業からの技術導入・導出 製薬企業や部材メーカーなどの既存企業はすでに活用していない開発品や技術の導 出については消極的な対応が多く見られる。バイオテク企業にとってはこのような埋も れた財産を活用して新しい製品を完成させることも十分あり得ることで今後の有効な 対応策が望まれる。また、国内既存製薬企業は、海外のバイオテク企業の海外ブランド 力に弱い一面があり買収などが相次いでいるが、国産バイオテク企業からの技術導入、 国産バイオテク企業への投資や買収についてなんらかの優遇措置が取られることで新 しい展開を期待できるものと思料する。 (4) 薬価と保険償還価格 バイオテク企業が開発する医薬品は新規性が高く、薬価算定方法が原価計算方式とな るものがほとんどである。医療用具などについても原価計算方式での算定であるが、そ の実態は不透明である。 新医薬品の原価計算方式での査定は、営業利益率を原則 19.2%認める制度となってい る。一見、高い数字に見えるが、それは間違いである。この数字は、製薬 37 社の平均 営業利益率で、各社財務諸表から日本政策投資銀行が算出したものである。しかし、薬 価算定時の原価計算では、当該医薬品に直接関係した研究開発費のみが利益から控除さ れるのに対し、財務諸表では、失敗した医薬品の研究開発も利益から控除される。ちな みに、各社決算発表より外資を除く我が国の製薬 34 社が、2001 年から 2008 年の 8 年 間に費やした研究開発費総額は約 7 兆 8 千億円であった。この間に医薬品部会審議を経 て承認となった新医薬品は、厚労省資料によれば 130 品目であり、これらから計算する 6/11 と新医薬品 1 品目あたりの財務諸表上の研究開発費は、約 600 億円となる。医薬品の成 功確率は 0.009%(1/11300)とされているので、財務諸表上の研究開発費の大半は失敗 した医薬品の研究開発費である。 現実的な問題として類似薬のない新医薬品の薬価算定に用いる原価計算方式では、開 発が成功しても原則 19.2%という値が適用されるため、適切な評価が薬価算定に反映さ れない仕組みになっている。ちなみに、類似薬効比較方式で薬価算定された、よりイノ ベーショナルでない新医薬品の営業利益率は、19.2%より、はるかに高い数値となって いるであろう。 一方、米国での薬価は、開発メーカーの裁量に任されており、日本の制度は、国際競 争から見て極めて不利である。 適切な類似薬のないイノベーティブな新医薬品の薬価算定方法は、根本的に考え方を 改める必要がある。 (5) 研究開発資金 国の補助金は、大学向けが多く、額面が小額であるにもかかわらず使い勝手が悪いと いう側面があり改善が望まれる。 希少疾病用医薬品などの補助金は良い制度であるが、バイオテク企業が活用するには 改善の余地がある。また、臨床開発が進められる場合には多額の資金をいったん立替え る必要があり、それを銀行融資で賄う措置も発生する。その善後策として資金の半分を 先払いして貰える制度はないのかという声もある。例えば、バイオテク企業が国内で第 II 相以降の臨床開発を実施する場合には、年間 5 億円を上限に、3-5 年間国内開発費用 の 50%を国が負担して、開発に成功して上市された場合にはロイヤルティフィーの一部 で補助金を返済するという方策を考えられないか。 (6) PMDA 治験相談 (6.1)治験相談体制と相談システム 医薬品開発の経験を積んだ大手製薬企業と異なり、基本的な経験・知識が少ないバイ オテク企業にとって、相談すべき事項、窓口、治験計画、治験開始に必要な事項など、 バイオテク企業専用の相談窓口が必要である。また、関西地区、特に大阪に治験相談の ための支社設立が望まれる。 本件は、すでにベンチャー企業支援のための相談事業として、平成21年より開始され ることは、評価に値する。なお、当会では本件について厚生労働省医政局研究開発振興 課に要望書を提出している。 7/11 (6.2)相談費用 1) 希少疾病用医薬品などの補助金 希少疾病用医薬品などの補助金は、申請までの経費への補助金であり、審査手数料(新 医薬品の場合、約 3 千万円)を含め申請以後の追加試験や PMS 経費は対象となっていな い。審査手数料を含め、申請後、再審査期間中の必要経費も補助金の対象になることが 望まれる。 また、本補助金は、バイオテク企業に限定するという措置もあり得る。 2) PMDA 相談費用 相談費用はおしなべて規模の小さいバイオテク企業にとっては負担が大きいことか ら、審査手数料や PMDA 相談料を大幅に低減するか、補助金の対象とすることが切望さ れる。 3) 対応に関する具体的な阻害要因 ① 確認申請時のタイムロスとアドバイス 確認申請が必要な場合、現行制度では確認申請の確認を受けるまで治験に入ること ができないが、確認申請ならびに治験はいずれも長い準備期間を要するため、時間の ロスが大きく、その分、バイオテク企業側の対応が遅れて開発準備に手間取る要因に なっている。 ② 適宜、迅速に相談に乗って貰える体制 現在の体制では相談申込から相談実現まで時間がかかる。相談件数が多い企業に優 先的に予約が入るのではなく、1 社で 1、2 プロジェクトしか開発できないバイオテ ク企業に対し、PMDA 相談、その事前照会事項対応、相談結果対応は、おしなべてタ イミング良く、迅速な相談対応にする体制が望まれる。 ③ 製造販売承認申請後の相談への積極的な対応 バイオテク企業は製造販売責任を果たすために、必要な条件を積極的にクリアした 8/11 いが、体力も財力も大手製薬企業と比較して非常に小さいことに加え、製剤や製品、 治療法の前例もない革新的な治療薬を目指すケースも少なくないことから、問題点の 指摘だけでは必要以上の調査、時間を要し、資料作成も膨大になり、企業経営に直接 影響するほどの大きな課題となっている。より具体的な指摘や修正案、対策案を伴う 積極的な PMDA の指導を頂きたい。 ④ 治験相談での踏込んだ積極的な指導 PMDA 相談に向けて詳細資料を準備しても、全体の理論構築の是非や項目の立て方 については「大体これで良いでしょう」などのコメントに終始し、個々の内容、 考え方など細かい点まではコメントがない。現行の PMDA 相談は原則 2 時間で、 CTD 案について細部を検討する時間がない現状である。より具体的な指摘や修正 案を積極的に頂きたい。 米国 FDA との会議では、極めて友好的で新しい治療薬を何とか試すことができるよ うに前向きに問題点を指摘されたこともあり、更なる積極的な指導が望まれる。 4) ① その他(制度面など) 指定までのタイムクロック 希少疾病用医薬品指定、優先対面助言指定、優先審査および迅速審査指定について は、タイムクロックが設けられておらず、いつ指定になるのか読めない現状である。 ② 治験相談の回答期限指定 FDA は回答期限を設定しているが、現行制度では設定されていない。バイオテク企 業向けに現行の制度とは別に相談期限の設定が望まれる。 (7) 社会的弱者救済、保険 高い薬価、保険償還価格をつけると、患者の自己負担(3 割)が重荷となり、新し い医薬品、医療用具などを使うべき患者でも費用の点から使えない事態が起こりうる。 対象となる患者の多くは小児を含めた社会的弱者であり、高額費用負担に耐えられな いにも関わらず救済制度が必ずしも十分でないのが現実である。このことは社会的格 差を生じるだけでなく、薬価や保険償還価格を高くしても売上が伸びない可能性があ る。そこで、希少疾病用および小児用医薬品の薬剤費を含め、医療費患者負担の無料 9/11 化、あるいは大幅な減額など、社会的弱者に対する積極的な救済制度が必要である。 (8) コンパッショネートユース 極端に患者数が少ないウルトラオーファンでも、保険償還を受けるには通常薬と同様 に許可を受ける必要がある。ウルトラオーファンや難治性疾患については、有償治験の 推進および有償治験に対する国の助成を求めるべきではないかとの声がある。 (9) 自社株買い規制の改善 上場後に自社株を購入できるのは、配当可能な会社を基準としており、バイオテク企 業に不向きの会社法である。バイオテク企業の育成や活性化のためにも現行の改正が必 要である。 (10)インサイダー取引に関するガイドラインの制定 現状はインサイダー取引に関するガイドラインが制定されておらず、株式売買の推進 が阻害されている。犯罪など規制も含めて明確な取引可能なガイドラインを制定すべき である。 連絡先: 日本バイオテク協議会 幹事長 アンジェス MG 関 電話番号 03-5730-2480 誠 E-Mail [email protected] 以上 10/11 参考資料 1. 創薬の未来 ―新医薬品産業ビジョンと創薬のための5ヶ年戦略― 厚生労 働省医政局経済課 平成 19 年 12 月 25 日 株式会社じほう 2. 革新的医薬品・医療機器創出のための5ヶ年戦略 内閣府・文部科学省・◎厚 生労働省、経済産業省 平成 19 年 4 月、平成 20 年 5 月(改定) 3. バイオテク企業活性化に向けて 報告 自由民主党政務調査会バイオテク企 業活性化に関するプロジェクトチーム 平成 20 年 6 月 13 日 4. 先端的医療機器事業への挑戦を促す社会基盤の構築と整備に向けて 財団法 人化学技術戦略推進機構(JCII)健康・医療専門部会 戦略推進部 日吉和彦 2008 年 7 月 17 日 <日本バイオテク協議会 メンバー> ①アキュメンバイオファーマ株式会社 ②アンジェスMG株式会社 ③株式会社イーベック ④株式会社エムズサイエンス ⑤オンコセラピー・サイエンス株式会社 ⑥オンコリスバイオファーマ株式会社 ⑦株式会社カイオム・バイオサイエンス ⑧カルナ・バイオサイエンス株式会社 ⑨クリングルファーマ株式会社 ⑩株式会社セルシード ⑪株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング ⑫株式会社ツーセル ⑬株式会社日本ステントテクノロジー ⑭ナノキャリア株式会社 ⑮株式会社メディネット ⑯株式会社 UMN ファーマ ⑰株式会社レグイミューン ⑱株式会社ロングライフ ⑲ラクオリア創薬株式会社 ⑳ノーベルファーマ株式会社 会長:アンジェス MG 山田社長 理事:下線(嶋内社長、岩谷社長、中冨社長、塩村社長) 幹事長:関執行役(アンジェス MG)、事務局長:中野部長(ノーベルファーマ) 監事:メディネット 木村社長、ロングライフ 賛助会員:株式会社ジャフコ 11/11 米田社長