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工場ルポ №255 鉄道模型の塗装 株式会社 トミーテック 321

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工場ルポ №255 鉄道模型の塗装 株式会社 トミーテック 321
工場ルポ №255
鉄道模型の塗装 株式会社 トミーテック
〒321-0202
栃木県下都賀郡壬生町おもちゃのまち 3-3-20
TEL(0282)86-5157
(1) 会社の沿革
栃木県下都賀郡壬生町に、おもちゃのまちと言う地名がある。昭和 40 年、当時東京の下町葛飾区に
点在していたおもちゃ工場が、彼の地おもちゃのまちに次々と移転。玩具工業団地を形成し、この地
名と東武線の駅名が誕生した。
このおもちゃのまち工業団地の一角に鉄道模型の製造メーカーである㈱トミーの鉄道模型専門工場
として、昭和 55 年 5 月に竣工。現在は、㈱トミーの 100%子会社株式会社トミーテックとして事業を
継続している。
1976 年に誕生した、鉄道模型「トミックス」は、当初よりNゲージのシステマチックな製品開発が
進められてきたが、今では車両以外にも道床付きレールから、ストラクチャー,アクセサリーに至る
まで、ユーザーニーズに即したより実感的な企画開発が続けられている。
(2) 製造工程
鉄道模型は、ほとんどがパーソナルユース。自社開発販売製品はもちろんのこと、ここでは企画・
提案・品質・コストを意識した生産体制を整えている。
製品に至るまでの主な工程は、設計→成型→塗装→タンポ印刷→組み立て→パッケージまでの一貫
生産システムを確立している。
以前は、塗装工程はすべて外部委託であったが、
①内製化による生産効率の向上
②塗装ラインの導入による自社内での品質管理の推進
③運搬・移送によるタイムロスの解消
④これに伴う短納期化の実現
など、新規塗装ライン導入への機運が急速に高まってきた。こうした背景から、同社では従来の委
託先からの情報収集や社内技術部からの提案、また設備業者との連携により、昨年来「トミックス」
を仕上げる理想的な塗装システムを模索してきた。
(3) 塗装システムの導入
鉄道模型の素材は、ABS樹脂。塗装のポイントは、いかにきれいに実車両に限りなく近付けられ
るか、である。
特に、塗膜の均一性,仕上がり肌の高いクオリティーが要求された。静電気対策やゴミやほこりの
徹底追放。さらには、作業環境および周囲の環境対策など、クリアする課題は多かった。
塗装ラインが導入されたのは、本年 5 月。最適な塗装条件を求めて、本格稼動を始めたのは 7 月の下
旬であった。主な概要を以下に示した。
①塗装設備の概要
塗装システムは、1 コート 1 ベークのプラスチック素材塗装に適するライン構成が取られている
(旭サナック㈱)。
成型工程から移行してきた鉄道模型は、二重構造になっている塗装室へと搬入される。
②塗装の工程
着荷→除塵(じん)・除電→塗装→乾燥(スチーム低温遠赤外線ヒーター)→取り外し
③ライン設備
コンベヤー全長:26m,1 タクト/2min(ゴミやほこりが落下しないようにフロアーコンベヤーを導
入),除塵・除電装置,塗装ロボット(電動式 6 軸タイプ)にパールガン(旭サナック㈱)を装着,ギ
ヤーポンプ 2 基(塗料定量供給装置),水洗塗装ブース,
スチーム遠赤外線ヒーター(60℃×15min),
使用塗料:1 液型アクリルラッカー系,メタリック・ソリッド,塗色は 100 色以上。膜厚は約 10
μ。
(4) 塗装ラインの特長
設備全体におけるポイントは、とにかく効率的なライン設計を運営することである。また、内製化
によるメリットの創出にある。
トミックス 1 車両のパーツは 150 点。車両は 600,1000 アイテムから構成されている。これらの多品
種小ロット生産に対応すべく導入されたのが、今回の新規ライン。
それぞれのポイントを検証すると、クリーンルーム設計の塗装設備。特に、給排気設備を屋外に設
置し、最適な加湿・温調を行うと共に、常にクリーンな空気の供給と排気が実践されていることによ
る塗膜不良の低減。
ライン設計では、フロアーコンベヤーの導入と塗装時に、裏面に塗装後に 180 度反転し、表面塗装
が行われている。さらに、入り込み性に優位なパールガンが装着されており、ワーク凹部などの鉄道
模型の窓などに均一な安定した塗膜肌をつくり出している。
今回の取材に当たっては、同社技術部伊藤隆吉部長および長澤信夫顧問にお世話になりました。厚
く御礼申し上げます。
▲ 塗装ブースへ流れていくワーク
▲ スプレー装置の制御盤
▲ パールガンを装着した電動式塗装
ロボットと水洗ブースの様子
▲ きれいに仕上がった鉄道模型
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