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Q9: 教育基本法が改正されたが、学校において生涯学習・ふれあい学習
Q9: A: 教育基本法が改正されたが、学校において生涯学習・ふれあい学習を推 進する上で留意すべきことは何か。 平成1 8年12月2 2日に新し い教 育基本法が公布 ・施行された 。今後、教 育振 興基本計画や関 係法規等 、関連法令の 制定・整 備が行われるが 、現時点 においては、 次の3点につい て留意する必 要がある。 1 生涯学習の 理念 本条が新設 され、 「生 涯学習の理念 」が 教育に関する基 本的な理念と して規定 された。 第3条 国民一 人一人が、自己の人格 を磨き、豊かな人生を送 ることができ るよう、 その生涯にわた って、あらゆる 機会に、あら ゆる場所におい て学習するこ とがで き、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならな い。 なお、学校にお ける生涯学習 推進、生涯 学習 支援のためには 、本条文とと もに新 たに規定された、「公共の精 神を尊び」( 前文 )、「公共の精神 に基づき、主 体的に社 会 の 形 成 に 参 画 し 、 そ の発 展 に 寄 与 す る態 度を 養 う 」( 教 育 の 目 標 第 2 条 の 3 )、 「各個人の有す る能力を伸ば しつつ社会 にお いて自立的に生 きる基礎を培 い、また、 国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として 行 わ れ る 」( 義 務 教 育 第5 条 の 2 ) 等 の 文言 に 留 意 し な け れ ば な ら な い。 ま た 、 基本法改正に至 るまでに出さ れた中教審 答申 ・分科会報告等 (H15∼H 17)を 併せて読むこと により、その 背景を知る こと ができる。 これら の改正条文の 文言と答申 ・報 告等から、学校 が目指すべき 「生涯学習 社会 を 担 う 児 童 生 徒 の 育 成 」 に つい て の 二 本 の 柱が 明 ら か に な る 。 一 つ め は、「 生 涯 学 習 能 力 の 育 成 、 生 涯 に わ た って 学 び 続 け る 力の 育 成 」 で あ り 、 も う 一 つ は、「 社 会 の形成者として必要な資質能力の育成、学びの成果を公共のために生かす力の育 成」である。こ のことについ ては、平成 18 年度版「21世 紀を拓く芳賀 の教育」 第6号のQ&A に詳述してあ るので参照 され たい。 2 家庭教育 本条が新設 され、保 護者が子ど もの教育 について第一義 的責任を有す ること、 及び、国や地方 公共団体が家 庭教育支援 に努 めるべきことが 規定された。 第10条 父母 その他の保護 者は、子の教育 について第一義 的責任を有す るもので あって、生活の ために必要な 習慣を身に 付け させるとともに 、自立心を育 成し、 心身の調和のと れた発達を図 るよう努め るも のとする。 2 国及び地方 公共団体は、家 庭教育の自主 性を尊重しつつ、保 護者に対す る学習 の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずる よう努めなけれ ばならない。 1 家庭教育 は全ての教育 の出発点で あり 、人格形成の原 点である。し かし、近年 の 社会状況の変化 等に伴い家庭 の教育力の 低下 が懸念されてい る。また、昨 今憂慮さ れている青少年 の問題行動は 、家庭にお ける 教育の在り方が 密接に関係し ていると いわれ、家庭に おける教育機 能を高めて いく ことがきわめて 重要な課題と なってい る。 このよう な状況の下、 中教審・教 育改 革国民会議等の 審議を経て社 会教育法が 改 正 さ れ ( H 1 3 )、 家 庭 教育 に 関 す る 事 務 が市 町 村 教 育 委 員 会 の 所 掌 事 項で あ る こ とが明記された 。さらには、 中教審答申 (H 15)や少子化 社会対策基本 法及び次 世 代 育 成 支 援 対 策 推 進 法 ( H1 5 ) に よ り 、「 す べ て の 親 を 対 象 と す る 家庭 教 育 支 援」と「社会全 体による家庭 教育支援」 が喫 緊の課題として 提示された。 今回、教 育基本法の改 正によって 、親 等の責任と国及 び地方公共団 体の努力義 務 が明示された。 しかし、法の 改正や条文 の新 設がされても、 ある程度の長 いスパン で見るならとも かく、即座に 家庭の教育 力が 向上することも 考えにくい。 そして何 よ り も 、 学 校 は 支 援 を 必 要 とし て い る 子 ど もた ち を 目 の 前 に し て 、「 親や 行 政 の 責 任だから……」 というわけに もいかない 。 したがっ て、 「すべての親 を対象に、社 会全体による家 庭教育支援」とい う観点か らも、優れた教 育力を有する 地域の生涯 学習 機関である各学 校には、これ まで同様 に家庭教育に対 する支援が求 められる。 なお 、その際、各市 町教育委員会 や関係諸 機関との密接な 連携はもとよ り、本県で 開発 した「親学習プ ログラム」の 活用、本 県で養成した「 親学習プログ ラム指導者 」と の協働も考慮さ れたい。 3 学校、家庭 及び地域住民 等の相互の 連携 協力 本条 が 新設 され 、 学校 、家 庭 、地 域住 民 など 社会 を 構成 する 全 ての 者が 、教 育に おけ る それ ぞれ の 役割 と責 任 を自 覚 し、 相互 の連 携 協力 に努 め るべ きこ と が規定された。 第13条 学校、家 庭及び地域 住民その他の 関係者は、教育にお けるそれぞ れの役 割と責任を自覚 するとともに 、相互の連 携及 び協力に努める ものとする。 いくつかの 事例を見る限 り、学校、 家庭 、地域等の役割 分担を切り口 にその連携 協 力体制を構築し ようとしても うまくいか ない 場合が多いよう である。それ ぞれが役割 分担を明確にす ることは、簡 単なことで はな い。なぜなら、 当事者の考え 方や地域の 実情により分担 意識が異なる からである 。ま た、役割分担が なされても、 それぞれが 他者の役割を侵 してはならな いというの は非 現実的であり教 育的でない。 連携協力体 制がうまく構 築された事 例を 見ると、多くの 学校ではまず 、より一層 の 「地域に開かれ 、信頼される 学校づくり 」を 目指している。 そして、その 結果として 連携協力体制が ごく自然に、 あたかも意 図し たかのようにで きあがってい る。その際 ポイントとなっ ているのが、 「情報の共有 」と「行動の共有」で ある。子ど もたちの健 全な成長を願わ ない大人はい ない。思い を共 にし、行動する ためにも情報 の共有は不 可欠のものであ る。そして、 その思いを 達成 するために、そ れぞれ何がで きて何がで 2 きないのかを考 えれば、自ず と役割は明 らか になる。 さらに、お のおのが自ら の教育力を 結集 できる場を設け 、その総和を 図ることも ポ イントとなって いる。たとえ ば、学校支 援ボ ランティア活動 に保護者や地 域住民の教 育力を結集する ことなどであ る。これら の実 践活動を通じて 、それまでの 過度の学校 への依存と批判 の体質を脱し 、責任ある 発言 と行動に基づく 地域住民の学 校経営参画 の促進に成功し た事例も見受 けられる。 なお、学校 支援ボランテ ィアを導入 する ためには、地域 の方にコーデ ィネーター に なっていただく のがもっとも 効果的であ ると いわれている。 そこで、芳賀 教育事務所 では、平成18 年度から「ボ ランティア コー ディネーター研 修会」を開催 し、学校等 から推薦いただ いた地域の方 や教職員を 対象 に、各学校にお いてコーディ ネーターと して活躍できる ように養成研 修を実施し てい るので、ぜひ活 用いただきた い。 3