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花の色と蛾と蛾の生態 3∼4年前、オーストラリアに旅した知人から
森の不思議発見 花の色と蛾と蛾の生態 3∼4年前、オーストラリアに旅した知人から「オーストラリアの植物の花は白色で日 本のように色とりどりの花は咲いていない。何故ならオーストラリアには蛾はいるが蝶々 がいないからである。蛾は色盲なので、花の色を変える必要がないからだ・・・・・・」という 趣旨の話を聞いたこと思い出しました。この話には、植物と生物(昆虫)の進化に係わる 興味ある問題だなと思っていましたが、そのままにしていました。最近、ふとしたことが きっかけで、インタネット等で調べてみることにしました。これまでに調べてみた結果を 紹介します。 1.オーストラリアの植物の花の色 オーストラリアと隣国のニュージーランドにおいても花の色は白色、黄色が多い。 2.オーストラリアにおける蝶と蛾の生息実態 オーストラリア大陸に「蝶」も生息するが、全くいないわけでなく数も種類も非常に少ない。 3.蝶や蛾の生態と花の色 蝶は昼行性で、太陽が出ている間に視覚(色を識別)で活動するものが多い(夜間は 活動しない) 。これに対して、蛾は一般的に夜行性で、夕方より朝方まで活動するものが 多い。臭覚が発達していて、花の蜜や樹液などを食する。そのため、オーストラリアの 植物は、子孫を残す戦略として花の色を変えて視覚に訴える必要がないからだとされて いる。 4.蝶と蛾の違い 太古の昔、蛾(鱗翅目)という夜行性の昆虫が誕生し、繁栄を続けたが、その進化の過程で昼 に活動するものが出現し、子孫繁栄のためなどに視覚的要素が必要となり、競うようにあでやか な姿に変え現在に至っているものと考えられている。日本では蝶と蛾を分けているが、フラン スやドイツなどは 1 つの仲間として扱っている。 蝶と蛾の形状と生態の違いについて、以下のように整理してみました。 ① 蝶は成虫になる際にさなぎを作るが、蛾は繭を作るものも多い。蝶でもウスバアゲハ の仲間は簡単な繭を造る。 ②蝶は止まるとき、羽を垂直に立てるが、蛾は羽を開いて止まり、羽を通常の虫のように 畳めるものもいる。 ② 蝶の触覚は細長い一本の線状で先が円くマッチの棒状となっており、蛾の触覚は、先 に行くほど細くなっている。細かい毛が生えていて、隙間の多い鳥の羽のような感じの ものいるが、これは、夜間は視覚には頼れないため、このように触角が発達してきもの と考えられている。 夜行性の虫は明るい光に反応して集まる性質があり、蛾も夜、電気の点っている民家 に引き寄せられてくるが、蝶は来ない。それは、昼間、行動する蝶は、太陽の紫外線や -1- 赤外線をみて行動しているからで、光そのものに、あまり、反応していないからだと考え られている。 ③ 蝶の体は細めであり、蛾は太めである。又、蝶の体の模様は艶やかで、蛾のそれは地 味である。これも昼行性の蝶は、色が生殖活動にとって必要であり、夜行性の蛾には特に 必要がないからではないかと考えられている。 しかし、蛾の仲間にも昼に活動するものいて、蝶に負けないほど美しいものがいる。 ④ 蝶と蛾の簡単な見分け方は触覚の形状である。 アゲハチョウ クスサン アゲハチョウ科 触角の先端が膨らんでいる。 ヤママユガ科 触覚の先端が匂いを感じ易いように細くなっている。 (道立林業試験場資料) ⑤ 鱗粉 蛾は気温の下がる夜に活動するため、蝶の鱗粉よりもたくさんの毛に覆われ、粉っぽいも のが多い。 (引用:sizen-tenpaku.com/cyou/tyoutoga/tyoga.html) -2-