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美浜町総合公園 遊歩道基本計画

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美浜町総合公園 遊歩道基本計画
美浜町総合公園 遊歩道基本計画
目 次
1. 上位・関連計画の整理
1
1−1 新世紀へ飛躍∼愛知 2010 計画「第7次愛知県地方計画」
(平成 10 年 3 月愛知県)
1−2 政策指針 2010−2015(平成 22 年 3 月愛知県)
1−3 第3次知多地区広域行政圏計画「知多半島エコミュージアム計画」
(平成 11 年 3 月知多地区広域行政圏協議会)
1−4 第4次美浜町総合計画(平成 16 年 3 月、美浜町)
1−5 美浜町都市計画マスタープラン(平成 22 年 3 月美浜町)
1−6 美浜町緑の基本計画(平成 23 年 3 月美浜町)
2. 計画地周辺の状況
10
2−1 美浜町総合公園の状況
2−2 計画地の法規制
2−3 公園周辺の状況
2−4 交通
3. 計画地の状況
21
3−1 計画地の状況
3−2 美浜町総合公園計画
4. 計画課題の整理
33
4−1 地区ネットワーク形成の視点からの課題
4−2 公園の魅力充実の視点からの課題
5. 基本方針の設定
38
6. 遊歩道基本計画
39
6−1 導入機能・施設の設定
6−2 ゾーニング検討
6−3 基本計画平面図
6−4 各部計画
7. 今後の課題
57
1.上位・関連計画の整理
● 「知多エリア」 地域づくりの方針
・知多中央丘陵地区において、豊かな自然環境や優良農地の保全に配慮しながら、
居住・産業・研究開発などの機能を複合的に備えた都市拠点の形成を図る。
・水辺と緑がネットワーク化された健康半島としての広域連携を図る。
(第 7 次愛知県地方計画 平成 10 年 3 月 愛知県)
・中部圏の国際ゲートウェイ機能のさらなる強化と、健康、観光、環境の先駆的
取組を強みに、国際的な交流が展開される都市圏をめざす。
・農林水産業の振興とともに、半島や離島の自然や食文化、あいち健康の森など
の地域の優れた資産を活かした「知多観光圏」の形成を図る。
(政策指針 2010−2015、平成 22 年 3 月、愛知県)
・知多半島北部の産業集積、先端部の海洋レクリエーション機能集積、中央丘陵
部の自然など、各地域の特色を最大限に活かし、さらにそれを拡充していく方
向での土地利用に努める。
(知多半島エコミュージアム計画 平成 11 年 3 月 知多地区広域行政圏協議会)
● 「美浜町」 まちづくりの理念
・将来像:
「美しい町、やさしい心、ふるさと美浜。
」
・施策の大綱:7本柱
①住みやすく活力のあるまちづくり ②自然と共生した循環型社会の形成
③安全で安心できるまちづくり
④産業経済の活性化
⑤健康と福祉のまちづくり
⑥教育と文化のまちづくり
⑦質の高い行政サービス・行政運営
(第4次美浜町総合計画 平成 16 年 3 月 美浜町)
● 「美浜町総合公園周辺」 都市整備の方針
・海岸や農地、山林などの自然の保全・活用を通して自然との共生を図る。
・
「交流拠点」として位置づけ、多くの人が集い・交流する場の創出を図る。
・図書館や生涯学習センター・体育館・町民の森など複合的な公共サービス機能
が集積する美浜町総合公園周辺及び、ジョイフルファーム鵜の池周辺を「交流
拠点」として位置づけ、面的な活用を含めた機能の活性化を図る。
・美浜インターチェンジを本町の玄関口として位置づける。
・昔から鵜の繁殖地として知られている鵜の池及び周辺のため池を周遊する遊歩
道を、住民と水辺空間を近づける交流軸として位置づけ、良好な散策空間を形
成する。
・整備の必要性が高い美浜町総合公園の未供用部分の整備を進める。
・美浜インターチェンジにおいては、周辺に広がる丘陵地の自然的景観と調和し
た緑豊かな景観を保全する。
(美浜町都市計画マスタープラン 平成 22 年 3 月、美浜町)
−1−
1−1
新世紀へ飛躍∼愛知 2010 計画「第 7 次愛知県地方計画」
(平成 10 年 3 月、愛知県)
1)計画期間 平成 10 年度(1998)から平成 22 年度(2010)
2)基本目標 【人と地域の個性が輝き、交流・創造の拠点となる愛知】
3)
「2010 年の愛知の姿」より県土のビジョン
①交流と連携による活力ある県土づくり
・中部国際空港の早期開港と臨空型地域整備の広域的展開
・多核的な都市配置を活かした都市機能強化
・地域の個性を活かした魅力ある地域づくり
・交流を支える陸・海・空の総合交通体系の整備
・暮らしと産業を育む高度情報通信ネットワークの構築
②自然と共生する県土づくり
・伊勢湾・三河湾及び森林空間の保全・修復
・適切な土地利用による自然環境の保全
・資源・エネルギー循環型の都市づくり
③美しく安全な県土づくり
・水辺と緑のふれあい空間の創造
・美しい街並みや魅力的な地域景観の形成
・災害に強く、安全な県土づくり
・渇水に強い県土づくり
4)地域別計画
知多地域(半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市、阿久比町、東浦町、南知多町、美浜町、武豊町)
①基本的方向
世界や国土軸、大都市に直結する交流拠点性の一層の向上と自然・産業・文化の各面に
わたる魅力ある地域資源を活かしながら、国際空港を擁する地域として関連事業の適切な
推進を図り、環伊勢湾地域の広域国際交流圏としての飛躍を先導する拠点地区としての発
展をめざす。
②美浜町および美浜総合公園に関連する主要施策
・新空港アクセス道路や知多横断道路、空港島連絡施設の整備を図るとともに、地区の南
北の基軸となる有料道路知多半島道路、南知多道路とその先線である県道半田南知多公
園線及びこれらの道路と一体となって地区の活性化に資する国道 247 号バイパスや 155
号バイパス、366 号バイパス、都市計画道路名古屋半田線などの整備を推進する。
・JR武豊線の電化をはじめとする近代化の検討を進めるとともに、名鉄河和線(河和口
∼河和間)や知多新線(富貴∼内海間)の複線化を促進する。
・知多中央丘陵地区において、豊かな自然環境や優良農地の保全に配慮しながら、居住・
産業・研究開発などの機能を複合的に備えた都市拠点の形成を図る。
・
「海と緑の健康地域(健康海岸)事業」なども活用しながら、各種のスポーツ施設、健康
増進施設を整備するとともに、武豊大府自転車道や海岸線を活かした遊歩道の整備など
を進め、水辺と緑がネットワーク化された健康半島としての広域連携を図る。
−2−
1−2 政策指針 2010−2015(平成 22 年 3 月、愛知県)
愛知県は、平成 18 年(2006)に、平成 27 年(2015)を目標年次とする戦略的・重点的な中
長期の地域づくりの羅針盤として「新しい政策の指針」を策定したが、世界的な金融・経済危
機に伴う景気の悪化など社会経済情勢は大きく変化している。また、平成 21 年(2009)8 月
の国政における政権交代も地域づくりに大きな影響を及ぼしつつある。
そこで、
「新しい政策の指針」で掲げた基本目標や基本課題を全面的に見直し、新たな羅針盤
として「政策指針 2010-2015」を策定した。今後の県政運営は、
「政策指針 2010-2015」と平成
22 年(2010)2 月に策定した「愛知県第五次行革大綱」を両輪として行われる。
1)計画期間 平成 22 年(2010)∼平成 27 年(2015)
2)基本方針 【安心、希望、そして風格ある愛知へ】
3)基本課題
①いのちを守る「安心・安全」の社会をつくる
②誰もが「希望」を持って活動できる社会にする
③「革新力」と「持続力」を持つ産業をつくる
④地域まるごと「環境本位」の社会にする
⑤知恵と感動、にぎわいを生む「魅力」ある愛知をつくる
⑥コミュニティから中部圏まで「地域力」と「連携力」を発揮する
4)各広域エリアの地域づくりの方向
【知多エリア】 中部圏の国際ゲートウェイ機能のさらなる強化と、健康、観光、環境の先駆
的取組を強みに、国際的な交流が展開される都市圏をめざす。
①中部国際空港の二本目滑走路の早期整備やさらなるアクセス性向上とともに、中部臨空都
市への国際交流・物流機能、商業・集客機能の集積を高め、中部圏の国際ゲートウェイ機
能をさらに強化していく。
②名古屋港、衣浦港の整備や名古屋、西三河との広域アクセス、域内道路交通の充実、中核
となる都市の再生とともに、あいち健康の森の機能充実などと連動した健康長寿、新エネ
ルギーなど次世代産業の創出・集積により、地域活力の向上を図っていく。
③農林水産業の振興とともに、半島や離
島の自然や食文化、あいち健康の森な
どの地域の優れた資産を活かした「知
多観光圏」の形成を図っていく。
④衣浦港 3 号地廃棄物最終処分場の整備
や、ため池、里山、里海の保全再生に
取り組むとともに、域内の連携による
地域医療体制の確保などにより、環境
と共生し、安心な生活環境づくりを推
進していく。
図 県内広域エリアの区分
−3−
1−3 第3次知多地区広域行政圏計画「知多半島エコミュージアム計画」
(平成 11 年 3 月、知多地区広域行政圏協議会)
1)計画期間
平成 11 年度(1999)∼平成 22 年度(2010)
2)計画の区域
半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市、阿久比町、東浦町、南知多町、美浜町、武豊町
3)圏域の将来像 【知多半島エコミュージアム】
4)戦略プロジェクト
①知多半島風景づくり
②知多半島ミュージアムネットワーク
③元気に働く知多半島づくり
④知多半島環境創造プラン
⑤知多半島地域情報化
⑥知多半島地域福祉システム
5)土地利用構想
圏域の特徴を活かし各市町が連携をとりなが
ら、自然との調和のとれた市街地の形成を目指し、
長期的な視野にたった、計画的、総合的な土地利
用の促進を図る。各市町の中心部(都市機能集積
地域)の機能集積、整備をさらに進め、それらが
道路、鉄道沿いに形成される市街地でゆるやかに
連携されながら、新産業拠点、新市街地の形成に
よる東西軸の強化、計画されている知多中央丘陵
地域、知多半島南部西海岸地域の開発を自然環境
の保全に努めながら推進する。
また、北部の産業集積、先端部の海洋レクリエ
美浜町総合公園
ーション機能集積、中央丘陵部の自然など、各地
域の特色を最大限にいかし、さらにそれを拡充し
ていく方向での土地利用に努める。
図 知多半島エコミュージアム計画における土地利用構想
(資料:美浜町都市計画マスタープラン H22.3)
−4−
1−4 第4次美浜町総合計画(平成 16 年 3 月、美浜町)
1)計画期間 平成 16 年度(2004)∼平成 25 年度(2013)
2)町の将来像
3)実現のため7本の柱
4)将来のイラストマップ
−5−
1−5 美浜町都市計画マスタープラン(平成 22 年 3 月、美浜町)
1)計画期間
平成 22 年(2010)∼平成 32 年(2020)
2)都市づくりの方針
① 都市づくりの理念
【美しい町、やさしい心、ふるさと美浜】
美浜町総合公園
図 将来都市構造(資料:美浜町都市計画マスタープラン H22.3 p46)
−6−
3)美浜町総合公園および周辺地区にかかわる都市づくりの方針
美浜町総合公園は、
「拠点」のうち「交流拠点」として位置づけられている。また公園周
辺の地区や施設では以下のような方針が示されている。
①交流拠点
美浜町総合公園周辺及び食と健康の館周辺、南知多ビーチランド、ジョイフルファーム
鵜の池、日本福祉大学美浜キャンパス周辺を「交流拠点」として位置づけ、多くの人が集
い・交流する場の創出を図る。
図書館や生涯学習センター・体育館・町民の森など複合的な公共サービス機能が集積す
る美浜町総合公園周辺及び、観光集客機能が期待される食と健康の館周辺、ジョイフルフ
ァーム鵜の池周辺においては、面的な活用を含めた機能の活性化を図る。
②交通軸
美浜インターチェンジと南知多インターチェンジを本町の玄関口として位置づける。
③水の交流軸
昔から鵜の繁殖地として知られている鵜の池及び周辺のため池を周遊する遊歩道を住民
と水辺空間を近づける交流軸として位置づけ、良好な散策空間を形成する。
4)公園・緑地整備の方針
① 整備・誘導の方針
【都市基幹公園・住区基幹公園】
本町には都市計画公園が 20 箇所整備されており、住民一人当たりの整備量(供用)とし
ては約 3.8 ㎡(計画:約 5.9 ㎡/人、平成 17 年国勢調査人口)であり、愛知県広域緑地計
画の示す目標水準 10 ㎡/人を大きく下回っている。
しかし、本町の市街地の特性として、中央を南北に縦断する丘陵地を挟んだ平地に、南北
に細長い形状で配置されており、緑の多い丘陵地と近接していることから、緑が身近にあ
るという現状である。
したがって、整備の必要性が高い美浜町総合公園の未供用部分の整備を進める。
5)景観形成の方針
① 整備・誘導の方針
【玄関口にふさわしい顔づくり】
乗降客数が多いだけでなく、交通の結節点として観光客利用が多い河和駅、知多奥田駅
並びに上野間駅周辺においては、本町の玄関口であり、顔となる場所であることを踏まえ、
景観整備の指針を作成し、魅力的な景観づくりに努める。また、美浜インターチェンジと
南知多インターチェンジにおいては、周辺に広がる丘陵地の自然的景観と調和した、緑豊
かな景観を保全する。
−7−
1−6 美浜町緑の基本計画(平成 23 年 3 月、美浜町)
1)計画期間
平成 22 年(2010)∼平成 32 年(2020)
2)計画の基本方針
① 緑の将来像
きらめく海と緑、歴史風土のある元気なまち
∼緑を育て、人と人の交流をひろげ、活力へつなげる ∼
図 緑の将来像図(資料:美浜町緑の基本計画 H23.3 p54)
−8−
② 基本方針
緑の将来像実現のために、次の3つの基本方針が示されている。
(1)緑を守り郷土の特色を活かす <自然環境の保全>
●海と山に代表される豊かな郷土の自然環境の保全と活用を図り、自然と調和した美しい
美浜を創造していきます。
保全を図るための活用方法(ソフト)との一体化への取り組み
●郷土を特徴づけている丘陵地の緑とため池のある風景を保全し、魅力ある美浜の風景を
創出していきます。
●郷土の歴史風土に係わる貴重な緑地は、訪れる人々に誇れる「ふるさと」として積極的
な保全を図り、活用していきます。
史跡、社寺境内の樹林地の保全
これを活かすための散策路によるネットワークの強化
(2)緑を増やし魅力的なまちづくり <身近な緑の創出>
●道路や河川、小中学校のグラウンド等、公共公益施設の緑化を充実させ、身近に緑を感
じる風景づくりをしていきます。
●新しい緑の創出と散策路、緑道による緑のネットワークの形成を図り、地域を連携し、
にぎわいのあるまちづくりを推進します。
総合公園および周辺の整備推進、旧市街地における都市公園等オープン
スペースの確保、空き家等の活用(ポケットパーク化等)
、散策路の充実
●民有地緑化については積極的な支援を行い、みどり豊かな市街地の形成に向け、指導を
行っていきます。
事業所や一般家庭の庭を含む民有地における緑化の推進
(3)緑を育むパートナーシップ <緑化活動の推進>
●官民の協力体制をつくり、緑化事業の活用や住民や団体の緑化活動への参加・協力
の促進を図ります。
活動団体への NPO 法人登録等の支援や活動指導、情報の提供
●緑化行事や広報活動により、郷土の自然や緑化活動に対する認識を深め、緑を住民全
体の財産として育む心を育てていきます。
−9−
2. 計画地周辺の状況
● 美浜町総合公園は美浜町の都市基幹公園であり、公園中央部に総合体育館、グラ
ウンド、公園北部にテニスコート、芝生広場などが整備されている。
・本公園は、全町民を対象とし、文化・スポーツ・レクリエーションの活動に対応する総合
公園として位置づけられるとともに、広域的な観光・レクリエーションネットワークの「交
流拠点を構成する重要な要素」となることが望まれている。
・本公園の整備率は約半分に留まっており、早期の完全供用が望まれる。
・吉田下池周辺部の山林は緑豊かな景観をつくりだし、水面に映る景観も良好である。
● 法規制として、美浜町総合公園は三河湾国定公園および南知多県立自然公園に指定
されており、全体が自然公園となっている。
● 公園周辺には自然探勝、散策、農業体験、農産物直売、工場見学、創作体験等を楽し
めるレクリエーション施設が立地している。
・本公園周辺には、国天然記念物「鵜の山 鵜繁殖地」をはじめとして、自然探勝、散
策、農業体験、農産物直売、工場見学、創作体験等を楽しめる多彩なレクリエーション
施設が立地している。
・安全・快適な歩行者ネットワークで各施設をつなぐため、県道における歩道整備や「農
村自然環境整備事業」等を活用した遊歩道の整備が進んでいる。
・県道小鈴谷・河和線においては、快適な生活環境の確保を図るため歩道等の整備及
び緑化促進する必要がある。
−10−
2−1 美浜町総合公園の状況
計画地がある美浜町総合公園は、美浜町の都市基幹公園であり、公園中央部に総合体育館、
グラウンド、公園北部にテニスコート、芝生広場などが整備されている。吉田下池と樹林地
等で構成される計画地は公園の南部に位置している。
また、公園に隣接して生涯学習センターを含む図書館(心育館)や、水野家の屋敷を復元
した水野屋敷記念館や駐車場が公園と一体的に整備されている。
計画対象エリア
図 美浜町総合公園の現況航空写真(出典:Google inc.)
1)公園内施設
・総合体育館
竣工
平成 4 年(1992)4 月
施設概要
面積 4,568 ㎡
メインアリーナ 45×37m(バスケットボールコート 2 面相当)
、
ランニングコース 180m、観覧席 388 席、サブアリーナ 22×17m、
移動観覧席 336 席、トレーニングルーム 198 ㎡
年間利用者数90,431 名
−11−
写真:総合体育館前のアートプラザ
プラザに設置されたアートは県道小鈴谷・河和線から見る場合のアイストップとなっている。
・水生花園と駐車場
写真:水生花園および駐車場
公園東部から吉田下池にむけて流れがあり、階段護岸のある水生花園が整備されている。
・グラウンド
竣工
昭和 53 年(1978)3 月
平成 6 年(1994)3 月改修
施設概要
軟式野球 1 面、ソフトボール 2 面、サッカー1 面、ナイター設備 4 基
年間利用者数
24,910 名
写真:グラウンド
ナイター設備が整った多目的球技グラウンドである。
−12−
・テニスコート
竣工
平成 8 年(1996)3 月
施設概要
テニス 5 面、砂入り人工芝、ナイター設備 3 面
年間利用者数
9,459 名
写真:芝生広場とテニスコート
・吉田下池と樹林地
写真:県道小鈴谷・河和線と吉田下池東部にある堤体
県道からは丘陵地の樹林と池の水面がつくりだす良好な景観が望める。
写真:丘陵地にある林内の散策路
丘陵地はなだらかな斜面により構成され、簡易な散策路が整備されている。
−13−
2)公園隣接施設
・美浜町生涯学習センター・美浜町図書館(心育館)
竣工
平成 13 年(2001)10 月 1 日
施設概要
生涯学習センター部分(情報工房、研修室 1∼4、多目的ルーム)
図書館部分(開架スペース、閉架書庫、展示ギャラリー)
年間利用者数
生涯学習センター 21,990 人(うち水野屋敷 958 人)
図書館 114,667 人(来館者数)
写真:心育館へのアプローチ通路
・水野屋敷記念館
名称
水野屋敷記念館
施設概要
武家屋敷の天井板などを使って新築し、公民館的利用を行っている
由来
江戸時代に河和の地を治めていた代々尾張藩に仕える武士である河和
水野氏の屋敷の西半分を復元したもの。和室 6 部屋、炊事場、便所から
なっており、和室 6 部屋のうち 4 部屋については公民館と同様に集会や
お茶会などの文化活動に利用できる。和室 2 部屋については水野家に関
わる収蔵品を展示している。
写真:水野屋敷記念館
公園敷地に囲まれるように記念館が立地し、丘陵地の樹林がその背景となっている。
−14−
2−2 計画地の法規制
美浜町は三河湾国定公園および南知多県立自然公園に指定されており、町域全体が自然
公園となっている。
美浜町総合公園は、
公園全帯がこの2つ自然公園内にあり、
計画地もその中に含まれる。
美浜町
図 愛知県の自然公園(資料:愛知県環境部自然環境課)
美浜町総合公園付近
知多半島の国定公園(資料:第四管区海上保安本部 H19.6 を編集)
−15−
2−3 公園周辺の状況
本公園周辺には、国天然記念物「鵜の山 鵜繁殖地」をはじめとして、自然探勝、散策、農業
体験、農産物直売、工場見学、創作体験等を楽しめる多彩なレクリエーション施設が立地して
おり、各施設をつなぐため「農村自然環境整備事業」等を活用した遊歩道の整備も進んでいる。
−16−
1)鵜の山鵜繁殖地
名称
国天然記念物「鵜の山 鵜繁殖地」
施設概要
昭和 9 年に国の天然記念物に指定され、
約 10 万平方メートルの松林に 1 万羽以
上の川鵜が生息する繁殖地である。
施設とレクリエーションメニュー
ハイキングコース「オレンジライン」と接続しており、春や秋には周辺を散策
しながらバードウオッチングが楽しめる。
2)ジョイフルファーム鵜の池
特徴
土とのふれあいが年中楽しめる農園
施設とレクリエーションメニュー
・産地直売市場 ・レストラン、バーベキュー
・収穫体験(いちご、みかん、さつまいも、さといも)
・イベント(こどもアドベンチャーゲーム)
−17−
3)美浜町町民の森
内容
森林に親しむ場、里山保全活動の拠点
施設概要
里山の面積 8.3ha
施設配置
黒山展望台
四季の森
体験広場
美浜の森
収穫の森
自然観察の森
図 町民の森位置図
4)えびせんべいの里
特徴
工場見学と創作体験ができる地場産業の観光拠点
施設とレクリエーションメニュー
工場見学、直売店舗、休憩スペース、資料館、花の里ハーツガーデン
−18−
5)オレンジラインハイキングコース
オレンジラインは、名鉄河和口駅から名鉄知多奥田駅までの全周 11.1 ㎞を、約 2 時間 30
分の所要時間で、風景を楽しみながら歩ける遊歩道である。
緑の風と潮の香りを感じられ、秋にはもみじが赤く染まり、紅葉のトンネルも現れる。
図 オレンジラインのイラストマップ(資料:美浜町商工観光課)
6)恋の水神社
恋の水神社には美津波龍女命が奉ってある。
神代の頃、大巳貴命と少名彦命が国造のとき、少名彦命が病気になり大巳貴命が一刻も早
く全快するよう祈願したところ、雷光と共に美津波龍女命があらわれ、この地の水を与えれ
ば病も癒えると告げた。以後、この水は万病の特効薬と称されている。後に聖武天皇の妻や
允恭天皇の病もこの水により治ったと伝えられている。
また一説には、桜町成範大納言の息女桜姫が家臣青町と恋仲になり、山城国愛宕郡北山村
にかくれすんでいた時、青町が重病にかかり建久2年(1191)7 月 17 日この地に水を汲みに訪
れ、その所在を土地の者に問いたところ、戯れに「今まで来たくらい東の方」と答えたため
桜姫は落胆のあまり遂にこの地に倒れてしまった。これより恋の水神社ともいわれるように
なった。
(資料:恋の水神社 案内標識)
−19−
2−4 交通
美浜町総合公園は美浜インターチェンジの直近に位置しており、インターチェンジとアク
セスし公園沿いを走る県道小鈴谷・河和線は、町の東西を結ぶ幹線道路であり、前項に示し
た産業観光の拠点群とともに良好な自動車交通条件を有している。しかし、県道小鈴谷・河
和線には十分な歩行者空間が設けられていない状況である。
その他、周辺には公共交通機関がないが、園内に総合体育館や心育館(美浜町図書館と生
涯学習センターの複合施設)があるため、町内巡回ミニバスが運行している。
美浜町総合公園
図 巡回ミニバス路線
−20−
3. 計画地の状況
● 現地状況
・地質は、美浜町の丘陵全体が常滑層群からなっている。
・吉田下池は農業用ため池である。
・樹林地は、標高 18.6m∼45.9mで 20%前後の傾斜をもつ北向きの斜面地である。
・植生はクヌギ、コナラ等の二次林と、潜在植生であるウバメガシ、ヤマモモ、スダジイ
等で構成されている。
・池と丘陵地の樹林がうるおいのある美しい景観をつくり出している。
・樹林内には「知多半島古窯跡群(ちたはんとうこようせきぐん)」が分布している。
● 美浜町総合公園計画
・公園整備の基本方針
「美浜町総合公園基本計画 S63.12」では、概念および3つの基本方針を掲げている。
① 基本方針:町のシンボルとなる公園とする。
② 基本方針:広い意味での健康づくりに資するウエルネスパークとする。
③ 基本方針:ホスピタリティの高い公園とする。
・公園内は 3 つのゾーンで設定され、このう
ちスポーツ・文化ゾーンにおいては敷地西部
に将来拡張部を設定しており、体育館と連携
する社会教育施設の整備を図ることと位置
づけられている。
・このうち、自然レクリエーションゾーンの
「丘陵部」では現況植生景観の保全を、
「吉
田下池」ではアメニティ(快適性)の高い水
辺景観の形成を図る。
・自然レクリエーションゾーンの「丘陵部」では現況植生景観の保全と、
「吉田下池」で
はアメニティ(快適性)の高い水辺景観の形成を図る。
−21−
3−1 計画地の状況
県道にある歩道と階段状デッキとの間に階
段がないため、町道を大きく迂回して行き
来しなければならない。
1)現地状況
公園の西部にある
グラウンド、疎林広
場や水生花園との
間には町道が通っ
ており、公園利用に
際して道路横断の
安全確保が必要で
ある。
1
2
3
写真1:左手は県道、右手は公園敷地を二分する町道で、階段とスロープにより水際部へと降りられる。
写真2:右手の県道では、公園敷地に沿う区間で歩道が整備されている。
写真3:吉田下池を見下ろす町道では、フラワーポットによる修景が行われている。
−22−
水生花園の流れは町道下を通過して吉田下
池に注いでおり、町道を挟んだ両側の水辺
は、水生植物を観察できる場所としての連
続性がある。
水上歩道は水野屋
敷記念館の裏で途
切れて丘陵地まで
接続していないた
め、同歩道を東方向
へ延伸して利用者
を誘導する必要が
ある。
4
5
丘陵地の豊かな樹林は、水野屋敷記念館の
背景となり、また吉田下池と一体となって
良好な景観をつくり出している。
6
写真4:水上歩道は水野屋敷記念館背後のサクラ並木と湿地を間近に感じられるように設置されている。
写真5:吉田下池の水面を樹林が覆い、魚類や昆虫が生息しやすい水辺林を形成している。
写真6:水野屋敷記念館裏にはサクラ並木が植えられている。
−23−
緩やかな傾斜地であり、樹林地内
に、知多半島古窯跡群がある。
「町民の森」方面へ
至る通路と丘陵地
の内部を直接結ぶ
歩行者動線がない。
7
8
9
丘陵地を巡る既設の散策路ル
ートが整備されている。
写真7:丘陵はクヌギ、コナラ群落にウバメガシ等が進出した二次林により覆われている。
写真8:吉田下池を望む遊歩道が整備されている。
写真9:丘陵地の東部には知多半島古窯跡群の包蔵地があり、発掘調査が行われている。
−24−
美浜 I.C と県道が会合する交差点では、水
面と丘陵の樹林がつくりだす美しい景観が
楽しめる。
10
11
12
吉田下池の余水吐
設備があり、池の堤
体天端と県道にあ
る歩道は分断され
ている。
県道から池に張り出している土地があり、
現状では高木やクズ等が繁る未利用地であ
るが、対岸の段状テラスや丘陵地を眺める
には適した場所である。
県道と丘陵地を結ぶ動線がないため、来園
者にとって丘陵の樹林は眺めるだけの存在
となっている。
写真10:県道からは水面と樹林がつくり出す良好な景観が楽しめる。
写真11:美浜 I.C と県道をつなぐ交差点では、草花による修景が行われている。
写真12:池を周回する動線がないため、丘陵地の樹林は多くの来訪者にとって眺めるだけとなっている。
−25−
堤体天端の管理用通路は、現状で草
が繁茂しており一般利用はできない
が、池を見渡す景観を楽しめる場所
である。
13
観光名所である「え
びせんべいの里」と
接しており、双方の
連携により「交流拠
点」全体の魅力向上
が期待できる。
14
15
写真13:吉田下池堤体の上部は、管理用通路としての枠内で歩行者動線を通せる可能性がある。
写真14:「えびせんべいの里」に附属する駐車場と温室には、活性化利用を図るための空間的な余裕がある。
写真15:吉田下池堤体の南側には取水施設がある。
−26−
2)その他の条件
①地形および地質
検討対象地は農業用ため池(吉田下池)となだらかな丘陵地からなる。
地質は、美浜町の丘陵全体が常滑層群からなっており、対象地もこれに含まれている。
②水系
吉田下池は農業用ため池であり、農業用水路を通じて新江川に合流し河和港付近で知多湾
へと注いでいる。
③植生
樹林地は、標高 18.6m∼45.9mで 20%前後の傾斜をもつ北向きの斜面地であり、2 本の尾
根とこれに挟まれた浅い谷で形成されている。
植生はクヌギ、コナラ等の二次林と、潜在植生であるウバメガシ、ヤマモモ、スダジイ等
で構成されている。マツクイムシの被害によりクロマツ、アカマツの成木はほとんど見られ
ない。
④景観
池と丘陵地の樹林がうるおいのある美しい景観をつくり出しており、池の北側を約 350m
に渡って並行する県道小鈴谷・河和線や、美浜インターチェンジの出入口となる交差点から
は、この景色を楽しむことができる。
⑤文化財等
計画地樹林内には知多半島古窯跡群(ちたはんとうこよう
せきぐん)が分布しており、発掘調査が行われている。
常滑焼の母体は、中世期に知多半島に展開したこれ
らの古窯群であり、丘陵地の樹林から供給される豊富
な木材を燃料としていた。
平成 23 年度に発掘調査した範囲と試掘したトレ
ンチの位置などは、次頁となっている。
美浜町総合公園付近
−27−
図 遺構配置図
−28−
3−2 美浜町総合公園計画
美浜町総合公園は、都市計画決定面積 11.3ha、供用面積 5.59ha の総合公園である。整備率
は 49.5%に留まっており、
「交流拠点を構成する重要な要素」として早期の完全供用が望まれ
ている。
1)公園整備の基本方針
「美浜町総合公園基本計画 S63.12」では、公園整備にあたり以下に示す概念および3つの
基本方針を掲げている。
概 念
本公園は全町民を対象とし、文化・スポ
ーツ・レクリエーションの活動に対応する
総合公園として位置づけられるとともに、
広域的な観光・レクリエーションのネット
ワークを構成する一つの核としての整備
も望まれる。
図 美浜町総合公園の概念(出典:美浜町総合公園基本計画)
① 基本方針:町のシンボルとなる公園とする。
・スポーツ・健康づくりをはじめ、文化活動、自然の中でのレクリエーション等、多様な
利用に供する公園とする。
・幼児から高齢者、個人から団体まで、あらゆる人と階層の利用に供する公園とする。
・町レベルのイベント、その他コミュニティ活動に供し、町におけるこれらの活動のコア
となり、町全体の活性化にも資する公園とする。
・町全体の快適環境形成の手本になるとともに、新しい町づくりの推進核となる空間とし
て整備する。
② 基本方針:広い意味での健康づくりに資するウエルネスパークとする。
・従来のフィットネス運動による健康づくりに終止することなく、ウエルネス(健康生活)
の推進にも資する施設の整備運営を図る。
・ウエルネスの推進により身心ともに豊かに過ごせる町づくりに供する。
③ 基本方針:ホスピタリティの高い公園とする。
・様々なレクリエーションに供する施設整備を図るとともに、豊かな自然環境景観を活か
し、快適な環境の中でゆったりと過ごせる空間の保全・整備を図る。
・質の高い行き届いた施設整備と運営を図るほか、美しく魅力ある景観を創出する。
−29−
2)公園全体の施設配置
公園内は3つのゾーンで設定され、このうちスポーツ・文化ゾーンにおいては敷地西部に
将来拡張部を設定しており、体育館と連携する社会教育施設の整備を図ることと位置づけら
れている。
今回の計画対象となるエリアは、自然レクリエーションゾーンとして位置づけられたエリ
アである。
計画対象エリア
図 公園計画平面図
(出典:美浜町総合公園基本計画 S63.12 p25 および同基本設計 p17)
−30−
3)景観形成の方針
公園全体の景観形成方針を下図に示す。
このうち、自然レクリエーションゾーンの「丘陵部」では現況植生景観の保全を、
「吉田
下池」ではアメニティ(快適性)の高い水辺景観の形成を図る。
自然レクリエーションゾーン
(吉田下池及び周辺部)
の景観形成方針
・吉田下池周辺部の山林は緑が
濃く、豊かな植生景観であるとと
もに、水面に映る景観も重要な
公園景観となるため、背後の山
林部も含めて現況植生の保全
に努める。
・また、吉田下池については、段
上テラス等からの景観をより豊
かでアメニティの高いものとする
ため、大噴水や水上デッキ等の
ほか、水生の浮遊性植物(ハ
ス、ホテイアオイ等)や水鳥(白
鳥、アヒル等)などの導入を検
討する。
図 景観計画図
(出典:美浜町総合公園基本計画)
−31−
4)機能および施設
公園に導入が計画されている機能および施設を下表にまとめる。
表 導入機能及び施設
※( )施設は現時点での未整備施設
導入機能
スポーツ・健康づくり
導入計画施設
野球場、テニスコート、体育館、
ジョギングコース等
文化活動
(木工、陶芸等の創作の場)、野外ステージ、
彫刻広場等
自然の中での休養
(トリムコース、散策路)、
(ピクニック、デイキャンプ)等
交流
体育館、疎林広場、芝生広場等
イベント・コミュニティ活動
野外ステージ、体育館、広場等
修景
花壇、(噴水)、水生花園等
便益、休養
便所、シェルター、駐車場、園路等
(出典:美浜町総合公園基本計画)
−32−
4. 計画課題の整理
4−1 地区ネットワーク形成の視点からの課題
周辺状況の整理から、計画地においては、地区のネットワーク形成において、以下のよう
な課題が抽出される。
・総合公園周辺地区においては、本公園や図書館、体育館、町民の森の連携を強化して拠点
性を高めるとともに、未供用部分の整備を進めながら面的な活用を含めた機能の充実・活
性化を図り、
「交流拠点」としての機能を充実させる必要がある。
・本公園は美浜インターチェンジの正面に位置し、付近一帯には、本公園、図書館、体育館、
町民の森に加え、観光レクリエーション施設「ジョイフルファーム鵜の池」および「えび
せんべいの里」や「鵜の山 鵜繁殖地」等が立地しており、本町随一の交流拠点となる潜
在能力を有しており、各施設の魅力アップと周回性の確保を行う必要がある。
・本調査の検討対象地は、
「鵜の山 鵜繁殖地」や「町民の森」に近接する樹林や水面を有し
ており、周辺の丘陵地と連続して、散策しながら丘陵地の水と緑を楽しめる場所として位
置づけられる。
上記の課題を、次の図にまとめる。
−33−
自然観察
風景探勝
自然観察
風景探勝
天然記念物
の自然観察
農業体験
農産物直売
工場見学
創作体験
生産物直売
花木鑑賞
運動
生涯学習
文化活動
歴史学習
散策
風景探勝
歴史学習
林業体験
自然観察
登山的散策
風景探勝
図 地区ネットワーク形成にむけての課題
−34−
4−2 公園の魅力充実の視点からの課題
「美浜町総合公園基本計画 S63.12」では、検討対象地に対して文化活動、自然の中での休養、
修景、便益の機能を確保することを求めている。具体的には以下のような項目である。
【文化活動】
樹林地にある埋蔵文化財や、知多半島の農業を担うため池など、本町
の歴史・文化・産業に係わる資源を利用者に紹介する場の整備
【自然の中での休養】良好な状態にある樹林や水系を保全・利活用し、利用者が快適に休養・
散策できる場の整備
【修景】
良好な状態にある樹林や水系を保全・利活用し、利用者が美しい景観
を楽しめる場の整備
【便益】
「交流拠点」を構成する施設群をむすび、快適な周回性を提供する動線
の整備
上記の要請のうち周回性向上については、前項の「地区ネットワーク形成の視点からの課題」
として抽出している。その他、対象エリアに求められる機能を「公園の魅力充実の視点からの
課題」として、次のよう抽出する。
・埋蔵文化財や農業を担うため池など、本町の歴史・文化・産業に係わる資源を来訪者に紹介す
ることが望まれる。
・良好な状態にある樹林や水系を保全・利活用し、来訪者が快適に休養・散策できる場の整備が
望まれる。
・公園利用者および美浜インターチェンジ経由での来訪者へ、本町らしい景観を提供することが
望まれる。
このうち、自然レクリエーションゾーンの「丘陵部」では現況植生景観の保全を、
「吉田下池」で
はアメニティ(快適性)の高い水辺景観の形成を図る。
公園に導入されている機能および導入すべき施設を下表にまとめる。このうち本調査で検討する
「自然レクリエーションゾーン=ため池および樹林で構成されるゾーン」に関連するのは、文化活
動・自然の中での休養・修景・便益機能である。
−35−
表 導入済み施設と求める機能
導入機能
導入済み施設
対象エリアに求める機能
スポーツ
野球場、テニスコート、体育館、
健康づくり
ジョギングコース等
文化活動
木工、陶芸等の創作の場、
野外ステージ、彫刻広場等
自然の中での休養
トリムコース、散策路、
ピクニック、デイキャンプ等
交流
体育館、疎林広場、芝生広場等
イベント
野外ステージ、体育館、広場等
●樹林帯にある埋蔵文化財や、知多
半島の農業を担うため池など、本町
の歴史・文化・産業に係わる資源を
利用者に紹介する場の整備が望ま
れる。
●良好な状態にある樹林や水系を保
全・利活用し、利用者が快適に休
養・散策できる場の整備が望まれ
る。
コミュニティ活動
修景
花壇、噴水、水生花園等
●良好な状態にある樹林や水系を保
全・利活用し、利用者が美しい景観
を楽しめる場の整備が望まれる。
便益
便所、シェルター、駐車場、
休養
園路等
●「交流拠点」を構成する施設群をむ
すび、快適な周回性を提供する動
線の整備が望まれる
(出典:美浜町総合公園基本計画)
4−3 課題に対する整備の方針
現況状況及び上記の課題を踏まえ、計画対象エリアにおける課題に対する整備方針図を次の
図にまとめる。この方針図に基づき、基本方針の設定及び基本計画の検討を行う。
−36−
課題に対する整備方針図
日が差し込んで明るく、来訪者
の休憩の場となる広場の新設
県道や美浜 I.C 利用者へ印象
深い景観を提供
えびせんべいの里と埋蔵文化
材の場へと繋ぐ歩行者動線と
管理車両動線の新設
利用者を丘陵地へ誘導
丘陵地の樹林を保全し、地域が
計画課題
もつ自然景観を次世代に継承
地区ネットワーク形成の視点から
公園の魅力充実の視点から
埋蔵文化財を紹介し学習機会
を提供
町民の森方面への通路と丘陵
丘陵地を巡り森の自然を楽し
地を繋ぐ歩行者動線の新設
める歩行者動線の充実
−37−
5. 基本方針の設定
ここまでの整理・分析から導かれた計画課題をもとに、基本方針を設定する。
4 計画課題
● 地区ネットワーク形成の視点から
・総合公園周辺地区においては、本公園や図書館、
体育館、町民の森の連携を強化して拠点性を高め
るとともに、未供用部分の整備を進めながら面的
な活用を含めた機能の充実・活性化を図り、
「交流
拠点」としての機能を充実させる必要がある。
・本公園は美浜 I.C.正面に位置し、付近一帯には本
公園のほかにも主要な観光資源が立地しているこ
とから、交流拠点となる潜在能力を有しており、
各施設の魅力アップと周回性の確保を行う必要が
ある。
・本調査の検討対象地は、周辺の丘陵地と連続して、
散策しながら丘陵地の水と緑を楽しめる場所とし
て位置づけられる。
5 計画の基本方針
水と緑と歴史を活かした
「美浜古窯の森」を整備し
・ 埋蔵文化財や農業を担うため池など、本町の歴史・
文化・産業に係わる資源を来訪者に紹介することが
望まれる。
・ 良好な状態にある樹林や水系を保全・利活用し、来
訪者が快適に休養・散策できる場の整備が望まれ
る。
・ 公園利用者および美浜インターチェンジ経由での来
訪者へ、本町らしい印象深い景観を提供することが
望まれる。
【本計画と連携する施設】
(既設施設) →県道の歩道
→水野屋敷記念館
→えびせんべいの里
町の玄関口と交流拠点となる
美浜町総合公園の完成を目指す。
◆景観形成・修景機能
(導入施設) →修景植栽
方針1 町の玄関口にふさわしい景観をつくる。
公園を訪れる町民や美浜I.Cからの来訪者が、美浜町
を代表する美しい景観の一つとして受けとめられるような
景観をつくりだす。
方針2 丘陵地の森が支えた古窯の歴史を学べる場所を
つくる。
● 公園の魅力充実の視点から
「遊歩道基本計画」への展開
◆歴史・文化学習機能
(導入施設) →やきもの広場
計画地内の埋蔵文化財である知多半島古窯跡群の歴
史を学べる広場をつくる。
方針3 町民の生活に潤いをもたらしている丘陵の自然を
直接感じられる森をつくる。
計画地の丘陵地の樹林を活かし、水と森が融合した丘
陵の自然を直接感じられる森をつくる。
方針4 水や緑を楽しみながら、レクリエーション施設間を
歩ける動線をつくる。
多彩なレクリエーション資源が立地するこの地区で、歩
行者ネットワークの一端を構成する動線をつくる。
−38−
◆自然観察機能
(導入施設) →林間遊歩道
→林間広場
→水辺の散策路
◆散策機能
(導入施設) →林間遊歩道
→林間広場
6. 遊歩道基本計画
6−1 導入機能・施設の設定
4 つの計画方針を具体化するために下表に示す機能・施設を導入する。
表 導入機能および施設
計画方針
方針1
町の玄関口にふさわ
しい景観をつくる。
方針2
町民の生活に潤いを
もたらしている丘陵
の自然を直接感じら
れる森をつくる。
方針3
水や緑を楽しみなが
ら、レクリエーショ
ン施設間を歩ける動
線をつくる。
方針4
丘陵地の森が支えた
古窯の歴史を学べる
場所をつくる。
方針の内容
導入機能
導入施設
公園を訪れる町民や美浜
I.C からの来訪者が、美浜
町を代表する美しい景観の
一つとして受けとめられる
ような景観をつくりだす。
景観形成・修景機能
・修景植栽
計画地の丘陵地の樹林を活
かし、水と森が融合した丘
陵の自然を直接感じられる
森をつくる。
自然観察機能
・林間遊歩道
・林間広場
多彩なレクリエーション資
源が立地するこの地区で、
歩行者ネットワークの一端
を構成する動線をつくる。
散策
・林間遊歩道
・林間広場
・水辺の散策路
計画地内の埋蔵文化財であ
る知多半島古窯跡群の歴史
を学べる広場をつくる。
歴史・文化学習機能
・やきもの広場
−39−
以上の内容から、ゾーニングを設定する。
歴史・文化学習機能
・やきもの広場
自然観察機能,散策・拠点接続
・林間遊歩道
・林間広場
景観形成・修景
散策・拠点接続機
・水辺の散策路
ゾーニング図
6−2 動線検討
導入施設を効果的に配置するため、動線の比較検討を行う。
1)動線比較案の設定
動線比較検討に際しては「遊歩道の性格を決定する主な要因は、吉田下池周辺にどのよう
な動線を通すか」であると考え、動線形態の違いを主軸に置き、導入施設の整備水準を副軸
としてこれに沿わせ、比較3案を設定する。
比較案の設定過程を次ページに整理する。
−40−
遊歩道基本計画 動線検討−1
【動線比較案設定の考え方】
① 遊歩道の性格を決定する主な要
因は、吉田下池周辺にどのような
動線を通すかである。
② そこで、動線形態の違いを主軸に
置き、導入施設の整備水準を副軸
としてこれに沿わせ、比較3案を
設定する。
主軸となる
【動線の考え方】
「公園基本計画 S63」の動線計画
に準拠
吉田下池外周を一周する新規園路を設定
全域にユニバーサルデザインの
園路を設定
副軸となる
【施設整備水準の考え方】
遺跡を記録保存して丘陵を造成し、
歴史広場を整備
県道との連携により公園内動線を補完
主要な施設に 1 経路
ユニバーサルデザインの園路を設定
林間遊歩道はユニバーサルデザインに
準拠せず
遺跡を記録保存しつつ現況斜面を活かしながら歴史広場を整備
◆A案
◆B案
◆C案
・ 全域でユニバーサルデザインの園路を配置、樹林内は現況地形を活
かした林間遊歩道を配置
・ 池全域に水生植物園などの修景要素を配置
・ 記録保存した遺跡範囲を平坦な広場として造成し、当該古窯をレプリカ
により復元展示
・ 遺跡から東側にはユニバーサルデザインの散策路を配置し、樹林内
は現況地形を活かした林間遊歩道を配置
・ 散策路は修景植栽など配置
・ 記録保存した遺跡範囲は保存しその周りが周遊できるように現況地形
を活かしながら造成し、当該古窯の記録をパネル等で展示
・ 樹林内は現況地形を活かした林間遊歩道を配置
・ 遺跡範囲を包蔵地として現状のまま保存するため、現況丘陵にて疎
林広場を育成し、知多半島古窯跡群の一般的な情報をパネル等によ
り展示
−41−
遊歩道基本計画 動線検討−2
2)比較案の評価
評価の視点
4 つの計画方針ごとに次のような評価の視点を設定し、動線比較案を評価する。その結果、最も
得点が高く課題も少ない「B案」を推奨する。
1)方針1「町民の生活に潤いをもたらしている丘陵の自然を直接感じられる森をつくる。
」
丘陵地の存在が本町に自然豊かなイメージをもたらしているが、日常生活で実際に触れられる
森林はさほど多くはない。
「町民の森」で取り組まれている身近な森づくりを発展させ、水と森が
融合した丘陵の自然を直接感じられる森をつくる。
→評価の視点2−1「全ての来訪者が丘陵の樹林を間近に感じられる」
→1−2「丘陵の樹林を多方面から眺められる視点場がある」
→1−3「樹林の中に明るく開放的な休養の場がある」
2)方針2「水や緑を楽しみながら、レクリエーション施設間を歩ける動線をつくる。
」
多彩なレクリエーション資源が立地するこの地区で、歩行者ネットワークの一端を構成する東
西方向の新しい動線をつくりだし、その動線が公園内で交わる要所に総合公園の新たな導入部を整
える。
→評価の視点2−1「ため池周囲の周回動線が成立している」
→2−2「公園中央部と「えびせんべいの里」方面をつなぐ歩行者動線がある」
3)方針3「丘陵地の森が支えた古窯の歴史を学べる場所をつくる。
」
知多半島古窯跡群の歴史を学べる広場をつくる。
→評価の視点3−1「広い年齢層が歴史資源を直感的に学べる展示が行われている」
→3−2「古窯跡群とそれを支えた樹林地の関連性が鮮明に示されている」
→3−3「展示物の整備と維持管理について費用と効果のバランスがとれている」
A案
B案
C案
全ての来訪者が丘陵の樹林を間近
に感じられる
○
○
△
1−2
丘陵の樹林を多方面から眺められ
る視点場がある
◎
○
−
1−3
樹林の中に明るく開放的な休養の
場がある
○
○
○
2−1
ため池周囲の周回動線が成立して
いる
○
○
△
2−2
公園中央部と「えびせんべいの里」
方面をつなぐ歩行者動線がある
○
○
−
3−1
広い年齢層が歴史資源を直感的に
学べる展示が行われている
◎
◎
○
レプリカによる直感的な
展示には訴求力がある
発掘時の状況を活かした実
態のある展示である
古窯跡群とそれを支えた樹林地の
関連性が鮮明に示されている
○
○
展示物の整備と維持管理について
費用と効果のバランスがとれてい
る
△
◎
○
レプリカは直感的であるが、
整備・維持管理の費用負担が
大きい
現況地形を活かした展示物
の表示となり実態感があり、
レプリカよりも整備・維持管
理の費用負担が小さい
整備費用は小さいが、展示の
訴求力も小さい
8点
10 点
3点
1−1
3−2
3−3
◎=最も優れている、点数 2 点
○=優れている、点数 1 点
−=普通、点数 0 点
△=課題がある、点数−1 点
評価点
林間遊歩道はバユニバーサ
ルデザイン環境ではない
丘陵地は袋地である
樹林地の中にあることを
直接的に示している
推奨案
−42−
◎
6−3 基本計画図
遊歩道基本計画 平面図
−43−
遊歩道基本計画 標準断面図
−44−
6−4 各部計画
基本計画を構成する園路・広場・植栽計画を次のように設定する。
1)園路計画
① 整備方針
各園路の整備方針を以下のように設定する。
○方針1 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」や「愛知県人にやさ
しい街づくり条例」等に準拠して園路を設定する。ただし、雑木林など現況地形
を活かしながら園路を敷設するため、主要な施設(やきもの広場)への最低 1 つ
の経路をユニバーザルデザインに対応させる。
【園路の幅員】
樹林内の主要園路幅員は 2 人歩きができるよう 1.5m以上を確保し、雑木林では現況
地形を大きく改変することなく園路を設定するため最低 1.0mとする。
管理車両が通行する園路は、軽車両が通れるように幅員 2.5m以上を確保する。
【園路の勾配】
主要な施設(やきもの広場)への最低 1 つの経路の縦断勾配は、5%以下とする。ただ
しやむを得ない場合は 8.0%以下の斜路を設定するが、
高低差が 75cmを越える場合は、
高さ 75cm以内ごとに踏幅 1.5m以上の踊場を設置する。
また雑木林では現況地形を大きく改変しない方針とするため、現況地形に合わせた縦
断勾配とする。
【階段】
階段の幅員について、公園利用者が2人歩きできる幅員を 1.5m∼2mとしていること
と、階段の利用状況を想定すると、ゆっくり歩く人が考えられるので、円滑な人の行き
来には余裕のある幅員が望ましく、2mとする。
階段の登り口、降り口および踊場に、長さ 1.2m以上の水平部分を設けることとし、
踊場は高さ 2.5m以下ごとに設置する。また、蹴上げを 15cmと定めた上で、階段を設
置する法面の勾配と合わせて 30cm以上の踏面を確保する。
【主要園路の舗装材】
主要な園路では自然環境に調和する落ち着いた色調を有し目地がなく比較的安価に
敷設できる脱色アスファルト舗装を主体とする。但し、樹林地内の遊歩道では自然環境
に溶け込むウッドチップ舗装、特に景観的な演出を行うやきもの広場の園路は、本石貼
舗装等を導入する。また、やきもの広場の古窯とその周囲は、現状の景観と古窯群の自
然な姿を活かすため、砂利と土系舗装とする。
−45−
(脱色アスファルト舗装)
(ウッドチップ舗装)
(本石貼舗装)
図 導入する舗装のイメージ
−46−
② 園路の構成
ここまでの整備方針を受け、各園路の構成を下表のように設定する
表 園路の構成
場 所
園路の名称
園路の
有効幅員
(m)
構 成
摘 要
舗 装
縁 石
林間遊歩道A
1.5
脱色AS
玉石
単体ではUD非対
応
林間遊歩道B
1.0
ウッドチップ
−
現況散策路活用
−
砂利敷き・土系
玉石
雑木林
やきもの広場
2.5
水田
本石
玉石
林間広場
−
ウッドチップ
−
水辺の散策路
2.5
脱色AS
玉石
管理車両通行
管理車両通行
※「UD」はユニバーサルデザイン、
「AS」はアスファルトを示す。
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林間遊歩道A
やきもの広場
水辺の散策路
林間広場 3 箇所
林間遊歩道B
図 園路の配置
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【参考】園路の幅員「UD公園づくり」
【参考】園路の幅員「都市公園技術解説書 p42」
園路の幅員
広場的な扱い
15m以上
来園者とトラック2台がすれ違える
10∼12m
来園者とトラック1台がすれ違える
5∼6m
管理用トラックが入る
3m
2人歩き
1.5∼2m
1人歩き
0.8∼1m
車いす使用者対応
0.8m以上∼1.8m以上
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【参考】人の行動と園路幅員「高齢者・障害者に配慮の建築設計マニュアル p25」
【参考】園路の勾配「UD公園づくり」
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【参考】階段「UD公園づくり」
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2)広場計画
広場計画は、吉田古窯群発掘調査の遺構配置図に基づき保存方法、展示方法、造成・施設整
備などについて、調査に係った学識経験者のヒアリング及び参考資料より、整備方針を設定す
る。
① 整備方針
・計画地は「自然レクリエーションゾーン」を形成しており、公園内の他ゾーンでは実現
できない「水辺や樹林内で休養、自然探勝、歴史学習ができる広場」を創る。
・雑木林内には埋蔵文化財包蔵地があり、その歴史を体感・学習できる「やきもの広場」
を設ける。
・雑木林を巡る林間遊歩道の結節点には、休養できる小規模な「林間広場」を点在させる。
② 広場の構成
やきもの広場(古窯跡整備)
整備方針
古窯A群は露出すると色がかわるため現状のまま埋没した状態で保存し、B群
も出来る限り保存して残す。
保存方法
・古窯遺跡の表面は草押さえになるように砂利敷き(t=15cm 程度)とする。
・古窯遺跡周辺部は土砂の流出や周辺の景観と調和するため、土系舗装とする。
整備イメージ
・古窯が見渡せる場所に休憩施設を設ける。
・樹木は無理に補植せず、里山のイメージを保つ。散策路沿いは間伐され木
漏れ日が射すイメージとする。
・見学路として古窯を周回できる園路を設置する。
・散策路は自然環境に調和した自然石舗装とする。
・解説板は、古窯の全体解説を大型板とし、それぞれの窯跡の詳細は小型板
で説明する。
整備イメージ
【参考】大池古窯(半田市)
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【参考】伊良湖東大寺瓦窯跡(田原市)
林間広場
概要
・雑木林を巡る林間遊歩道の結節点には、休養できる小広場を点在させる。
・樹林の間伐を行って広場には陽光を取り入れる。
導入施設
・ベンチ、広場
植栽
・樹林の間伐を行う。
整備イメージ
■古窯保全手法の参考資料のまとめを下記に示す。
(参考資料参照)
<全都道府県の事例>
・国指定史跡が 15 件あり、そのうち覆屋が設置されているのは5件で、ほとんどが露出保
存である。中には、畑ノ原窯跡のように、遺構面に樹脂を含浸させ強化し、ガラスケー
ス内にそのまま露出展示する手法をとっているものもある。
・周回できる見学路を設置しているのは3件あり、実際に焼成可能な窯で作陶したり、学
校教育との連携によって児童生徒の作品の焼成を行って体験施設として活用されている
古窯もある。
・ほとんどの古窯で説明板は設置されている。
<愛知県の事例>
・愛知県の事例は 20 件あり、県指定史跡が3件、市指定史跡の指定が5件、町指定史跡が
1件、埋蔵文化財が6件、未指定が5件ある。
・覆屋が設置されているのは 14 件、そのうち展示施設として整備されているのは6件あり
屋内で周回して見学できる施設もある。
・覆屋設置の中には、表面を保存処理し、四方から見られるように全面ガラス張りとし、
説明板を設置した展示手法もある。
有人施設ではないのでいたずらを受けることがある。
・その他露出保存では、柵で囲い説明板を設置している。
・陶芸サークルによる復元古窯での作品焼成も行われている。
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■学識経験者の意見は下記に示す。
学識経験者:山下先生、増子氏
<保存方法>
・整備方針としては、古窯A群は露出すると色がかわるため現状のまま埋没した状態で保存し、B
群も出来れば保存して残したい。
・吉田池古窯は、美浜町の中心部にあり現存する窯跡も多く発見されている。吉田池古窯の西部に
も窯跡の可能性があるので、現況を改変しないでもらいたい。
・渥美半島の皿山古窯遺跡のような海浜石(砂利)を t=15cm 程度で草押さえとしてはどうか。また、
ゼンマイやコケなどもよい。
<展示方法>
・保存方法は整備費が掛かるので上屋を建てるよりは、周辺に柵や説明板などを設けて展示できる
ようにしたい。
・古窯が見渡せる場所に、休憩施設を設けたい。
・解説板は、古窯の全体解説を大型板とし、それぞれの窯跡の詳細は小型板で説明する。
・美浜 IC から来る方にも古窯を展示していることがわかるように、誘導案内板の設置検討や生涯学
習センターとのソフト面での連携などが今後の課題である。
<施設整備>
・土のうで土留めをしているところは、石や擬木で止めるようにしたい。
・散策路の舗装は、脱色アスファルトや土がよい。
・古窯A群の低いところは、水がたまるので排水をよくしたい。
<その他>
・万葉の森全体は、樹木が密集しているので木を減らしたい。
・樹木は無理に補植せずに里山のイメージで保ちたい。植樹するようであれば、アセビなどがよい。
散策路沿いは、現在古窯のところのように間伐され木漏れ日が射すようなイメージとしたい。
・南東の水田部水際に散策路で整備するのは、里山のイメージがあってよい。
・県道から園路を散策する人が見える程度に樹木を減らし、安全性にも考慮し目を引くようにして
もらいたい。
・古窯B群は砂質で崩れやすいので、池の水辺は安全対策が必要である。
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3)植栽計画
① 整備方針
・雑木林の現況樹林を活かし、知多半島の丘陵地帯の地域植生を保全する。
② 植栽の構成
現況樹林を活かして、知多半島の丘
陵地帯に広がる地域の植生を維持す
る。
里山景観の演出できる植栽で季節感
のある華やかな演出を行い、本公園
の東側の入口と県道からの景観を形
成する。
雑木林
園路
図 植栽の構成
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表 植栽の構成
場 所
雑木林
植栽の方針
候補樹種
・現況植生を維持する。
マツ
・半島に多数存在する他の古窯において燃
焼室から検出されているマツ、シイ、コ
ナラ、クヌギ、カシ等の補植を行い、当
時の丘陵を覆っていた樹林を育成する。
シイ類、タブ類
コナラ、クヌギ
オオシマザクラ
ツバキ・サザンカ類
・林間広場ではアクセントに季節を感じら サンシュユ
れる花木を植栽する。
ウメ、ロウバイ等
・やきもの広場では、無理に補植せず、里 アセビ等
山のイメージとする。植栽するとしたら
アセビなどを採用する。
園路
・里山景観を演出しつつ公園東部の入口と ヤマザクラ
して、季節を感じられる花木を植栽す
コブシ
る。
ミツバツツジ
・足元は、修景植栽により華やかな空間を ヤマブキ類
創る。
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7. 今後の課題
今後の事業推進に際し考慮すべき課題を以下のように整理する。
1) 埋蔵文化財の活用策の検討を図る。
古窯跡群を来訪者に伝えるために、遺跡の実態に合わせて効果的な解説・展示・体験
メニューを検討する必要がある。
2) 長期的な視野による樹林地の維持管理を行う。
吉田下池の水面とともに丘陵地の樹林は、本公園だけでなく、本町における自然・景
観資源として非常に貴重なものである。この雑木林を来訪者に開放するにあたり、樹林
地をレクリエーション利用に適した状態へ移行させながら適正な保全を図るため、樹林
密度を調整して陽光の引込みと防犯機能の向上を目指すとともに、樹木の世代交代を念
頭に置いて長期的な樹林育成計画を実行していく必要がある。
3) 計画地周辺部の改修と連携させる。
本計画地は、吉田下池と雑木林からなる「自然レクリエーションゾーン」を形成して
いるが、より良いレクリエーション環境をつくり多くの来訪者を誘致するには、周辺部
との連携が欠かせない。
先ず、公園敷地内を南北に通る町道では、公園と一体化しつつ円滑な自動車交通を維
持する必要がある。また、美浜インターチェンジ交差点をはじめとして県道における一
連の緑化整備は、本公園の景観形成や修景と密接な関係にある。さらに、公園敷地内の
吉田下池西部の既整備部分は、東西に細長い本公園において東側の利用拠点として利便
性や快適性を高める必要がある。
4) 町民、企業および行政の連携を深める。
計画地に隣接する水野屋敷記念館は、公民館的に利用されつつより広い範囲の町民や
観光客が当地の歴史を学べる施設でもある。このように計画地には町民等との接点が既
に存在しており、新たな供用エリアが公開されることをきっかけに、公園と住民の関わ
りをより密接なものとすることが望まれる。
また、計画地南側に整備されている「町民の森」と連携することにより、連続的な樹
林地を形成する本公園の樹林管理を連携して実施できるとともに、園内の植物について
も、町民と行政が協働して管理することや、樹林地内での自然観察会を官民一体となっ
て開催することなどへとつなげてく。
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さらに、
「えびせんべいの里」や「ジョイフルファーム鵜の池」などの観光施設を運
営する企業と行政が公園内でイベントを共同開催することにより、お互いの施設の利用
促進等の相乗効果を図るなどが考えられる。
5) 情報発信やPR活動の促進を図る。
多くの人々に本公園の魅力や周辺地域の情報を知ってもらうための情報発信の取組
みやPR活動の実施を継続的に実施していく必要がある。
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