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日本におけるMOX燃料開発 - 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

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日本におけるMOX燃料開発 - 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
日本におけるMOX
日本におけるMOX燃料開発
MOX燃料開発
MOX利用国際セミナー
MOX利用国際セミナー
2002年2月18日
核燃料サイクル開発機構 東海事業所
プルトニウム燃料センター
大島 博文
1
-もくじ-
1.MOX燃料開発の歴史
2.サイクル機構の果たすべき役割
3.MOX燃料製造
4.MOX施設の安全性
5.要員の資質と教育訓練
6.まとめ
2
1.MOX燃料開発の歴史
1-1 東海事業所全景
常陸那珂港
常陸那珂港
プルトニウム燃料センター
プルトニウム燃料センター
再処理センター
再処理センター
本社
本社
アトムワールド
アトムワールド
3
1.MOX燃料開発の歴史
1-2 プルトニウム燃料センター全景
プルトニウム燃料
プルトニウム燃料
第三開発室
第三開発室
プルトニウム燃料
プルトニウム燃料
第二開発室
第二開発室
プルトニウム燃料
プルトニウム燃料
第一開発室
第一開発室
第二プルトニウム
第二プルトニウム
廃棄物貯蔵施設
廃棄物貯蔵施設
プルトニウム廃棄物
プルトニウム廃棄物
処理開発施設
処理開発施設
プルトニウム
プルトニウム
廃棄物貯蔵施設
廃棄物貯蔵施設
4
1.MOX燃料開発の歴史
1-3 プルトニウム燃料センターの歴史
‘60年代
サイクル機構
動燃事業団
原子燃料公社
‘80年代
‘70年代
‘90年代
‘00年代
▼建設着工
(‘64年5月)
▼建設完了
(‘65年11月)
プルトニウム燃料
第一開発室
・Pu取扱技術の開発、物性研究 ・新型燃料開発
(‘66年1月
運転開始)
・燃料設計技術開発
・MOX燃料製造技術の開発
・照射試験用MOX燃料ピン製造
▼美浜1号炉燃料製造(‘75年度)
▼建設着工 ▼建設完了
(‘72年1月)
(‘69年5月)
プルトニウム燃料
第二開発室
(‘72年1月
運転開始)
プルトニウム燃料
第三開発室
FBRライン
(‘88年4月
運転開始)
国内MOX加工
事業技術支援
機械化
自動化
・DCA燃料製造 ・ふげん燃料製造
・常陽燃料
製造
増強
▼敦賀1号炉燃料製造(‘85年度)
・常陽燃料製造
▼建設着工
▼建設完了
(‘82年7月) (‘87年11月)
遠隔・自動化
・常陽燃料製造
・もんじゅ燃料製造
▼MOX燃料加工事業調査協定
(‘99年6月)
▼MOX燃料加工施設建設協定
(‘00年12月)
MOX粉末確証試験
(小規模、大規模)
5
1.MOX燃料開発の歴史
1-4 プルトニウム燃料第一開発室の建設開始
‘64年、日本最初のプルトニウム燃料取扱施設であるプルトニウ
ム燃料第一開発室の建設工事に、着手しました。
6
1.MOX燃料開発の歴史
1-5 MOX燃料製造実績
■新型転換炉「ふげん」、高速実験炉「常陽」、高速増殖原型炉「もん
じゅ」などの累積生産量は約170トン(約6トンPu)です。
■このうち、熱中性子炉用MOX燃料は約150トンです。
■生産した燃料はすべて炉内で健全に使用されています。
MOX燃料生産量
1.MOX燃料開発の歴史
1-4 MOX燃料製造実績
凡 例 燃料種類 体 数 MOX量
FBR
285
約10トン
もんじゅ
FBR
525
約7トン
常陽
ATR
773
約139トン
ふげん
BWR
2
約0.1トン
(敦賀)
SGHWR
約0.3トン
2
(英国)
ATR
約12トン
DCA
その他
合 計
約2トン
1587
約170トン
‘02年12月末現在
7
1.MOX燃料開発の歴史
1-6 核燃料サイクルの実証
ATR「ふげん」
FBR「常陽」
「マルチリサイクルの実証」
「マルチリサイクルの実証」
「ふげん」MOX使用済燃料から回収した
「常陽」MOX使用済燃料から回収したプ
プルトニウムを「ふげん」MOX燃料に再度
加工し、再び「ふげん」で使用しました。 (’78.3月)
ルトニウムを「常陽」MOX燃料に再加工し、
再び「常陽」で使用しました。 (’84.9月)
「回収ウランの利用」
使用済燃料
軽水炉燃料から回収したウラン(回収ウラ
ン)を「ふげん」MOX燃料の母材に使用し、
「ふげん」に装荷した実績があります。 (’84.5月)
FBR「常陽」
「プルトニウムの熱中性子炉利用の実証」
ふげんは軽水炉と同じ熱中性子炉で、運転
の最初からプルトニウム(MOX)燃料を使用
してきました。(’78.3月)
再処理施設
Pu,U
Pu,U
MOX燃料
MOX燃料
使用済燃料
MOX燃料
MOX燃料
MOX燃料製造施設
ATR「ふげん」
8
1.MOX燃料開発の歴史
1-7 プルサーマル燃料の製造
サイクル機構では、’67年に米国・GETRへのプルサーマル用燃料ピンを出
荷しました。また、‘73年には関西電力㈱美浜1号機用のMOX燃料集合体用の
燃料ピン4本を製造しました。さらに、 ‘85年にはプルトニウム燃料第二開発
室 ATRラインを使って、日本原子力発電㈱敦賀1号機用のMOX燃料(プルサ
ーマル燃料)2体を製造しました。
これらのMOX燃料は、軽水炉におけるMOX燃料の本格利用に先立つ少数体
実証試験として、それぞれの発電所において日本で最初の照射がされ、その後
、照射後試験も行われています。(なお、これらの研究は電力会社との共同研
究によって行われたものです。)
73
関西電力
美浜1号機
日本原電
敦賀1号機
74
85
86
87
88
製造
89
90
91
使用
製造
使用
わが国におけるMOX燃料少数体実証
9
1.MOX燃料開発の歴史
1-8 MOX燃料設計・製造の品質保証システム
更なる品質保証システムの信頼性及び
更なる品質保証システムの信頼性及び
透明性の向上を目指し、ISO9001規格に
透明性の向上を目指し、ISO9001規格に
基づく品質保証システムへ移行しました
基づく品質保証システムへ移行しました
‘01. 3.8
‘01. 3.8
ISO9001 認証取得
ISO9001
ISO9001 認証取得
認証取得
ISO9001 認証取得
その後、日本電気協会の品質保証
その後、日本電気協会の品質保証
指針(JEAG4101)に準拠して品
指針(JEAG4101)に準拠して品
質保証システムの改訂を行い、
質保証システムの改訂を行い、
適用範囲に「もんじゅ」燃料を
適用範囲に「もんじゅ」燃料を
加えました
加えました
1980
1980
1975
1975
「常陽」初装荷燃料においても、
「常陽」初装荷燃料においても、
「ふげん」燃料と同様の品質保証
「ふげん」燃料と同様の品質保証
システムを適用し、品質保証活動
システムを適用し、品質保証活動
を開始しました
を開始しました
「ふげん」初装荷燃料において、米国の品質シス
「ふげん」初装荷燃料において、米国の品質シス
テム規格(10CFR50
テム規格(10CFR50Appendix
AppendixB)を参考に、
B)を参考に、
品質保証システムを構築しました
品質保証システムを構築しました
10
1.MOX燃料開発の歴史
1-9 MOX燃料輸送システムの確立
サイクル機構では、MOX燃料用輸送容器の開発から実輸送まで、豊富な
経験と実績を持っています。
燃料の種類
輸送開始時期
経 路
1回当たり 輸送回数
の輸送距離 (~’01.3) 総輸送距離
輸送容器外観 ふげん
’77年11月
~
茨城県東海村
約625km
44回
約27,500km
約625km
11回
約6,900km
約25km
96回
約2,400km
福井県敦賀市
もんじゅ
’92年7月
~
茨城県東海村
福井県敦賀市
常陽
’76年11月
~
茨城県東海村
茨城県大洗町
輸送隊列の例
11
1.MOX燃料開発の歴史
1-10 核拡散防止
1960年代
1970年代
計算機による在庫管理の導入
1980年代
NPT保障措置への対応
・計量管理システムの構築
・計量管理システムの拡張
・核物質測定技術の開発
・封じ込め監視技術の開発
1990年代
2000年代
大型化・自動化への対応
査察の効率化への対応
NPT:核不拡散条約(Non-Proliferation Treaty)
施設の大型化・自動化に対する課題
新しい保障措置システムの構築
・操業への影響の最小化
・リアルタイム計量管理システム
・査察業務量の増加防止
・査察官非立会い核物質測定システム
・査察に伴う被ばくの低減化
・査察データの遠隔監視システム
保障措置の要件
・IAEAの保障措置基準
・日米協定の保障措置コンセプト
・国内法令(規制法、国規則 等)
国規則:国際規制物資の使用等に関する規則
IAEAによる査察風景
12
2.サイクル機構の果たすべき役割
2-1 FBR実用化に向けた核燃料サイクルの確立
■ もんじゅによるFBR MOX燃料サイクルの実証
●信頼性、安全性を実証
●経済性向上を段階的に実証
■実用化戦略研究
● FBRとサイクルシステムの可能性追求
資源的意義、経済性、環境負荷低減
●幅広い選択肢について系統的に研究
● MOXペレットを用いた有望オプション:
簡素化プロセスによる中空ペレット製造 ■プルトニウム及びプルトニウム燃料の基盤研究・安全研究
■MOX施設のデコミッショニング技術開発
13
2.サイクル機構の果たすべき役割
2-2 民間MOX加工への技術協力
サイクル機構は民間MOX加工事業に全面的に協力し、プラント
の円滑な運転の技術的サポートを行います。
■JNCの施設・人材の活用
●技術者の派遣
●MOX粉末混合確証試験等の実施
●J-MOX運転開始後の燃料の高性能化等の技術サポート
■JNCの経験・知見の活用
●設計コンサルティング
●技術資料の提供
■建設・運転・保守支援
●運転要員の教育
●サイクル機構運転員の派遣
14
3.MOX燃料製造
3-1 MOX燃料製造プロセス比較
BELGONUCLEAIRE (MIMAS法)
COGEMA(A-MIMAS法)
BNFL(SBR法)
Pu原料
Pu原料
(PuO2)
Pu原料
Pu原料
(PuO2)
U原料
乾式回収
粉末
原料秤量
U原料
JNC
乾式回収
粉末
U原料
Pu原料
Pu原料
(MHMOX又 乾式回収
MH-MOX又
はPuO2)
粉末
原料秤量
原料秤量
均一化混合
均一化混合
予備混合
一次混合
ボールミル
アトリターミル
ボールミル
(アルミナボール)
強制篩分
秤 量
ロット拡大混合
二次混合
添加剤混合
添加剤混合
添加剤混合
造 粒
造 粒
成 型
成 型
成 型
焼 結
焼 結
焼 結
焼結ペレット
焼結ペレット
焼結ペレット
15
3.MOX燃料製造
3-2 MOX燃料製造
MOX 粉末又は
PuO2 粉末受入
UO2 粉末受入
秤 量
秤 量
混 合
混 合
造 粒
造 粒
成 型
成 型
混 合
プルトニウムとウランを所
定の割合に調合して混合し
ます。
成 型
粉末を押し固めてペレット
にします。
焼 結
約1700℃でペレットを焼き
固めます。
検 査
ペレットの寸法・密度・外
観を検査します。
充
填
製品ペレットをピンに充填
します。
集合体組立
ピンを束ねて集合体に組立
ます。
焼 結
焼 結
研 削
研 削
検 査
検 査
ペレット
充 填
充 填
端栓溶接
端栓溶接
グローブボックス内
ワイヤ巻付
ワイヤ巻付
検 査
検 査
集合体組立
集合体組立
検 査
検 査
燃料集合体
出 荷
荷
出 荷
荷
16
4.MOX施設の安全性 4-1 プルトニウムの特性と安全対策
α線
放射線
β線
γ線
・グローブボックスや被ふく
・グローブボックスや被ふく
管の中に閉じ込めて取扱う
管の中に閉じ込めて取扱う
中性子線
・遠隔化・自動化する
・遠隔化・自動化する
・適切な遮へいを施す
・適切な遮へいを施す
核分裂
・取扱う量を制限する
・取扱う量を制限する
17
4.MOX施設の安全性 4-2 包蔵性の確保・自動化・遮へい対策
■MOX燃料製造設備は自動化を図り、高さ3m、横3m、奥行き1m
のグローブボックス内に設置します。
■グローブボックスは施設外にプルトニウムが漏れ出さないように、
気密性を持っており、かつ常時減圧にしています。 ■グローブボックスの作業面には、作業員の被ばくを低減化するため
に遮へい体を設置します。
グローブボックス(遮へい体付き)
自動化された製造設備
18
4.MOX施設の安全性 4-3 臨界安全管理
B2 B1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
ダメ!
重量制限がある
から待っててね
ー
ブ
ッ
ブ
「質量管理」とは、
エレベータの重量制限と同じようにある重量以下でないと、
自動的に動かなくなるように工夫されたシステムによって
臨界事故を防止する方法です。
■臨界量については、信頼性のある計算
コードを用い、計算に用いる条件に十
分な裕度をもつ等の臨界設計を行って
います。
■プルトニウムにより臨界にならないよ
うに取扱量を制限します。
■MOX燃料製造施設は臨界になりにく
い水を使わないプロセスとなっていま
す。
■作業員が間違って制限量以上のプルト
ニウムをグローブボックス内に入れら
れないように電子計算機、秤量器、機
械的インターロック等を組み合わせた
管理を行います。
世界中のMOX燃料製造施設で臨界事故は発生しておりません。
19
4.MOX施設の安全性 4-4 放射線管理
MOX施設の中で
は、グローブボッ
クスなどでプルト
ニウムを閉じ込め
ていますが、万一
の工程室への漏え
いを早期に検知す
るため、サーベイ
メータやダストモ
ニタなどの放射線
測定器によって管
理区域内の放射線
の監視を行ってい
ます。
中性子線サーベイメータ
α線サーベイメータ
γ線・中性子線エリアモニタ α線ダストモニタ
γ線サーベイメータ
ハンドフットクロスモニタ
20
4.MOX施設の安全性 4-5 サイクル機構でのトラブル経験
サイクル機構のMOX施設では過去35年間のプルトニウムの取
扱いにおいて、周辺環境に影響を与えたトラブルは1件も発生し
ておりません。
■トラブルの例
●1986年6月 プルトニウム容器を梱包していたビニールに亀裂が発
生し、その部分から汚染が発生し、12名が微量のプ
ルトニウムを吸入した。 ●1993年6月 連続焼結炉内での焼結皿の動作不良が発生し、それに
より加熱用ヒーターが断線した。
■ヒヤリハットの例
●1999年1月 プルトニウムを取扱った設備の解体作業中に工具の 刃で手袋が破れ、手部に軽微な汚染が発生した。
21
5.要員の教育訓練と資格
5-1 教育訓練の体系
サイクル機構では、これまでの経験を基に、作業員・技術者の教育・
訓練、評価システムを確立し運用しています。
■グローブボックス作業習熟度評価システム
■階層別(初級、中級、上級)技術教育
■作業資格システム (燃料製造技術者、検査技術者、分析技術者)
■MOX燃料講座
■グローブボックス作業教育
■異常時対応訓練 等
放射線防護
放射線防護
原子炉等規制法
原子炉等規制法
放射線管理規程
放射線管理規程
放射線管理機器
放射線管理機器
保 安
保 安
原子炉等規制法
原子炉等規制法
保安規程 保安規程 異常時対応 異常時対応 技 能
技 能
品 質
品 質
GB基本動作 GB基本動作 自動制御 自動制御 運転要領 運転要領 ISO、JIS規格 ISO、JIS規格 QAマニュアル QAマニュアル 検査手順・技術
検査手順・技術
化学分析 化学分析 核物質管理
核物質管理
国際条約 国際条約 原子炉等規制法
原子炉等規制法
保障措置協定 保障措置協定 核物質防護基準
核物質防護基準
22
5.要員の資質と教育訓練
5-2 グローブボックス習熟度評価
■プルトニウムを安全に取扱ううえでグローブボックス作業の基 本動作の習熟が必要不可欠です。
■また、作業単位毎に適切な習熟度の作業員を組み合わせる必要 があります。
■従って、作業員の基本動作の習熟度を定期的に評価することに より不足しているスキルを明確化し、教育訓練に反映しています。
グローブボックス作業習熟度と経験年数相関の例
熟練度
判 定
評価内容
A
すべての作業を安全に行うこと
ができ、かつ状況に応じた処置、
判断ができる人
B
全般的に一通りの作業はでき
るが、異常発生時の判断能力が
不十分と思われる者
C
一人で作業をしてはならない者
23
6.まとめ
■我が国には、約35年に亘るMOX燃料開発の歴史があります。
■この間、約170トンの照射用、FBR用及びATR用MOX燃
料を生産し、その中には美浜炉・敦賀炉での軽水炉試験用 MOX燃料も含まれています。
■LWR用核燃料サイクルは実証されています。
■FBR用MOX燃料製造技術は確立しています。引き続き、経済
性を高める技術開発を進めていきます。
■MOX燃料加工に必要な幅広い技術は、サイクル機構で十分な
経験と実績があります。
■民間MOX加工に必要とする技術は、適宜、技術移転を行って
いきます。
24
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