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大学開放研教育訓練テキスト PDF版 - 東京大学大学院工学系研究科

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大学開放研教育訓練テキスト PDF版 - 東京大学大学院工学系研究科
保安教育訓練テキスト
(原子炉施設、核燃料物質使用施設等、
少量核燃料物質使用施設等、放射線施設)
東京大学大学院工学系研究科原子力専攻共同利用管理本部
大学機関等で既に放射線取扱業務従事者の教育訓練を受講している場合、受講した教育
訓練の項目に対応する本テキストの該当ページは省略して御読み頂いても構いません。
放射線取扱業務従事者の教育訓練項目
省略可能なページ
放射線の人体に与える影響に関すること
p.38~p.41,p.49~p.58
放射性同位元素等又は放射線発生装置
の安全取扱いに関すること
p.69~p.72
放射性同位元素等及び放射線発生装置に
よる放射線障害の防止法令に関すること
p.8~p.9
1.関係法令及び保安規定等
A01-1,A11-1: 原子炉関連の法令概要に関すること
A01-2,A11-2: 保安管理体制、保安教育、記録及び報告等に関すること
B03: 放射線障害防止法に関すること
B04: 放射線障害予防規定に関すること
I12-5,I13-5: 安衛法、同法施行令、安衛則、電離則中の関連条項に関すること
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1.1 原子力安全規制等の法体系について
原子力基本法
原子力基本法
●目的
原子力の研究、開発、及び利用を推進すること
によって、将来におけるエネルギー資源を確保し、
学術の進歩と産業の振興とを図り、もって人類社
会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与するこ
とを目的とする。
●原子力委員会及び原子力安全委員会の設置
●日本原子力研究開発機構の設置
●核燃料物質、原子炉等の規制
●放射線障害の防止等
災害対策基本法
災害対策基本法
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律
(略称「原子炉等規制法」)
(略称「原子炉等規制法」)
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律
(略称「放射線障害防止法」)
(略称「放射線障害防止法」)
放射線障害防止の技術的基準に関する法律
放射線障害防止の技術的基準に関する法律
原子力委員会及び原子力安全委員会設置法
原子力委員会及び原子力安全委員会設置法
独立行政法人日本原子力研究開発機構法
独立行政法人日本原子力研究開発機構法
災害対策基本法
災害対策基本法
(万一の放射性物質大量放出等による被害に対する措置)
(万一の放射性物質大量放出等による被害に対する措置)
電気事業法
電気事業法
(発電用原子炉に係る規制)
(発電用原子炉に係る規制)
道路運送車両法
道路運送車両法
(放射性物質の陸上輸送に係る規制)
(放射性物質の陸上輸送に係る規制)
船舶安全法
船舶安全法
(原子力船に係る規制及び放射性物質等の海上輸送に係る規制)
(原子力船に係る規制及び放射性物質等の海上輸送に係る規制)
航空法
航空法
(放射性物質の航空輸送に係る規制)
(放射性物質の航空輸送に係る規制)
労働安全衛生法
労働安全衛生法
(放射線業務に従事する労働者の安全確保に係る規制)
(放射線業務に従事する労働者の安全確保に係る規制)
薬事法及び医療法
薬事法及び医療法
(放射性医薬品等に係る規制)
(放射性医薬品等に係る規制)
原子力災害対策特別措置法(略称「原災法」)
原子力災害対策特別措置法(略称「原災法」)
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1.2 原子炉等規制法
目的
原子力基本法の精神にのっとり、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用が
平和の目的に限られ、かつ、これらの利用が計画的に行われることを確保すると
ともに、これらによる災害を防止し、及び核燃料物質を防護して、公共の安全を
図るために、精錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉の設置及
び運転等に関する必要な規制等を行うほか、原子力の研究、開発及び利用に関
する条約その他の国際約束を実施するために、国際規制物資の使用等に関す
必要な規制等を行うことを目的とする。
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第1章
総則(第1条・第2条)
第2章
製錬の事業に関する規制(第3条~第12条の7)
第3章
加工の事業に関する規制(第13条~第22条の9)
第4章
原子炉の設置、運転等に関する規制(第23条~第43条の3の4)
第4章の2
貯蔵の事業に関する規制(第43条の4~第43条の28)
第5章
再処理の事業に関する規制(第44条~第51条)
第5章の2
廃棄の事業に関する規制(第51条の2~第51条の26)
第5章の3
核燃料物質等の使用等に関する規制(第52条~第57条の8)
第6章
原子力事業者等に関する規制等(第58条~第61条の2)
第6章の2
国際規制物資の使用等に関する規制等
第1節 国際規制物資の使用等に関する規制(第61条の3~第61条の9の4)
第2節 指定情報処理機関(第61条の10~第61条の23)
第3節 指定保障措置検査等実施機関(第61条の23の2~第61条の23の21)
第6章の3
機構の行う溶接検査等(第61条の24~第61条の27)
第7章
雑則(第62条~第76条)
第8章
罰則(第77条~第84条)
第9章
外国船舶に係る担保金等の提供による釈放等(第85条~第89条)
附則
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1.2.1 原子炉等規制法による安全規制~法律等~
法律
法律
•核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律
政令
政令
•核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令
府省令
府省令
•核原料物質の使用に関する規則
•核燃料物質の使用等に関する規則
•核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に関する規則
•原子炉主任技術者試験の実施細目等に関する規則
•文部科学大臣の指定する指定検査機関等に関する規則
•試験研究の用に供する原子炉等の設計及び工事の方法の技術基準に関する規則
•試験研究の用に供する原子炉等の設置、運転等に関する規則
•試験研究の用に供する原子炉等の溶接の技術基準に関する規則
•特定核燃料物質の運搬の取決めに関する規則
•核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の規定に基づく独立行政法人原子力安全基盤機構の溶接検査及び運搬物確認に関する省令
•核燃料物質等の工場又は事業所の外における廃棄に関する規則
•核燃料物質の受託貯蔵に関する規則
•核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第七十二条の三第二項に規定する原子力安全委員会への報告に関する規則
•試験研究の用に供する原子炉等に係る放射能濃度についての確認等に関する規則
告示
告示
•核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の規定に基づき、指定運搬物確認機関を指定した件
•核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に関する技術上の基準に係る細目等を定める告示
•核燃料物質等の工場又は事業所内の運搬に関する措置等に係る技術的細目等を定める告示
•原子炉の設置、運転等に関する規則に基づき、口答試験を受験する資格を認める講習機関等を指定する件
•文部科学大臣の指定する指定検査機関等に関する規制に基づき文部科学大臣が定める研修を定める告示
•試験研究の用に供する原子炉等の設置、運転等に関する規則等の規定に基づき、線量限度等を定める告示
•放射線業務従事者に係る放射線管理記録の引渡し機関を指定した件
•核燃料物質等の工場又は事業所の外における廃棄に関する措置等に係る技術的細目を定める告示
•核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令の規定に基づき国家公安委員会等との関係を定める告示
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1.2.2 原子炉等規制法による安全規制~組織構成~
平成13年1月の省庁再編に伴い、原子炉等規制法に基づく安全規制を担当する組織構成が変更された。
文部科学省
文部科学省
原子炉の設置、運転等
試験研究炉
研究開発段階炉(非発電用)
核原料物質及び核燃料物質の使用
これらに付随する核燃料物質の陸上輸送
経済産業省
経済産業省
製錬の事業
加工の事業
原子炉の設置、運転等
貯蔵の事業
実用発電炉
研究開発段階炉(発電用)
再処理の事業
廃棄の事業
これらに付随する核燃料物質の陸上輸送
国土交通省
国土交通省
原子炉の設置、運転等
実用船用炉
これらに付随する核燃料物質の陸上輸送等
すべての核燃料物質の海上輸送・航空輸送
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1.2.3 核燃料物質及び核原料物質の使用に係る安全規制
~段階的安全規制~
核燃料物質の使用
核燃料物質の使用
一定の核燃料物質の使用
設計段階
設計段階
建設段階
建設段階
•使用の許可
核原料物質の使用
核原料物質の使用
その他の核燃料物質の使用
•使用の許可
•使用の届出
•使用の基準等
•使用の基準等
•施設検査
•溶接検査
•使用の基準
※
使用段階
使用段階
•保安規定の認可
•保安検査等
廃止段階
廃止段階
•廃止措置計画の認可
•廃止措置計画の認可
•配置措置完了の確認
•配置措置完了の確認
•廃止の届出
※特定の核燃料物質を取り扱う場合には使用段階において核物質防護措置義務等が課される。
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1.3 放射線障害防止法
目的
原子力基本法の精神にのっとり、放射性同位元素の使用、販売、賃貸、廃棄その他の取
扱い、放射線発生装置の使用及び放射性同位元素によって汚染された物の廃棄その他
の取扱いを規制することによって、これらによる放射線障害を防止し、公共の安全を確保
することを目的とする。
第1章
総則(第1条・第2条)
第2章
使用の許可及び届出、販売及び賃貸の業の届出並びに廃棄の業の許可(第3条~第12条)
第2章の2
表示付認証機器等(第12条の2~第12条の7)
第3章
許可届出使用者、届出販売業者、届出賃貸業者、許可廃棄業者等の義務(第12条の8~第
33条)
第4章
放射線取扱主任者(第34条~第38条)
第5章
登録認証機関等(第39条~第41条の38)
第6章
雑則(第42条~第50条)
第7章
罰則(第51条~第61条)
第8章
外国船舶に係る担保金等の提供による釈放等(第62条~第66条)
附則
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1.3.1 放射線障害防止法による安全規制~法律等~
法律・政令
法律・政令
•放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律
•放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令
府省令
府省令
•登録認証機関等に関する規則
•放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則
告示
告示
•放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令第一条第四号の薬物を指定する告示
•講習の時間数等を定める告示
•設計認証等に関する技術上の基準に係る細目を定める告示
•放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令第12条第1項第3号の放射性同位元素装備機器を指定する告示
•変更の許可を要しない軽微な変更を定める告示
•放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則の規定に基づき記録の引渡し機関を指定する告示
•放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則第10条第2項の工場又は事業所を定める告示
•放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令第1条第5号の医療機器を指定する告示
•表示付認証機器とみなされる表示付放射性同位元素装備機器の認証条件を定める告示
•放射線を放出する同位元素の数量等を定める件
•放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則の規定に基づきフレキシブルディスクの記録の方式等を定める件
•電磁的方法による保存をする場合に確保するよう努めなければならない基準
•放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則第12条第2項に規定する工場又は事業所を定める件
•教育及び訓練の時間数を定める告示
•使用の場所の一時的変更の届出に係る使用の目的を指定する告示
•放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された物の工場又は事業所の外における運搬に関する技術上の基準に係る細目等を定める告示
•放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された物の工場又は事業所における運搬に関する技術上の基準に係る細目等を定める告示
•荷電粒子を加速することにより放射線を発生させる装置として指定する件
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1.4 原子力科学研究所放射線障害予防規定
第1章
通則(第1条~第5条)
第2章
保安管理体制(第6条~第35条)
第3章
放射性同位元素等及び放射線発生装置の管理(第36条~第47条)
第4章
放射線管理(第48条~第70条)
第5章
使用施設等の維持及び管理(第71条~第75条)
第6章
放射性同位元素等の運搬(第76条~第81条)
第7章
放射性廃棄物の管理(第82条~第95条)
第8章
汚染除去(第96条)
第9章
特殊健康診断(第97条~第99条)
第10章
保安教育訓練(第100条~第103条)
第11章
異常時の措置及び通報(第104条~第114条)
第12章
非常の場合に採るべき措置(第118条~第129条)
第13章
研究所に所属しない職員等及び職員等以外の者に対する保安措置及び放射線管理(第130条~第134条)
第14章
放射性廃棄物の受託処理に係る措置(第135条~第136条)
第15章
記録及び報告(第137条~第139条)
第16章
研究所以外の保安管理組織との関係(第140条)
第17章
その他(第141条~第142条)
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1.5 災害対策基本法・原災法
災害対策基本法
目的
目的
国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災に関し、
国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の
所在を明確にするとともに、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策、災害復
旧及び防災に関する財政金融措置その他必要な災害対策の基本を定めること
により、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図り、もって社会の秩
序の維持と公共の福祉の確保に資する
原災法
原災法
目的
目的
原子力災害の特殊性にかんがみ、原子力災害の予防に関する原子力事業者の
義務等、原子力緊急事態宣言の発出及び原子力災害対策本部の設置等並びに
緊急事態応急対策の実施その他原子力災害に関する事項について特別の措置
を定めることにより、原子炉等規正法、災害対策基本法その他原子力災害の防
止に関する法律と相まって、原子力災害に対する対策の強化を図り、もって原子
力災害から国民の生命、身体及び財産を保護する
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1.6 労働安全衛生法
目的
目的
労働災害の防止のための危害防止の基準の確立、責任体制の明確化及び自主的
活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進する
ことにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境
の形成を促進する
事業者等の責務
事業者等の責務
(第3条)
事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだ
けでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労
働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国
が実施する労働災害の防止に関する施策に協力しなければならない。
(第4条)
労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の
関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなけれ
ばならない。
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安全衛生教育
(第59条第3項)
事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせると
きは厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別
の教育を行わなければならない。
危険又は有害な業務として、
危険又は有害な業務として、
(安衛法規則第36条28の2号)
(安衛法規則第36条28の2号)
加工施設、再処理施設又は使用施設の管理区域内において核燃料物質若しくは使用済燃
加工施設、再処理施設又は使用施設の管理区域内において核燃料物質若しくは使用済燃
料又はこれらによって汚染された物を取り扱う業務
料又はこれらによって汚染された物を取り扱う業務
(安衛法規則第36条28の3号)
(安衛法規則第36条28の3号)
原子炉施設の管理区域内において核燃料物質若しくは使用済燃料又はこれらによって汚
原子炉施設の管理区域内において核燃料物質若しくは使用済燃料又はこれらによって汚
染された物を取り扱う業務
染された物を取り扱う業務
などがある。
などがある。
放射線による健康障害の防止のための具体的な措置は、電離放射線障害防止規則(以下「電離
則」)に定められている。
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加工施設等において核燃料物質等を取り扱う業務に係る特別の教育
加工施設等において核燃料物質等を取り扱う業務に係る特別の教育
電離則第52条の6第1項の規定による特別の教育は、学科教育及び実技教育により行
うものとする。
核燃料物質若しくは使用済燃料又はこれらによって汚染された物に関す
る知識
1時間
使用施設等における作業の方法に関する知識
1時間30分
使用施設等に係る設備の構造及び取扱いの方法に関する知識
1時間30分
電離放射線の生体に与える影響
30分
関係法令
1時間
使用設備等における作業の方法及び同施設に係る設備の取扱い(実技)
2時間
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1.7 電離則
目的
目的
事業者は、労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めなければ
ならない。
第1章
総則(第1条・第2条)
第2章
管理区域並びに線量の限度及び測定(第3条~第9条)
第3章
外部放射線の防護(第10条~第21条)
第4章
汚染の防止(第22条~第41条の2)
第4章の2
特別な作業の管理(第41条の3・第41条の4)
第5章
緊急措置(第42条~第45条)
第6章
エックス線作業主任者及びガンマ線透過写真撮影作業主任者
(第46条~第52条の4の5)
第6章の2
特別の教育(第52条の5~第52条の7)
第7章
作業環境測定(第53条~第55条)
第8章
健康診断(第56条~第59条)
第9章
雑則(第60条~第62条)
附則
第27条(放射性物質取扱用具)
第27条(放射性物質取扱用具)
放射性物質の取扱に使用する用
放射性物質の取扱に使用する用
具にその旨を表示し、他の用途
具にその旨を表示し、他の用途
に使用してはいけない
に使用してはいけない
第31条(退去者の汚染検査)
第31条(退去者の汚染検査)
身体と衣服の汚染の検査をしな
身体と衣服の汚染の検査をしな
ければならない
ければならない
第32条(持出し物品の汚染検査)
第32条(持出し物品の汚染検査)
物品を持ち出す際に汚染の検査
物品を持ち出す際に汚染の検査
をしなければならない
をしなければならない
第41条の2(喫煙等の禁止)
第41条の2(喫煙等の禁止)
放射性物質を吸入摂取又は経口
放射性物質を吸入摂取又は経口
摂取するおそれのある作業場で
摂取するおそれのある作業場で
の喫煙や飲食をしてはならない
の喫煙や飲食をしてはならない
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1.8.1 保安規定(原子炉施設)
原子炉等規制法
原子炉等規制法 第56条の3
第56条の3
使用者は、政令で定める核燃料物質を使用する場合においては、文部科学省令で定めるとこ
ろにより、保安規定を定め、使用開始前に、文部科学大臣の認可を受けなければならない。
保安規定に掲げる事項(試験研究の用に供する原子炉等の設置、運転等に関する規則
保安規定に掲げる事項(試験研究の用に供する原子炉等の設置、運転等に関する規則 第15条)
第15条)
1.原子炉施設等の運転及び管理を行う者の職務及び組織に関すること
2.原子炉施設の運転及び管理を行う者その他原子炉を利用する者に対す
る保安教育に関することであって次に掲げるもの
イ 保安教育の実施方針(実施計画の策定を含む)に関すること
ロ 保安教育の内容に関することであって次に掲げるもの
(1)関係法令及び保安規定に関すること
(2)原子炉施設の構造、性能及び運転に関すること
(3)放射線管理に関すること
(4)核燃料物質等の取扱いに関すること
(5)非常の場合採るべき処置に関すること
ハ その他原子炉施設等に係る保安教育に関し必要な事項
3.原子炉施設の運転に関すること
4.原子炉施設の運転及び利用の安全審査に関すること
5.原子炉(臨界実験装置に限る)内における燃料体、減速材、反射材等の
配置及び配置替えの手続きに関すること
6.管理区域、保全区域及び周辺監視区域の設定並びにこれらの区域に係
る立入制限等に関すること
7.排気監視設備及び排水監視設備に関すること
8.線量、線量当量、放射性物質の濃度及び汚染された物の表面の放射性
物質の密度の監視並びに汚染の除去に関すること
9.放射線測定器の管理に関すること
10.原子炉施設の巡視及び点検並びにこれらに伴なう処置に関すること
11.原子炉施設の施設定期自主検査に関すること(保安上特に管理を必
要とする設備の特定を含む)
12.放射線の利用に係る保安に関すること
13.核燃料物質の受払い、運搬、貯蔵その他の取扱いに関すること
14.放射性廃棄物の廃棄に関すること
15.非常の場合に採るべき処置に関すること
16.原子炉施設に係る保安(保安規定の遵守状況を含む)に関する記録
に関すること
17.原子炉施設の定期的な評価に関すること
18.品質保証(保安のために必要な措置を体系的に実施することにより、
原子力の安全を確保することをいう。)に関することであって次に掲げ
るもの
イ 品質保証計画の策定に関すること
ロ 品質保証活動を行う者の職務及び組織に関すること
ハ 品質保証計画に基づく品質保証活動の実施(保安に関し必要な
個々の事項の計画、実施、評価及び継続的な改善を含む。)、評価
(監査を含む)
19.その他原子炉施設に係る保安に関し必要な事項
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1.8.2 保安規定(核燃料物質使用施設等)
原子炉等規制法
原子炉等規制法 第56条の3
第56条の3
使用者は、政令で定める核燃料物質を使用する場合においては、文部科学省令で定めるとこ
ろにより、保安規定を定め、使用開始前に、文部科学大臣の認可を受けなければならない。
保安規定に掲げる事項(核燃料物質の使用等に関する規則
保安規定に掲げる事項(核燃料物質の使用等に関する規則 第2条の12)
第2条の12)
1.使用施設等の管理を行う者の職務及び組織に関すること
2.放射線業務従事者に対する保安教育に関することであって次に掲げるも
の
イ 保安教育の実施方針(実施計画の策定を含む)
ロ 保安教育の内容
(1)関係法令及び保安規定に関すること
(2)使用施設等の構造、性能及び操作に関すること
(3)放射線管理に関すること
(4)核燃料物質等の取扱いに関すること
(5)非常の場合採るべき処置に関すること
ハ その他使用施設等に係る保安教育に関し必要な事項
3.災害の防止上特に管理を必要とする機器の操作に関すること
4.管理区域及び周辺監視区域の設定並びにこれらの区域に係る立入制限
等に関すること
5.線量、線量当量、放射性物質の濃度及び汚染された物の表面の放射性
物質の密度の監視並びに汚染の除去に関すること
6.排気監視設備及び排水監視設備に関すること
7.放射線測定器の管理及び放射線の測定の方法に関すること
8.使用施設等の巡視及び点検並びにこれらに伴なう処置に関すること
9.核燃料物質の受渡し、運搬、貯蔵その他の取扱いに関すること
10.放射性廃棄物の廃棄に関すること
11.非常の場合に採るべき処置に関すること
12.使用施設等に係る保安(保安規定の遵守状況を含む)に関する記録
に関すること
13.使用施設等の定期的な自主検査に関することであって次に掲げるも
の
イ 使用施設等の保安上特に管理を必要とする設備の性能が維持され
ているかどうかについての検査に関すること
ロ 使用施設等の保安のために直接関連を有する計器及び放射線測
定器の校正に関すること
14.品質保証(保安のために必要な措置を体系的に実施することにより、
原子力の安全を確保することをいう)に関することであって次に掲げ
るもの
イ 品質保証計画の策定に関すること
ロ 品質保証計画を行う者の職務及び組織に関すること
ハ 品質保証計画に基づく品質保証活動の実施(保安に関し必要な
個々の事項の計画、実施、評価及び継続的な改善を含む)、評価(監
査を含む)及び品質保証計画の継続的な改善に関すること
ニ 品質保証活動に必要な文書及び記録に関すること
15.その他使用施設等に係る保安に関し必要な事項
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1.8.3 原子力科学研究所少量核燃料物質使用施設等保安規則
目的
目的
原子力科学研究所核燃料物質使用施設等保安規定に掲げる施設以外の核燃料物質の使用施設、貯
蔵施設及び廃棄施設に係る保安について定め、もってこれらに係る災害を防止することを目的とする。
第1章 通則(第1条~第6条)
第2章 組織及び職務
第1節 組織(第7条~第11条)
第2節 職務
第1款 総括(第12条)
第2款 統括及び放射線管理に係る総括(第13条・第14条)
第3款 使用、運転及び保守(第15条)
第4款 核燃料物質の管理(第16条)
第5款 放射線管理(第17条~第24条)
第6款 放射性廃棄物の管理(第25条~第27条)
第7款 核燃料物質等の運搬(第28条~第30条)
第8款 核燃料取扱主任者の職務(第31条)
第9款 委員会の職務(第32条)
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第3章 核燃料物質等の運搬(第33条)
第4章 保安教育及び保安訓練(第34条)
第5章 非常の場合に採るべき措置(第35条)
第6章 研究所に所属しない職員等及び職員等以外の者に対する保安措置及び放射線管理(第36条)
第7章 放射線管理(第37条・第38条)
第8章 使用管理
第1節 使用管理(第39条)
第2節 保守管理(第40条・第41条)
第9章 核燃料物質の管理(第42条・第43条)
第10章 記録及び報告(第44条・第45条)
19 / 74
1.9 保安管理体制(例.少量核燃料物質使用施設等)
原子力科学研究所長
原子力科学研究所長
核燃料取扱主任者
核燃料取扱主任者
使用施設等安全審査委員会
使用施設等安全審査委員会
臨
臨
界
界
技
技
術
術
第
第
22
課
課
長
長
臨
臨
界
界
技
技
術
術
第
第
11
課
課
長
長
ホ
ホ
ッ
ッ
トト
材
材
料
料
試
試
験
験
課
課
長
長
未
未
照
照
射
射
燃
燃
料
料
管
管
理
理
課
課
長
長
燃
燃
料
料
・・
RR
II
管
管
理
理
課
課
長
長
加
加
速
速
器
器
管
管
理
理
課
課
長
長
研
研
究
究
炉
炉
技
技
術
術
課
課
長
長
研
研
究
究
炉
炉
利
利
用
用
課
課
長
長
工
工
務
務
第
第
33
課
課
長
長
工
工
務
務
第
第
11
課
課
長
長
工
工
務
務
技
技
術
術
課
課
長
長
放
放
射
射
線
線
計
計
測
測
技
技
術
術
課
課
長
長
線
線
量
量
管
管
理
理
課
課
長
長
放
放
射
射
線
線
管
管
理
理
第
第
22
課
課
長
長
保安
安管
管理
理部
部長
長
保
放
放
射
射
性
性
廃
廃
棄
棄
物
物
管
管
理
理
第
第
11
課
課
長
長
放射
射線
線管
管理
理部
部長
長
放
放
放
射
射
性
性
廃
廃
棄
棄
物
物
管
管
理
理
第
第
22
課
課
長
長
工務
務技
技術
術部
部長
長
工
高
高
減
減
容
容
処
処
理
理
技
技
術
術
課
課
長
長
研究
究炉
炉加
加速
速器
器管
管理
理部
部長
長
研
廃
廃
止
止
措
措
置
置
課
課
長
長
ホッ
ット
ト試
試験
験施
施設
設管
管理
理部
部長
長
ホ
トト
リリ
チ
チ
ウ
ウ
ム
ム
プ
プ
ロ
ロ
セ
セ
ス
ス
研
研
究
究
棟
棟
管
管
理
理
責
責
任
任
者
者
安全
全試
試験
験施
施設
設管
管理
理部
部長
長
安
FF
NN
SS
棟
棟
管
管
理
理
責
責
任
任
者
者
バッ
ック
クエ
エン
ンド
ド技
技術
術部
部長
長
バ
駐在
在組
組織
織施
施設
設管
管理
理総
総括
括者
者
駐
原子
子力
力研
研修
修セ
セン
ンタ
ター
ー長
長
原
原
原
子
子
炉
炉
特
特
研
研
管
管
理
理
責
責
任
任
者
者
放
放
射
射
線
線
管
管
理
理
第
第
11
課
課
長
長
環
環
境
境
放
放
射
射
線
線
管
管
理
理
課
課
長
長
危
危
機
機
管
管
理
理
課
課
長
長
施
施
設
設
安
安
全
全
課
課
長
長
安
安
全
全
対
対
策
策
課
課
長
長
20 / 74
1.10.1 保安教育(原子炉施設、核燃料物質使用施設等)
放射線業務
従事者以外
放射線業務従事者
保安教育訓練項目
教育内容
職員等以外
職員等
関係法令及び保安規定に関すること
(1時間以上)
原子炉施設又は使用施設等の構造、性
能及び運転に関すること※1
(2.5時間以上)
長期
短期
職員等
職員等
以外
原子力関連の法令概要に関すること
△
△
△
△
○
本規定の保安管理体制、品質保証、保安教育、記録及び報告等に関すること
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
○
○
○
◎
◎
◎
×
×
放射線等の測定、監視及び防護に関すること
△
△
△
×
×
一般物品の搬出管理に関すること
◎
◎
◎
×
×
◎
◎
○
×
×
◎
◎
◎
◎
○
主要な設備の構造、機能、性能に関すること
主要な設備の運転管理及び保守管理に関すること
異常時の措置に関すること
管理区域等の区分及び入退域管理に関すること
放射線管理に関すること※2
(2時間以上)
核燃料物質及び核燃料物質によって汚
染された物の取扱いに関すること※2
(1.5時間以上)
非常の場合に採るべき処置に関するこ
と
(1時間以上)
管理区域内の遵守事項等に関すること
核燃料物質等の種類及び性状、並びに臨界管理等に関すること
核燃料物質等の運搬、貯蔵、廃棄の作業方法等に関すること
非常の場合に講ずべき処置の概要に関すること
各項目は毎年度1回以上実施する。ただし、変更・改正があったときは、その都度、変更・改正内容に応じた時間教育する
◎:全員が教育の対象
×:対象外
○:業務に関連する者が対象(業務に応じ省略可)
※1:廃止措置期間中の原子炉施設については廃止措置に関すること
△:教育訓練免除基準該当者は免除できる項目
※2:放射線業務従事者の指定教育受講状況に応じて省略ができる項目
21 / 74
1.10.2 保安教育(放射線施設)
保安教育訓練項目
時間
放射線の人体に与える影響に関すること
30分
放射性同位元素等又は放射線発生装置の安全取扱いに関すること
4時間
放射性同位元素等及び放射線発生装置による放射線障害の防止法令
に関すること
1時間
放射線障害予防規定に関すること
30分
異常時の措置に関すること
30分
その他必要と認める事項
(1)関係法令及び保安規定に関すること
(2)当該施設の構造操作等に関すること
必要な時間数
(3)当該施設に係る放射線安全に関すること
(4)その他施設に係る保安に関すること
22 / 74
1.11 記録・保存・報告
記録及び保存
記録及び保存
施設管理者又は課長等は所掌する施設或いは業務従事者に関する記録を作成し、所
定の期間保存しなければならない。
報告
報告
原子炉設置者、核燃料使用者等は法令報告事象等が発生した場合は、その旨
を直ちに、その状況及びそれに対処する処置を主務大臣に報告することとして
いる。
23 / 74
2.施設の構造、性能及び運転
A02-1,A12-1,I12-3,I13-3: 主要な設備の構造、機能、性能に関すること
A02-2,A12-2: 主要な設備の運転管理及び保守管理に関すること
A02-3,A12-3,B05: 異常時の措置に関すること
24 / 74
2.1 JRR-3(原子炉施設・核燃料物質使用施設等)
JRR-3は熱出力20MW、軽水減速冷却、重水反射体を用いたプール型研究用原子炉である。
炉心部には垂直・水平方向から9本ずつの垂直実験孔(HR-1、HR-2、PN-1、PN-2、PN-3、
SI、DR、SH、CNS)、水平実験孔(1G~6G、7R、8T、9C)が設けられている。
炉心部の垂直照射孔として合計9本(VT-1、RG-1~4、BR-1~4)が設けられている。
JAEAホームページ参照
25 / 74
2.2 JRR-4(原子炉施設・核燃料物質使用施設等)
JRR-4は20%濃縮ウラン板状燃料(ETR型)を用いた軽水減速冷却のスイミングプール型熱
中性子炉で、原子炉の最大熱出力は3500kWである。
原子炉炉心部は炉心ブリッジから吊り下げられた炉心タンク内に収められ、水深9.8mの
プール中央に置かれている。
JRR-4には照射設備として、簡易照射筒設備(Tパイプ、Sパイプ、Dパイプ、Nパイプ)、気
送管照射設備がある。また、実験設備としてはプール設備、中性子ビーム設備がある。
JAEAホームページ参照
26 / 74
2.3 JRR-3実験利用棟第2棟(主要な設備の構造、機能、性能)
JRR-3実験利用棟第2棟(少量核燃料物質使用施設、放射線施
設)は、研究炉を利用した分析化学研究及び研究炉の運転管理
に関わる放射化学分析等を行うため、昭和63年に建設された。
地上1階、地下1階、延べ床面積5132m2の建家である。地上1階
部分は放射性物質及び核燃料物質の取扱が可能なホット実験
室で、地下1階部分が機械室となっており、ホット実験室の空調を
行うための排気設備及び放射性液体廃棄物のための排水設備
が整備されている。
27 / 74
2.4 JRR-3実験利用棟第2棟(主要な設備の運転管理)
JRR-3実験利用棟第2棟の使用、運転及び保守は下表に掲げ
る者が行う。
施設等
本体施設
施設管理者
燃料・RI施設管理課長
特定施設
(気体廃棄設備、液体廃棄設備及び
工務第1課長
電源設備等のうち、工務第1課長及び
工務第3課長の所掌に係る設備)
放射線管理施設
放射線管理第1課長
28 / 74
2.5 JRR-3実験利用棟第2棟(主要な設備の保守管理)
巡視及び点検
巡視及び点検
自主検査
自主検査
施設管理者は、毎月1回以上巡視し、点検しな
ければならない
施設管理者は、毎年1回以上自主検査を行わな
ければならない
設備等
気体廃棄設備
液体廃棄設備
点検項目
1)作動確認
2)フィルタの差圧確認
1)漏えいの有無
2)水位計等監視設備の作動環境
設備等
気体廃棄設備
液体廃棄設備
点検項目
1)排風量の測定
2)フィルタの捕集効率の測定
1)廃液タンク及びピットの水張り試験
2)配管及びバルブ等の目視検査
電源設備
作動確認
電源設備
作動試験
警報設備
作動確認
警報設備
作動試験
負圧監視装置
作動確認
負圧監視装置
作動試験
インターロック装置
作動確認
インターロック装置
作動試験
自動表示装置
作動確認
自動表示装置
作動試験
グローブボックス
負圧の確認
グローブボックス
気密試験
フード
空気の流れの確認
フード
フード表面の風速測定
29 / 74
2.6 異常時の措置に関すること
原子力科学研究所の敷地内で、火災、人身事故、放射線事故等の異常事態が発生し、
又は発生するおそれのあるときは臨機の措置を講じなければならない。
1.安全保持
人命及び身体の安全を第一とし、物質損耗への配慮は第二とする。
2.通報
火災及び人身事故の発見者は、付近に居る者に知らせるとともに、直ちに119番に通報後、非常用電話
に通報する。
放射線事故等の発見者は、直ちに非常用電話に通報する。
尚、内線電話がない場合は、中央警備室へ直ちに通報する。
3.拡大防止
人身事故の場合には救助に努める。放射線事故の場合には、大きな危険のない範囲内で汚染の拡大を
最小限にくい止める。火災の場合は初期消火と延焼防止に努める。
4.過大評価
事故の危険性は過大評価することがあっても、過小に評価することがないようにする。
30 / 74
事故の通報要領
異常を発見した場合は、次の要領で的確迅速に通報する
イ.いつ
ロ.どこで
ハ.どんな事故か
放射線事故か
火災か
人身事故か
どんな故障か
ニ.その内容は
発生状況
拡大性の有無
死傷者の有無
ホ.通報者の所属、氏名
ヘ.今後の連絡先(電話番号など)
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3.放射線管理
A03-1,A13-1: 管理区域等の区分及び入退域管理に関すること
A03-2,A13-2: 管理区域内の遵守事項等に関すること
A03-3,A13-3: 放射線等の測定、監視及び防護に関すること
A03-4,A13-4: 一般物品の搬出管理に関すること
B01,I12-4,I13-4: 放射線の人体に与える影響に関すること
32 / 74
3.1 管理区域等の区分
区分
摘要
第1種管理区域
空気中の放射性物質濃度、又は表面密度が科学技術庁告示に規定する管理区域に
係る値を超え、又は超えるおそれのある区域
第1種管理区域低レベル区域
第1種管理区域のうちで、表面密度を下表に定める値以下に維持する必要のある区域
であって、かつ、空気汚染の発生のおそれのない区域
第2種管理区域
密封放射性物質又はエックス線装置等を取扱う区域で、外部放射線のみが対象となり、
実効線量が3月間につき1.3mSvを超え、又は超えるおそれのある区域
警戒区域
管理区域周辺の警戒を要する区域であって、実効線量が1週間につき20μSvを超え、
又は超えるおそれのある区域
保全区域
原子炉施設の保全のため、特に管理を必要とする場所であって、管理区域以外の区域
埋設保全区域
廃棄物埋設地の保全のため、特に管理を必要とする場所であって、管理区域以外の区
域
周辺監視区域
管理区域及び保全区域の周辺であって、この外側のいかなる場所でも、実効線量は1
年間につき1mSv、皮膚及び眼の水晶体の等価線量は、それぞれ1年間につき50mSv及
び15mSvを超えるおそれのない区域
廃棄施設
気体廃棄設備(排気設備)及び液体廃棄設備(排水設備)並びにそれらを収容している
建物及び区域等で、特に指定した施設
α線を放出する放射性物質
α線を放出しない放射性物質
Th,U等以外
Th,U等
3H以外
3H
0.04 Bq/cm2
0.4 Bq/cm2
0.4 Bq/cm2
4 Bq/cm2
33 / 74
3.2 管理区域の入退域の管理
管理区域出入口の見やすい場所に次の設備を設置する。
第1種管理区域
第1種管理区域
イ.
個人線量計置場
ロ. サーベイメータ置場
ハ. 放射線管理データ及び注意事項の掲示板
ニ. 境界バリア
ホ. 更衣設備
ヘ. 防護器材置場
ト.
汚染検査置場
①ハンドフットクロスモニタ又は表面汚染検査用サーベイメータ
②手洗設備及びシャワー等
③除染キット
第2種管理区域
第2種管理区域
第1種管理区域と同様の設備を設置する。ただし、ニ、ホ、へ、トは省略。
第1種管理区域と同様の設備を設置する。ただし、ニ、ホ、へ、トは省略。
34 / 74
3.3 管理区域等の遵守事項等~その1~
一般的注意事項
一般的注意事項
・
線量当量率を低減させるとともに、表面汚染及び空気汚染が発生しないように努める。
・
被ばく管理上注意喚起が必要と考えられる箇所については、表面等の線量当量率を表示する。
・
作業室、実験台等は整理整頓して放射性汚染などを起こさないように注意する。
・
放射性物質を取り扱った装置及び器具等は、使用しない物と区別して保管する。
・
放射性物質は定められた場所に保管し、標識を用いて明確に表示する。
管理区域の入室時に関する注意事項
管理区域の入室時に関する注意事項
・
ガラスバッジ、ポケット線量計、リングバッジ等の個人線量計を着用する。ガラスバッジは、男子は胸部、女子は
腹部に着用する。
・
第1種管理区域及び低レベル区域に立ち入るときは、個人線量計のほかRI作業靴、黄色実験衣等を着用する。
・
所定の出入口から入室する。
・
管理区域には必要のない物は持ち込まない。
・
作業時間を調整するなどして被ばく低減に心掛ける。
管理区域の退室時に関する注意事項
管理区域の退室時に関する注意事項
・
手を洗い、ハンドフットクロスモニタ等により、手足及び衣類の表面汚染検査を行う。
・
着用した保護衣及び保護靴を脱ぎ、所定の場所に戻す。
35 / 74
管理区域等の遵守事項等~その2~
放射線作業に関する注意事項
放射線作業に関する注意事項
(1)
表面汚染の防止
・
汚染のおそれのある作業は、作業台、床、壁その他の表面をビニールシートなどで覆ってから行う。
・
照射キャプセル等の開封は、原則としてフード内のバット上で行う。必要に応じて吸水紙を敷くこと。
・
低レベル区域及び第2種管理区域では、非密封状態の放射性物質を取り扱わない。
・
放射性物質を取り扱ったゴム手袋等を着用したまま、照明スイッチや水道の栓、電話等に触れてはいけない。
(2)
外部被ばくの防護
・
不必要に線源に接近しないようにし、線源を扱う場合はトング、ピンセット等の遠隔操作器具を使用して、直接
手で持たないようにする(距離制限)。
・
鉛ブロック等で充分な遮蔽を行う(遮蔽設置)。
・
作業手順を計画し、作業時間を短縮する(時間制限)。
・
使用しない線源は遮蔽容器等に収納し、不要の被ばくを防止する。
(3)
内部被ばくの防護
・
管理区域及び廃棄施設内では飲食喫煙をしない。
・
管理区域ではピペット、ガラス管、ゴム管等の器具を口にあてない。
・
作業内容に応じて半面マスクや特殊作業衣(つなぎ服)等を着用する。
・
切傷及び火傷その他皮膚の損傷等があるときは、治癒するまで原則として非密封線源を取り扱わない。
36 / 74
3.4 一般物品の搬出管理
第1種管理区域及び低レベル区域から物品を持ち出すときは、表面
密度が下表の値を超えていないことを確認後、区域放射線管理係に
連絡し確認を受けること。
α線を放出する放射性物質
α線を放出しない放射性物質
Th,U等以外
Th,U等
3H以外
3H
0.04 Bq/cm2
0.4 Bq/cm2
0.4 Bq/cm2
4 Bq/cm2
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3.5 放射線と放射能
放射線とは
放射線とは
放射線とは、電磁波又は粒子線のうち、直接又は間接に空気を電離する能力をもつもの。
放射線とは、電磁波又は粒子線のうち、直接又は間接に空気を電離する能力をもつもの。
主なものとして、α線、β線、中性子線(粒子線)、X線、γ線(電磁波)がある。
主なものとして、α線、β線、中性子線(粒子線)、X線、γ線(電磁波)がある。
放射能とは
放射能とは
放射能には、
放射能には、
①原子核が自発的に放射性壊変して、α線、β線、γ線などを放出する性質
①原子核が自発的に放射性壊変して、α線、β線、γ線などを放出する性質
②原子核の単位時間当たりの壊変数(すなわち放射能の強さ)
②原子核の単位時間当たりの壊変数(すなわち放射能の強さ)
という意味がある。
という意味がある。
38 / 74
3.6 放射線の種類
α線
α線
陽子2個と中性子2個からなる、ヘリウム原子核と同じ構造を持つ粒子。+2価の電荷をもち、電離作
陽子2個と中性子2個からなる、ヘリウム原子核と同じ構造を持つ粒子。+2価の電荷をもち、電離作
用が強い。
用が強い。
透過力は弱く、紙一枚でも遮ることができる。
透過力は弱く、紙一枚でも遮ることができる。
β線
β線
-
+
-
β壊変により放出される電子(β
β壊変により放出される電子(β-線)や陽電子(β
線)や陽電子(β+線)の流れ。普通β線という場合はβ
線)の流れ。普通β線という場合はβ-を示す。
を示す。
透過力は比較的弱く、アルミニウム板や薄い金属板、厚いプラスチック板で遮ることができる。
透過力は比較的弱く、アルミニウム板や薄い金属板、厚いプラスチック板で遮ることができる。
γ線
γ線
励起状態にある原子核が、より安定した状態に遷移するときに放出する電磁波。
励起状態にある原子核が、より安定した状態に遷移するときに放出する電磁波。
γ線は電磁波の一種で、透過力は強く、鉛やコンクリートなどで遮蔽する。
γ線は電磁波の一種で、透過力は強く、鉛やコンクリートなどで遮蔽する。
X線
X線
電磁波の一種で高速の電子を金属に衝突させ、発生させる。
電磁波の一種で高速の電子を金属に衝突させ、発生させる。
γ線と同様に透過力が強いため、鉛で遮蔽する。
γ線と同様に透過力が強いため、鉛で遮蔽する。
中性子線
中性子線
中性子の流れで、電荷を持たない。
中性子の流れで、電荷を持たない。
透過力が非常に強く、水やパラフィン、厚いコンクリートなどで遮蔽する。
透過力が非常に強く、水やパラフィン、厚いコンクリートなどで遮蔽する。
39 / 74
3.7 放射線の透過力
種類
透過力
α線
非常に小さい。紙一枚で止まる。
β線
小さい。アルミニウム板、プラスチックで止まる。
γ線
大きい。鉛やコンクリートなど密度の高い物質で止まる。
中性子線
大きい。水やコンクリートで止まる。
40 / 74
3.8 放射線の単位
ベクレル[Bq]
ベクレル[Bq]
放射能の量の単位。1Bqは1秒間に1個の原子が崩壊することを意味する。以前はキュリー(Ci)とい
放射能の量の単位。1Bqは1秒間に1個の原子が崩壊することを意味する。以前はキュリー(Ci)とい
う単位が使用されていた。
う単位が使用されていた。
1Ci=37GBq
1Ci=37GBq
電子ボルト[eV]
電子ボルト[eV]
エネルギーの単位。電荷が1の電子等が1Vの間を移動したときに得るエネルギー。
エネルギーの単位。電荷が1の電子等が1Vの間を移動したときに得るエネルギー。
-19
1eV=1.6×10
1eV=1.6×10-19JJ
グレイ[Gy]
グレイ[Gy]
吸収線量の単位。吸収線量はある物質が1kg当たりに放射線から与えられたエネルギーの量を表す。
吸収線量の単位。吸収線量はある物質が1kg当たりに放射線から与えられたエネルギーの量を表す。
1Gy=1J/kg
1Gy=1J/kg
シーベルト[Sv]
シーベルト[Sv]
線量当量の単位。線量当量は放射線の種類による生物に対する影響の違いを加味して、同じ数値
線量当量の単位。線量当量は放射線の種類による生物に対する影響の違いを加味して、同じ数値
なら同じ生物学的影響を与えるようにしたものである。
なら同じ生物学的影響を与えるようにしたものである。
線量当量[Sv]=吸収線量[Gy]×線質係数
線量当量[Sv]=吸収線量[Gy]×線質係数
線質係数は放射線の種類による生物学的な影響の強さを表す。
線質係数は放射線の種類による生物学的な影響の強さを表す。
41 / 74
3.9 個人線量計の種類と測定範囲
フィルムバッジ
TLD
蛍光ガラス線量計、
OSL線量計
電子式線量計
測定範囲
γ(X)線
約100μSv~1Sv
数μSv~10Sv
数μSv~10Sv
約1μSv~1Sv
再測定・記録の
保存
可
不可
可
(不可)
エネルギー特性
-20~+50%
(0.02~2MeV)
約±15%
(0.02~2MeV)
±10~15%
(0.02~2MeV)
±10~20%
感度の安定性
約10%
約10%
約2%
約10%
フェーディング
約20%
約3%
なし
なし
測定の自動化
困難
可能
可能
可能
42 / 74
3.10 放射線検出器
検出器
測定対象
β,X,γ線
電離箱
比例計数管
メタン等: α,β,低エネルギーX線
BF3,3He: 中性子線
GM計数管
β,X,γ線
シンチレーション検出器
NaI: X,γ線
ZnS: α線
主なγ(X)線用サーベーイメータの種類と測定範囲
主なγ(X)線用サーベーイメータの種類と測定範囲
検出器
感度
エネルギー
依存性
測定範囲
(線量当量率)
電離箱式
低
小
1μSv/h~100mSv/h
GM管式
中
中
0.3~300μSv/h
シンチレーション式
高
大
0.1~30μSv/h
43 / 74
線量当量率測定用サーベイメータ
電離箱式
シンチレーション式
GM管式
44 / 74
表面汚染検査用サーベイメータ
α線用シンチレーションサーベイメータ
β・γ線用GMサーベイメータ
45 / 74
3.11 放射線等の防護
46 / 74
3.12 放射線モニタリング
放射線を定期的に又は連続的に測定監視することを放射線モニタリングという。
放射線業務従事者や施設周辺住民を放射線障害から守るために、原子力発電所等では管
理区域内の線量当量率や汚染の状況、施設から放出される気体状や液体状の放射性物質
の濃度などを測定し、放射線防護基準と比較して安全な状況が維持されていることを確認し
ている。
放射線モニタリング
放射線モニタリング
管理区域の
管理区域の
設定
設定
空間線量率
空間線量率
の設定
の設定
空気中の放射性
空気中の放射性
核種の濃度測定
核種の濃度測定
表面汚染の
表面汚染の
測定
測定
水中の放射性
水中の放射性
核種の濃度測定
核種の濃度測定
47 / 74
放射線モニタリング(実際のマップ)
48 / 74
3.13 放射線の人体に与える影響
自然放射線と人工放射線
自然放射線と人工放射線
自然放射線は、宇宙線、大地からの放射線、体
内の放射能及びラドンガスである。宇宙線は空気
により遮蔽されているため、高度の高い地域で寄
与は大きくなる。大地からの放射線はその大地に
含まれる放射能の量によって異なる。世界の平均
では2.4mSvである。
線源
外部被ばく[mSv]
内部被ばく[mSv]
合計[mSv]
宇宙線電離成分
0.30
―
0.30
中性子成分
0.055
―
0.055
宇宙線生成核種
―
0.015
0.015
K
0.15
0.18
0.33
Rb
―
0.006
0.006
U系列
0.1
1.24
1.34
Th系列
0.16
0.18
0.34
合計
0.8
1.6
2.4
原子放射性核種
40
87
238
232
人工放射線は、工業や医療を目的に、人工的
に作られた放射線である。身近な例として、胸部
レントゲン写真である。
49 / 74
世界各地の大地から受ける年間自然放射線量
世界各地の大地から受ける年間自然放射線量 [単位:mSv]
[単位:mSv]
50 / 74
日本各地の大地から受ける年間自然放射線量
日本各地の大地から受ける年間自然放射線量
51 / 74
3.14 放射線の人体への影響
身体的影響
身体的影響
急性障害
急性障害
脱毛・不妊など
脱毛・不妊など
胎児発生の影響
胎児発生の影響
精神遅滞
精神遅滞
確定的影響
確定的影響
白内障
白内障
晩発障害
晩発障害
ガン・白血病
ガン・白血病
確率的影響
確率的影響
遺伝的影響
遺伝的影響
遺伝的障害(先天異常)
遺伝的障害(先天異常)
被ばく線量と人体に現れる影響の発生頻度の関係から、放射線影響は確率的影響と確定的影響
に分類される。
放射線影響が誰に現れるかの観点から、放射線影響は身体的影響と遺伝的影響に分類される。
52 / 74
3.15 確率的影響と確定的影響
確定的影響
確定的影響
・ しきい線量(影響が現れる最低の線量)が存在する。
しきい線量以下の被ばく線量なら障害は起きない。
・ 線量の増大とともに影響の重篤度が増大する。
白内障、脱毛、不妊など確定的影響以外のすべての影響
確率的影響
確率的影響
・
しきい線量が存在しない。
・
線量の増大とともに影響の発生確率が高くなる。
発がん、遺伝的影響
53 / 74
3.16 身体的影響と遺伝的影響
身体的影響
身体的影響
放射線影響が被ばくした本人に現れるもの。
遺伝的影響
遺伝的影響
放射線影響が被ばくした本人ではなく、子孫に伝えられて現れるもの。
急性障害と晩発障害
急性障害と晩発障害
急性障害 ・・・ 被ばく後数週間以内に現れるもの。
ex.)白血球の減少、脱毛
晩発障害 ・・・ 被ばく後何ヶ月あるいは何年も経過した後にはじめて現れるもの。
ex.)ガン(悪性腫瘍)、白内障、再生不良性貧血
54 / 74
3.17 急性障害(被ばく線量とその症状)
全身あるいは身体のかなり広い範囲が大量の放射線を短時間に被ばくした場合に生じる一連の
症状を急性放射線症という。
被ばく線量
症状
~0.25Gy
臨床的症状なし
0.25~5Gy
リンパ球の一時的減少
1Gy
放射線宿酔(吐き気、嘔吐、食欲不
振、全身倦怠感、めまいなど)
1.5Gy
死亡のしきい線量。
造血臓器の症状(白血球の減少に
よる抵抗力の低下と血小板の減少
による出血性傾向の増大)が主で
死亡する(骨髄死)。
3~5Gy
被ばくした人の半数が死亡(半致死
線量)。
7~10Gy
被ばくした人の全数が死亡(全致死
線量)
55 / 74
3.18 等価線量と実効線量
等価線量
等価線量
同一吸収線量であっても、放射線の種類やエネルギーによって人の組織や臓器に対する放射線影響が異なる。照射
により人体組織に与えられる影響を同一尺度で計量するため、組織・臓器にわたって平均し、線質について荷重した吸
収線量を等価線量(equivalent dose)という。単位は、Sv(シーベルト)である。
H T = ∑ R wR ⋅DTR
HT
: 等価線量
wR
: 放射線荷重係数(radiation weighting factor)
DTR
: 組織・臓器Tについて平均された放射線Rに起因する吸収線量
放射線の種類・エネルギーの範囲
放射線荷重係数wR
光子(X線・γ線):全てのエネルギー
1
電子(β線)及びミュー粒子:全てのエネルギー
1
中性子:10keV以下
5
10keV~100keV
10
100keV~2MeV
20
2MeV~20MeV
10
20MeV以上
5
反跳陽子以外の陽子:2MeV以上
5
アルファ粒子(α線)
20
核分裂片
20
重原子核
20
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実効線量
実効線量
放射線による身体への影響、すなわちがんや遺伝的影響の起こりやすさは組織・臓器ごとに異なる。組織ごとの影響
の起こりやすさを考慮して、全身が均等に被ばくした場合と同一尺度で被ばくの影響を表す量を実効線量(effective
dose)という。実効線量は、ある組織・臓器の等価線量に、臓器ごとの影響に対する放射線感受性の程度を考慮した
組織荷重係数をかけて、各組織・臓器について足し合わせた等価線量の和である。単位はSv(シーベルト)である。
ET = ∑T wT ⋅H T
ET
: 実効線量
wT
: 組織・臓器Tの組織荷重係数(tissue weighting factor)
HT
: 組織・臓器Tの等価線量
器官・組織
組織荷重係数wT
生殖腺
0.20
骨髄(赤色)
0.12
結腸
0.12
肺
0.12
胃
0.12
膀胱
0.05
乳房
0.05
肝臓
0.05
食道
0.05
甲状腺
0.05
皮膚
0.01
骨表面
0.01
残りの器官・組織
0.05
合計(全身)
1.00
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3.19 線量限度
職業被ばく
公衆被ばく
100mSv / 5年
ただし、いかなる1年も50mSv
を超えないこと
1mSv / 年
眼の水晶体
150mSv / 年
15mSv / 年
皮膚
500mSv / 年
50mSv / 年
手及び足
500mSv / 年
―
実効線量
等価線量
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4.核燃料物質等の取り扱い
A04-1,A14-1,I12-1,I13-1: 核燃料物質等の種類及び性状、並びに臨界管理等に関すること
A04-2,A14-2, I12-2, I13-2: 核燃料物質等の運搬、貯蔵、廃棄の作業方法等に関すること
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4.1 核燃料物質等の種類及び性状
核燃料物質及び核原料物質は、「核燃料物質、核原料物質、原子炉及び放射線の定義に関
する政令」により、次のように定義されている。
核燃料物質
核燃料物質
・ウラン235のウラン238に対する比率が天然の混合率であるウラン及びその化合物
・ウラン235のウラン238に対する比率が天然の混合率に達しないウラン及びその化合物
・トリウム及びその化合物
・前3号の物質の一又は二以上を含む物質で原子炉において燃料として使用できるもの
・ウラン235のウラン238に対する比率が天然の混合率をこえるウラン及びその化合物
・プルトニウム及びその化合物
・ウラン233及びその化合物
・前3号の物質の一又は二以上を含む物質
核原料物質
核原料物質
ウラン若しくはトリウム又はその化合物を含む物質で核燃料物質以外のものとする
ex.) ウラン鉱、トリウム鉱
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主要ウラン化合物の種類と化合物
金属ウラン(U)
反応性が高く、常温空気中で表面酸化を受ける。空気中で強熱すると八酸化三
ウラン(U3O8)となる。粉末状のものは空気中で自然発火し、水を分解して水素を
発生する。水、アルカリ水溶液には不溶。ほとんどの酸に溶け水素を発生する。
二酸化ウラン(UO2)
高温の空気中で加熱するとさらに酸化して八酸化三ウランになる。
硝酸ウラニル(UO2(NO3)2・6H2O)
二酸化ウランを硝酸に溶かすと生じる。淡黄色で緑色の蛍光を発する。潮解性が
あり、水、アルコール、エーテル、アセトンに溶ける。
プルトニウム
天然には産出せず、使用済燃料から抽出される。
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4.2 臨界管理
臨界
臨界
ウランなど質量数の大きい原子核は不安定で中性子との衝突により質量数の小さい核
種に分裂し、エネルギーを出す。この反応を核分裂反応という。
臨界とは、中性子によるウランやプルトニウムの核分裂反応が連鎖的、連続的に進行する
状態をいう。原子炉は臨界状態を発生させ、かつ制御している。
臨界事故は、核燃料が誤操作など何らかの原因で制御不能の状態に達する事故で、核分
裂に伴って大量の放射線が発生する。
核分裂性物質
核分裂性物質
233U, 235U, 239U, 241Puなど
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臨界の条件~その1~
臨界の条件~その1~
(1)濃縮度(235Uの重量%)
ウランの濃縮度が高くなるにつれて臨界になりやすくなる。
(2)核反応断面積
235Uと238Uの断面積は、中性子の速さによって断面積が変わる。
(3)中性子減速材
イ 核分裂後の高速中性子を減速し、熱中性子にする。
ロ 低濃縮ウランでは、減速材がなければ臨界しない。
ハ 効果的な減速材となる条件
①散乱断面積が大きい
②捕獲断面積が小さい
③1回の散乱で失うエネルギーが大きい
ニ 代表的な減速材
黒鉛、水など
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臨界の条件~その2~
臨界の条件~その2~
(4)反射材
イ 体系からの中性子の漏れを減少し、臨界になりやすくする。
ロ 効果的な反射材となる条件は、減速材と同じ。
ハ 代表的な減速材
水、コンクリート、黒鉛など
(5)形状
体系からの中性子の漏れに影響を与える
中性子の漏れやすさ
(6)化学的組成
ウランの化学的組成により、臨界のなりやすさが異なる。
64 / 74
4.3 臨界事故防止
臨界事故を防止するために、核燃料物質の質量、濃度などを制御することと、容器の容積、
形状、配置などで核分裂によって発生する中性子を逃がすことが効果のある対策となる。
質量管理
質量管理
ウランやプルトニウムの量が多くなると臨界になりやすい。このため、制限量以下になる
ウランやプルトニウムの量が多くなると臨界になりやすい。このため、制限量以下になる
ように質量を管理しなければならない(「質量管理」という)。
ように質量を管理しなければならない(「質量管理」という)。
中性子吸収物質
中性子吸収物質
ホウ素やカドミウムのような物質は熱中性子をよく捕獲する性質を持っている(熱中性
ホウ素やカドミウムのような物質は熱中性子をよく捕獲する性質を持っている(熱中性
子吸収物質という)。熱中性子吸収物質と核燃料物質を一緒にすると核分裂する割合
子吸収物質という)。熱中性子吸収物質と核燃料物質を一緒にすると核分裂する割合
が減り、臨界が起こりにくくなる。
が減り、臨界が起こりにくくなる。
臨界になりにくい容器
臨界になりにくい容器
核燃料物質を入れる容器が小さいほど、容器外へ逃げる中性子の割合が多くなるため
核燃料物質を入れる容器が小さいほど、容器外へ逃げる中性子の割合が多くなるため
臨界になりにくい。また、同じ容積の場合、容器の形状が球形よりは平板状、あるいは
臨界になりにくい。また、同じ容積の場合、容器の形状が球形よりは平板状、あるいは
直径の小さな円筒状の方が臨界になりにくくなる。
直径の小さな円筒状の方が臨界になりにくくなる。
65 / 74
4.4 放射性物質等(核燃料物質等、放射性同位元素等)の運搬
・ 核燃料物質等の運搬にあたっては、いかなる場合においても臨界に達するおそれがないよ
うに行うこと。
・ 運搬物は同一の運搬機器に発火、爆発等の危険性のある物を混載しないこと。
事業所外運搬
事業所外運搬
放射性物質等を運搬する者は、法の定める運搬物に係る技術上の基準に適合するよう措置し
放射性物質等を運搬する者は、法の定める運搬物に係る技術上の基準に適合するよう措置し
なければならない。
なければならない。
事業所内運搬
事業所内運搬
・ 私用自動車を運搬車両として用いないこと。
・ 車両への積み付けは、運搬中に運搬物が移動、転倒等をするおそれがないように行うこと。
・ 放射性同位元素等の種類、数量、性状等に応じて容器に封入する等の放射線障害防止の
ための措置を講ずること。
・ 運搬物の表面と運搬車両の両側面及び後面に、それぞれ事業所内運搬標識を付けること。
66 / 74
4.5 放射性物質等(核燃料物質等、放射性同位元素等)の貯蔵
・ 使用中のものを除き、核燃料物質等は核燃料物質貯蔵施設に、放射性同位元素等はRI
貯蔵施設に貯蔵する。
・ 放射性物質等を貯蔵するときは、外側容器に放射能標識をつけ、核種名、数量(Bq)、物
理的状態、担当者、保存責任者(区域管理者又は分任区域管理者)、貯蔵日付を明記す
る(特定核燃料物質は除く)。
・ 空気汚染を起こすおそれのあるものを貯蔵するときは、気密な構造の容器を用いる。
・ 放射性液体は、原則として容器に密封し、流出しても汚染が広がらないように受皿、吸収
材などを用いて貯蔵する。
・ 核燃料物質等を貯蔵するときは、数量の制限、空間配置の制限等を施し、臨界事故を起こ
さないようにしなければならない。
・ 放射線分解によるガス圧の上昇に十分注意する。
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4.6 放射性物質等(核燃料物質等、放射性同位元素等)の廃棄
管理区域内作業において、放射性廃棄物の発生量を
可能な限り少なくするように努めなければならない。
放射性固体廃棄物は以下のように分類する。
可燃性廃棄物(3H、14Cを含まない)
赤色カートンボックス
可燃性廃棄物(3H、14Cを含む)
緑色カートンボックス
難燃性廃棄物(3H、14Cを含まない)
白色カートンボックス
難燃性廃棄物(3H、14Cを含む)
青色カートンボックス
非金属無機廃棄物
白色ペール缶
鉄鋼廃棄物
紺色ペール缶
非鉄鋼廃棄物
緑色ペール缶
放射性固体廃棄物(A-1及びA-2区分)は、核燃料廃
棄物とRI廃棄物とに分類する必要がある。(ただし、可
燃性廃棄物及び難燃性廃棄物は対象外)。
68 / 74
5.放射性同位元素等の取り扱い
B02: 放射性同位元素又は放射線発生装置の安全取扱に関すること
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5.1 放射性同位元素
放射性同位元素とは
放射性同位元素とは
原子核の陽子の数が同じで(すなわち同一元素に属する)、質量数が異なる原子を同位元素
であるという。このうち放射能をもつ同位元素を放射性同位元素(radioisotope)と呼ぶ(放射
性核種(radionuclide)ともいう)。日本ではRIと略称するが、欧米ではRNと略称する。
放射線障害防止法では以下のように定義されている。
放射性同位元素とは32P、60Co等放射線を放出する同位元素及びその化合物並びにこれらの
含有物で政令で定めるものをいう。
非密封RIと密封RI
非密封RIと密封RI
放射性同位元素は密封されていないもの(非密封RI)と密封されたもの(密封RI)がある。
密封RIは外部被ばくの可能性しかない。これに対して、非密封RIは人体に入り、内部被ばく
の可能性がある。
体外被ばくと体内被ばく
体外被ばくと体内被ばく
体外被ばく ・・・ 体外にある線源から放射線を被ばくすること。外部被ばくともいう。
体内被ばく ・・・ 体内にある線源から放射線を被ばくすること。内部被ばくともいう。
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5.2 体外放射線に対する防護
α線は皮膚を透過できないので、外部被ばくを考えなくてもよい。
β線、X線、γ線などは体内の器官へ到達できるため、外部被ばくによる障害を考える必要が
ある。
外部被ばくによる障害は、時間、距離、遮蔽の3項目を応用し、防止する。
1.被ばく時間の短縮
被ばく線量は被ばくする時間を短縮することにより低減することができる。
線量[Sv]=線量率[Sv/h]×時間[h]
2.距離の制御
放射線源をピンセットなどで距離をおいて操作することで被ばく線量を低減することがで
きる。線量率は距離の二乗に反比例する。
線量率 ∝ 1 / 距離2
3.遮蔽
α線の遮蔽・・・手で扱うときゴム手袋を着けて遮蔽
β線の遮蔽・・・アルミニウム板やアクリル板で遮蔽
γ(X)線の遮蔽・・・鉛やコンクリートなどで遮蔽
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5.3 体内に取り込まれる放射性物質に対する防護
放射性物質の体内への侵入経路
放射性物質の体内への侵入経路
1.経口摂取
放射性物質を口から飲み込むことによって、胃腸管から吸収される経路。
2.吸入
呼吸により放射性物質が呼吸気道から侵入し、肺及び気道表面から吸入される経路。
3.経皮侵入
皮膚を通じ放射性物質が吸入される経路。皮膚に傷がある場合は侵入しやすくなる。
体内に取り込まれた放射性物質は、物理的性状あるいは化学的性状により集積する臓器が
異なる(臓器親和性という)。
ex.) 3H:全身、60Co:肝臓・脾臓、125I,131I:甲状腺
吸入に対する防護として、室内の汚染を除く、換気設備の付いたフード内で非密封RIを扱う、
マスクを用いる、などが有効。
身体の汚染を防ぐために、手袋や帽子を使用し作業着を用いることが有効。
手や腕にけがをしている場合には皮膚を通して体内被ばくに至る可能性があるので、直接放
射性物質にふれる作業は行わない。
72 / 74
6.非常の場合に採るべき処置
A05,A15: 非常の場合に講ずべき処置の概要に関すること
73 / 74
非常の場合とは
非常の場合とは
・火災等社会的影響のありうる事象
・放射線障害予防規定139条に掲げる事象
・
放射性同位元素の盗取又は所在不明が生じたとき
・
気体状の放射性同位元素等を排気設備で浄化し又は排気することによって廃棄した場合において、排気中の放射性同位元素の濃度限度又は施行規則第19
条第2号ハの線量限度(実効線量が4月1日を始期とする1年間につき1mSv)を超えたとき
・
液体状の放射性同位元素等を排水設備で浄化し又は排水することによって排水中の放射性同位元素の濃度限度又は線量限度施行規則第19条第5号ハの線
量限度(実効線量が4月1日を始期とする1年間につき1mSv)を超えたとき
・
放射性同位元素等が管理区域外で漏洩したとき
・
放射性同位元素等が管理区域内で漏洩したとき
・
施行規則第14条の7第1項第3号イ,ロの線量限度を超え、又は超えるおそれがあるとき
・
実効線量が放射線業務従事者にあっては5mSv、放射線業務従事者以外の者にあっては0.5mSvを超え、又は超えるおそれがあるとき
・
放射線業務従事者について実効線量限度及び等価線量限度を超え、又は超えるおそれのある被ばくがあったとき
・非常事態
イ
異常な空気汚染が当該汚染区域に密閉し得ず、他の区域又は建物外に拡大する事態
ロ
異常な床面(地面)汚染が当該汚染区域に固定し得ず、他の区域に短時間に拡大する事態
ハ
イ、ロ以外で、通常組織をもって防護措置を講ずることの困難な事態、又は速やかに事業所内にあるすべての者、もしくは相当数の者に報知する必要のある
事態
ニ
原子力科学研究所又は原子力科学研究所から受託した者の放射性物質等の運搬に起因する事業所外における汚染事故
ホ
原子力災害対策特別措置法第10条1項及び第15条1項に規定する事象
使用施設等又はその周辺の区域で、異常を発見した者は、周辺に居る者に周知するとともに、非常用電話
使用施設等又はその周辺の区域で、異常を発見した者は、周辺に居る者に周知するとともに、非常用電話
に通報しなければならない(原子力科学研究所放射線障害予防規定第121条)
に通報しなければならない(原子力科学研究所放射線障害予防規定第121条)
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