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山口県青少年健全育成条例の運用について(PDF形式
○山口県青少年健全育成条例の運用について 昭和60年3月13日 山 口 保 防 第 394号 最近における青少年非行問題の深刻化とその非行の背景となつている青少年 を取り巻く社会環境の悪化に対処するため、このたび山口県青少年保護育成条 例(昭和32年山口県条例第37号)の一部が改正され、昭和60年4月1日から山 口県青少年健全育成条例(以下「条例」という。)として施行されることにな つたが、警察における運用については、次のとおりとするので取扱いに遺憾の ないようにされたい。 なお、「山口県青少年保護育成条例施行事務等の取り扱いについて(例規指 示)」(昭和47年5月24日刑防第572号)は廃止する。 記 1 条例運用の基本的な考え方 条例は、青少年の健全育成に関する施策の総合的な推進と青少年の健全育成 を害する行為の防止によつて青少年を保護し、育成することを目的としてお り、県民に対し健全育成の責任を強調するとともに県の任務を明確化してい る。 青少年の健全育成を阻害する行為の取締りは、警察本来の任務であるので、 この条例の趣旨を十分理解して効果的かつ適正な指導取締りを推進し、所期の 目的を達成するよう運用すること。 2 条例の周知徹底 県民に対するこの条例の周知徹底は、県が主導的に行うことになるが、警察 としても各種会合等の機会を利用して制限禁止事項の遵守について県民の自覚 と協力を求めるなど条例の周知徹底について側面的に協力すること。 3 有害指定申請と取締り 青少年に有害な影響を及ぼしている興行、図書類、広告物、がん具類等の条 例制限規定の指導取締りは、社会環境の浄化と青少年の健全育成についての県 民の強い要望にこたえて行うものであるから、山口県社会福祉審議会の定める ところにより慎重に判断したうえ、次の点に留意して措置し、指導取締りの徹 底を期すること。 (1) 興行 有害興行については、刑法(わいせつ罪)による取締りをすることはも ちろんであるが、その他有害と認められる興行があることを知つたとき は、 すみやかに、少年課を通じて知事に、有害指定申出書(別記第1号様 式。 以下「申出書」という。)により指定の申出を行うこと。 (2) 図書類 有害図書類については、刑法(わいせつ罪)による取締りをすることは もちろんであるが、その他の図書類についても、有害と認められるものは 申出書により、少年課を通じて知事に指定の申出を行うこと。 (3) がん具類等 有害がん具類等については、当該有害がん具類等が銃砲刀剣類所持等取 締法、軽犯罪法、その他の法令による規制に抵触する場合は、これらによ る取締りをすることはもちろんであるが、有害かどうか実務上判断の困難 な場合もあるので、これらのものが当面 ア 青少年の間に流行し、又は流行のおそれのあるもの イ 人体又は財産に実害が発生し、又は実害を及ぼす危険性の強いもの を重点に指定の申出を行うものとし、原則として当該現物を添付して申出 書により少年課を通じて知事に指定の申出を行うこと。 (4) 広告物 有害と認められる広告物を発見したときは、掲出者の自覚を促し、自粛 させる等条例の目的と合致する措置を講ずるとともに、現品又はその写真 (原版を含む。)を添えて申出書により、少年課を通じて知事に指定の申 出を行うこと。 (5) 一般からの申出による処置 有害指定の申出は、条例第19条の規定に基づき何人もその指定の申出が できることになつているので、一般人から警察に対し指定の申出がなされ た場合は、申出書によつて受理し、前項各区分に準じて処理すること。 なお、これは一般人からの有害指定の申出を全面的に警察で受理するも のではなく、警察に申出があつた場合に、これを取り次ぐものである。 4 違反検挙 (1) 運用上の基本的留意事項 ア 運用上の注意 この条例は、県民の自主的な活動を尊重しながら青少年の健全な育成 を図ろうとするものであるから、その趣旨を尊重し憲法上保障された基 本的人権を不当に侵害することのないよう適正かつ妥当な運用に努める こと。 イ 条例の適用 この条例は、現行法令で取締りの困難な各種の有害行為を規制したも のであり、規制対象となつているものの中には、他の法令に規定する罪 に係る構成要件、保護法益等で共通又は関連性を有するものがある。 従つて、この条例の適用に当たつては、これらの関係法令と比較対照 し、個個の行為が他の法令の構成要件を充足していないかどうかを検討 して、この条例の適用を誤らないようにすること。 ウ 指導教養 全警察官が自信をもつて指導取締りができるよう条例の解釈、運用に ついて具体的な指導教養を行うこと。 エ 指揮の徹底 この条例に基づく取締りに当たつては、捜査着手の段階から終結に至 るまでの全過程を通じて指揮の徹底を期すること。 オ 秘密の保持 この条例違反の取締りによる保護対象は、青少年であるので、その心 情や特性に配慮するとともに秘密の保持に十分注意すること。 カ 関係少年の補導 この条例の規制対象行為の相手方となつている青少年に対しては、こ れを補導し適切な措置を講ずること。 (2) 検挙着手の報告 ア 条例中次の違反に係る事件については、検挙着手前に別記第2号様式 により、事件の概要、捜査状況等を少年課を経由して速やかに報告する こと。 (ア) 深夜における営業用個室への立入りの制限(第10条の2第1項、第 2項) (イ) みだらな性行為又はわいせつの行為の禁止等(第12条第1項) (ウ) 入れ墨を施す行為等の禁止(第12条の2) (エ) 場所の提供及びあつせんの禁止(第13条)の規定のうち第1号、第 4号 (オ) 深夜外出の制限(第14条の2項) イ 上記アに掲げる違反事件の強制捜査に当たつては、その都度少年課を 経由して事前に報告を行い指揮を得て着手すること。 また、身柄の措置、事件送致等についても報告を励行すること。 5 立入り、調査等 条例第16条第1項の規定により知事が指定する者が行う立入り、調査等に ついては、山口県青少年健全育成条例に基づく立入り、調査等の実施要項 (昭 和61年4月17日付け婦青第19号)の定めるところにより行うこと。この 場合 において、立入調査員の指定及び解除並びに証票の取扱いについては、 次の 点に留意すること。 (1) 立入調査員の指定及び解除 ア 立入調査員として指定される者 少年課及び警察署の生活安全課(刑事・生活安全課を含む。)におい て少年、生活安全警察事務を担当している警察官及び少年警察補導員と すること。 イ 指定の解除 指定を受けた者が、次のいずれかに該当するときは、すみやかに指定 の解除を申請すること。 (ア) 退職したとき (イ) 休職となったとき (ウ) 他の所属又は少年、生活安全警察事務以外の分掌に異動したとき ウ 申請手続 立入調査員の指定及び解除の申請手続については、少年課を経由して 行うこと。 (2) 証票の取扱い ア 証票の交付を受けたときは、証票交付台帳(別記第3号様式)を備え 付け、証票の交付返納状況を明確にしておくこと。 イ 証票の交付を受けたときは、証票受領書(別記第4号様式)を少年課 あて送付すること。 ウ 証票を紛失したときは、すみやかに手配の措置を講ずること。 6 報告 (1) 特異事案及び社会的に反響の強い事犯(案)については、その都度少年 課を経由して速報すること。 (2) 条 例 の 運 用 状 況 に つ い て は 、 山 口 県 青 少 年 健 全 育 成 条 例 に 基 づ く 立 入 り、 調査実施状況表(別記第5号様式)により、4半期ごとに取りまと め、翌 月の10日までに少年課を経由して報告すること。 別添1 山口県青少年健全育成条例による有害指定に関する認定基準 山口県青少年健全育成条例(以下「条例」という。)第5条、第6条、第6 条の3及び第7条に規定する有害な興行、図書類、がん具類等及び広告物の指 定に関する認定基準は、次のとおりとする。 1 有害な興行、図書類及び広告物の認定基準 (粗暴性を助長するもの) (1) 暴力を容認又は賛美したもの (2) 残虐な殺人場面又は殺傷による肉体の苦痛(集団拷問、私刑を含む)を 刺激的に表現し、又は残酷な殺人の方法を詳細に描写したもの (3) 社会道徳や法律に反する暴力を是認し、かつ賛美するような刺激的表現 をしたもの (4) その他素材描写、表現のあらゆる面にわたつて、青少年の粗暴性を助長 するおそれのあるもの (性的感情を刺激するもの) (1) 男女の肉体の全部若しくは恥部を劣情刺激的に表現し、全く芸術美が認 められないもの (2) 性的な行為又はわいせつな行為を露骨に表現したもの、又は容易に連想 させるもの (3) 善良な結婚及び家庭生活を犯すような不純な性的行為を演出、描写又は 表現したもの (4) 色情もう想又は変態性欲に基づく行為等を表現したもの (5) 性衛生及び性病を人道的又は科学的観念をこえて必要以上に不自然に表 現したもの (6) 著しくわいせつな字句を用いているもの (7) その他素材描写、表現のあらゆる面にわたつて青少年の性的感情を著し く刺激するおそれのあるもの 2 有害ながん具類等の認定基準 (1) 銃砲等を型取つたもの、若しくは飛道具又は投げることを目的としたも ので人体に危害を及ぼし、又は非行を誘発助長するおそれのあるもの (2) 花火等爆発の作用をするもので人体又は財産に危害を及ぼすおそれのあ るもの (3) 男女の肉体の全部若しくは恥部を露骨に表現し、又は容易に連想させる もので著しく劣情刺激的な感じを与えるもの (4) 刃物で刃渡り又は鋭利性において容易に人体に危害を及ぼすおそれがあ り、かつ青少年が平常所持することが不自然なもの (5) その他がん具類等で形状構造又は機能が青少年の心身に危害を及ぼすお それのあるもの 別添2 山口県青少年健全育成条例に定める立入調査員指定申請、証票の取 り扱い及び立入り、調査実施要領 山口県青少年健全育成条例(以下「条例」という。)第16条第1項の規定に より知事が指定する者(以下「立入調査員」という。)が行う立入り、調査 は、この条例の実施のため必要があるときにできることになつているが、立入 調査員指定申請等は次の要領による。 1 指定申請手続 (1) 立入調査員として指定される者 警察官のうち、少年、生活安全警察事務を担当している者及び少年警察 補導員とする。ただし、兼務者の場合は主たる任務が少年生活安全警察事 務にある場合に限る。 なお、生活安全課長の配置のない警察署で必要がある場合は、刑事・生 活安全課長を指定申請することができる。 (2) 申請の手続 所属長は、立入調査員として指定の対象となつた者について、別記第1 号 様 式 の 立 入 調 査 員 指 定 申 請 書 ( 正 副 2 通 ) に 、 本 人 の 写 真 ( 縦 3cm、 横 2. 5cm、 脱 帽 上 半 身 、 制 私 服 い ず れ で も よ い 。 写 真 裏 面 に 所 属 、 階 級 、 氏 名 を記載する。)1葉を添えて、少年課あてに送付すること。 2 証票の取り扱い (1) 証 票 の 交 付 を 受 け た と き は 、 別 記 第 2 号 様 式 の 証 票 交 付 台 帳 を 備 え つ け、 証票の交付返納状況を明確にしておくこと。 (2) 証票の交付を受けたときは、別記第3号様式の証票受領書を少年課あて 送付すること。 (3) 証票を紛失した場合は、すみやかに手配の措置を講ずること。 (4) 証票を破(汚)損した場合の再交付申請は、別記第4号様式の再交付申 請 書 ( 正 副 2 通 ) に 本 人 の 写 真 ( 前 記 1 − ( 2) に 同 じ 。 ) 1 葉 を 添 え 、 少年課あて送付すること。 なお、破(汚)損の場合においては、旧証票を前記申請書に添付するこ と。 (5) 指定を受けた者が、次の事項に該当するに至つた場合は、その理由を付 してすみやかに証票を少年課あて返納すること。 ア 退職したとき イ 休職となつたとき ウ 他の警察署に転勤又は少年、生活安全警察事務以外の分掌に配置換え となつたとき エ 紛失によつて再交付申請をした後、旧証票を発見したとき 3 立入り、調査実施要領 (1) 立入り、調査等の範囲及び区域 ア 立入り、調査等を行う興行場、その他の営業所(以下「営業所等」と いう。)の範囲は、おおむね次のとおりとする。 (ア) 条例第5条関係 映画館、演劇場、その他の興行場(風俗営業等の規制及び業務の適 正 化 等 に 関 す る 法 律 ( 昭 和 23年 法 律 第 122号 ) 第 2 条 第 6 項 第 3 号 の 営業として行われる興行の用に供する興行場を除く。) (イ) 条例第6条、第6条の2関係 書店、貸本屋、レコード・CD・楽器店、レンタルビデオ・CD 店、 コンビニエンスストア、その他の図書類(図書及び音盤、磁気テ ープ、 磁気ディスクその他の音又は影像が固定されている物を含む。 以下「図 書類」という。)の販売又は貸付を行う営業所 (ウ) 条例第6条の3関係 がん具店、刃物店、金物店、その他のがん具類及び器具類の販売又 は貸付けを行う営業所 (エ) 条例第6条の4、第6条の6関係 図書類、がん具類等を販売し又は貸し付ける自動販売機又は自動貸 出機(以下「自動販売機等」という。)の設置場所 (オ) 条例第7条関係 広告営業所 (カ) 条例第8条、第8条の2、第8条の3、第8条の4関係 利用カード等販売業を行う営業所 (キ) 条例第9条関係 質屋 (ク) 条例第10条関係 古物商 (ケ) 条例第11条関係 薬局、薬店、文房具店、模型店 その他特定薬品等の販売、使用を 行う営業所、事業所 (コ) 条例第13条関係 旅館、ホテル、類似モーテル、その他の宿泊又は休憩の場所提供を 行う営業所 イ 立入り、調査等の対象営業所等のうち薬局、薬店については、原則と して山口県健康福祉部薬務課及び各保健所に所属する立入調査員が行う ことになつているので、特に必要と認めるときは、これらの機関と密接 な連絡をとり立入り、調査等を行うこと。 ウ 立入り、調査等の区域は、立入調査員の所属する部署の管轄区域とす る。 (2) 立入り、調査等の要領 ア 調査事項 営業所等の対象別の調査事項は、おおむね次のとおりとする。 (ア) 興行場 A 有害興行として青少年の入場を禁止する旨の掲示が適切に行われ ているか。 B 青少年への入場券発売拒否や入場拒否が確実に行われているか。 C 興行場入口周辺に有害広告物として指定された広告物が掲出され ていないか。 D 有害興行を青少年が観覧していないか。 (イ) 図書類の販売店等 A 有害図書類に対する営業者及び従業員の認識状況はどうか。 B 有害図書類を青少年に販売し、貸し付け、又は立読み等を黙認し ていないか。 C 有害図書類を他の図書類と区分して陳列しているか。 D 有害図書類の陳列場所は容易に監視できる場所となっているか。 E 有害図書類の陳列場所に青少年の購入や借受け、立読み等を禁止 する旨の掲示があるか。 (ウ) がん具類及び器具類の販売店 A 有害がん具類等に対する営業者及び従業員の認識状況はどうか。 B 有害がん具類等を青少年に販売していないか。 C 有害がん具類等の陳列や管理は適切であるか。 (エ) 自動販売機等の設置場所 A 図書類(図書、音盤、磁気テープ、その他山口県青少年健全育成 条 例 施 行 規 則 ( 昭 和 33年 山 口 県 規 則 第 1 号 。 以 下 「 規 則 」 と い う。) で定める図書類に限る。)、がん具類等(避妊具以外の性具 その他 規則で定めるがん具類等に限る。)の販売又は貸付けに係る 届出が なされているか。届出済証が貼付されているか。また、届出 事項に 変更がないか。 B 有害図書類、有害がん具類等又は利用カード等に対する自動販売 等業者及び自動販売機等管理者の認識状況はどうか。 C 有害図書類又は有害がん具類等が収納されていないか。また、指 定の告示後、直ちに撤去されているか。 D 営業停止命令中の自動販売機等を稼働させていないか。 (オ) 広告主の営業所 A 有害広告物に対する認識状況はどうか。 B 有害広告物の管理は適切であるか。 (カ) 利用カード等販売業の営業所 A 営業禁止区域内で営んでいないか。 B 利用カード等に対する営業者及び従業員の認識状況はどうか。 C 利用カード等を青少年に販売していないか。 D 青少年立入禁止場所以外の場所で自動販売機又はこれに類する機 器に利用カード等を収納していないか。 (キ) 質屋、古物商 A 青少年からの質物の質受け拒否が適切に行われているか。 B 青少年からの古物の買受け、交換等の拒否が適切に行われている か。 C 条例第9条及び第10条のただし書きによる青少年からの質受け、 又は買受け等に際して保護者の委嘱又は同意が確認されているか。 (ク) 特定薬品等の販売店 A 特定薬品等を青少年が乱用することを知つて販売されていない か。 B 特定薬品等の販売の際、住所、氏名、使用目的等を確かめ、かつ 正しい使用方法を指導して販売されているか。 C 特定薬品等の陳列や管理は適切であるか。 (ケ) 旅館、ホテル、類似モーテル等 A 青少年に対する場所の提供、あつせんの禁止について営業者及び 従業員の認識状況はどうか。 B 青少年が宿泊又は場所を利用するにあたり適切な取り扱いがなさ れているか。 イ 留意事項 立入調査員は、立入り、調査等を行う場合には、条例第16条の規定を 遵守するほか、次の事項に留意して行うこと。 (ア) 立入り、調査等は、営業の自由など県民の権利に関する事項と密接 な関係があるので、調査の目的を逸脱して県民の権利を不当に侵さな いよう十分注意するとともに必要最小限度において行うこと。 (イ) 立入り、調査等の内容は、原則として条例第16条第1項に規定する 特定事項の調査、資料の提供依頼及び質問に限ること。 (ウ) 立入り、調査等は、条例の趣旨により、通常の青少年に対する補導 とは、その性格を異にするものであるが、立入り、調査等に際して保 護を必要とする青少年を発見したときは、保護育成のため必要な措置 をとること。 (エ) 立入り、調査等に際しては、服装、言語、態度に留意して相手方に 不信又は誤解の念を抱かせないこと。 (オ) 立入り、調査等に際しては、必ず証票を呈示し調査の目的を十分に 説明して相手方の理解と協力を得るように努めること。 (カ) 立入り、調査等は、当該営業所等の営業時間内に行うこと。 (キ) 立入り、調査等において相手方が拒み、妨げ又は忌避したような場 合は、抵抗を排除して実力をもつて立入ることはできないので留意す ること。この場合は罰則で担保されているので挙証措置をとつておく こと。