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イベント活用したビジネス発展

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イベント活用したビジネス発展
特集
イベントを活かす女性起業
特集
イベントを活かす女性起業
イベントを活用したビジネス発展のポイント
東京富士大学
イベントプロデュース学科教授
岡 星 竜 美
真冬の猛暑の冷たいワイン ?
冬のポカポカ陽気の日に、いつも決まって思い出す
ことがあります。
■イベントの定義
イベントとは、何らかの目的を達成するための、
手段として行う行・催事である。
数年前の 12 月、夫婦でオーストラリア・ゴールド
コーストに旅行した時のこと。日本は 12 月でも、南
出展商品を売り切って売上を上げたい ! 知名度を
半球のオージーは真夏。ゴールドコーストの空港に着
上げたい ! 話題になりたい ! マスコミに採り上げて
き、一歩外に出た途端に、
「すぐに日本に帰りたい」
もらいたい ! それとも、お客さまと直接ふれあって、
と思ったほどの猛暑です。地元のガイドさんに聞くと、
反応を得たい(モニター)!
気温 41 度 ! いろいろな目的があると思います。でも、それらの
でも、過酷な時の思い出こそ、いつまでも覚えてい
一番奥にある目的は、ズバリ、あなたの商品・サービ
るもの。せっかくのホリデーに、わざわざ地球の反対
スの『ファンをつくる』ことではないでしょうか。
側に来たのですから、ホテルに逃げていてももったい
『ファンをつくる』…言うのは簡単、でもどうやっ
ないと、オプショナルツアーでワイナリー体験を申し
て ? 込みました。ワイン大好きな私たちにとって、今回の
こんな時は、「クジラを食べる方法」を思い出しま
旅行の大きな目的に、第三世界オーストラリアの本場
しょう。巨大なクジラをひと口に食べることなど、も
ワイナリーを体験したい、ということがあったからで
ちろんできません。ではどうするか…そうです。
“切
す。
って食べ”ましょう。
ガイドさんのワゴン車で市街から山に向かって走る
何らかの大きな問題に直面し、どうやったらいいの
こと1時間 30 分、そこに、かかしのマークのワイナ
かわからない時は、とにかく小さく切って考えてみる
リーがありました。
と、頭の中がスッキリと整理され、身近な手がかりが
外は猛烈な暑さでしたが、地下セラーはひんやり。
わかり、解決の糸口が見つかります。
そこで試飲した採れたて一番搾りワインのおいしかっ
たこと ! 真冬の時期に、猛暑の中味わった、冷たい
フレッシュワインの味は、一生忘れられない味となり
ました。
なぜイベントをやるの ?
どんな旅行にも、目的があります。そして、どんな
イベントにも、目的が大切です。
みなさんがイベント…例えば、産直市を行う目的は
何でしょうか ?
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5 つのお客さまピラミッド
お客さまピラミッド
20 ファン客
固定客
新規客
見込み客
訪問客
未知客
売上
80
特集
イベントを活かす女性起業
回ありがとう」と言うわけです。1 回の買い物は少な
ファンって何でしょう ?
いかもしれませんが、いつもいつも買いに来てくれる
ところで、『ファン』とは何でしょうか ? いわゆ
…そんなお客さまは本当にうれしいですし、ビジネス
る『お客さま』とは違うのでしょうか ?
上でも助かります。
ここに、お客さまの種類を 5 段階で表した『お客さ
1回の取引から得られる利益の最大化を目指すので
まピラミッド』があります。
はなく、継続したお客さまとなることで得られる価値
まずピラミッドの外には、あなたの商品・サービス
が、ファン客から生まれてきます。ファンができれば、
「安売り」「押し売り」の必要はなくなります。
のことをまだ知らない未知客がいます。
産直市などのイベントや、お店、ホームページに来
お客さまをつくりましょう ! そして、本当のお客
られた方は、訪問客です。
さま = ファンをつくりましょう !
商品を手に取ったり、説明を聞いてくれたりしたら、
見込み客に。
ファンのつくり方
買っていただいたら、新規客です。
ファンの大切さは、もちろんよくわかっていらっし
何度もご購入いただくと、固定客。
ゃると思います。でも、ファンってつくれるのでしょ
そして、あなたに代わってどんどん宣伝してくれた
うか ? もしつくれるとしたら、どうやって ?
り、まわりの人にクチコミしてくれたりするのが、フ
ここでも、
“クジラを切って食べ”ましょう。ファ
ァン客です。本当にありがたいことです。ピラミッド
ンをつくる方法を、分解して考えていきます。
の下の方から、どんどんと上の方にお客さまを導けて
『お客さまをつくる5つのサイクル』
を見てください。
いけるといいですね。
①集客 → ②接客 → ③参客 → ④育客 → ⑤増客
このファン客、もちろん人数は少ないのですが、実
の 5 つがぐるぐると回るイメージです。
は売り上げの大部分を占めているというのが真実です。
まずは、何か仕掛けないと、お客さまは振り向いて
これを「80 対 20 の法則」といいます。ビジネスに
もくれません。そのために一番よいのがイベントをや
おいて、売上の 8 割は、全お客さまの 2 割の方が生み
ることです。
出している、というものです。
イベント例として、産直市を開くことにしたとしま
本当にこんな数字になるの ? ということではなく、
しょう。まずはイベント会場に来ていただかないこと
いろいろと世の中は不均衡であるということを認識す
には何も始まりませんので、集客をがんばりましょう。
るための考え方です。
集客で大事なポイントは 2 つ、⑴何を伝えるか ? と⑵
ファン客は、ライフタイムバリュー(Life Time
どう伝えるか ? です。
Value)という点からも、とても大切です。
⑴何を伝えるか ? → イベントのウリをきちんとつ
ライフタイムバリューは、顧客生涯価値と言う意味
くり、魅力をわかりやすく伝えられるポスター、チラ
で、お客さまに長ーく取引を続けてもらうことによっ
シ、ホームページをつくります。特に、実施する主催者・
て得られる利益のことです。このことは、皆さんも日
出展者の立場で語ってはいけません。あくまでも、お
頃のビジネスで感じていらっしゃることでしょう。関
客さまにとってのメリットは何か ? を語りましょう。
西風に言えば「まいどおおきに」
。ごひいき客は、い
例えば、この産直市に来ると、今晩の鍋メニュー用
つもあなたの店から買い物をしていただくので、「毎
の新鮮な食材がいっぱい手に入り、家族の笑顔がいっ
ぱいになります ! のように、参加する人にとってど
んないいことがあるのか、を伝えられるようにしまし
お客さまをつくる 5 つのサイクル
ょう。
集
増
育
仕掛ける
客
千客万来!
イベント会場
導
集客
コン
タクト
つかむ
接客
参客
⑵どう伝えるか ? → 一般の方に広告として伝える、
接
例えば役所の掲示板や駅舎にポスターを貼る、地元新
聞に折り込みチラシを入れるということももちろん必
参
要ですが、広告となるとお金がかかることも多く、な
一客再来!
コネ
クト
育客
つながる
かなか大変です。
増やす
増客
そこで、まず一番身近なお客さまとなりうる身内
(家
族、社員、取引先、関係者など)への告知と動員がよ
いでしょう。
身内とは言っても、もちろん一生活者として日常で
は商品・サービスを購入していますので、お客さまと
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特集
イベントを活かす女性起業
なりうるわけです。あなたの商品・サービスの一番の
分ごとになり、小さな愛着が生まれます。
ファンになってもらえそうな人は、ズバリ身内です。
人は、動くもの・珍しいものに出会うと、目を止め、
これを、インターナル・マーケティング(内部向けの
足を止めるものです。まさに、店は“見せ”です。
販促活動)と言います。
動くもの・珍しいものに足が止まると、次に、理屈
広く一般の方に広告を打ちながらも、一番身近な人
が知りたくなります。
「これは何だろう ?」と、説明
にも、どんどんと告知をしていきましょう。身内専用
パネルを見たり読んだりしてもらえ、体が止まります。
の特典付き(割引クーポンなど)チラシを配布するの
興味を持っていただけたら、そこで初めて、出展者の
も効果的です。
方から、声をかけて解説をしたり、会話をしたりしま
す。お客さまが自分の興味のあることですから、コミ
店は、
“見せ”!
ュニケーションが発生します。コミュニケーションを
イベント会場に集客できたら、次に接客です。
しばらくとりあうと、もう“知り合い”になります。
“知
産直市の場合は、あなたの出展ブースへたくさん集客
り合い”の話しは聞いてくれますし、気に入った商品・
し、にぎわいをつくりたいものです。
サービスだったら、買っていただくこともできるでし
ブースの前の不特定多数の通行人を、Pull(引っ張っ
ょう。その頃には、会話もはずみ、時間も止まってい
て)して、
Stay(滞在させる)させるための手法が、
『に
ることでしょう。
ぎわいづくり 5 つのステップ』です。
ブースに必要なのは「にぎわい感」。ビジネスで大切
人間の五感の中で、遠くからでも注目を集められ
なのも「にぎわい感」。
るのが、
“注目”と言うほどですから、まさに目です。
いつも人気(ひとけ)であふれ、にぎやかなブース
目が止まる…まずアイキャッチとなるものをブースに
では、商売繁盛の神がやって来てくれます。通行する
用意しましょう。アイキャッチと言えば、大阪のくい
方の目を止めさせ、足を止めさせ、時間を止めさせセ
だおれ人形が有名ですが、ただ目立てばよいと関係な
ールスへ!
いものを置くのはダメです。農産物を出展しているの
お客さまとのコミュニケーションのフックをふんだ
であれば、巨大に成長したオバケかぼちゃなどのよう
んに用意し、心の階段を1段ずつ上らせてあげてくだ
に、地元で採れた珍しい作物を展示するのもいいです
さい。
ね。
お客さまを育てよう
止めたいのは、目だけではありません。次に耳、そ
して鼻を止めましょう。
来られたお客さまが満足した、そしてそのままお帰
モーション・ディスプレイ(動く展示)
、つまり実
りいただいた…これでは、次の手は打てません。ブー
演などを行うことによって、音を出し匂いを出し、耳
スに来られた方とは、何らかのつながりをつくりたい
と鼻も止めさせます。火気が使える場所でしたら、焼
ものです。せめてメールアドレスはいただきましょう。
肉の試食などが効果的。口まで止まってしまいます。
そうすることで、メールマガジンで次回イベントや特
食べものでなくても、わらじを編むとか、焼きもの
別キャンペーンのお知らせ、アンケートへの協力など
のロクロを回すとか、地元の伝統的なものを用意し、
のアクションを打つことができます。
できればお客さまに参加してもらいましょう。ちょっ
また、お客さまは育成しなくてはいけません。
「お
としたお手伝いでもいいのです。参加することで、自
客さまを育成とはけしからん !」と思わないでくださ
5つのステップにぎわいづくり
あなたの店
Pull
Stay
1.
4.
5.
アイキャッチ
(オブジェなど)
モーション
ディスプレイ
(実演など)
説明パネル
(説明文章)
コミュニ
ケーション
(説明)
セールス
(交渉)
Eye
Stop
Foot
Stop
Body
Stop
Mind
Stop
Time
Stop
Pull
4
3.
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満足
Pull
2.
特集
イベントを活かす女性起業
ファン化へのステップフロー
WEB
Pull
メールマガジン
SEO
コミュニティー
ノウハウ配信
PPC広告など
イベント
【提案先】
お客様専用
ホームページ
オファー
リアル
ニュースレター
店頭・
チラシ、
DM
※継続的な
情報提供
販売
コミュニケーション
提供
Push
各種催事など
未ファン
(顧客育成)
来店
ホームページ
イベント
情報
ファン・リピーター化
メルマガ広告
ステップメール
誘導
ファン化
(顧客化)
来店
イベント
誘導
セミナー
各種広告など
キャンペーン
収集
顧客育成
誘導
集客(販売)
顧客化
(参考:㈱チェンジマネジメントシステム松下智明)
い。現代のお客さまはあり余る情報の海の中で迷って
いる状態です。あなたが素晴らしいと思う商品・サー
視界良好 ! お客さまづくり
ビスの正しい情報を積極的にお届けすることで、正し
産直市などのイベントへ参加するということ…イベ
い選択をしていただけるわけです。その結果、お客さ
ント実施に向けて仲間と準備する、本番日には体を動
まにとってよいことをすることになります。
かす汗を流す、目の前でお客さまとふれあい、商品が
イベント後に、お客さまとつながり、メールマガジ
売れてゆく、手ごたえと充実感に満たされる…イベン
ンやイベント招待などの活動を続けてゆくことで、フ
トで得られる HOT な効果はとても重要です。
ァンになっていただく流れをつくりましょう。全体を
でもあえて、それだけではダメです。もう一面、
見える化することで、一つひとつの販促の位置付けや
COOL な頭脳で冷静にイベントの役割と効果を考え、
効果などが検証できます。 『お客さまづくり = ファンづくり』の地図を見極めな
アメリカの心理学者ザイアンスの名が付いた「ザイ
くてはいけません。
アンスの法則」というものがあります。
読者である女性経営者の皆さまも、少なからずビジ
⑴人間は知らない人には攻撃的、冷淡な対応をする
ネスの先行きに不安があることでしょう。オバケが怖
⑵人間は会えば会うほど好意を持つようになる
いのは、目に見えないからです。” 不安 ” を感じるのは、
⑶人間は相手の人間的な側面を知ったとき、より強
目に見えないものに対してです。
く相手に好意を持つようになる
あなたは、あなたの商品・サービスという船の船長
見込み客が商品を購入するまで、7~25 回の接触
です。マストのてっぺんで海図を広げ、今どこにいる
が必要というデータもあります。また、「3の法則」
のか ? どこに向かっているのか ? 海の全体をなが
= お客さまとは、3日後、3週間後、3カ月後に接触
め、正確につかんでいなければいけません。
せよ。初めて来店して、その後3ヶ月間で計3回来店
イベントという最高の手段を活用して、最大の目的
した客は、1回しか来ない客と比べて、7倍固定客化
『お客さまづくり = ファンづくり』に取り組んでいき
する、というデータもあります。
ましょう。女性の方は、きめ細やかなお客さま対応に、
イベントで初めて訪れていただいたお客さまとつな
とても向いていると思います。今後の販促活動に、確
がる。その後、規則正しく商品・サービス情報をお伝
かな自信と明確な効果を感じられることで、堂々と安
えし、あなたのこと、あなたの商品・サービスのこと
心してビジネスを展開していけると思います。
を深く理解していただき、
本当のファンへと導く。「店
毎日奮闘されている全国の女性経営者の皆さまに、
を開いて、ただ来客を待つ」…このような受け身の販
心からのエールをお贈りします。
促がダメなことは明白です。
イベントを手段に、本当のお客さま = ファンをつく
るファン・マーケティングを実行していきましょう。
●お問合せ、ご質問は [email protected] までお気
軽にどうぞ。
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