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Twinkle:Tokyo Women`s Medical University
Title Author(s) Journal URL カブトガニ単一光受容器に関する電気生理学的研究 : 第3報 直流通電効果について 田中, 一郎 東京女子医科大学雑誌, 27(9):462-474, 1957 http://hdl.handle.net/10470/12888 Twinkle:Tokyo Women's Medical University - Information & Knowledge Database. http://ir.twmu.ac.jp/dspace/ 14 (東京女医大誌第27巻第9号頁462−474昭和32年9月) カブトガニ単一光受容・器に関する電気生理学的研究 第3報 直流通電効果について 東京女子医科大学生理学教室 田 中 タ ナカ 郎 イチ ロウ (受付 昭和32年8月7日) 1.緒 考えられる。それはここが外向き電流の密度が最 言 カブトガニ側眼の個眼内の直る部位に超微小電 も大きいと思われるからで,視神経末端部の興奮 極を挿入して細胞内の電位を誘導しその個眼に光 性がその他の部分に較べて特に低くない限り歯面 照射を行うと,非伝導性で陽性のgraded re8ponse はここに発生するわけである。鼻棘放電の頻度は (緩電位)とそれに軍畳し反復する陽性刺棘とが同 緩電位の時間的変化が大きい場合を別とすれば, 時に認められる1)、5)。著者4)はさきにこの二種類 そのときの脱分極の大きさによって決まる様な関 の活動電位のうち緩電位は電極が挿入されている 係4)にあり,この神経線維の性質として:最小傾き 部位の形質膜にoriginを有しているのに対し, が小さいこと等直流通電により反復興奮を生ずる 昏眠放電はこの部位にoriginを有せずより中枢 一般的性質を有していることがうかがわれる。反 側の形質膜に発生しその電気緊張電位を電極が受 復興奮の発生について著者等8)は放電間の各時点 けていると考えられる根拠を述べたが,このこと における興奮性をしらべた結果からAdrian9)の は最近冨田5)によりペンシル型微小電極を用いて いわゆる「「recovery cycle hypothesis” 1こよつ 形質膜の内と外から同時に活動電位を誘導するこ て説明出来る関係にあるという結果を得た。叉, とが行なわれ確認された。つまり電極挿入部の形 著者1。は刺棘に対するNa+及びK+の濃度効果か 質膜は光刺激によって非伝導性の活動電位を発生 ら刺棘発生の機構がHodgkin等!1’12の”Sodium し,電気刺激によっては反応を示さないと老えら theory”に従うものと推測した。 れる点で,通常の神経細胞や神経線維とは機能的 一方面電位は光刺激の強度,持続時問及び受容 にはつきり異なった性質を有しているわけである 器の光に対する順応状態等により異なるが,痴る が,その形態学的部位との対応については決定的 時間以上持続する刺激に対しては一般に:先づ脱分 解決が得られていない。しかし我々は機能的な面 極が極大(「初期極大」)に達するまで進み其の後あ からこの様な性質を持つところ,即ちこの場合の る程度復分極がおこって刺激強度によって定まる 電極挿入部位を光受客細胞と称することにしてき 「一定の脱分極状態」に移行するという経過をと る。著者!0)はききに緩電位が光受容細胞形質膜の た。 ここに誘導される2種類の活動電位のうち刺棘 抵抗の減少によって生ずると考え,この膜抵抗の 放電は光受容細胞より出ている視神経線維が緩電: 位(受容細胞の脱分極)のため外向き電流を受けて 減少が如何なるイオンの透過性の増大によるかを 知るためにNa+及びK+の濃度効果に関する実験 発生する4)3 7)と老えられ,最:初に発生するところ を行なった。その結果,緩電位の発生が1種類のイ は刺棘を発生する性質を持つ部位(神経線維)のう オンの透過性の増大だけでは説明出来ないという ち最も光受容細胞に近い揚所,即ち視神経末端と 結論を得て,わそらくは総てのイオンに対する透 Ichiro TANAKA (Depertment of Physiology, Tokyo Women’s Medical College) : Electrophysiological investigati ons of single o.mmatidium of Tachypleus. Part M. The effect of direct current on the spike discharge and the ommatidial action ’ 垂盾狽?獅狽奄≠戟D 一462一 15 G 過性の増大によるのであらうと推論した。しかし 「初期極大」と「一定の脱分極状態」とのイオン 透過性の質的な差等詳細な点には言及することガ しIGHfle g 出来なかった。 200M 以上は前回までの実験成績の概要であるが,今 回はこれ等の結、果を基礎として次の様な目的で実 ん‘’ 験を行なった。まつ実験目的の1つは,光受容細 胞内に挿入した電極を通じて任意の強度の直流通 電を行なった際の放電:頻度の二品的変化及び通電 電流の強度と放電頻度との関係等より視神経の刺 激生理学的性質を求めると共に,光受容細胞の膜 電位と畑瀬の発生との関係を知ることである。実 験目的の他の1つは,光受容細胞の膜野良を変え て光刺激を行なった際の緩電位の経過及びそれと P 第1図細胞内誘導及び通電の方法,普通の超微小 電極を用いた場合=Gは前置増漆器のグリ ツド,Pはポテンシユメーター 刺棘放電との関係を知ること,膜電位を比較的広 G 範囲に変えて緩電位各相が反転する電位を求める こと及び緩電位発生時の膜抵抗の変化を知ること 11sZGHT 等主として光受容細胞形質膜の性質をしらべるこ s とにある。 200M これ等の事項は緩電位の発生及び視伸経放電の 発生機構を知る上に重要な問題と考えられるの を雇 で,得られた結果を報告すると共に前回迄の成績「 と併せて考察を行う次第である。 2. 実験方溝 第1報4ノ及び第2報10)において述べた様にカブbガ P ニ(Tachypleus tridentatus)の側眼を摘出して半載 標本とし,カブ}ガニ用生理的塩類溶液中において実 第2図細胞内誘導及び通電の方法,二運式微小電 極を用いた場合:Gは前置中巾器のグリツ ド,Pはポテンシオメーター 体顕微鏡下で表面の個眼の1つに細胞内誘導及び通電 のための電極(3 mol KCIを満した超微小電極15))を 挿入した。使用した生理的塩類溶液,電極,増巾羅, られた記録から膜電位を求めるには後者を測定して減 記録装置及び光刺激装置は第1報に記載したものと全 く同じである。 ぜねばならないことになるが,通電によって電極の抵 細胞内通電のための電圧は第1図に示す様にポテン 抗値が著しく変化するとすればこれが誤差の原因とな シオメーターにより細胞外液に対して200MΩの抵抗 る。予めしらべたところ14)この実験で用いた程度の電 を介して誘導電極(即ち前置増一回のグリッド)に与 流(108amp以下)ではこの点について殆んど考慮する えられる様にした。この場合の通電電流は与えられた 必要はないという結果を得たが,二連式微小電極(do− 電圧に比例し時間的には一定であると考えてよい。印 uble barrelled electrode)15)を用いた方がより正確で 加電圧が0のときも膜電位により200MΩの抵抗を通 あると思われる16)ので膜電位を問題にする場合には主 して電流が流れ形質膜に脱分極が生ずるが,その程度 としてこれを用いた。ここで使用した二四式微小電極 は非常に小さいことと,実験結果の項に述べる様に通 は富田の方法17シによって製作し,先端直径0.5μ以下, 電電流の相対的な値叉は通電時の膜電位を聞題とした 各側の電極抵抗が約10∼20MΩのものである。笙2図 ので,印加電圧が0のときの電流を0として通電時の は二連式微小電極を使用した際の誘導及び通電の方法 電流を表わすことにした。 を示したものであり,第3図はこれを光受容細胞内に 叉通電時に誘導される電位は膜電位と通電電流の電 挿入した場合の模型的等価回路を示したものである。 極抵抗による電圧降下分との和になっているので,得 この場合はartifactとして両側の電極間に介在する結 一 4,p) .D 一 16 合抵抗(第3図のRc)による電圧降下分が加わることに G P 200M なるので,この分を測定して差引くことにより膜電位 を求めたわけであるが,この値は小さく(150州300kΩ) 通電電流による変化は少ない。 爾,実験時の温度は10∼15。Cであった。 3.実験成績 ’ Ret 1)二丁放電に対する直流通電の効果 今までの報告にも述べた様に細胞内誘導を行っ Re?’ た場合,光刺激を与えない状態でも二二放電の全 くみられないことは少な’ q,ある頻度で友復する Rc 自発性の放電を認めることが多い。この自発放電 は細胞外からの誘導では認められないから細胞申 に電極を挿入したことによるものと思われる。第 4図はこの様な自発放電が約250msecの間隔でお こっている場合,記録用ブラウン管の1掃引の問 に誘導電極を通じて4段階に通電を行って膜電位 を変えたときの記録を示したものである。.この通 第3図二連式微小電極を光受容細胞内に挿入した場合 の模型的等価回路:Gは前置増巾器のグリッド,Pは ポテンシユメーター,Rei及Re2は二連式微小電極各 側の抵抗,Rcは電極両側聞の結合抵抗, Riは視紳経末 端との間に介在すると考えられる抵抗(第14図参照), 極通電であるから膜電位からみると脱分極の方向 である。この方向の電流をここでは便宜上十,そ の逆向きの電流を一の符号をつけて表わすことに すると第4図の場合は図の:左逃ら各段階が,0, Emは膜電位, Rmは膜抵抗 第4図 電の方向は細胞内に電流が流れ込む方向,即ち陰 視神経に対する外向き通電時における刺戟放電の変化(本文参照) 電位の変化も誘導部位に較べて更に小さいわけで 0.5×10−9, 1.0×10−9, 1.5×10−9及こド2.0×10−9 amp通電:で,1段1階あたり0.5×10mq・ ampつつ ある。三図において脱分極に従って二言頻度,二 電流を増していったわけである。 三の大きさ,放電間における緩かな脱分極過程等 実験方法の項に述べた様にここに記録された通 に変化がみらるれが,これ等の所見については後 電による電位の変化はそのまま膜電位の変化を表 に一括して述べることにする。ここでは各脱分極 わすものではなくこの例では膜電位の変化は記録 の殺階にわける皿山頻度の時間的変化について観 の約1/■,即ち1段階当りの脱分極が約2mVに相 当する。この様に通電電流が10二10ampのorder 察してみたい。 ですでに刺棘頻度の変化は著明におこるものであ 第5図は第4図における各脱分極の段階,各膜 電位別に刺棘頻度の変化を示しtもので,同図は り,このときの三三発生部位と考えられる視神経 横軸に膜電位が変ってがらの放電:番号を,縦軸に 末端の電流密度もこの値からみて非常に小さく膜 その放電と次の放電との問隔をとったものであり 一 464 i一 17 gtoo 塁 stepで+向きに通電を行ってゆき,各通電につい 一/一 ’a.. ./ lE覧:㎜嗣 一 一,y 一一e 5 基80 / ノ//tt,、 //ノノ/b’ 三 三・。 @ 〆 ::一一s一’ .J..e.E.一一.一e.. 一一一et− 〇一● 罵 40 e;e;一一一e一一一一d一.一一e.c一一一eSe.一一e−p−me 3,5 12545678 9・ IO lf 12 1mputse number 第5図脱分極時に放電間隔の時間的変化 o 50 第4図の例について通電電流の大きさ別に放電容器 と放電聞隔との関係を示す。繭線a,b, c及びdは, 一〇5 第4図の左より2段,3段,4段及び5段目の通電 25 時に対応(本文参照) 同図の曲線a,b,c及びdは各々第4図の第2段 一lo 20 階,第3段階,第4段階及び第5段階に相当する 変化を示すものである。一般に放電頻度は時間的 一1 5 に漸次減少して盛る時間後に膜電位に対応する一 {5 定の頻度を示す様になり,其の後は長時聞の観察 においても頻度の減少は非常に小さいものであ るQこの頻度が一定になる迄の時間は大凡1∼2sec 第6図細胞内通電時の電流の大きさと刺棘放電と の関係:数値は通電電流 (×10『9amp), 時標は0.1秒,較正電圧は2DmV 以内である。頻度が一定になった場合を基準とし て考えると電位を変えたときにおこる一一’mis性の頻 記録を通電電流別に示したものである、,まつ陽極 度の増加は一種の過渡的現象であり,後述する様 通電時,即ち高分極に際しては頻度は著明に減少 に適応に相当する現象である。一般に膜電位が大 し,一1.0×10”9 ampの通電で殆んど刺繍の発生 きい場合即ち頻度が小さい場合(例えばaの揚合) をみず一1.5×10”E anpで全く消失する。このこ は頻度がより多い場合に較べ…定になる迄に長い とから光受容細胞がintactの場合は,少くとも 時間を要し且つ,放電間隔の時間的変化が著明で この時(こσ)場合は一1’.5×10−9amp通電時)の あるが,このことから直ちに頻度の小さい場合は 膜電位より大きい静止電位を有していttものと考 適応作用が著しいとは云えない。この揚合適応を 脱分極からの時間的な閾値の上昇と考えれば,低 頻度め野合は高頻度の揚合より僅かの閾の上昇が えられ,これが電極刺入により,実験上得られた 静止電位に迄脱分極を起し,自発放電が発生した ものと老えてよいであろう。これより脱分極に従 頻度の上に大きくひびく関係にあるからである。 って頻度は増加し,刺棘の大きさは減少して7. このことについての説明は考察の項に・Y)ずる。 5.0×10−9amp以上の通電では非常に小さくなり, 膚この実験成績は各般階における通電時間を短 個々の刺棘は判別し難くなる。脱分極時の刺棘高 時間にとどめてはあるが,b以下の二合はそれ以 前の通電効果が影響して来ると思われるから,こ の減少は陰極通電により刺棘発生部位に陰極電気 緊張状態即ち脱分極(これは通電部位よりの電気 の条件は多少老慮せねばならないであろう。 緊張電位であるから誘導部位より当然小さい)が 次に第4図に示した実験と同様の方法でより広 生じているからそのためと,頻度が大きくなると い範囲にわたって通電を行ない各電位に回る時間 前の刺棘の相対不応期に次の刺棘が発生する関係 以上保ち,各々の通電電流に対して放電頻度が一 になるためと考えられる。脱分極に伴う四囲の波 定になった後に記録したものが第6図である。 この例は静止時より一1・5×10−9amp通電ての 形の変化は大ささの減少,上昇率及び下降率の減 (陽性通電)を行い,その状態から0.5×10−9amp. 刺棘に関する詳細は別に報一告8)する。又第4図の 少,陽性後電位の減少等である。陰極通電時の小 一465一 18 A G 樹 缶 亀 てゆき,各膜電位において一定時闇後(過渡的現 25 .JeePe 一eafe 20 6 風 任 2)緩電位に対する直流通電の効某 ノ 第8図は上から一2.0,一3.O,一4.0,一5.0及 . び一6.0×10m 9 ampの通電時(高分極圏)に,それ り / 10 ぞれ充分に暗順応をせしめた後一定強度の光刺激 / 5 を与えた際の活動電位の記録である。高分極がす .ノ k 纏 9 × すむに伴なって緩電位(脱分極)がより進行しない 〉“o’9 AMP, 2 一2 一1 O 窪 ぼ前の揚合と同様の結果が得られた。 / 15 記 ; “ ”e 象が終ってから)の刺棘頻度を測定した揚合はほ a/e 短 2 であり,通電を脱分極状態から漸次通電量を減じ 3 と刺棘の発生が認められないと乏力〉ら刺棘発生部 4 位がある膜電位に達しないと発火しないと考えら B れ,一定の発火電位(限界膜電位)の存在を示唆 する。又高分極に伴って緩電位(この図では初期 峯 4 極大部)に重畳する刺棘は減少し,次で来る沈獣 /i :, 2 N eN o 一軋。・一・) Xo’一一N− 一20 tNTERVAL BETWEEN IMPULSES 第7図細胞内通電時おける電流の大きさと放電昇 点(A)及び放電間隔と電流の大きさ(B)との関係 揚合には脱分極の直後,放電頻度について過渡現 一3eO 象(適応)のみられる:時期に刺棘の大きさは変化し ていないが,比較的大きな脱分極に際してはその 初期において時闇的に刺棘高の減少がみられた。 注目すべきことは放電間における緩かに進行する 脱分極過程で,之が刺棘頻度が増加するに従って 一4.0 速く進み,.一定の膜電位においては一定の発火電 位を示している点である。第6図における通電電 流と刺棘の頻度,叉は放電間隔との関係を示した ものが第7図である。 一5.0 三図Aは通電電流.と頻度,Bは間隔と通電電流 との関係を図示したもので,これから或る通電電 流の大きさ(3∼4×10”9arnP.)迄は電流に比例し て頻度が増加するが,それ以上の通電電流に対し 一一 6.0 ては,頻度の増加率は漸次減少して或る頻度以上 には増さない様な関係にある。この様に旧く僅か の電流の変化でも聞隔が変化し,特に通電電流に 対する第7図の様な視神経の特性から考えて通電 ’第8勝軍分極時における緩電位及刺戟放電 電流の小さい場合にその効果は著明であるという 数値は通電電流(×10『9amp),時標は0.1秒差’較正電 ことになる。樹この様な通電実験の結果は可逆的 圧は20mV,矢印の時点より持続光刺激を開始 一 466 Lm 19 期(silent period)が早く初まる様な関係にある。 求めるために二連式微小電極を用いて通電を行 沈獣期とは一般に初期極大の部分から一定の脱分 い,広範囲に膜電位を変え,各膜電位における暗 極状態の移行期にみられる刺棘放電の脱落で第1 報の実験結果にもみられるものである。高分楓と 順応時の光刺激(一定強度で一定時間持続)・に対 伴う緩電位の変化としては大きさの増加,上昇率 電を行わないときの静止電位は約20mVで,この 状態では自発放電がみられるが,膜電位が25mV の増大,初期極大に達する迄の時間の短縮等が挙 げられる。つまり高分極によって緩電位は増大す るが,初期極大1こおいても前の状態よりは膜電位 する活動電位を記録したものが第9図である。通 になるまで通電を行った揚合は自発放電は全く認 が大きいため刺棘の減少がみられるものである。 められない。これより2.5mVつつ脱分極を進めて 行き,各々の電位で活動電位を記録したものが第 膜抵抗の問題は後に述べるが,高分極による緩電 9図である。同図Bは膜電位が25mVの場合から 位の増大はこの図からも明らかであり,これは緩 0,即ち細胞内を外液と等電位になったところ迄 電位発生時に膜抵抗が低下することを示すものと を5mVおきに, Aは潮続き外液より細胞内の電 老えてよい。 位を高くした場合(この場合の膜電位の大きさは 絶対値に一をつけて表わすことにする(を2・5mV 次に初めの膜電位と緩電位の大きさとの関係を A B iil,一一 o ,・ iE, 5 糊圃唱!1 ゆ lsl” t5 20 ゐ 国 oe む 罰撫㏄幌レ m ” T亀蘭巳O覧+lSEC, 第9図 膜電位を変化せしめたときの活動電位の変化 数恒は初めの膜電位(mV),(本文参照) おきに示した。.まつ刺棘頻度の増加が,脱分極が によって指顧高が著しく増大する。光刺激を切っ 緩電位による揚合と通電による場合とを問わず全 た際の刺棘の脱落する時間は脱分極と共に短縮 く膜電位に依存し,かつ膜電位の減少に対し連 し,ある脱分極(膜電位が5mV)以上では消失 続的に変化していることがわかる。又,脱分極 に.より沈黙期が短縮し,ある膜電位以上で刺棘が する。 次に黒斑において緩電位の変化をみるとBにお 小さく不規則な基線の動揺として認められるが, こ・のような際わずかな陰性方向への緩電位の変化 一 4et 一 いては脱分極と共に減少し,Aつまり膜電位が反 転するあたりから緩電位も反転し,光刺棘によつ 20 て陰性方向の電位変化が生ずる。:更に膜電位が一 とでは異なると考えねばならない。 10mVを超えるあたりからは初期極大に相当する 緩電位発生時の膜抵抗の変化について概略を知 変化はわずかになり緩電位の下降及び上昇は著し るために第9図の実験例について,通電電流と静 く緩徐となる。いま,緩電位の大きさを,初期極 止時及び活動時(緩電位の初期極大)の膜電位の 大の相,一定の脱分極状態及び復分極相にわけて 変化との関係を示したものが第11図である。この 観察すると,初期極大の反転は膜電位が大凡一10 mv ∼一 P5mVのところでおこり,一定の脱分極状態 8 の反転は大凡OmVでおこる。これの反転電位の 61 A./er 鉱∠ご メ mv 酬5 峯 謹 一1.O 一〇.5 ノ 2 登 lj to 葺 芸 仁フ O.5 1.0 t.5 r9 刈OAmp・ /V 14, o1 or @. x e/e i’ 護 0 5 ee ノ♂ e 1. o/O’?.e/ −8 第11図静止時及び活動時における光受容細胞の電洗一 電圧関係:●…静止時,×…活動時(本文参照) /or .e−e 。 ノ/ Jo− q一一フ? 『アi。ノ◎ /O ..ei e 図は横軸に通電電流を,縦軸に電位の変化を目盛 lo つたもので,電流は陰極通電を+とし,電位の変 20 maV MEMBRANE PO↑E酎T貞L 化は十通電によっておこる方向即ち陽性方向の電 7・)・” Z e 位変化を+とし通電0の電位からの差で表わし, 静止時(実線)と初期極大(破線)を別々に示し 輌5 たものである。各通電電流に対する膜抵抗はdV/ dlで表わされることになるから,静止時の膜抵 抗は通電電流が非常に小さい状態では約5MΩで 第10図第9図の実験例におけるはじめの膜電位と 緩電位の大きさとの関係 ○…初期極大,④…一定の脱分極状態 あり,僅かではあるが陽極通電(一通電)で増大 し陰極通電で減少する傾向にある。之に対して活 絶対値については増巾器のdrift,形質膜の整流作 動時には通電0附近において静止時の約玩に過ぎ 用及び電極先端部における拡散電位の差19)等によ ず,陽極通電で益々減少し,陰極通電では増大し り多少の誤差が加わる可能性があるが両考の反転 て静止時の抵抗値に近づく様な傾向がみられる。 電位の差(10∼15mV)にはこれ等の誤差は含まれ この初期極大における抵抗の変化は緩電位の共の ない。文復分極後に陰性:方向の一過性の電位のふ 後の「一一一“定の脱分極状態」についてもほぼ同様の れがみられるが,この電位の反転は,膜電位が静 関係である。 止電位よりやや大きなところ即ち22∼23mV附近 この緩電位発生時の関係はこの実験条件におけ と思われる。第10図はこれ等の関係を明.らかにす る値であり,条件が異なった場合については異な るために第9図における初めの膜電位に対する緩 ると考えられるのでこのことに関しては考察の項 電位の初期極大及び一一reの脱分極状態の大きさ に記す。尚ここで膜抵抗と称した.ものは細胞内の (光刺激後1.5secにおける緩電位の値)を示した 1点よりの実効抵抗である。 4. 考 ものである。 察 この結果から,緩電位発生時には膜抵抗が減少す 1) 視神経末端の興奮性と反復興奮の発生に関 ると思われるがこの場合の透過性の増大するイオ して:以上の成績から光刺激時に見られる反復性 ンの種類は初期極大と共の後のt一一一・定の脱分極状態 の刺棘放電は光受容細胞の脱分極によって生じ, p一 ?468 一 21 その頻度は脱分極の程度即ち神経末端部が受ける 外向き電流の強さに依存するといえる。画しばし ば認められる自発放電は受容細胞に電極を挿入す ろことによりそこに脱分極が生じたためと老えら dE tg x 2.0 れる。外向き電流と放電頻度との関係は第7図A に示したように外向き電流(又は脱分極)がある大 きさより小さい場合に之に比例する関係にあり, 獣△ i.o それより電流が増すと頻度の増’加率は減少して一 定頻度に漸近する。このような神経に対する外向 き電流と頻度との関係はいつれも通電後一定時間 を経た後(定常状態)における関係であり,一般に 外向き電流の与えた直後には過渡的現象として, 40 6C 80 IOO 120 Lntervat between ivnputses (msec) 第7図の関係より高頻度のスパイクが発生する (第4図,第5図参照)。 第12図直流通電時における時問的な放電聞隔の延長を 示す図:×…第1の放電間隔,ロ…第3の放電間隔, ●…第5の放電間隔,△…第7の放電問隔(本文参照) 著者8等はさきにある頻度で反復放電がおこっ も,iの値がioに非常に近い場合を除いては実験 ている際にその放電問の閾値を測定した結果か ら,閾値は漸次回復して次の放電の初めに丁度0 的には無限大といってよい。ここで実際の適応作 となるような関係を得て,第7図Bが定常状態に 用が時間的にどのように起っているかをみるため おける閾値の回復曲線に柑陣することを述べた。 に,第4図の実験例について各通電一流に対する 即ちここに起っている反復興奮はAdrian9)のい できる関係にあり,脱分極による放電間隔の減少 第1の放電間隔(第1の放電と第2の放電との間 隔。以下同様)第3,第5及び第7の放電間隔を Plotしたものが第12図である。第7図Bの曲線を は,その脱分極による閾の低下と考えてもよいわ 定常状態における閾値の回復曲線として,「之と第 けである。云い換えれば,通電電流に対する頻度 12図の各曲線とを比較して考えると,第12図にお わゆるftrecovery cycle hypothesis”により説明 又は問隔の関係が第7図の様に表わされることは ける第1の曲線(×印)はその放電三二からみて 放電後の閾値の恢復がこの様な(第7図Bの様な) 第7図Bの曲線の2∼3.5×1e”9ampの聞に相当 関係にあるからで,例えばある程度以上通電電流 を増した場合放電聞隔の減少率が著明に低下する し,第3(〔]印),第5(磯印),第7(△印)の曲線 の対応位置は漸次回復曲線(第7図B)上を下方 ということも,その場合の放電毒忌附近では閾値 に移行するような関係にある。この場合第12図の が急激に上昇しているということに外ならない。 曲線g)移行速度は漸次減少しているがこの曲線内 又持続する外向き電流(即ち脱分極)を与えた際, における各点の相対的な速度の差は少ない。つま 初期において時間的に頻度が減少するというi現象 りこの程度の通電電流の範囲ではいつれの場合も も,時間的な閾値の上昇と等価であり,古典的生 同じような速さで閾値の上昇が鯵り・その上昇 理学におけるいわゆる適応現象(accomodation) は時闇的には漸次減少して各々初めより高い一定 に外ならない。 の閾値(定常状態)に移行することがわかる。 この様な陰極通電時の閾上昇の経過は,直流通 ここでこの神経線維の適応の量的関係を考えて みる『と,Lucasによる:最小傾きは非常に小さく, 電で反復興奮をおこさない神経線維についてE− Hi11による適応常数(N)は非常に大きいというこ rlanger及びBliar21,その他が報告している結果 とになる。Katz20によると反復興奮をおこす神 と同様なものと考えてよい。又著者等22)25)は陰極 経線維についてのλは の後抑圧,陽性通電時及び通電後における興奮性 の上昇についても刺棘頻度の変化を目標として測 T= N log i/io (T:反復興奮を生ずる主動。io:閾電流。 i:与 定し,やはり同様の経過をとるという結果を得 えた電流。i>io) た。この様にカブトガニ視神経における適応作用 という関係にあるというがこの式より求めたλ は他の例に較べ:量的差即ち適応作用も小さいとい 一 469 一 22 う点が異なっているのみであることは,漸増電流 mv を刺激として用いれば哺乳類の有髄神経でも反復 S5 ot ノ 興奮が現われること24)25)からも推測できる。一一般 の知覚神経末端における反復興奮の発生が受容器 に発生する緩電位(recepor potential)の経過と io // 知覚神経の刺激生理学的性質,特に適応に関する 性質との関係で決:まるものと考えられる。 又反復興奮を閾値の感泣からでなく電位の変化 5 という点からみると第4図,第6図に認められる ように放電間にゆるやかに進行する脱分極があ り,之が一定の電位に達すると次の放電が惹起さ o れるような関係がみられる。之等はHodgkin26) がカニの運動線維(無髄)に直流通電を与えて得た ,//g/i ・一 1 10 IOO tooO 蹟ELA了iV罵 9N「『ENSI了》 成績と同様のものである。最:近細胞丙誘導により 第13脚光刺激の強度と緩電位の大きさとの関係 他の細胞でも反復興奮時に同様な電位の関係の認 ○…初期極大,〉〈…「定の脱分極状態(本:文参照) められることが報告27)28)されている。この様な.見 (但しa’及びb’は定数) 地からすれば反覆興奮の頻度は外向き電流による とおきかえることが出来る。つまり受容器におこ 視神経末端の脱分極の程度と,陽性後電位と神経 の限界膜電位とから決まることになる。叉同様の る緩電位の大ききと視神経にわこる刺棘の頻度と 見地からすれば適応作用に関しても直流通電時の はいつれもほぼ光刺激の強きの対数に比例すると 膜電位の変化(いわゆるdelayed rectification) いう関係にある。 で説明出来るものと思われるが2950),本実験の成 この様な関係は他の受容器61噌57)についても報 績からはこの点に関して充分な検討が出来ない。 告されているところであり,又我々の感覚の強さ 2)光刺激の強度及び緩電位の大きさと刺棘頻 が刺激の強さの対数に比例するというWeber− 度との関係について:第7図より刺身頻度は通電 Fechnerの精神物理学的法則と老え合せて興味あ 電流がある大きさ以下の場合はこれと比例する関 る問題と思われる。 係にあるが,通電電流があまり大きくない範囲で 伺,緩電位の上昇期,初期極大の下降期及び再 は膜電位の変化と電流の大きさは比例すると構え 分極期等に相当した刺棘頻度の変化について(沈 てよい(第11図参照)。故に脱分極が非常に大きな 獣期等について)は,刺激の強まり要素(変化要 食合を除けば脱分極の大きさは刺棘頻度と比例す 素)が加わりやや条件が複雑になるが,この問題 る関係にあると考えてよい。第1報における光刺 激の強度と緩電位の大きさとの関係(第1報,第 11図参照)を初期極大及び一定の脱分極状態につ に関する実験的検討を行いその一部は既に報告22) し.た。爾詳細については別に報告25)する予定であ る。 いて電位め大ききを縦軸に,光刺激の相対的強度 3)緩電位の原因としてのイオン流について: の対数を横軸にとったものが第13図である。いま 緩電位に対する直流通電の効果から,緩電位のう 光刺激の強度を1,緩電位の大きさをPとする ち一定の脱分極相は外液と同じレベルに向う電位 と,この図から両翼の関係は大凡 変化であり,初期極大はそれより10mV以上高い P=::a log 1十b ・・・・・・・・・・・……L・…a・・…一一・・…cl) レベルに向う電位変化であることを知った。活動 .(但しa及びbは定数) 時における電位変化は光受容細胞形質膜における という関係で表わされる。特に「一定の脱分極状 イオン(Na+, K+及びC1つ透過性が変わり,電 態」についてはよくこの関係を満足している様に 思われる。更に放電頻度Fが緩電位の大きさと比 気化学的勾配に従ってイオン流が生じた結果,電 位が新たなイオン透過性で定まる或る膜電位に向 例する範囲ではCO式は う現象であると老えられる。以下光受容器の活動、 F=H a’log 1十bi… 一・… 一・・・・・・・・・・… ”“・’”’一’”“”・’C2) 時において形質膜のイオン透過性が初めの平衡状 一470一 23 態(静止電位)に較べて如何に変化するかという きに回転して静止時の曲線(実線)に近づく。爾 問題を考えてみることにする。 初期極大に関しては順応条件によっても異なって 一般に或る平衡状態にあるときの膜電位(E)は くる41’。一般に活動時における膜抵抗の経過の概 次のように表わされると考えてよい38)59’。 略は,緩電位の発生と共に低下して初期極大に至 E一撃1・磯1長1詳無慧畿1臨} り,その後はやや増加してほぼ一定値を示し(一 定の脱分極状態)刺激が終ると増加して静止の値 ・(3) に復するものと思われる。 (但しPK, PN。及びPc1は各イオンの透過定数 以⊥述べた様な,活動時におけるPK:PNa:Pc ユ の変化と膜抵抗の変化とを中心とし第2報に述べ 〔K〕i,〔Na〕i及び〔Cl〕iは細胞内の各イオンの 濃度,〔K〕o,〔Na〕o及び〔CI〕oは外液の各イオ た活動電位に対するK+及び:Na+効果を参考とし ンの濃度,Rは気体定数Fはプアラデ一定数, て緩電位発生時の形質膜を介してのイオン流,即 Tは絶対温度) ち緩電位の原因としてのイオンの動きについて考 外液にはカブトガニ血清中のイオンの分析結果 えてみることにする。 から得られた生理的塩類溶液40)を用いている故各 刺激の開始から初期極大に至るまでは:Na+透過 イオン濃度は既知量であるが,細胞内イオン濃度 性の相対的増加と膜抵抗の減少とから:Na+透過性 は不明である。しかし他の海産無脊椎動物の神経 の絶対値が増して:Na+のnet i且fltlxが増加して 組織におけるイオンの分析結果11)から考えて,充 ゆき初期極大で最大となり,次で嫌+透過性の相 分に次の条件は成立つと考えてよい。 対的減少がみられるが膜抵抗はあまり変らない (K)i>(K)o, (Na)i〈CNa)o, (Cl)i〈(Cl)o (多少は減少する)ことから,Na+透過性の絶対値 ある膜電位において活動時に電位の変化がみられ は減少してゆくと同時にK+透過性(叉はK+及び ない場合,その電位(反.転電位)を活動時の平衡 Cl一透過性)の絶対値の増加により静止時と較べて 電位とすれば,実験的に得られた各平衡電位と(3) は1Sta+, K+共に透過性の増フ「〈を来したことにな 式とからその場合の各イオンの透過性(絶対値で はなく,各イオン透.過性の相対的な値即ちPK: PNa:PCI)が推測出来る。まつ毒争止時は細胞内が り,Na+のnet重n’fluxは減少し(静止時よりは 大きい)K−1.のnet effluxがナ曽罪して…定の脱分 極状態に移行し,大凡この状態を維持するものと 外液より約20∼30mV陰性,即ち〔3)式についてE 、思われる。亘謁激力孫冬つた後はeNa+ 及O’・)’K+透 は20∼30myであるからPNaに対してPK及びPCl 過性の絶対値は同時に減少して静止時の値に復す は充分大きいことが予測される。叉活動時につい るものと考えられる。或はK:+透過性はNa+透過 ては初期極大の平:衡電位は一10mV以上であるか 性よりやや遅:れて減少を来す(delayed rectifica. らこのときのPNaはPK及びPclに較べてフF・Cきな値 であり,又一定の脱分極状態においてはEは約0 であるから,PNaとPK及びPCIの比は前の二者に tion)結果として緩電位後の陰性方向の電位のふ れが生ずると考えられる可能性もある。 の 活動電位発生部位の模型的等価回路及び総 較べてずっと近くならねばならないことになる。 括:以上のことを第1報にあげた緩電位及び二二 次に全体としてのイオン透過性の変化を知るた 放電の発生部位についての模型的等価回路(第14 めに活動時における膜抵抗の変化をみる’と第11図 より通電電流が小さいときは初期極大にわいて静 止時の約%に低下することがわかる。叉「一定の 脱分極状態」についても初期極大よりやや大きな 抵抗値を示すがほぼ同様な関係にある。しかしこ の例より光刺激を強くしてゆく頃合には第11図に おける活動時の電流電圧曲線(破線)は同図にお 図,これは第1報第15図を書き換えたもの)で説 明すると次の様である。第14図においてAは緩電 位発生部位(光受容細胞),Bは二二放電発生部位 (視神経末端)形質膜で,Ao, Boは膜の外側, Ai, Biは膜の内側を示し, ERは静止時膜電位でK+の 平衡電位に近いものと老えられるのでK+電池と いて0を支点として矢印の方向に漸次回転して横 軸(時間軸)を横ぎらない範囲で或る曲線に収察 仮定する。ERに直列に存在する抵抗は静止時膜 するような関係にある。光刺激を弱くすれば逆向 とBiとの間に介在すると考えられる抵抗を示す。 抵抗,Cは膜容量, Ro及びRiはAoとBo及びAi 一471一 24 1) 陰極通電により形質膜の脱分極をおこさせ B A Ro Ae ると視神経の反復興奮の頻度が増加する。この揚 Bo 合の増加は通電電流(叉は脱分極)がある範囲内 では電流の大きさに比例し,それ以上では漸次増 加率が減少する蘭係にある。 S 第1報における結果から光刺激時の脱分極(緩 電位)の大きさは光の強度の対数にほぼ比例する R 関係にあるから,光刺激の強度の対数と刺棘頻度 C C dR Ri Ai EA ともある範囲では比例する関係である。 2)反復興奮時における電位の変化について Ejよ は,放電闇にゆるやかに進行する脱分極がありこ れが一定の電位に達すると次の放電が惹起され る。脱分極により放電頻度が増加した巡合は放電 Bi 間の脱分極過程が速く進行する関係にある。この 様な見地からすれば反復興奮の頻度は刺棘発生部 第14図緩電位及び刺棘放電め発生時における形質 膜の模型的等価回路,Aは緩電位発生部位, Bは刺棘発生部位を示す(本文参照) 位の脱分極の程度と,刺棘の陽性後電位と神経の 限界膜電位とから決定されるものと考えられる。 今Aに持続する光照射を与えるとAにおいてER 及びCに並列に抵抗Rが入るためAに脱分極が生 3) 通電によって比較的広い範囲に膜電位を変 えた際の緩電位の経過から緩電位の反転する電位 ずる。実際はここに暗順応の際は光照射の初期に を求めた結果は,緩電位のうち「一定の脱分極状 ERと逆向きの電池を考えねばならないわけであ 態」に相当する部分はほぼ外液と同じ電位,「初 るが大凡並列抵抗の挿入と等価と考えてよい。こ 期極大」はそれより10mV以上高い電位に向う変 のRの値は光刺激の強さによって定まり,刺激が 化である。 強くなれば小さくなる関係にあり,Aにおける脱 又活動時におげる光受容細胞の膜抵抗は静止時 分極の大きさは刺激強度の対数に比例する関係に に較べて減少する。減少の程度は初期極大におい ある。一方Bは外向き電流を受けることによりス て最も著しく「一定の脱分極状態」の間はほぼ一一 イッチSの閉開がおこる性質を有し,閉開(offか 定である。 らOnまでの時間は一定)の頻度は外向き電流の 4)以上の実験結果とこれまでの成績とから, 強さに比例する。Bにおける外向き電流の強さは 視神経における適応作用と反復興奮の機講,緩電 Aの脱分極の大きさにおおむね比例するから,光 位の原因としてのイオンの動き及び緩電位と刺棘 の照射時には光強度の対数に比例する頻度でSの の発生部位に関する等価回路等につい.て考察を加 閉開が生ずることになる。BにおけるEAはNa+ 電池であり,EAに直列に存在する抵抗値ERは えた。 欄幽するに当り御懇篤なる御指導を賜った恩師冨田 の直列抵抗の値よりずっと小さいものと老えられ 恒男教授並に御協力を頂いた菊地鎮二助教授に潔甚の る。叉実際はSの閉開直後一過性にERの直列抵 謝意を表す。 抗の減少を考えねばならない(第2報参照)。こ こで光刺激によってAに生ずる脱分極が緩電位 で,Aの脱分極によって生ずるSの閉開による一 過性の電位変化が刺棘放電に相当する。 5.結 文 献 1)Hartline,旺K., Wagner, H.G. and Mac− Nichel, E.F.:The peripheral origin of nervous activity in the visual system, Cold Spr. 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