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論 文 - 日本証券アナリスト協会
論 文 論 文 証券アナリストによる株式レーティング情報と株価パフォーマンス ―投資家はレーティング情報を用いてαを出せるか?― 岡 田 克 彦 中 島 裕 元 目 1.はじめに 2.先行研究 3.データ 次 4.方法論 5.実証結果 6.結論 本稿では証券アナリストの発する情報のラージサンプルに基づき、証券アナリストの市場価格に与えるインパ クトと、その情報を利用する投資家の超過利潤取得可能性を検証した。その結果、証券アナリストの株式レーテ ィング変更は大きな株価変動をもたらすものの、投資家がその情報を活用して得ることができる超過利潤は限定 的であることが分かった。ただ、運用規模が大きくない個人投資家であれば、証券アナリストの格付情報に依拠 してある程度の超過利潤は期待できる。 長性を予測し、経営者の質を考慮した上で、投 1.はじめに 資の意思決定を行うべきであろう。しかし、一 合理的に投資しようとするならば、投資対象 般の投資家のみならず、プロの投資家であった とする企業の財務内容を精査し、当該企業の成 としても全銘柄に対して精緻な調査をするのは 岡田 克彦(おかだ かつひこ) 関西学院大学大学院経営戦略研究科教授、ワシントン大学大学院MBA、神戸大学大学院 経営学研究科修了、博士(経営学)。モルガンスタンレー証券ニューヨーク、東京、UBS 証券東京支店FVP、Halberdier Capital Management Singapore社取締役を経て、現在㈱MagneMax Capital Management CEO/CIO兼務。専門は行動ファイナンス。行動経済学会常任理事。 学術雑誌「行動経済学」副編集委員長。最近の共編著書に『一からのファイナンス』 (碩 学舎2012年)。 中島 裕元(なかじま ひろゆき) SCSK株式会社融資システムプロジェクトマネージャー。2012年関西学院大学大学院経営 戦略研究科修了、ファイナンス専攻MBA。01年関西学院大学商学部卒業、㈱住商情報シ ステム金融系システム開発業務担当を経て現職。 ©日本証券アナリスト協会 2012 87