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-1- -2- -3- -4- -5- -6- -7- -8- -9- -10- -11- -12- -13- -14- -15- -16- -17- -18- -19- -20- -21- -22- 15/10/30 完全大血管転位 術後遠隔期の問題 完全大血管転位 術後遠隔期の問題 I型 II型(心室中隔欠損) 千葉県循環器病センター 成人先天性心疾患診療部 心房位血流転換術(Mustard術 Senning術) 立野 滋 動脈位血流転換術(Jatene術) III型(心室中隔欠損+肺動脈狭窄) Rastelli術(心内) 年代別 手術方法 (ミュンヘン) 生存率(ミュンヘン) 25歳 20歳 心房位血流転換術 動脈位血流転換術 Horer J JTCS 2009 Horer J JTCS 2009 Mustard術後のイベント(オランダ) 心房位血流転換術後の生命予後 30年生存率 70-80 % 死亡原因 突然死 心不全 危険因子 心室中隔欠損 左室流出路狭窄(施設により) Mustard術(施設により) Roos-Hesselink JW. Eur Heart J 2004 -23- 1 15/10/30 心房位血流転換術後の術後合併症 心房位転換術術後の右室機能低下(ミュンヘン) 遺残病変 バッフル狭窄 (5-15%) 上大静脈>下大静脈 Mustard>Senning 右左短絡(25%) 肺静脈ルート狭窄(3-8%) 心不全 三尖弁閉鎖不全 右室機能低下 不整脈 洞機能不全 房室ブロック 心房粗動 心房内リエントリー性頻拍 突然死 (心室頻拍 心房粗動 洞停止) 肺高血圧 5-18% Lange R. Circulation. 2006 心房位転換術術後の洞機能不全(トロント) 心房位転換術術後の心房粗動(トロント) Gelatt M. JACC 1977 Gelatt M. JACC 1977 動脈位血流転換術後の生命予後 10-25年生存率 97-86 % 死亡原因 心筋梗塞 突然死 左心不全 肺高血圧 危険因子 動脈位血流転換術後の術後合併症 冠動脈閉塞・狭窄(8% 9割が1ヶ月以内の発症) 冠動脈ボタン吻合手技による線維性内膜肥厚 肺動脈狭窄(5-28%>>>5%未満 1再未満発症) 肺動脈吻合部 左右肺動脈分岐部 心室中隔欠損 左室流出路狭窄(施設により) Mustard術(施設により) 大動脈弁閉鎖不全・大動脈拡張 -24- 2 15/10/30 動脈位血流転換術後の大動脈弁閉鎖不全 大動脈拡張 動脈位血流転換術後の冠動脈イベント root z-score ≥3.0 Legendre A. Circulation. 2003 Marcy L. Circulation. 2004 動脈位血流転換術後の大動脈弁閉鎖不全 動脈位血流転換術後の大動脈弁閉鎖不全 Rito ML. JTCS. 2015 Rito ML. JTCS. 2015 動脈位血流転換術後の大動脈弁置換術 動脈位血流転換術後の大動脈弁置換術 99.3 97.7 Losay J. JACC 2006 Rito ML. JTCS. 2015 -25- 3 15/10/30 Rastelli術後の生命予後 症例1 15歳男性 1 診断 経過 完全大血管転位症(II) 筋性部心室中隔欠損 1歳 TGA (N=79) Jatene (Lecompte)術 + 心室中隔欠損閉鎖 術後中等度の大動脈閉鎖不全 others Total MAPCA DORV .8 Survival rate 12歳 カテにて大動脈閉鎖不全III度 労作時の動悸に対して内服治療開始 15歳 TOF+PA .9 .7 校内で倒れているところを発見され心肺蘇生 搬送後、低体温療法を施行し後遺症なく回復 精査・加療目的に当院へ転院 PTA .6 .5 years after repair 0 Rastelli術後の術後合併症 5 10 15 20 25 30 Tateno S. Int J of Cardiol 2006 Rastelli術後の再手術 右室流出路狭窄(心外導管狭窄)ほぼ必発 左室流出路狭窄(心室中隔欠損狭小化) 心室中隔欠損遺残 右室機能不全(肺動脈弁狭窄・閉鎖不全による) 左室機能不全(心室中隔拡大による) 不整脈(心房性頻拍 心室頻拍) Horer J. Ann thorac Surg 2007 まとめ 術式により、好発する術後合併症は異なる 合併症の種類、出現時期を理解して、適切 な管理が必要である。 -26- 4 -27- -28- -29- -30- -31- -32- -33- -34- -35- -36- -37- -38- -39- -40- -41- -42- -43- -44- -45- -46- -47- -48- -49- -50- -51- -52- -53- -54- -55- -56- -57- -58- -59- -60- -61- -62- 11/21/2015 第13回日本成人先天性心疾患セミナー 第13回日本成人先天性心疾患セミナー 大阪千里ライフサイエンスセンター 2015.11.21 CHDに対する心・肺移植 心臓移植: 下記の肺病変のないもの • 単心室(根治不能例、Failed Fontan, PLE等) • 修正大血管転位 • TFなどの根治術後の心不全 両側肺移植(DLTx) • CHDの根治術後 両側肺移植(DLTx) +心内修復術 • 修復可能・左室機能良好の場合 心肺同時移植(HLTx) • 心内修復困難・不可能の場合 • 心室機能不良の場合 成人先天性心疾患と移植 国立循環器病研究センター 移植医療部 福嶌教偉 単心室 Fontan型手術前 単心室 Fontan型手術後 軽度肺血管抵抗上昇(PVRI<9W.U.・m2) 低体心室駆出率(SVEF<30%) 高度房室弁逆流 カテコラミンの持続投与が必要な場合 薬剤抵抗性の致死的不整脈 移植を決める上で、慎重に判断すべき状態 高肺血管抵抗の評価 高肺血管抵抗は心肺又は肺移植の適応 小児例はPVRIで評価 100% 高度房室弁逆流 コントロールできない蛋白漏出性胃腸症 チアノーゼの著明な肺動静脈瘻 高度左室流出路狭窄 治療抵抗性の致死的不整脈 O2・NO吸入(最大40〜80ppm)等を行い • PVRI > 9 W.U.・m2 • Transpulmonary gradient > 15 mmHg以下 高度な側副血行路を認めるもの 肺静脈狭窄・肺動脈狭窄を認めるもの 複数の手術歴のあるもの 高度の肺動静脈瘻・蛋白漏出性胃腸症を伴 うもの であれば、心臓移植、以上ならば肺移植 肺動脈の組織学的所見も重要 -63- 1 11/21/2015 第13回日本成人先天性心疾患セミナー 移植適応評価 PAP PAP反応 肺組織診断 to O2, NO (HE grade) none High yes >2 <1 Low 心機能 poor* good poor good poor good poor good 成人心臓・肺移植の適応疾患 治療方針 ・心肺同時移植 ・ 肺移植+ 修復 ・ 心移植 心臓移植 ・ 修復 心肺同時移植 片肺移植 congenital 0.3% 両側片肺移植 congenital 1.2% ISHLT *:修復困難(時間要)を含む 2012 J Heart Lung Transplant. 2012 Oct; 31(10): 1045-1095 成人CHDと他疾患の心臓移植の累積生存率 1987-2006UNOS 35,334例中 CHD 689(2%) 成人CHDと他疾患の心臓移植の危険因子 成人CHDと他疾患の心臓移植後の死因 -64- 2 11/21/2015 第13回日本成人先天性心疾患セミナー 疾患別の成人心肺同時移植の累積生存率 疾患別の成人心肺同時移植件数の推移 ISHLT (:January 1990 - June 2010) ISHLT 2012 J Heart Lung Transplant. 2012 Oct; 31(10): 1045-1095 2012 J Heart Lung Transplant. 2012 Oct; 31(10): 1045-1095 Survival of BLTx for Eisenmenger syn 国内での成人CHDの移植 (Transplants: January 1990 – June 2005) 心臓移植 • UVH、RVOT再建術後 心肺同時移植 N= 38 • DORV, PDA, CoA, Eisenmenger syn N= 15 p = 0.2632 1例 1例 両側片肺移植+心内修復 ISHLT • VSD, Eisenmenger syn • ASD, Eisenmenger syn 2007 3例 4例 J Heart Lung Transplant 2007;26: 782-795 症例1 40s M 症例1 40s M UVH, CAVC, dextrocardia 生下時 チアノーゼ。上記診断 2歳 右室流出路狭窄解除 37歳 心不全増強し、紹介 CVVVR施行するも、カ テコラミンに依存。 38歳 NW登録 PA Ao UVH, CAVC, dextrocardia Rt.SVC Lt.SVC Hemi-azygos continuation l-TGA; s/p RVOTR Bil.SVC RV Hepatic v. 右胸心 2004/11/18 CTR 67 % 右胸心 -65- 3 11/21/2015 第13回日本成人先天性心疾患セミナー 症例1 40s M UVH, CAVC, dextrocardia Recipient heart 症例1 40s M 症例1 40s M UVH, CAVC, dextrocardia 症例2 38 M VSD, Eisenmenger’s syn Donor heart UVH, CAVC, dextrocardia 主訴: 労作時呼吸困難(DOE) 現病歴: 7歳 チアノーゼ、労作時息切れを自覚し、精査 9歳 右肺動脈絞扼術施行するもPHが持続。 21歳 喀血が出現し、DOEも悪化。 30歳 HOTを導入、肺移植待機登録。 32歳 塩酸アミオダロン内服開始 移植時 NYHA 3、HJ 4、mPAP 76mmHg。 喫煙歴:20本 x 14年、30歳~禁煙 現症: チアノーゼ、肝腫大、ばち状指 UCG 移植前 症例2 38 M 移植後 3日 VSD, Eisenmenger’s syn Large VSD(II), 35 x 21 mm RVOTO (-) LVDd/Ds 53.6/ 39.3mm, EF 52%, MR(-), TR trivial, AR(-), PR 症例2 38 M 全身状態 右肺 VSD, Eisenmenger’s syn NYHA 3→2, HJ 4→3 アミオダロン中止後不整脈消失 UCG 5ヶ月目 VSD 5mm RVOT narrowing (+), 収縮期前後 に4mm, flow 1.5m/sLV RL contraction 改善傾向 LVDd/Ds 47mm, LVDs 34mm, EF 54% #residual 左肺 hematoxylin-eosin (H&E) elastica van Gieson(EVG) -66- 4 11/21/2015 第13回日本成人先天性心疾患セミナー 症例3 35 M DORV,PDA, CoA, ES 症例3 35 M DORV,PDA, CoA, ES 主訴: 労作時呼吸困難(DOE) 現病歴: 5歳 チアノーゼ、労作時息切れ自覚 精査し、VSD,ESと診断 17歳 喀血が出現し、DOEも悪化。 21歳 HOTを導入 28歳 当院紹介、精査、上記診断 30歳 大量喀血、運動能↓ 心肺同時移植登録 移植時 NYHA 3、HJ 4、mPAP 82mmHg。 喫煙歴:なし 現症: チアノーゼ、ばち状指、DOE C) A) Ao VSD RV LV B) Ao PA PDA Co A PA Ao VSD RV LV Implantable LVAS for CHD Berlin Heart NR Stah, et al J HLTx 2013;32:615-620 44M CAVC, lt isomerism HeartMate-II for BTT 7歳 SV, post Glenn 49M cTGA post VSD/ASDc HeartWare for DT まとめ 先天性心疾患の末期的心不全例でも、時期を逸 することなく、移植の評価をすることは大切であ る 肺血管抵抗、修復の可否に応じて、心単独、両 側片肺と修復、心肺同時の術式を選択する 術前に、肝腎機能など移植の禁忌事項がないか 十分な評価が予後を左右する 小型埋込み型LVASの普及により、成人CHDに 対してもLVASが適応されるようになってきてお り、VASも治療戦略の1つとなってきている -67- 5 -68- -69- -70- -71-